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シナリオ詳細

今のうちに酒でも飲んでおこう選手権2023(サウナとか添えて)

完了

参加者 : 31 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●そろそろ酒庫カラにしときたいと思いませんか?
「酒庫があるのがおかしいんじゃないですかね……」
 『ナーバス・フィルムズ』日高 三弦(p3n000097)はローレットの片隅になぜか積まれている酒樽とか、なぜかある酒庫をチラ見しつつため息をついた。
 鉄帝も、天義も、あろうことかラサも最近は騒がしい。かのフローズヴィトニルの影響は海洋王国にまで及び、あちらも色々と大変だと聞く。つまりは流通面で手足が雁字搦めにされた状態だといっていい。
 各地で忙しなく転戦するイレギュラーズに時間的余裕が乏しいのは確かで、必然的に幻想は、というか他国も酒の消費量は恐らく下降線を辿っているだろう。
 となると、問題となるのは各地の醸造所。酒が消費されないと、貯蔵できる限界もあり、そうなると次の酒が造れない、という悪循環に陥るそうだ(諸説あり)。
 ローレットがその辺の商業事情に一枚噛む必要は全くないし、そればかりは場合によりけりと言う他ないのだが、それはそれとして酒を消費しておく必要はあるのかなと、そういう話があったりなかったりした。
(大々的に行う空気ではありませんけど、呼べば……少しは集まりますかね……)
 正直なところ、この混乱のさなかに大宴会だ! といって集まる数寄者は少ない。或いは盛大に準備して閑古鳥という例を三弦は元の世界でも見た。なんか人気ありそうな動画配信者がオフ会を……やめよう。
 食料は準備しておく。酒も割と備蓄がある。人員も……まあ集めれば来るかもしれない。
 ひとまずその辺りの各所に声をかけておこう、あわよくば盛り上がるかもしれない……盛り上がらなくてもその時はその時と三弦は準備を始めるのだった。
 なお、その流れを嗅ぎ取った者が一人、なんか準備を始めていたことは置いておこう。

●規模感がなんか寂しくない?
 というわけで、ローレットではささやかな宴席が設けられることとなった。
 この状況でそんなものに軽々に参加するような人間がいるかというとそれまでだが、と三弦は軽い気持ちだったが、何故か状況は違った。
 何故か、街道沿いに馬車が停まっているのだ。
 明らかに気密性が高く、何故か石炭を積んだ荷台が混じっており、そして水と香油を混ぜたものまで。そして、何故か屈強な男達つき。
「……これは、サウナ……?」
 三弦はこんなものを手配していない。酔った勢いでサウナに入られたら命が危ないからだ。
 困惑する彼女に屈強な男達は、手配した幻想種のサイン入りの領収書と、サウナに入る前に飲んでもらう「なぜか酒が抜けるドリンク」を渡されたのだった。
 おかしいな、この状況のなにもかもがおかしいな?

GMコメント

 この状況(決戦はあるわラリーはあるわラサ編も進んでるわ)でイベントシナリオに入ってくれる方がいれば鼻血噴いて喜びます。あとサウナの日なので、サウナフリークとして出さざるを得なかった。
 選択肢等は用意しますが、参加者同士で絡む場合【】で括るとかID指定するとかすると迷わなくて済みます。
 公序良俗に反しない範囲で楽しみましょう。

●情報精度
 このシナリオの情報精度はAです。
 想定外の事態は絶対に起こりません。


飲み会はどうする?
人手も足りなければ参加者もそんなに多くは無いのです。多分。

【1】飲む側
めいっぱい飲む。未成年はノンアルで一杯。

【2】食べるメイン
色々あるし言えば出てくる。凄いね。

【3】給仕・調理場
いつもよりは忙しくない気がする提供側。


サウナ入る?
何故か外にロウリュ馬車が停まっている。一度の収容人数は大体5~8名。

【1】入る
酒飲んでたらなんか酒が抜ける飲み物で抜いてもらいます。

【2】入らない
無理はよくないもんね。

  • 今のうちに酒でも飲んでおこう選手権2023(サウナとか添えて)完了
  • GM名ふみの
  • 種別イベント
  • 難易度VERYEASY
  • 冒険終了日時2023年03月29日 22時21分
  • 参加人数31/31人
  • 相談10日
  • 参加費50RC

