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シナリオ詳細

<Scheinen Nacht2021>華は透き通り、天を仰ぎ

完了

参加者 : 30 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング


 ――しゃららららら……

 涼やかな音が鳴る。
 風が吹き抜ける度、透き通った葉が、花が触れ合って、小さくきん、と音を鳴らす。
 無数のそれらが重なり合い、しゃららら、とまるでツリーチャイムのように合唱する。
 其れは解けぬ冰の花。僅かに曲がる茎は折れそうに細く、けれど強靭にまるい花を支える。
 其れはいつ咲いたのか。いつ枯れるのか。
 誰も知らない。
 気付けば其処に咲いていた。きっと春が来て人々が天を見上げた一瞬のうちに、消えて去るのだろう。

 此処は幻想の外れ、山岳地帯の麓。
 寒風が吹きすさび、硝子の花がさざめく。
 其の花を手折るなら気を付けて。割れた破片で手が傷付いてしまうだけかもしれない。
 もし花を手に入れる事が出来たなら――大事にしてね、と花が煌めくだろう。
 其の花が最も美しいのは夜。月と星の灯りを一身に受けて、彼らは硬質な花弁を優雅に輝かせる。



「輝かんばかりのこの夜に!」
 リリィリィ・レギオン(p3n000234)は桃色の瞳を細めて、ローレットのカウンターに肘をついてひらひらと手を振る。そうして黒いマントをひらりとはためかせると、彼の使い魔が一匹其の黒から現れて、白く細い指先に留まった。愛でるように彼を眺めた後、イレギュラーズにリリィリィは視線を戻す。
「確か、この夜には有名な御伽噺があるんだよね。懐かしいなあ、何度も聞いたっけ。何度聞いても素敵な話だなあって思うよ。其れでね、シャイネンナハトの気配につられたのかしら、グラス・ブーケが今年も現れたんだけど――」

 ……?

 不思議そうな雰囲気に、リリィリィが逆に不思議そうに一同を見回す。そうして、首を傾げた。
「あれ、知らない? あのね、色んな国を渡り歩く花畑の事。――そうかぁ。短命の君たちは追う余裕なんてきっとないのね。其の花畑はね、硝子で出来てるの。だから、“硝子の花束(グラス・ブーケ)”って呼ぶのよ」
 今年は此処! と、リリィリィはピンクのペンで幻想山岳地帯に大きなハートを付ける。
「結構広範囲に咲いてるけど、麓だからそんなに厳しい立地ではないよ。見付けてくれたのはこの子。偉いでしょう」
 そこでリリィリィは、指に止まっていた蝙蝠の影を示す。自慢げに羽撃くと、蝙蝠の影はマントの中に消えていく。
「多分冬の間は其処で過ごすつもりだろうから、見に行ってあげてよ。花は見られてこそだし、何よりとても綺麗だから、君たちの心を癒してくれるよ」



「で? 君もいくの?」
「行くよ」
 リリィリィが振り返ると、スケッチブックに視線を落としていたグレモリー・グレモリー(p3n000074)が視線を動かさぬまま言った。
「硝子の花。興味深い。硝子を描くのは技術がいるから、腕を磨くのに丁度いいね」
「君は本当に絵の事しか考えないねえ。ま、別にいいけど。僕も久し振りにグラス・ブーケを見に行くつもりだし」
 前に摘んだ奴、割れちゃったから。
 リリィリィはそう言うと横に置いていたワイングラスを取って、中身のトマトジュースを煽った。

GMコメント

 輝かんばかりのこの夜に!
 こんにちは、奇古譚です。この度は硝子の花が咲きました。

●目的
 硝子の花畑(グラス・ブーケ)に行ってみよう

●立地・出来る事
 幻想の山岳地帯の麓です。
 混沌各地を渡り歩き咲き誇るというグラス・ブーケが、冬の間は此処に留まる事になりました。
 耳をすませば硝子の花弁や葉が触れ合う、しゃららら、という音が聞こえるでしょう。
 また、誰のものでもないので摘む事も出来ます。ただ、怪我には気を付けて、

●NPC
 頼めば来てくれるかもしれません。
 リリィリィは懐かしいなあと花畑を見て回り、グレモリーは其の透明感に苦心しながらもスケッチしています。
 また、各国の偉い人も頼めば来てくれるかもしれません。

●注意事項
 迷子・描写漏れ防止のため、同行者様がいればその方のお名前(ID)、或いは判るように合言葉などを添えて下さい。
 また、やりたいことは一つに絞って頂いた方が描写量は多くなります。


 イベントシナリオではアドリブ控えめとなります。
 皆さまが気持ちよく過ごせるよう、マナーを守ってお花見を楽しみましょう。
 では、いってらっしゃい。

  • <Scheinen Nacht2021>華は透き通り、天を仰ぎ完了
  • GM名奇古譚
  • 種別イベントシナリオ
  • 難易度VERYEASY
  • 冒険終了日時2022年01月12日 22時05分
  • 参加人数30/30人
  • 相談7日
  • 参加費50RC

参加者 : 30 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(30人)

十夜 縁(p3p000099)
幻蒼海龍
【水月】

しゃららら
風が吹く度に流れる音に潮騒を思い出す

「……旅する花畑とは、なかなか風情があっていいねぇ」

暫し閉じていた目を開けて隣を見やると
同じように目を閉じる蜻蛉の横顔
艶やかな黒髪から覗く人間の耳
風が乱した拍子に隠れそうになるそれに手を伸ばす
無意識のまま髪を耳にかければ
――柔らかさと熱が、指先に触れて

「珍しいというか…まぁ、俺にはねぇモンなんでな」

形と感触を指先でなぞる
変化を解いた自分の耳は触ったことがあるが…やっぱり違う
だからどうにも不思議に感じちまう

「っと…すまん、嫌だったか」

いつもと違う様子に慌てて手を離す
顔が赤いような、どこか拗ねているような
身体冷えちまったか?なんて的外れな心配を
シキ・ナイトアッシュ(p3p000229)
スナーク・イーター
ハンス(p3p008418)と同行
氷じゃなくて硝子の花なんだ。綺麗だね!
花畑に膝をつき、そっと一本手折る
「ふふ、砕いちゃいそうでちょっと緊張しちゃうよねぇ」
手折った花のカケラで指先から血が垂れるけど気にしない
大切そうに撫でてから、はい、とハンスに差し出してみる

花とハンスを見比べて笑ってみせて
「光を受けて、反射して、一生懸命輝いて。そういうとこがさ、ハンスに似てるかなと思ってさ?」
そんな君がずっとずっと眩しくて仕方ない、なんて。私の勝手な意見かもしれないけど。

