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シナリオ詳細

<霊喰集落アルティマ>自由への架け橋

完了

参加者 : 32 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●支配からの脱却
 霊喰晶竜クリスタラードは覇竜領域と世界に対して猛威を振るった『六竜』のひとつである。
 その特徴はなんといっても彼が追従させる六つの水晶体(クリスタル)であり、この力によって彼は無敵といっていい力を手にしていた。
 クリスタラードはその強大な力と引き換えに、クリスタルの維持に莫大な生命エネルギーを要している。
 アルティマはそんな生命エネルギーを得るための『人間牧場』なのだ。
 ――いや、だったと過去形で現すべきだろう。

 ――高い塔が並ぶブラックブライア
 ――地下空洞ホワイトホメリア
 ――死都ヴァイオレットウェデリア
 ――溶岩地帯レッドレナ
 ――海底遺跡オーシャンオキザリス
 ――密林イエローイキシア
 ――消失楽園グリーンクフィア

 七つの集落へそれぞれ攻略作戦を行ったイレギュラーズたちは、各地の亜竜種たちに反抗の意思を芽生えさせ、絶大と思われていた管理亜竜とその勢力を打ち倒すことに成功出したのだった。
 いまや各集落を支配する亜竜はいない。
 亜竜種たちが己の力で、この集落を立て直し生きていく場所となったのだ。
 だが不安におもうことはないだろう。
 彼らは既に立ち上がり、前を向いて生きることを決めたのだから。

●『これから』の物語
「つまり……クリスタラードの居場所に心当たりはないんだね」
 オデット・ソレーユ・クリスタリア(p3p000282)がそのように返すと、清らかな泉の中心に浮かぶ精霊はこくりと頷いた。
「クリスタラードは強力無比な竜。しかし、その一方で非常に警戒心の強い竜でもあります。彼が人前に姿を見せる時は、相応の準備が整ったときなのです」

「――そういうことだ。クリスタラード様を見つけ出し倒そうとする者は、確かにいた。
 だが『贄の儀』を行う際にしか我々の前に姿を見せず、それ以外の時に一体どこに隠れているのか……我々には全くわからないのだ。故に、我から情報を引き出そうとしても無駄よ」
 フン、とそっぽをむく巨大鴉型亜竜ブラックアイズ。全身に受けた傷は未だ癒えず、高い塔の上でその身を休めている。
 もう話さないぞとという雰囲気を見せたので、セララ(p3p000273)は手を振って塔から飛んだ。
「ありがと! また遊びに来るね!」

「けど、これからどうしたらいいのでしょう……」
 里の少女トルハは、亜竜たちの居なくなった集落を見てそう言った。
 驚きと、喜びと、そして死んでしまった両親は戻らないという悲しみと。様々な感情が混ざり合いながらも、沈黙でそれらを覆う。
 バクルド・アルティア・ホルスウィング(p3p001219)は肩にそっと手を置いてから、集まっていた人々を見る。

「――確かにね。ここは亜竜に支配されることで回っていた集落よ。
 その支配が無くなれば生活能力は低下するし、危険だって増えるかも。
 けど、ここを第二の里にするって決めたんだもの。私達がなんとかしなくちゃ」
 岩だらけになって一度は崩壊してしまった海底都市。潰された神殿のうえで、鈴・呉覇はころころと鈴が鳴るように笑う。
 そんな前向きな姿に、トスト・クェント(p3p009132)もつられて笑う。
「そうだ。おれたちにできることはないかな?」

「――できることだぁ? そんなもん、酒飲んで歌って踊ってパァーっとやるのが第一だろうよ!」
 伊達 千尋(p3p007569)と肩を組み、酒の入ったジョッキを見せつけるアダマス・パイロン。
 坑道警備隊はどうやら無防備となったホワイトホメリアに警備人員を常駐させることで治安と里の防御を回復させるつもりのようだ。
 そして、決めるだけきめてしまえばあとはパーティーだと。そういうハナシである。

