PandoraPartyProject

シナリオ詳細

<総軍鏖殺>モリブデン会談

完了

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●fifty-fifty
 ――この世の全てがゲームであるとするならば
 ――交渉とはすなわちカードゲームである
 ――両者の要求を満たしつつ、互いのコストが釣り合うようにカードを出し合うゲームなのだ
 ――これが一対一ならば容易だが、それが複数ずつになれば難しい
 ――≪ジェロッタ・トールマン著「ワールドワイドワイプ」より引用≫

 再開発都市モリブデン。
 かつては九龍城さながらのスラム街であったこの場所は、今では都会的な観光スポットだ。
 新しい建築建築技術と莫大な予算によって建設されたモリブデンスーパーアリーナを中心とした闘技場ビジネスはこの場所が巨大な犠牲のもとにできあがったことを忘れさせる。
「だが、私達が忘れることは永遠にないでしょう。この土地の地下に埋まっていた古代兵器――今では『ギアバジリカ』と呼ばれるあれがこの土地を一度全て更地に変えてしまったこと。そして司教アナスタシアを狂わせたこと。
 結果としてギアバジリカもモリブデンも観光地となり、住民達の生活も改善された。
 それが犠牲のうえに得られた変化だということを……決して忘れません」
 そこは広い公園だった。よく手入れされた芝生の中央に建っているのは一本の石柱であり、そこには多くの名が刻まれている。
 ギアバジリカの内部にも同様の柱が設置され、同じ名が刻まれているのを……一部の者はよく知っていた。そしてそれが、かの事件の犠牲者たちの名であることも。
 男の名はボリスラフ。鉄帝軍の少佐位につき、特殊部隊ブラックハンズのリーダーである。
 『革命派』はイレギュラーズたちの提案のもと、不足する軍事力増強のため、そして主要派閥のどこにも属していない警察・軍人組織の支援のために彼らとの会談の場を設けることとなった。
「この度は場を設けて頂き、ありがとうございます。私はアミナ……クラースナヤ・ズヴェズダーの司教を務めています」
 深々と頭を下げるアミナの後ろで、大司教ヴァルフォロメイはニカッと笑った。
「ま、俺の挨拶は今更だわな。皆、こいつはボリスラフ。元々革命派に協力してた軍人だ。今じゃあちと疎遠になっちまったがな……」
 口ぶりに反して、ヴァルフォロメイがぽんと肩を叩くとボリスラフも彼に笑みを返した。
 二人の間には同じ種類の悲しみと、後悔。そしてそれをくり返したくないという気持ちが結ばれているようだった。
 革命派とボリスラフ……ひいては彼のブラックハンズ隊との関係は既に良好なようだ。
 ボリスラフが振り返ると、そこには大勢が座れるテーブルと椅子があった。野外ということもあって椅子もかなりの数だ。
 最初に『交渉のテーブル』についたのはボリスラフ少佐のほうだった。
「おおまかな話は聞いています。俺たちブラックハンズを革命派に取り込みたい、ということでしたね。リターンはそのための支援……もとい後ろ盾となることですが」
 ボリスラフ少佐はそこで顔をしかめた。
「俺たちは既に軍をほぼ脱退しています。というのも、新皇帝派の将軍が軍を縛っているからです。派閥間の争いはナシとはしているものの、あの場所に私達の居場所はないと判断しました」
「それは……『ブラックハンズだから』ですか?」
 最初に口を開いたのはアミナだった。
 表情をかえずに頷くボリスラフ。
「その通りです。軍による、兵站維持のための略奪や侵略のための内偵などをしてきた歴史がありますから……我々は軍にとって、『表に出したくない人間』の詰め合わせパックです。日の目の当たらない汚れ仕事に回すための肩書きといって良いでしょう」
 ボリスラフがそのリーダーという地位に饐えられたのは、彼が革命派と深い繋がりがあったため。つまりは『後に反転するアナスタシアの仲間だった』という経緯が軍にとって都合が悪かったのだろう。
「我々は『無所属かつ無職だから』という理由でモリブデンの警備を勝手に行うことができました。しかし革命派に属したことで、他派閥……特に新皇帝派のヘイトを買うのは間違いありません。
 我々が貴方がたに求めたいのは、『モリブデンの安全をこれからも守る保証』です。
 既に我々がこの町を守っていますが、もし大きな攻撃を仕掛けられる場合はそれ以上の戦力が必要になるやもしれません。そうなれば、我々が革命派に協力するメリットがない。そもそも協力しなければ危険にさらされませんし、協力したはいいものの革命派に提供できる軍事力がなくなります。お互いにとってよくない話だ。
 皆さんは、それを解決するアイデアや、そのリソースを持っていますか? それを、この場所で話し合いましょう」
 そう、これは交渉のテーブル。
 ここについたからには、互いに対等な対話相手である。
 あなたは椅子に座り、そして――。

