PandoraPartyProject

シナリオ詳細

再現性東京2010:今夏を彩るのは

完了

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●再現性東京希望ヶ浜――ショッピングモールにて

「皆さーん! こっちですよー! こっちこっち!」

 練達、某ショッピングモール。人の溢れる一角でブラウ(p3n000090)が大きく手を振っている。
 雨が降る場所、降らない場所、混沌では様々だが今の季節を崩れないバベルにかけて『梅雨』と言う。夏の直前にやってくる雨には憂鬱な気持ちになるかもしれないが、それだって室内に入ってしまえば関係ない。
「夏の準備、って感じですねー。あっちが浴衣でしょうか?」
 ブラウは大きくとられたスペースのあっちをきょろきょろ、こっちをきょろきょろ。そしてよそ見をしていたら他の客に挟まれて「むきゅっ」と声を上げる。よろよろとそこから出てきた彼の頭を苦笑混じりの『焔の因子』フレイムタン(p3n000068)は一旦避難を、とファストフード店へ連れて行った。
「大丈夫か?」
「はい……」
 やや疲れた顔を見せているが、少しばかり休めばと言ったところか。フレイムタンとて、ここに長居をするのは……正直、疲れると思う。
 いち早く夏の準備をと考えるのは皆同じであるらしい。水着に浴衣にと並んだスペースは人でごった返している。ついでに色々出かけようと他の場所――カフェとか他のブティックとかも賑わっているようだった。
「毎年のことなのだろう? 大変だな」
「それだけ気合が入ってるってことですよ。特に女性は種類も多いですからね」
 視線をちらり、とそちらへ向けるブラウ。確実に縁のないブース――女性水着の方は楽しそうな声が良く響いていた。友人同士などで探しにきているのだろう。
 お揃いの水着だとか、水着はいらないけど小物が欲しいとか、ただ見にきただけとか。ここにいる者は様々な理由で訪れているに違いない。
「皆さん、良いものが見つかると良いですね」
「ああ。それでは、改めて我らも行くとしよう」

 今年の夏、縁のある衣装を探して。

 女性水着のブースでは『Blue Rose』シャルル(p3n000032)が難しい顔をしていた。真剣に浴衣を見る彼女はグルグルと同じところを回る。
「うーん……んんん」
 これまでは縁のなかった衣装であるが、今夏は試してみるのもアリかと思ったのだ。蔓薔薇の生えている部分は――他種族の尻尾などのように――外に出せるよう工夫をしてやれば良い。そういうアドバイスを以前受けたのだ。
 故に、迷っているのである。細工をするならばほぼどんなデザインだって着られることだろうから。
 色も柄も、生地の肌触りだって多種多様だ。どれにしようかと考えるのは非常に難しいことであるが――それ以上に、わくわくするものがある。
「髪……も、まとめてみようかな」
 自らの髪をちょいと摘んだシャルル。下ろしっぱなしでは暑くて、去年はポニーテールにしたのだったか。今年はまた違うまとめ方も良さそうだ。
 そんなふうに想いを馳せ、シャルルは再び浴衣で悩み始めたのだった。

GMコメント

●すること
 水着や浴衣を見に行こう!
 お買い物を楽しもう!

●場所
 1プレイングにつき1箇所に絞ることをお勧めします。

【水着・浴衣特設ブース】
 男女で分かれています。様々な水着浴衣、ラッシュガード、ビーチサンダル、下駄等の小物が売られています。試着室あり。
 迷うことがあれば店員やNPCが提案をしてくれることもあるでしょう。(その場合は軽くで構いませんのでご希望・NG等をプレイングへ記載ください)

【デパート散策】
 特設ブースの他、ブティックやカフェ、雑貨店等も賑わっています。ウィンドウショッピングや、ひと休憩にどうぞ。

【屋外広場】
 ベンチが複数設置されており、緑も多いためのんびりしたい人が集まるようです。飲食物をテイクアウトして食べるにも最適。

● NPC
 当方の NPCではシャルル、ブラウ、フレイムタン、および当方の扱ったことがあるステータスシートのないNPCは、プレイングにご指定頂くことで登場する可能性があります。

