シナリオ詳細
<夏祭り2018>夏の思い出
オープニング
●ホットサマー
ザザァ、ザザァ──
波の音が聞こえる。
『ロマンチストな情報屋』サンドリヨン・ブルー(p3n000034)は照りつける太陽の光に目を細めながら一人、海の音を聞く。彼は強面の情報屋で純白のドレスを身に纏う。
「ふふ、とても綺麗ですね……」
サンドリヨンは白い砂浜に落ちた貝殻を拾い息をそっと漏らした。真っ青な海には魚が泳ぎ、空には綿雲が広がる。
(良い天気です。夏は何だか、ワクワク致します)
サンドリヨンは振り返り、財産家のフィーネ・ルカーノをそっと見つめる。
●サマーキャンプ
ギルド『ローレット』でイレギュラーズ達はサンドリヨンをまじまじと眺めている。
「???????」
(純白のドレス? この暑さでドレス……いや、そもそも、何でドレスなの?)
首を捻るイレギュラーズ達を一瞥し、サンドリヨンは楽しそうにクレヨンで絵を描き始める。
「眩しい太陽、そして海……」
サンドリヨンは呟きながらクレヨンを両手で握り、「あ、水着も忘れてはいけませんね」と笑う。
「???????」
(何だろう、とても楽しそうなんだけど……)
その様子を無言で見つめるイレギュラーズ達、数分後──
「はい、出来ました。美しい海を楽しむ皆様です」
サンドリヨンは下手くそな絵を掲げ、にっこりと微笑んだ。イレギュラーズ達は驚愕する。
(え、ええ?????? なんだ、これは……????)
「僕にしては意外と上手く描けました」
サンドリヨンは得意げな顔をする。
「え、あの……その……絵は兎も角……今回の依頼は何でしょうか……?」
イレギュラーズの一人が困り顔で挙手をする。途端にサンドリヨンは目を丸くし気が付いたように顔を赤らめる。
「あ、ごめんなさい。今回は……え、今回も? いえ、何でもありません。財産家のフィーネ・ルカーノさんのご依頼で、いつも、お世話になっているイレギュラーズの皆様に夏を満喫して欲しいとのことです」
サンドリヨンは指先で顔の傷痕をなぞり、イレギュラーズ達は目を輝かせた。
「所謂、プライベートビーチでサマーキャンプを楽しんで欲しいとのことです。とても、素敵な依頼だと思います。さぁ、皆さん、夏を楽しみましょう! ちなみに、僕もコンダクターとして同行させていただきますので宜しくお願い致します」
サンドリヨンはイレギュラーズ達に笑顔をみせ、その瞬間、イレギュラーズ達は歓喜の声を上げた。
- <夏祭り2018>夏の思い出完了
- GM名青砥文佳
- 種別イベント
- 難易度VERYEASY
- 冒険終了日時2018年08月01日 21時05分
- 参加人数30/30人
- 相談7日
- 参加費50RC
参加者 : 30 人
冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。
参加者一覧(30人)
サポートNPC一覧(1人)
リプレイ
●
イレギュラーズ達は熱い砂を踏みしめ笑う。そう、特別な日が始まったのだ。
真っ赤なカヤックと金色のカヤックが揺れる。
「あの岩まで行ってみないか?」
クロバは指を指し、エリーナが頷く。
「確か、パドルを左右交互に漕いで動かすのでしたね。よいしょ。あっ! 結構、真っすぐ動かすのが難しいですね……」
パドルを動かす度、カヤックはその場で踊り、エリーナの妖精が忙しなく飛び回る。
「うう、進みません」
悪戦苦闘するエリーナ、クロバは目を細めた。
「え、どうして前に進むんですか?」
「ん? まぁ、二刀を扱っていればそれなりに、な」
クロバは言い、エリーナに助言を一つ。
「……前に進むようになってきたな」
