シナリオ詳細
<グラオ・クローネ2018>噴水で4種のチョコフォンデュ!
オープニング
●驚き!?
「はわー……ハルツァーレク領の噴水をですか?」
『新米情報屋』ユリーカ・ユリカ(p3n000003)は、イベントの企画書を見て大きな瞳を丸くした。
「ミルク、ホワイト、ベリー、抹茶の4種を1つの噴水から出る……混ざらない様に細工はされているようですね。しかも、果物等もあるなんて夢みたいなのです!」
ユリーカは頭の上には、雲のようにその光景が映し出される。
「はっ、夢かもしれません!」
と、声を上げるとユリーカは頬を引っ張る。
痛い、頬に鈍い痛みがジンジンと感じる。
「夢じゃない! でも、チョコフォンデュだけじゃちょっと寂しいです……あ、参加してくれた『特異運命座標』の皆さんにボクがプレゼントを用意すればいいのです!」
ユリーカは意気揚々と駆け出した。
「心配ね」
『色彩の魔女』プルー・ビビットカラー(p3n000004)が不安そうにユリーカの背を見つめた。
レンガ造りの家々が建ち並ぶ中を一人で歩くユリーカ。
ふと、お菓子屋のショーウィンドウに並ぶチョコ細工に視線を向けた。
(花のチョコ……)
「あぁ、それは食べられる花をチョコでコーティングしたモノでね。花の意味も込めて贈れる様にしてるんです」
ユリーカに気が付いたパティシエは笑顔で話す。
「あ、あの、これはボクにも作れますか?」
パティシエを見上げながらユリーカは声を上げた。
「もちろん、細工は難しいから型と花の香りがするオイルもしくは、お酒を入れれば簡単。売ってるお店を教えてあげるよ」
パティシエに教えてもらったお店で材料を買ったユリーカは、足取り軽やかにローレットに帰った。
「ユリーカ、その大量の荷物は……なるほど、花のチョコとはロマンティックね」
プルーは、ユリーカが持っていた木箱の中身を見て、微笑んだ。
●噴水で4種のチョコフォンデュ!
「グラオ・クローネの14日限定、ハルツァーレク領にある噴水から4種のチョコが出るのです! しかも、フォンデュし放題、ホットチョコとして飲んだり、アレンジや持ち込みしても大丈夫なのです」
ユリーカが嬉しそうに説明をする。
「ミルクチョコ、ホワイトチョコ、ストロベリーチョコに抹茶チョコととても美味しそうなのです♪あ、でも、共有して頂くので勝手に何か混ぜたりしてはダメなのです」
ユリーカは、噴水の前に立てられた注意書きの看板を指した。
「あ、あと、皆さんと、食べれるお花を作りたいのです。食用の花、花の香りがするオイル、お花を漬けたお酒、お花の型とか用意したので、作って大切な誰かにプレゼントするのです!」
と、街で手に入れられる道具を揃えたユリーカは、あなた達に向かって満面の笑みを浮かべた。
「花の意味に合わせて、気持ちも一緒に伝えるなんてとてもロマンティックよね」
プルーがその隣で笑み浮かべる。
「チョコを作るのはボクに、フォンデュを楽しむのはプルーさんに着いて行って下さい!」
と、言ってユリーカは『特異運命座標』のあなた達を案内する為に歩き出した。
- <グラオ・クローネ2018>噴水で4種のチョコフォンデュ!完了
- GM名紅玉
- 種別イベント
- 難易度VERYEASY
- 冒険終了日時2018年03月06日 21時20分
- 参加人数50/50人
- 相談7日
- 参加費50RC
参加者 : 50 人
冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。
参加者一覧(50人)
リプレイ
●大きな噴水DEチョコフォンデュ!
