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シナリオ詳細

<Phantom Night2018>シャボン・レイン

完了

参加者 : 30 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●ガーデン
昼間──
『ふらり、ふらりと』青馬 鶇(p3n000043)と『ロマンチストな情報屋』サンドリヨン・ブルー(p3n000034)は巨大な庭をさ迷う。
「まったく、金持ちの道楽ってやつは凄まじいねぇ」
 鶇は笑い、鮮血に似た薔薇に触れる。
「ふふ、僕も驚いてますよ。こんな綺麗な庭を見れるなんて。今なら素晴らしい絵が描けそうな気がします」
 サンドリヨンは微笑み、 肩に美しい蛾をとまらせる。
「ばっ、止めな。どうせ、ミミズが這ったような絵しか描けないんだからさ」
 鶇は笑い、 サンドリヨンは顔を赤らめる。
「あら、楽しそうだこと。混ぜて欲しいくらい……」
 女性の声。鶇はうろんな目で、サンドリヨンははっとし財産家 フィーネ・ルカーノを見つめる。フィーネは目を細めた。フィーネは依頼の為に二人を呼びつけたのだ。
「ふふふ、そんなに警戒しないで。食べたりしないのだから……あたくしはただ、ハロウィーンの夜を楽しんで欲しいだけ」
 フィーネはくすくすと笑い、 鶇とサンドリヨン の手に触れる。
「さぁ、狂ったように踊りましょう?」

●舞うシャボン
 夜──
 庭はカボチャのランタンによって淡く照らされている。そして舞うのは、シャボン。至極、幻想的だ。漆黒のテーブルには真っ赤に染められたチョコレートフォンデュとハロウィーン仕様のマカロンタワーが並べられている。飲み物はケーキとクリームソーダ。庭には足湯が見える。
「ああ、旨いねぇ」
 鶇は言った。その手にはチョコレートに染まった真っ赤なマシュマロ。
「鶇さん、マカロンもとても美味しいですよ」
 サンドリヨンはマカロンを口に含み微笑む。
「へぇ? それにさ、こっちのさつまいもとカボチャのタルトも旨そうだ」
 鶇はタルトを両手で掴み、笑顔で頬張る。
「ふふ、きっと華やかで素敵な夜になるはずですよ。楽しみですね……」
 サンドリヨンは目を細める。視界には美しいシャボン。

GMコメント

 ご閲覧いただきましてありがとうございます。フィーネ主催のハロウィーンパーティーをお楽しみください。

●依頼達成条件
 ハロウィーンの夜を楽しむことです。
●依頼人
 フィーネ・ルカーノ 財産家(何度も登場しておりますが内容は特に繋がっておりません)皆様のプレイングに記載があった場合のみ、登場致します。

●時刻
 夜です。少し肌寒く、星が瞬いております。
 
●場所
 とある屋敷の庭で、シャボン玉が舞い幻想的な雰囲気を醸し出しております。とても広く夜の散歩に適しています。今回、アルコールの提供はございません。 飲み物はケーキとクリームソーダの二択となります。庭には足湯があります(清潔なタオルが備えられております)食べ物は真っ赤なチョコレートフォンデュ(ラズベリー味)があります。チョコレートフォンデュの具材は特別なものでない限り、すべてございます。また、オススメはさつまいもとカボチャを使ったタルトです。そして、目立たない場所(緑のテーブル)に媚薬入りカップケーキが置かれています。食べると、至極、とろんとします。

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 情報屋NPCもおります。

  • <Phantom Night2018>シャボン・レイン完了
  • GM名青砥文佳
  • 種別イベント
  • 難易度VERYEASY
  • 冒険終了日時2018年11月21日 21時45分
  • 参加人数30/30人
  • 相談10日
  • 参加費50RC

参加者 : 30 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(30人)