GMコメント

※このシナリオは『交渉用ラリーシナリオ』です。
 話が一つ纏まるたびに章が更新されますので、少ない採用人数で小刻みに次章へ進むことがあります。
 主な採用条件については下記を参照してください。

・交渉までの経緯
 イレギュラーズの提案により、警察組織あるいは軍事組織の取り込み交渉を行うことになりました。
 ヴィジョンはイレギュラーズたちが持っているため、交渉の発言権はヴァルフォロメイから委任されるという形でイレギュラーズが持っています。

・プレイングの採用
 この『交渉のテーブル』についたPCは、一度仲間や有識者と話し合った上の内容を発言する扱いになります。
 そのため、プレイング内容が交渉に不向きであったり、主旨を大きく外れていたりした場合はプレイングがあえて採用されず、章切り替え時において返金されます。
 また、【交渉】以外の行動プレイングも可能ですので、以下のパートタグから自分のとりたい行動を選んでください。

・交渉の内容
 交渉相手:ボリスラフ少佐
 こちらからの要求内容:ボリスラフ及びブラックハンズ隊を革命派に取り込む
 相手からの要求内容:革命派に取り込んだ後のモリブデンの防衛手段とリソースの保証 →(※ブラックハンズ隊が革命派に加わらずに残った場合よりも高い防衛内容を提案すること)

※この交渉には革命派ギルドに所属していないPCも交渉人として参加することができます。
 参加にあたって当シナリオの相談掲示板等を使って認識を共有しておくと有効な手を打ちやすくなるでしょう。

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●パートタグ
 以下の内からとりたい行動を選び、プレイング冒頭に【】ごとコピペしてください

【交渉】
交渉のテーブルにつき、発言します。
交渉に不向きであるものや、現実的でないもの、または実行に際して不可能そうな要因のあるものなどはプレイング自体を採用せず、そもそも発言にあげなかったことになります。
同様の発言があった場合、それは合同で行ったものとして判定されます。
この発言に対してヴァルフォロメイとアミナは補足や支援を行いますが、主たる発言権はイレギュラーズにあります。

【見学】
交渉の様子を観察します。場に対して発言することや、直接手を出すことはできません。
感想を述べ合ったりすることができます。
一応本筋と異なりますので、交渉パートに対して採用率が低く設定されています。

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●章切り替えのタイミング
 話がひとつ纏まる度に章が切り替わり、交渉に必要な要素が新たに提示されます。
 これによって、発言(プレイング)が採用されなくてもすぐに話し合いに復帰することができます。

●特殊ドロップ『闘争の誉れ』
 当シナリオでは参加者(プレイング採用者)全員にアイテム『闘争の誉れ』がドロップします。
 闘争信望は特定の勢力ギルドに所属していると使用でき、該当勢力の『勢力傾向』に影響を与える事が出来ます。
 https://rev1.reversion.jp/page/tetteidouran

  • <総軍鏖殺>モリブデン会談完了
  • GM名黒筆墨汁
  • 種別ラリー
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2022年11月01日 12時20分
  • 章数3章
  • 総採用数33人
  • 参加費50RC

第3章

第3章 第1節

「少佐! ボリスラフ少佐!」
 広く静かな公園に、叫ぶ声がする。
 はるか遠くから、黒い軍服を纏った兵士が全速力で走りながらも大声を張っているのがわかった。
「どうした。交渉中だぞ」
 ボリスラフは(その口調からしておそらく部下なのだろう)相手に向かって少し険しい表情を作ると、交渉テーブルを挟んでいたイレギュラーズたちに『失礼』と小さく告げてから席を立った。
 走ってきた兵士はイレギュラーズたちを一瞥し、開きかけた口を閉じる。
 対してボリスラフもイレギュラーズを一瞥してから、兵士に『構わない。彼らにも聞かせろ』と続けた。
 イレギュラーズたちに敬礼し、よく通る声で兵士は言う。
「新皇帝派です! グロース将軍の部隊が完全武装状態でモリブデンに接近しています!」

