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ジーフリト計画 III

 ――地下道の攻略と並行して行われたジーフリト計画。
 南部戦線本拠地バーデンドルフ・ラインでは新皇帝派の強襲部隊を引き込んだ、逆撃作戦が決行されていた。本拠地に敵の侵入を許したわけだが――要塞の強化も行った上で万全の反撃態勢を整えていた南部戦線に隙はなかった。
 新皇帝派の送り込んできた精鋭はほぼ壊滅状態。
 司令官たるシグフェズル・フロールリジも負傷し、からがら撤退した――

「皆、よくやってくれた――作戦は成功だ。
 要塞の被害も軽微。本当によくやってくれた……これで最終段階に行けるだろう」

 語るはザーバ・ザンザ(p3n000073)である。
 南部戦線を母体とするザーバ派の長である彼はバーデンドルフ・ラインの執務室で全体の様子を窺っていた――自らが出撃しても良かったのだが、敵の狙いが総出で自らであった時のリスクを踏まえ後方に位置していたのである。
 そしてイレギュラーズの尽力によりザーバが前線に出る事なく作戦は成功に終わった。
 ――実際、敵の狙いはザーバ本人でもあった。
 ザーバ将軍も個人武勇に優れた人物であり前に出たからと早々負傷するとは限らぬが、魔種もいる状況であればどうなっていたか確定は出来ない。シグフェズルの攻勢を防いだスティア・エイル・ヴァークライト(p3p001034)などの活躍もあり、南部戦線の人員の被害も少なく済んだのは正に僥倖であったか――
「シグフェズルさんもまだ諦めてはなさそうだけどね。ところで最終段階ってのは、ひょっとして……」
「――まぁ遅かれ早かれではあったのだ。『帝都』を見据えるのはな――っと?」
「失礼します将軍! 帝政派のバイル宰相が面会を求め、此方に向かっていると報告が!」
「ほう。宰相殿自らか、随分大胆に動いたものだ」
 刹那。執務室に訪れたのは、ゲルツ・ゲブラー(p3n000131)か。
 ――その口より齎された報は帝政派の接触であった。
 元より帝政派と南部戦線は勢力として『頭』とする者が違うものの、それ以外は護国の志で似通っている点は多い。
 いつかは協調路線を取りたいというのは、各勢力に所属する者からも度々声として上がっていたのだ――
「ヴァイセンブルグ殿、シュバルツヴァルト殿やイレギュラーズの皆のおかげで辿り着く事が出来た――真に感謝するぞ。
 さて、しかし後は政治交渉かの。どうなるにせよザーバ将軍とは歩調を合わせたいものじゃ」
「これが成功すれば西と南から帝都に対する圧を加える事が出来る、と?」
「うむ。いつまでも、バルナバスに帝都を掌握させておくわけにもいかん」
 鉄道都市ボーデクトンより運航していた車両より外を覗くはバイル・バイオン(p3n000237)か。すぐ傍には護衛として同道していたオリーブ・ローレル(p3p004352)の姿もある……道中、新皇帝派の妨害もあったもののイレギュラーズにより退けられたのだ。
 それも全ては南部との交渉の為に。
 どちらが主導権を握るか、と言った話まで行われるかは分からない……それもザーバ将軍との会談が行われてからの話だろう。だが話がどう転ぶにせよ、バイルとしては南部戦線と敵対する道だけはない。
 協力し――帝都の奪還への道を探らんとするのだけは確定路線だ。
 列車は走る。南部戦線の勢力圏を目指して……

