PandoraPartyProject

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しばしとどめむ

「ほうほう! 『あーるおーおー』とな!
 むぅ。豊穣の外には奇妙にして、しかし高等なるモノがあるものよ……
 呪いの一種……否、そういった術とは異なる技であろうか……」
「ああ――全く大変だったんだぜ? 特にR.O.Oとのアンタとは敵対したしなぁ……」
 豊穣郷、牛宿大寺。玄武を祀るかの地に訪れたイレギュラーズの一人はレイチェル=ヨハンナ=ベルンシュタイン(p3p000394)だ。語るは先日まで様々な騒動があったRapid Origin Onlineの事である。
 その中では豊穣の地を舞台にしたイベントもあった。R.O.Oの中では神光(ヒイズル)という国名であったが……ともかく。その中では体制側たる玄武とは敵として戦った一幕もあったのである――
 その折の仔細は省くが、とにかく現実と異なる様相の玄武に思う所がある者もいた。
 レイチェルはそんな一人である。現実の玄武と会い、話がしたいと――ふと思った。
 そして直に対面して見ればやはり『異なる』ものである。
 眼前の彼は陽気にして穏やか。宴と民を愛する黒天の星……
「なんともはや、不思議な世界もあったものよの……
 いやしかし神使達の話はいつも面白い。
 我もついぞ若かかりし時を思い起こしてしまうものよ――」
「へぇ? まぁそりゃそうか、玄武さんも若い頃があるものだろうね」
「うむ! 精霊とは言え培ってきた歴史はそれぞれよ。
 特にのぉ。我は昔はそれはもうピチピチの美少年だったのじゃぞ!!」
 はははと談笑するのはイズマ・トーティス(p3p009471)だ。彼もまたR.O.Oにおける玄武と相対した一人であり、いつか本来の――R.O.Oのイベントなどに浸食されていない――玄武に会ってみたいと思っていたのである。
 まぁまさかこうして『現実』側に先に会うとは思っていなかったが。しかし恐らくR.O.O側の彼もまた、浸食されていないのであれば『こう』なのではないかと。
「いやはやしかし斯様な戦いをも勝ち抜くとは――あっぱれな事よの!
 ……そんなお主たちを見込んで、一つ頼みがあるのじゃが」
「――やっぱりね。なんだか話したい事があるんじゃないかと思っていたよ」
「ほう。分かるか?」
「当然だよ。君の箸の進みが遅いからね――これは何かあるなと感じるものさ!」
 言うはムスティスラーフ・バイルシュタイン(p3p001619)だ。かつて、豊穣での行われた大規模な事件において――玄武より加護を与えられたのが彼である。
 親交深いムスティスラーフであれば玄武の異変は真っ先に感じるもの。
 宴の為にと用意された料理の数々……への箸が伸びておらぬ。
 いや伸びてはいるがほんの微か、どこかおかしいと――感じたのだ。
 そしてその懸念は正にその通り。
「……実はの、近頃行方が分からなくなっている民がいる様なのじゃ」
「それはバグ召喚……『神隠し』の類ではなくて?」
「うむ、そうではない。此岸の辺にも現れぬのだ――というよりも、そういった行方不明者が出ている場所も分かっておるのじゃ。『久遠なる森』と呼ばれている地の近くなのじゃがな」
「久遠なる森……?」
 ムスティスラーフの言に続いてレイチェルは玄武の言った名を反芻する。
 久遠なる森。それは豊穣の一角に存在する森だ――
 その付近の街や村で行方が分からなくなる者が最近増えているという。
 ……いや豊穣の民だけではない。
 なんでもこの周辺に船を出した海洋の貿易船も時折消息を絶つことがあるとか……
「……海洋の船も? 一般人だけでなく、そういった船も消えるなんて……」
「キナ臭いな――確実に『何か』あるぜ」
「うむ。故に神使達に頼みたいのじゃ……かの地に赴いて、何が行われているかを確かめてほしい」
 さすれば、イズマもレイチェルも怪訝な表情を浮かばせるものだ。
 何が起こっている? 此岸の辺で時折起こるバグ召喚でもなければ、何か別の要因か。
 玄武にとっても民が犠牲になっているのは見過ごせない――しかし半端な者に頼めばその者らもまた行方不明になるかもしれぬ……のであれば是非ともかつての動乱をも乗り越えた神使達に行ってほしいのだと。
「ちなみに――その久遠なる森って、奥には何があるの? 誰も行った事はないの?」
「さてのぉ。あそこには何があるとも知れぬ……霞帝も知らぬのじゃ」
 深い、深い森が広がっているだけ――ではないのだろう。
 少なくとも妙な事象が発生しうる『何か』はある筈だと。
 ……或いはこの国の遥か昔から存在する黄泉津瑞神であれば何か知っている事があるかもしれないが。
 しかし今の彼女は力を取り戻している過程で、幼子の姿になったり大人の姿であったりと不安定な時期だ。それに丁度『氷の花』を取りに向かって帰ってきたばかりなのだとか――もしかすれば神使達に頼むだけで解決するやもしれぬし、続けざまに心労を掛ける事はあるまいとまだ瑞神には伝えておらぬ。ともあれとムスティスラーフへと玄武は告げて――
「……ま、今日はもう遅いでの! 今日は此処に泊まって、明日に向かうが良いと思うぞ! うむうむ! という事で――然らばぱぁぁぁりぃいぃじゃあ!!」
「いやいや玄武さん、もしかして『ぱぁりぃ』したいだけなんじゃ」
 イズマが言を挟むが――しかしそんな彼の口元へと玄武は即座に食物を。有無を言わせぬ! ぱぁりぃじゃ! ぱぁりぃするのじゃああああああ!!
 やれやれ……しかし確かに今から牛宿大寺を降りても時間が遅くなるかもしれない。
 今日は玄武の言う様に宴を楽しんで――万全をもってしてかの地へと向かうべきか……


 ※豊穣の地で、四神玄武より依頼が発生しそうです……?

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