「いやぁ……良いよなぁ……こーゆう食べる催し!」
本当に噴水からチョコが流れているのを見て零が声を上げた。
「甘味は善い。疲労回復に加え脳にも良く、エネルギー効率も優秀だ。何より美味い。良い催しだな」
【無銘堂】の仲間を引き連れた漆黒の雄々しい獅子の獣人の雷霆は、悠然と立ちチョコの甘い香りに鼻をひくつかせながら言った。
「チョコレートフォンデュか……故郷にいた頃にはなかったものだな。溶けたチョコレートの噴水に具材を浸して食べる、新鮮で面白い。存分に楽しませてもらおう」
エリシルは、零が嬉々としてギフトでフランスパンを作るの見たり、他にも集まったイレギュラーズが食べている姿を眺めながらマシュマロを手にする。
「ふぉわああああ……! なにこれすっごい! 甘い香りに綺麗な彩り! 夢みたい! 取りあえずミルクチョコの噴水に突撃だーーー!」
ぬいぐるみの様に愛らしい少女の姿をしたプティは、雷霆の肩からひゅーんと飛び出し噴水の縁に着地する。
「チョコフォンデュなんて久しぶりどころか初めてなレベルだし……多分……ただ飯出し沢山食べよう……取りあえずミルクチョコの噴水に突撃だ―――!」
日頃、零はギフトで作り出せるフランスパンばかり食べ飽きてた事もあるだろう、この噴水1つで4種類の味が楽しめるのだから楽しまないワケがない。
「よし、俺がホットチョコを作ろう」
カップにチョコを入れ、プティが切ったフランスパンを浸けて食べていた雷霆が、人数分のカップを手に噴水へと向かう。
「ホットチョコだ。いるか?」
「うん!」
雷霆の言葉にプティは元気よく答える。
イヌ型スライムにチョコフォンデュを食べさせながら呟く零に、雷霆はチョコに牛乳を入れてギフトで温めたカップを差し出した。
「ふへーあったまりますなあ~」
エリシルの膝の上でプティは、ホットチョコのぐびぐび飲み干すと笑顔で言った。
沢山のイレギュラーズが集まる中で、1人でも楽しめるであろうイベントに参加した大勢の中でルクスリアは、樹理という女性に視線を奪われてしまった。
「なかなか良い胸部をしておると思わぬか? 余としてもお近づきになってみたいものだ」
氷の様な肌色に、深海の様な髪を靡かせながらルクスリアは、赤銅色のウェーブ掛かった髪にスモーキークォーツの様な瞳を持つ愛らしい樹理を見て声を掛けずにはいられなかった。
「そうですね。1人ですから一緒に楽しもうね。うん、胸に視線が行くのはお互い様だね」
と、笑顔で答える樹理。
「うむうむ、そういえば噴水のチョコフォンデュは4種のチョコを楽しめるらしいぞ」
「そうですね。やはり……」
ルクスリアと樹理は、用意されていた果物等を皿に乗せて好きなチョコに浸けようとする。
ある意味、2人が会った事が奇跡というより必然的なのだろう。
同じストロベリーの方に果物を浸けていた。
「ん、味を覚えたら再現できるようにあとで料理だな!」
マシュマロを食べ終えると、ルクスリアは笑顔で樹理に言った。
「おぉ……噴水、色すごいの、まじぱない。おなかすいてきてエモい」
新緑の大きな瞳でセティアは噴水を見上げた。
「ねぇ、其処の貴女。少し良いかしら?」
1人で来たものの誰かと楽しみたい、と思った竜胆はふと視界に入ったセティアに声を掛ける。
「わたし……?」
小さく首を傾げながらセティアは自分の顔を指す。
「そう、蝶の羽を持った眠そうな貴女よ」
竜胆は笑顔で頷いた。
「わたしは『ミュルグレス』セティア、『天羽々斬』竜胆、さん……?」
セティアは頭の隅で眠っている記憶を起こし、自信なさげに名前を呼ぶ。
「そうよ、確か貴女も騎士団の一人だったわよね。……まぁ、私は幽霊団員みたいなものだけれど。良かったら私と一緒に回らない?」
