PandoraPartyProject

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Rising Black Sun

「――って訳らしいが、まぁ……余談だなぁ」
 帝都に轟く悲鳴と怒号、或いは歓声と混乱の音色を聞きながら。
 王城のバルコニーから城下を眺める新皇帝――バルナバス・スティージレッドはせせら笑っていた。
 彼の目的が『支配』の類ならば、或いはもう少し間延びした長閑な話になったに違いない。
 だが、『絶滅』ならば話はどうか?
「まぁ、こうなるな。誰でもそうする。俺でもそうする」
 何処ぞの覗き魔に手品を喰らった時からこうなる事は知れていたのだ。
 窮鼠猫を噛むとは言うが、座して死ぬ位ならば特攻の一つも選ぶのが人の常である。
 ましてやそれが血の気を売る程余らせた鉄帝の連中、それにどうあれ諦めが悪すぎる特異運命座標達ならば言うまでも無い。
 かくて六天を競い合った鉄帝国各軍閥は目的を一つにし、帝都スチールグラードの攻略に着手したという訳だ。
 遅まきながらの話ではあるが、それ自体を実はバルナバスは『歓迎』している。
「ま、何事も無くエンディングじゃ……仕事には上等だが欠伸が過ぎらな」
 原罪(イノリ)は嫌な顔をするだろうが、バルナバスは知った事では無い。
 わざわざ鉄帝国くんだりまで遊びに来たのに、お寒いままに仕事で終わるのはぞっとする。
『七罪である以上、このクソったれた世界がぶっ壊れるのは大いに愉快だが、趣味と実益をついでに叶えて誰の文句があろうものか』。
「しかし、まぁ……俺が言えた義理でもねぇが、鉄帝国ってのは愉快な国だな? おい」
 独白めいていたバルナバスはここで漸く背後に控える部下――『黒狻猊』バトゥ・ザッハザークに水を向けていた。
「愉快、と申しますと?」
「この城さ。皮肉にもこの国をどうにかしちまう俺を厳重に守ってやがる。
 まぁ、俺は別にこんなもん必要でもねぇが……『それはそれとしてこりゃあ上出来な戦争装置だ』」
 バルナバスは武人が武器を褒めるような調子で上機嫌に笑う。
 帝都スチールグラードの中心に位置する王城リッテラムは有史以来唯の一度も外敵に破られた事の無い鉄壁の堅城である。
 一般的に成熟した国家の大都市の中心部に居を構える城ならば、前線基地としての意味も効果も薄かろうが……闘争を信望し、戦争を愛する鉄帝国の歴代の皇帝達は王城の機能を『実用』に振り続けた経緯がある。
  高い城壁に二層の堀を有するその防御は周到に地上軍を阻み、城壁に多数備え付けられた対空対地兵器は隙無く無謀な挑戦者の殲滅を狙っているという寸法だ。無論、建物自体の防御力も異様の一言であり、砲火力で制圧するのもそう容易い話ではない。
 究極最強の個としてのバルナバスは城の防御を気にするような男ではないが、『それはそれとして』一級の芸術品には一言がある。
「リッテラムは鉄帝国の誇りなれば。新皇帝陛下にお褒めに預かれば古き英霊も本望足り得ましょうや」
 慇懃無礼にそう言ったバトゥにバルナバスは小さく鼻を鳴らした。
「愉快なのはてめぇも含めてさ。頭おかしいだろ、分かってて乗るか? 普通」
「優先順位の問題ですな」
 揶揄したバルナバスにバトゥはすげなく答えた。
 彼は元々鉄帝国軍部の実力者である。最も早くからバルナバスの志向に完全な理解を示し、頭を垂れた男だ。
 とは言え、彼はバルナバスの呼び声を受けていない。狂気に染まった風でもない。バルナバスの言葉も尤もというものだろう。バトゥはあくまで鉄帝国軍人として、一人の獣種としてその凶行に付き従っているのだ。『新皇帝の目的が全ての破壊にある事を知りながら、リッテラム防衛軍の指揮官として忠勤に励んでいるのだから言われても仕方ない』。
「優先順位だって?」
「『惰弱な者に生きる資格を与えてしまったからこそ、この国は零落し続けている』。
 嘆かわしい限りではありませぬか。我等は誰より強き鉄帝国の民であったのに。
 足を引っ張る者共を慮るがばかりに、幻想程度も踏み潰す事が出来なかった。
 実に、実に、実に不快な話だ。『それはこの私が産まれた時からそうだったのだから』」
 バルナバスはバトゥの静かな怒りに目を細めた。
 成る程、是非は兎も角筋は通っている。バトゥがバルナバスに共感したのはその『憤怒』が為だ。
「それでグレートリセットに期待か」
「左様ですな。新皇帝陛下の施政は私の希望に全く合致している。
『一度全て吹き飛ばせば良いのです。この程度を生き抜けぬ惰弱はこの先の鉄帝国に必要ない』」
「そりゃあてめぇが含まれてもかよ?」
「無論」と答えたバトゥにバルナバスは呵々大笑した。
「……『人間』やらせとくには勿体ねぇな、バトゥ・ザッハザーク。
 てめぇには兵を全部貸してやる。精々囀った以上の仕事をして見せろよ」
「御意に。我等が戦いを御覧じろ」
 頷き退がったバトゥに視線をやる事無く、バルナバスは考える。
(面白ぇ男だ。生き残ったら真面目に部下にでもしてやるか。
 ……『黒い太陽(ブラック・サン)』発動まではもう少し掛かるな?
 俺の敵じゃあねぇが、連中も随分と工夫はして来やがるんだろうよ)
 城下での戦い、そして王城での戦いを展開する『新皇帝派』の不利自体は否めまい。
 最終的に唯のぶつかり合いならば各地の総力を結集する軍閥が押し切る可能性はかなり高い。
 だが、新皇帝派――厳密にはバルナバスは負けまい。
『権能』が降ればこの国は終わる。そうでなくても自身は『七罪最強』だ。誰にも負けない。
「まぁ、いいや――」
 肌をひりつかせる戦いの風を全身に浴びながら、バルナバスは晴れやかだ。
「――かかって来いよ、特異運命座標。兄弟共とは格が違う所を見せてやるからよ?」

 スチールグラード帝都決戦が始まりました!!
 ※リミテッドクエスト『帝都決戦:Battle of Stahl Grad』が始まりました!!
 ※領地RAIDイベント『アグニの息吹』が明日8時より開始されます!!

 ※帝政派、ザーバ派は連合軍を結成している為、勢力アイテムが『帝国軍徽章』へと変更されました!

鉄帝動乱編派閥ギルド

これまでの鉄帝編ラサ(紅血晶)編シビュラの託宣(天義編)

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