PandoraPartyProject
悠久残夢Ⅲ
石造りの廊下を走るパタパタという音は、休憩室に入るとやむ。それは上等な絨緞が休憩室には敷かれているからだ。
「おかえりなさい、みんな!」
彼女は――滅びを見守る少女ステラは、コーヒーを乗せたトレーを手に笑みを浮かべたのだった。
異世界、プーレルジール。魔法使いと人形たちの住まうこの世界は滅びの危機に瀕していた。
終焉獣が世界中に跋扈し、人形たちまでもが侵される。
かくして魔王はうまれ、世界を征服せんとしていた。
その企みは混沌世界へも通じ、イレギュラーズやステラの力を利用して終焉獣たちは混沌世界へ渡ろうと企んでいた。それは滅びのアークの大量流入という災厄として混沌世界に降り注ぐだろう。
プーレルジールの滅び、そして混沌世界の滅び。二つの世界の滅びを回避すべく、イレギュラーズは戦い始めたのである。
「ただいま、ステラ……ちゃんと、戻ってきたよ」
アルム・カンフローレル(p3p007874)は差し出されたコーヒーを手に取って微笑みを返した。
そう、ここはサハイェル迎撃拠点。サハイェルに見つけた遺跡をイレギュラーズたちによって大胆に改造して作り上げた後衛拠点である。
この拠点にあえて陣取ることで魔王軍の大軍を引きつけ迎撃する。それがステラたちのたてた作戦であった。もし敗北していれば、ステラは連れ去られ彼女は混沌世界へ渡るための入れ物として利用されていただろう。今の人格すら、のこることはなかったかもしれない。
だが、そうはならなかった。アルムたちはステラを守り切り、魔王軍の企みの一つを潰したのである。
「後衛拠点に人が戻ってきてる。作戦を終えたチームが戻ってきたみたいだ」
振り返るとそこにはオニキス・ハート(p3p008639)がいた。
「こちらの作戦は完了したよ。
『ヴェルギュラ』の役割を背負わされていたゼロ・クールの子から、その役割を引きはがして、『終焉獣ヴェルギュラ』を討伐できた。
ヴェルギュラ派にいた人たちも……全員無力化できた」
サハイェル城攻略作戦の一角。四天王がひとりヴェルギュラを初めとする軍勢との戦いに勝利したのだ。
「残る戦場は……魔王イルドゼギアとの戦い。
そして、サハイェル城地下での、『終焉への扉』確保作戦か」
オニキスのいう終焉の扉の確保作戦とは、四天王ル=アディンや『始原の旅人』ナイトハルト・セフィロトたちとの戦いをさしていた。未だ苛烈なるかの戦場からは、戦果の報告は上がらない。
「どちらも、厳しい戦場だね。
みんなも無事だといいのだけれど……」
アルムは受け取ったコーヒーを覗き込みながらそうつぶやいた。
暗闇の先のようにも見えるコーヒーの黒からは、この先の戦いの趨勢はいまだ見いだせない。
始原の旅人を名乗るナイトハルトとの戦いも、魔王イルドゼギアとの戦いも。
想像を絶する強敵を前に、どれだけ戦い抜くことが出来るのか。その結果、誰にも分からないのだ。
だが……。
「皆なら、きっとこの世界にも希望を紡げる。
ぜったいに、みんななら……だいじょうぶ」
ステラの言葉に、イレギュラーズたちは力強くうなづいた。
どんな状況でも、きっと希望は残っている。
仲間たちの無事の帰還を信じ、今は待つ時間に耐える仲間達であった――。
※プーレルジールでの戦況が届いています――!
※神の王国に対する攻撃が始まりました!!
※『遂行者』グドルフ・ボイデルの身に変化が起こりました――
※『プルートの黄金劇場』事件に大きな変化があった模様です……
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