「はい。やっとコツがつかめてきました。クロバさん、ありがとうございます……」
エリーナはへとへとだった。それでも、目の前には岩。クロバが頷く。
「まぁ、水の中はダメだが水面を眺めながら、ってのも悪くはないな……ん?」
クロバは見た。水面に浮かぶ青紫色の美しい花を──
掴み、そっと手渡す。エリーナは驚きながら、蔓荊の香りに目を細め、嬉しそうに微笑む。
ポテトとリゲルは海を見つめている。
「リゲル」
「うん?」
リゲルは首を傾げる。ポテトはリゲルの手を握り締めた。
「リゲルと一緒に泳ぎたいな。でも、泳げない。だから……リゲル、泳ぎ方教えて欲しい」
「うん、そうだな。一緒に泳ごう」
リゲルは微笑んだ。
「大丈夫。ゆっくりやろう」
ポテトの両手を握ったまま、リゲルは浅瀬から遠ざかる。ポテトが両足で水音を生む。
「顔を水につけてごらん」
ポテトは頷き、息を止める。リゲルの足元には小さな魚。ポテトは顔を上げる。水飛沫にリゲルが笑う。
「ポテト、行こう?」
リゲルは片手を伸ばした。ポテトは手に触れ、海に潜る。真っ青な世界。光が揺らめく。口から小さな泡が漏れ、空に向かう。手が離れた。ポテトはリゲルを追う。覚えたてのクロール。息継ぎと同時にポテトはリゲルに抱き着いた。見つめあう。
「今日はリゲルのお陰で沢山楽しいと嬉しいがいっぱいだ。有難う……」
ポテトはにっこりと笑い、キスを贈る。
「へへ、しょっぱい」
「だな……こちらこそ楽しいひと時を有難うな!」
リゲルは頬にキスを返し、海の味に笑い合う。
浜辺にはアリスターとイザーク。イザークは人型。水着に、お洒落な掃除機を背負う。イザークは張り切っている。潮干狩りをするらしい。
(アルの初めてを、恋人として格好よくエスコートするチャンス。絶対モノにしないとね!)
一方、アリスターは──
(社畜体質のイタチちゃんが言われずとも仕事の持ち込みなしで自分から遊びの計画を立てるとは、大いなる成長だなあ……)
感心している。
「え、アルが僕を見てる!? 頑張らなくちゃ!」
数分後──
「暑い……しかも背中のタンクが重い……あっ、また掃除機が詰まっちゃった!? アル! 助けてーー!」
「うーん、掃除機は面白い着想だけど砂や水もいっぺんに吸っちゃうからねえ」
アリスターは熊手で砂を掘る。
「ほら、イタチちゃん。一個見つけたよ」
「え、嘘! あ、あった!」
イザークは熊手で貝を掘り出す。ともに海で身体を冷やしながら──
「へへ、美味しいね!」
イザークは特製の冷製スープを飲み、微笑む。
「そうだねえ」
アリスターはスープを飲みながらスープに浮かぶ貝をスプーンですくい、イザークの口に放り込んだ。
バーベキューコンロが見えた。
「え、この野菜とお肉……自由に食べて良いんですか……!?」
驚く九鬼の手にはトング。隣には衣。
「そうみたい。九鬼は何がすき?」
「好きな食べ物……ですか? ええと、ガッツリ食べれるものでしょうか……! え、九鬼って?」
「解った……ん。九鬼のほうが呼びやすいから。九鬼って呼ぶ」
「そうですか」
九鬼は嬉しそうに笑い、「あ、お洒落な見た目のも好きですが……!」と付け加える。衣は九鬼の刀について訊ね、九鬼は言葉を返す。
「あ、焼けた。食べてみて」
衣がカルビを載せる。甘い脂の香り。
「ありがとうございます。ん~、あ~! 美味しいですね!」
衣の皿にステーキを載せる。
「ありがと……美味しい」
満腹になり、九鬼と衣は泳ぐ。
「わぁ、衣さん、泳ぐの早いですね……!」
すいすいと犬かきで進む衣。
「泳ぐのは結構得意だから」
(でも、他の泳ぎ方は……)
「そうなんですね」
(紛れもなく、わんこだ……!)
