シナリオ詳細
<Chaos Cherry Blossoms>花見酒は夢の味
オープニング
■桜巡りて酒巡る
はらり、ひらり。
舞遊ぶ薄桃色の花びらはそこに居る人々の心を和ませる。
花見をしよう、と誰かが言った。
賛同した者達は各々の食事を持ち寄り、ここ新緑にて花見を楽しんでいた。
飲み物も各自が持参しており、最早誰が何を持ってきたのかわからない状態だ。
だから、その酒を『あなた』達がそれを口にしたのを、誰も咎める者は居ない。
酒に強くないものでも飲めるようにと、甘酒程度のほんのりな甘さ。
飲んで暫くすると、目蓋が重くなってきた。
陽気な天気、暖かい空気、食べてお腹いっぱいになった体。
巡った酒は、まどろみを誘い、そして――――
件の酒を飲んだ『あなた』達は全員、暗闇の中に落ちていった。
■そこに見たのは過去か未来か、あるいは望みか
最初は真っ暗な中であった。
次第にそれは世界の輪郭を作り、現れたのは、見知った世界。
そこで『あなた』が見たのは、『あなた』が心の深層に眠っていたもの。
それは過去であっただろう。過去を振り返るか、あるいは改変を望んだ過去か。
それは未来であっただろう。理想のものか、あるいは願いか。
それは現在であっただろう。こうなっていれば良いと願ったものか。
世界は『あなた』の望むままに。
これは夢の物語。
桜舞う中、お酒が見せた、ただの夢。
起きたらきっと、忘れてしまう、泡沫の夢。
■補足事項
以下の二点をプレイングにて記載していただけると描写がしやすくなります。
1.過去or未来or現在の選択。アルファベットの記入でお願いいたします。
a.過去
b.未来
c.現在
2.お相手さんと一緒に参加される場合はお相手さんの名前の記入をお願いいたします。
お手数をおかけしますが、よろしくお願いいたします。
- <Chaos Cherry Blossoms>花見酒は夢の味完了
- GM名古里兎 握
- 種別イベント
- 難易度VERYEASY
- 冒険終了日時2019年04月20日 21時25分
- 参加人数30/30人
- 相談7日
- 参加費50RC
参加者 : 30 人
冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。
参加者一覧(30人)
リプレイ
■焼き立てのパンをいつか
『叡智のエヴァーグレイ』グレイシア=オルトバーン(p3p000111)は、自身がパン屋の店員として働いている事に驚いていた。同時に、鏡に映った自分が若い姿である事にも気付く。
眼の前には『命の重さを知る小さき勇者』ルアナ・テルフォード(p3p000291)。
互いに不思議に思う。現実での事を思い返そうとする前に、これが夢だと唐突に理解する。
そうなると、現状を受け容れる事は早かった。
彼女が「……パン、美味しそうだなぁ」と呟けば、中でも美味しそうな物をグレイシアが選んで渡したりと。
楽しそうな様子のルアナに対し、渋い顔をするグレイシア。
彼の表情に気がついて首をかしげるルアナ。
彼女が何か発する前に、少しずつ世界の光が薄れていく。
男が呟いた言葉を、ルアナは聞き取れなかった。
その言葉は、いつか彼の口から聞けるのだろうか。
■その船乗りは今日も冒険へ繰り出すのだ
青い海が広がる。
どこから降るのか、桜の花びらが舞う。桜の木なんて、海の上には無いのに。
『風読禽』カイト・シャルラハ(p3p000684)はそんな事を思ったが、今は別に気にしない。
なんたって、これから宴会なのだ。
大人になった彼の体躯は大きく、がっしりとしている。
違和感を覚える事も無く、彼は音頭をとる。
「野郎どもっ、今日は騒ぐぞ!」
自慢の赤い翼を広げて、彼は部下達と酒を飲み交わした。
■今はもう懐かしい、覚えていない筈の
『不運な幸運』村昌 美弥妃(p3p005148)は、気付くとその世界に立っていた。
同時に、これは夢であると認識する。
彼女が世界で最初に見たのは、赤子を抱いて子守唄を歌う母親と、幸せそうに見つめている父親。
(ああ、自分にもこういう時があったんデスよねぇ……)
少しずつ近付き、隣へ座り。
目を閉じて母親と共に口ずさむ。
耳に残るのは、記憶にあるものだからだろうか。
世界が薄れるまで、彼女はその唄に耳を傾けていた。
■その涙が持つ感情の意味は
足音が聞こえる。それは自分――『CS-0410』フィーア・プレイアディ(p3p006980)のものだ。
懐かしい景色から、そこが帝国軍工廠の生産ラインの一つ「フィーア」に行った時のものだと悟る。
自分の後に生産されたクローン兵士、便宜上妹と呼んでいる者達を迎えに来たのだ。
しかし、全員を迎える事は出来ない。
窓越しに見える景色には、不良品として処分されていく妹達の姿。
成功品は未だカプセルの中にて眠っている。
自分の中で何かがざわめく。
物悲しい……? 寂しい……?