セティアの問いに竜胆は答えた。
「一緒に行きたい」
ぶつぶつと独り言の様に小さな声で答えるセティア。
「竜胆さん、どれ、すき?」
噴水を指しながらセティアは問う。
「え、私? 私は抹茶チョコね。結構イケるんだから」
と、言って竜胆は白玉に抹茶チョコを浸けたのをセティアに差し出す。
「わたしは、ストロベリーと、パン!」
セティアはお返しに、ストロベリーチョコに浸けたラスクを竜胆に渡す。
「しらたまっちゃ! もっちゅもっちゅおいしい」
ほんのりと甘い白玉に、抹茶チョコの苦みがアクセントとなって幾らでも食べれそう、と思いながらもちもち感を楽しみながらセティアは絶賛の声を上げる。
「わぁ……」
青灰色の羊少女はメイメイが、アメシストの様な瞳で噴水から吹き出るチョコに驚いて呆然と立ち尽くす。
メイメイは食べたい一心で来たものの雰囲気に気圧されていた。
「ねぇ! 一緒に食べない? 1人よりも2人の方が楽しいよ!」
と、ヒィロがメイメイに声を掛けた。
「同じブルーブラッド……は、はいっ」
ヒィロのぴーんと立った狐耳、筆先の様な尻尾を見てメイメイは嬉しそうに耳を上下に動かす。
「じゃ、行こうよ!」
ヒィロがメイメイの手を取って駆け出した。
「ストロベリー……山盛り、です」
器用にお皿に盛った苺のタワーを見て、メイメイは目を丸くさせながら見上げた。
「うん、ボクはストロベリーが大好き!」
ぐぅ~とヒィロのお腹から音がする。
「ミルクチョコから時計回りに、4種類のチョコを制覇するよ!」
「……はいっ」
ヒィロが苺をチョコに浸けて食べている中で、メイメイは様々な果物と焼き菓子をぱくぱくと消費していく。
「ヒィロ……さま、こ、これ……!」
メイメイはヒィロにストロベリーチョコが掛かったクッキーを差し出す。
「いいの?」
「今日、誘ってくれ、た……お礼、ありがと……ございまし……た!」
ヒィロの問いにメイメイは、微笑みながらぺこりと小さく頭を下げた。
「おねぇちゃん。チョコがまるで噴水のようだよ。聞いてた通り」
結乃が姉の様に慕っている華鈴の裾を引っ張る。
「おぉ、本当じゃ……しかも、四色に分かれておるのじゃな」
華鈴が感嘆の声を上げる。
「果物とかマシュマロを付けて食べるんだね。わくわくするね」
と、無邪気に結乃が華鈴に笑顔を向ける。
「何々、注意書きが……好きなチョコに付けて食べるんじゃな……混ぜたらダメじゃぞ?」
「はい、おねぇちゃん。えぇと、どれにしようかな……」
華鈴の言葉に返事をしながら結乃は、用意された沢山の果物等のどれを食べようかと迷っていた。
「そうじゃな……苺にストロベリーチョコとか、ホワイトチョコとか……」
と、言いながら華鈴が皿に乗せたのは『苺』だけだ。
「おねぇちゃん、苺、すきなの?」
結乃が苺しか乗ってない皿を見て小さく首を傾げた。
「うむ、苺は美味しいのじゃ」
おねぇちゃんの好物は苺、という事を胸に刻みながら華鈴は結乃にホワイトチョコでフォンデュした苺を差し出す。
「ほら、あーんなのじゃ」
「え? ボク、苺。初めて食べるの……いただきます」
差し出された苺を結乃はぱくりと食べた。
チョコの甘み、苺から溢れでる甘酸っぱい果汁が口に広がり、『……あまずっぱくて、美味しいね』と思わず言葉が溢れた。
●それぞれの楽しみ方
「これは……凄……い……!」
普段は街のオブジェとしてよく見掛ける噴水から、水ではなく甘い香りを放つチョコが流れていた。
その光景を見て少し圧巻されてヨタカは思わず声をもらす。