よかったら一緒に来てくれたお礼にもらってよ。そんで君の思い出にして!
来年も一緒にこういう思い出を作っていけるように、私頑張っちゃうからね!
エクスマリア=カリブルヌス(p3p000787)
……私も待っている
硝子の花とは、なんとも美しい、な。香りは、楽しめなさそうだが。
それに、触れるだけで壊れてしまいそう、だ……試しに、やってみる、か。
花を摘んで遊ぶなど、どれほどぶりだろう、な。


・硝子の花を集めて花冠を編んでみます。
失敗するかもしれないけど、何度でも挑戦して素敵な花冠を編み上げてみせます。

出来上がったら頭に載せて、失敗して割れてしまった硝子の花弁を集めて鏡の代わりに。

今だけは、何処の国の貴族も王族も持っていない、世界に一つだけの冠を被ったお姫様。なんて。

マルク・シリング(p3p001309)

リンディスさん(p3p007979)と一緒に。

触れたら壊れてしまいそうな硝子の花。
「まるで地上の星、みたいだね」
花を終えたら、次はまた違う地で芽吹き花を咲かせる……過ぎ去ったら戻らない所は、時間の流れを思わせて。

指先でちりん、と花弁を響かせて。
「儚いからこそ、愛おしい、守りたい、って思うんだろうね」
この世界がそうであるように。この時間がそうであるように。

「輝かんばかりの、この夜に……今年も一年、ありがとう、リンディスさん」
君がいたから、ここまで来れたって思う。
このグラス・ブーケのように、ある日、君が居なくなることを想像してしまうと……とても、怖い。
だから、失いたくないんだ。絶対に。
ウォリア(p3p001789)
終縁の騎士
リサ・ディーラング(p3p008016)と

先日はオーロラを見に行った…今回は大地を彩る美しき花を見に行こう
月明かりに輝き、風に揺れて奏でる音すらも美しい…良い光景だ

身体は頑強な鎧、そして血は燃え滾る炎
ゆえに己は破片で傷つく事など無い
だが逆に、僅かな力加減の間違えで繊細な花は粉々に砕ける…扱いには注意せねばな

細心の注意を払いながら、少し背が高めの摘みやすい一輪へ___そっと、鋼の指を添える
上手く手折れたその時は、共に歩む彼女の手に優しくその一輪を手渡そう

___輝かんばかりのこの夜に。
相変わらず馴染みは無いが、悪くない文言だ…

…一番輝いているのはお前と共にいるこの時間なのだが、とは流石に言えんな…
アルテミア・フィルティス(p3p001981)
プロメテウスの恋焔
同行タグ:【風焔(2人)】

ウィリアムさんと共に、夜の花畑を眺めつつ散歩よ
聖夜の月明かりに照らされた“硝子の花束”はとても綺麗で、花々が奏でる音色はとても心地が良いわ……
「ウィリアムさん、一緒にこの景色を見れてとても嬉しいわ。」
お見合の事もあって、こうして一緒に過ごす事は徐々に出来なくなるかもしれない事を思うと胸がチクリと痛む
でも、だからこそ“今”を大切にしたいから……

穏やかな時間を過ごした後、花をプレゼントしあう事を提案
私はほんのり青を帯びた“硝子の花束”を1つ、鉢植えに植え替えて彼へプレゼント
きっと、この花と共に今日の思い出も色褪せる事なく、心の中で煌めき続けるわ

「輝かんばかりのこの夜に!」
ルーキス・グリムゲルデ(p3p002535)
月夜の蒼
【同行者】
ルナール・グリムゲルデ(p3p002562)

不定期に移動する硝子の花畑か。
混沌は面白いねぇ、なんでも出てくるんだから。

「おぉ、本当に硝子だ」
「夜なのも相まって綺麗だね。月明りで良い具合にきらきらしてる」

るんるん気分で折角の記念だし硝子の花を一輪採取、布に包んでしっかりと保護しよう。

「よーし思い出確保」
「次にいつ見れるか分からないからね。忘れないようにだ」

終わったらルナール先生としっかり腕を組んで。
2人で硝子の花畑を楽しもう。

「観光も勿論楽しいけど」
「愛しの旦那様と一緒に見る景色が一番好きだぞ」
「さー、折角だし綺麗に見渡せそうなところでも探そうか!」
ルナール・グリムゲルデ(p3p002562)
紅獣
【同行者】
ルーキス・グリムゲルデ(p3p002535)

流石混沌、何でもあるな?
あぁ、だが硝子の花は俺も興味があるし面白そうだ。

「硝子の花も綺麗だが、ルーキスの方が綺麗だぞ」
「うちの奥さんは月夜が良く似合うしな」
花の採取をしているルーキスの後ろで当たりを見回しつつ呟き。

折角だし俺も一輪確保しようか悩みつつ。
奥さんが持っていればいいかと思いとどまり。

腕を組んで硝子の花畑を二人で歩く。
「俺もだ、二人で見る物なら何でも綺麗に見える」
「……事実だし何度だって言うが、ルーキスが世界で一番綺麗だしなー」(撫で

さ、奥さんの望むまま見晴らしのいい場所を探そう。
「高台とかあったらそっちに行こうか」
蜻蛉(p3p002599)
暁月夜
【水月】

波立つガラスの音
風を追いかけるように、自然と頭の上の耳もピンと立つ

「此処に来る前は、どんな場所を巡って来たのやろ」

目を閉じて音に揺蕩う、花の奏でた楽譜のない歌
風に黒髪が舞い上がれば
ふと、ふわっと耳に手の感触
遠慮がちで臆病に探られる、くすぐったくて……
何より、恥ずかしさと、どうして触れられているのかで、頭がいっぱい

「……どしたん?お人のお耳が珍しいの?」

精一杯の平静を保って、自分の耳を触る男に問いかけて

「嫌やないけど、その……くすぐったい、言うか」

何も思っとらんに違いないのは、百も承知
ほんまに、鈍感なんやから……
「何でもあらしまへん」

今度はうちも、そのヒレ耳触らせて貰うよって覚えときや?
ベルナルド=ヴァレンティーノ(p3p002941)
鳥籠の画家
グレモリーも考えてる事は同じか。画家として、こんなに綺麗な題材が目の前にあるとくりゃ描かずにはいられないよな!