「失ったものは戻りません。そう、この都が、はるか古代の栄華を取り戻すことがないように」
 バザーナグナルの骨を飾られた神殿にて、『バザーナグナルの乙女』と呼ばれた女達は祈りの姿勢をとっている。
 カイト・シャルラハ(p3p000684)は既に用済みとなった檻のマスターキーを、骨の前に置いた。
 リュートが隣に立ち、敬意を示すように巨大な骨に頭を下げた。
「カイト。あんたたちがいなきゃあ、今頃クリスタラードが力を回復させてまたヤバイことをおこしていたかもしれねえ。こうして回復する手段を一度失ったことでまた暗躍を始めるかもしれねえが……今までこんだけ隠れてたんだ。すぐ表に出てくるなんてことは無いはずだぜ」

「――だから今は、この場所をもう一度『故郷』にできるよに」
 光を失った七晶石を抱いて、タイム(p3p007854)は目を瞑る。
 それまでギターを弾き穏やかに歌っていたヤツェク・ブルーフラワー(p3p009093)は、しずしずとやってきた『占い師』プルネイラ・吏・アガネイアムへと振り返る。
「なあ。アンタはもしかして、ここの出身だったんじゃあないか? 厳密にゃあ、グリーンクフィアの元の名は『フェノメノン』だったんじゃあないか?
 ただアルティマからの災厄に見舞われるってだけで、クリスタラードや管理亜竜を想像するのは難しい。アンタは、それを実体験として知っていたんだ」
「それは…………ご想像に、お任せします」
 否定をせず、小さくうつむくプルネイラ。
「けれど、一つだけ言えることがあります。
 『避けようのない災い』を――あなた方は見事に晴らしてくれた。
 あなたは、私の視る運命を越えるほどの奇跡を、おこしたのですよ」

 七つの集落に、未来(あした)がやってきた。
 彼らはこれからの生き方を語り合い、勝利の昨日を祝い合い。生きている今を分かち合うのだ。
 それは、あなたも例外ではない。さあ、あの里へ行こう。

GMコメント

 アルティマの各集落は亜竜の支配から脱し、亜竜種たちが独立して生きていく集落へと変化し始めています。
 あんたは戦いの終わったそれらの地へ赴き、祝い、あるいは助け、あるいは未来を想うのです。
 これはひとつのエピローグであり、そしてきっといつか始まるであろう物語へのプロローグでもあるのだから。

※このシナリオは『霊喰集落アルティマ』にまつわるものです。
必ずしも過去の内容を参照する必要はありませんが、過去のシリーズやTOPログを見ることで解決する謎や疑問もあるかもしれません。
また、途中参加や「前までの内容を忘れてしまった」という方も特設ページを使うとわかりやすいでしょう。
 https://rev1.reversion.jp/page/ultima

・プレイングのかけ方、選び方
 『パートタグ』の説明のなかで、誰でも参加が可能なパートについて説明しています。
 ですが中には、前回のなかで特別な役割や使命を与えられた方もいるかもしれません。
 そういった方はそれに対応したパートタグを選択しつつ、自分なりの行動をとってください。
 迷ったら相談掲示板などで周りに尋ねてみてもいいかもしれません。
 第一回(https://rev1.reversion.jp/scenario/detail/7413)
 第二回(https://rev1.reversion.jp/scenario/detail/7790)
 第三回(https://rev1.reversion.jp/scenario/detail/8503)

■■■プレイング書式■■■
 迷子防止のため、プレイングには以下の書式を守るようにしてください。
・一行目:パートタグ
・二行目:グループタグ(または空白行)
 大きなグループの中で更に小グループを作りたいなら二つタグを作ってください。
・三行目:実際のプレイング内容

 書式が守られていない場合はお友達とはぐれたり、やろうとしたことをやり損ねたりすることがあります。くれぐれもご注意ください。

■■■パートタグ■■■
 以下のいずれかのパートタグを一つだけ【】ごとコピペし、プレイング冒頭一行目に記載してください。

【黒】ブラックブライア
 塔は戦いのルールをやめ、自給自足の生活を始めています。
 しかし武闘派が多すぎるせいなのか、今でもたまにバトルを楽しんでいるようです。

【白】ホワイトホメリア
 穴蔵の中に灯りを放つ石を配置していくことで集落に光をともし、とれる鉱石を他集落との物々交換にかけることで生活の質をあげようとしています。