●プレイング内容確定・章進行に関して
 今回は以下の進行ペースを考えています。全1章。

 同行者ありの場合、冒頭に共通タグor同行者名をお願いします。

 同行者ありの場合は、最終稿を出すことを推奨します。(GM確認後は修正不可のため)
 同行者がいるとわかる場合、24時間くらいは待つ時間を設けますので、大体で揃いそうな時間に提出頂ければ大丈夫です。
 上記時間を過ぎた場合、完結の可能性もございますのでご了承ください。

 完結予定についてはTwitterで告知する場合がございます。

●ご挨拶
 愁と申します。
 夏間近ですよ皆さん。水着や浴衣の準備はOKですか?
 水着浴衣でなくてもご縁がございましたら、友人・家族のキャラクターと遊びに来てくださいね!

  • 再現性東京2010:今夏を彩るのは完了
  • GM名
  • 種別ラリー
  • 難易度EASY
  • 冒険終了日時2021年06月30日 21時20分
  • 章数1章
  • 総採用数13人
  • 参加費50RC

第1章

第1章 第1節

祝音・猫乃見・来探(p3p009413)
淡き白糖のシュネーバル

 『淡き白糖のシュネーバル』祝音・猫乃見・来探(p3p009413)はジュースを手にベンチへ腰かける。屋外公園はのんびりとした時が流れているが、残念ながら可愛らしい猫たちの気配はない。
 ジュースと、それに取り出した食べ物。それらを味わう祝音の瞳に映るのは大きなショッピングモールと、楽し気な家族連れ。両親にそれぞれ手を取られている少年が過ぎ去って、その後には兄妹のいる家族連れが前を行く。
 祝音にも、両親がいた。それに、年の離れた双子の姉がいたような気がする。彼らと同じように買い物に行っていたのは、寒い日の事だったか。
 そこまでぼんやりと思い出そうとして、それから小さく首を振った。何故だかは自分でも分からないけれど、分からないままの方が良いような気がして。
 ジュースのストローへ口を付けると、すっかりなくなってズコーと空気を吸う音が響いた。冷たい。でも暑い。今はあの日とは違う。
(夏で、でもやっぱり賑やかで……のんびりしてても楽しい)
 日本のような光景。混沌に召喚された事実から逃げたい者たちにとっては安息の地。祝音とてこうやって穏やかに、皆で楽しく過ごせたらと思う。この地だけでなくて――混沌中で。
 空になったジュースをゴミ箱へ。さあ、折角だから水着に浴衣と散策して見ようじゃないか。

