PandoraPartyProject

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Wächter aus Stahl

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 土煙をあげて迫る数台のジープ。乗り込んでいるのは帝国軍の兵達だ。
 リーク情報を元に先周りしていた解・憂炎(p3p010784)はそんな風景を腕を組んで見つめていた。
 彼が立っているのは、鉄帝国平野部へまっすぐに伸びる二つのレールの間。等間隔に並ぶ枕木のひとつに立ち、線路の前後を見やる。
「これは皆の……いや、国の未来を守る戦いだ」

 『麗帝』ヴェルスが『煉獄篇第三冠憤怒』バルナバスに敗れたことで始まったゼシュテル鉄帝国の動乱は、ひとつの段階を越えつつあった。
 それはバルナバス配下となった軍部の新皇帝派閥によって占領された帝国各地の主要駅、そして貿易の要ともなる不凍港ベネクトを奪還するという一大作戦が展開されたためである。
 中で鉄道の確保はこの大国を『攻略』する上で重要な意味を持っていた。
 帝都中央駅にして地下通路へと続くブランデン=グラード。
 西部の巨大鉄道都市ボーデクトン。
 列車砲の収められている巨大鉄道施設ゲヴィド・ウェスタン。
 古代遺跡を利用し未知なる技術を秘める北方の駅ルベン。
 加えて不凍港に併設されたベネクト駅。
 これらを手に入れるということは、広く、そして冷たい大地を強く高速で移動し大量の物資や人員を運ぶことの出来る鉄道を、東西南北へ自由に走らせることができるということだ。
 物流、兵站、その他あらゆる面において鉄道は戦略の要となりうる。
 当然それは軍部の新皇帝派閥も承知しているところであり、イレギュラーズによる駅奪還が叶えば逆に新皇帝派の大きな不利となるだろう。
 それを阻むべく新皇帝派グロース将軍が行ったのが各地の線路に対する散発的な破壊工作であった。
「そうはさせない!」
 走り出した憂炎は巨大な生ハム原木めいた鈍器(あるいはそのもの)を振りかざし、展開する新皇帝派の兵士達へと突進する。
 一人を殴り倒した所で、赤い稲妻が迸った。
 マリア・レイシス(p3p006685)による『砲撃』である。
 自らを弾丸とし放ったそれは、兵士の一人を吹き飛ばしジープへと激突させる。兵士はあまりの衝撃に戦意を喪失し、地面へへたりこんでしまった。
「この線路の上を、これから沢山の……希望となるものが走るんだ。邪魔はさせないよ!」
 そんなマリアたちに、散開した兵達がライフルを向ける。
 一斉射撃の合図と共に放たれた鉛玉の雨は――颯爽と現れ割り込んだガイアドニス(p3p010327)のボディによってすべて受け止められた。
「か弱いみんなが一生懸命に駅を取り戻そうと戦ってる。おねーさんが、護って上げなきゃね」
 全て命中したはずの弾は、ボタン状に潰れて地面へぱらぱらと落ちていく。
 そのことに驚いた兵達が別の攻撃手段に切り替えようと手を伸ばした、その時。
 ピンクの星型をした銃弾(?)が兵たちの腕を次々と撃った。
 はるか後方。建物の上から狙いを付ける襲・九郎(p3p010307)によるものだ。見るからに魔法少女と化した彼は可愛いピンクのライフルをリロードし、スコープを覗き込む。
「ったく、要所をとられそうになったからって交通インフラを壊して嫌がらせか? 鉄帝軍人というわりに、やることがセコいんだよ」

