シナリオ詳細
インフォーマー・ワークス
オープニング
●
「先の反乱での対応、お疲れ様なのです」
いつもより、やや表情を固くして『新米情報屋』ユリーカ・ユリカ(p3n000003)はぺこりと頭を下げる。
彼女曰く、『蒼剣』レオン・ドナーツ・バルトロメイ(p3n000002)をはじめとするローレットの情報屋各位でサーカスとの関連性を調べているのだそうだ――無論、市井でも『サーカスのせいだ』という声は上がっている。
ローレットからはフォルデルマン三世へと国内の混乱を脱するためのサーカスへの対応を直訴しに行く手筈になっている。
「サーカスがシャルル・ディジェムなのはみんなもご存知の通りよね。
勿論、サーカスの影響が濃いのだと疑ってる特異運命座標(あなた)達が居るのも理解している。だからこその対応よ」
『色彩の魔女』プルー・ビビットカラー(p3n000004)は<幻想蜂起>の様子を見るに、大量召喚の頃よりも格段に特異運命座標の戦力が向上しているのだと褒め讃える様に告げた。
プルーの声を聞きながら『小さな守銭奴』ファーリナ(p3n000013)はぱちりと瞬いた。
「そうですね! 皆さんは格段に強くなっています! でも、まだまだ召喚は続いてますから……」
「その為の戦力強化が今回のお仕事の情報ってことだよね!」
『若き情報屋』柳田 龍之介(p3n000020)はファーリナの言葉に大きく頷いた。幼い少年はプルーの言葉を促す様に、資料を手にした彼女を見遣る。
曰く、状況としては簡単だ。
<幻想蜂起>経て、国王に直訴することを方針決定したローレット。
その為に、多数の特異運命座標の力が必要となるだろう。
今回の反乱の如く、大きな戦いが起こる可能性も今後秘めている――その為に、ローレットでは新人特異運命座標と情報屋の交流を兼ねての戦力底上げを行いたいのだそうだ。
ローレット・トレーニングと毛色は違うものだが、折角の機会だ。
「私達の仕事を手伝って欲しいの。それと一緒に実践的なトレーニングをしましょう?
ローレット・トレーニングだと訓練場を使用しての事だったでしょう。今回のフィールドは」
「……外っすか」
死にそうな顔をして『サブカルチャー』山田・雪風(p3n000024)は「マジすか」と呟いた。
「ありますよね、先輩と実践するって……プリプリ2第2期第5話にあったあった」
「プリプリ……?」
こてりと首をかしげて『Vanity』ラビ(p3n000027)は雪風を見遣る。幼いうさ耳少女には現代日本社会のサブカルチャーはよくわからない。
「私達と一緒に、おでかけしてもらう……ってことですよね?」
「そうだね。俺達が情報を集めに行くのも危険がいっぱいなんだ。だから、俺達情報屋の護衛をしてほしい」
『黒猫の』ショウ(p3n000005)が提示したのは野犬の多い道を行くという事や、情報の収集の為に貴族たちと話す機会があるという事だ。
「勇者たる私はどうすればいい!? 素直に守られるのか!?」
『小さな勇者』ベリィ・リトル・ブレイブ(p3n000017)は瞳を輝かせる。無論、赤い勇者は戦うことはできるが、今回は特異運命座標たちの戦力増強だ。
「淑女は素直に守られるべきでしてよ!」
『クソザコ美少女』ビューティフル・ビューティー(p3n000015)の言葉にベリィは「成程!」と大きく頷いた。
騒がしいとお思いだろうか。これが普段のローレットの様子だ。情報屋達は互いに情報をやり取りし合い、しっかりと情報を共有している。
「先輩達と冒険できるなんて楽しいですね! ×××××」
意味の分からない神様の名前を口にして『可愛い狂信者』青雀(p3n000014)はきらりと瞳を輝かせる。ギルオス・ホリス(p3n000016)は彼女達の様子に微笑みショウへと資料を手渡した。
「今回はこの情報を得に行こうかと」
「ああ、じゃあ僕も貴族たちから仕事の情報を得に行きたいかな」
『L.Lの立証者』ヴァン・ルドゥレジィ(p3n000019)は「特異運命座標(きみ)達が居ると、良い情報が得られそうだ」と柔らかく微笑んだ。
『蒼の貴族令嬢』テレーゼ・フォン・ブラウベルク(p3n000028)は領民を護るための依頼を提供することもあり、領地の見回りを行うのもよいだろうと大きく頷いた。
「ふ~~~~。成程……いい……あ~~~~……いい感じ」
語彙力を失ったオタクの様な雰囲気でアレス D フェイスレス(p3n000018)は口元に手を当てた。
「……そ、そうね。良い感じね。皆と仕事が出来るならとても楽しいわ」
『黒耀の夢』リリィ=クロハネ(p3n000023)はアレスの様子に肩を竦め、簡単な仕事の対応を共にできるのは情報屋としても楽しいと頬を緩めた。
「さて、そろそろ仕事を始めようか。―――ああ、麗しの方はこちらに」
『蛍火』ソルト・ラブクラフト(p3n000022)の口にした麗しの方が誰なのかは、閑話休題。クルール・ルネ・シモン(p3n000025)は資料を纏め、ローレットの外へと向かう。
「それじゃ、宜しくお願いしようかな。何、簡単な仕事を一緒にこなすだけだ。
……王様の直訴でも忙しいんだろ? 真面目に誠実に、今後の為の情報を集めようじゃないか」
ひらりと手を振って、『博愛声義』垂水 公直(p3n000021)は歩き出す。
さて、此度のオーダーは『情報屋』の護衛だ。情報屋達はそれぞれの仕事を行い始める。
特異運命座標(あなた)は彼らと共に何をする―――?