参加者 : 31 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(31人)

ストレリチア(p3n000129)
花の妖精
キドー・ルンペルシュティルツ(p3p000244)
社長!
ヨゾラ・エアツェール・ヴァッペン(p3p000916)
【星空の友達】/不完全な願望器
バクルド・アルティア・ホルスウィング(p3p001219)
老練老獪
ヴァレーリヤ=ダニーロヴナ=マヤコフスカヤ(p3p001837)
願いの星
Lily Aileen Lane(p3p002187)
100点満点
リディア・ヴァイス・フォーマルハウト(p3p003581)
木漏れ日のフルール
アーリア・スピリッツ(p3p004400)
キールで乾杯
新田 寛治(p3p005073)
ファンドマネージャ
エッダ・フロールリジ(p3p006270)
フロイライン・ファウスト
マリア・レイシス(p3p006685)
雷光殲姫
レイリー=シュタイン(p3p007270)
ヴァイス☆ドラッヘ
アルヴィ=ド=ラフス(p3p007360)
航空指揮
モカ・ビアンキーニ(p3p007999)
Pantera Nera
ブレンダ・スカーレット・アレクサンデル(p3p008017)
薄明を見る者
ボディ・ダクレ(p3p008384)
アイのカタチ
観音打 至東(p3p008495)
マッチョ ☆ プリン(p3p008503)
目的第一
ニル(p3p009185)
願い紡ぎ
佐藤・非正規雇用(p3p009377)
異世界転生非正規雇用
佐藤 美咲(p3p009818)
無職
杜里 ちぐさ(p3p010035)
明日を希う猫又情報屋
ヘルミーネ・フォン・ニヴルヘイム(p3p010212)
凶狼
メリッサ エンフィールド(p3p010291)
純真無垢
ヴィルメイズ・サズ・ブロート(p3p010531)
指切りげんまん
テア・アナスタシス(p3p010620)
特異運命座標
水天宮 妙見子(p3p010644)
ともに最期まで
トール=アシェンプテル(p3p010816)
ココロズ・プリンス
紫暮 竜胆(p3p010938)
守護なる者
ピリア(p3p010939)
欠けない月
高橋 龍(p3p010970)
名誉マッチョ・ネットワーク