「私もそっちに……って!?」
九鬼は水中で転ぶ。
「大丈夫?」
「あー、ドジっちゃいました。でも、冷たくて最高です!」
九鬼は衣に笑いかけた。
ユーリエは水着姿ではしゃぐ。
「わー! 夏だ~! 海だ~! ねぇねぇ、えりちゃんも一緒におよ……って、えりちゃんは吸血鬼だから直射日光も海もあぶないよね」
「大丈夫よ、多分」
エリザベートは微笑む。
数分後、ビーチパラソルの下でユーリエとエリザベートは指先を絡め、砂に横たわる。
「はぅ……可愛い……えりちゃん……白い肌に黒の水着はすっごく似合ってる! いつ見てもスレンダーで……あっ! 目線がやらしくなってたかな、ごめんねっ」
「ユーリエはえっちと改めて認識しておきますね」
ユーリエは驚き、立ち上がる。エリザベートは笑う。
「そうだ、私の水着も似合うかな? リボンもちょっと変えてみたんだ~」
ユーリエは魅せるように回る。
「ええ、とっても。ユーリエは何を着ても可愛いですよ」
エリザベートは耳元で囁き、夜を待つ。
●
アランは口笛を吹き、釣竿を大きく振る。ビーチから少し離れた所で水着、アロハシャツ、麦わら帽子を被る。
(桟橋にビーチパラソルとビーチチェアを設置したのは正解だった)
ビーチチェアに寝転がる。
(たまには一人も良いな)
砂浜からの喧騒が風の音と混ざる。
「しかし一年か。早ぇーなぁ……」
(ここに来て色々あったがもうそんなに経つのか)
「! 来た来た来た来たァァ!!」
水飛沫。視線を落とす。
「これ食えんのか……?」
ワームのような魚、細い触手。アランは魚を海に還し、釣り糸を垂らす。
木陰のハンモックが揺れる。ランドウェラは目を細めた。夏の光が鮮明に飛び込んでくる。瞳には夏を満喫するイレギュラーズ達。足音。
「ハンモック、とても気持ち良さそうね」
玲奈が笑う。その手にはシュノーケリング。
「そうだね。でも、いつも通りの服装できたら結構、暑くて暑くて」
ランドウェラは苦笑する。
「そう。なら、一緒にどうかしら?」
「海に?」
水着は持ち合わせていない。それでも──
依頼は全力で夏を楽しむ事。ならば。
ランドウェラは飛び降りる。動かない右腕をだらりと下げ、ランドウェラは玲奈と歩き出す。
ランドウェラと浅瀬で遊んだ後、玲奈は海を泳ぐ。足元にはサンゴ礁、光がカーテンのように揺れる。玲奈は目を細めた。
(わっ、とっても綺麗……)
魚の群れが颯爽と青い海を泳ぎ、すぐに小さくなる。岩の隙間には真っ赤なウツボ。近づくとウツボは奥に消えていった。玲奈は水を蹴った。その度にこぽこぽと音が鳴る。玲奈は泳ぎ、美しい曲を思う。歌詞が次々と浮かんでいく。
(夕食のときには浜辺で素敵な歌を歌ってみようかしら)
波の音、釣り具が揺れる。
『揃えてあるものはどれも高級品だな』
「そうね、幻想で資産家なんてやってるんだからそう簡単に落ちぶれたりしないでしょうよ」
スペルヴィアとサングィスは笑う。集められた食材、その全てが見慣れぬもの。
『だろうな。それにしてもこんな依頼』
「まぁ、折角招待されたのだからのんびりさせてもらいましょう」
『はっ、壮健そうで何よりというやつか』
スペルヴィアは見上げ、その瞳にサンドリヨンを映す。
「ルカーノに渡せるなら渡しておいて」
『無理ならば焼いてもらって構わない』
サンドリヨンは手紙に触れ、微笑む。傲慢で美しい女は何を思うのだろう。
アロハシャツに短パンとグラサン、そして、麦藁帽子。ゴリョウは夏の釣りを楽しんでいる。座っているのはゴツゴツとした岩場。強い風。
「おっと、あぶねぇぜ!」
片手で豪快に帽子を押さえ、笑う。糸が動く。
「あ、来たか?」
引き上げるが獲物はいない。大きな欠伸し頬を掻く。竿を振る。心地よい水音。明るい喧騒とはまた違う、のんびりとしたひと時。クーラーボックスからビールの入った水筒を掴み、傾ける。