皿を手に、果物、ドライフルーツ、ナッツ類に手を伸ばし、フォンデュして食べながら『これは、俺が持参したブランデーにも合いそうだ』と思い、カップにチョコを入れてブランデーを加える。
甘く、カカオの香りに負けず劣らずブランデーの香りも広がる。
仲間と楽しむ者、親しい者と微笑み合う、イレギュラーズの数だけある個々の幸せ。
ヨタカはウィンドリュートを手にし、弦を指で弾くと甘く切ないバラードが奏で出す。
この大切な時間を彩る為に……。
「すごい、天然もののチョコレートが食べ放題だなんて……フルーツもこんなにたくさん、見たことないのもある! これはもう食べまくるしかないよ!」
セミロングの銀髪を揺らし、サファイアの様な大きな瞳を輝かせながらチャロロは嬉しそうに声を上げる。
ふと、果物の山から甘い香りに惹かれてバナナを手に取りフォンデュし、それをぱくりと頬張った。
「おいしい! このバナナとかいうのチョコにすごく合うね!」
と、チャロロは感嘆の声を上げた。
(食べやすくて栄養もありそうだし、ハカセにあげたらきっと喜ぶだろうな……いっしょにごちそうを堪能したかったよ……)
脳裏に元いた世界の博士の顔が浮かぶ。
別に、貧困や食べ物に困ってはいなかったが、南国で育ち採れる食べ物は貴重だ。
そんなチャロロの心境を感じ取ったかの様に、ヨタカが弾くリュートの旋律が響いた。
「ほぉ、こいつはずいぶんと立派な……立派な? ……チョコフォンデュだな」
まじまじとチョコが流れる噴水を見つめながら戸惑いの声を上げる黒羽。
「いやぁ、僕は甘いものに目がなくてね。甘いものをお腹いっぱい食べられるイベントとは素晴らしいじゃないか!」
と、その隣でグレイが両腕を広げながら言った。
「そうだが、俺は甘過ぎて沢山食べれないから抹茶のチョコフォンデュを楽しむかね」
黒羽はそう言うと、抹茶チョコに果物類を浸けて食べていると噴水を面倒そうに見つめる何かを見たが、気にせずに果物を口に運ぶ。
「ん? そうかい? 僕は、これでもかと言うだけだらっだらにチョコレートを浸して、気が済むまでご馳走になるよ」
グレイにとって、胸焼けするほど甘い光景も、チョコレートを食べることは同じだ。
「うーん。どのチョコも美味しいわね~」
持ち込んだ具材をフォンデュし、堪能している結。
(それにしてもちと喰い過ぎじゃねぇか?)
魔剣ズィーガーは、剣故に食べれないので結が食べている姿を眺めるだけだ。
『イヒヒヒ。調子にのって食べまくるのはいいが……後で後悔してもしらねぇぞ?』
と、ぱくぱくと食べる結に魔剣ズィーガーは笑いながら言う。
「あ、あとで運動すれば大丈夫よ……きっと」
ぐさっと、魔剣ズィーガーの言葉が胸に刺さりつつも結は、段々と声を小さくなる。
食べた分、戦えばきっと消費されると信じて。
「チョコレートフォンデュ……4種類から選べてたくさん甘い物が食べられるなんて素敵です……」
ノイエは、フォンデュした焼き菓子を食べながら幸せそうに言う。
「こんなに種類があるのですから、ホットチョコレートにしてラテアートでも作れそうです」
ミルクが入ったカップに下地を抹茶で緑に染めて、串の先で外枠をストロベリーで赤く縁取り、最後にホワイトチョコレートで目と口を描いて完成だ。
「食べる分にはいいんですが、作るとなると中々苦戦するんですよねぇ、抹茶って。そもそも混沌でもあまり見掛けませんし……」
ロウは抹茶チョコでフォンデュしながら呟いた。
「チョコフォンデュは一度やってみたかったんですよ! しかも4種類のチョコが楽しめるとか!これは食べるしかありませんね!」
ウェーブかかった銀の髪に、新緑の様な大きな瞳のアイリスは、意気揚々とチョコフォンデュを楽しむ。