硝子への光の当たり方とか、花が重なっている部分とか…描こうと思えば無限に描き込めちまう分、いい塩梅探っていかねぇと絵がごちゃつきそうだ。冬の空の青さや冷たい空気も再現したい。表現したい物を迷う時間って、俺は凄く好きなんだよな。寒空の中いつまで持久力高く描いてられるかも課題のうちだが。
俺はスキットルに温かい紅茶を入れてきた分、しばらくはもちそうだが……グレモリーも飲むか?開ききってない硝子の花に紅茶を注いだら、コップみたいに使えたりしねぇかなぁ。湯気で曇る花弁も、これはこれで綺麗なもんだ
ミディーセラ・ドナム・ゾーンブルク(p3p003593)
キールで乾杯
同行:アーリア・スピリッツ(p3p004400)
呼称:アーリアさん

着ぶくれするぐらいに暖かい恰好をしてアーリアさんと硝子の散策へ
顔を覆うものもほしい…と眉間をしかめつつ
貴女がくれた手袋を、貴女の手で引いてくれるからこうして寒くても外にいるのですよ……と何度も言いましたっけ

「まあ、まあ…どうでしたっけ。きっと初めて見たに違いありませんこと」
忘れてしまっているのか、あまり記憶に残らなかったのか。どちらにしても二人で見るのが初めてなのだから、それでいいのです
そうしてまた一つ、新しい思い出を作って……まだまだ、足りませんとも

割れないようにゆっくりと摘んでから……。どこに飾るか、相談しないといけませんね


アーリア・スピリッツ(p3p004400)
キールで乾杯
同行:ミディーセラ(p3p003593)

しっかり防寒をして、手袋同士手を繋いで散策
鼻も真っ赤で、眉間には皺も寄って
寒いのが大嫌いなみでぃーくんが、こうして一緒に出かけてくれるのがどれだけ特別で、私だけで、幸せなのかは教えてあげない

だってね、私はこれを見るのは初めてだけど
「みでぃーくんはこれ、何処かで見たことあるの?」
私だけ子供みたいにはじめて、にはしゃぐのはちょっと恥ずかしいのよ?

でも、ふたりで見るのは初めてですし
二人そぉっと口をつぐめば、綺麗な音が聞こえるから
「ふたりのはじめて」は沢山増やしていけるでしょう?

花はそぉっと摘んで、家に持って帰りたい
これから出来る『ふたりの家』に飾りたいんだもの
メイメイ・ルー(p3p004460)
ひつじぱわー
硝子の、お花…。
渡り歩く、花畑…わ、わ、なんて素敵な、お話……あ、本当の事象なのでした、ね。すごい、です。
リリィリィさま、もしよろしければ、ご一緒しても…?

物語のような存在にどきどきわくわく興味津々。
実際に目の前にしたら、感動してしばらく動きが止まってしまうかも。
リリィリィさまのおかげです、ね。この景色とのご縁を、ありがとうございます。

そっと手で触れてみますが、手折るのは少し迷って、やめておきます。
うっかり割ってしまいそうで。
壊れてしまうのが、壊してしまうのが、こわいのかもしれません、ね。
大事に、わたしの中に、留めておこうと思います。
その音を、そのきらめきを。
ウィリアム・ハーヴェイ・ウォルターズ(p3p006562)
魔風の主
【風焔(2人)】

アルテミアと夜の花畑で。
輝く硝子の花束が歌う合唱がとても美しいね。

「こちらこそ。一緒にこの景色を見れて良かった」

本当、君が無事に戻れて良かった。
ログアウト不可になっていると聞いた時はとても怖かったよ。

結構仲良くなれた筈だけど、僕は君について知らない事がまだまだ多いね。
お見合いの事もあったし、気がついた時には君の隣を歩く事が出来なくなる、なんて事もあるのかな。

それは……嫌だな。とても嫌だ。
ずっとこんな風に歩いていたいな……


花を贈り合う提案には仄かに黄色く輝く硝子の花束の鉢植えをプレゼント。
この金を想わせる花のように、君との時間はいつまでも輝き続けるよ。

「輝かんばかりのこの夜に!」
閠(p3p006838)
真白き咎鴉
「硝子の花束……ふふ、いい音です、ね……」
霊術士スキルで白い人魂・シロと黒狼の霊・クロを連れ
グレモリーさん探しを頼みながら
花を踏んでしまわないように
エコーロケーションで注意しながら音に耳を澄ます

「グレモリーさん。今日は、お花畑を描いて、いらっしゃるのでしょうか?」
そっと挨拶をしてお邪魔にならないよう隣で音を楽しむ
スケッチの音、硝子の音、どちらも閠には好ましい
「ボクはきっと、此処で聴いた全てを、忘れません、けれど。
何度でも、思い出せるように……完成したら、また、見せてください、ね」
手近な花を用心しながら手折る
たとえ傷付いても、それすら思い出にするように
大切に大切に持ち帰る
シャルティエ・F・クラリウス(p3p006902)
カモミーユの剣
同行:ネーヴェさん(p3p007199)

「これは…名前の通り、本当に硝子の花、なんですね」
全体が硝子で出来ていて、硝子の工芸作品のようだけど。これが自然に出来てるなんて
硝子特有の綺麗な音が耳を通るだけでも気持ちが安らぐけど…珍しいものだし、少し触ってみたいな。割れやすいのも同じだろうから、ゆっくり、花弁を揺らして小さく音を鳴らすように
「…良く知る硝子の筈なのに。まるで別物のように感じるな…」

良ければ、ネーヴェさんと一輪ずつ硝子の花を摘んでいって
「色んな場所にこの花畑が現れるなら……別の季節、別の場所にあるこの花畑も、また見てみたいですね」
叶うなら。きっとまた二人で
冬越 弾正(p3p007105)
長頼の兄
アーマデル(p3p008599)
つき合わせてしまってすまないな、アーマデル
音の精霊種の俺としては、どうしてもグラス・ブーケの音を味わってみたかったんだ
子供の時は外の世界への憧れが強くて人工の音ばかり好んでいたが、大人になって趣向も丸くなったのかもしれないな。こういう天然の音のよさも今では好きなんだ。人が食べ物を舌で味わう様に、俺は特殊食で音を食べる事も出来るから。硝子の花が風に揺れた音は、どんな味がするだろう?

ちなみに、アーマデルの声は甘くて……いや、こんな事を話されても困ってしまうか
話題を適当に逸らして花畑の散歩を楽しもう

彼の声は、柘榴のように甘くていい香りが後をひく……恋の味がする、なんて
ネーヴェ(p3p007199)
うさぎのながみみ
同行:クラリウス様(p3p006902)

世界を渡り歩く、硝子の花…不思議です
月や星の光を浴びる、花は…美しくて、儚くて。まるで、夢を見ているよう
全てが硝子でできていて、壊してしまわないか、ドキドキ
クラリウス様と一緒に、ちょん、とつついて…小さな音を、楽しみましょう
ふふ、綺麗な音。心地よい、です

手折る時、は…怪我をしないように、気をつけてくださいね
割ってしまわないように、大事に、持ちましょう
「ええ、いつか…見つけられたら、行きたいです
春、夏、秋…これからの季節も、一緒に
ヴィクトール=エルステッド=アラステア(p3p007791)
ボクを知りませんか
【春眠独白】

硝子同士の更更と擦れる音、輝かんばかりのこの日の光を収めたような花畑。
指先に触れると罅でも入ってしまいそうな花、見慣れた姿に声をかけるは
枯れはしなくても砕けてしまいそうで少し怖くはありますねということで。