リプレイ

●地獄というか羅刹というか
「お酒が消費されないと、貯蔵できず次のお酒が造れない……由々しき事態じゃない! つまりこれは世界を救い可能性のパンドラを溜める為の重要なお仕gかんぱーい!」
「幻想のお酒ー、海洋のお酒に鉄帝のお酒ー、練達の日本酒に豊穣のお酒ー。ラサのお酒に……天義と深緑と覇竜のお酒ってあるかな、あるなら呑むー!」
「よくわかんないけど酒を飲めばいんだな? 任せろ! プリン酒もってきたからみんなで飲もう! すっごく美味いぞ!」
「GJよぉボディくぅん、ご褒美にご返杯!」
「プリン酒?! それも呑みたいにゃー、のませろー!」
 世界各地で色々起きている傍らで酒蔵の危機が迫る春先、ローレットは何度目かわからない大盛り上がりを迎えていた。アーリアが乾杯の挨拶を途中で切り上げ、各国の酒を集めたヨゾラが期待に目を輝かせ、プリンはプリン酒なる奇酒を持込みテンションをブチ上げる。持込み? 歓迎に決まってるだろ飲兵衛の数が多すぎる。
「酒だああああああ! 呑むときゃ呑まなきゃ呑むときゃ呑むぞ! 呑むときゃ呑むときゃ呑む呑む呑む呑む!」
「折角の機会、ですから、パーティーを楽しむ、です。れっつえんじょい、です」
 テンションが既におかしくなってるバクルドは、どこから持ってきたのか麦酒の樽をかち割ってジョッキで掬い上げている。Lilyはといえば、こころなしかアルコール分の強い酒を持ち込んでちびちびやっているが、周囲の熱にうかされた反応に少し警戒している。ここは【アルハラ地獄変】の領域、まともな酒飲みなどいないのだ。
「詳しい事情はよく分かっていないけれど、とにかく無料でお酒が飲めて、酔い潰れた人から戦利品も確保できるということですわね? 分かりましたわ! アーリア、エッダ、美咲、稼ぎ時でしてよ!」
「ケェー!忙しすぎて酒でも飲まないとやってられねえー! そんなわけでとりあえず寝落ちたやつから身包み剥ぐチキンレースであります」
「なになに? 私もよく分かってないんだけど、ヴァリューシャの為にたくさん稼ごうと思うよ! ふふふ! 戦利品を賭けて、どちらが先に酔い潰れるか正々堂々とアルハラファイトレディーゴー! ってこと!? うんうん♪ それなら違法ではないね! ヴァリューシャは天才かな?」
「どうせ潰れた連中を私が引きずって帰ることになるんでス」
 地獄変ということは追剥も合法化されるということだ。それは羅生門では? と感じた賢明な諸氏は帰ってもらおう。ヴァレーリヤ、エッダ、マリア、美咲あたりは鉄帝動乱開始後から綺麗な姿過ぎてヨゴレが足りてないのだ。こういう時くらい無礼講にしないと。なんか美咲がアルヴァ連れてきてるけど未成年だからね?
「帰っていい?」
「ダメでス」
「お前、未成年に何させようとしてるかわかってる? 小遣い程度でこんな地獄、俺は帰らせ」
 飛行の仕事と聞いてきたら非行飲兵衛どもの介護でした。アルヴァは泣いていいぞ。
「え?私ここ呼ばれるのなんか違くないか??? ま、まぁサウナも酒も好きだから構わないが……タダで飲めるなら飲めるだけ飲めばいいな! ヨシ!!!」
「飲めるだけなんて甘えは許さないであります。体液とアルコールを置換するまで終わらないであります」
 飲兵衛なれど狂人(ほめことば)共と並べるといまいちパンチの弱いブレンダ、飲む前から仕上がってる一同に腰が引け気味だ。だが飲むのも蒸すのも好きなので逃げ場はなかった。アルハランドの住人である限り。
「はいこちら特別ゲストのストレリチアちゃんでーす、なんと妖精女王でーす!」
「ストレリチアなの! テンアゲでやりらふぃーな飲み会に逃げ場なんてないの! フードロスと同じで酒造チャンスロスはサステナブルに反するの! 実質SDGsなの! 意味わかんないけど重要なの!」
「ストレリチアさんに捧げる一発芸! 焼酎の眼鏡割り!」
 \前にも見たぞー/\ワンパターン乙/\もっといいとこ見てみたいー/
「す、すみません、宴会芸をアップデートする時間が無くて」
 ストレリチアもノリノリだ。その双肩に背負うのは妖精郷の未来じゃなくてストロー付きアルコール入りジャケットだ。飲兵衛としての格が違う。寛治も一発芸をお披露目するが、哀しいかな優秀な人間だけに一発芸を磨く時間が与えられなかったのだ。
「なにやら騒がしいが、こういう騒がしい場も悪くない。宴会なのだからな……な、ピリア殿」
「竜胆さんといっしょにたべるのもたのしいの! おいしいものいっぱいたべるの!」