竜胆・シオン(p3p000103)
木の上の白烏
テテス・V・ユグドルティン(p3p000275)
樹妖精の錬金術士
マナ・ニール(p3p000350)
まほろばは隣に
マルベート・トゥールーズ(p3p000736)
饗宴の悪魔
エクスマリア=カリブルヌス(p3p000787)
愛娘
イーリン・ジョーンズ(p3p000854)
流星の少女
シグルーン・ジネヴィラ・エランティア(p3p000945)
混沌の娘
リリー・シャルラハ(p3p000955)
自在の名手
シキ(p3p001037)
藍玉雫の守り刀
ヨハン=レーム(p3p001117)
おチビの理解者
ゲオルグ=レオンハート(p3p001983)
優穏の聲
ジルーシャ・グレイ(p3p002246)
ベルディグリの傍ら
ヨルムンガンド(p3p002370)
暴食の守護竜
リディア・ヴァイス・フォーマルハウト(p3p003581)
木漏れ日のフルール
ミディーセラ・ドナム・ゾーンブルク(p3p003593)
キールで乾杯
ルチアーノ・グレコ(p3p004260)
Calm Bringer
ノースポール(p3p004381)
差し伸べる翼
アーリア・スピリッツ(p3p004400)
キールで乾杯
天之空・ミーナ(p3p005003)
貴女達の為に
銀(p3p005055)
ツェペシュ
新田 寛治(p3p005073)
ファンドマネージャ
クリスティアン=リクセト=エードルンド(p3p005082)
煌めきの王子
ロク(p3p005176)
クソ犬
凍李 ナキ(p3p005177)
生まれながらの亡霊
津久見・弥恵(p3p005208)
薔薇の舞踏
アオイ=アークライト(p3p005658)
機工技師
エリシア(p3p006057)
鳳凰
イージア・フローウェン(p3p006080)
白き鳳焔に護られし紫晶竜
ミルキィ・クレム・シフォン(p3p006098)
甘夢インテンディトーレ
エル・ウッドランド(p3p006713)
閃きの料理人

リプレイ


 秋風に舞うシャボン、魅惑的なデザート、温かな足湯。招かれた客人達は泡沫のように散る。

 三つの影はシオン、ナキ、アオイ。
「ふふーどーだアオイーナキー……!」
 シオンは笑い、ナキとアオイの頬をつつく。その姿は麗しい夢魔。ナキはシオンを見つめ儚げに笑う。ナキ自身は大人の姿、そう、青年の亡霊。
「ねぇ、今だけ限定の魔女だよ、どうかな? ……ってもう、つつかないでって」
 アオイは長い髪を揺らし唇を尖らせる。

 シオンはマカロンにはしゃぎ、アオイがマカロンを見つめる。
(材料は何だろう)
 アオイはギフトを──
 いや──
 無粋、そんな言葉が浮かぶ。

「飲み物のケーキも甘いし……あっアオイのクリームソーダ一口ちょーだい……!」
「んー? って一口じゃないでしょこれ!」
 シオンはアオイのツッコミに笑う。

「寒くないですか?」
 女性たちの歩幅に合わせ、エスコートするのはナキ。アオイは頷き、シオンがナキの右腕に絡み付く。
「それは良かったです。でも、ボクにくっついても暖まりませんよ……寂しいことに」
「心はちゃんと温まるだろ?」
 アオイがナキの左腕に腕を絡ませ笑う。
「そうですね……あの緑のテーブルで休憩しましょう」とナキ。
「そーだね……ちょっと座ろっかー……あっ……! カップケーキがあるよ……!」とシオン。アオイが目を見開く、口にはカップケーキ。シオンの仕業だ。シオンはナキにも食べさせ、自らもまた。

 数分後──
 アオイは息を荒げ、シオンはナキに密着する。ナキの身体が心地よい。シオンは強引にアオイを抱き寄せる。
「あ、くっつくなぁって……」
 アオイは抵抗するがその力は弱い。ナキはシオンを見た。
(ああ、冷たい身体が火照る感覚や、人恋しさが増す味がしました……)
 ナキはシオンの頭を撫でる。シオンは嬉しそうに笑う。ナキはアオイのすべすべした手に触れ、爪の先に唇を寄せる。

  エルは並ぶ菓子を見つめる。
(お腹が空いているのでご飯の代わりにたくさん食べます!)
 エルはフィーネを見つけ丁寧に頭を下げた。フィーネは微笑み、姿を消す。エルはクリームソーダを飲み、しゅわしゅわだと笑う。

「これなら何個でも食べれます」
 エルはタルトを頬張り、時折、ポテトチップスをチョコに絡ませ、塩気を味わう。
 そして、見つけたカップケーキを一気に。
「──!?」
 戦慄。同時に秋風が痺れていく身体を撫でまわしていく。