花言葉――ええ、花言葉ですか。
生憎オリジナリティといったものがないので此の花にも似た花のものでも付けましょうか。
そうですね、「親愛の情」とか。そういうのはいかがでしょう?
穏やかさを望む、っていうのもチル様らしいですね。ええ。

――ええ、寒いですし。
ちょっと僕の両腕は冷たいですからもし冷えるようでしたら胴体のあたりでもどうぞ。
それか、外套の中はいかがですか?屹度、そちらのほうが温かい。
アッシュ・ウィンター・チャイルド(p3p007834)
plastic
【三ツ星】

遥か彼方の星々の輝きを受けて
煌々と輝く、硝子の花
遠く、手が届かないはずの星達がまるで其処にある様にも思えて
弾む心が、ぱたぱたとわたしの足を駆けさせる

今更、指先に一筋増えたところで些事ではないですか
幼子を諭す様な口振りに、ぽつり芽生える反発心
…そう言われれば返す言葉も、ないですが

見慣れて当たり前のように、傍らにあるものたち
唯、其処にあるもの達にも、意味があるのだとして
…捨て石の様にいきた頃のわたしにも、仲間にもその生に意味はあったのでしょうか

子供らしい子供でいられなかった身
だけど、今がその時であるのなら

…でしたら
華と一緒に風に攫われない様、此処に抱き留めていてくれますか
リンディス=クァドラータ(p3p007979)
夜咲紡ぎ
マルクさん( p3p001309)と一緒に

「空気が冷たい…けれど、素敵な光景ですね」
花畑が見渡せる木の麓、冷たい空気の中に響き渡る風と花の織りなす透明な音に耳をすませながら過ごしましょう

綺麗な花…だけれど、少し間違えれば割れてしまう、儚い花。
…どんなに強くても、容易く世界に奪われたROOの事件を少し思い出し
そっと手を伸ばして、ガラスの花を一輪、そっといただきながら。
「マルクさん」<絶対に守りますから。もう、あんな思いは―>
…言いかけた口をそっと止めて、今は。
「――輝かんばかりの、この夜に。花弁に降り注ぐ、月と星の光の祝福がマルクさんにありますように」
来年も、よろしくお願いしますね?
リサ・ディーラング(p3p008016)
スチームメカニック
ウォリアさん(p3p001789)と

ウォリアさん!見てくださいっすよこの花畑!
連れてってくれたオーロラも凄かったっすけど、こっちの花畑もすっごいっすよー!
色取り取りの硝子のお花、月明かりに反射してめっちゃ綺麗で幻想的っす……!

そーいえばこのお花、少しくらい貰ってもいいんでしたっけ?
折角なら私も一輪を。ナズナみたいなちっこいのも綺麗っすねー。
ってウォリアさんも一緒にだったんすね。んーじゃどうせっすし交換し合わないっす?お互いに似合いそうなのをとってきた事っすしね!

……あ、そうだったっす、輝かんばかりのこの夜にっすね!といってもお花も月夜も、ウォリアさんの火もどれも綺麗に輝いているっすけどね!
ヘーゼル・ナッツ・チョコレート(p3p008080)
指し手
【三ツ星】

こら、余りそうはしゃぐんじゃないよ
傷でも出来てしまったらどうするんだい
だなんて揶揄えば不思議そうな硝子の様な双眸に意識を掠め取られる様

どうせ傷だらけなのに、とでも言いた気で

『魂の再生』
見事な花畑から一輪、柔くて鋭い其れを手折って
硝子の石言葉は『魂の再生』と云うそうだよ
唯の硝子に石言葉があるだなんて意外かい?
此の世に咲く華に名前の無い雑草が存在しない様に
其処ら辺の石ころ一つとして意味の無いものはありやしないのさ
喩えば子供の頃に綺麗だと大切に磨いた路傍の石
今は風化してしまった美意識でも

な、ほら
少なくとも其の華を抱く娘さんは、綺麗だって思うよ
唖々、荊棘だらけの身でも抱き締めて見せようさ
散々・未散(p3p008200)
L'Oiseau bleu
【春眠独白】

きらきら、光を浴びて天へと手を伸ばす華
見事な煌めきを、此の手に収めたくて
持って帰りとう御座いますねと呟けば
おや、あなたさまも一緒でしたか

ふふ、サボテンしか育てられない寝坊助さんでも
硝子の華でしたら枯らす事は無いでしょう?
まあ、確かに無骨な其の手で抱き留められたら
儚い華は脆くも崩れてしまいそうですが

ねえ、ヴィクトールさま
此の華に花言葉をつけるとしたら如何しますか
一つ手折って差し出し乍ら
ぼくだったら……そうですね
『おだやかさを のぞみます』
……かな

『親愛の情』
良いではありませんか
所でぼくは、
……ぼくは抱き留めても壊れてしまったりしないので
気が向きましたら、どうぞ
一条 夢心地(p3p008344)
殿
硝子の花畑を散策しようかの。

蝋梅、水仙、山茶花。
冬に咲く花々は可憐でありながらも、どこか力強さを感じるのう。
硝子の花とはこれまた奇異なものだと思うておったが、いやはや。
これらもまた同じよ。厳寒の時期に尚、己が美しさを誇ろうとするその気概。
うむ、うむ。実に天晴じゃ。

熱い茶を用意し、ずずずと飲みながら花を愛でよう。
硝子の花弁が煌びやかに輝く様は、アレ、アレじゃ。いるみねーしょんのようじゃ。
この時期にしか味わえぬ、静かな夜の美しき光景。
存分に堪能させてもらうとしようかの。
ハンス・キングスレー(p3p008418)
運命射手
シキ・ナイトアッシュ(p3p000229)と同行

しゃら、しゃら、しゃらら。
生きた造花なのか、造られた生花なのか。
……でも、とても綺麗だ、と思う。
悍ましげなその在り方に、人間が関わっていないのならそれで良いのだ、と思うのです。

「…‥.指。まあ、良いけどさ」
シキから垂れる血を掬って、それから花を受け取る。

姿を映して、真似ごとをして、透明な様に見せ抜いて。それが似ていると言うのなら、きっとそうなんだろう。でも

「ありがとう」
シキには、彼女にはこれで良い、と思う
この僕を眩しいと言うのなら、それに応えてあげるのも……まあ、悪くないよ。

きらきら、ぴかぴか。煌めいて。
さあまた来年、思い出の果てで会いましょう。
黎 冰星(p3p008546)
ラサの悪魔(出禁)
同行者:黎 小羽(p3p009595)