他のイレギュラーズに、自身が作ったバケットとドーナツを配りながら。
「チョコの出る噴水、面白いことを考える人もいたものね。折角だし普段食べない組み合わせとか試してみましょうか」
ロスヴァイセは、苺に抹茶チョコをバナナにストロベリーチョコを付けて、様々な組合わせと味を楽しむ。
「……これはかなり手間がかかる催しなのでは……? それはひとまず置いておいて、いただきます」
噴水の水がどうだの考えていたが、ソレを振り払うかの様に首を振るとフロウは自作のクッキーをフォンデュする。
「メ、メルト? お前は何をしようとし、あ、ちょ、やめ、あぁ~~~~~!?」
メルトアイに迫られるオクトは、噴水の縁に足を引っ掻けてしまいそのまま背中から、チョコの中へ。
「あらま、オクト様チョコ濡れ……変な虫が付く前にお風呂に入りましょう」
谷間にチョコバナナを挟んでいるメルトアイは、チョコフォンデュされてしまったオクトをお持ち帰りする気満々だ。
「……これまで、これまでこの手のイベントには、何故か参加できませんでした。いえ、原因は分かっているのです。不幸にも実験室で事故が発生したり、不幸にも重要な用事が急遽入ったり、不幸にも謎の流行病に罹ったり……不幸体質は伊達じゃないと、そう思い知らされる日々でした……『特異運命座標』となった今、ついに、夢の瞬間が……!」
翡翠の様な瞳で噴水を見つめながらシズカは、喜びに打ち震えながら言ってると、背中に何かが当たってチョコの噴水にダイブ。
「とと、これをチョコにつければ……わっ!?」
隣で食べていたリリーもチョコの噴水へ落ちる。
「フォンデュ……チョコを、つけて食べるのか……はじめて食う……噴水……すごい量のチョコだ……いっそこの中に浸かって、そのまま食べられるのなら……付ける手間ないのに……大きな、たい焼き……」
饅頭型のクッションに可愛い顔が付いているうえ男は、噴水の中でチョコでコーティングされたソレを見る。
「この異様な光景は何だ……?」
雪は抑揚の無い声で言う。
「…ええ、僕はこの際いいんです、慣れましたとも! でもここ人が食べるところですよ!? 僕入れちゃダメじゃないですか! 待って話を聞いて! 食べないで! ちょっ舌! それ甘いのチョコ! ああもう!!」
「さって……お待ちかねの試食タイムね! そ・れ・で・は、いただきまぁす♪」
たい焼きの様な姿の鯛であるベークにタルトが迫る中、うえ男も飛び込んでフォークでベークを突こうとする。
その隣で巻き沿いになったシズカは『不幸です……』と呟いた。
●アナタにチョコの花束を
「これはアングレカム。花言葉は、いつまでも貴方と一緒、だ。一人の友人としてな」
と、言って桜花は楓に、アングレカムという花の形をしたホワイトチョコを手渡す。
「いつもありがとうなのです、桜花。これは私からの気持ちです。受け取ってほしいです」
お返しに楓は、ベゴニアという花の形をしたストロベリーチョコを差し出した。
花言葉は『親切』。
すると、聞こえる……桜花の優しい歌声が、広場から聞こえてくる演奏に合わせて歌う。
日本人形の様な小さな楓を桜花は自身の肩に乗せ、小さな友人の為に歌詞を歌として紡ぐ。
一番近い場所で、桜花の歌声を聞くだけで楓は『幸せ』と思いながら耳を傾けた。
「お花の型でチョコ作り! せっかくだから色んなお花を作ってみたいな♪」
と、ギギエッタが琥珀の様な瞳を輝かせながら言った。
「んー……取りあえず未成年だから香りづけはオイルだねぇ」
ポテトは香り付け用のオイルを手にする。
「あ。チョコの溶かし方とかってコツがあったりするのかしら?」
「え、僕もこれ初めて作るよー?」