【紫】ヴァイオレットウェデリア
 廃都を開拓し、集落へと改造しています。屍亜竜バザーナグナルの骨は彼らの心のよりどころとして神殿におかれています。

【赤】レッドレナ
 溶岩は相変わらず垂れ流しですが、熱さが平気な人々はここで今度こそちゃんと暮らしていこうとしているようです。

【青】オーシャンオキザリス
 完全に崩壊してしまった海底集落を立て直すべく、急ピッチで建設作業が行われているようです。
 鈴家が主導となっており、当主の呉覇もここへ移り住んで指揮を執っています。

【黄】イエローイキシア
 各小部族は今後も独自の文化を保つべく、細々としたやりとりを続けつつコレまで通りの暮らしをするつもりのようです。
 ですが今は、各部族が一堂に会して祝宴を開いています。ある意味、彼らの生き方も少しかわろうとしているのかもしれません。

【緑】グリーンクフィア
 焼け野原となってしまった花の楽園に、人々が再び戻ってきました。
 家々をたて直し、またこの場所で暮らそうと考えているようです。
 ある意味で彼らにもう故郷と呼べるものはここにしかなく、それゆえにこの場所を大切に思っていたのでしょう。

  • <霊喰集落アルティマ>自由への架け橋完了
  • GM名黒筆墨汁
  • 種別イベント
  • 難易度VERYEASY
  • 冒険終了日時2022年12月03日 22時05分
  • 参加人数32/∞人
  • 相談6日
  • 参加費50RC

参加者 : 32 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(32人)

セララ(p3p000273)
魔法騎士
オデット・ソレーユ・クリスタリア(p3p000282)
鏡花の矛
郷田 貴道(p3p000401)
竜拳
サンディ・カルタ(p3p000438)
金庫破り
カイト・シャルラハ(p3p000684)
風読禽
リリー・シャルラハ(p3p000955)
自在の名手
武器商人(p3p001107)
闇之雲
バクルド・アルティア・ホルスウィング(p3p001219)
終わらない途
リカ・サキュバス(p3p001254)
瘴気の王
クーア・M・サキュバス(p3p003529)
雨宿りのこげねこメイド
冬越 弾正(p3p007105)
終音
伊達 千尋(p3p007569)
Go To HeLL!
ヴィクトール=エルステッド=アラステア(p3p007791)
懐中時計は動き出す
モカ・ビアンキーニ(p3p007999)
Pantera Nera
散々・未散(p3p008200)
魔女の騎士
リディア・T・レオンハート(p3p008325)
勇往邁進
天目 錬(p3p008364)
陰陽鍛冶師
アーマデル・アル・アマル(p3p008599)
灰想繰切
ヤツェク・ブルーフラワー(p3p009093)
人間賛歌
トスト・クェント(p3p009132)
星灯る水面へ
耀 澄恋(p3p009412)
六道の底からあなたを想う
イズマ・トーティス(p3p009471)
青き鋼の音色
ルブラット・メルクライン(p3p009557)
61分目の針
佐藤 美咲(p3p009818)
無職
ユーフォニー(p3p010323)
竜域の娘
炎 練倒(p3p010353)
ノットプリズン
月瑠(p3p010361)
未来を背負う者
鯤・玲姫(p3p010395)
特異運命座標
熾煇(p3p010425)
紲家のペット枠
紲 月色(p3p010447)
蝶の月
アルフィオーネ・エクリプス・ブランエトワル(p3p010486)
ライブキッチン
多次元世界 観測端末(p3p010858)
観測中