「はいはい、今お持ちしますよっと……しかし凄いな、席を分けておいて正解だった」
 ピリアと竜胆は周囲の喧騒に巻き込まれつつも、自分のペースを保っていた。そもピリアは食べるためにここにいるので、酒飲みにウザ絡みされなければ無事のはず。竜胆がついている分、無理に突撃する者もおるまい。
 地獄変のメンバーにテーブル一杯の料理を積み上げ、その減る速度に顔を青くするモカであったが、彼女くらいの腕前じゃなきゃまず食べるのに追いつかないので適任だった。というか彼女がパーテーション用意しなきゃ危なかった。
「……で、俺はなんでこの場所に巻き込まれたんだ? さっぱり分からねえ!」
「ちょっとぼーっとしている間に地獄に放り込まれたのだ……」
「知ってる、これ好き放題されてパンドラ失うやつだ(メタ発言)」
 そして、まあ。なんといいますか。
 龍、ヘルミーネ、そしてキドーの三名は酒は飲みたしサウナは入りたし、しかしその後先について全く考えていなかった。
 つまりはどんな飲み方をしようと、どんなサウナハラスメントを受けようと、たとえそこが【地獄変】であろうとも、まー仕方ないっちゃ仕方ないので存分に飲めばいいとおもう。
「おう、そこのでけぇの! 寛治が一発芸に悩んでるから俺達であわせ一発芸、やるぞ!」
「えっ俺?」
「えっ私がもう一回一発芸?」
 そこに現れたバクルド、未開封の酒樽を転がして寛治の襟首をつかんで龍の方へと向かっていく。何事かと聞き返した彼は、何故か寛治の下半身を抱えるように告げられる。バクルドは上半身。そして目の前に酒樽。これが意味するところは
「眼鏡の鏡開きだァーっ!!」
「ア゛ーっ!?」
「ど、どいひー!?」
 はい、どいひーノルマいただきました。これでも負傷判定入らないとか寛治は頑丈だよね、だからもっと飲め。
 そしてそのやり口を目の前で見せられたキドーとヘルミーネは、いよいよもってアルハラーズのヤバさを肌で感じているのだった。となればとる行動はひとつ、逃走……だが。
「お、俺は会社の会議が」
「ヘルちゃんもちょっと用事を思い出しt」
「飲むとか飲まないとか最初に言い出したのは誰なのかしら!」
 エッダが二人の肩を抱えてにたりと笑う。
「えっ、お水? ノンノン、駄目でございますわ。私達はお酒を消費するために来たのですもの、ここで日和ってチェイサーなんてあり得ない、そうでしょう?」
「中々厳格なルールが定められたエクストリームスポーツだね! さぁ! かかってきたまえ! ヴァリーシャに貢がぬ者は一人残らず虹の海に沈めてやる!」
 アルハラップル(アルハラのカップル)が二人のグラスにウォッカを注ぎ、今すぐ呑めとばかりに煽る。水などアルコールの水分で十分、真水を飲ませるなど女々と迫る!
「ところでアレは放っておいても大丈夫なんだろうか?」
「つまみに水分量多いモンをガンガン作ってるから大丈夫ゆ。根本的には解決しないけどないよかマシ」
 さすがに度が過ぎたら止めようと決めていたモカも、この様子には二の足を踏む。これを放置した結果、事故にでもなったら。が、人を集めた以上パパスはその辺対策済みのようで、スープ類が気持ち多め。気休めではあるし、サウナに入るなら代案もあるのでごあんしんだ。
「ふふ、なんだか気分がいいなあ、ふわふわする、ふふ……ピリアどの~~しっかり食べねば大きくなれないぞ~~」
「竜胆さん、おさけの匂いがすごいのー! ピリアはいっぱい食べてるからだいじょうぶ♪ はい、あーん♪」
「あーん……」
 そんな惨事のなかにあって、竜胆とピリアの空気が崩れないのは未成年いるからハメ外さんどこってなってる良心の産物みたいなもんだとおもう。幸せそうならOKでは?
「ロウリュの前に酒を抜く? 薬で? 正気か……?」
「エッダ、細かいことを気にするな! 酔い直せると思えばいいんだ、サウナに入る度に! ……あ、実は最近婚約しました!!!」
「えっ」
「えっ」
「えぇっ!?」
 エッダがひとしきりダル絡みしてタオルひっかけたところで、ブレンダは爆弾発言を投下した。エッダ、アーリア、マリアが驚きに硬直し、ヴァレーリヤはプリンの身ぐるみを剥ごうとしていた。傍目に完全な事案。
 この混乱のあとにこぞってサウナに行く時点で、色々惨劇の匂いがプンプンする。
「おお美咲さん! しんでしまうとはかわいそう。あなたにもういちど酒を飲むきかいをあたえましょう!」
 そう言って美咲を叩き起こし、その口に黒鉄竜殺しを突っ込むLily、やっぱりかわいい顔してなんかもうすごいぞこの娘。

