PandoraPartyProject

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名探偵

「――と、まぁ。そういう訳で、集まった情報から僕が得た結論はラウル氏のものと概ね一致している」
 バーテン・ビヨッシー・フィッツバルディは家中で知れた変わり者(めいたんてい)である。
 仙狸厄狩 汰磨羈(p3p002831)『猫の家』も経由して様々な情報を集めたバーテンの言葉は重いが、相棒のマサムネ・フィッツバルディは頭をばりぼりと掻いて何とも言えない顔をした。
「人の推理に乗っかるだけじゃ、名探偵の名折れってモンだろうがよ」
「勿論、話はそれだけじゃないさ」
 肩を竦めたバーテンはそんなマサムネに話を続ける。
「ローレットの大立ち回りに君の調査能力が加われば、全てを隠せる者なんていないさ。
 双竜宝事件の登場人物を一人ずつ眺め回して、現状までに僕は或る程度事件に関わる結論を得ているのだ」
「……結論?」
「犯人とか、動機とかね」
「!?」
 マサムネの表情が色めき立つ。
「この事件は表面的には『双竜宝冠』、即ちフィッツバルディ家の家督を争う暗闘だと思われてきた」
「表面的には?」
「ああ。だが、実際の登場人物を見ると『こう』だ。
 大本命のアベルト兄さんは最近まで病床に臥せっていて間違いなく動けなかった。
 やる気たっぷりに見えるフェリクスも性格を考えれば結果的に追い詰められてのものと考えられる。
 ……いや、主観的な評価は辞めよう。客観的な事実を添えるならローレットがあんなに張り付いていて襤褸を出さないのは難しいよ。それに、本当に彼が犯人ならファーレル令嬢とロマンスをしている暇はない筈だ」
(……この物言いは報告した俺の責任だな。すまんな、フェリクス……)
 閑話休題。
「一見すれば一番怪しいパトリスも同じくだ。
『見るからに怪しいのだから、誰も彼も厳しく彼をマークしていた』のだ。
 或る意味で彼にはマサムネも知っている通り――『動機』もある。
 だが、あれだけ厳重に守られ、或る意味見張られて滅多な動きを出来るのなら、最初からこの事件は解けないだろう?」
 バーテンは「イレギュラーズの調査と動きは大いに参考になった。僕の目的は調査と共に彼等の自由を縛る事だったから」と云う。
「……じゃあ消去法で犯人はフィゾルテ叔父か」
 フィゾルテの性質の悪さはマサムネも良く知っている。
 彼を語る時のマサムネの表情は自然と苦いものになっていた。
「いいや」
 だが、バーテンは首を横に振る。
「『叔父上は状況に操られているだけに過ぎない』」
「操られている!?」
「マサムネ。人間が一番不幸を感じる時はどんな時だと思うかい?」
「……どういう意味だ? 何が言いたい」
「答えは、幸せの絶頂からどん底に叩き落される時だ。
 持ち上げられてから叩き落される以上の一撃はそう無いだろうさ」
「……?」
「この事件の本質は『怨恨』だ。
 叔父上には優秀過ぎる兄が居た。父上という黄金竜は叔父上にとって絶対に敵わない、逆らってはならない太陽だった。
 ……叔父上は誰よりも双竜宝冠を望みながら、産まれた時から何の目も無かった人なんだよ」
 バーテンは嘆息した。
『他ならぬマサムネには知られないようにフィゾルテを調べ上げたのはどうあれ双方が身内であるから』だ。
 フィゾルテは碌な死に方を出来る男ではないだろう。少なくともマサムネが『アレ』に辿り着いたら、結末は見えている。
「その叔父上は『彼の予定通り』なら双竜宝冠を抱くんだろう。
 そうして宝冠を抱いた上で、最後に犠牲者として名を連ねる……怨恨での事件ってのは度し難いものさ。
 余人には信じられない位の執念と憎悪で、彼はこの時を待っていたんだから!」
 
 双竜宝冠事件が劇的に進展しています!
 豊穣で動きがあるようです!


 ※プーレルジールで奇跡の可能性を引き上げるためのクエストが発生しました!

これまでの天義編プーレルジール(境界編)終焉の兆し(??編)

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