 パインが真っ赤に染まる。
「わっ、おいしー♪ ヨルちゃんも」
 ミルキィはヨルムンガンドにパインを。
「ん、甘酸っぱくて美味しい、幸せな気持ちになるなぁ……」
 ヨルムンガンドは目を細めた。指先にはチョコ。ヨルムンガンドは指を舐め得意げに笑う。

「あ、さつまいものタルト! これも美味しそう♪ うん、自然の甘さー!」
 ミルキィは笑いヨルムンガンドがタルトを頬張る。
「おや? こっちの緑のテーブルのカップケーキはなんだろう? これも美味しそうだね!」
 ミルキィはカップケーキに触れる。
「む、カップケーキだと! なんでこっそり置いてあるんだろうなぁ……!」
 
 数分後──
「あれ? 食べたらなんだか頭がボーっと……」
 ミルキィはよろけ、ヨルムンガンドが肩を抱く。
「ありがとう。ヨルちゃんの目、金色で綺麗」
 ミルキィはふふと笑う。
「ん? ミルキィ……ほっぺにさっきのチョコ付いてるぞ?」
 ヨルムンガンドはミルキィの頬を舐め、口角を上げる。
「ヨルちゃんくすぐったいよ♪」
 ミルキィは身をよじる。

 クリスティアンは行方不明のロクを探す。一方、犬のようにロクは歩く。
(さっきから、なんだか気になる香りが漂ってるんだよなあ……)
 ハッとする。
「これは……媚薬!! ……そんなわけないか!」
 ロクは笑い、カップケーキを掴んだ。

「王子、おいしそうなカップケーキ持ってきたよ! 食べてー! どう、王子?」
「うん、美味しいよ! あ、れ?」
 クリスティアンは不意に視線を彷徨わせ座り込む。
「……おや? ろくくんはどこだい? 一人にしないでおくれよー」
 呂律が回っていない。ロクは全力ダッシュ&Uターン。そう、それは空腹の王子の為。
「はいこれ持ってきたよ! イチゴのチョコフォンデュラズベリー味! はい、どうぞ……」
 クリスティアンは食べようとするが、服に零してしまう。
「もう、王子! わたしが食べさせてあげる! はい! うーん、食べさせるのって難しいなあ。王子全身まっかっかだよ! 血まみれみたい……」
「うーん……僕は何だか眠たいよ……」
「王子、そんなところで寝たら凍え死んじゃうよ!」
「んー……?」
「じゃあ、わたし先に帰るね! またね王子!」
 ロクは豪快に踵を返す。チョコ溜まりには王子──

「レーム様、温かいですね」
 マナは隣に座るヨハンに微笑む。
「そうですね」
 ヨハンは自らの足でマナの足をつつく。マナははにかみ、足を絡ませる。ヨハンが足を動かし続ける。足湯のせいだろうか。身体が熱い。

「そうです! 今日はマナさんのメイドとしておみあしをタオルで拭かせていただきましょうか、なんて」
 ヨハンが笑いマナが微笑む。
「そういえば……お菓子が振舞われているということで、事前にいくつか拝借してきたのですがレーム様もいかがでしょうか……?」
 マナは件のケーキを。
(ハロウィンですし……私もイタズラしても良いですよね……?)
 マナはヨハンを見つめた。
「ありがとうございます、とても良い香りがします」
 ヨハンは何も知らない。
「どうですか?」
「美味しいですよ、マナさんも食べてみたらどうでしょう? あ、あれ……?」
 ヨハンはかぶりを振り、マナに寄りかかる。
「レーム様?」
 マナの声。ヨハンははっとする。マナから視線を逸らすことが出来ない。

 ミディーセラはクリームソーダを飲み、足湯に浸かる。呑まない日を楽しみシャボン玉を一人、割る。
「アルコールがないなんて聞いていないわよぉ……」
「アーリアさん、アーリアさん」
「ああ! ミディーセラくんもいたのねぇ」
 アーリアはミディーセラの隣に座る。
(何だかあちこちに距離の近い人たちがいるような?)
 カップケーキの存在に気が付いていないアーリアは頬を染める。ミディーセラは見惚れ、名を囁く。風が髪をいじらしく揺らす。