●平和 #とは
「よ~、お前ら飲んでるか?」
「えへ~~このお飲み物しゅわしゅわで美味しいれすネ~~♪♪ お先に雰囲気キメてまーーす♡」
「気分がよさそうだな……えっ未成年? そうか……」
 至東は【鸚鵡】の面々に交じって飲みに興じている。見た目完全に酔っているのだが、非正規雇用が目を疑った事からわかる通り未成年だ。キメてるのは雰囲気なので無問題。
「貴方見てると昔の旦那思い出すんですヨー! やらせろ!」
「本当に未成年なんだよね?」
 至東の絡みノンアル、怖いな。
「「ハーッハッハッハ!!」」
 カチーン! ゴクゴクッ! ダァン!
「「麦茶(入りのノンアルカクテル)だこれ!」」
 トールと妙見子はテアがサーブしたジョッキを豪快に打ち鳴らし、一気飲みしてから満足げに叫んだ。ノリが完全にワン・モアなんですよ。
「酒盛りはいいですよね……こういう雑に飲むのが一番気が楽なんですよ……」
「ちょっと頭がこれからフワフワすると思いますが、どうぞよろしくお願いいたしますね。ね、宇宙母(コズミック・ママ)こと妙見子様!」
「コズ……? ヴィル……握り飯太郎様もしかしてもう酔っておられます?」
 そこに現れたヴィルメイズは、あろうことかピッチャーの蓋を開けてガバガバとハイボールを飲んでいた。ジョッキじゃ足りないらしい。あまりにも豪快。あまりにも盛大。妙見子がその正気を疑うのもわからないでもない。
「その飲みっぷり、ヴィルメイズ君は成人してるよな!」
「フフ、佐藤様……この美しい私に年齢を聞くのは野暮でございますよ。年齢:ヴィルメイズでございますので~」
「ワタシも妙見子様も年齢は秘密ですのでぇ……」
 未成年ばっかりだなとしょんぼりしていた非正規雇用は、ヴィルメイズの飲みっぷりに安堵を覚え絡みにいく。だがヴィルメイズははぐらかし、給仕半ばで酒の雰囲気にのまれかけているテアは妙見子の尻尾の手入れをしつつ怪しげな回答。非正規雇用でなくとも未成年か年齢不詳しかいないこの状況は飲まなきゃやってられないのではないだろうか?
「ヴィルメイズさんグラスが空いてますよ、私が美しくお注ぎしますね!」
「お酒がたりないのですか? ニルがお持ちしますのです。妙見子さんもトールさんもおかわりですね。ご飯もいっぱいあります」
 ピッチャーをも早々に半分干したヴィルメイズに、トールがすかさず注ぎ足そうと迫る。そのやり取りを見て現れたのはニルだ。使い魔を駆使して空き皿や干されたグラスを見るや駆けつけるその姿を前に、隙を見せることなど出来ようか(反語)?
 酒ばかりでは調子が狂うからとちゃんと食事を大量に用意してくる手際の良さに、二人は呆然とニルを見上げ。
「妙見子さん! 今度こそどちらが飲めるか決着をつけましょう!!」
 非正規雇用、妙見子の隙を逃すまいと酒盛り勝負を挑みにいった。良い子は飲酒量対決はしちゃだめだよ。
「ではとりあえずこの日本酒一升瓶から参りましょうか! ではよーい……スタート!」
「えっ一升瓶?」
「わわっ、無理は、いけませんよ……!」
「絶対楽しそうなのでいいんじゃないでしょうか。いいんでしょうね」
 妙見子のノリノリな様子に呆然とする非正規雇用、驚くニル、そして収まるところに収まるだろうと諦観の三弦の姿があった。
「飲み勝負? いいわね、私も飲むわよ! さあさあ、どんどん持ってきなさい!」
「はれ~~~~……妙見子さんが二人、三人……別な人もいるぅ……?」
 猪口一杯で非正規雇用フラッフラじゃねえか。というかレイリーがいきなり乱入してきて楽しそうに飲み比べしてるの割と大惨事の予感しか醸し出してないの、割と凄いとおもう。
「はーいアイドル、ヴァイス☆ドラッヘ! 1曲歌います!」
「こんなに楽しくなれるなら、お酒が飲めるようになるのがより楽しみになりますね!」
 そのうちノリノリになってジョッキをマイク代わりに歌い始めるレイリー、テアに絡まれながらもまんざらではない妙見子、サウナに行こうと駄々をこねる非正規雇用をアームロックしながら楽しみとかのたまうトール! なんだこのカオス。
「ほらほら、しとーちゃんアダルトに見えますかー? しとーちゃんはアダルトな目で見てください。見ろ」
「酔ってますね~~?」
 飲んでないから酔ってないよ。雰囲気酔いはしてると思うけど。至東を酔わせるともう完全にP倫に触れそうな図が出来上がるから断じて飲んではいけない。適度に頭回ってなさそうで全然ブン回ってるかわいい子だぞ。保全しろ。
「食べるのメインで参加しましたけどそうそうたる面々ですね……私もいつか一人前の大人のイレギュラーズになってあの面々と一緒にお酒を……」
「やめておいた方がいいと思うにゃ……」
「そうですね。絡み酒は面倒です」
 メリッサは未成年、かつ食べることに興味津々だったので飲み会ではしゃぎ倒す大人の気持ちというのが分からなかった。あの騒ぎようなので「楽しそう」に見えるのは間違いないのだが、行くところまで行くとヤバくはある。ちぐさとリディアもその憧れには『背伸びした大人の楽しみ』として一定の理解はしているが、さりとて限度を超えた悪ふざけは勝手知ったる仲だからこそ成立するのだ。
「でも飲み会なんてあちこち戦い戦いで忙しいから、いつ飲むかって言われると今しかないにゃ」
「食事も味わう暇もないくらい激戦続きでしたからね……少しくらいゆっくり食べてゆっくり水分を摂って楽しめるならそれが一番ですよね」
 ちぐさとリディアの言葉にはひしひしと実感が籠もっている。あっちゃこっちゃに引っ張りだこな実力派はやはり休める暇が少ないもので、そんな時に酒飲み放題だよ! タダで! って言われたらそりゃあね。
「私、酒場の〆に美味しいパフェを出す流行があると聞いたことがありますし、甘いパフェが食べてみたいです!」
「あるよ」
 メリッサ、シメパフェ文化をどこからか仕入れてきた様子だがちゃんとあります。美味しいよねシメパフェ。私は同じ地域の文化だとアイスに酒かけるのが好き。
「ところで、そこらへんの虹の処理とか食事の片付けしたらサウナ入ります?」
「サウナ! 楽しそう、です。ニルも片付けたら、サウナに入りたいです」
「入ったことないにゃ、ちょっと興味あるにゃ。このドリンク飲めばいいのかにゃ?」
 リディアは(綺麗に食べられてるけど)散乱した皿とかちょっと漏れてる虹(婉曲表現)とかの片付けに早めに取り掛かる。ニルが結界張ってるとはいえ、汚ればかりは防げないのだ。片付けのあとの楽しみとばかりにサウナに期待をふくらませるリディアとニル、そして酒抜き用のドリンクを手に取るちぐさは微笑ましい気がする。
「お酒の場では話せなかった大人の方々にこの機会に色々お話をしてみたいですね!」
「そっちはだめです」
「絶対いっちゃ駄目にゃ」
 そしてメリッサが地獄に飛び込もうとしたので二人は全力で止めた。だってあっち、絶対未成年が入っちゃいけない入り方してるんだもん。