リプレイ

●ホワイトホメリア:はっぴーにゅーわーるど
「どうも~! 伊達千尋です! 現場の皆さんに差し入れ持ってきました~~~~~!!!!」
 『Go To HeLL!』伊達 千尋(p3p007569)がアダマスと共にデカいタンクにスポーツドリンクを大量に入れてやってくる。
 振り返りワッと嬉しそうな声をあげるのはホワイトホメリアの亜竜種住民たちだ。
「あ、ついでにキレイな石、1つ貰っていくかな。まあ、その、プレゼントってヤツ?」
「ああ勿論。とっておきがある」
 遠慮がちに言う千尋に、里長に就任(?)した白髪の老人が美しく白い宝石を千尋に手渡した。
「あんまり綺麗なもんで、ホワイトライアーにやるのが惜しくなって隠しておった。だが、あんたにならやろう」
「サンキュー!」
 そんな様子を、『宝食姫』ユウェル・ベルク(p3p010361)はにこにこ顔で眺めていた。
「ほんと平和になってよかったねー。頑張った甲斐がある!」
 彼女が運んできたのは料理を積んだワゴンだった。
 ユウェルが料理を作り、その代価として鉱石を渡され、それをユウェルは食べる。なんとも不思議なサイクルだが、鉱山労働ばかりしてきたホワイトホメリアの住民からすると接しやすいのかもしれない。
「これで油が節約できそうね。他にはどんな鉱石が取れるのかしら?」
 一方で、『ライブキッチン』アルフィオーネ・エクリプス・ブランエトワル(p3p010486)はプラーナ村の特産品と鉱石を物々交換するルートを作り始めていた。
 商売の知識は彼らになかったが、『Pantera Nera』モカ・ビアンキーニ(p3p007999)の指導で少しずつだか軌道に乗り始めている。
「鉱石、特に灯りを放つ石は、少量ずつ外部に持っていって売れば、高値で取引できるかもしれない。その資金でホワイトホメリアの生活水準を上げていきたいな」
 支配から解かれたとはいえ、彼らの人生はこれからでもあるのだ。

●ヴァイオレットウェデリア:祈りを
「ここもだいぶ復興……というか、集落らしくなってきた? ねっ。
 ……でも、お祈りはだけは変わらず欠かさず、かぁ……」
 『自在の名手』リリー・シャルラハ(p3p000955)はシスターの服装でバザーナグナルの骨へ祈りを捧げていた。この場合、感謝……かもしれない。だってあのとき、助けて貰ったから。
「……もう、みんなきっと大丈夫だから。安らかに眠ってね」
「貴殿はクリスタラードの配下として過去に何度も生贄を差し出していたであろうがそれでもこうして綺麗に安置されているのを見れば慕われていたのが良く分かるであるな。
 共に戦ったのだからこの集落に何かあれば吾輩この至高の頭脳を持って助け出す事を誓う故に今はゆっくりと眠るが良い」
 同じく、『ノットプリズン』炎 練倒(p3p010353)も神殿を訪れ祈っていた。
「まずは、この『見るからにインテリジェンス』な我輩らしい復興計画書を持ってくるである!」

「ところで、ここの集落の名前も考えておこうぜ。ヴァイオレットって名前が残ってるとアイツ思い出しちまうしな。バザーナグナルの名前から取ってナグナルの里とでもつけておくか?」
「それもいいかもな。ま、暮らしてるあいつらが良ければイイとおもうぜ。あいつら次第だ」
 『太陽の翼』カイト・シャルラハ(p3p000684)とリュートは鳥の丸焼きを作りながらそんな話をしていた。
 そう、鳥の。
「なあ」
「言うな」
「なあって」
「分かってるけど考えないようにしてるから!」

 復興と宴会が同時に行われている。
 『花嫁キャノン』澄恋(p3p009412)はそんな中で、静かになった神殿にひとり訪れていた。
 花束を、沢山のお供え物(?)の山の上に置く。
「……本当に、ありがとうございました」
 祈り、そして、頭を上げる。
「さて、と。この地の復興のためにも、過去の惨劇に囚われていてはいけませんね!」
 骨が祀られることは、過去を忘れないため。
 そして同時に、過去に囚われないためなのだ。
 未来へ向けて動き出す里を、バザーナグナルの頭蓋骨は優しく見守っている。

