シナリオ詳細
    <グラオ・クローネ2019>甘く溶けて
  
オープニング
●甘い
『ふらり、ふらりと』青馬 鶇(p3n000043)は財産家のフィーネ・ルカーノ (p3n000079) を見つめる。鶇はフィーネの自宅に呼びつけられたのである。
「ねぇー? 鶇さん? あたくし、貴女に食べてもらいたいものがあるの」
「……なんだい、それは……」
 鶇は警戒する。脳裏には媚薬入りの何か。
「うふふ、そんなに怯えなくてもいいのに。ああ、可愛いひと。もっともっと、虐めてあげたくなる」
 フィーネは鶇を満足そうに眺め、鶇の手に触れた。瞬時に鶇は眉根を寄せる。
「……そういうのはあたしじゃなくサンドリヨンにしておくれよ……」 
「あらあら、嫉妬? でもね? あたくしのお気に入りは彼だけじゃない。ああ、ほら、早く。ふふ、そんな顔をしないで頂戴。あたくし、鶇さんにまずは、グラオ・クローネを楽しんでもらいたいの。さぁ、ともに行きましょう?」
 フィーネは鶇の手に触れ、優雅にエスコートする。
●後日
 『ロマンチストな情報屋』サンドリヨン・ブルー(p3n000034) はローレットで鶇を見かける。
「あ、鶇さん! この前はどうでした? フィーネさんは今回はどんなことをするんですか?」
 話しかけるサンドリヨン。その瞳には好奇心が滲む。
「ああ、今回はイチゴ狩りをするそうだね」 
 鶇は言う。
「わっ、イチゴ狩りを! わー、良いですね、楽しそうです!」
 はしゃぐサンドリヨン。その目はキラキラと輝く。
「それと、併設しているカフェで、ルビーチョコのストロベリーパフェを振る舞うそうだよ」
「え? ルビーチョコですか?」
 目を丸くするサンドリヨン。聞き慣れない言葉。
「ああ、そう。ルビー色のチョコレートのことだよ、あれはかなり美しいねぇ。そう、フィーネ・ルカーノが飛び付かないわけがない」 
 鶇は笑う。
「ふふ、彼女は美しいものがお好きですからね」
 サンドリヨンは微笑む。鶇は頷き、ふと、思い出す。
「そういえば、カフェにはフライドポテトもあるみたいだね」
- <グラオ・クローネ2019>甘く溶けて完了
 - GM名青砥文佳
 - 種別イベント
 - 難易度VERYEASY
 - 冒険終了日時2019年03月05日 21時30分
 - 参加人数26/30人
 - 相談8日
 - 参加費50RC
 
参加者 : 26 人
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参加者一覧(26人)
リプレイ
●
「よっしゃ、どっちが多くイチゴを狩れるか勝負だ、アマリリス」
 アランの声が響く。
「なるほど。お任せください、討伐ならば自分の役割にございます!」
「討伐……? いや、イチゴ狩りってのは食うんだからな?」
「あっ、食べるんですよね。ししし、知ってますよ~~」
 それなのに、それなのに。固まるアマリリス。一粒の苺に凝縮された命と向き合い、指先を震わせる。これは大量虐殺だろうか。
「ああ、何も考えずに食え! 俺は練乳をつけて食うぞ!」
「うう……命よ、ごめんなさい」
 途端に見開くまなこ。
「うまひ……噛みしめる命が美味い!」
「だろう? ほらよ、アマリリス。お前も練乳をかけて食え」
「練乳!? いいですね! わわ、とろとろしすぎて練乳がイチゴから滑る! はわわ!」
 白濁の滴がとろり。
「手と口元が大変なことになってんぞ」
「アラン……これ……」
「おい、 卑猥だの何だの言ってきたらぶち殺すからな!」
「なんか、ひわい」
「おい、秒で言うんじゃねえ!」
 畏まるアマリリスにアランが笑う。