 ミディーセラは贈りたかった言葉を、笑い声に。そして、こてんと彼女の肩に頭を預ける。アーリアは重みに驚く。
「実は言おうと思っていた事があったりしましたが、やっぱり秘密」
 「えー?」
 アーリアは楽しそうに笑うミディーセラに微笑む。

(なんて、臆病なのかしら……それでも、わたしはアーリアさんに近づきたくて)
 ミディーセラは焦がれていく。

(アルコールを飲んでいないのに……それに、なんだかもっと近付ければいいのにとか……それはハロウィンが見せたシャボン玉の魔法のせい?)
 アーリアはミディーセラに頭を傾け、思う。この魔法が溶けないといいのに。

 足音。見覚えのある仮面。フィーネは笑う。
「この仮面を覚えておいでかな……?、なんて。また貴女にお会いできて嬉しいよ、フィーネ嬢。今宵も良い宴にしよう」
 銀は仮面を外し手の甲にキスを。フィーネは笑う。
「この間はパパがお世話になりました」
 シグルーンが歩み寄る。
「パパ?」
 フィーネはにたにたと銀を見上げたが娘の前で銀を讃える。シグルーンは銀とフィーネの談笑をぼんやりと眺める。
「パパはねー、とってもやさしくて素敵なの」
 銀の眉根が寄る。
「でも、君もとても綺麗だねぇ」
 シグルーンがフィーネに絡み付く。
「……シグ? ……嗚呼、すまないフィーネ嬢……少し席を外しても?」 
「ええ。でも、せっかくだから──」
 
 揺れるシグルーンをベンチに。薔薇の香り。
「媚薬入りのケーキとは……やってくれたな?」
「ふふ。ね、知ってる? 媚薬で愛を零せる者もいる。そう、あたくしのように」
「ご冗談を!」
「さぁ、どうかしら? そして、この子は──」
 フィーネはシグルーンの唇をなぞる。
「そうだ。銀、貴方はどうなの?」
 フィーネは嗜虐的な眼差しを銀に向ける。

 ミーナの姿は、血塗れ包帯メイド。包帯は眼球以外を隠している。連れ合いはイーリン、「首なし令嬢」のゴシックロリータ姿。二人は足湯に浸かる。
「最近また慌ただしいですけども……ゆっくりできる時はしなきゃいけませんわよ、お嬢様」
 ミーナが飲み物のケーキと、タルトを手渡す。
「ええ、まったくもって。上の者が休まねば下々も休まらぬでしょう」
 イーリンはすまし顔。指先で湯を弄びタルトを味わう。ケーキを飲みながら自分がこの世界で、罪を犯したことを思い浮かべ──
「……先にいっておきますけれど。あのふしだらな薬の入ったカップケーキを渡したら折檻ですわよ――?」
 様子を窺う。
「……え? カップケーキ?……ええ、美味しゅうございました」
 ぎょっとし、ミーナの双眸を見つめる。何処か破壊的な目。
「ちょっ、この馬っ。来る前に話したじゃないのああいうのには手を付けるなって」
「さあ、お嬢様。御御足を綺麗に致しますわ」
「あっ――!!」
 脚に触れられ、甘い声を漏らす。ミーナがくすくすと笑う。
「たおやかな脚ですわね。そしてとても、蠱惑的です」
 ミーナはイーリンの濡れた脛に唇を落とす。

 エクスマリアはリトルを肩に乗せ、チョコフォンデュを存分に楽しみ、禁断のケーキを見つけ出す。

「うむ、気持ちいい、な……」
 足湯に浸かり、エクスマリアは呟く。髪が犬の尾のように揺れる。ただ、身体が至極、熱い。
(温泉の効果か……気分が悪いわけじゃない、が……)
「あー、なんかぼーっとするー……なんだろ、あのけーきたべてから……なんか……でもあしゆきもちいい……」
 リトルはエクスマリアの足首に掴まり、足湯ならぬ露天風呂を水着で楽しむ。エクスマリアはリトルがしがみつく度に震え、髪を極端に捻らす。
「ごくらくー……あー……あー!?」
 リトルが湯に──
「大丈夫か……? 溺れては、いけない」
 エクスマリアの長い髪がリトルを救い出す。
「わー……おどろいたよ……」
「リリー、ここで休めば、いい……」
 エクスマリアはリトルをタオルで包み、自らの頭の上に。
「……眠くなってきた、な」
「リリーもー……」
 エクスマリアとリトルは夢に向かう。