●グリーンクフィア:奇跡の代価
「奇跡を起こしたのは、宿命に偶然の波紋を届かせたのは、前に進もうとしたあんたの心意気だ。それが無ければ、何も始まらなかった。あんたは、確かに戦った」
 『陽気な歌が世界を回す』ヤツェク・ブルーフラワー(p3p009093)は楽器を手に、プルネイラと並んでいた。
 喧噪からは離れ、静かに。
「なあ、アンタ、世界を見てみないか?」
 問いかけに、プルネイラは意外そうに目を開いた。
 そして、空を見る。
「それも、いいかもしれませんね」

「アルティマは解放された。だが、この世は凄惨な死で溢れている。いつ何時、今この瞬間さえも!」
 『61分目の針』ルブラット・メルクライン(p3p009557)は一本の試験管を翳してみせる。
「私はあの花の成分を調整し、麻酔や、死に瀕した者の苦しみを和らげる薬を作るつもりだ。
 竜の生贄のために人が死に続けたことは、『間違った過去』だったのだろう。だがそれと同時に、今後多くの人々を救うための礎でもあった。そういうことにしてもいいだろうと、私は考えている」
 ルブラットの挑戦に異を唱える住民はいなかった。彼らにとって『人間牧場』は忌まわしき過去だが、その全てを否定したいわけじゃない。
「ドラネコ配達便、到着です!」
 そこへ『ドラネコ配達便の恩返し』ユーフォニー(p3p010323)がドラネコ配達便0081『ソア』と一緒に色々なものを運び込んできた。
 一度は焼け野原となってしまったグリーンクフィアをもう一度ちゃんと楽園にするために。
「この人達にとってこの地が『故郷』になるのは、これからなんですね……」
「ソノ結末ガイカナモノデ在ロウト、当端末ハ唯ソレヲ観測スルノミデアル」
 『観測中』多次元世界 観測端末(p3p010858)は復興を手伝うかたわら、住民達をじっと見つめていた。
 彼らはこれから様々な困難にぶつかるだろう。生きることを欲したがため、生きることの難しさを知るのだ。けれどそれこそが……人生ってやつなんじゃないか。
 ユーフォニーはそんなふうに考えて、観測端末の言葉に頷いて見せた。

●レッドレナ:炎の記憶
「バルバジスも倒したし、他のとこも解放されたんだよなー?もう大丈夫なんだよなー?
 はぁー、疲れたぞ。バルバジスは悪いやつだったけど、俺は嫌いじゃなかったなー」
 『紲家のペット枠』熾煇(p3p010425)は仔竜の姿でころころしながらそんなことを呟いた。
「それにしても、クリスタラードはどこに行ったんだろうな? 俺はまだ会ったことないけど、バルバジスを見てたら力で周りを押さえ付けるやつだってことなわかるんだ。俺はクリスタラードに会えたら本気でぶん殴りたいなぁ」
 見れば、レッドレナでは宴会がひらかれていた。
 形は質素だが、皆活気に溢れている。これからどうしようとか、どう生きていこうという話し合いも進んでいるようだ。
「クーア、引火するわよ。いやそれが狙いみたいな顔すんじゃないわよ」
「……ええリカ、自然発火も守備範囲外なのです。ヒトダマになるには云百年早いのですし。現に今我々燃えてないですし」
 そんな中で『迷い猫』クーア・M・サキュバス(p3p003529)と『雨宿りの雨宮利香』リカ・サキュバス(p3p001254)はマイペースにくつろいでいた。
「ま、せっかくだしご馳走になりましょうか。ええ、もちろんこっちも用意してるわよ。美味しいお肉に、いっぱいのパン、それと頑張って密閉して持ってきたかぼちゃのスープもね!」
「お酒でも開けません? 私オススメのよく燃えるやつがあるのです。普段愛飲しているやつなのであんしん」
 皆のそんな様子を眺め、『青き鋼の音色』イズマ・トーティス(p3p009471)は満足げに頷く。
 彼がちらりと見ると、バルバジスの皮から作られた楽器が置いてある。
 イズマが作ったものだが、里の大事な祭りで鳴らすのだと、ここの里長になった男に聞いた。
「ここに来て本当に良かったと思う。皆さんと一緒に戦えて、支配を終わらせて……」
 これまでのことを思い返しながら、イズマは取り出した楽器を奏でた。