- インフォーマー・ワークスLv:4以下完了
- GM名夏あかね
- 種別イベント
- 難易度VERYEASY
- 冒険終了日時2018年05月27日 21時05分
- 参加人数117/∞人
- 相談7日
- 参加費50RC
参加者 : 117 人
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参加者一覧(117人)
リプレイ
●ユリーカ・ユリカの楽しい情報屋生活
新米冒険者に送る『実践訓練』――そう謳って見せたユリーカは今、背後から迫る気配に怯えていた。
それもその筈だ。シトリンクォーツの際には彼女は調子に乗った。実の所、ローレットのギルドマスターたるレオンはユリーカの父(兄)代わりと言ってもいい。
ローレットの創設の際に偉大なる情報屋エウレカ・ユリカの一人娘であったユリーカは共にローレットを切り盛りするレオンと共に育ってきたからというバックボーンがあるのだ。だからこそ、勝手にお金を拝借して……という荒業を繰り出せたわけだが――そんなの関係ない。はたから見れば衛兵さんの御世話になる所だ。
「ぼ、ボクは案外真面目なのですよぉ」
泣き出しそうな顔をしたユリーカに 『水晶のような物体』マテリア・ライク・クリスタル(p3p002592)は首を振った。
「行動力は十分認められるし、素養もあるが、『衛兵さんの御世話』にはなりたくないだろう?」
「ぴええ」
肩を竦めたユリーカに 『剣狼』すずな(p3p005307)は「大丈夫ですよ」と柔らかに笑いかけた。初陣となった彼女は馴染みの情報屋がいない。
まだまだ慣れない仕事ばかりだがこうした機会を得られたのは彼女にとっても何よりもうれしいことだ。狼の耳を揺らしたすずなはユリーカがパニックにならない様にと気を配る。
「剣の扱いには自信が有るので安心して下さいね、ユリーカさん!」
「はいなのです! 情報屋は危険がいっぱい、皆さんを頼りにしているのですよ」
新米――ドジッ子――情報屋は輝かんばかりの笑みを浮かべる。『七星団』の一員としてユリーカの護衛を担う『ポストランナー』クォ・ヴァディス(p3p005173)にとって戦力強化というのはあまり興味もない。
「道のりは、遠いかなー??」
「そういや、この道って何か出るって噂のような??」
『鉄壁防御騎士』有馬 次郎(p3p005171)は首を傾げる。持ち前の鉄壁さを武器にしたいところだがそれ以外の技能も得たいというのが本音だ。
首を傾げた次郎にユリーカは「な、何がでるのでしょうか」と不安げ。盾で守るよと言う次郎の言葉にユリーカはほっと胸を撫で下ろした。
「野犬が出るんだろうか? 俺様も『天敵』には会いたくないけどさ」
何が出るのかという言葉には触れないまま 『カンガルーボクサー』ルー・カンガ(p3p005172)は小さく息をつく。
七星団のメンバー四人、危険な通路を攻略できると『小さい体に大きな勇気を』ホリ・マッセ(p3p005174)はふん、と胸を張った。
「出てくるのはゴブリンだ! 先手必勝、コレでも食らえ!」
飛び出すホリを追いかけてクォが飛び込んだ。ユリーカの前で縦役となる次郎をちらと見遣りルーは一撃をお見舞いする。
「やれやれ、ゴロツキもこんなに歩いているとはな」
名乗り口上を一つ。口元に笑みを浮かべたクロエ(p3p005161)は動物疎通を使用して得た情報からユリーカが向かわんとしている目的地に至るまでにゴロツキが存在していることを知っていた。
殴りつけたクロエが一歩下がる。クソォと声を荒らげるゴロツキと『鬼平』柳 喜平(p3p005335)の視線がかち合った。
「いやいや。いやいや、いけませんなぁ、こんな幼い子供に暴力を振るおうなどと……」
そういいながらも瞳は笑っている。ちょうどいいタイミングで喜平の前には『敵』が現れたのだ。しかも遠慮は必要ない。
「ユリーカ、守ってあげるよぉ」
ぐへへ、と笑った『壊れた楽器』フルート(p3p005162)は街で聞き耳を立てて得た情報をユリーカに提供しながら全力攻撃を放つ。
「あ、あとでさ、いいお店とかあったら食べに行ってみようよ! 腹が減ってはなんとやらっていうよねぇ?」
「は、はいなのです!」
こくこくと頷くユリーカ。戦うのはあんまり好きじゃないという『表裏一体』ミラ・エイノス(p3p005136)は一連の攻防が終わった後、ユリーカの護衛についていた面々にそっとお茶とお菓子を差し出した。
「ふふ、原っぱでのんびりするのもよくないかしら? とってもとってもステキね」
このままポカポカお天気の下でお昼寝してしまいたい――そんな気持ちのミラにフルートはうんと頷く。勿論、すずなやマテリアもそれには賛成したい……が、仕事中なので今回はあきらめモードだ。
「いーつーかーきーっとーぼくらはあるきだすーよ~♪」
楽し気に謳う『寄り添う風』ミルヴィ=カーソン(p3p005047)はそういえば、とユリーカを振り向いた。
「そそ最近パンツ騒ぎパンツパン略してパンパンってパンが新しいブームらしいよー?」
「ぱんぱん……?」
ぱちくりと瞬くユリーカにミルヴィは「そうだよ!」と微笑んだ。解凍大作戦も楽しかったし、と笑いかけ、ゆっくりと立ち上がった視線の先には敵。刃の輪舞をお見舞いしてやろうと彼女はゆっくりと構えを整えた。
「ユリーカ、立って。ほら、ちゃんと必要なものは持ったか? 忘れ物は? 段取りは?」
「ええと、ええと、だ、大丈夫です」
一応でも自身で情報を取得する情報屋たち。なんだか見ていると心配になるのだと ニア・ルヴァリエ(p3p004394)はユリーカの様子を眺めた。
勿論、ユリーカだって普段はへらりと笑っているが情報屋だ。それでも、なんだろうか――やっぱり、心配なのだ。
くすくすと笑った『海淵の呼び声』カタラァナ=コン=モスカ(p3p004390)の見たいものは「ぶええ」と泣いていたユリーカの泣き顔。
街道を抜けて幻想の小さな村へとたどり着いたユリーカ一行の中でカタラァナは楽し気に謳いだす。
♪――へうれーか へうれーか
すべてをしってる かしこきひとと
すべてをしらぬ おろかなものの
しらぬことのおおさには
なにがちがう なにがちがう――♪
その歌声につられて現れたゴロツキを目にして『焼滅の魔人』フィーゼ・クロイツ(p3p004320)は肩を竦めた。
微かな異変でも判じとると言うフィーゼはユリーカに近寄るゴロツキへと一撃放つ。情報屋だと気づけば、邪魔者扱いするものも多いものだ。そして、幼い少女の外見をしているのもユリーカにとっては不利に働くのかもしれない。
遊撃手として息を潜めていた『雷迅之巫女』芦原 薫子(p3p002731)は軽やかに地面を蹴り勢いのままにゴロツキへと一撃放つ。