 マルベートは故郷に溢れるマナの輝きに思いをはせながら、指先でシャボン玉を儚げに突く。美観には極上の酒と料理。だが、今夜はノンアルコール。
「……残念だ。だが、ないものを嘆いても仕方ない。あるもので楽しむとしよう」
 マルベートはグラスにクリームソーダを注ぐ。見上げ、杯を上げる。
「ん、バニラが濃厚だな」

「生肉があれば一番いいんだけど……流石にないか。ん?」
 チョコレートフォンデュの具材にハムカツ。
(生肉ではないが……これを)
 ハムカツにたっぷりとチョコを纏わせ、頬張る。
「塩気が合うような」
 マルベートは目を細めた。

 纏う衣装は美しく華やか。エリシアは 「月の弓女神」、イージアは「弓狩人の女神」。
「ふむ……中々に良い光景ではないか」
 エリシアは呟く。シャボンが煌めく。
「綺麗……こんな屋敷に来たの初めてで緊張します」
 イージアは顔を強張らせた。
「大丈夫。さぁ、行こうか?」
 エリシアはイージアに微笑み、足湯に向かう。

 エリシアはゆっくりと脚を湯に。
「ああ、最高だな……」
 エリシアは言う。イージアはブーツとソックス類を丁寧に脱ぎ、足湯に浸かる。無意識に笑み。
「脚がぽかぽかしてて気持ちいいですね……油断してるとそのまま寝ちゃいそう」
 イージアは目を閉じる。湯が流れる音が心地よい。
「寝るなよ? ……もし寝れば、そのまま悪戯するからな?」
「ふぁ、ふぁい!?」
 イージアは飛び起きる。
「あ、寝てたろ?」
 エリシアは笑う。イージアは大きくかぶりを振る。湯にシャボン玉が落ち消えていく。
「美しいな」とエリシア。
(こういった場所は元の世界にもなかったな)
 エリシアは招待主に感謝する。イージアは頷き、招待主に感謝しながら菓子を思う。
(エリシアさんともっともっと楽しんじゃいましょう)
 イージアは笑う。

 シャボン玉が冷たい風に舞い続ける。
「い、いったいどういうことなんだ……」
 テテスは目を見開いた。飲み物はケーキとクリームソーダ。グラスのケーキには太いストロー。
「美味だ……だが、飲み物では……」
 ケーキを吸い呟く。そして、手にはカップケーキ。
「……足湯があるのだしそこに浸かりながら食べさせてもらうとしようか」
 テテスは蠢く蔦を使い、足湯へ。
「とても温かい……」
(さて、カップケーキを)
「む? なんだかとろんとしてきた……」
 星空が滲む。
(でも、なんだか……気分がいい……)
 テテスは奇妙な笑みを浮かべる。

 シキはフォークでふわりと舞うシャボン玉を割ってみる。何だかそれはとても面白くて──
「ねぇ、シャボン玉よりもこっちを楽しみましょう?」
 ジルーシャは言った。その手にはケーキやタルト、フルーツが乗った皿。シキは静かに頷き視界の端にカップケーキを映した。

「あら、アンタ、フォンデュは初めて? こうやるのよ。ホラ、チョコをつけて……んーっ、おいし♪」
 タルトをチョコに。シキはカップケーキにチョコを絡めた。
「……甘くて、おいしい。……あれ……でも、身体が……急に、熱く……」
 揺れる視界。
 
(本当はこんな時間の甘いものはお肌の大敵だけど……魔法の夜くらい、いいわよね)
 ジルーシャが笑みを浮かべていると、転倒するシキ。ジルーシャがシキを慌てて抱き上げる。

「……すみません。……ありがとう、ございます」
 気がつけば、ジルーシャの膝に頭を。
「大丈夫よ。ほら、嗅いでみてちょうだい」
 ジルーシャお手製の香水。
「それに、謝らないの。落ち着いたらもう一回食べに行きましょ♪」
 ジルーシャは片目を瞑りシキの頭を撫でる。ラベンダーの香りと温もり。心が安らいでいく。