ギギエッタとポテトは互いに顔を見合わせた。
2人は、近くで作っているセララに声を掛ける。
「あの、チョコをどうやって溶かすのかしら?」
「えっと、湯煎というのをするんだよ。お湯をボウルに入れて、それでチョコを入れたボウルを温めながら溶かすんだよ。あ、火で温めながらしたらダメだよ?」
ギギエッタとポテトに溶かし方を説明しながら、チョコを溶かしてみせるセララ。
「火で温めながらはダメ、と……教えてくれてありがとうね」
ポテトはセララの説明をメモしながら笑顔でお礼を言った。
「それにしても、食べられる花があるなんて初めて知ったわぁ」
チョコを湯煎で溶かしながらギギエッタは呟いた。
「ギギエッタ君は何の花作るのー? 僕は青いペンタスと紫のバーナベとピンクのゼラニウムー食べられる花の色と花言葉を基本に選んでみたんだー」
と、笑顔でポテトは言う。
「ニリンソウって花よ♪近い形の型もあったからね」
型にチョコを流し込みながらギギエッタは答える。
固まったチョコを型から取りだし、花束に見えるラッピングをして完成だ。
「いつも仲良くしてくれて有難う。これからも宜しくねー」
ポテトは、可愛くラッピングされたゼラニウムのチョコを差し出す。
花言葉は「尊敬、信頼、真の友情」だ。
「ありがとう! ポテト。こちらこそ、よろしくね♪」
受けとると、ギギエッタは自分が作ったニリンソウのチョコを渡す。
花言葉は「友情、協力、ずっと離れない」
「ふぅ、ギルドの人数分出来上がり!」
篭の中には一口サイズの沈丁花(ジンチョウゲ)のチョコが沢山咲いていた。
キンモクセイに近い甘い香りに、セララは惹かれて沈丁花のお酒をチョコに加えている。
花言葉は「優しさ、おとなしさ」。
「さぁ、私の愛を受取ってくれたまへー!」
と、シエラがお酒以外の花という花の素材を使って作った、大きなヒマワリのチョコをセララにどーんと渡す。
愛があれば完成する! と、自分に言い聞かせながら作ったチョコ。
気持ちは誰よりも籠っているであろうが味は二の次!
「え、うん、ありが……」
セララが礼を言おうとするが、シエラはもう居なかった。
「……しかしこういうのって味とかどうなんだろう。食べにくいのかな」
完成した花のチョコをメルトは口に入れる。
サンカヨウの実は甘く、少し苦い位のチョコにとても合っていた。
「花形のチョコレートか。ちょっと変わってて面白いね。よーし。じゃあ作っていこう!」
ルーニカは元気よく声を出しながら、薔薇等の『情熱』、イエローサルタン等の『強い』という意味を持つ花のチョコを作り始めた。
幻には恋人が居る。
しかし、告白の言葉を口にしてない。
だから、グラオ・クローネという絆を確める日に告白すると決めたのだ。
贈り物がある、と言って事前に太刀川を呼んだものの……チョコを作る幻をじっと見つめている。
少し恥ずかしがりながらも、幻はチョコにピーチリキュールを混ぜて桃の花に形にする。
想いを込めて、春の香りを漂わせる花束にラッピングする。
「……桃花を貴方を想って作りました。花言葉は『私は貴方の虜』……貴方をお慕いしています……」
窓際に座って微笑む太刀川に、幻は桃の花のブーケみたいなラッピングされたチョコを差し出す。
「美味しいよ幻」
チョコを受け取り、太刀川は口に入れると笑顔で答えた。
「確かに美味しいけど、俺はこっちの方を味わいたい」
幻の唇に太刀川の唇を付ける。
桃の甘い香りに酔いそうになる。
熱く、蕩けそうな感覚が幻の身も心も1つになりそうだ。
ふらつく幻の体を太刀川は、細いその体を力強くそしてこれ優しく抱き締めた。
(僕を更に虜にして……貴方はなんて罪な人)