 『軍勢』と呼ぶに、それは相応しかった。
 魔導砲を搭載した巨大甲虫型モンスターが列を成し、随伴する自律パワードスーツは武装を拡張し、空は武装した兵士を騎乗させ炎を纏う怪鳥が吠える。
 前衛を務めるのは専用の鎧や武器によって武装強化された天衝種(アンチ・ヘイヴン)たちである。
 武装拡張型ラースドール多数、武装拡張型グルゥイグダロス多数、武装拡張型ギルバディア多数、魔導砲搭載型オートンリブス多数、装甲兵騎乗ラルグ多数。
 それはいわゆる、モンスターを利用した装甲師団であった。
「あれは、グロース師団か……!」
 緊急時に避難シェルターとなるよう設計されたモリブデンスーパーアリーナ前にて。双眼鏡で様子を確認したボリスラフは苦々しい表情をした。
「グロースとは?」
 無垢な顔で、横に立つアミナが問いかける。
「新皇帝派のグロース・フォン・マントイフェル将軍。鉄帝参謀本部の悪魔です。彼女の率いる機甲師団は強力なものだと聞いていましたが、アンチ・ヘイブンを利用し始めていたとは……」
 翼を広げ、低空まで降下してきたブラックハンズ隊の兵士が呼びかけてくる。
「偵察完了! 敵部隊の中にグロース将軍の姿は見られません!」
「当然だ。『奴』が進んで前線に出るはずがない。このタイミングを狙っていたのだ。それで、相手からの言い分は?」
 ボリスラフの問いかけに、兵士が怒りを露わにしたような顔をした。
 懐から封書を取り出し、ボリスラフへと手渡す。既に封は一度きられており、その兵士が閲覧したことを示すスタンプが成されていた。彼の表情は、予め確かめた内容についてのものなのだろう。
 ボリスラフもそれを見て、表情を険しくする。
 続いてアミナを、そして並ぶイレギュラーズたちの顔ぶれを見た。
「グロース将軍の言い分はこうです。
 『クラースナヤ・ズヴェズダー革命派による横暴な虐殺行為に対し、軍をもって報復するものである。我等が鉄帝国は弱肉強食を是とするが、ゆえにより弱い者から奪わねば生きられぬ弱者の群れを看過しない。これは正義の鉄槌である』――と」
「そんな! 虐殺行為なんて……!」
 アミナが震えた声をあげた。
 手をかざし、首を横に振るボリスラフ。
「わかっています。これは連中のでっちあげでしょう。
 あなたがたと直接対面すれば、『弱者から奪う』などという手段で資源を確保する方ではないことはわかります。
 おそらく連中は、我々ブラックハンズが革命派と組むことを不都合だと考え、口実を作って破断に追い込む腹づもりの筈です」
 アミナは『そんな……』と頭を抱えて椅子にへたりこんだ。
「ひどいです……みんな、笑って暮らせるようにって……頑張ってる、だけなのに……」
「……」
 ボリスラフは慰めようと手を伸ばし、そして下ろした。
 イレギュラーズたちに視線を向け、『彼女は任せた』と言わんばかりに頷いて見せる。
「我々ブラックハンズ隊は、グロース師団への迎撃作戦を開始します。ローレット・イレギュラーズの皆さん、これは『依頼』という形で構いません。迎撃に加わって頂けますか」

================================
●第三章:怪物たちの師団
 ブラックハンズとの交渉が済み、協力関係が成立したその直後。
 新皇帝派のグロース師団がモリブデンへの攻撃を開始しました。
 彼らは司祭アミナと革命派への攻撃の正当性を主張していますが、交渉成立直後を狙ったところからしてブラックハンズ隊との協力関係を破壊することが目的であることは明白です。もはや交渉の余地はなし。鉄槌には鉄槌で返しましょう。

●フィールドと状況
 モリブデン市民は急いでシェルターへと避難しています。
 一部には避難が遅れている人もいますが、ブラックハンズ隊が避難誘導を補助を行っているようです。
 首都からの進撃らしく、街の南西側に敵が集まり、徐々に包囲を広げつつの形で侵攻してきています。
 これを『全滅』させることは現時点の戦力では非常に難しいでしょう。
 ですが中央突破を図り敵指揮官を攻撃することは可能な筈です。
 皆さんはこの非常に強固なグロース師団と戦い、中央突破を図ってください。
 尚、街はこういうときに備えてか碁盤目状に道路が整備され、攻撃や防衛がしやすい作りになっています。