その身を反転させ、その様子を眺めれば、憤慨したゴロツキが地団太を踏んだ。
「あなたたちの相手は一人ではありませんよ」
「そうよ。護衛を担っているの。女の子だからってそういうことしないでちょうだい?」
ふん、と鼻を鳴らした『薔薇の』エリーザベト・ブライトクロイツ(p3p001083)。情報網を駆使し、この辺りはゴロツキが多いことをエリーザベトはよく知っていた。
きゃぴっと笑顔で『真封将汝』真寺狩流・季楽鈴(p3p001917)は「ねぇねぇ☆」とゴロツキへと近寄る。
「でも魔法が使えない魔法少女なんだぁ☆
どうしてそうなのか、正直僕にはわからないけど……そういう魔法少女もいるんだよね?」
「えっ?」
「答えてよっ☆」
魔法少女・季楽鈴はぷくと頬を膨らませる。どう見てもかわいいが彼は30代の男性なのだ――その様子を興味深そうに見つめる『千年紀のリフレイン』ミレニア(p3p002579)。
自分以外の特異運命座標の存在は新しい。魂の輝きを見ることができるとミレニアはゆっくりと頷いた。
さて、情報収集やゴロツキ対応を終え、ひと段落したころだ。『流るること、儚幻の如し』鳶島 津々流(p3p000141)はユリーカを招き茶会を開こうと計画していた。
「情報の整理も手伝うし! 実の所は僕、あまりまだ実戦は得意じゃなくて」
呈茶のスキルを使用してのんびりと得た情報を共有しようと提案する津々流。そういうのだってアリだ。
何より、トラブルメーカーの情報屋だ。のんびりと楽しむのだってありだろう。
●リリィとラビの山道探索
「これはまた……元の世界では見かけないような方です」
興味深いといった様子でラビを見つめた『宿す竜身』レイルディア=F=エクシヴ(p3p005183)。情報屋たる少女はぴこりと耳を揺らして首を傾げる。
「そう、でしょうか?」
「はい。ああ、頼りにしていますよ。しっかりと守って見せますし」
その言葉にラビはこくりと頷く。ラビを見遣ってから 『神速』ラビ(p3p005205)は「同じ名前ってのもあるんだね」と頬を掻いた。
「それにしても、名前が同じっていう偶然、あるんだねぇ……あたしは適当に名乗ってるだけだけどさ。
これが奇跡ってやつかねぇ? ま、だからついていこうと思ったわけなんだけど」
二人のラビが揃っている様子は珍しい。これからローレットで共に仕事をすることになるのも数奇な運命だ。
「獣耳繋がりってことで……えへへ、よろしくねラビさん!」
にんまりと微笑んだ カシミア(p3p005160)。怖いのが来ない様にと遠術を使用しての戦法を駆使居するカシミアは誰かの護衛って初めて、と心躍らせる。
ウサギを召喚すれば喜ぶのかしら、とちら、とラビを見遣ってから『ツンデレ魔女』ミラーカ・マギノ(p3p005124)はウィッチクラフトで『魔女と言えば鴉よね』と上空の偵察を行う。
周辺に何らかの不安がないようにとミラーカが気配れば、どこからか獣の気配を感じ取りじり、と彼女は後退した。
「さすがは山道ね。獣の気配がするわ。ウサギだから狼さんがあらわれたのかしら?」
「どんな敵が寄ってきてもうちが何とかしたる!」
楽しい戦いになるだろうと『超軼絶塵』疾風(p3p004886)はラビを振り返る。闘争が大好きだという彼女はパカダクラに手伝ってくれとひらりと手を振った。
「道中話したいこともあるし、ラビはパカダクラに乗っといて」
頷くラビがパカダクラにつかまる。一方で出現した狼を食べることができるのだろうかと『饗宴の悪魔』マルベート・トゥールーズ(p3p000736)の心は踊っている。
勿論、「護衛に万全を期す」が一番だが新鮮なジビエを食せるまたとない機会だ。
ひげを撫でつけて『リッチ・オブ・リッチ』諏訪田 大二(p3p001482)はラビ嬢と笑みを浮かべた。
「お嬢ちゃんは情報が好物じゃな。
であれば、ワシの持つ情報網、情報紙の情報をたらふく食べるがよい。
人生経験で選び抜いた、善悪虚実織り交ぜた情報は一味違うぞ。
B級グルメ、デートスポット、レオン君の悪口、等々」
「悪口?」
その言葉に疾風がぱちりと瞬く。ローレットではなかなか聞くことのできないような情報だという大二にラビもそうですね、と頷いた。
「ラビ殿、ラビ殿、お聞きしたいことがあるのじゃが」
耳をぴょこりと揺らして『迷子の迷子の』稲荷・紺(p3p002027)は首を傾ぐ。この世界には来ていない紺の主人――しかし、来ていればと願ってやまない存在。
「コンの主様を知らないだろうか」
「……ごめんなさい。その、あまり知らないかも」
そうかあと耳をしょぼりと落とせど、紺は共に警備を行おうと楽し気に笑みを浮かべる。
狼の対応を行っていた『貫く想い』星影 瞬兵(p3p004802)はマジックフラワーを駆使して、情報屋に近づく敵の排除を行っていた。
その表情が心なしかうれしそうなのは瞬兵と共に『二重旋律』星影 霧玄(p3p004883)が傍に居るから。恋人と過ごせる時間は何よりも尊いものだ。
前線でマークし、狼の行く手を遮る霧玄との連携は目線一つだ。討伐を完了し、ハイタッチを交わしあう二人の表情には笑みが浮かぶ。
前を行くリリィ・クロハネを護衛しながら 秋空 輪廻(p3p004212)は共に彼女を護衛する面々の戦いぷりを見たいのだと視線を揺らした。
輪廻にとって死んだ姉にも似た存在たる彼女の攻防をひとしきり眺めた後「お疲れ様」と彼女は前へと出る。
「じゃあ、次に出て来た敵は私が引受ましょう」
とりあえず狼や犬には負けないという 『旅人』辻岡 真(p3p004665) にとって、リリィの格好は姉を思い出す。
「目を瞑ってて。すぐに終わらせるから」
彼女を背に庇う様に立った真は襲い掛かる野犬をすべて退けるように棒術で応戦した。
「もう、大丈夫。さあ、行こうか」
木々の合間を縫って歩みながら、深い森に入り込んだ『雲雀』サンティール・リアン(p3p000050)は『星見の娘』エステル・エル・エレンターリ(p3p001692)とリリィを振り返る。
「どうしよう、迷っちゃったみたい……うわ!」
「きゃ、サティさん! 大丈夫……?」
転ぶサンティールの頭に振り下ろされた木の杖。周囲を取り囲む妖精たちはみんなどこか拗ねたような雰囲気だ。
「え? 幻想種の子どもが何しにきたんだって?
ちがうの、僕たち森を荒らしに来たわけじゃないんだ……ね、よければ案内してもらえないかな!」
その言葉にひそひそと話し合う妖精たち。通行料の『お菓子』を渡すからとエステルがカバンの中を探している中、リリィは「妖精が出てくるなんて、珍しいわね」と瞬いた。
「うん。偶然だと思う……。妖精は悪戯好きだし」
「そう、ですね……今は薄荷糖くらいしか」
これでいいかしらと差し出すエステルに妖精たちは喜び行く手を開く。さあ、これからどこへ行こうか――?