成否

成功


第1章 第2節

ヨゾラ・エアツェール・ヴァッペン(p3p000916)
希う魔道士
もこねこ みーお(p3p009481)
ラッキーキャット

 『希う魔道士』ヨゾラ・エアツェール・ヴァッペン(p3p000916)はリュックを背にうきうきと買い物を楽しむ。けれどそれもそこそこに飲食物を買って、休憩へと屋外広場へと出た。まばらに人はいるものの、そこまで混雑しているわけではない。人気のない日陰のベンチを確保したヨゾラは、きょろりと辺りを見回しながらリュックを横へ置いた。
「……みーおさん、大丈夫?」
「……大丈夫にゃのです。にゃ」
 そぅっと開いたリュックから顔を出す『ねこ戦車』もこねこ みーお(p3p009481)。二足歩行する猫であるみーおは、悲しいことにこの再現性東京では異質だ。それにみーおは旅人(ウォーカー)であるがゆえに、純種と異なり変化手段に乏しい。
 だからこそ、ヨゾラは通気性の良いリュックにみーおを入れて連れてきたのである。
 再現性東京に初めて連れてきてもらった小さきにゃんこはリュックの中から目をきらきらさせつつショッピングモールを眺めていた。沢山の人や店舗、あまり見たことのないような食べ物まで。
 気になるものは沢山あったけれど、前々から気にしていたものは既にヨゾラへ頼んでいたのである。
「パンの本に、あとこれとこれと……抜けはないかな?」
「にゃ、大丈夫です。にゃーん」
 戦利品を見せてくれるヨゾラにほわりと嬉しそうな声を上げるみーお。その様子にヨゾラもほっこりする。猫かわいい。猫。
「そうだ。これ、良かったらどうぞ」
 ひんやりした飲み物に軽食。時間も良い頃合いだし、リュックの中は暑かっただろう。ここでのんびり広場を眺める時間だって悪くない。
 みーおはリュックの口を開けてもらいつつも、他の誰かに見られぬよう中で丸まっていたが、そよ風がふわりと入り込んで気持ちが良い。うっかりこのままうたた寝でもしてしまいそうだ。
「みーおさん、そろそろ帰ろうか?」
「にゃ……帰りもお願いしますにゃ」
 こくりと頷くとリュックの口が緩く締められる。そして持ち上げられる気配がした。
「家に帰るまでが遠足、で合ってるっけ?」
「遠足……遠足もいいですにゃー」
 遠い場所へ足を伸ばすという意味ではこれも遠足。けれど次は避暑地に遊びに行ったりも良さそうだ。

成否

成功


第1章 第3節

星穹(p3p008330)
星雛鳥
ヴェルグリーズ(p3p008566)
全てを断つ剣

 水着と浴衣の特設ブースは人が沢山だ。その中で『全てを断つ剣』ヴェルグリーズ(p3p008566)と『星雛鳥』星穹(p3p008330)ま迷っていた。
 ここへ訪れたは良い。だが――水着ってどう選んだら良いのだろうか。
「店員さんに聞けばいいかな」
「そうですね……水着、初めてですから」
 男女別にブースは分けられているらしい。そこまで離れているわけではないが、折角なら今夏のお楽しみ、ということで――。
「それじゃあ、また後で」
「はい」
 ヴェルグリーズと星穹は別行動。それぞれ自分の水着を探しにいった。
 男性水着は女性の方より些か空いている。故に店員を捕まえられたヴェルグリーズもまた、色々な水着を見繕って貰うことができた。
(無難な色合いもあれば、結構派手なものもあるんだな……)
 女性の水着は多種多様であると聞いているが、男性は全体的にそこまでの種類には分かれていない。故に柄や色合いでバリエーションを出しているというところか。
 ヴェルグリーズはその中でも比較的派手めなデザインの水着を選んだ。
(いつもとは雰囲気を変えてみても良さそうだし)
 彼女はどんな反応をするだろうか。それに――彼女はどんな水着を選ぶのだろうか。自身の水着を探しに行った星穹を思い、ヴェルグリーズは小さく笑みを浮かべた。
 一方の星穹はと言えば、沢山ある水着に目を回しながらも店員からいくつかおススメを見繕って貰っていた。全体的に明るめの色合いで、可愛らしいというよりは動きやすく、溌剌とした印象を抱かせる水着だ。
(どうせなら、ヴェルグリーズ様と近しいものが良いかしら?)
 とはいえ、当の本人が何を選んだのかはわからないのだけれど。
 ――彼が喜んでくれたらいいなんて、無意識に。

「お待たせいたしました」
「お疲れ様。女性の水着選びは大変だね」
 外へ出ればヴェルグリーズが待っていて、駆け寄る星穹に小さく笑う。
 そう、大変だったのだ。デザインを決めたら今度はサイズ選び。どのサイズが合うとか、こういった機会がなかなかない星穹にとっては一つ一つが大きな壁であった。
 けれどもどうにかしてやり遂げた服選び。ほっとしている星穹に、ヴェルグリーズは一緒に泳ぎに行かないかと誘いを入れた。
「わ、私と、お出掛けを?」
「そう。夏にしか着られないものだからね。折角買ったんだ、目一杯楽しもうよ」
 サングラスなんかも買いそろえてきたんだ、と袋を掲げるヴェルグリーズ。なんだかんだ彼は買い物も結構楽しんできたらしい。星穹にとっては大変なことであったけれども――他でもない彼が誘ってくれるのなら。
「……ふふ。ええ、共に楽しみましょう、この夏を!」
 笑顔を浮かべる星穹にヴェルグリーズも嬉しそうな表情を返す。
 きっと、この夏は楽しくなる。そんな予感がした。