●エネミーデータ
・武装拡張型ラースドール
 憤怒の力によって自律戦闘を行うパワードスーツに多数の武装を拡張したモデルです。
 機動力と遠距離戦に優れ、拡張された様々な装備によって特殊な攻撃を仕掛けます。
・武装拡張型グルゥイグダロス
 専用の鎧やブレードによって強化された猟犬型モンスターです。
 俊敏で、他のモンスターとの連携によって攻撃精度を上げます。
・武装拡張型ギルバディア
 専用の鎧やブレードによって強化された巨熊型モンスターです。
 非常にパワフルでタフ。近接戦闘に優れます。
・魔導砲搭載型オートンリブス
 巨大甲虫に大砲とその砲手を接続したもので、いわゆる装甲戦車です。
・装甲兵騎乗ラルグ
 銃座をのせた巨大怪鳥モンスターで、航空戦闘や爆撃を得意とします。

・敵指揮官カール・バルク中佐
 グロース将軍の命令をうけてモリブデンへの攻撃を指揮している新皇帝派の軍人です。
 ブラックハンズの情報によると、彼はバルナバスに心酔しており汚い手段や破壊を楽しむ傾向にある人物のようです。

●補足
・グロース・フォン・マントイフェル将軍
 この作戦を立案、実行したと思われる人物です。非常に幼い容姿をしていますがその内側に秘めたるは悪魔の性格で、鉄帝参謀本部で高い実権を握っています。
 鉄帝軍部における新皇帝派のキーマンと言って良いでしょう。

 今回この作戦に直接顔を出してはいませんが、裏から糸を引いているのは間違いありません。

●プレイング期間
2022/10/25 8:00~2022/10/28 8:00


第3章 第2節

イーリン・ジョーンズ(p3p000854)
流星の少女
ヨゾラ・エアツェール・ヴァッペン(p3p000916)
【星空の友達】/不完全な願望器
エルシア・クレンオータ(p3p008209)
自然を想う心
フラーゴラ・トラモント(p3p008825)
星月を掬うひと
祝音・猫乃見・来探(p3p009413)
祈光のシュネー
ムサシ・セルブライト(p3p010126)
宇宙の保安官
ブランシュ=エルフレーム=リアルト(p3p010222)
タナトス・ディーラー

「む! これは……お師匠先生!」
 『星月を掬うひと』フラーゴラ・トラモント(p3p008825)は『傍聴席』に座って腕組みをしていた『天才になれなかった女』イーリン・ジョーンズ(p3p000854)へ即座に呼びかけた。
 交渉は終わった。ここからは戦いの時間だ。テーブルも椅子も、そして間に敷かれたラインももはや関係ない。
 畳んでいたくろい日傘をあえてさし、イーリンが立ち上がる。戦場には似つかわしくないドレスだが、彼女が『準備万端』であることをフラーゴラは経験で知っていた。
「散開陣形! 火線を一体ずつに集中! 敵に陣を食い破られないように弾幕を張って! 交差点をキルゾーンに! 私が囮になる!」
「はい!」
 元気に返事をすると、フラーゴラは早速交差点へと走り出す。目的はイーリンがキルゾーンへ到達するまでの間、EX(魔導砲搭載型)オートンリブスによる砲撃を浴びてリタイアしてしまわないためだ。
「よほどブラックハンズ隊の情報が外部に漏れるのが『嫌』?
 じゃあワタシだってこんなの嫌だよ! 邪魔させないんだからっ」
 両腕を翳すように走るフラーゴラ。十字に煌めく白い光が、まっすぐに飛んできた砲撃を受け止め斜め上にはねのける。
 流れ弾がシャッターの下がったモリブデンテナントビル群へとぶつかり、爆発を起こした。どうやらボリスラフの部隊が早速保護結界を各所に展開していたようで、流れ弾がビルを破壊することはない。
 一方で、イーリンはちらりとボリスラフをの方を振り返る。
「見学料としては随分高い代金を払わせるわね。ブラックハンズ、あんたらやるわね?」
「なんのことだか」
 抑揚もないような、分かりやすいトーンでボリスラフが肩をすくめてみせる。
 『交渉の場』に派閥外の人間は勿論無関係な者まで傍聴を許したのは、対外的に革命派との協力をアピールすると同時に『受けてしまっては逃げられない』ローレットの立場を戦力として利用するという意図があったのだろうと、イーリンは今になって理解した。
 まあいい。元から『そのつもり』だ。イーリンは砲撃の構えをとった。
「さあ、ここからよ」