●サウナをなんだとおもってるんだ
「ロウリュの前に酒を抜けとか正気か……? むしろ酒を吸引すべきでは?」
「でも一度チルってからもう一回酔えるとか最高じゃなぁい? 何度も酔えるわよぉ」
「いや、そのドリンクもいいが、温冷交代浴で酒を抜いていくのも一興だと思うんだよな」
「飲酒とサウナの酒抜きとのアンリミテッドトトノイワークス、たまらんですな」
 エッダのどこか頭のネジが外れた言葉に、ドリンクを口にしつつアーリアは力説する。人生何度酔ってもいいですからね。酔う時の快感と酒が抜けたあとの爽快感、これよ。そしてそれをドリンク抜きで、サウナでやりたいと思うのは人の性。寛治やブレンダの言い分も大いに理解できた。
「水? 酒には水分が入ってる、なら酒は水だろ? よしいいこと思いついたぞ、スピリタスでロウリュするぞ!」
「えっ(歓喜)」
「えっ(動揺)」
「サウナはめったに入らないけど楽しそうだにゃー(火に油)」
 バクルドのこの提案は、一部喜び一部が焦りそして楽しめるかと期待した者もいるが

「ところで私、昔に焼酎を土瓶に入れて火に掛けたら、青い火柱が立ち上ったことがありましてね。どうやら揮発したアルコール分にコンロの火が引火したようです。なんで今そんな話をするかって?」
 まさに今、同じ状況だからですよ。
「ああ、魔術紋が焼ける……気がする……」
「本当に焼けちゃってるじゃない?!」
「誰でスかスピリタスかけたの! 燃えてる!」
「耐えられないか? ならプリンを食べればいい! わー↑はー↓」
「あっあっ、離しなさい! ここで燃え尽きる前に水風呂に入って二次会ですのよ!」
「わわっ、隣の馬車から、火の手があがっています」
「それどころじゃない……暑い、というか痛い……出して……?」
「もうそろそろ皆限界にきてるにゃー」
 ……カオス!

