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シナリオ詳細

ゲラッセンハイトの守護

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●再戦を望む声
「ユリーカ」
「はいっ、何でしょうか!」
 くるりっと振り返ったのは『新米情報屋』ユリーカ・ユリカ(p3n000003)だ。スカイウェザー特有の翼を揺らし、サンディ・カルタ (p3p000438)を見た彼女は目を瞬かせる。
「依頼をお探しですか? サンディさんでしたら、そうですね──」
「ゲラッセンハイト」
 サンディが放った言葉にピタリとユリーカが動きを止める。彼の後ろからヴァレーリヤ=ダニーロヴナ=マヤコフスカヤ (p3p001837)が顔を出した。
「知っていますわよね、ユリーカ。サンディの──ちょっと考え直した方が良いと思うのですけれど──お友達が教えてくれた、ゲラッセンハイトの遺跡!」
「ええ、勿論なのです。あの遺跡が『今どのようになっているかも』」
 その言い方に2人が、その後ろにも控えていたイレギュラーズが息を飲む。
 ──まさか、攻略されてしまったのか?
 ここにいるのはかのゴーレムと再戦を果たし、今度こそと集まったメンバーたちばかりだ。攻略されてしまったのであれば再戦も何もありはしない──が。
「まだ、攻略できていないのです」
 ユリーカの言葉に安堵する一同。けれど情報屋の少女は表情を険しくしたまま告げる。
「攻略できていないどころか、皆さんが戻ってきてから全然ゴーレムが倒せないのです。それぞれのゴーレムがとても、とても強力なのです」
 それは新たに何かの防衛機構が働いた、ということではなく。既に圧倒的だったゴーレムと傭兵の力量が、ゴーレムが減ったことによってより明確に分かるようになったと言うべきか。
 だが決して傭兵が弱いというわけではない。特異運命座標はそこに在るだけで一般人とは一線を画する存在だ、というだけである。
「そんなわけで──皆さん、行かれますか?」
 ユリーカがばさり、と目の前で広げた羊皮紙は依頼書。タイトルは『Gelassenheit』。
「崩れないバベルにかけると、静けさ。あのゴーレムたちが守っているものの1つね」
 Erstine・Winstein (p3p007325)はタイトルを訳し、呟く。屈強なる守りのゴーレムたちによって、あの遺跡には変わらず静謐が保たれている。
「でも私はラサの為に尽くすと決めているから。リベンジ、燃えているわ!」
「無論。引き下がったままでは、収まりが悪い。次は、勝つ」
 エクスマリア=カリブルヌス (p3p000787)が蒼の瞳で真っ直ぐに依頼書を、そこに書かれているゴーレムを思い浮かべる。1度は撤退を余儀なくされたものの、2度同じことはしない。
「そうだよ! やられっぱなしは悔しいもん!」
 今度こそあのゴーレムを倒し、どんな遺跡なのかこの瞳に焼き付けてやると言わんばかりの炎堂 焔 (p3p004727)。アリア・テリア (p3p007129)も同じだと深く頷いた。
「データ採取は十分よ。命あっての物種──芽吹かせてもらうわよ、今回は」
 イーリン・ジョーンズ (p3p000854)の言葉にええとヴァレーリヤが頷く。前回は不覚を取ったものの、今度こそ。今度こそは遺跡まで辿り着いてみせるのだ!
 ユリーカの視線が一同を順に移り、キドー (p3p000244)を見ておやと瞬く。彼女の視線が言わんことを察してキドーはにやりと笑った。
「欲で動くゴブリン様だぜ。その分、仕事はきっちりこなすからよ」
 任せてくれ、という言葉に頷くユリーカ。サンディがユリーカの方へ手を伸ばす。
「このままあの酒場に帰れるか! 今度は絶対に倒すぜ!」
 引き下がったなんてベンタバールに知られてみろ──何を言われるか。1度請け負ったからには、何としても勝利の報告を持ち帰るのだ!
 そんな気迫に包まれた彼らを見て、ユリーカは頷くと依頼書をサンディの手へ託したのだった。


●Gelassenheit
 彼らはまだ、そこに存在していた。
 背に静謐たる湖と遺跡を構え。
 来たる侵入者を排除して。

 嗚呼、嗚呼。どれだけの時が経っただろう。どれだけこの地を赤に染めただろう。
 それでも役目は終わらない。
 それでも役目は終わらない。
 この身が動かなくならない限りは、決して。