 白と紫の光が螺旋状に合わさり、EXオートンリブスの装甲を貫通。爆破する。
 『自然を想う心』エルシア・クレンオータ(p3p008209)はそんな中を駆け抜けながら、交差点のサイドへと回り込み十字砲火を開始。進行してきたEXオートンリブスのいわゆる『装甲戦車隊』を破壊しつつ相手の進行ルートを潰していくという作業にかかる。
「幻想種の前で自然の摂理を声高に語るとは、愚かしいにも程があります…弱肉強食とは題目として掲げるものでなく、夫々が生き足掻いた事で生まれる結果論に過ぎないのですから。
 即ち、意味合いは概ね「勝てば官軍」
それ以上の意味を求めるのなら…自然全てを支配下に置かんする傲慢と見做して抗わねばなりません」
 契約精霊たちが一斉に力を発動させ、火線砲が放たれる。
 『【星空の友達】/不完全な願望器』ヨゾラ・エアツェール・ヴァッペン(p3p000916)と『祈光のシュネー』祝音・猫乃見・来探(p3p009413)はそうしてできた敵の『穴』を抜けるべく、敵前衛部隊であるEXギルバディア及びEXグルゥイグダロスの集団へと突っ込んだ。
 これを穿つことができなければ敵指揮官へと到達できない。逆に言えば、こちらの敗北だ。
「交渉、成功したんだね…良かった。……って、思ってたのに。
 新皇帝派は空気の読めない馬鹿で、お姉さん(アミナさん)を泣かせるしか能のない害悪なんだね、わかった。
 僕も戦ってくるよ。難しかろうと全部殲滅してやる…馬鹿をぶん殴る道を作る!」
「見学に来てたんだけど……分かった事がいくつかある。
 皆のおかげで革命派とブラックハンズの交渉は成功したって事と……新皇帝派は交渉も派閥も汚すクソどもの塊だって事だ!」
 ヨゾラは相手を強く罵ると、『星の破壊』を発動させクローによって殴りかかるEXギルバディアと真正面からぶつかり合った。
「邪魔だ、愚行しか能のない害悪新皇帝軍が。とっととモリブデンから出てけ馬鹿!」
 ギルバディアとヨゾラを固体スペックで比較するなら、もしかしたらギルバディアのほうが上回るかもしれない。しかしハートの力や戦術といった総合的な強さでいえばヨゾラのほうが圧倒的に上だ。
 であるにも関わらず、EXギルバディアはヨゾラを受け止める形で互角に張り合って見せた。
 更にはEXグルゥイグダロスが両サイドから揺さぶりをかけることでこちらの防御を崩してくるのだ。
「強い……! 適切にカスタムされてる」
「あんな奴等に、誰も倒れさせないし死なせない……!」
 しかしこちらとて連携という強みはある。祝音の放った治癒の力が後押しとなり、二人はギルバディアたちの前衛部隊を突破した。
 それをフォローするように追いついてきたEX(装甲兵騎乗)ラルグが空中からの爆撃によって排除しようと試みる。
 が、擲弾が放られることはなかった。なぜなら――。
「此処はブランシュが抑えます! 後は任せましたですよ! お前達は救済出来ないので死をやりましょう」
 ビルの間を豪速で飛行する『航空猟兵』ブランシュ=エルフレーム=リアルト(p3p010222)がブラスターメイスによる射撃を浴びせたためである。
 空中では機動力は勿論回避能力も低下する。悠長に爆弾をぽいぽい落としながら飛んでいられる余裕はないということだろう。
(前に突っ込んで大将首を仕留める。そう考えれば楽なんですが……そうは行かなさそうですよ。此処は純粋なアタッカーの皆さんに任せて、ブランシュは出来る限り囮になる)
 銃座からの機銃射撃に集中するEXラルグとバチバチのドッグファイトを展開するブランシュ。そこへ複数のEXラルグが集まることで火力が集中し始めた。

 度重なる爆発。ズドンと鳴り響く砲撃と、命を顧みずに突進してくるモンスターによる前衛。
 百戦錬磨のローレット・イレギュラーズとて、この猛攻を凌ぐのは地味に難しかった。
 防御に優れた仲間が吹き飛ばされ、空中戦に強い仲間が追い詰められていく。中央突破だ、そのくらいのダメージは覚悟の上なのだが……。
「モンスターの一体一体が地味に堅いでありますな……戦えば戦うほどこちらが消耗するであります!」
 『宇宙の保安官』ムサシ・セルブライト(p3p010126)はコンバットスーツのヘルメットを一度外すと、額をタオルで乱暴に拭った。
 そしてタオルを放り投げ、ヘルメットを装着しなおす。
「宇宙保安官、ムサシ・セルブライト見参ッ! 新皇帝派! お前達の好きなようにはさせないでありますっ!」
 名乗ってしまえば覚悟は決まる。
 砲撃の中を、ムサシはまっすぐ突っ走る。
「必殺! ブレイジング…マグナァァァム!!!」
 放った正義の光が、EXギルバディアの胸を貫いた。