●大人な情報屋の優雅な毎日
「やあ、今日は一日よろしくね」
『黒猫の』ショウの言葉に 『機械仕掛けの鬼』リウハ=ベルリネイト(p3p000653)はこくりと小さく頷いた。
気配を遮断し、先導するリウハは的確に敵を穿つ。その背後では賑やかな『ニャンダー』な世界を展開する『自由気ままな蒼猫』メルティス・ルルナ・エンディルク(p3p000982)が楽し気に尾を揺らしていた。
「あっ、猫達のエサ代は今回の報酬から頂いていくにゃ!」
情報収集はショウにお任せ。そうして笑うメルティスは首をこてんと傾ぎショウの袖をくいと引く。
「お相手、あたしの胸を見てるけどどうしてにゃのかな?」
びくりと驚いたように肩を揺らした相手。ショウは「なんでだろうね」と素知らぬふりをして首を傾げる。
「ははは。大丈夫さ。交渉なら僕に任せて呉れ給え」
礼儀作法は勿論のこと、カリスマ性と美しい容姿を得た『麗しの王子』クリスティアン=リクセト=エードルンド(p3p005082)は王子としての才覚を十分に利用していた。
今回の情報収集の相手は貴族だが、彼は十分にひねくれている。クリスティアンとメルティスを見遣った後に貴族は「戦力を試そう」とショウに提案した。
「やれやれ、面倒なことになったな」
「それでも護衛の人数に事欠かないのはショウの旦那らしい」
熊だろうがなんでもござれだと 『同胞殺し』猟兵(p3p005103)は手を打ち合わせる。付かず離れずの位置でカヴァー役に回っていた猟兵にショウは大きく頷く。
「みんなのおかげだね――さて、何が出てくるかな?」
「熊だろ」
その言葉に『ふわふわにゃんこ』小鳥遊・鈴音(p3p005114)はくすくすと笑う。彼女がショウの護衛についているのは己と同じ匂いが――猫化の気配がしたからだ。
「あ、あぅ……がんばってお守りするのですぅ」
耳をぴんと立て、尾を揺らす。鈴音はやる気を見せるように「えいえいおーですにゃ~」と拳を振り上げた。
「ショウさんはちゃんと鈴音がお守りしますにゃ~」
『夕闇の孤高』烏丸 織(p3p005115)は貴族の放つ野犬をみやり肩を竦める。めんどくさいとは言ってられない――か。
「俺は烏丸、烏丸織、シキって呼んでくれ、宜しく頼む」
照れくさそうに鼻の下をこすってはにかむ織にショウは「よろしく頼むよ、シキ」と大きく頷いた。
「さて……と、おっぱじめようか。どっからでもかかってこいよ、お犬さん」
だん、と地面を踏みしめて『死神使い』音所 輪華(p3p005154)は野犬の元へと飛び込んだ。ショウはどこか自身と雰囲気が似ていると輪華は感じていた。
――もしかしたら、早死にするのかもしれない、なんて。
「私の死神の力、見せてあげる……いいニュースになるでしょう?
ああ、けれど、歯ごたえがなくっちゃ私の死神も満足しないわ。もっともっと――!」
――歌う様に歩みながら色彩をすべてに例えてプルー・ビビットカラーはくるりと特異運命座標を振り仰いだ。
「まぁ、珍しいと思うが、この道を通るんだな?」
「ええ、そうよ」
にこりと微笑んだプルーに『狼王の末裔』ロビ・シートン(p3p001967) は橋が架かってないと小さくぼやいた。
雨で橋が崩れてしまったのだろうかと 『とんでも田舎系灰色熊』ワーブ・シートン(p3p001966)は己の頭をくしくしと掻いた。
「おいらって、グリズリーだしぃ、軽く何とかできるけどねぇ……
あ、橋が造らなくちゃと……とまぁ、とりあえずぅ、守るんですよぅ」
橋をかけて向かう先はその向こうの村だ。プルーの情報収集を助けると 『特異運命座標』サクラ(p3p005004)は張り切っていたが――どうしてこうなったのか。
「うう……」
酒場で将棋を打つサクラ。その状況は奇怪だ。俺に将棋で勝てば情報をやるだなんて、そんな『いじわる』ひどいではないか。
「私、コマの動かし方ぐらいしかわからないんだけど!」
「あら、大丈夫よ。バタフライ・イエローのように輝いているわ」
「わからないんだけど!」
半分涙目のサクラを応援するプルー。お忍びで酒場にやってきていた貴族はその様子にくつくつと笑っている。
『足女』沁入 礼拝(p3p005251) はプルーが対面する貴族に対して色名で話すことを把握していたかのように『翻訳』している。
「それで、グリーシァン・オリーブね」
「ええと……『雲行きが怪しいわね』と」
スキルである性的魅力も駆使しながら礼拝はプルーと共に貴族に対面する。
(私が捧げられるのは常にこの身一つ……望まれれば惜しみなく与えるのが私の責務ですわ)
その難解な言葉使いに貴族が笑いだせば『調香師』ジルーシャ・グレイ(p3p002246)も興味を持ったようにプルーに「それじゃあアタシの香りはどんな色?」と微笑む。
「是非聞かせて頂きたい」
「貴族様もこう言ってるわ。プルーはどんなものも色として感じるでしょう?」
ジルーシャの纏うのは花の香。春と夏の狭間を感じさせる柔らかなその香りをプルーは「シェル・ピンクだわ」と笑みを零した。
ハーブの香りの効果もあってか緊張の和らいだ貴族に「ハァイ、今のきいた? 素敵な香りよね」とジルーシャは笑みを零す。
情報は得られた。負けてしまったと泣いているサクラに大丈夫よと笑みを浮かべ、酒場を後にすればもう日暮れの頃。
女性の一人歩きは危険だと『永久の罪人』銀(p3p005055)はプルーの護衛を担っていた。
「この世界に来て少し経つが、まだまだ知らないことが多いのも事実。
雑談を兼ねて、貴女からみた世界の流れであるとか今後の情勢の予測であるとかをお聞かせ願えたらと思うのだが……。
……或いは面白かった依頼や事件とか」
「翻訳いたしましょうか」
それって、楽しそうね。とってもロマネスクだわ、なんて。銀は僅かに首を傾げた。
●旅人的思考回路
どこか似た世界から来た気がすると『特異運命座標』西園寺 姫乃(p3p005034)は山田・雪風と共に歩んでいた。年齢を踏まえれば普通の高校生的な会話にあんるだろう。
「山田君の世界では何が流行ってた?」
「あー……リア充系の女子の間では写真映えするカフェ行くとかじゃないっすかね」
頬を掻いた雪風に姫乃は彼が『そっち系の人間ではない』事を外見から悟ったかのように「なるほどね」と小さく笑う。
「アニメ? アニメの話をすればいいのかしら?」
俗物らしいからと『angelos』パトリシア(p3p005164)は首を傾げる。アニメという単語に反応した雪風の表情は驚きそのものだ。
「ライトヒールしてあげるからさっさとお外に出て欲しいわ。ほらほら」
「え、えー……」
たじたじの雪風に小さく笑い 『禍斬りの魔眼』キリカ(p3p005016)は護衛の準備を整える。彼女の魔眼に興味を持ったようにぐぐいと身を乗り出した雪風は「その目」と小さく呟いた。
「カッコいいですよね、魔眼。アニメとかでも。私、そう言った物も観てましたよ?」
「っ――! 今季だったら『蒼眼のリズメイト』ってやつが魔眼物で……! あ、でも、『魔眼使いでも恋がしたい』とかもあったっすよね」
早口でまくし立てる山田。キリカはくすくすと小さく笑う。
「雪風君は、大丈夫。呪われたりしてません。でも、少し寝不足が過ぎるんじゃないですか?