 薄明りが闇を払う。フィーネは寛治を見た。仮面は無い。スーツにポケットチーフ。
(小奇麗な男)
 フィーネは目を細め、寛治は全ての礼をフィーネに。
「ねぇ、媚薬でもどうかしら?」
 律儀な男に微笑んだ。寛治はかぶりを振る。
「ただでさえ魅入られそうなフィーネ様を前に媚薬など口にすれば、処されても文句の言えない事に及んでしまうかもしれません。フィーネ様の前であれを口にできるのは、寝室に入る資格を持つ者だけでしょうからね」
 フィーネはその言葉にくすくすと笑い、寛治の手首に口づける。

 シャボンが散る。リディアは華奢な身体を揺らしクリームソーダを片手にチョコレートフォンデュを楽しむ。まずはアーモンド。
「うん、香ばしさとチョコの甘酸っぱさが美味しいですね。次は……」
 クリームソーダを飲み、タルトを。笑み。タルトは甘く溶けていく。ふと、リディアはカップケーキを噛る。途端に緑のテーブルの陰に座り込む。身体が酷くむず痒くて。ただ、誰かに触れて欲しくて──
 やがてリディアはエルを見つけ、にこりと笑う。

 弥恵は舞踏着を美しく翻す。黒に銀が映え、闇を煌めかせる。星空と薄い光の中、シャボンが舞う。
「想像以上に赤いですね……」
 クリームソーダを飲み、タルトを真っ赤な泉に沈め味わう。美味。弥恵は景色を眺めた。客人達は囁き合う。

「夜空に浮かぶ泡沫の宝石の海、月華のワルツを添えさせてくださいませ」
 にこやかな笑み。弥恵はゆったりとステップを踏み、ワルツを──
 同時に輪舞曲が夜の庭を包み込む。

 ゲオルグは歌声に耳を澄ませた。
「美しい……」
 呼び出したジークが跳ね回る。緑のテーブルにはカップケーキ。媚薬が静謐に誘う。ゲオルグは惑いかぶりつく。悪魔のような味。
「ぅあ!?」
 途端に異変。ジークが不安げにゲオルグを見上げた。
「先程まで肌寒かったはずなのに妙に暑くなってきた……」
 ゲオルグは熱い息を吐き出し、ネクタイを緩めシャツのボタンを外し、草の上に横たわる。視界には夜空とシャボン。ゲオルグはジークを抱き寄せ、景観とジークの柔らかさに心震わせる。

 夜の散策。ルチアーノは自らの上着をノースポールにかける。ノースポールは笑う。ぬくもりとルチアーノの香り。

 ルチアーノはノースポールを見る。
「ねぇ、緑のテーブルは、隔離されてて少し怪しいね。ジャンケンで負けた方が、毒味してみない?」
 いたずらっぽい笑み。
「……言われてみれば怪しいね。その勝負、乗った!」

「わっ……僕が食べるんだね。なんだか、ドキドキしてきたよ。あ、ふわふわして、心地いい……ね……」
 ルチアーノは震え出す。
「え、大丈夫かな……私、飲み物を取って……」
「ケーキも美味しいけど僕は君を、食べたいな……」
 気がつけば、ルチアーノの腕の中。
「わ、私を!? ……わ、ひゃあ!」
 ルチアーノが甘く優しく擽るようにノースポールの指を食む。熱い眼差し。ルチアーノがノースポールの首筋に口づけ、音を鳴らす。ノースポールは頬を染め、されるがまま。
「今夜は帰さない……いいよね?」
 切なげな吐息。ノースポールは見上げる。男は狼だと友が言っていた。
(でも……ルークなら、私は……)
「ああ、逃がさないよ……?」
 ルチアーノが余裕なく呟く。そのまま、覆いかぶさりノースポールにルチアーノは何度も唇を重ねる。

成否

成功

MVP

なし

状態異常

なし

あとがき

 皆様、ご参加いただきましてありがとうございました。青砥です。 皆様の思い出に貢献できましたでしょうか?少しでも楽しんでいただけましたら幸いです。

 では、また、皆様とお会いできますことを。

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