 ──そうして今日も侵入者を1人、血に染める。

GMコメント

●成功条件
 ガーディアンゴーレムの破壊

●情報精度
 このシナリオにおける情報精度はAです。不測の事態は起こりません。

●エネミー
 ガーディアンゴーレム×4
 古より遺跡を守護していると思われる巨大ゴーレムたちです。近づく(おおよそ超遠距離)とただの岩から擬態をやめ襲いかかってきます。
 先日の戦いにより、数は少々減っています。また、その際の傷跡も見られるようです。遺跡に近づく者を気にします。
 単体〜広範囲への非常に強力な攻撃を繰り出す他、2人までブロックを可能としています。
 巨大なためか鈍重ですが、他のステータスは高水準です。

守の鉄槌:近物単:勢いの良い単体攻撃。それは侵入者へ正義の鉄槌を下すが如く。
攻の領域:特レ物:【自分中心の域範囲】【自分以外を対象】自分の周りのモノを壊します。それは立ち上がるモノを許さぬ領域。【飛】
護の壁:2人までブロック可能。それはそびえ立つ壁の如く。

●フィールド
 オアシスにある湖の付近です。イレギュラーズ到着時、遺跡は湖に沈んでいます。
 本格的な探索は難しいかもしれませんが、タイミングが合えば扉を開けて中を覗く程度のことは出来そうです。

●ご挨拶
 大変お待たせ致しました。リクエストありがとうございます。再戦です。
 皆様の気合と参加人数、敵の数を考慮しまして、難易度Hard想定でプレイングをお待ちしています。
 今度こそ、倒しましょう。
 それでは、よろしくお願い致します。

  • ゲラッセンハイトの守護完了
  • GM名
  • 種別リクエスト
  • 難易度-
  • 冒険終了日時2020年04月18日 22時05分
  • 参加人数8/8人
  • 相談8日
  • 参加費---RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

キドー・ルンペルシュティルツ(p3p000244)
社長!
サンディ・カルタ(p3p000438)
金庫破り
エクスマリア=カリブルヌス(p3p000787)
愛娘
イーリン・ジョーンズ(p3p000854)
流星の少女
ヴァレーリヤ=ダニーロヴナ=マヤコフスカヤ(p3p001837)
願いの星
炎堂 焔(p3p004727)
炎の御子
アリア・テリア(p3p007129)
いにしえと今の紡ぎ手
エルス・ティーネ(p3p007325)
祝福(グリュック)

リプレイ


「……随分と久しぶりに来たような気がするな」
 『風の囁き』サンディ・カルタ(p3p000438)はその地に立ち、見覚えのある景色に目を細めた。前回訪れたのはつい先月──1ヶ月ほど前であるのに、もっと、数か月も待ったような気がしてしまう。
「待ちに待ったりべんじまっちっていうやつだね!」
「しゃーおらー! リベンジじゃー!」
 今日のために準備万端、目覚まし時計ですっきり目覚めてばっちり快調な『炎の御子』炎堂 焔(p3p004727)が槍を握る。その隣で拳を突き上げるのは『希望の紡ぎ手』アリア・テリア(p3p007129)だ。2人の足が止まるのは以前アリアがチョークで引いていた線のある辺り。そこは変わらず一同の生命線、そして撤退ラインである。
「今回も水位に気をつけないと。なるべく早く決着をつけましょ!」
「前回のようには、行かない。残さず、砕く、ぞ」
 『熱砂への憧憬』Erstine・Winstein(p3p007325)の言葉に『深海の金魚』エクスマリア=カリブルヌス(p3p000787)が、そして『祈りの先』ヴァレーリヤ=ダニーロヴナ=マヤコフスカヤ(p3p001837)が頷く。
 今日こそは、今度こそは。その思いが膨らむ中でただ1人──少しばかり異なった思考の持ち主がいる。
「リベンジだの何だのってのは俺には関係ねえな」
 『緑色の隙間風』キドー(p3p000244)にとってこの戦いはリベンジではない。報酬目的、そして何かいいモノが見られそうだからと彼らに付いてきたに過ぎないのだ。
 だが、そんな動機だからこそ──自らにとって有意義な見返りがあるからこそ全力を出すことができる。キドーはそういった男である。
「行きましょうか。命あっての物種から芽が出たんだもの」
 『天才になれなかった女』イーリン・ジョーンズ(p3p000854)が1歩を出す。リベンジは趣味ではないのだが、芽が出た以上は拾いたい。
 イーリンの瞳が精密機械の如く研ぎ澄まされていく間に、始まりを告げるかのような一陣の風が抜けていく。その風を追いかけ追いつき追い越して、神話殺しの放った破壊的魔術がゴーレムを威嚇するように放たれた。
 よろめきながらも体勢を整え、向かってくるゴーレムたち。その標的は前へと出たサンディだ。そのすぐ後ろにつくのはErstineとイーリン。