サブカルを楽しむ為には、体調も万全にしないと……夏●ミだって……コホン、いえなんでも」
「今、なんと」
がた、と立ち上がる雪風。夏……とぼやいた姫乃は聞いたことがあるかもしれないなあと首を傾げた。
「あにめ? まんが? えっと……なんだか教えてもらってもいいのかしら?」
敵を倒しながら『桜火旋風』六車・焔珠(p3p002320)は首を傾げた。
「動く漫画? 漫画は知っているわ! ウサギとカエルが相撲を取る回が人気だったのよ!
雪風は何が好きなの? さっき言ってた蒼眼の……? ……それはどんな所が面白いの?」
アニメや漫画なら姫乃やキリカも知っている。パトリシアが首を傾げているがのんびりと敵を倒しながら進む一行は雪風のマシンガントークを聞きながら春アニメの話を振り返っていた。
「続きは? ねぇ、雪風。主人公とひろいんはその後どうなったの?」
『恐鳥』ゴウシ・ディアトリマ(p3p005331) にとっても非常に興味深い話だ。雪風たちの話に成程と言わんばかりに身を乗り出す。
「知らない世界の話は面白いな。漫画やアニメで、写真? が映えるカフェに行ってどうするんだ?」
「インターネットにUPしてシェアするんすよ」
難しいことばかりだ。野犬を殴りながらゴウシは成程成程と大きく頷いた。
「情報屋、この中に魔法少女はいるの……?」
「魔法少女!?」
魔法少女ではないが、魔法少女のファンの方(山田)が『魔法少女(物理)』イリス・フォン・エーテルライト(p3p005207)に反応していた。
「ええ、そうよ。私は魔法少女」
すごい、とはしゃぐ雪風の声にイリスは髪先を弄り頬を掻く。
「とりあえず、いい仕事ができるように頑張るよ。私の憧れの魔法少女に追い付くためにも、ね」
「あのー、こんにちわっす。もし良かったら僕のお仕事のお手伝いして貰っても大丈夫っすか?」
一人じゃ寂しいのだと『他造宝石』ジル・チタニイット(p3p000943)は頬を掻く。その声に『忘却信仰忘却』天音 白雉(p3p004954)は喜んでと柔らかに返した。
「ギャー! 熊っす?! し、死んだふり……する暇は無いっす!」
「熊でございます。ジルさん」
びくっと肩を揺らすジルに落ち着き払った白雉。その様子に青雀がへらりと笑っている。ぐるぐるお目目は何を思うのか。
「命まで取ろうとは思いませんがその足一歩でも踏み出して御覧なさい。丸焼きにして食いますよ」
熊が怖くないという訳ではないが表情金が死んでいるのだと頬に触れてみた白雉。熊ががわあと手を伸ばして走り寄ってくる様子にテンションを上げたのは『宵越しの金と残機は持たない』八卦(p3p003829) 。
「私もギャンブラーですから、同じギャンブルの神を信奉する貴女は捨て置けないのですねぇ!
さあさあ、一緒に神様ギャンブルとしゃれこみましょうか!」
「×××様がこうおっしゃるから、××××」
八卦は青雀に神様に祈ってくださいと笑う。「OKっす」と軽く返った信仰少女の一声。
「え? FB27? FB出さなければいいだけですから大丈夫ですよぉ!」
護衛もギャンブルの内だ。八卦のギャンブルを見ながら『天上の守護神』アレクシエル(p3p004938)はくすくすと笑った。
「自分の世界にいた神様のお話とかどうかしら?」
「神様――」
興味を持ったのか青雀は瞳を輝かせる「先輩、詳しく教えてほしいッス!」だなんて言葉を言われたならばアレクシエルだって元の世界の神様の話をしたくなるというものだ。
これからまだまだ話は続く――目の前の熊もえいさほいさと攻撃準備中だ。
『石柱の魔女』オーガスト・ステラ・シャーリー(p3p004716)は紅茶をすすり、ソルト・ラブクラフトの貴族との対話に参加していた。
「新米ですが冒険者としての目線からの意見というものあるかもしれませんしね」
「嗚呼、その通りだ」
優雅に笑った自由騎士。彼の傍らには 『サフィールの瞳』リア・クォーツ(p3p004937)が佇んでいる。
「どうも、今回もお世話になります」
そういい、リアが対応しているのは貴族が草原でお茶会をしたいといったことから周辺警備であった。彼女自身は怖い敵であれど、心優しい相手ならば共に草原で転がり撫でられるのではと考えていた。
(優しい奴だったら……まぁ撫でたりとかしてもいいかも……頭とか首回りとか……寝ころんだらお腹とかも撫でたいなぁ……)
そんなことを考えながらはあ、と深く息をつく。茶会はまだまだこれからだ。
●美少女と中年の楽しい護衛劇
「ああああああああああああ」
いけませんわ、と言うようにビューティフル・ビューティーの叫び声が木霊した。
「ビューティー!」
慌てる『のうきんむすめ』モモカ・モカ(p3p000727)の声。淑女は守られるべきだが、彼女は不幸体質だ。
「くっ……! なんでかすべての攻撃がビューティーに吸い込まれる!」
「けれど、それでも普通にしているから護衛なんて必要ないんじゃない?」
なんて、『超病弱少女』キュウビ・M・トモエ(p3p001434)が思ってしまうほどに事態はおかしなことになっていた。
むしろ、情報収集の面のほうが不安だと告げるキュウビ。ビューティフルは「おほほ」と軽やかに笑って視線を反らした。
「確かに、こんなのを放置しておいたほうが危険が広がりそうだな」
「護衛対象ですけれど!?」
心無い『EINHÄNDER』デューク・ヴァンガード(p3p004838)の一言にビューティフルが吠えた。じたじたと暴れだした彼女に静かに、とデュークが告げるが効果はない。