よくわからない感情と共に、頬を何かが伝った気がした。
■不思議な夢は謎に満ち
『孫の手アンドロイド』エリザベス=桔梗院=ラブクラフト(p3p001774)は、辺りの景色を見回して、首を傾げた。
自分の周りには人っ子一人居ない。
はて、と考えるも、経緯が思い出せない。
その代わりに世界が変わる。色鮮やかなものへと。
見た事があるようで無いような、もしくは懐かしいとさえ思えるような景色や人々。
これらは自分の失われた記憶だろうか。
真実はわからないが、好奇心は止められない。彼女の足は自然と進み、世界を歩き始めた。
記憶を手繰り寄せるように歩いた先には、何が待ち受けているのだろう。
■その任侠は、未来に願う
「久しぶりじゃねえか、おやじ」
『義に篤く』亘理 義弘(p3p000398)が相対するのは、恩ある者。任侠の道の標たる人。
「組の若い連中はしっかりやってるか? あいつがいるなら、間違いはねえと思うけどよ」
眼の前の男は笑うのみで答えない。
ただ一方的に語るのみの夢は、少しずつ白けていく。
「もし俺が生きてそっちに戻ったら、また酒でも飲むとしようぜ。な、いいだろ?」
すると、今まで微動だにしなかった男が動いた。
その首がどちらを向いたのかを記憶する前に、世界は。
■いつか見せたいものを見つけるために
懐かしい声に目を覚ます。
『烈破の紫閃』ルーミニス・アルトリウス(p3p002760)は、「疲れたのか?」の問に、移動が長すぎるのだと反論した。
それを流し、その人は彼女に眼前の景色を勧める。
言われて覗き込めば、生まれて初めて見る多くの桜の木。
思わず感嘆の言葉を呟けば、その人は笑った。
「この季節のこの道は気に入ってるんだ……お前もいつか、気に入った景色を私に教えてくれよ」
そう言ったその人は、自分の育ての親。好敵手でもあり、目標でもある。
いつか教えられるだろうか。
叶うならその場所へ連れていきたいと、彼女は思った。
■夢はいつしか現へと
知らない部屋、知らない相手。
だというのに、何故だろう。『鳶指』シラス(p3p004421)は少女――『希望の蒼穹』アレクシア・アトリー・アバークロンビー(p3p004630)と気付けば話し込んでいた。
少し血色の悪い彼女に対し、胸が締め付けられるのは何故なのか。
少女の方もまた、彼を知らないのに知っているような気がした。
彼女は願う。外の事を。
請われた彼は語る。ローレットでの事を。今まで自分が体験してきた物の全てを。
アレクシアは様々な事柄に対して気になったものを一つ一つ質問してきた。
それに対し、少年もまた答えられる範囲で答えていく。
「俺はきっと混沌中に名をはせる冒険者になるから。ねえ、そういえばアンタの名前は?」
「私? 私の名前はアレクシア。忘れないでね?」
「アレクシア」
少年が呟いた時、世界は白い光に包まれる。
目覚めた時、彼は彼女の顔色が夢よりはいくぶんか良い事に安堵するのを、少女は知らない。
■映した夢は憎くも望み
見えるのは、暖かな家の中で自分によく似た男が妹と談笑している様子だった。
『闇夜の双刃』クロバ=ザ=ホロウメア(p3p000145)が居るのは、灰色の空から降り積もる雪の中、そして、焼け落ちた家だった。
血のように赤いマフラーの端を握りしめて、奥歯を噛む。
なんて最高の悪夢だ。もう戻れない場所を見るなんて。
だけど、と、彼は願う。
許されるのなら、憎まれ口を叩きながらでもいいから、見届けたいものを最後まで見ていたい。
世界が遠ざかる。自分の姿だけが消えていく。
ああ、俺もいつかは――――
■夢の果てのステージへ!