「わあ……なんてキラキラで素敵な景色!小羽さん、こっち来てください!」
大好きな人の名前を呼んで、ぶんぶんと手を振る。
じーっと花を覗き込むと、透けた色合いの中にも虹色に反射する光があって、眩しかった。
透けた、儚いその花が、彼或いは彼女にとても似合うと思ったんだ。
根本にそっと手を添えて、ぽきりと手折る。
「いっ!」
破片が手を切った。傷付いたのが小羽さんじゃなくて良かった。
何本か手折り、触れても傷つかないように己の髪留めの赤いリボンで花束を作る。
ほら。煌めく硝子の花束の出来上がり!
「受け取ってください、小羽さん」
これからも一緒に居てくださいという愛の意味も込めて。
アーマデル・アル・アマル(p3p008599)
霊魂使い
弾正の話に興味深く耳を傾け

音を食べる…か
そういえば音が聲として聴こえる者がいるそうだな

故郷には…俺が毒と病を司る『一翼の蛇』の使徒であるように、
記憶と妄想を司る『五翼の蛇』の使徒がいて
彼らは音や味や匂いや…ありとあらゆるものを『文字』として受け取るのだそうだ
…俺には全く分からなかったが

俺と弾正とでは見える風景も聞こえる音も…脳内で再生される光景も、違うのかもしれないな
今、こうして同じ道を歩いていても

同じものを見てみたいと思う事はあるが
同じものが見えないと共に歩けない訳ではない筈
分からないからと目を閉じ、耳を塞がない限り

俺には音の良し悪しは分からないが
弾正の声には消えない熾火のような熱を感じる
黎 小羽(p3p009595)
恋する月のいたずら
同行者;黎冰星(p3p008546)

シャラシャラ謳う花畑を愛しい番に呼ばれ駆けて行く
「焦らないでも、我も此の子達も何処にも行かないわ」

小さな悲鳴でびっくりすると花を手折った手に傷がついていて
白い手に血が滲むのが忍びなくて
我の手なら義手だから傷付く事はないのに、なんてボヤく
でもそれでも、冰星は摘むのを止めなくて
傷付いたのが小羽さんじゃなくて良かったなんて笑うの

丁寧に棘を、鋭さを除いた優しい花束を受け取って
「貴方、我の事大好き過ぎるでしょう……」
なんてせめてもの反抗、或いは照れ隠し
当然、答えは識っているから

「帰ったら、其れ、消毒ね。屹度冷たい冬の空気よりも滲みて痛いわ?」
って笑うの
キルシェ=キルシュ(p3p009805)
リチェと一緒
硝子で作ったお花じゃなくて、硝子で出来たお花なのね……!
しかも移動するなんて不思議なお花ね
ねぇお花さん
暫くお花さんたちのこと見ても良いかしら?
後ね、ルシェのお家に来てくれる子がいたら、一緒に連れて帰っても良い?

お花畑に入る時はお花さんたち踏まない場所を通ってお花さんたち見ていくわ!
とっても綺麗だし、触れ合う音も素敵ね
自然の音楽隊みたい
お花さんたちは摘んだら枯れちゃうのかしら?
案内してくれたお兄さんに聞いてみるわ!
ねぇリリィリィお兄さん
硝子のお花さんたちは摘んだら枯れちゃうの?
どうやって活けたら良いかしら?

ルシェのお家に来てくれるお花さんたちそっと摘んで
お花さんたち今日は有難う
これから宜しくね!

リプレイ


 エクスマリア。髪に飾る花をお探しかい。
 此処にある花は、手折ると傷付いてしまうよ。香りのない、色もない花だよ。
 其れでもいいとエクスマリアは花を折る。花を摘んで遊ぶなど、どれほどぶりだろう。花冠を作るには、どれほどの花を摘めば良いだろう。
 崩れても、崩れても、挑戦するんだね、エクスマリア。そうして出来た花冠は、絡めるというより茎同士を引っ掛けたような形のものだけれど。
 頭に載せたら、ちくちくするけど。割れた破片で作った鏡に映せばほら、君は今夜だけお姫様。
 どんな王様も持っていない、世界に一つだけの冠を頭に載せたお姫様だよ。


 夢心地は散策をしている。散策は殿の趣味である。
 蝋梅、水仙、其れに山茶花。冬に咲く花々は可憐でありながらも何処か力強さを感じる。雪を割って育つだけの強さを持つからだろうか。
「硝子の花とはこれまた奇異なものだと思うておったが、いやはや」
 用意していた熱い茶を一口啜りながら、花を目で愛でる。これらもまた同じ。厳寒の時期に尚、己が美しさを誇ろうとするその気概よ。うむ、実に天晴じゃ。
 殿はほう、と息を吐く。息は白く濁って、天へと昇りやがて消える。硝子の花弁は曇る事なく、皓々とした光を受けて輝いている。
「これは……アレ、アレじゃ。いるみねーしょんのようじゃの」
 うむ、と殿は頷く。この時期にしか味わえぬ、静かな夜の美しき風景。酒で曇らせるには勿体無い。持ってきたのが茶で良かった、と、殿は頷くのであった。


「硝子で作ったお花じゃなくて、硝子で出来たお花なのね……!」
 キルシェは緑色のまあるい瞳を瞬かせて、花畑を見下ろしました。お花はきらきらと月と星の光を受けて輝きながら揺れています。北風にしゃらしゃらと鳴る音は、まるでウィンドチャイムのようです。
 ねぇお花さん、暫くお花さん達の事見ても良いかしら?
 勿論だよ、と花は揺れます。
 ねぇお花さん、ルシェのお家に来てくれる子がいたら、一緒に連れて帰っても良い?
 ルシェのお家に行ってみたいな、と花は揺れます。
 でも、キルシェは彼らの中から選ばなければなりません。そうしなければ、キルシェのお家は花でいっぱいになってしまうでしょう。
 摘んだら枯れちゃうのかしら? キルシェは不安になって、リリィリィに聞いてみる事にしました。見た目だけはキルシェより幼い“お兄さん”は、キルシェに笑って言いました。
「この子たちは摘んでも、枯れる事はないよ。でも、いつかぱっと嘘のように消えてしまう事はあるかもしれない」
 彼らは旅行好きだからね。リリィリィは笑って言います。
 花の活け方は一緒だよ、と言われれば、キルシェはほんのり安心して、お花を幾つか摘みました。
 お花さん、今日から宜しくね! 何処か行くときは、ルシェに挨拶してくれると嬉しいな。


 画家同士、考えている事は同じであった。
 ベルナルドは珍しくペンを止め止め硝子の花を画くグレモリーを見た。
「よう」
「あ、ベルナルド」
「そうだよな、こんな綺麗な題材が目の前にあるとくりゃ描かずにはいられないよな」
「そうだね。其れに、――硝子は、難しい」
 どうやって小さな花の中に透明感を描くか。硝子である事を表現するか。如何に難しいのかについて饒舌になるグレモリーに、ベルナルドは頷く。
「けど、……こうやって表現したいものを迷う時間って、俺は凄く好きなんだよな」
 飲むか、とスキットルを揺らした。グレモリーは其の中身が酒でない事を知っている。飲む、と頷いた彼の頬は、寒さのせいで僅かに赤くなっていた。
「開ききってない花に注いだら、コップみたいに使えたりしねぇかなぁ」
「それ、面白いね」
 やってみよう、と立ち上がるグレモリーに、其れは俺のなんだぞ、とベルナルドは苦笑した。