成否

成功


第1章 第4節

イーハトーヴ・アーケイディアン(p3p006934)
秋の約束

 『秋の約束』イーハトーヴ・アーケイディアン(p3p006934)と『Blue Rose』シャルル(p3n000032)はカフェに入り、クリームソーダを前にほっこりしていた。
「しゅわしゅわしてる……」
「可愛いよねぇ」
 つんつんと上のアイスをつつくシャルル。それを見ながらクリームソーダを飲んだイーハトーヴはにっこりと笑みを浮かべた。色も味も、沢山の元気をくれる飲み物だ。
「そういえばシャルル嬢、気になる夏の装いには出会えた?」
「ううん、まだ。イーハトーヴは?」
「俺もなかなか」
 シャルルは選ぶものが多すぎて。イーハトーヴは――好きな系統が見つからなくて。
 そう、今年は浴衣が気になっていたのだ。けれどメンズの浴衣はどれも落ち着いていたり、格好良かったり。中々うまくいかないものだとため息をついたイーハトーヴ。その言葉を聞いたシャルルは思案を巡らせる。
「可愛く、かぁ」
「このまま悩んでいるうちに、機を逃しそうな……あはは。そうなったらまた次の機会まで考えるけれどね」
 何かアイディアが無いのものか。そう零した彼に、シャルルはぽつりと零す。
「重ね襟、とか?」
 その言葉に聞き返すイーハトーヴ。何でも、女性浴衣の襟の下に挟む襟らしい。男性浴衣にもつけられるのでは、と言ったシャルルの目の前でイーハトーヴがそわそわし始める。
「シャルル嬢、あの、」
「うん。行こうか?」
 次と言わず、良い今夏を迎えるために。

成否

成功


第1章 第5節

アリシス・シーアルジア(p3p000397)
黒のミスティリオン
アレフ(p3p000794)
純なる気配

「今年もこの様な時期か」
「はい。去年は、催しとしては海向こうの神威神楽で行われていましたが……」
 『純なる気配』アレフ(p3p000794)の言葉に頷きながら、『黒のミスティリオン』アリシス・シーアルジア(p3p000397)は特設会ブースを見渡す。
 練達・再現性東京。ある異世界を模したその地は、今や水着と浴衣の準備が盛んに行われていた。一昨年は海洋、去年は神威神楽だったが、今年は練達かもしれない。
(この行事が催される事に違和感も感じなくなったな)
 アレフはこの地に召喚されて早数年。見慣れない行事であったこれも、すっかり馴染みあるものとなっている。故に、ほどほどに自身も楽しむ心算だった。
 こういうものは買って身につけるだけが全てではない。見て楽しむのもまた一興。気に入ったものがあれば買えば良いのだ。
「アリシスはどうするんだ?」
「水着、ですか? 私の?」
 問われたアリシスは目をぱちりと瞬かせた。買おうなんてそんなこと、思いもしなかったと言わんばかりに。
(水着というものを着た事は、記憶している限り――率直に言って、無い)
 それは時に時代的なものであったり。
 それは時に地域的なものであったり。
 それは時に経歴的なものであったり。
 理由は様々であるものの、その様なものを身につける習慣も、状況もなかったのである。
 そして今も必要に迫られている、というわけでは無い。
「今のところ、特には。……アレフ様は用意なさるのですか?」
「そうだな、1枚くらいは買ってみるか……とはいえ、店員に話を聞いてみなければならないだろうが」
 買う気はある。しかしその良し悪しや、似合うか否かは自身でどうにもわからない。アレフはそう答えて、アリシスの視線に気づいた。ほんの少し、意外そうな視線だ。
 実際、買ってみたとしても泳ぎに行くとは限らないだろう。買って着て、満足してお仕舞いかもしれない。だが。
「楽しい未来に想いを馳せるは健全な事だろう? 勿論――個人的に、君の夏の艶姿を見たいという下心はあるが」
 さらりと告げられたその言葉に、アリシスは目を丸くした。彼は自身の水着姿を望んでいると、臆面なく言っているのである。
(どちらでも良いと言えば良いのですよね……)
 着たくない理由があるわけではないし、一昨年にはサマードレスなるものを着てみた事もある。ならば、今年だって。
「……折角ではありますし見るだけ見てみましょうか」
 ――見て楽しむのもまた一興。気に入ったものがあれば買えば良いのだ。