自分の名を呼ぶ声に我に返った『学級委員の方』藤野 蛍(p3p003861)。彼女は声の主である『要救護者』桜咲 珠緒(p3p004426)を前に、「ここは?」と呟いた。
「何を他人事のような。今日はようやくの舞台に上がる日ですよ」
「……ああ、そうか。そうだったわね」
アイドルとしての道を歩みだした二人。今日はその一歩であるライブだ。
「ええ。桜咲にとって最初の聞き手であり、手を引いてくださった貴女が傍らに立たずしてどこに行かれるというのです」
「そうね。それじゃあ、行きましょうか」
「はい! すずきさん、こじまさんも準備はよろしいですか?」
四等身程の大きさのロボットが二体、応えるような動きを見せた。
蛍と珠緒の二人は顔を見合わせて深呼吸すると、煌めく世界へと踏み出した。
ここから始まる夢の果てへと!
■妹の幸せを願う姉
三味線、琴、人が行き来する物音。
それらの音を聞きながら、『暁月夜』蜻蛉(p3p002599)は、懐かしさを覚えていた。
かつて居た遊郭。自分の居た部屋。
「蜻蛉姐さん、髪ゆってくれへん?」
「うちもお化粧も、教えてもらわれへん?」
二人の女性が彼女を慕ってやってきた。そんな可愛い妹分達に、蜻蛉はついつい世話を焼いてしまう。
彼女達がいい人に身請けされるようにと願いながら、蜻蛉の手は筆を、櫛を、動かしていくのだった。
■もしもの願いは、雫となって落ちる
『水底の冷笑』十夜 縁(p3p000099)は、サボっているのを叱られた後、仕入れた食材を倉庫へと運び入れた。
道中、ふと浜辺を見れば、歩く親子の姿が目に入ってきて。
母親らしきハーモニアの片方の耳には、涙型のサファイアのイヤリング。
父と母、それから子供が笑い合う、幸せそうな家族の姿。
見ていると、何故だろう。胸が締めつけられる。会ったことがないはずなのに。知らないはずなのに。
胸の痛みは強くなる。
その痛みが、彼を世界から引き離す。
頬を流れる雫は、一筋の軌跡を描いていた。
■過去をなぞり、今を生きる
揺られる感覚。目を開ければ、ほぼ葉桜と化した桜並木。
『特異運命座標』ティスル ティル(p3p006151)が、これは夢だと悟ったのは、自分を背負っているのが幼馴染だという事に気付いてからだ。
そして、この夢はかつての思い出をなぞっているのだという事にも。
幼馴染に苦笑しながら言われた言葉に返そうとして出来ないまま、生返事をして、また自分の目が閉じる。
次に彼女が目を覚ました時は今の時間となるだろう。
会いたい思いを胸に芽生えさせて。
■甘い追憶は残らないままに
『天使』安慈 エリカ(p3p006298)が見ている夢は、誰かを見ている夢であった。
衰弱しきった老婆が床についており、周りには常に家族が居る。
老婆の寝顔は幸せそうで、それは生死の判断を曖昧にさせた。
花の咲き乱れる庭に降り立ち、その老婆の手を取る。エリカは優しく口付け、それから舌で舐め取った。
とてもとても甘い味に、夢中で彼女は食み続ける。
その体を全て体に収めた時、世界はゆっくりと形を変え始めた。
自分の世界が変わる中、ふと、彼女は思う。
(あの老女がわたし自身だと思ってたのだけど、違うのかしら?)