「護衛されっごふっ!?」
斜め45度から繰り出されたチョップは見事にビューティフルに落ちた。
「なぁごなぁご……」
熊よりも恐ろしいことがここでは起こっていた――『白砂の傀儡』ティエル(p3p004975)はその様子を眺めながらからくり人形で遊んでいる。
むろん、熊の接近を感じ取っての護衛だったのだが、騒ぐビューティフルに任せていては熊だっていそいそとやってくるというものだ。
『グリーンスライムガール』ライム マスカット(p3p005059)はこの世界のことをビューティフルに聞きたいのだと彼女に声をかけた――が、現状は大騒ぎだ。
「おほほほほ! いきますわよぉ!」
「この世界ってこんな感じの人もたくさんいるんだね?」
ぱちりと瞬くライム。「大丈夫かな」と呟く 『墓場の黒兎』ノア・マクレシア(p3p000713)の気持ちもわからなくはない。
「えっと……ビューティフルさん」
勝手な行動をしないようにとビューティフルと手を繋ぐノア。その手を繋いだことが本当に良かったと実感したのは野犬を「可愛らしいワンちゃんですこと!」と飼い犬に話しかけるように近寄って行ったことだ。
「……ビューティフルさん」
「まさか本当に野犬と飼い犬を間違えるだなんて」
平然としているビューティフル。体調のことは心配なかったのかと 『抜刀意思』春夏秋冬 明日(p3p002871)は肩を竦めて野犬の対応に走り出す。
「いきますわよ!」
「おとなしく!」
また落ちた斜め45度からのチョップにゴハァッと乙女らしからぬ声を上げてビューティフルは撃沈していた。
垂水 公直の手伝いを、とローレットで動いていたフォーガ・ブロッサム(p3p005334)はギルド・ローレットでの資料整理を担っていた。
爪は丸く削ったものの――「ただその資料と言うのが、わたしの手にはだいぶ小さく、気を抜いたら爪で破ってしまうのではないかとハラハラしました」
どうにも己には扱い辛いもので。四苦八苦しながら作業を進めるフォーガの額にも汗が滲んでいた。
「お初にお目にかかりますね、レディ」
『蒼銀の神聖騎士』コンラッド=フォン=ジンネマン(p3p001169)は恭しく頭を下げ、『宝石妖精』ラズライト・ラピスラズリ(p3p002248)の手を取った。
「うん。護衛? ははじめてだけど。ララもコンラッドもがんばる。だいじょうぶ」
レディを守るのも騎士の務めだというコンラッドと共に頑張るとラズライトは頷く。その言葉に「お任せしますよ」と公直はひらりと手を振った。
すたすたと歩き出す三人。その背後では『アルバイト』レグルス・ワンフォーオール(p3p002733)は緊張していた。
「よ、余ってば戦ったこと実はほとんどないのだが~!
でも、うむ、民草を守るのも王のつとめ。よし! タルミとやら! なんかうちの居酒屋の店長に雰囲気が似ているし、余がばっちり守ってやろう!
余の後ろに隠れてい……あっまて置いてくな! 余はわりと足が遅い!」
走り出すレグルス。コンラッドとラズライトは連携し、レグルスは王族的に民草を守るべく奮闘している。
心なしか緊張が大きいのは気のせいではないのだろう。さあ、野犬はまだまだ出てくる。
「情報によればこの辺りに出てくるみたいだ。真面目に気楽に頑張ろうか」
「うん。……ララ、がんばる」
勿論、コンラッドは盾を手に野犬からラズライトと公直を引き離す。緊張しきったレグルスはかかってこいと武器を手に震えていた。
●貴族的ムーブメント
領地の視察に赴くというテレーゼ・フォン・ブラウベルクと共に『特異運命座標』社守 虚之香(p3p005203)はゆっくりと進んでいる。
(この世界に来て日が浅いから、基本的に首は突っ込まないで大人しくしていよう。食べ物の話はちょっと気になるかな……。
多分食材も料理も想像できるか判らないし、どういうものか聞いてみるのもアリかな)
荷運び仕事を手伝いながら虚之香はちら、とテレーゼを見遣る。
貴族として茶会にも参加するテレーゼに同行していた『いつも鳥と一緒』ディジュラーク・アーテル(p3p005125)はどうしてか鳥の鑑賞会になっていることに頬を掻いた。
「おっと、鳥を驚かしてはいけませんよ。急な動きも大声もだめです」
鳥に関する注意事項を告げるディジュラーク。鳥に興味を持つ貴族たちの様子を見てテレーゼがより動きやすくなるならそれでいい。
「テレーゼ様のご家族関係はお伺いしても?」
貴族だということもあり、あまり情報を共有しにくいのもわかると『咎狗の牙』リュグナート・ヴェクサシオン(p3p001218)は言う。
兄がいるという共通点を告げればテレーゼはどこか嬉しそうに微笑んだ。
「若し薄暗いご依頼がありましたら是非とも俺まで。
直ぐに首を狩ってご覧にいれますよ? ……ふふ、冗談ですとも、ええ」
状くめかしたリュグナート。領地視察に出発したテレーゼを追いかけて『blue Moon』セレネ(p3p002267)は歩き出す。
「何か出た場合は後ろの建物の影に、隠れていてくださいね!」
道中は手を繋ぎませんか、と微笑むセレネ。手を繋ぎ歩くテレーゼのてのひらの暖かさが心地よい。
テレーゼの傍らで「御機嫌よう。わたくしは賢く可憐な賢者マリーちゃんです。お初お目に掛かります」と頭を下げた『黒き森の賢者』カルマリーゼ・セフィラ(p3p003135)。
「休息は必要な事ですわ。それにお茶会は淑女の嗜みと言います。これも訓練と思い、如何でしょうか?」