「……にしても、お前とこう遊ぶのは何だか新鮮な気分だな。依頼とか殺伐としたことばっかだったから、この前の唐揚げもだが……こう言う平和ななにかをするってのは悪くねーわ、また来ようぜ」
「はいっ、勇者が望むならばこの聖女、どこまでもお供いたします」
 ともに笑顔を見せる。
「フィーネ様、本日はお招きいただき、ありがとうございます」
 寛治は言う。
「いいえ、来てくれてありがとう。ふふ、グラオ・クローネは貴方の言う通り、ビジネスチャンスなの。沢山、楽しんで?」
「ありがとうございます。思えば、フィーネ様のお誘いはノンアルコールの場が多いように思えます。お若い方々へのご配慮、痛み入ります」
「ええ、皆が楽しめた方が素敵でしょう?」
 頷く寛治。
「フィーネ様、もしよろしければこの後、有志を集めてバーにでも、というのはどうです? もちろん、年齢制限をつけて」
(本当は「二人で」とお誘いしたいところですが……)
「勿論。でもね?」
 寛治の指に軽く触れながら、「貴方だけがいいわ」 と誘う。
 蛍と珠緒はハッとする。黙々と苺を摘まんでいた。危うく、デザートを食べることができなくなるところだった。珠緒と蛍はカフェに向かう。
「苺の綺麗な赤って桜咲さんの瞳みたいよね。桜咲さんも苺のように甘酸っぱいのかしら、なんて」
 蛍は苺の甘さを思う。
「自身の瞳は見えないのですが……味は、どうでしょう。 体内の薬品次第で……いえ、何でもないのですよ」
 笑顔を見せる珠緒。蛍は首を傾げながら、裏メニューを知る。
「ん、美味しい」
 蛍が目を細め、何とも言えない顔の珠緒を見る。
「桜咲さんも美味しい?」
 腕を絡ませ、見上げる。
「……おいしいのですが、普通の黒蜜ではないですね」
 珠緒は蛍を見つめる。密着した身体、帯びていく熱。
「ね、一口もらえないかしら」
「ああいや、蛍さんのとおなじものですよ?」
「同じじゃないわ。これは、桜咲さんにあーんしてもらえる特別なソフトだもの……ね?」
「なんかすごい理屈がつきましたが、違うのであれば」
 蜜を多めにつけ、形のよい唇に。
「んっ、より美味しいわ……」
「勿論、桜咲にもくださいますね?」
「ええ」
 珠緒は、向けられたスプーンを口に。ふと、唇に触れる指。そこには蜜。蛍は見せびらかし、魅せるように指先を咥える。 
「ん……桜咲さんの味、とっても甘くて美味しいわ」
「ぁっ、それ、桜咲のなのです」
 珠緒が蛍の指を咥え、舌を這わせる。
 小夜は白く濁ったハイライトのない瞳を、フィーネ・ヴィユノーク・シュネーブラウに向けている。フィーネは猫耳と尾を揺らし、小夜の為に苺を摘んでいる。
「はい、たくさん取ってきましたよ!」
 フィーネは嬉しそうに笑い、小夜が薄く笑う。
「ねぇ、あーんは?」
「え? あーん、ですか? ……もう、恥ずかしいので、一回だけですよ……?」
 真っ赤なフィーネ。
「はい、どうぞ……!」
 大きな苺をそっと小夜の口元へ。
(指が小夜さんの唇に……や、柔らかかったです)
 動揺するフィーネ、くすくすと笑う小夜。
 カフェに移動し──
「小夜さんはどうしますか? メニューも見えないでしょうから、読み上げましょう。私はなんだかあっちの方が食べてるソフトクリームが美味しそうですし、同じやつをお願いしようと思います。メニューには載ってないみたいなんですけど。ちょっと不思議ですよね」
 フィーネが首を傾げ、メニューを読み上げる。
「そうねぇ、何を頼もうかしら、フィーネと同じというのもなんだから違う品がいいわね」
 そう言い、フライドポテトを頼んだ。黒蜜バニラでディップするつもりなのだ。
「ああ……」
 呻く声。そこには互いの指を絡ませ、肩を寄せあうフィーネと小夜。ふと、小夜がフライドポテトにしっかりと黒蜜バニラを付け、瞳を濡らすフィーネに──
●
「いっちご~がり~、いっちご~がり~♪」
