PandoraPartyProject
リースリット・フィッツバルディ
様々な困難を内包した『双竜宝冠』事件も終わってしまえば喉元を過ぎたようなものである。
事件の傷痕はまだあちこちに残されていたが、当代の黄金双竜が目を覚ませばその解決も時間の問題に思われた。
No.2であるフィゾルテ・ドナシス・フィッツバルディへの蟄居謹慎処分はフィッツバルディ派そのものに対してもかなりの打撃になっていたが、大方にとっては予想外な事に――そして、ローレットからすれば不思議はない事に――アーベントロート派、バルツァーレク派の双方が今回の問題に対して理解的な立場を取った事から大きな問題は回避したと言える状態になっている。
そんな慌ただしい日々を過ごす中で。
「……それは素晴らしい話ですが」
リシャール・エウリオン・ファーレルはまさに今、フェリクス・イロール・フィッツバルディの正式な『要請』を受けていた。
本来ならば使者の一つでも寄越すのが習わしなのだろうが、彼はファーレル邸に直接訪問してその用件を告げている。
リシャールはちらりと傍らのリースリット・エウレア・ファーレル(p3p001984)――愛娘の様子を確認した。
実を言えば今日のフェリクスの訪問の主役はリシャールではない。このリースリットの方だった。
「無論、無理強いをするようなお話ではありません。
……双竜宝冠事件では私も分別の足りなさと不品行について父からの強いお叱りを受けた身です。
後継候補という意味では元より兄に比して明らかに後塵を拝する立場です。
何より、この私自身が大いに未熟なればファーレル家――リースリット様の眼鏡に叶う男であるかは分かりません」
「しかしながら」とフェリクスは続けた。
「私はそれでもリースリット様と添い遂げたいと思いました。
……何分、貴族の結婚の話です。
政治上の手土産の一つでもあるのが常でしょうが……実は何もありません。
裏表無く、私は彼女が好きだから申し上げているだけなのですから」
大貴族同士の縁談話とは思えない位に直截な物言いにリシャールは思わず苦笑いをした。
恋愛結婚は理想だが、貴族の場合は中々難しい。そういう意味で『奔放』な彼は実は誰よりも理想を叶えた人物ではあるのだが――
父としての希望を言うならばこれは良縁だ。
フェリクスの言う通り、彼の置かれた立場は圧倒的であるとは言い難い。
されど、フィッツバルディの公子、それも二番手という立場はファーレルの家格から見ても破格だ。
問題は娘がどう思っているかの方で、リシャールとしては『自分のような男でないのなら構わない』。
(……さて、リースリットは?)
やはり貴族にしては大分甘く、娘の意向を確認しようと改めてリースリットを見やったリシャールは「ああ」と合点した。
白い肌に朱色が差している。美しい紅玉の瞳が潤んでいる。
「お受け頂けますか? リースリット様」
「はい。お心のままに、ずっと。共に」
聞くまでも無かった。貴公子が恭しく差し出した手を取る彼女がどう考えていたかなんて――
※双竜宝冠事件が一定の結末を迎えたようです!
※クリスマスピンナップ2023の募集が始まりました!
※テュリム大神殿の先の階層に進むことが出来そうです……。
※プーレルジールで合流したマナセとアイオンの前に魔王イルドゼギアが現れました――!
※双竜宝冠事件が劇的に進展しています!
※プーレルジールで奇跡の可能性を引き上げるためのクエストが発生しました!
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