と、更に心を惹き付けられた幻は、自分よりも少し逞しい太刀川の体を抱き締め返した。
「噴水すごいです!」
窓から見える噴水を見ているトゥエルは声を上げた。
「お2人とも今日は私に付き合ってくれてありがとうございます。ふふ、誰に送りますか? 私はそうですね。優しいお二人にですかねぇ」
と、優しい笑みを浮かべながら芽依は、トゥエルとレイに問う。
「誰に贈るかかぁ。うーん。愛情を込めて渡したい相手は今ここにいないからなぁ。花好きの芽依にあげるよ。もちろんトゥエルにもね。チョコ好きだよね?」
うーん、と唸り声を出しながらレイは答える。
「わ、私もお2人にチョコお渡ししたいです。でも、レイ君はかっこいいし芽依さんは優しいし伝えたいことが多すぎて、どんなお花がいいか分かりません! そうだ! 2人はどんな花がいいですか?」
トゥエルは元気よく答えた。
「大千本槍の型とかあるかな? 色はオレンジがいいな」
「レイさんはガーベラですね。花言葉は「神秘」「冒険」「我慢強さ」ですね」
レイの言葉から芽依は、作るであろう花の名を答える。
「そう、芽依はご名答。かわいい花だよね。結構お気に入り」
と、はにかみながらレイは頷いた。
「トゥエルさんは悩んでいるの? じゃあ、私たちと一緒に考えましょうか」
と、芽依はトゥエルに提案する。
「うん!」
3人はそれぞれ花のチョコを作り、それぞれの想いを込めて手渡した。
「日頃の感謝ですか……そういうのもいいですよね?」
グラオ・クローネという風習を聞いた少女は呟いた。
『悪くはないと思うがどうするつもりだ』
「ユーリカさんのお誘いにのろうかと……」
アーラの問いに少女は答えると、花のチョコを作りに駆け出した。
「先に花を選びましょうか」
『それが妥当だと思われるな』
少女が花に関する材料をアーラと眺める。
「問題は花を愛でそうな同胞がいないことですね』
『……否定は出来ないな」
少女が少しため息吐くと、アーラはギルドの面々を思い出しながら答えた。
「ふむ、大体こんな感じでしょうか?」
出来上がったシャクヤク、ジャスミン等の花のチョコをラッピングし終えた少女は、アーラに問う。
『……悪くないのではないか』
春の花壇様に色鮮やかで、賑やかな花のチョコを見てアーラは素っ気ない返事をする。
「では、あとは『七曜堂』と書いたリボンで纏めれば完成ですね」
箱に蓋をし、少女は慣れた手付きで箱をリボンで封をした。
「お菓子の華、か」
一人でふらつくコルザに塁が声を掛ける。
「一緒に作りませんか?」
「――そうだね、ここで出会うのも何かの縁なのだろう」
コルザはこくりと頷き、狐耳と尻尾を動かす。
「私は、ウォーカーの叶羽・塁と申します。今日はよろしくお願いします」
「僕は、コルザ・テルマレス。同じウォーカーだ」
「テルマレスさんはどのチョコがお好きですか?」
と、塁は問う。
「美味しければなんでも! ……というのもなんだし。抹茶が一番懐かしい味がするからそれが一番好きだね」
コルザがそう言うと噴水の方に視線を向けた。
「折角の縁ですからお互いにチョコを贈ってみましょうか?」
と、塁が提案をする。
「ああ、じゃあ僕の腕によりをかけて叶羽君のチョコを作るとしよう! …………出来が悪くても笑わないで欲しいのだよ!!!」
「ええ、楽しみにしております」
コルザの言葉に塁は笑顔で頷いた。
友達に渡すチョコを作りに来たティミ。
「ああ、でも……桜の花が良いですね」
チョコを溶かしながらティミは、うっすらとピンク色に染まった木々から花弁がふんわりと舞う姿を想像する。
「あ、いけないです。固まってしまいます」