「硝子の花束……ふふ、いい音です、ね……」
 シロとクロを連れて、閠は硝子の花畑に隠れたあの人を探す。閠は視界を布で遮っているから見られないけれど、音だけでも美しいのだと判る。
 歩いていると、其の内さらさらという音が混じって聞こえてくる。ペンをキャンバスに滑らせる音。ああ、見付けた。
「……グレモリーさん」
「ああ、君か、閠」
「はい。今日は、お花畑を描いて、いらっしゃるのでしょうか?」
「そうだね。でもやっぱり、透明なものは難しいよ」
 聞いていると、成る程確かにペンの音が時折途切れている。描くのに苦心しているのだろう。
「……ボクはきっと、此処で聞いた全てを、忘れません、けれど」
 ぷちり、ぱきん。
 硝子の花は摘まれた仕返しというかのように、閠の指をいたずらに傷付ける。
「何度でも思い出せるように……完成したら、また、見せて下さい、ね」
「うん。……君のような人が見てくれるから、僕も描く甲斐があるんだ」


「硝子の、お花……」
「珍しい?」
 メイメイが呟いて振り向くと、其処には黒く夜に溶けそうな吸血鬼が立っておりました。絵本に出て来る貴族様のような立ち振る舞い。御伽噺のような存在。メイメイは“これはまるで夢なのかしら”と思わず己の頬をつねってみます。痛い。つまり、夢ではない。あらあら、とリリィリィは笑います。
「可愛いお顔が痛んでしまうわ。夢ではないよ」
「……本当に、夢みたいで。リリィリィ様のお陰です、ね。この景色とのご縁を、ありがとうございます」
「ふふ、どういたしまして。君がそんなに感動してくれるだけで、僕もお誘いした甲斐があるというものだわ」
 白い膚に紅い唇。御伽噺のような容貌の彼がわらう。メイメイはどきりとして、其れを隠すかのように硝子の花へ視線を落として。一輪をちらり、と撫でてみるけれど、摘むだけの勇気は持っていないのでした。
 割ってしまうのは勿体無い。壊れてしまうのが、壊してしまうのが、こわいのかもしれません。だから、――心の中に留めておきたい。風に吹かれて鳴る音を、月光を跳ね返すきらめきを。


 ――しゃららら……
 吹き抜けていく風に、縁と蜻蛉は共に口を噤んだ。
 まるで潮騒のようだ、と縁は思う。閉じた目をふと開いて隣を見れば、目を閉じて同じく音を楽しむ月華の姿。
「……旅する花畑とは、なかなか風情があっていいねぇ」
「せやねぇ。此処に来る前は、どんな場所を巡ってきたのやろ」
 花が歌っている。聞き逃すまいとしている蜻蛉と対照的に、縁は彼女の人間の形をした耳に視線が釘付けだった。
 冬風が吹いて、いたずらに蜻蛉の髪を遊ばせ、耳を隠す。そうしてくれるな、と縁はそっと蜻蛉の髪に手をやり、耳に髪をかけてやった。
 蜻蛉は肩を揺らすのをかろうじて堪えて、どしたん、と視線を向けた。
「お人のお耳が珍しいの?」
「珍しいというか……まぁ、俺にはねぇモンなんでな」
 凸凹を指でなぞる。輪郭を確かめる。
 不思議そうに其れを繰り返す縁に、蜻蛉の顔は段々と赤くなって。
「っと……すまん、嫌だったか」
 いつもと違う様子の相手に、慌てて手を離す縁。
「何でもあらしまへん」
 ほんまに鈍感なんやから。今度はうちも、そのヒレ耳触らせて貰うよって。
 ――そんな事を思われているとは知らず、縁は体が冷えたか? と紅い頬に見当違いな心配をした。


「わあ」
 シキは眼前に広がる沢山のとうめいに、歓喜の声を上げた。
「氷じゃなくて硝子の花なんだ? 綺麗だね!」
「……」
 生きた造花? 造られた生花?
 ――でも、とても綺麗だと、ハンスも頷く。
 ふとシキが膝を追ると、一本の花に触れた。慎重に、力を入れすぎないように、ぱきり。手折る。折れた茎は鋭く尖ってシキを傷付けたけれど、流れる血を気にも留めず、シキはハンスに花を差し出した。
「……指。まあ、良いけどさ」
 ハンスはシキの指に刻まれた傷口をそっとなぞると、硝子の花を受け取る。
「光を受けて」
 反射して、一生懸命輝いて。……そういうとこがさ、ハンスに似てるかなと思ってさ。
 なんて、君は笑う。
 姿を映して、真似事をして、透明なように見せ抜いて。其れが似ているというのなら、きっとそうなんだろう。
「そんなハンスが、ずっとずっと眩しくて仕方ないよ」
「……」
 ハンスは何を返そうかと少し考えた末に、ありがとう、の五音を返した。
 彼女にはこれで良い。この僕を眩しいというのなら、其れに応えてあげるのも悪くないと思ったから。
 硝子の花は、やがて二人の思い出になる。其の果てに何があるのかは、まだ見えない。


「まるで地上の星、みたいだね」
 触れれば壊れてしまいそうな硝子の花。澄み渡った天から見下ろすのは無数の星々。
 マルクとリンディスは二人、しゃららと花が触れ合って奏でる音を聞いていた。この花はいつか――花が決めた時がくれば、消えてしまうのだろう。そうしてまた、違う地で芽吹き花を咲かせるのだろう。美しくて、だけれど、力加減を間違えたら美しい光の屑になってしまう儚い花。
 マルクは膝を折って、花に触れる。ちりん、と爪が触れて硝子が鳴る。
「儚いからこそ、愛おしい、護りたい、って思うんだろうね」
 この世界がそうであるように。そんな隠された言葉を読み取ったのか、リンディスの柳眉が寄る。
 どんなに強くとも奪われる。あのROOでの事件を思い出して、リンディスの舌は勝手に言葉を紡いでいた。
「マルクさん」
 ――でも、其の先は言葉にならなかった。絶対に守りますって言いたいのに、絶対なんてないって、大地に揺れる花が言うから。
 ……だから、今は。
「――輝かんばかりの、この夜に」
 花弁に降り注ぐ、月と星の光の祝福が……貴方にありますように。
 そう微笑むリンディスに、マルクも微笑み返した。この花のように目の前の女性が消えてしまうのではないかという恐怖をそっと抱えて。
「……今年も一年、ありがとう。リンディスさん」
 もう、失うものか。