 さあ──神がそれを望まれる。

「主よ、天の王よ。この炎をもて彼らの罪を許し、その魂に安息を。どうか我らを憐れみ給え──」
 聖句が唱え終わると同時、ヴァレーリヤの持つメイスから炎が吹き上がる。かつてはこの場にも人がいて、松明をかざしこの遺跡へ向かっていたのかもしれない。そんな古の人間とゴーレムたちは約束を交わしているのだろう。──だが。
「私たちにだって、成すべきことがありますのよ!」
 ぶん、と勢い良く振られるメイス。その動きに引っ張られるようにして炎がうねり、まるで大蛇のようにゴーレムたちへ迫った。
 それでも止まらないゴーレムたちに、焔はサンディと同じ程度の距離で迎え撃つ。
「ボク、君たちが厳重に守ってる遺跡の中が気になるんだ! だから今度こそ負けないよっ!」
 その声にゴーレムたちが焔の方を向く。サンディと同じだけ遺跡に近づいたことも思えば当然か。
 焔へと向かなかったゴーレムたちはサンディへと接近し、その腕を振り上げる。後ろに控えるErstineたちをも巻き込んでしまいそうな巨大な腕はまるで鉄槌のように。それをしかとサンディが受け止め、双方に衝撃が走る。
 彼に庇われたイーリンは瞬時に自らへ殺人剣の極意を宿してゴーレムへ攻め入る。魔書より召喚されし戦旗へ魔力を注ぎ込み、炸裂させる1撃だ。続いて氷刃がゴーレムへと迫る。
「私はラサの為に……あなた達ゴーレムから引き下がる訳には行かないの」
 頑丈な体に叩き込まれる剣魔双撃。やはり彼らの体は硬く、堅く──けれど全く効いていないわけではないと、手ごたえが教えてくれた。
 なれば、その体のかたさなど気にせず攻撃を打ち込めれば良い。
「ここで絶対にケリをつけるよ!」
 アリアが放つは超越者の系譜。何者にも止められない甘美で刺激的な罠がゴーレムを襲う。彼らに思考があるのか甚だ疑問であるが──思わぬダメージにゴーレムが一瞬不自然に止まった。
「どう? いくら堅くても、蝕まれる感触までは防げないでしょ?」
 再び動き出したゴーレムは先ほどまでと変わらない動きを見せている、ように見える。だが実際、その防御装甲を無視した攻撃は効いているはずだ。
「『精霊』たち。共に戦えとまでは、言わない」
 エクスマリアは空へ、辺りにいるはずの精霊へと言葉を紡ぐ。
 此度はありったけの火力をゴーレムへと叩きつけるため少々、いや少なからず危険性の高いスタイルだ。それを補うのはエクスマリア自身の経験と技量。そして工夫次第。
 故に、願う。自らから少しでも不運が遠ざかるよう、祈りを捧げてくれと。
 仲間たちが攻撃を加え、脆くなった外側を狙うエクスマリア。あのシュペルが作ったという2振りの刃は博打の一品だ。
 外せば何にもならず、しかし当たれば大きな火力をもたらす。
 エクスマリアの放った魔術がゴーレムを飲み込む。その体が──アリアの時とはまた違ったように──不自然な固まり方をしたその直後、キドーの衝撃波が敵へとぶつかった。
 なおも頑強な体を保ったままであるゴーレムは起き上がり、サンディへと向く。だがしかし、その拳は自らの頭上へ。イレギュラーズがそれを視認すると同時、ゴーレムは自らの頭へ拳を振り下ろした。
「入ったな」
 ししと笑うキドー。さあ、ボコすなら今の内だ!
 幾度も切り結び、交戦する中でイレギュラーズやゴーレムたちが叩きつけられ、暴れた跡が周辺へと散る。イーリンに湧いたインスピレーションから指示が飛び、集中砲火を浴びることで1体のゴーレムが物言わぬ石と化した。