 リナはわくわくしながらミルキィを見つめる。
「よーし、リナちゃん、今日はイチゴを取りつくす気持ちでいっちゃおうー!」
 ミルキィが奮起する。
 苺を片手にリナが涎を流す。
「ほわ~、すっごいねぇ……目移りしちゃいそうだよぉ」
 視線の先にはディップ。 
「ね! まずはプレーンで楽しんでから、一通りのディップを楽しんでみちゃおうかな♪」
「うんうん。まずはそのまま、だよね~! わかるっ! うへへぇ……おいしそ~」
 ミルキィとリナは苺を食べ、目を輝かせる。
「えへへ♪ 笑顔になっちゃうくらい美味しい!」とミルキィ。
「ね、とっても甘いよぉ! でも、どうしよう~! ディップが決められないよぉ……」
 困り顔のリナに、ミルキィは──
「ディップをミックスしてみるのも意外といいかも? いろいろ試しちゃえ☆」
「わっ!? ミックス、それだ~!! いいね、いいねぇ~」
 試し始める。 ホイップ×蜂蜜、蜂蜜×チョコ、 練乳×ホイップ×蜂蜜──
「リナちゃんはどのディップが気に入ったかな?」
「わたし? わたしはね、チョコレートとホイップクリームとか~……かなぁ?」
「わ、それも美味しそうだね♪ ね、ボク一押しの練乳蜂蜜ミックスディップ試してみない?」
 リナは頷き、その美味しさに目を細め、ミルキィがリナのオススメを食べ、「うん! グラオ・クローネにぴったりな味だ♪」と微笑んだ。
「さあ! 今日は食べ倒しますわよー!!」
 ビニールハウスで叫ぶタント。
「うんうん、とことん食べ倒しちゃおうー♪」
 シャルレィスがまずは苺をそのまま。
「う~~甘い! 美味しい!!」 
 一方、 タントは格段に大きくて赤い苺をぱくり。
「んん! 最高ですわねー!! それではお次は……折角のグラオ・クローネですので、チョココーティング致しまして! 更にちょこんとホイップクリームも乗せましてっ……」
 その様子を見つめるシャルレィス。
「はい! シャルレィス様! あーんですわ!! 」
 にっと笑うタント。 
「……って、え! わ、私に!?」
 戸惑いながらも、口を開け、驚く。
「わぁ! すっごく美味しい!! ありがとう、タント様!」 
「ふふ、良かったですわーー!」
 胸を張るタント、シャルレィスは微笑もうと── 
「あれ? なんか、タント様の周りだけ妙に蜜蜂さんが多いような……?」
 一面のバンブル・ビー。
「……え? ひゅひっ…!? は、蜂!? わっ、わわわたくしは無害ですわよ!? え、トルネード?」
 目を見開くタント。
「……に、逃げますわよ、シャルレィス様!!」
「う、うん、わかった!」
「ななな何故追ってきますのーー!」
 タントの金の髪が美しく揺らめく。 
「って、ホントだ、追ってくるー!? タント様のきらめきに集まってきてるのかも!」
 出口へと駆けるその背に蜜蜂が迫って──
 
 ゲオルグは、スマートにパフェとフライドポテトを注文する。
「おっ、来たな。ああ、どちらも素敵だ」
 美しいデザートと熱々のポテト。
「おかわりなら沢山あるぞ。だから、遠慮せずに思う存分食べていいからな」
 笑顔を見せる。ジークサイズのパフェ。このサイズなら溶けてしまうことはない。ゲオルグは生クリームを多めにすくう。
「~~!!」
 パフェを食べる度にジークは驚き、身を震わせる。ゲオルグはケチャップやマヨネーズを付けたポテトを自らの口に。
「塩気が丁度いいなぁ。おっと」
 ねだるように上目遣いをするジークにパフェを。
「今、私の傍にいてくれる君にささやかな幸せの贈り物だ」
 ゲオルグは微笑み、指先でジークの口元を拭う。
 リュグナーはいつものように、盲目のソフィラの手を引き、窓側の席へ。 
「甘い香りがするわね」
「ああ、皆、楽しそうだ」