「ウォリアさん! 見て下さいっすよこの花畑!」
 この前のオーロラも凄かったっすけど、こっちの花畑もすっごいっすよー!
 はしゃぐリサに、ウォリアはそっと目を細める。この身体は頑強な鎧、そして血は燃え滾る炎。故に己は傷付く事はないが――だからだろうか。力加減は少し苦手だ。
「月明かりに反射して、めっちゃ綺麗で幻想的っす……」
「そうだな」
「そーいえば、少しくらい貰ってもいいんでしたっけ?」
 言いながら、丁度同じタイミングで二人は硝子の花を手に取る。ウォリアは背の高い、摘みやすいものを。リサは小さな、ナズナのような花を。ぱきり、と折って、少しウォリアの花は茎が砕けてしまったが――
「どうせっすし交換っす! お互いに似合いそうっすね!」
「――そうか?」
 こんな小さな花が己に似合うのだろうか。しげしげと花を見詰めるウォリアがおかしくて、リサはからからと笑う。
「……輝かんばかりのこの夜に……だったか。相変わらず馴染みはないが、悪くない文言だ」
「あ、そうだったっす! 輝かんばかりのこの夜にっすね! ほんとに…お花も月も、ウォリアさんの火も、全部綺麗に輝いてるっす!」
 一番輝いているのは、お前と共にいるこの時間だ。……なんて、其れは流石にウォリアには言えなかった。


 アルテミアとウィリアムは、しゃらりと花を足でかき分けて歩む。摘めば傷付ける花も、触れて押しのけるだけならば鋭く尖る事はない。
「ウィリアムさん、一緒にこの景色を見られてとても嬉しいわ」
 アルテミアが笑む。でも、こうして一緒に過ごす事が出来るのはどれだけだろう。徐々に砂時計の砂は減っていく。アルテミアの胸の奥が、しく、と痛んだ。
「こちらこそ。一緒にこの景色を見られて良かった」
 ウィリアムが笑みを返す。そして、君が無事に戻れて良かったよ、と安堵したように呟いた。ROOでのログアウト不可はアルテミアにも其の魔手を伸ばしていた。其れを知った時、本当に怖かった。
 ――砂時計の砂は落ちていく。お見合いの事が、二人の頭から離れない。気が付いたらもう会えない、そんな未来が待っているのだろうか。其れは嫌だ、とウィリアムは思う。ずっと、こんな風に美しい景色の中を歩いていたいのに。
「ねえ、ウィリアムさん」
 アルテミアが提案したのは、鉢植えに植え替えた硝子の花を贈り合う事。植え替えた花ならば、きっと長く生きてくれる。この今という時間を、心に残してくれる。
 ウィリアムは頷いた。そうして交わされる、青みを帯びた透明と、仄かに黄色い透明。
 君と過ごす時間が、いつまでも輝いてくれますように。


「不定期に移動する硝子の花畑か……」
 ルーキスは混沌は面白いねぇ、と呟く。何でも出て来るんだから。そう言うと、ルナールも頷いて。
「まあ硝子の花も綺麗だが、ルーキスの方が綺麗だぞ。うちの奥さんは月夜がよく似合う」
 なんて普段なら言わないかも知れない台詞も、この景色を前にすればするりと滑り落ちてしまう。
 ルーキスは其れを耳に留め、微笑みながら屈みこむ。硝子の花は透き通った花弁に月光を受けて綺麗だ。群生するそれらのうち一輪を採取すると、布で注意深く包む。
「よーし、思い出確保」
 次にいつ見れるか判らないからね。そう言って笑うルーキスは本当に綺麗だ。ルナールは眩し気に目を細めて思う。
 自分も一輪摘もうか迷ったけれど、ルーキスが既に持っているなら其れで良いか、と思いとどまる。
 しゃらり、しゃらり。硝子の花畑の中を、二人は腕を組んで歩く。
「……観光も勿論楽しいけどさ」
 ルーキスがルナールを見上げる。
「愛しの旦那様と一緒に見る景色が一番好きだぞ」
「俺もだ。二人で見るものなら何でも綺麗に見える。……事実だし何度だって言うが、ルーキスが一番綺麗だけどな」
 さらり。愛しい奥方の銀髪を撫でて、二人は見晴らしのいい場所を探す。けれど多分、どちらからともなく「此処で良いんじゃない?」って言うんだ。だって君と見る景色はどこでだって等しく美しいのだから。


 ミディーセラはまんまる。
 比喩ではない。彼は寒いのが大嫌い。アーリアに手伝って貰って、カーディガンにベスト、コートにマフラー、手袋と思い付く限りの防寒装備をして、硝子の花畑の中へ。
 其れがアーリアは嬉しかった。嬉しい、なんて言葉は陳腐かもしれない。幸せで、特別。でも、教えてあげない。
「みでぃーくんはこれ、何処かで見た事あるの?」
 アーリアは何でもない顔をして問う。アーリアは勿論、初めてだ。でも彼はそうでないかもしれない。そんな彼の前で子どもみたいに“初めて”にはしゃぐのはちょっと恥ずかしいのだ。アーリアはだって、普段はおねーさんだから。
「まあ、まあ……どうでしたっけ。きっと初めて見たに違いありませんこと」
 寒さに鼻を赤らめてミディーセラは記憶を掘り返すけれど、硝子の花畑に思い当たらなかった。忘れているのか、記憶に残らなかったのか。どちらかは判らないけれど、大事なのは“今、二人で硝子の花を見ている”という事実。
 北風が吹いて、しゃらり、と硝子の花を鳴らしていく。二人は自然と口を噤んだ。こうして積み重なっていく「ふたりのはじめて」。
 ミディーセラがまんまるの体を屈めて、花をぱきり、と摘む。何処に飾りましょうか、と呟く其の顔にはうっすらと笑みが乗っていて、アーリアも嬉しくなる。
 ふたりの家に飾りましょ。これから出来る、ふたりの家に。


「これは……名前の通り、本当に硝子の花なんですね」
 シャルティエは不思議そうに花畑を見渡しながら言う。
「世界を渡り歩く、硝子の花……不思議です」
 ネーヴェは彼と一緒に屈んで、ちりん、と花をつついて鳴らす。鈴のような音を立てる花は小さくて愛らしくて、でも知っているどの花とも違っていた。
「……良く知る硝子の筈なのに。まるで別物のように感じるな……」
「そうですね……どんな硝子細工とも、違います……」
 ちりん、ちりん。
 二人で鳴らして、少し笑って。摘んでみましょうかと言ったのは果たしてどちらだっただろうか。
 美しく透き通った花の茎を文字通りシャルティエは“手折る”。ネーヴェの分も摘んで、どうぞ、と差し出した。其の手は震えていやしないだろうか。受け取る時に触れあった指先から、熱が移ったりしないだろうか。
「色んな場所にこの花畑が現れるなら……別の季節、別の場所にあるこの花畑も、また見てみたいですね」
「ええ、いつか……見付けられたら、行きたいです」
 春。夏。秋。これからの季節も、貴方と一緒なら。
 其の思いは間違いなく、二人同じだった。