 だが──敵を倒すだけの時間があったということは、同じだけイレギュラーズもまた傷つく時間があったということ。
「ごめんね少し下がるよ、あとはお願い!」
 焔が体力の残存に声をあげる。後退した焔に代わって狙われるのはサンディだ。彼に庇われるイーリンが後ろからゴーレムを迎え撃つ。
「サンディ、まだやれるわね?」
「そうだなー。激励があるともーっと粘れちゃうなー」
 まあ、とイーリンが片眉を上げた。けれどそれの有無が関係ないことなどわかっている。
 これは我慢比べだ。サンディとゴーレムでの、ではない。サンディとベンタバールの、だ。
(絶対倒れられねぇ)
 自らの傷を癒し、ヴァレーリヤの治療を受け、霊薬を飲み干して。そうしてサンディは傷を癒しまた傷つく。それでも──。
「ベンタバールに……負けたまま帰れっかってんだよ!!」
 体力技術に限らない気合も含めた我慢比べ。何が何でも──勝って帰るのだ!
「……っサンディさん、腕が来るわ!」
 敵を注意深く観察していたErstineの言葉と共に、薙ぎ払いによって吹き飛ばされたサンディ。イーリンは彼もろとも後方へ押し出されたがErstineは回避し、ゴーレムを食い止めんとキドーがすかさず前に出る。敵の視線が前方へと出てきたキドーへ移った。
「ゴブリンだからって侮るんじゃあねえぞ! そうそう簡単にくたばってやるもんかよ!」
 死にたくない。死んでたまるか。そんな思いは誰でもあるだろう。けれど目的のために敢えて危険へ身を晒さなければならないことだってある。
 キドーが前方で耐える間にサンディが体勢を整えて最前線へ舞い戻り、魔力切れで交代したイーリンに代わってヴァレーリヤがゴーレムへ接近した。その唇が聖句を紡ぐ。
「主よ、慈悲深き天の王よ。彼の者を破滅の毒より救い給え。毒の名は激情。毒の名は狂乱。どうか彼の者に一時の安息を。永き眠りのその前に」
 メイスを突き出せば双方へと衝撃が飛んで、ヴァレーリヤの服の肩口が浅く裂ける。しかしゴーレムが体勢を崩した瞬間を逃すわけにはいかない。
 息つく暇なく炎を武器へ纏わせたヴァレーリヤは力強く地面を蹴る。狙うはこれまで味方や冒険者たちがつけてきた戦いの痕だ。
 大丈夫、今の自分に雑念はない。いつかの日の届かなかった祈りも、心を蝕む記憶も、先日降った雨の足音が束の間洗い流してくれたから。この攻撃は──届かせる!
「どっせえーーい!!!」
 炎の魔術を鉄騎の馬力で叩きつけ、地面へめり込ませたヴァレーリヤ。残るゴーレムもアリアの罠が動きを止める。
「あと、1体……!」
 サンディが唸るように呟く。もう少し。もう少しだ。ここで倒れてなるものか!
 エクスマリアが執拗に破壊的魔術を浴びせ、ゴーレムの動きを鈍らせる。そこへ畳みかけるように焔の緋燕が飛んでいく。外皮となる部分は何かでコーティングされていたのか頑強だが、ある程度まで深く傷がつけばその先は脆そうだ。
 じりじりとついた炎がゴーレムを焼く。ひたすらにサンディが耐える中、自滅狙いのフォースウィルが飛び、Erstineの手にある魔性の切っ先がゴーレムを惑わせた。
「あなた方ゴーレムが何を守っているのかはわからない」
 けれど、とErstineは武器を握る。この先に待つものがラサの発展に繋がるものであるなら尚更引き下がれない。この国のためにも倒さなければならないのだ。
 ゴーレムが足掻くように暴れまわり、サンディが受け止める。傷つき、ボロボロになったゴーレムへダメ押しの1撃が叩き込まれ──最後の1体がようやくその腕を力なく下ろしたのだった。