 リュグナーは言い、おやと首を傾げる。ふと、誰かが店員に告げる、とあるメニュー。
「ねえ、リュグナーさん。このお店、裏メニューのバニラソフトがあるみたいよ?」
「ふふ、我も聞いたぞ」
 リュグナーは笑う。裏メニューと紅茶が届くまでの間、ソフィラが暖かさにまどろみ、リュグナーがそっと笑う。 
 
 届いたデザートを見つめ、 リュグナーが目を細める。 
「ほう、黒蜜までかかっているのか。ソフィラ、貴様の髪の花に黒い水を与えたくなければ、気を付けて口に運ぶのだな」 
 からかうように、にやりと笑う。
「まあ……そ、そんなうっかりしないわ!」 
 拗ねたようにわざと唇を尖らせ、手で髪を押さえ、そっとスプーンを──
「あ──」
 すぐに消えていく。
「ん、濃厚だな……」
 リュグナーも息を漏らし、不思議と頬が緩んでいく。
 瞬く間に媚薬の虜──
(あらあら、どうしたのかしら……)
 身体は熱く、意識がはっきりしない。
「ソフィラ?」
 耳に届いた甘い声、ソフィラは身震いをし、その身を傾けて──
「ああ──」
 リュグナーは知る。肩に触れた頬、見上げるように向けられたソフィラの視線。何もかも甘くて──
(ああ、どうしたのだろうな……我は……)
 呻き、リュグナーはソフィラの手に自らの手を重ねる。
 フィーアは黙々と大好きな苺を咀嚼している。
(……一度だけ上官に頂いた冷凍物、それがこの世界で食べ放題………正義は此処に有りです)
 苺の甘さを堪能し、その美味しさにウェービーヘアを何度も揺らす。
「美味しすぎます」
 手が止まらない。
(ただ、蜜蜂が多いような気がします)
 周りには蜜蜂の姿。
「ああ! うっま、最高じゃねぇかよ!」
 真後ろから聞こえる声。フィーアはヨシトを見た。
「悪い。美味すぎて大きな声を出しちまった。それにしても、美味いよな。俺がいた鉄帝じゃ、流石にこういう優雅な果物狩りはそう出来るもんじゃなかったから、ありがたく食ってたところだ」 
 ヨシトは綺麗に苺を食べている。フィーアは頷き、ヨシトとともにディップを。
「ん、美味しいです」
 呟くフィーア。 
「だな! 王道の練乳はなんつぅか、安心感だ。んっ! チョコは苺の甘さとはまた違った甘味で、酸味に合うな! はー、最高かよ!!」
 唸るヨシト、青い瞳を細めるフィーア。
「でも──」
 声が揃った。二人は笑い、すぐにそのままの苺を。
「お腹いっぱいです……任務完了、評価はA+です」
「ああ、最高だ」
 笑うヨシトの周りには、スキルによって集められた蜜蜂。ヨシトはくすぐったそうに身を捩り、 「むぅ……まぁ、刺したりしてこねぇし良いんだけどよ。あと、これハウスから出る時どうすりゃいいのかな」と恥ずかしそうに笑いかけ、きょとんとする。後ろから叫び声と激しい足音が聞こえるような、そんな気がする。
 イーリンは身悶える。
「んんーっ! チョコもいいけどこのいちごパフェがたまらないわ!」
 普段の仏頂面が吹っ飛んでいる。
「ふ……それだけ喜んでもらえれば誘った甲斐があったというものだよ」
 レイヴンは微笑む。見飽きない。レイヴンはイーリンを見つめながら半分以上減ったパフェをそっと口に含む。
「ん、甘い」
 満足げに呟く。
「レイヴンったら、チョコのお礼だからってこんなところに連れてこなくてもいいのに。かしこまっちゃう」
 鋭利な目を細め、イーリンはスプーンを揺らし、時折、嬉しそうに弧を描く。その様子を見つめるレイヴン。心が甘く揺れ、蘇る記憶。忘れもしないグラオ・クローネ当日。思いもよらなかったプレゼント。
「ねぇ、あのチョコどうしたの?」
 いたずらっぽく笑うイーリン。顔を上げる。見透かされたような問い。レイヴンはああと目を細めた。
「……大切に頂きましたとも。今まで口にしたもので一番、甘かったよ」