「くっは! キンキンに冷えてて最高だぜ! 暑い日のビールはなんでこう、旨いんだろうなぁ」
口元の泡を太い腕で擦り、笑う。
「!!」
竿を引く。そこには巨大なロブスター。
「でかいな、バケツに入るのか。これ……」
紫色のロブスターを片手で掴み、クーラーボックスに押し込む。
「これでよしと。あん?」
にやりと笑う。そこにはゆっくりと歩くランドウェラ。
「ほら、持って行きな。バーベキューなら一緒に焼いてくれるだろうよ」
ゴリョウは笑い、クーラーボックスごと押し付け、また釣りを再開する。
「プライベートビーチなんて、贅沢だなー」
眺めた景色はどれも宝石のよう。マルクは胸を踊らせる。
「僕も一人で来てるから、良かったら一緒に回らない?」
視線の先にアグライア。アグライアは浮き輪で浅瀬に浮かぶ。
「え、私ですか?」
「うん、良ければだけど」
アグライアの耳が揺れる。笑み。二人はシーカヤックに乗り込む。揺れる水面は穏やかで、魚達が優雅に泳ぐ。アグライアが指を指す。
「あ、あそこに!」
「凄い、本当に寄ってくるんだ」
海亀はすぐに消える。マルクはスペルヴィアを誘い、アグライアとともにバーベキュー。敷き詰められた海の幸。焼いた帆立貝にバター、焼いた海老には岩塩。
スペルヴィアと呪具は絶賛しマルクは微笑む。
「あれ、食べないの?」
「あ、私は野菜を……」
アグライアは言った。
「そうか、野菜も食べないとだよね。待ってて!」
マルクは走り、アグライアの為に大量の野菜を網の上で焼き始めた。クーラーボックスを持ったランドウェラが静かに合流する。
幻は白いビキニを纏う。その顔は赤く染まっている。
「ひゃっはー!」
ジェイクが駆け、海に飛び込む。水飛沫が幻の足元を濡らす。幻は目を細めた、子供のようにはしゃぐジェイク。
「幻、おいで。シュノーケリングをしよう」
水を滴らせ、ジェイクが笑う。幻は微笑み、海に飛び込む。
「ジェイク様」
「おっと!」
ジェイクは幻を抱き締め、幻の額に口づける。幻は恥ずかしそうに目を伏せた。
「と、ところでジェイク様の仰るシュノーケリングとは一体?」
幻の言葉にジェイクは得意げに笑う。
幻とジェイクは泳ぐ。瞬く間に地上の音は消え、光が海を柔らかく照らす。不思議な感覚。突然、色鮮やかな魚達が、ドレスのようなその身を誇らしげに揺らす。ジェイクが驚きながらすり抜けていく魚に手を伸ばした。
だが、ジェイクが触れたのは幻の温かな手。幻はかぶりを振り、手をそっと押しとどめる。ジェイクは目を丸くし、ふっと笑う。美しい魚達をみれただけで十分、そんな幻の思いが伝わったのだ。
泳ぎ終えた二人は、浜辺で落ちていく夕日を静かに眺める。
夕暮れ時の海岸にヴィノとリェーヴル。
「どうかな? ヴィノ。僕の水着姿は」
「ノワ、随分と大胆な水着姿だな。他の男の視線に晒したくは無いと思ってしまう程綺麗だ」
ヴィノは微笑み、リェーヴルを抱き寄せた。リェーヴルは息を吐く。
「君の口説き文句は心地よいけれど、願わくば僕だけにその言葉を向けて欲しい所だね」
そうやって他の女をも口説くのだろうか。
「ノワ?」
甘い声、リェーヴルははっとする。
「そうだ、向日葵の花言葉を知っているかな?」
「向日葵か。はて、何であったか」
「……解らない? そうか、君にも解らない事があるんだね。なら、教えてあげるよ」
リェーヴルはヴィノの腰に手を回す。唇を耳に寄せ、言葉を紡ぐ。ヴィノはリェーヴルを見た。
「君の瞳も僕だけを写してくれると嬉しいな? ヴィノ」
両手でヴィノの顔を包み込み唇を重ね、向日葵に似た笑みを浮かべた。ヴィノは目を細める。
「君の望みとあらば叶えぬ訳には行くまい。それに……」
口づけをかわし、ヴィノは笑う。