 辺りを包んだ静寂に、誰からともなく詰めていた息を吐き出した。ゴーレム達は全て機能停止し、湖の周りに転がっている。
「お疲れ様。ごめんね、何度も来ちゃって──」
 イーリンはそのうちの1体に近づき、跪く。伏したゴーレムに動く気配は微塵もない。彼らの強さに敬意を表し、軽くでも弔わなければ。
「……本当に……本当に強敵だった……っ」
 絞り出すようなErstineの言葉にエクスマリアはああと頷いて、ゴーレムたちの残骸を見た。
「やはり手強かった……が、雪辱は、果たした」
 今度は、今度こそ。自分たちが勝利をもぎ取ったのだ。
 サンディはボロボロの体でその場に座り込む。ああ、すっかり限界だと。だが。
「これで……ベンタバールにも言えるってもんだ」
 あの男が、そして数々の傭兵が返り討ちに遭ったガーディアンを倒したと告げたら、一体どんな顔をするだろう。あの酒場に戻った時が楽しみだ。
 だが、その前に。
「遺跡! お宝! 覗くだけなんてそんなのあんまりだぜ。なあ?」
「路は拓けた。まだ水に沈んでなければ、いい、が」
 キドーがにししと笑い、エクスマリアの言葉を聞いて水位の下がった湖へ飛び込む。まだ足が浸かる程度、進むには問題なさそうだ。
「水没! 水没してない!? 遺跡まだ見える!? セーフ?! スケッチとらせて! 次のために!」
 ゴーレムを弔っていたはずのイーリンがはっとして勢いよく遺跡を振り返る。スケッチのための道具を取り出す間にも、一同は水に足を浸しながら遺跡へと近づいた。
「こうしてみると、大きな柱のようね」
 Erstineは遺跡をぐるりと一回り。曲線を作ることはより一層の苦労があったことだろう。
「上のほうは……入れないみたい」
 アリアはあらかじめ探索を頼んでおいた精霊からの情報に考え込む。恐らく雨風、湖の水が中に入ってしまわないよう一工夫がされているのだろう。
(ゴーレムといい、遺跡の入り口といい……やっぱりこんなにガードが固いってことは何かあるんだ!)
「あら、」
 これ何かしら、と遺跡の周りをうろうろしていたヴァレーリヤが屈みこむ。水の中に沈んだ何かはお誂え向きに持ち手のような箇所があり──引っ張れそうである。
「よ、いしょ……! お、重いですわ!」
「ボクも手伝うよ!」
 取っ手らしきそれを引っ張り上げようとして呻くヴァレーリヤ。焔のはじめとして仲間が手伝うと、少しずつそれがあげられる感触と共に別の場所でゴトリと音がした。
「見ろよ! 遺跡の入り口がお出ましだ!」
 キドーが目を爛々と輝かせる。ここまで厳重に守られた遺跡の中に何もないわけがない。少しでもそれを拝んでやろうではないか!
 しかしイレギュラーズの足元では確実に湖の水位が上がり始めている。無理に入って遺跡ごと湖へ沈むのはごめんだ。
 キドーは周囲の精霊へ頼み、半分ほど開いた入り口から中を見てもらう。恐らく引っ張り上げているこの取っ手を更に引き上げれば入り口は完全に開くのだろうが、戻すときのことと水位を考えればこの程度が良い。
 中へと入りこんだ精霊たちは戻ってくると断片的な情報をイレギュラーズたちへもたらす。キドーを介しての情報に一同は顔を見合わせた。
「……空?」
「でも上、開いている訳じゃないんだよね?」
 もっと奥まで空間は広がっているようだが、精霊たちは進むことができずに帰ってきたらしい。イレギュラーズたちの好奇心をくすぐることばかりだが、そろそろ時間だ。
「皆、頑張って戻しましょ!」
 Erstineの声に頷いて取っ手を押し込む一同。同時に入り口の一枚岩が上へと上がっていく。完全に閉まったことを確認したイレギュラーズたちは急いで湖から上がった。
「あっという間、だった、な」
「ええ。でもスケッチも取れたし、中のことも少しだけどわかったし」
 エクスマリアはすっかり沈んでしまった遺跡を見下ろす。そこにあった景色はイーリンの手元へ描きうつされていた。
 次──いつか、再びこの地を訪れることがあれば間違いなく遺跡の中へ入ることができるだろう。精霊たちが見た『空』が何だったのか、そして奥にあるものは何なのか。
 イレギュラーズたちは小さな情報の欠片をしかと記憶に刻み込み、ローレットへ『ゴーレム撃破』の一報を持ち帰ったのだった。

成否

成功

MVP

サンディ・カルタ(p3p000438)
金庫破り

状態異常

サンディ・カルタ(p3p000438)[重傷]
金庫破り

あとがき

 お疲れさまでした、イレギュラーズ。
 ガーディアンゴーレム撃破の一報はローレット、及びラサを湧かせたことでしょう。ベンタバールへの報告が楽しみですね。

 MVPは2人のレディを庇い盾となった貴方へ。

 またのご縁をお待ちしております。リクエストありがとうございました!

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