その疑問すらも、彼女の中に残る事なく消えていった。
■大事な君と、ちょっとだけ先取りした未来を
『饗宴の悪魔』マルベート・トゥールーズ(p3p000736)と『暴食の守護竜』ヨルムンガンド(p3p002370)の手にはワイン、並べられているのは洒落た肉料理。
ソファーに座って宴会のように騒ぐのだ。
なんてったって、今日は誕生会。互いに一日違いという奇跡だからこそ成せる技。
祝う歌を唄い、お腹が膨れたところでベッドにダイブして互いの温もりを確かめ合う。
ヨルムンガルドはこれ以上ないくらいの幸福感を感じながらも、大事な言葉を口にした。
「また、一年……これからも、よろしくなぁ……」
「こちらこそ」
マルベートもまた嘘偽り無い言葉を返しながら、思わず続けそうになった言葉を飲み込んだ。
「少しだけ君を食べたい」なんて言葉を言ってしまったら、色々なものが無くなってしまいそうで。
(そう考えると、本当に愛らしくて食べたいのに、牙を突き立てる気分にはなれないのは何故だろう)
不思議な気持ちを感じると同時に、今はただ互いの温もりを感じて。
■悔恨は繰り返される、君が悪夢から覚めるまで
『青き戦士』アルテミア・フィルティス(p3p001981)は、今この世界を夢と認識していた。
何故ならば、これは過去の記憶。これまでも何度も見てきた夢。
双子の妹を失った日の記憶。
賊の手により、焼け落ちた我が家の別邸。父と兄が怒号でもって私設兵団に指示を出す。
焼死体は男性のみ。女性は攫われたと見るのが当時の見解であった。
討伐隊に彼女が参加した時、妹の姿はそこに無く。
守ると口にした約束は果たせず、悔恨だけが残る。
何度目かの風景の後、いつも思うのは、今何処にいるのかという思い。
それは夢から覚めても繰り返される、果てのない悔恨。
■素材採集は夢のあとで
今いる場所とは異なる場所。
『蒼ノ翼』ルーキス・グリムゲルデ(p3p002535)は、自分が元居た世界のどこかだと何故か認識していた。
『紅獣』ルナール・グルナディエ(p3p002562)と共に暮らしているという事も。
時間は朝。そろそろ彼を起こさなければ。
部屋に行き、彼の体を揺らしながら声を掛ける。今日は素材採集の日だとせっつくのだが、当の彼はまだ半覚醒のようだ。
ルーキスはそれ以上起こすでもなく、仕方ないなあといった体で布団に潜り込む。
互いに抱きしめあって、笑い合って、言葉をかわし、眠りの波に身を任せる。
今までと変わらない生活。
ただ一つ違うとすれば、二人の左手の薬指には指輪がはめられている、という事のみ。
「これからもよろしくねルナール先生」
「ああ。んー、これは俺の役得ってことで……」
どうやらまだ寝ぼけているらしい。
ほんの少し笑みを浮かべて、彼の腕の中に収まったまま目を閉じた。
■永き夢を望む
ゆらゆらと、大きな尻尾が揺れている。
それが肌に触れるのを感じながら、『宵越しのパンドラは持たない』アーリア・スピリッツ(p3p004400)は手元のお酒を口に運んだ。
「一緒にお花見をするようになって、もう何年かしらぁ?」
返ってきたのは、百年は超える数字で。
もうそんなに経っているのかと、笑みが溢れる。
永い命を持つ人と同じになった自分は、今日も変わらず酒を飲む。
想い人と、今日も明日も、その先も。
望む夢が叶うのを、夢見て。
■願う形は家族の中に
気付けば、空は明るくて。
そして、周りを見回して、『トーンいらず』クリスティアン=リクセト=エードルンド(p3p005082)は目を見開いた。
自分の元居た世界。そこに居た家族。
父、母、それから家族に使用人達。
自分は混沌に居たはずではなかったか。
疑問が湧き上がるも、すぐにこれは夢だと悟る。
注がれるニホンシュなる酒を飲み、美しいサクラを笑顔で愛でる。
幸せそうな笑顔を見て、クリスティアンは胸をなでおろした。
一時でも、その笑顔が見れたことを嬉しく思う。
王である父を見やる。どうか自分を応援してほしいと願いながら、父と共に酒を煽った。
■そして少女は愛に目覚める
『盲目の花少女』ソフィラ=シェランテーレ(p3p000645)は、唐突に目が覚めたように思えた。
同時に、己の名前を、己の使命を、理解する。
「愛さなきゃ。全てを、平等に」
己が持つ霞草の花言葉は「幸福」。故に、愛や幸福を等しく与えなければならない。