「付き合わせてしまってすまないな、アーマデル」
 弾正は呟く。其の耳には、硝子の音がさらさらと流れ込む。そうして、硝子の音を邪魔しないように言う。音の精霊種の俺としては、どうしてもグラス・ブーケの音を味わってみたかったんだ、と。
 アーマデルは頷く。彼の味わいを邪魔しないように。
「そういえば、音が聲として聞こえる者がいるそうだな」
 アーマデルは『一翼の蛇』の使徒だ。其の司るところは毒と病。
 そして彼の故郷には『五翼の蛇』の使徒がいるのだという。司るところは記憶と妄想。彼らは音や味、香り……あらゆるものを“文字”として受け取るのだと。
 俺には理解出来ない感覚だ、と頭を振るアーマデルの声を、そっと弾正は咀嚼した。俺は文字として理解する訳ではないが、と前置く。
「子どものころは人工の音ばかり好んでいたが、大人になって趣向も丸くなったのか、天然の音の良さも好きなんだ。俺は音を味わう事も出来るから。ちなみにアーマデルの声は甘くて、……いや」
 こんな事を話されても困ってしまうか、と弾正は苦笑する。判らない感覚だろう、と。けれど、アーマデルは其れでも構わなかった。同じものが見えないから共に歩けない、そんな事はない筈だ。理解しようとすることは出来る。歩み寄る事は出来る。
「……俺には音の良しあしは判らないが、……弾正の声には消えない熾火のような熱を感じる」
 そう語るアーマデルの声は、甘くてよい香りがして、――恋の味がした。


 硝子同士がさらさらと触れあって身を鳴らしている。天からの祝福を一身に受けるかのように、月光を受けて輝いている。
 ヴィクトールと未散は二人、迷子のように立ち竦んでいた。
 ――持ってかえりとう御座いますね
 ――枯れはしなくても、砕けてしまいそうで少し怖くはありますね
 ――サボテンしか育てられない寝坊助さんでも、硝子の花でしたら枯らす事はないでしょう? まあ、確かに武骨な其の手で抱き留められたら儚い花は脆くも崩れてしまいそうですが。
 未散は肩を竦める。
 そうしてふと、問うた。花言葉を付けるとしたら如何しますか。
 ふむ。ヴィクトールは唸る。
 ――生憎オリジナリティといったものがないので、似た花のものを付けましょうか。そうですね。“親愛の情”とかそういうのは如何でしょう。
 ――成る程。良いではありませんか。ぼくだったら……そうですね。“おだやかさをのぞみます”かな。
 ――成る程。チル様らしいですね。ええ。
 ――ところで
 ――なんでしょう
 ――ぼくは抱き留めても壊れてしまったりしませんよ
 ――……。僕の両腕は冷たいですから、もし冷えるようなら胴体のあたりでもどうぞ? 其れか、外套の中。きっとそちらのほうが暖かいかと。
 駆け引きは続く。


 遙か彼方に輝く星々、其の光を受けて煌々と輝く硝子の花。
 まるで星の光を其の花弁に留めているように思えて、アッシュは駆け回る。星の光がころんと落ちて、輝いたりしないかしらと。
 其れをこら、と留めるのはヘーゼル。傷でも出来てしまったらどうするんだい。
 アッシュは不服そうに答える。今更、指先にひとつ増えたところで些事ではないですか。其れは子ども扱いされたくないという反発心の表れか。
 ――“魂の再生”。其れは硝子の石言葉なのだそうだ。
 唯の硝子に石言葉があるなんて意外かい、とヘーゼルは笑う。でもね、この世に咲く花に名前のない雑草が存在しないように、そこら辺の石ころ一つとて意味のないものはありゃしないのさ。
 見慣れて当たり前だった、傍らにあるものたち。捨て石のように生きたあの子、その子、そしてわたし。――其の生に意味はあったのでしょうか。アッシュは思わずにはいられなかった。
 もちろんそうさ、とも、そうではないさ、とも、ヘーゼルは言えなかった。何も言わず、立ち止まって考えるアッシュを見詰める。そうして、ただ一言いった。
「少なくとも、この花を抱く娘さんは綺麗だって思うよ」
 いつの間に手折ったのか、硝子の花を其の小さな手に慎重に握らせる。傷の一つも増やさないように。
 アッシュはそっと見上げて、此処に抱き留めていてくれますかと問う。花と一緒に攫われてしまわないように。
 勿論だとも。ヘーゼルは頷く。荊棘だらけの身でも抱き締めてみせようさ。


「わあ……なんてキラキラで素敵な景色! 小羽さん、こっち来て下さい!」
 呼ぶのは大好きな人の名前。手を振って、此方が綺麗だと冰星は手招く。
 歌う花畑の中、小羽は愛しい番に呼ばれて駆ける。
「まあ。焦らないでも、我もこの子たちも何処にも行かないわ」
「判りませんよ、瞬きしたら花畑は消えてしまうかも」
「そうなったら、きっと彼が教えてくれるわ」
「そうでしょうか」
「そうよ」
 冰星はそっと硝子の花を覗き込む。透けた色合いの中に虹色に反射する光があって、眩しくて綺麗だった。透明で、儚くて、でも力強い其の花はきっと彼女に似合うと思って、根元に指を添えてそっとぱきり、手折る。
「いっ!」
「!」
 いとも簡単に硝子は皮膚と肉を裂く。小さく声を上げた冰星に小羽は吃驚して。
「えへへ、傷付いたのが小羽さんじゃなくてよかった」
「……我の手なら義手だから、傷付く事はないのに」
 白い手が、次々と花を手折っていく。痛くないの? 痛くないですよ。巧く心配できないし、巧く強がる事も出来ない。そんな二人。
 そうして冰星は最後に己の赤いリボンをするり解くと、花を括る。小さな硝子の花束を、愛しい小羽へ差し出した。これからも一緒にいてください。ずっと。
「貴方、我の事大好きすぎるでしょう」
「えへへ」
「……帰ったら、其れ消毒ね。きっと冷たい冬の空気よりも滲みて痛いわ?」
 言いながらも、小羽は其の花束をそっと受け取るのだ。

成否

成功

MVP

なし

状態異常

なし

あとがき

お疲れ様でした。
硝子の花は普通の花と一緒に扱って大丈夫ですが、嘘のようにぱっと消えてしまうかもしれません。
旅する花ですから。きっとまた会えますので、其の時を待ちましょう。
ご参加ありがとうございました!

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