成否

成功


第3章 第3節

夢見 ルル家(p3p000016)
夢見大名
グドルフ・ボイデル(p3p000694)
イーハトーヴ・アーケイディアン(p3p006934)
キラキラを守って
ラムダ・アイリス(p3p008609)
血風旋華
陰房・一嘉(p3p010848)
特異運命座標
マリオン・エイム(p3p010866)
晴夜の魔法(砲)戦士

 前衛部隊を突破したことで、ついにEX(武装拡張型)ラースドールたちによる弾幕が浴びせられた。
 両肩にガトリング砲を背負ったEXラースドールによる鉛の雨。しかしそれを、キャンディカラーの魔術障壁が阻んだ。
 『オフィーリアの祝福』イーハトーヴ・アーケイディアン(p3p006934)のはめていた指輪によるものである。
「交渉のテーブルにつく能力は俺にはないけど、ここに居て良かったや
 ここに居たから――守るために戦える!
 行こう、メアリ! オフィーリア!」
 専用のアタッシュケースのロックが開き、バレエダンスを踊るように立ち上がるメアリ。
 腕に抱えたオフィーリア、彼にだけ聞こえる声で『気をつけてね』と囁いた。
「大切な友達の国を滅茶苦茶にしているような奴らに、目の前で好き勝手させてなんかやるもんか!」
 踊るメアリが次々に魔法の糸を絡めていく。
 それによって動きを激しきく制限されたEXラースドールめがけ、『咎人狩り』ラムダ・アイリス(p3p008609)が超高速で接近。いや、通過し、EXラースドールの肩に装着されていたガトリング砲を切り落とした。
 魔導機刃『無明世界』が黒い残光を描き、ラムダもまたギラリと振り返る。
「此処で軍事介入か……ボク的にはこっそり動向を見定めているだけのつもりだったのに…あれだね? なんというか無粋?
 それに、天衝種たちに武装を施すとか人的資源の消耗は避けられるかもだけどそれは流石に悪趣味じゃないかな~?」
 ゴウッと怒りの炎が燃え上がり、EXラースドールもまた振り返る。
 だが相手の攻撃が始まるより更に早く、ラムダはその腕を切り落としていた。
「濡れ衣で都市攻撃とか、アミナも市民も心が雨空になっちゃうよ!
 そんなの青空の精霊種、マリオンさん大激怒で許しません!」
「これ以上の蛮行は許されない。積み上げてきた物があるのだ、俺たちには」
 『嵐を呼ぶ魔法(砲)戦士』マリオン・エイム(p3p010866)の砲撃と『特異運命座標』陰房・一嘉(p3p010848)の繰り出す鋼の棍棒による打撃がEXラースドールを破壊。爆散させる。
「巨大怪鳥なら小回りや旋回性は、リトルワイバーン君の方が上だ! の筈! 多分、きっと!」
 マリオンは騎乗していたワイバーンに上昇を命じると、渦巻く嵐の力を指先に集めた。
 同じ高度にあわせてきたEXラルグからの機銃射撃。それをギリギリでかわしながら、マリオンによる荒ぶる雷撃が放たれる。
 その一方で、腕にドリルやチェーンソーを装着したEXラルグに囲まれた一嘉は猛攻をその肉体とガッツでなんとかはねのけていた。
「流石の戦力だな……ここまでか?」
「おいおい、二次会までよ付き合っていけよ」
 そこへ、『山賊』グドルフ・ボイデル(p3p000694)が豪快に乱入。斧によってEXラルグの上半身をぶった切るという形で破壊する。
 そして、手にしていたシンプルな斧を一嘉へパスした。
「しっかしあのグロースってガキ……矛盾だらけ穴ぼこだらけのクソみてえな言い訳だぜ。
 自分らは良いが、他の連中がするのは気に食わねえときたもんだ!
 こりゃ、駄々っ子と同じだね。
 ま、いいさ。痛い目ェみねえとわからねえってんなら、その鼻っツラをシバいてやるだけよ!」
 山賊刀を抜き、グドルフはチェーンソーで襲いかかるEXラースドールの攻撃を真っ向からはねのける。
「どんだけ群れても雑魚は雑魚だなあ!
 ちったあマシなオモチャ持ってきやがれ!
 まだまだ暴れたりねえぞ!!」
 そこへ更に、大量の宇宙手裏剣が突き刺さりEXラースドールを爆散させる。
(確かにこの会談は六派のイレギュラーズには周知の事実。
 ですが新皇帝派には当然伝えていないはず。
 監視もあるだろうとは言え……やはりどこか……あるいはどこにもスパイが入っていると考えるべきですか。
 ……いずれボリスラフ少佐に内偵を頼むことになるかも知れませんね)
 スタッと屋根の上に着地し、『離れぬ意思』夢見 ルル家(p3p000016)は周囲をくまなく観察した。
 革命派と新皇帝派の繋がりは……勿論、ないとはいえない。アラクランがその堂々とした例だ。
「やはり平穏無事に大団円とはいきませんか」
 どう考えても怪しい存在を、しかし排除できないのは、クラースナヤ・ズヴェズダーがそもそも『犯罪者であろうと同志であれば受け入れる』という姿勢を当初から貫いているためだ。それはローレットとて同じ事。
「『弱い者から奪わねば生きられぬ弱者の群れ』でしたっけ? 自己紹介お疲れ様でした」
 鋼糸を廻らせ、攻撃に転じるルル家。
 戦闘に加わろうとしたEXギルバディアたちを抑えこむと、後続の仲間へと呼びかけた。
「ルートを開きました。今です!」