気が付いたら湯は冷め、液体から固体になろうとしているチョコを見てティミは声を上げた。
用意していた桜を砂糖に漬けたモノに、チョコを掛けて固まるまで待つティミの頬は少し赤らんでいた。
お菓子が好きな友達に気に入って貰えると良いな、と思いながら食べる姿を想像しながらラッピングをする。
「よし、出来た」
ティミは満足げに微笑んだ。
「じゃあ、せーのでお披露目ね? せーの!」
ノースポールの合図と共にチョコを差し出す。
「キャラメルチョコで、ルークの髪の色を表現してみたよ。あと、ルークってスラッとしてて格好いいから、薔薇が似合いそうだなって思って!」
と、ノースポールが作ったホワイトとキャラメルチョコで作った、小さな薔薇が箱の中で5つ咲き誇っていた。
「それとね? 本の薔薇って『あなたに出会えてよかった』って意味があるんだって!」
笑顔でノースポールは説明をする。
「ポー、ありがとう。僕からは……」
ルチアーノが差し出したチョコは、アイシクルピンクの円型の箱にレースの紙を敷いて、その上にカスミソウを敷き詰めおりその中でノースポールが咲いている光景は、花畑を手のひらサイズの箱庭が本物の様に見えた。
「カスミソウの花言葉は、感謝と幸福。ポーがいつも幸せに、元気な笑顔でいられるようにいつも想ってるよ」
と、優しい笑みを浮かべながらルチアーノは言った。
「いつも仲良くしてくれて、ありがとねっ♪」
「僕の方こそ感謝してるよ。いつもありがとう!」
ノースポールとルチアーノは、互いに日頃のお礼を言って贈られたチョコを口に入れた。
「そうか、花のチョコレートを……お前にも渡すような相手が出来たのだな」
ブローディアと契約した少女ことサラは、イベントの事を耳にしてチョコを作り上げた。
「む、その青い花はブローディアではないか」
青く染色されたチョコの花を見てブローディアは驚きの声を上げた。
サラにとって、ブローディアとの絆は大切なモノなのでチョコとしてそれを伝えたかったのだろう。
たとえ、ブローディアがナイフで食べられなくともーー……。
成否
成功
MVP
なし
状態異常
なし
あとがき
グラオ・クローネ!
お月見から参加していただいたPC様、また参加していただきありがとうございます。
今回初めてのPC様、私のイベントシナリオに参加して下さり、とても嬉しいです。
沢山の想い、参加された数だけのそれぞれの理由を書かせていただき、ありがとうございました。
少しでも楽しんでいただけたら幸いです。
これから、少しでも皆様の物語を紡いで行けるよう努力しますので、よろしくお願いいたします。
GMコメント
初めまして、ルビーの和名の『紅玉(コウギョク)』と申します。
お月見シナリオ振りの方はお久しぶりでごさいます。
チョコに少しお酒が入ったのって美味しいですよね。
お酒が苦手な私でも美味しくいただけるので、この時期は様々なチョコが出て目移りしてしまいます!
【目標】
1、チョコフォンデュを楽しむ
(ミルクチョコ、ホワイトチョコ、ストロベリーチョコ、抹茶チョコの4種)
2、お花のチョコを作る
【場所】
ハルツァーレク領にある広場
【注意】
・選択
『1』か『2』のどちらか片方を選んで、文頭に記載して下さい。
両方選んだ場合、番号の記載が無い場合はコチラで人数調整しながら片方に描写させていただきます。
・グループ参加
選択した番号の下に、『【グループ名】』や『相手の名前(ID)』の記載をお願いします。
・花のチョコ
お任せしたい場合、なかなか決めれない方は相手のイメージを単語で並べていただければ、私の方で選ばせていただきます。
例:『優しい』『強い』『赤』
Tweet