 そしてラド・バウ独立区はバラミタ鉱山付近へと出向いていた。
 以前に見つけ出した地下道の一角、マイケル鍾乳洞(ギエエエ! ※喜ぶマイケルのポーズ)を経由しバラミタ鉱山……の地下部へと侵入したのである。その目的はバラミタに座すとされる精霊ミシュコアトルとの接触の為。
「……結論から言うと、ミシュコアトルは、協力してくれるって」
「炎の精霊、よね。フローズヴィトニルの冷気に加え、炎も協力してくれると」
「うん。ミシュコアトル。炎の、おっさんの精霊。
 美人だからって、ゼファーに、力だけ、貸してくれた。結界も、張ってくれる、って」
「ギエ、ギエエエ!」
 ウォロク・ウォンバットがラド・バウへと帰還し、ビッツ・ビネガーに事のあらましを説明しようか――その足元では、マイケルがミシュコアトルの激しい試練を、どうやってイレギュラーズ達が乗り越えたか身振り手振り全身使って表現してくれている。あっ、転んだ。
 美人がいいならアタシで良いじゃないなどと唇を尖らせるビッツにゼファー(p3p007625)が肩を竦めた。
 それは表向きの理由で、本来的な意義としては一先ずは代行者としてミシュコアトルの鍛造する武器で新皇帝派に一矢報いてやれと言うことらしい。
 精霊ミシュコアトルとは狩猟と火を司る精霊。
 バラミタ鉱山が死火山になっているのはミシュコアトルの結界が火山を食い止めているからなのだとか――その精霊の力を借り受けた事によってラド・バウは強力な守護の力を得たに等しい。
 『これから』もしも帝都が騒がしくなろうとも……保険は出来たかもしれぬ。

 独立島アーカーシュもまた、バラミタ鉱山で動いていた。
 それは『セレンディの宝珠』を手に入れる為。
 セレンディとはアーカーシュの盾を司る任を得た精霊である。『ラトラナジュの火』に続く『もう一つの切り札』とも言える『セレンディ』の力を強化出来る代物――ソレを手に入れるべくアーカーシュは行動していたのだ。
 矛は既にある。故に盾を。
 新皇帝派のリーベンドルフ隊がアーカーシュの目論見を妨げんと介入してきたが、イレギュラーズは彼らを退け――たばかりかアーカーシュへと勧誘の問答まで行い、そして組み込む事に成功する。
 件の宝珠に関しても無事に手にいれた。マリエッタ・エーレイン(p3p010534)ユーフォニー(p3p010323)らの眼前にふわりと浮かんだまま近寄ってきたソレは、ほのかに輝き丸みを帯びていて……
「これが、宝珠……?」
 どこか暖かな感触を感じながら、ひとまず帰路につくものであった。
 きっとアーカーシュを守ってくれる力の一端になると――信じて。

 革命派の間では大量の武器を手に入れる事に成功していた。
 フギン=ムニンの策謀もあり革命派からは大量の人員が抜けた――しかし己らを救ってくれた革命派に協力したいという難民は数多くおり、彼らが戦える為にも……或いは身を守る為にも武器は必要と判断されたのである。
 其れ故に新皇帝派の武器庫を襲撃した。
 サイト・アハトアハト襲撃作戦。ンクルス・クー(p3p007660)もソレには参加していたか――
「難民の皆が戦うのは私も心配だけど自主的に立ち上がったのならそれを支援してあげたいんだよ!」
 革命派の頭目たるヴォルフォロメイにしても些か心配な所はあるだろう。
 だが今の鉄帝の情勢で無抵抗である事が最良であるとは限らない。
 ――手に入れた力は、どう振るうかが一番重要なのだ。

 一方で北辰連合(ポラリス・ユニオン)は悪意に脅かされている光の大精霊『月と狩りと獣の女神』ユーディアを救わんと動いていた。和解したノーザンキングスの一部の者達とも協力して、だ。
 ヴィーザル地方の雪深い森の中。
 黒き鎧の戦士や、物言わぬ屍と化した『ある少年』との交戦。
 その果てに燦火=炯=フェネクス(p3p010488)は――ユーディアと接触しえた。
「まだちょっと記憶が曖昧ではあるみたいだけどね。でも――」
 彼女は語る。ユーディアは、いつの頃からか空に浮かぶようになったもう一つの太陽に対して――『少なくともアレは星ではありません』と語った事を。
「もっと、もっと恐ろしくて、よくない何か」
 精霊ですら分からぬ。『分かりたくない』代物。
 本能が忌避する代物であると――
 ……記憶と記憶と力を取り戻すまで女神ユーディアはローゼンイスタフの居城に棲まうことになった。やがて協力してくれれば、彼女も加護を齎してくれるかもしれない――

 いずれの勢力も未来を見据えていた。
 冬はまだ続く。だけれども永遠ではないのだと信じて。
 ――誰もが帝都の方を、見据えていたのだ。

 ※ジーフリト計画の戦況報告が届いています!
 ※革命派に近隣の住民達が続々と参戦の意を示しているようです。
 ※幾人かのイレギュラーズ達がフローズヴィトニルの欠片を手にした様です!

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