 負傷した兵士達は乗っていたジープを使って撤退していく。
「お疲れ様、ここもボウエイできたみたいだね!」
 そこへワイバーンにのったイグナート・エゴロヴィチ・レスキン(p3p002377)がやってきた。万一危なくなったときのためにと駆けつけてくれたようだが、どうやらその心配はなかったらしい。
 同行してきたマルコキアス・ゴモリー(p3p010903)が線路の様子を確認し、どこも破壊されていないことが分かると黙して頷いた。
「どうやら、南側の防衛にも成功しました。このまま巡回を続けるつもりですが……」
 そちらはどうしますか? と振り返ると郷田 京(p3p009529)がラフなスタイルで歩いてくるのが見える。
「アタシ? そーね、まだ暴れたりないって気分だし、別の候補も回ってみようかな」
 郷田たちイレギュラーズが受けていた依頼の内容は破壊工作の停止と妨害。鉄帝各地に伸びる無数の線路を全て巡回するには人員が不足しがちだが、ローレットはこういった各地に散っての臨機応変な行動というものが得意だった。なにせ元々、世界各地に散って活動している彼らなのだ。
 そして彼らの活躍によって、新皇帝派による鉄道破壊作戦はほぼ失敗に終わったのである。
「これで、安心して列車を走らせられるね。肝心の線路が壊れていたら仕方ないし……」
 刻見 雲雀(p3p010272)がそう言って振り返ると、遠くから蒸気機関による列車が走ってくるのが見えた。
 もうもうと黒い煙をあげて走るそれが、雲雀たちの前でとまる。
「よう、お疲れさん。乗ってくかい?」
 まるでヒッチハイカーを捕まえるみたいに先頭車両から顔を(というか仮面を)出したのは耀 英司(p3p009524)だった。
 ピッと二本指を立てる仕草で仲間達に挨拶を送る。手をかざしてこたえる雲雀。
「汽車運転なんてできたの?」
「ハハッ、まさか。護衛の仕事で乗り込んだだけだ」
 そう言って次に顔を出したのはブライアン・ブレイズ(p3p009563)だった。
 後ろからマグタレーナ・マトカ・マハロヴァ(p3p009452)が温かそうな格好で顔を見せる。
「帝国内に列車を走らせられるようになりましたけrど、モンスターや新皇帝派の軍がまだ線路や列車を狙う危険がありますから……」 「そういうこと。これからも継続的に保守警備する依頼がローレットに来てるんだよ」
「鉄道警備隊……エリートな響きがするぜ」
 英司がどこかうっとりとした様子で顎をあげた。
 仲間達は列車へと乗り込んでいく。
 風を切って走り始める列車は力強く、並ぶ車列には荷物や人が満載されている。
 必ずやこの力が、鉄帝の未来を救うだろう。そんな誰かの気持ちに応えるように、汽車は汽笛をたかく鳴らした。