成否

成功


第1章 第6節

炎堂 焔(p3p004727)
炎の御子

「フレイムタンくん! 買い物付き合ってくれない?」
「……詳しくはないが、良いのか?」
 胡乱な顔をする『焔の因子』フレイムタン(p3n000068)に、『炎の御子』炎堂 焔(p3p004727)は「大丈夫だよ!」と力強く頷いた。
「ボクもね、毎年迷っちゃって……フレイムタンくんはどんなのがいいか聞いてみたいんだ」
 こっちこっち、と女性水着のブースへ腕を引く焔。フレイムタンの姿は目を引くものの、他にもカップルで見に来ている客がいないわけではない。
「……多い、な」
「でしょ? こんなにいっぱいあるし、ボクの世界にはなかったんだよ!」
 助けて! と言わんばかりに両手を合わせる焔。大胆なデザインは恥ずかしいので、その他で何かあればとのご希望である。
「確かに、焔が着ても……いや、なんでもない」
「フレイムタンくん??」
 むぅ、と焔が頬を膨らませると、フレイムタンが苦笑を浮かべ、1着の水着を手に取った。
「いや、すまない。焔はこういう方が似合うと思ったんだ」
「こういうの? そっかぁ……じゃあ、ちょっと試着してみるよ!」
 彼の選んだそれを受け取り、意気揚々と試着したへ向かう焔。ボーイッシュで鮮やかな色合いの水着は、着るだけでワクワクしてきそうだ。
「フレイムタンくん! どうかな? 似合ってる?」
 シャッとカーテンを開けた焔に、フレイムタンは目を丸くするも。その口元は柔らかく、弧を描いた。

成否

成功


第1章 第7節

伏見 行人(p3p000858)
北辰の道標
ラクロス・サン・アントワーヌ(p3p009067)
ワルツと共に

(無理をしていないといいんだがなあ)
 『北辰の道標』伏見 行人(p3p000858)は先ほど別れた『ワルツと共に』ラクロス・サン・アントワーヌ(p3p009067)のことを思う。水着を選ぶと張り切っていたが、常の彼女を思えば一抹の不安を覚えると言うもの。
 だって、彼女は『王子様』で在りたいと振る舞うのだから。
 一方の行人はといえば、ハーフパンツタイプの水着をサラッと選んでおしまい。女性に比べたら種類も少なく、男性の水着選びなんてこんな物である。
(浴衣もついでに見ておこうかな)
 水着に比べれば浴衣の方が多彩だろう。しかしやはり、行人としては奇抜なデザインよりも落ち着く和柄が一番だ。見慣れているのもあるし、似合うことがわかっているのだから。
 布地を体に当ててみたり、陳列された小物を見たりと時間を潰す行人だが、流石にそれも限度がある。きっとまだ彼女はいないだろうと思いながら、彼はブースを出た。
(決める勇気が女性には必要だと思うし……)