成否

成功


第3章 第4節

ヴァレーリヤ=ダニーロヴナ=マヤコフスカヤ(p3p001837)
願いの星
シラス(p3p004421)
超える者
ンクルス・クー(p3p007660)
山吹の孫娘
楊枝 茄子子(p3p008356)
虚飾
ルブラット・メルクライン(p3p009557)
61分目の針
セチア・リリー・スノードロップ(p3p009573)
約束の果てへ

「会議については全く! さっぱり! 分からなかったけれど!
 今来た敵が無粋にも程がある事ぐらい私にも分かるわよ!
 人を害するなら、看守の出番でしょう?」
 EXラースドールたちの猛攻をくぐり抜けたイレギュラーズたち。
 ついに敵指揮官カール・バルク中佐の元までたどり着こうとしていた。
 『秩序の警守』セチア・リリー・スノードロップ(p3p009573)は豪快にムチを振るうと、カールを護衛していたEXラースドールたちを強引に振り払う。
「何でも暴力で解決なんて、看守である私が絶対に許さないわ!
 軍人も看守と同じく高潔さが求められるモノでしょう!? それを忘れた貴方達の思う様にさせるものですか!」
 そんなセチアのムチを掴んで止めたのはカール大佐の親衛隊にあたる精鋭帝国兵であった。
 ヘルメットとサングラスの内側から、憤怒に満ちた目が光る。
「……この力!」
 親衛隊の放つ波動によって吹き飛ばされるセチア。
 が、ギリギリのところで『純白の矜持』楊枝 茄子子(p3p008356)にキャッチされ、治癒の魔法をかけられていた。
「魔種の力を分け与えられているようですね。カール中佐本人は……違うようですが」
 茄子子はちらりと後ろを振り返る。ボリスラフの部隊がなんとか持ちこたえようと奮戦している様子が見えた。
 セチアや茄子子たちがカールをここで倒せるか否かが、この勝敗を分けるといったところだろう。
「『依頼』というならもちろん受けましょう。『報酬』、期待していますよ」
 あえて穏やかに笑う茄子子。
「正義を免罪符に自分の行いを正当化する輩が……いえ、私は嫌いじゃないですよ。そういうの。
 ですが、この場には相応しくない。
 ここでは力が全てなのでしょう。御託はいいからかかって来なさい」
 茄子子がセチアに魔法をかけると、枯渇しかかっていた力が蘇る。
 『これなら』とムチを握りしめたセチアは、渾身のパワーで親衛隊を払いのけた。

