PandoraPartyProject
パラサイト・デートル
プーレルジールの探索は進んでいた。
一言で言えば混沌世界の過去――のような場所ではあるのだが。
所々に差異がある。必ずしも全てが同じではない世界。そんな地において――
「――助からない?」
「あぁこりゃあダメだね」
アレクシア・アトリー・アバークロンビー(p3p004630)は『魔法使い』と言を交わせていた。
『魔法使い』と聞けば神秘的な力を行使する者を想像するだろうが――プーレルジールでは意味合いが異なる。実際に魔法を使う者も中にはいるだろうが、その本質はゼロ・クールらを生み出す者達、という事。
彼らが人形に魔法(プログラミング)を仕掛け、この世に生み出すのだ。
であれば必然的にメンテナンスを行う者もいる……が。
しかしその魔法使いが断言した――これを直すのは無理だ、と。
「寄生がコアにまで及んでいやがる。こんなのは初めて見たがな……」
「本当にどうしようもないの? せめて希望だけでも……!」
「コアってのは人間で言う脳みたいなもんだ。そこに入り込まれちゃどうしようもねぇ。寄生された場所が違うってんならまだやりようはあったかもしれねぇがな。随分タチの悪いヤツが出てきてるもんだぜ」
「……成程。コアが重要ですか。秘宝種の原型とも言えるのが……コレなのかもしれませんね」
アレクシアや志屍 瑠璃(p3p000416)は少し前に依頼で、ゼロ・クールに寄生した終焉獣と交戦した。
元々なんらかの事情により廃棄されていたゼロ・クールだったようで、身体は既に限界に近い状態であり助かるかも分からなかったが……しかし彼らの背面に取りついていたスライム状の終焉獣を排する事によって、なんとか可能な限り損壊を最小限にして制圧する事に成功していた。
その結果として魔法使いの所にまで運び込めた……が。
素体の大部分が残った状態で専門家に見てもらえば、より深刻な状態であるという事が判明した。
寄生されたゼロ・クールは助からない――
より厳密には彼らにとっての脳、あるいは魂といえるコアにまで支配が及んでいると手遅れなのだそうだ。そういう状態でなければ助かる見込みもあったかもしれないが……最早破壊するより他は無い。それが彼らの安寧へと至ろう。
「ゼロ・クールに入り込んで無理やり操るだなんて、とんだ終焉獣もいたものだわ……
それにしてもさっき『初めて見た』って言ったわね。じゃあ昔はこんな事なかったの?」
「あぁまぁ俺が知り得る限りの話だけどな。他の所は知らねぇよ?」
「じゃあ――終焉獣……こういう変な魔物自体もつい最近って事なのかな?」
「いやぁ……魔物自体は割と昔からいたぜ。近頃増えてる気はするが、なにせそもそも『魔王』の奴がいるしなぁ」
次いで、アルテミア・フィルティス(p3p001981)や炎堂 焔(p3p004727)も魔法使いへと語り掛けようか。二人もアレクシアと同様にゼロ・クールを救わんと奔走した者達だ。
――終焉の獣。滅びの気配を身に纏い、混沌世界においては終焉の地より這いずり出てきている魔物であるが……此処、プーレルジールでも時折見受けられている。しかしプーレルジールの民にとって彼らはそう珍しい存在でもないようだ。
寄生型などはともかくとして、魔物の中でも終焉獣と称されるような者達がいるのは認識されている。
そして彼らは――『魔王』なる存在とも関わりがあるとも――みなされているか。
「魔王。勇者アイオンと因縁のある存在、だったかな」
「『こちら』でも全く同じ存在かは分かりかねますが……
重要な人物であるのは間違いなさそうですね」
「彼が終焉獣を率いているのか、それとも……」
同様に刻見 雲雀(p3p010272)やリースリット・エウリア・ファーレル(p3p001984)、そして刻見 雲雀(p3p010272)も思案を巡らそうか。
混沌世界においては既に討ち果たされている魔王イルゼドキアは、この地にまだ存在している。幻想も練達もまだ存在していないこの世界において――しかし確かにいるのだ。
『悪』なる存在として。
「魔王に関わるつもりか? やめときな。
この前もクラウディウス氏族やイミルの民の集落が幾つか消し飛ばされたって話だぜ。
触らぬ神に祟りなしってね――おっと。触らぬ魔王って言うべきか?」
されば魔法使いは冗談めかすように語ろうか。
魔王は強大である、と。打ち倒せる者など何処にいるものか――
『勇者』などどこにもいないと……
「……さて。未来の『勇者』と接しているイレギュラーズもいる筈。
あとは彼方の情報とも合流すべきだろうか……」
「うーんそうね。なんにせよ情報が少ないから、色々皆で協力して集めなきゃ!
ここが『可能性』の世界って言うなら――しっかりと、ね」
ともあれ、と。ブランシュ=エルフレーム=リアルト(p3p010222)やタイム(p3p007854)は思考しようか。
ブランシュは『同胞』とも言えるゼロ・クール達に一度視線を送りながら……
そしてタイムはこの地の『可能性』を思い起こしながら。
もしかすればこの地に『元の世界』に戻れるかもしれない可能性があると聞いている。大なり小なり旅人にとっては興味ある事柄ではないだろうか――まぁ記憶なきタイムにとって元の世界なる存在はまだまだ思い出せぬ、靄の掛かったモノであるが。
それでも、感じ得る事はある。
この不思議な世界にはきっと何か『意味』があるのではないだろうかと。あぁ――
無意味なモノなどきっとこの世には――ないのだから。
※プーレルジールではゼロ・クールに寄生する終焉獣が目撃されているようです……?
※ハロウィン2023の受付が開始しました!
これまでのシビュラの託宣(天義編)|プーレルジール(境界編)
トピックス
- Re:version第二作『Lost Arcadia』
ティザーサイトオープン! - 【ラサ】烙印後遺症についてはこちら
- 【天義】シビュラの託宣
特設ページにて黒衣(騎士制服)が公開されています。 - シリーズシナリオ(特設)一覧ページ