●静かに――
 ボディは一人、馬車に乗り込むと三段構造の椅子の最上段にどっかりと座り、柄杓を手に取るとサウナストーンへと水をかける。
 水が爆ぜる音と蒸気、降りかかるさわやかな香りはミントか。体を包むこの感覚……ロウリュとはこうでなくてはならない、と彼は実感していた。
 その肉体の不思議により人に迷惑をかけない選択をした彼は、それこそ「静かに、誰にも邪魔されない」サウナタイムを楽しんでいる。
「失礼します、アウフグースを担当させていただきます」
「おお……!」
 おもむろに馬車に入ってきた筋骨隆々の男性は、あまりに分厚く、そして大ぶりなタオルを手に現れた。そして、空いた手に提げるのは……氷だ! 氷を投げ込み継続的なロウリュを行い、アウフグース(熱波)の勢いを増そうというのか!
 ボディは(この姿では)多くを語るタイプではない。だが心中で歓喜した。
 混乱のなか、一人黙々と食事を楽しみ、早々にサウナへ向かった彼にとってここまで激しい「おもてなし」が待っていようとは思うまい。期待通り、いやそれ以上の熱波を提供した熱波師と固い握手を交わし、ボディは扉を開ける。
 向かうは――水風呂!
 よし、いい感じにシナリオもととのったな。

成否

成功

MVP

ボディ・ダクレ(p3p008384)
アイのカタチ

状態異常

なし

あとがき

 全員一度は描写していると思います。
 今回は選択肢があるので実質白紙ゼロという素晴らしい結果でした。
 良い子はリプレイ内の危険行為は真似しないでね。できないか、できないよな……?

 なお当たり前ですがパンドラが減るようなことはありませんでした。アレで?

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