 ふっと視線を逸らす。途端に恥ずかしくなって──
「ば、バカじゃないの。とは言わないけど……ああ、うん。よかった」
 イーリンは、ごまかすようにパフェに視線を落とし、スプーンを揺らす。
「……」
 高鳴る鼓動。互いの頬を染める、甘酸っぱい赤。
●
 弥恵が滑らかにその身を弾ませる度にイレギュラーズ達は、可憐な動きに息を呑む。そして、弥恵は媚薬を警戒しながらドリンクを一口。何も入っていないようだ。弥恵はそうして、件のデザートを頼む。
「お待たせ?」
 フィーネが微笑し、黒蜜バニラソフトを。
「お招きいただきましてありがとうございます。怪我はもう大丈夫ですかね、フィーネ様……」
(歳の差もありますし名前呼びは控えて)
「おば様?」
 一度、言ってみたかった言葉を。
「そうね、それは事実ね。でも、それは些細なこと。さぁ、溶けないうちに食べて頂戴?」
 フィーネはにっこりと笑い、弥恵に銃口を向ける。
「!?」
 引き金を引こうとするフィーネ、駆ける弥恵。
「御機嫌よう、麗しき我が友。先日の怪我の具合は如何かね」
「あら、銀。ええ、大丈夫よ」
「それにしても、この赤い実が好物であると話したことがあったかな……?」
 フィーネは眼差しを強める。
「まさか、此度の宴は俺の為? なんて。嗚呼、駄目だな、今日の俺は浮かれすぎている」
「あら。なら、あたくしも駄目」
 眉を寄せる銀の髪に口づけ、「だって、あたくしも貴方を見ると、はしゃいでしまうもの」と微笑む。途端に現れるパフェと件のソフト。
「パフェは、チョコと苺を一緒に食べるのがいいわ。ソフトはね、少しだけ溶かして食べるの」
 銀は頷き、裏メニューの存在を知る。きらりと光るスプーン。
「さぁ、お食べなさい?」
 耳元で甘く囁かれる。
「練乳のいちご、おいしい」
 呟くコゼット。
「みてみてー……! このいちご、なんだか丸まってるうさぎみたい……!」
 シオンはホイップクリームを苺につけ、唸る。
「チョコレートも付けると更に美味しい……!」
「あんまり食べ過ぎると、パフェが食べられなくなっちゃうかも。気をつけようね、シオン」
「確かに……! 10個食べたらパフェ食べる……!」
 仲良く、数を数えながら苺を頬張る。
 カフェに移動した二人。コゼットは店員が運ぶスイーツを見つめ、シオンとともに例のものを。
「シオン、はっぴーぐらおくろーね、きょうは一緒にきてくれてありがとう。チョコはもう渡したけど、かんしゃのきもち……!」
 コゼットはスプーンを向ける。
「うん、はっぴーぐらおくろーねだよ、コゼット……! ふふー、コゼットを誘って良かったー……!」
 向けられたスプーンをパクリ。
「……! 甘くてとっても美味しい……! とろける感じがする……! それになんだかぽかぽかしてくる……隠し味があるのかも……? あ、コゼットにもあーん……」
 食べるコゼット。
「うん、すごくおいし……あれ……しおーん」
 甘えるようにシオンに抱き着き、頬を舐め、頬に口づける。
「ふふ……どー……? コゼットー……」
 抱き締められる身体。シオンはふにゃりと笑い、大きな黒翼で瞬く間にコゼットを包み込む。
 そして──
 コゼットの尾に熱い手が触れる。
「んぁっ……!」
 コゼットは身体を震わせ、反射的にしがみ付く。
 サンディはビニールハウスを眺める。
(ケーキとかに乗ってるのは見たし、野イチゴならまぁ割とその辺でも見たが。ちゃんと栽培してるところは見てなかったな)
「よし! まずは、ホイップをっと……んんっ、美味すぎるぜ! うおっ! そのままでも充分過ぎるな! いや、でも、ディップも捨てがたいぜ!」
 サンディは僅かに後悔する。 
(うーん、1人で来ちまったのはちょっともったいなかったか?)