 ――そうして心配されている、アントワーヌはと言えば。
「こ、これは……!」
 試着室の中でワナワナと震えていた。
 行人と夏に遊びに行くつもりで訪れたは良い。しかしアントワーヌは水着を着たことがなく、まあ当然ながら似合うものも見当がつかないといった有様であった。
 故に。自身の感性に任せるのではなく、助言のプロたる店員に任せたのだ。
 そうして張り切った店員が選んだものを試着室へ持ち込んで――今に至る。
(み、水着って思った以上に露出多いというか女の子らしいんだね……!?)
 クロスホルダーのビキニにパレオが付いた水着は、他のより肌を見せるものに比べたら良心的、ではあろうが。それでもアントワーヌからすれば心許ないことこの上ない。これでは少なくとも『王子様』にはならないだろう。
 しかしこれを選んだのはプロである。さすがに変な格好ということはあり得ないはずだ。
 アントワーヌは――意を決した。

 ブースを出ると、そこでは所在なさげに行人が待っていた。『お姫様』を待たせるつもりなど毛頭なかったというのに、これでは王子様失格である。などと脳内反省している間に、彼が気づいて手を上げた。
「いいのは買えたか?」
「う、うん! あのね私、こんな水着、……?」
 不意に行人が自らの唇へ人差し指を立てる。不思議そうにアントワーヌが視線をやると、彼は小さく笑った。
「行く時直接見せてくれよ」
「……もう!」

 ――お楽しみは、夏までとっておこう。

成否

成功


第1章 第8節

古木・文(p3p001262)
柴犬さんのお散歩マスター

(やはりというか、凄い人気だなぁ)
 水着・浴衣ブースを尻目に『踏み出す勇気』古木・文(p3p001262)はそこを通り過ぎようとしていた。
 気にならないわけではない。ないのだが、如何せん先日のトラウマから心が回復しきっていない。人の波とはR.O.Oでも現実でも恐ろしいものなのだ。
 百貨店の中をぶらぶらと回りつつ、文房具屋を見て無意識に足が進む。買い物の予定がなくとも入るのはもはや癖だ。
(……へえ、こんな栞があるんだ。あっちは……)
 いつも見ないような面白い品を見れば自然と足は止まるし、時間はあっという間に過ぎていく。そうして大体は文房具屋の近くに位置する本屋へ吸い込まれていくのだ。
(出かけた時に読む本を買い足しておかないと。あ、来客用の茶菓子も切れてたな……)
 ぶらぶらして、カフェに寄ったら帰ろうという心づもりだったが、こうして歩くと存外買い物が増える。そうして商品を見て、すっかり夏だなあと思うのだ。
「こんなもんかな」
 想定より長く歩き回って、満足感と疲労感がやってくる。今度こそカフェだと文はまた歩き出した。

成否

成功


第1章 第9節

炎堂 焔(p3p004727)
炎の御子

「フレイムタンくん、今日は付き合ってくれてありがとう!」
「構わん。助けになったならいいが……焔は変わらず、元気だな」
 苦笑を浮かべる『焔の因子』フレイムタン(p3n000068)に『炎の御子』炎堂 焔(p3p004727)はあっと声を上げる。中々しないことをして疲れさせてしまったのかも。
「そこのベンチで休憩にしようよ。付き合ってくれたし、飲み物ご馳走するね! フレイムタンくんは何がいい?」
「いや、そこまでしなくても――」
「気にしなくていいよ、だってまだこの後も色々お買い物に付いてきて貰わなきゃだもん!」
 焔の返しにフレイムタンがぴしりと固まる。
 まだ? この後も? 色々??
「……焔、これで終わりではないのか?」
「えぇっ、付いてきてくれないの!?」
 驚愕する焔。マジかとこちらも驚愕するフレイムタン。両者に沈黙が下りる――までもなく焔が畳みかける。
「せっかくここまで来たんだし、全力で楽しまないと勿体ないでしょ?」
 ビーチサンダルも欲しいし、大きな浮き輪とか、アクセサリーとか。とか。用意したいものはまだまだあるのだ。
「……仕方あるまい。乗り掛かった舟だ」
「やったあ! というわけで今日は1日よろしくね、フレイムタンくん♪」
 意気揚々と飲み物を買いに行く焔。フレイムタンはこの1日が長くなる確信を感じ、空を仰いだ。

成否

成功

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