よければ茶会を、と誘うカルマリーゼ。サボり? ――いいえ、そんなことはないのです。だって、マリーちゃんですから。
「その後、領地はどうなのかしら?」
十六女 綾女(p3p003203)は柔らかに笑みを浮かべてヴァン・ルドゥレジィへと声をかけた。戦闘力にあまり乏しいけれど、と彼女が買って出たのは酒場での情報収集。
「ああ、件の。その際には特異運命座標には世話になったよ」
優雅に告げたヴァンに綾女は笑みを浮かべた。あれからどうなったのか――領土の様子は何か変化したのだろうか。
話しながら歩みだしたヴァン。その眼前に躍り出て『異界の神の守護騎士志望』エリシル・ルクレツィア・クラッド(p3p001810)は武器を携える。
「外敵排除は私が担う。ヴァン殿は怪我することのないよう、私の傍についてくれ」
移動しながらの近接攻撃を繰り返し征く手を阻む敵を遠ざける。物騒な物言いをする彼の言葉遣いをただすのもエリシルの重要な役目だ。
茶会の準備を整えたヴァンの様子に『暁月夜』蜻蛉(p3p002599)は「ねぇ」と囁くように声をかける。
「うちは、お茶しに来たんやないよ」
「殺すのはまたあとでいいさ。お茶を楽しもう」
狂った茶会だわ、と蜻蛉は肩を竦める。愛想笑いを浮かべて、彼女はむせ返る薔薇のにおいに慣れないなと息を吐いた。
ぱちりと瞬いて『自称天使』ティアブラス(p3p004950)は「私、戦闘で援護には向きませんので」と紅茶を啜る。
「えぇ、えぇ、のんびりティーを楽しみながら優雅に、大胆に、私の持つアイテムを売りつけry……こほんっ
見て頂き良さを理解して頂ければ幸いと存じ上げます」
ティアブラスは微笑む。その様子にヴァンは面白いという様にティアブラスの言葉を待った。
「安心して下さい、天使ですので。嘘はつきません、『嘘は』でございますがね」
天使は天使がルールだ。薄情と言われようと助ける義理はない。にこやかな彼女に「そういうものも面白い」とヴァンは大きく頷いた。
(この人なりに色々考えてるんは、お話聞いてよお分かったけど……)
情報収集に行きましょうと声をかけた蜻蛉。準備を整えている最中に『ふんわりおねーちゃん』メアトロ・ナルクラデ(p3p004858)は不思議そうにぱちりと瞬いた。
「えと、ローマン君とおんなじ名前の方なのね?」
「……名前、偶然ですけど同じなんですね……でも僕と違って貴族の人みたいです」
ぼそりと告げた『常闇を歩く』ヴァン・ローマン(p3p004968)。熊が出てきては危険だと対応を怠らない彼らにヴァンは大きく頷いた。
「次の目的地は? へえ……。
……ちょいとアタシに試させておくれ。なァに、【性的魅力】と【誘惑】で、さりげなァく色仕掛けするだけさ。前の世界だったら大抵のヤツはイチコロだったもんだけど、この世界ではどうかねェ」
『艶香鳥』パルファン(p3p005200) はにぃと笑みを深くする。荒事よりも説得が得意だというパルファンは頼りになる。
「っとあんまり期待スンナよな。俺ってばクソ雑魚小物悪魔になっちまってるからよ。まぁ他の仲間がいるし大丈夫なんじゃねぇかな」
ひらひらと手を振ったペッカート・D・パッツィーア(p3p005201)は「道すがらキミの話をしてくれてもいいぜ?」と笑みを深める。
情報屋とこうして話す機会も珍しい。自分の特技のことでも家族のことでもいい。理由? ただの好奇心だ。
それを満たしてやろうという様にヴァンは「そうだな、何から話そうか」と冗談めかして小さく告げた。
●楽しいインフォーマーたち
『蹴闘士』パズズ・ログサウンド(p3p005256)はお手伝いするよ、と熊相手の戦いにもやる気を漲らせる。
「無駄に殺すことはないヨ。それでも襲ってきたら仕方ないけどネ。
探索のスキルも無いから後は情報屋に任せるサ、力作業があったら手伝うカラ!」
超反射神経を使用した攻撃を繰り返しながら、背後で「はぁ~~~~~~」と声を漏らすアレス D フェイスレスを見遣る。
「あの手足はどうしたのかしら、誰かに食べられちゃったのかしら。
どんな味だったのかしら、綺麗に骨になってるし、美味しかったのかしら。
あら食べられたのとは違うの? そう、少し残念。」
『月光蝶』巫 妖蠱(p3p005193)は首を傾げながらアレスの体を眺めている。確かに、珍しい旅人らしい外見をしている。
アレスを見上げながらも、ふと、妖蠱は迫りくる野犬の存在に気づく。『愛ゆえに』ミシャ・コレシピ・ミライ(p3p005053)はアレの前に躍り出て魔術に慣れてきたかしらと回復を施した。
「あっち行きなさい! しっし!」
回復と共に攻撃役を担うミシャ。柳田 龍之介を守るように立ち回った『バーニング・レオ』レナード・バニングス(p3p004694)は防御を固めて、敵のすべての攻撃を受け流す。
前を行くベリィ・リトル・ブレイブと共に戦う『流浪の騎士』クロガネ(p3p004643)は生存優先、専守防衛、と告げた。
「……本当は立ってるだけでいいやーって言う怠慢からだったんだけどな。盾を手に取ったのは。それでも、傷付く誰かを放ってはおけなかったのさ」
勇者的にもその気持ちは大いにわかるベリィは瞳を輝かせわかるわかると大きく頷いた。
「あ、ベリィ。イレギュラーズになれてよかったな!」
『方向音痴』ノーラ(p3p002582)は襲ってこないモンスターを見上げて首を傾げている。
「攻撃する気ないのか?なら僕も攻撃しないから大丈夫だぞ?