「我が心も奪って行ってくれるのだろう? 愛しき怪盗よ」
ヴィノはリェーヴルの手を掴み、自らの心臓に触れさせる。
●
星が瞬き、美しい歌声が波に溶けていく。
肉の音が聞こえる。月は海を見つめ、肉を焼く。
「そろそろかな。あれ、真っ黒だ……いつの間に?」
肉は黒い煙を吐く。トングの先端で突くと──
「……硬い。まぁ、少しこんがり焼け過ぎたぽいけど勿体無いから食べよう。味は悪くないんじゃないだろうか。元々、上質なものだし……にが」
肉を食べるのを止め、持参したマシュマロを焼く。バーベキューの〆はやっぱりマシュマロ。ぱくり。甘くてほろ苦い。月はその美味しさに微笑む。
ネズミ花火が辺りを白く煙らせる。
「小さいのに凄い威力」
メルトは呟いた。
「僕もいいかい?」
水着姿のクリスティアンがきらびやかに登場する。メルトは頷き、クリスティアンが火を点ける。
「美しい! こちらの花火もとても綺麗だね!」
クリスティアンは優雅に微笑み、はっとする。光が赤から緑に変わりはじめる。
「どうしたの?」
メルトがパラシュート花火に火を点けた。
「そう、花火を両手に持って……」
「回すとか?」
花火が吹き上がっていく。
「いや、踊るのさ!」
「え、熱いとおも──」
メルトは言うが、クリスティアンは情熱的に踊り始める。
「ああ、やはり煌めいてなんと美しい事か! さぁ、見たまえ諸君! 僕の煌めく美しい舞を!」
両手の花火が激しく吹き出す。案の定、舞った火の粉が──
「アッ、アツ 火花が肌にッ!! アツツツツツ!!!」
(くっ、今更気が付いてもここで手放すわけには……! 皆に花火が……! はっ!)
クリスティアンは花火を両手に持ったまま、走り出す。危ない。
「海だああああーーーー……」
クリスティアンは水柱を生む。その瞬間、色鮮やかなパラシュートがひらひらと落ちていく。
零夜は霧玄を見つめ、にかりとする。
『よぉ、霧玄! プライベートビーチなんて、最高だぜ。夏場にはぴったりだな』
『うん、零ー! 冷たいよー! ひんやりして気持ちいい!』
二人は浅瀬で海を楽しむ。
『なら、もっと冷やしてやる!』
零夜は霧玄に水をかける。
『零~! えいっ!』
『おいおい、蹴り上げるなんて卑怯だぜ』
『え、最初に水をかけたのは零だよ!』
『あ! 霧玄、魚だ!』
零夜の言葉を聞き、霧玄は走る。
『そんなにはしゃいで転けるなよ!』
『転ばないよ!? って…うわぁぁっ!? もう、笑わないでよ!』
水を滴らせ、霧玄は膨れっ面になる。ふと、綺麗な貝殻。零夜と霧玄はガラス玉に似た貝に手を伸ばす。
佐那はアマリリスと手持ち花火を見つめる。
「打ち上げ花火なら見た事はあるのだけれど……こういう手軽な花火は、私も初めてね」
「花火ですか、打ち上げるものとは別にあるものなのですね。佐那さまっ、知ってますかっ! 確かこの先端に、火を点けるといいみたいです」
アマリリスはドヤ顔をする。
「ふふ、えぇ。どうやらそうみたいね?」
佐那はアマリリスの表情にくすりと笑い、火を点ける。その瞬間──
「はわわ! 今思い出しましたが、私、火があまり好きではないのです……が! こ、これも経験ですね!」
「あら、そうだったの? 意外な一面……まぁ、大きな火では無い様だし。大丈夫かしら……?」
アマリリスはそっと火をつけ、すぐさま、花火を放り投げた。佐那の背に。
「発火物は矢張り危険ですッ! 何故火を噴きだすものが玩具なのでしょうか」
「あはは、厳しそうね。でも、まぁ、綺麗だし、人に向けなければ安全だから……ね?」
佐那は手持ち花火をじっと見つめ、線香花火をアマリリスに手渡す。アマリリスは恐る恐る火を付け、うっとりと光を眺めた。佐那は微笑む。
「あ、火の玉が落ちちゃう あちっ!」
アマリリスは叫んだ。