 
 サンディはそう思いながらも、苺を沢山食べ、今度はカフェに。
「ぶはははっ、イチゴも美味かったがこのルビーチョコってのも良いな!」
「お?」 
 威勢の良い声、見ればゴリョウ。
「そんなに美味いのか?」
「ああ、単体でも甘酸っぱさがある珍しいチョコだが、パフェとして生クリームやイチゴと組み合わせると実に相性が良い! おめぇさんも頼んでみればいい!」
 しばらくして──
「美味いな」
 驚くサンディ。
「だよな! 普通のチョコならコーヒーが合うが、ルビーチョコなら断然、紅茶だな!」
「おお、何だか凄いな!」
 食レポ風のゴリョウに目を輝かせる。
「ああ、口の中の酸味が流れて紅茶本来の甘みを感じれるぜ。さて、そんじゃ、フライドポテト、摘むとするか!」
「お、今度はポテトか?」
「ぶははッ! 美味けりゃ良いのよ! オーク故に雑食だからな! それと、ポテトには熱い珈琲だよな! 塩気と苦味のハピネス!」
 ゴリョウは豪快に笑い、サンディとともにグラオ・クローネを堪能する。
 黄昏、カフェを染めるオレンジ。
「リキュールみたいなお酒も合うのです!」
 パフェを嬉しそうに食べるミディーセラ。 アーリアはミディーセラを見つめ、黒蜜バニラソフトを含み、途端に震え上がる。
「……ミディーくん、一口ちょうだい?」
 異変を隠すようにアーリアは言う。微かに震える声。ミディーセラは頷き、宝石のような一口をアーリアに。
「ああ、チョコと苺のそれぞれの甘さが癖になりそうねえ」
 微笑みながらその身は酷く熱く、蕩けそうで── 
「ふふ。あ、アーリアさんの黒蜜の方もおいしそうですねえ」 
 ミディーセラの言葉に、今度はアーリアがスプーンを向ける。
 とろりと光る黒。冷たいバニラ。 
「ああ、こちらもなかなか……すぐに溶けてきえてしまいます」
 ふと、交差する視線。
「ミディーくん、お願い……もっと」
 見つめるアーリア。
 
 ミディーセラは瞬きをひとつ。
 ──欲しいのは何? 
 尋ねることすら出来ずに引き寄せられ、自らの手はアーリアの柔らかな頬に。
「冷たくて気持ちいいわぁ」
 アーリアが吐息を漏らす。ミディーセラは触れ合っている手を撫で、目を細める。
(そんなに欲しがりやさんだったかしら)
 思い、同時に感じる物足りなさ。
 それは、きっと、暖かさに近づきすぎたせい──
 ミディーセラは柔らかく微笑む。
「……もっと、味わってもいいのかしら。貴女も。ね、アーリアさん」
  笑う。いつの間にか、デザートが甘く溶け出している。
成否
成功
MVP
なし
状態異常
なし
あとがき
 甘い。至極、甘かったです。ありがとうございました! ご馳走さまです! そして、練乳は、ひわいなんですね……オープニングを出させていただいた時は、かなりのピュアだったのですが執筆中は脳内が大変なことになっておりました(笑)
また、フィーネについてですが、彼女は過激なだけで、何かに対して激怒することは殆どありません。むしろ、こう反応をした方が面白いだろう、相手を驚かせることが出来るだろうと思っているので、カモンです! 最後に蜜蜂を拾ってくださったのが嬉しかったです(プレイングに明記があるかしら?と勝手にソワソワ★ドキドキしていたので)
 では、少しでも楽しんでいただけますように! ありがとうございました!
GMコメント
ご閲覧いただきましてありがとうございます。フィーネ主催のグラオ・クローネをお楽しみください。
●依頼達成条件
グラオ・クローネを楽しむことです。
●依頼人
フィーネ・ルカーノ(何度も登場しておりますが内容は特に繋がっておりません)で、皆様のプレイングに記載があった場合のみ、登場致します。ただ、想像以上に絡まれる場合がございますのでご注意ください。
●時刻
昼間から夕暮れまで
●場所
ビニールハウスでイチゴ狩り。イチゴ狩りでは、練乳、チョコレート、ホイップクリーム、蜂蜜がディップ出来ます。ハウス内には蜜蜂がおりますが、基本的には無害です。
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隣のカフェでは、ルビーチョコのストロベリーパフェとフライドポテトが提供されます。カフェではアルコールの提供はしておりませんがジュースや珈琲や紅茶、ノンアルコールがございます。ちなみに、裏メニュー(情報屋達も知らない)に媚薬黒蜜バニラソフトがございます。媚薬黒蜜バニラソフトを食べますと、至極、とろんとし甘えん坊になります。ちなみにパフェも媚薬バニラソフトも絶品です。フライドポテト(細長いタイプ)はカリカリ、熱々で付け合わせにパセリ、別添えでマヨネーズとケチャップが付きます。
情報屋NPCもおります。アドリブは頑張れたら入れます。また、お一人の場合、他の方と一緒になる可能性がございます。もし、お一人で行動したい場合は必ず、明記ください。
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