 美しい音楽と歌が聞こえる。
「誇りな、お前さんの両親は誰よりも気高かったんだ」
 『蛇喰らい』バクルド・アルティア・ホルスウィング(p3p001219)はそういって、トルハの背をトンと叩いた。
 そして、『名も知らぬ二人』を思って持参した酒を石の上に流す。
 墓……というには奇妙だが。犠牲になった人々を想って作られた石碑があったのだ。
「なぁトルハ、俺の義娘になるか? 禄に家もない放浪者だが両親が見れなかった景色を見ていこうぜ」
 バクルドの言葉にトルハはハッと振り返り、そして石碑を見る。
 暫く無言が続いたが、トルハは最後に、バクルドの袖を掴んで小さく頷いた。

●オーシャンオキザリス:これから
 鈴家による里の復興……というか開拓ともいうべき作業が行われている。
 『星灯る水面へ』トスト・クェント(p3p009132)はその光景を見ながら、ほっと息をついた。集団を指揮しているのは鈴・呉覇だ。
(質問したとき、おれに『助けたい』と。そしてきっと『助けて』と言ってくれたんだ
心の悲鳴を、後悔を。身を切る悲しみを聞いている……)
「頑張って支えるからね」
 それだけを言葉に出して、トストは動き出すことにした。

「最初来た時より明るい顔なり雰囲気になってりゃいいなぁ。もしそうなってたら、盗んだ甲斐もあったってもんだ」
 『抗う者』サンディ・カルタ(p3p000438)はそんなふうに笑いながら、己の『盗んだ』里を見る。
 生気を無くした里の空気は彼にすっかり盗み去られ、今では未来を見つめる活気ある人でいっぱいだ。また来るときには、いい里になっているだろう。
「で、俺をちやほやしてくれるならそれも大歓迎だな!」

●イエローイキシア:デブリーフィング
「ふむ……」
 『合理的じゃない』佐藤 美咲(p3p009818)は、顔をつきあわせて相談する族長達の様子を観察していた。
 一度は殺し合いまでした身どうし。すぐに仲良くなることは難しかろう。しかし互いを害さぬ程度に共存することはできる。いや、しなければならない。
(今回はなかなかに荒らしましたからね。
 やれ英雄だなんだって話になるとは思いまスが…結局私らはよそ者でス。
 あとは、彼らで決めていくべきことでしょう)

「クリスタラードの行方は未だ知れず……。
 ですが、いつか必ずやそれを突き止め、後顧の憂いを払ってみせましょう。
 それは、この地で起きた戦いで、皆さんの自由を勝ち取ってみせると吠え立てた私の誓いです」
 『勇往邁進』リディア・T・レオンハート(p3p008325)はそう宣言すると、集まった部族の者たちを前に盃を掲げた。
 族長達の話し合いとはまた別に、それぞれの部族では勝利を祝う宴が開かれている。
「一先ずはめでたしめでたしといった感じだね。
 厳しい土地であることには変わらないが、それでも人間が今よりも安心して営み、増えていけるだろう」
 『闇之雲』武器商人(p3p001107)は持ち込んだアップルパイを振る舞い、早速馴染んでいる。
「また面白いモノガタリが始まるかもしれないね。ヒヒヒ!」
「また何かあればすぐ俺達を頼って欲しいからな! 部族や種族、国が違えど縁は大事だ」
 一方で『陰陽鍛冶師』天目 錬(p3p008364)は部族の者たちとそんな会話をかわしている。
 自衛の手段をあまりもってこなかった彼らに罠や防護柵といった知識を伝えたのは彼である。この先も、彼の知恵はイエローイキシア各部族の力となるだろう。