「……意外と抜けてる、というか……素手じゃそりゃあ熱いわよ、もう。大丈夫?」
佐那は困った様に笑いかけ、「ほら、冷やしに行くわよ?」とアマリリスの手を取り、海に向かう。
エリザベートとユーリエは線香花火を行う。ユーリエは同じタイミングで火の玉が落ちればと願う。だが──
悔しがるユーリエ。エリザベートはまた、ともに灯せばいいと笑う。
花火の音がする。そこには浴衣を着たアンナと、ルルリア。
(長いようでとてもあっという間でした)
ルルリアは思う。手元花火が光を放ち、ゆっくりと消える。
「じゃーん! 花火の〆はやっぱり線香花火です」
「線香花火? そう、あれだけ色々と花火をして最後はこんなに小さな火花で締めるのね」
アンナの言葉にルルリアは頷く。
「綺麗。だけど……見ていると少し寂しくなるわ」
「来年もまた一緒に遊びに来ましょう。今度は大きな打ち上げ花火でもしましょう!」
「ルル……あっ」
ぽとり。
「消えてしまったわ」
アンナはしゅんとし、ルルリアの手を取る。
「あの……少しだけ、星を見ていかないかしら?」
線香花火の終わりは、特別な日の終わりを告げるようで。
「ふふー、アンナは寂しがり屋さんですね!」
「別に、寂しがり屋なんかじゃ……」
「では夜の浜辺をキュートな狐さんがエスコートするのです」
ルルリアはアンナを引っ張っていく。アンナはひょこひょこと動く尾を見つめながら繋いだ手に力を込める。
手の温もりが、この時間が続く事がとても嬉しくて、つい頬が緩んでしまう。
(ああ、幸せ過ぎて困ってしまうわ)
アンナは目を細め、静かに笑う。
成否
成功
MVP
なし
状態異常
なし
あとがき
皆様、ご参加いただきましてありがとうございました。青砥です。プライベートビーチでのサマーキャンプはどうでしたか? 白紙以外は全員描写しておりますので、何かございましたらお知らせください。わたくしとしましては、リプレイを書きながら至極、ワクワク・ドキドキ致しました!
とても素敵なプレイングをありがとうございました。 皆様にとって素敵な思い出になりますように。
では、少しでも楽しんでいただけましたら幸いです。 また、皆様とお会いできますことを。
GMコメント
ご閲覧いただきましてありがとうございます。
さぁ、夏を満喫してください! ちなみに天候は崩れません。そして、NPCであるサンドリヨン・ブルーがシナリオに同行致します。
●依頼達成条件
プライベートビーチでサマーキャンプをし、夏を満喫すること。時刻はお昼過ぎから就寝までです。
●依頼人
フィーネ・ルカーノ 女性で財産家。日々、刺激を求め様々な国に出入りしています。あちこちに恋人(性別問わず)がいます。日頃の感謝を込めてイレギュラーズ達をプライベートビーチに招待しています。
●場所
フィーネ・ルカーノ所有のプライベートビーチ
白い砂浜、真っ青な海です。釣り、シュノーケリング、カヤックなど様々な遊びが出来ます。サマーキャンプに必要なものは全て、フィーネ・ルカーノが準備しておりますのでご安心を。木陰にはハンモックがあります。簡易シャワー、トイレ、寝袋とテントもあります。手持ちの花火セットもあります。飲み物はノンアルコールとアルコールがあります。ただ、同行者のサンドリヨンはカクテルを作ることは出来ません。バーベキュー(バーベキューコンロは沢山、用意されています)が出来るよう、大量の野菜と肉が準備されています。
------------------------------------------------
楽しみ方は無限にございます。皆様、素敵な夏の思い出を。アドリブを入れると思いますがNGの際や注意事項がございましたら必ず、明記ください。*依頼人のフィーネ・ルカーノは登場致しません。
Tweet