あ、お菓子食べるか? ママのお菓子美味しいぞ?」
――野犬が勇者のPTメンバーに加わるのももう少しだ。
『Code187』梯・芒(p3p004532)はファーリナの傍らに腰かけて、今日はお料理教室。
「カッカツオ凄く美味しかったんだよ。なので今日はこれを調理してみるんだよ
とはいっても芒さんは焼けるような山は持ってない。でも、要は高い火力で蒸し焼きにできればいいんだね。だから、カッカツオをハワイ式のイムで料理にしてみるよ」
「へええ……」
ぱちくりと瞬くファーリな。半日も待てば完成だよ、と笑う芒はお客様の気配にゆっくりと立ち上がる。
「熊だね」
熊の存在にティバン・イグニス(p3p000458)の唇が吊り上がる。地面を踏みしめ、ぐん、と肉薄したティバン。
「奇襲攻撃で仕留めて……皮を剥いで血抜きをして……」
「熊を食べるのか?」
狼や犬は己と似ているがため『獣の王』リルクルス・フェルンベイン(p3p000840)は熊と戦うことを決めていた。獣のにおいを鼻先に感じながら倒れた熊を見下ろしている。
「勿体ないだろう」
「ならばもう少し狩るか。戦場の地形を利用すれば安全に食材を準備できるだろう」
クルール・ルネ・シモンは山へと出かけてきていたが熊と戦う特異運命座標たちを珍しそうに眺めている。
『海往く幻捜種』シクリッド・プレコ(p3p001510)はできる限りクルールとは離れない様にと多段攻撃を駆使しながら熊を撃退していた。
「できるだけ離れない様にしてほしいッスよ」
「ああ」
「荷物の用意は大丈夫か? 情報を記録するための筆記用具、情報提供者へのちょっとした心づて……。
疲れたときの栄養補給のための軽食、何かあった時の応急手当が出来る医療品。その準備はできているか?」
問いかける『爆走爆炎爆砕流』ガーグムド(p3p001606)にクルールはおかしそうに小さく笑う母親のように細かく指示をする彼がご英訳として『ちょっと怖い顔をしているから』だ。
「さあ、行こうか」
歩みだすクルールと共にゆくカノープス(p3p001898)は戦闘について学ばせてもらうと街を行く彼らに同行していた。
敵を程よく引き寄せてから一発。それこそが戦闘で必要となるものだとカノープスはよく知っているが――誰かを守りながら、というのはなかなかに難しい。
『年中腹ペコ少女』アイリス・アニェラ・クラリッサ(p3p002159) の腹がきゅう、となった。
「その熊食べてもいいんだね~?」
せっかくだから新しい武器の試運転もしたかったんだぁとアイリスは笑う。熊を食べながら、戦闘し続ける。近接位置で武器の試運転ができるだなんて、それって、凄くいい機会ではないか。
ギルオス・ホリスと共に街を行く『Red hot toxic』朝長 晴明(p3p001866)は本当はレディを守りたいが、と付け足してその『手段を択ばない姿勢』は嫌いではないと告げる。
「彼より俺と遊ぼうぜ? 夢中になれるぜ、中毒になるほど」
香りを纏いながら ギルオスを庇った晴明はにやりと笑う。ゴロツキ相手ならば簡単だ。
晴明の香りにくらりとしたゴロツキを見てギルオスは面白いという様に喉を鳴らして笑った。
「さて、茶会に行こうと思う」
「お茶会……?」
『木漏れ日の妖精』リディア・ヴァイス・フォーマルハウト(p3p003581)は不思議そうにぱちりと瞬く。森で過ごしてきたリディアにとって、作法はまだまだ難しい。
カップの扱いは静かに丁寧に。お茶はまず香りから――そういったことを学びながら、情報を収集していこう。
『オール・オブ・マイ・ビジネス』瀬川 商業㈱(p3p002666)にとって流れの承認たるリーナ・シーナは非常に気になる人材だった。
「リーナ社の商品を弊社に卸し、弊社にて販売および集金を代行する計画を提示する。
弊社は特定の店舗を持っていないため、形態として行商および飛び込み営業となるが、『商業知識』『鑑定眼』『接客』を揃えており効率の良い売り込みが可能である。」
淡々と告げるその言葉にリーナはこくこくと頷く。『年齢不明、経歴詐称』イーサン(p3p004429)もその会話には加わっていた。
一応は護衛するというイーサン。瀬川のビジネストークを聞きながら、周辺の対応をしていたイーサンは酒場が騒がしいことに気が付いた。
「なんかやってるみたいっすねー」
『天に輝く万物の星』Astrum(p3p002238)は今、苦しんでいた。オリヴィア・ミランと共に酒場で情報収集――と思っていた矢先に、これだ。
「うう……」
飲み比べ。吐き出しそうな店内の客を回復しながら肩を竦める。情報収集ではなく楽しい宴会になりつつある様子はどこか面白いものでもあった。
アトリ・メンダシウム・ケラスス(p3p001096)はにぃ、と唇で弧を描いた。
アルテナ・フォルテと共に護衛。アトリは近々アルテナの誕生日があることローレットの情報で得ており、どうしても先に言いたかったのだと微笑んだ。
「おめでと、アルテナ!」
誕生日プレゼントの髪飾り。ぱちりと瞬くアルテナは「嬉しいわ」と幸福そうに微笑んで見せた。
成否
成功
MVP
なし
状態異常
なし
あとがき
※イベントシナリオ形式ですが本作では『初めての依頼』の方が多いため、IDと称号を表記しております。
お疲れ様です。イレギュラーズ!
通常依頼ですとIDと称号がこんな感じに表記されますよ。イベントシナリオだと名前だけですのでイベシナしか参加したことない方にとっては新鮮かもしれませんね。
夏あかねからアドバイスをお送りいたします。
折角ですのでプレイングは思い切りご自分のことをお伝えくだされば嬉しいです。
プレイングの文字数いっぱいいっぱいに自分のこと(行動や心情)を教えてくださいね。
勿論、白紙プレイングの方は今回は描写を省かせて頂いておりますので、何らかをご記入くださいますことをお願いしています。
本作でNPC情報屋たちをお守りいただきありがとうございます。
まだまだ情報屋たちも頑張っていきますので、これ以後宜しくお願い致します。
GMコメント
季節は廻れど、夏あかねです。よろしくお願いいたします。
※重要※
・当シナリオは『レベル4以下のキャラクター』を対象としています
・当シナリオではリプレイの全員描写は保障されません。
・参加者人数やプレイングに応じて『全体に』特別経験値が加算される場合があります。
又、個別に称号が付与される場合があります。
●シナリオの内容
『情報屋』と共に、お仕事をしましょう。
原則的に情報屋は戦いません。皆さんの護衛を頼りにしております。
プレイングでは『どのNPC』を『どんな敵から』『護衛する』のかをご記載くださいね。
【でてくるかもしれない敵】
・野犬
・狼
・熊
・ちょっと怖そうなモンスター(でも優しい)
・ちょっと強そうなモンスター(でも弱い)
・堅物っぽい貴族(お仕事の説得をしてみましょう)
・敵と戦うはずが貴族なNPCとお茶会
・敵と戦うはずがアニメトーク/元の世界トーク
・敵と戦うはずがローレットで情報整理
……etc、なんでもOKです。
●プレイング例
『男子高校生』月原・亮 のプレイング
『情報屋の手伝いをするんだよな?ユリーカの護衛をするぜ。
野犬からユリーカを護るために×××のスキルを使って攻撃しようと思う!
何かあれば非戦スキルの×××も有効活用するぜ。近づく野犬の事はすぐ察知するようにする!』
●登場NPC
ざんげ(空中庭園から出てきません)、レオン(別の場所でお仕事です)以外のステータスシートを所有するNPCの仕事を手伝う事が出来ます。
キャラクター検索『NPCを検索』でご確認くださいませ。
●シナリオに関する補足
育成においてレベル差が大きいとのご意見がありました為、企画されたシナリオとなります。
プレイングやシナリオ慣れしていない初心者の方もこの機会にぜひご参加ください。
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