「力を貸してくれて、応援してくれてありがとう」
 『木漏れ日の優しさ』オデット・ソレーユ・クリスタリア(p3p000282)は例の泉を訪れていた。
 そんなに沢山通ったわけでもないのに、もう馴染んだような気分だ。きっと精霊が彼女を歓迎しているのだろう。
「いいえ。この森の自然を守ろうとしたまで」
 精霊はそんなふうに言うが、オデットはその言葉に優しさを感じた。
「また、たまに会いに来てもいいかしら、できるんだったらお友達として」
 精霊は暫く黙ってから、微笑みとともにこう返した。
「また来なさい。『ソレーユ』」

●ブラックブライア:塔の伝説
「これが弾正達が勝ち取った勝利と自由なのだな。武闘派揃いの集団とは、弾正らしい選択だ。ところで……」
 『灰想繰切』アーマデル・アル・アマル(p3p008599)は冷静にそう語りながら、ふと隣を見る。
「弾正、既に飲み過ぎなのでは?」
「ん!?」
 ややオーバーなリアクションで振り返る『黄泉路の楔』冬越 弾正(p3p007105)。
「なあに今日は黒響族の宴なんだ。俺達の勝利と自由に乾杯!」
 もう何度目かの乾杯を叫ぶと、周りの戦士たちが『乾杯!』と返してくる。
 かなーりできあがっているようだ。
「紹介しよう、俺の恋人のアーマデルだ!どうだ、めっっちゃ可愛いだろう」
 まわりから『可愛い!』と帰ってくるのでやっぱ周りもできあがっている。
 アーマデルは『彼ら本当にこれから大丈夫だろうか?』と思ったが……。
「かかってこいよ、バトル馬鹿ども!
 言っとくがミーも、塔に挑んだ頃のままじゃねえ。
 甘く見てると怪我じゃ済まないぜ、HAHAHA!」
 ふと見れば『喰鋭の拳』郷田 貴道(p3p000401)がフリーファイトを始めていた。
 様々なファイターが貴道に挑んでは敗れていく。しかしその敗れっぷりはスッキリしたもので、皆なんだか楽しそうだ。
「うむ、いいな。ド・バウの闘技場のように、実益と娯楽を兼ねたようなものを作れないだろうか」
 それを見て『紲家』紲 月色(p3p010447)が提案すると、周りのファイターたちは早速乗り気になったようだ。
 これまた、楽しい里ができあがりそうである。

「本職の方に手伝っていただいたので、ちゃんとしたものになりそうですね」
 立派な墓が建っている。これまでの人々のものと、そして、ビクトリアのものだ。
 高い塔を象徴したようなそれは、きっと遠いどこかに没した彼女の弟を魂が探しにゆくのに丁度良いだろう。
「意外でした。ヴィクトールさまにしては、と」
 『魔女の騎士』散々・未散(p3p008200)が隣に立ち、花を添えた。
「助言してくれたのでは――」
「いいえ、唯、ぼくは『此処の土は柔らかい』だとか助言しただけですもの」
 フッと笑う未散。つられたように、ヴィクトールは儚く笑う。
「……ストックの花ですか。そういうロマンチックなものは、チル様に任せたほうが確実ですね」
「哀悼の意を捧げます――花は慰めてくれますから」
「永遠に、おやすみなさい。そしてごめんね、ビクトリア」
 そして最後に、金のネームプレートを花にそえた。『ヴィクトール』と刻まれた……彼がきっと奪ってしまった、誰かの名を。

「ブラックアイズー! 会いに来たよー!」
「ええい、来るな! かえれー!」
 塔の上で療養中のブラックアイズに、『魔法騎士』セララ(p3p000273)がニコニコ顔で近寄っていく。
 ブラックアイズも悪態こそついているが、セララたちに負けた事実は覆らないと知っているのかむすっとしただけだ。
 セララはニコニコしながら、これまでの冒険の話を語って聞かせる。
「ブラックアイズもいつか、ボク達と一緒に冒険に行こうね。きっと楽しいよ」
「ふんっ……だれが……」
 ブラックアイズは顔を背け、しかし目を瞑っていた。
 冒険を想像したのだろう。セララはもう一度にっこり笑って、「きっとだよ」と言った。

成否

成功

MVP

なし

状態異常

なし

あとがき

 アルティマはクリスタラードの支配から解放され、平和への道を歩き始めました

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