「静かに待つこともできないのかね?
 私は静観するつもりだったが、仕方ないな。どうやら相手は後世の歴史書で罵詈雑言を投げかけられたいようだからね」
 『61分目の針』ルブラット・メルクライン(p3p009557)は手袋をはめ直し、マスクの下でギラリと目を光らせた。
「フン、歴史は勝者が書くものだ。貴様等はせいぜい、見にくいゲリラとでも書いておいてやろう」
 カール・バルク中佐は専用のブレードアンテナがついたパワードスーツへと乗り込み、両肩からガトリングガンを展開。乱射しはじめる。
 ルブラットはその攻撃を――受けるかと思った矢先。『祈りの先』ヴァレーリヤ=ダニーロヴナ=マヤコフスカヤ(p3p001837)と『鋼のシスター』ンクルス・クー(p3p007660)が彼の前に躍り出た。
 銃撃を聖なる障壁によって防御。砕けた障壁を捨て、身構える。
「やって無い事をでっち上げて勝手な言い分で襲って来るなんて…悪い人だね!
 悪い人には天罰だよ!
 それに悪い事やって無いのにその罪を被せられるのは…単純にこう…感情が逆立つね!
 『皆に創造神様の加護がありますように』!」
 ンクルスは転がっていたパワードスーツの残骸に腕を突っ込むと自らの腕と接続。
「くらえっ、ごっとぱんち!」
 接続した空気を圧縮、爆発させパワードスーツの腕を発射。咄嗟に防御しようとしたカールだが、ルブラットが同時に発動させていた魔術によって足元から這い上がった結束ベルトがカールの腕や脚を拘束する。
「ぐっ……!?」
 スーツのパワーによって無理矢理振り払うカールだが、ンクルスのパンチをまともにくらって吹き飛ぶハメになった。
「正義? 貴方達が? 面白い冗談ですわね」
 メイスを握り、ゆっくりと歩み寄るヴァレーリヤ。
「貴方達っていつもそう。奪って殺して、良心の呵責なんて何も感じていないくせに、自分達に都合の良い時だけ、訳知り顔で身勝手な道理を押し付けてくる」
「同志ヴァレーリヤ……?」
 後ろで見ていたアミナが、ぽつりと呟いた。
 一方でヴァレーリヤは、感情を爆発させたかのように炎を燃え上がらせる。
「貴方達には何も渡しませんわ! この街も、人も、麦の一粒だって!主の御許へ送られたくなければ、退きなさい!」
「ひぐっ……!?」
 ヴァレーリヤのメイスが大上段から叩きつけられ、カール専用のパワードスーツが破壊される。バチバチと火花を散らし爆発四散するそのなかに……カールの姿はなかった。
「カール! どこへ!?」
「逃げたようだな」
 ルブラットが周囲を見回すと、武装したモンスター軍団も引いていくのが見えた。
「ともあれ、モリブデンは守れたみたいだ。ブラックハンズ隊にも大きなダメージはないようだよ」
 ンクルスが手を腰に当ててえっへんと胸を張ってみせる。
 ほっとした笑顔を見せるヴァレーリヤ。
 そして……。






「クソッ! 私は負けていない。負けていないぞ! こうなったら、アリーナを爆弾で吹き飛ばして! いや、子供に爆弾をくくりつけて走らせるか? とにかく、この私をコケにした報いを受けさせてやる! グロース将軍から賜ったモンスター部隊はまだ健在なのだ!」
「――それはどうかな」
 這々の体で撤退するカール・バルク中佐。その行く手には石の柱。
 背を預け、悠々と立っていたのは『竜剣』シラス(p3p004421)だった。
「貴様」
「見つけたぜカール、汚ねえ笑顔だ。街を踏みにじるのは楽しかったか?」
 舌打ちをするカール。だが周囲を護衛していたEXラースドールたちがシラスへと襲いかかろう――としたその時。
 突如無数の斬撃と銃撃が彼らを襲った。
 次々に爆発し戦闘不能となるラースドールたち。
 カールがハッとして周りを見回すと、そこには黒い軍服と仮面をつけ、両腕を黒い鋼の義手にした一団が立っていた。
「ブラックハンズ隊。密偵、暗殺、汚い仕事は得意分野らしい。あんたらが、そう作ったんだろう?」
 シラスが柱から背をはずし、カールへと歩み寄った。
 カールは彼の放つ殺気に思わずしりもちをつき、手をかざす。
「ま、まて! わかった。お前を雇ってやろう。少佐位につけてやるぞ。お前らもだブラックハンズ! 汚い仕事から卒業させてやる! 私のコネがあればそのくらい――」
「はは」
 シラスは抑揚なく笑いながら、カールの顔面を蹴りつけた。
 その一撃で吹き飛び、絶命したカール。
 シラスは仰向けに崩れた彼の胸を踏みつけ、苦々しげに顔をしかめた。
「アンタから受け取る未来なんかない。これから勝ち取っていくんだ。俺たちの未来をな」

成否

成功


第3章 第5節

 こうして、ブラックハンズ隊と革命派の交渉は成功した。
 ギア・バジリカに存在していたという改造装置。としてブラックハンズによる協力体制がもたらしたのは、革命派の大きな軍事力と生産力、そして技術力へと結びついた。
 そして同時に、革命派にとっての敵の姿が、おぼろげながら見え始めたのである。

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