Ace of Aces

 一方、浮遊島アーカーシュ、『アーカーシュ・ポータル』――。
 不凍港攻略作戦に伴う、ワイバーンによる降下作戦『オペレーション・レオニズ』は、今まさに多大な戦果を挙げていた。
「部隊が戻るぞ! 滑走路を開けろ!」
「降下よし! 着陸(タッチダウン)!」
 ぶわぁ、と翼を広げたワイバーンが、アーカーシュ・ポータルの滑走路に着陸する。一仕事を終えたワイバーンが、誇らしげに吠えた。
「お疲れ様です、セレマさん」
 滑走路担当の軍人がそういうのへ、セレマ オード クロウリー(p3p007790)が「大丈夫」とばかりに軽く手をあげて見せた。
「ドリンクをどうぞ。ワイバーンも休憩させます。いったん待機に入ってください」
「いいさ。このまま出られる」
「ですが――」
 そう声上げた刹那、もう一翼のワイバーンが降り立った。背には、狙撃銃を携えた男を乗せている。襲・九郎(p3p010307)を乗せていた。
「ワイバーンに水をやってくれ」
 九郎が声をあげた。
「すぐに再出撃する」
「お二人とも、一度やすんでください」
 軍人の一人がそう言った。
「お二人は特に、出撃回数が多い。無理をなさらなくとも。
 それに、降下作戦はすでに多大な戦果を挙げています。攻略部隊も、随分とやりやすくなったはずです。
 まさに、お二人はトップエース……まさに『レオニズの両翼』ですよ」
「別に褒められたくてやってるわけじゃぁないが」
 ふむん、と九郎が言うのへ、セレマも頷いた。
「休めというならそうするか」
 あちらに、という軍人の声に頷いて、二人は滑走路わきの宿舎へと移動する。あちこちで軍人たちがせわしなく走り回っている中、二人に声をかけたのは、マリア・レイシス(p3p006685)だ。 「おつかれさま! 大活躍だったようだね!」
 そういうのへ、セレマは、ふん、と鼻を鳴らした。
「まぁまぁだね。戦況はどうだい?」
「すでにお聞きかもしれませんが、充分な戦果を挙げているかと」
 ウルリカ(p3p007777)がそういう。今ここに集まっているイレギュラーズ達は、オペレーション・レオニズ参加メンバーの中でも、より多くの戦果を挙げたメンバーである。いわば、エース・オブ・エースたちだ。
「不凍港史上初の降下作戦により、敵拠点は次々と陥落」
 佐藤 美咲(p3p009818)が、冷えた炭酸水を飲みつつ、そういう。
「まさに前代未聞の大戦果でスね」
「新皇帝派とノーザンキングスの馬鹿どもに、手痛い打撃を与えてやれたッてわけだ」
 ブライアン・ブレイズ(p3p009563)の言葉に、耀 英司(p3p009524)が頷く。
「このペースで行けば、地上の攻略部隊にも十分な援護になっただろうな」
「となると、降下攻撃もこれで仕舞いか」
 サンディ・カルタ(p3p000438)がそう言った。
「あとは、地上部隊がうまくやってくれることを祈るしかないな」
 イレギュラーズ達の言葉通りである。ワイバーンによる降下攻撃は多大な戦果を挙げ、地上攻撃をこなう部隊にとって、まさにレオニズの流星が味方に付いたようなものだ。空より降り落ちる流星は、目の前の敵を次々と打ち倒し、再び空へと舞い戻っていった。だが、此方が行えるのは、あくまで降下作戦による援護どまりだ。不凍港の奪還自体は、地上部隊の働きに期待するしかあるまい。
「でも、皆なら、大丈夫だよね……!」
 祝音・猫乃見・来探(p3p009413)がそう言った。マグタレーナ・マトカ・マハロヴァ(p3p009452)が、「ええ」と頷いた。
「きっと、彼らなら大丈夫でしょう。わたくしたちの働きを、次につなげてくれるはずです」
 その言葉通り……バトンは渡された。後は地上部隊からの報告を待つばかりだ。
「だが……じっとしているのも性に合わないな」
 ルナール・グリムゲルデ(p3p002562)が、そういうのへ、秦・鈴花(p3p010358)が頷いた。
「そうね。あと一回くらいは、出撃する余裕があるでしょ?
 エース・オブ・エースによる、最後の編隊飛行と行きましょうか?」
「なんか、その呼び方、くすぐったいけど……」
 ヨゾラ・エアツェール・ヴァッペン(p3p000916)が苦笑してそういうのへ、フーガ・リリオ(p3p010595)はウインクしつつ応えた。
「ま、これも記念みたいなものだからな。最後のダメ押しに行こうか」
 その言葉に、皆は頷く。丁度、ワイバーンの休憩も終わった所だ。最後のレオニズたちは、再び空へと舞い上がり、地に降り注ぐ。
 その一撃は、地に蔓延る悪しきものを、その閃光によって駆逐するような、力強いものだった。

※鉄帝にて、新皇帝派による線路破壊作戦は未然に防がれました!
 また、エペレーション・レオニズは大きな戦果を挙げたうえで無事終了しました!
 鉄道網は引き続き守っていく必要があるでしょう――

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