「皆を、この世界を幸福にできるかしら? ……ううん、やってみなくちゃわからないわよね」
目を開く。世界が色づいて見えるこの景色に少女は微笑み、そして一歩を踏み出した。
■我が欲するは温かいもの
『黒曜魔弓の魔人』フィーゼ・クロイツ(p3p004320)は、荒野と赤い空に、かつて居た世界を感じていた。
実力至上主義、弱肉強食の世界。
混沌に来る前の自分の姿。上位魔人の一人として君臨する姿に至るまで、敗北と転生を繰り返してきた。
かつては支配される側だった自分が逆の立場となっている。
だというのに、胸に去来する虚無は何なのか。
足元に転がる躯達。二人一組の姿を見て、理解した。
所謂、好敵手となる者が欲しかったのだと。
独りは嫌だと。
誰かの温もりを欲した魔人は、それが叶う日を夢見ている。
■過去から学びし術は今
『瞬風駘蕩』風巻・威降(p3p004719)は、自分の姿が幼いものである事を自覚していた。
今彼が見ているのは、祖父に剣術を習っていた過去の記憶。
小太刀ではなく木刀とはどういう事かと詰め寄る自分と祖父のやり取り。
この平和な世で戦場になどならないと告げても、祖父は稽古を止めようとはしない。
「備えあれば憂いは無ぇ。いいから黙って振れ。いつかきっと、お前ぇの役に立つからよ」
そう言って頭を撫でた祖父。
今ならわかる。この祖父の言葉は正しかったのだと。
感謝の言葉は、夢の中ではついぞ出す事が出来なかったけれど。
■体を、居場所を、求めて触れ合う
幼い姿の『『幻狼』灰色狼』ジェイク・太刀川(p3p001103)は、巨大な花園の中で、膝を抱えて泣きじゃくっていた。
家族の中で異物な己への拭えぬ違和感。
日々募る不安。
泣き止まぬ彼へ、一人の女性が声をかけてきた。
『『幻狼』夢幻の奇術師』夜乃 幻(p3p000824)は、少年の返事も待たずに優しくその子供を抱きしめた。
女性の方が一度目を見開いた。
腕に収まる確かな感触がある。現実の人間と触れ合う事など出来ないはずなのに。
有り得ない事象に脳が混乱しそうになるも、自分の服を掴む少年の動きを感じ取り、穏やかなものへと変わる。
夢か現かなど、瑣末な事だ。
今はただ、この奇跡に感謝しながら互いを抱きしめ合いたい。
腕の中の少年は、まだ泣き止まない。
彼は本能で悟っていた。
この腕の中が自分の帰るべき場所なのだと。
二人の夢が覚めるまで、少年の泣き声は止む事は無かった。
■願う形は夢へと変えて
『黄昏夢廸』ランドウェラ=ロード=ロウス(p3p000788)は、桜の下に父と母が居る事に気付いた。
二人が楽しそうに笑っているのを見て、なんとなくこれが夢だと察した。
今の体に違和感を覚えない。まだもう少し夢の中にいられるのだろう。
今見ている夢は、二人の姿からして、未来なのだろうと推測する。こんな想像をしていたのかと驚くばかりだ。
幸せすぎてこそばゆい。影よ早く起こしてくれと願えば、花びらが視界を邪魔し始めた。
風も冷たくなってきて、そろそろ夢から覚めるのだろうと自覚する。
この夢の中が記録に残らなくて良かったと心から安堵する。
そして世界は、桜の花びらに覆われた。
■夢の終わりに
夢は願いを表すという。
起きた時、彼らの中で夢を覚えている者は居なかった。
代わりにそれぞれの胸に去来した感情を、彼らは感じ取る。
過去を表し、現在を表し、未来を表した、いくつもの夢。
願いは夢の始まり。いつの日か、その夢に手を――――
成否
成功
MVP
なし
状態異常
なし
あとがき
花見酒か見る夢はいつもより格別かもしれませんね。
皆様、お疲れ様でした。
GMコメント
花見の季節ですね!
という事で、新緑にて花見をしたのですが、誰が入れたか不思議なお酒が混ざってしまったようです。
お酒を飲んだ方達はもれなく夢の中へご招待。
ご安心ください。数時間後には自然と皆さん起きますので、一晩中夢を見るという事は避けられます。
起きるまでの束の間の夢を、どうぞお楽しみください。
甘いのでも、シリアスでも、ほのぼのでも、頑張って描写させていただきます。
また、注意事項を最後に付け加えておきました。こちらの方もご確認のほどよろしくお願いいたします。
■注意事項
了承の無い他PCさんの夢の中へ入る事は出来ません。
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