PandoraPartyProject

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鋼鉄帝国の勝利だ! さあ踊ろう!

 鋼鉄帝国、南西部。名もなき荒野。
 専用機アイアンウルフのコックピットを開き、外へ出たうるふ(p3x008288)は空に向けて手を開いた。
 ぱらぱらとかかる粉雪が、手のひらに触れては溶けていく。
「戦いが、終わったんデスネ……」
 もうそこには、千を超えた軍勢も、人類を蹂躙せんと迫る巨大な怪物たちも、悪意を鋼にとじこめたロボット兵器たちもない。
 砂に半身をうめたロボットスクラップや、斬り割かれた終焉獣の死骸が転がるばかりだ。
 ついさっきまで続いていた、絶え間ない爆発音や銃声や、誰かの叫び声もない。雪に全て奪われたかのように、ただただ静寂が流れている。
 振り返ると、巨大移動要塞ギアバジリカがゆっくりと歩き出すところだった。
 砂嵐砂漠地帯への援軍に向かうのだろう。うるふたちも合流すべく、再び自分専用の人型ロボット『エクスギアエクス』へと乗り込んだ。

 一転してというべきだろうか。ギアバジリカ中央コントロールデッキには爆音でミュージックが流れ、DJテーブルに立ってヘッドホンを首からさげたヴェルス・ヴェルク・ヴェンゲルズはにやりと笑いながらレコードディスクをシャキンとケースから取り出した。往年の名曲ロケットスチーラーシックスティーナインである。
 勝利に喜びダンスを踊り、組んだ腕に握ったジョッキでビールを飲み干す彼らは鋼鉄帝国軍幹部達。
 ジョッキ二杯で既に赤ら顔のショッケン・ハイドリヒがワントーン高い声で夢見・ヴァレ家(p3x001837)肩を叩いた。
「いやぁ~、それにしても最ッ高でしたなぁ~! あの歩く武器庫と化したエーデルガルト大佐を見事に打ち破るとは!」
「仮初の世界とは言え、彼女が道を踏み外したというのであれば、止めてあげるのが友情というものですから……」
 そう言いながらビールをガバッガバいくヴァレ家。
 横ではタイム(p3x007854)が軽快なステップで踊り、勝利の喜びを全身に浴びていた。
「ウェラさん! 一緒におどろ!」
「え、ああ……というかなんで踊ってるんだ?」
 デッキの隅っこで金平糖を口の中で転がす作業にいそしんでいたロード(p3x000788)が割と当然の疑問を口にすると、隣でちびちびと瓶のコーラ飲料に口をつけていたイデアが背もたれによりかかった。
「解放されたから、だろ。ちょっとだけ一緒に戦って分かったけどさ、鋼鉄の人達って、戦うときは全力なんだよ。命どころか人生ごと賭けて戦ってる。だから、終われば全力で喜ぶんだ」
「そういうもの、か……」
 同じく座って居たプロメッサ(p3x000614)が顔をうつむける。
 この世界で触れた因縁は、この手でケリをつけた。けどそれが終わりではない。人間は『勝利した後に人生がある』のだ。
 アイ(p3x000277)
「もしかしたら、自分を奮い立たせてるのかもネ。次の『人生(たたかい)』ってやつに」
 男達はベンチに並んでせをもたれ、そしてフッと笑った。

 妖精サイズのセララ(p3x000273)がくるくると螺旋をえがき、空中へと舞い上がる。ちっちゃい瓶を振りかざす。
「みんなー! 終焉獣デカラビアへの勝利、おめでとー! かんぱーい!」
 パラディーゾトモコやパラディーゾセララをはじめとする、鋼鉄帝国及び世界を脅かしていた大勢力が、これで潰えたのだ。
 だがそんな中で、リゼ(p3x008130)は手にしていた瓶の中身を飲み干して立ち上がった。
 彼女のメッセージウィンドウに緊急招集の文字が流れたからだ。
「そっか……しがらみもなにも無くなった今だから、『ケジメ』をつけられるってことだね」
 そうとだけつぶやきデッキを出て行くリゼを横目で見送り、ミミサキ(p3x009818)は適当なベンチへと腰掛ける。隣では佐藤美咲がなにくわぬ顔でコーラの瓶に口をつけた。
 互いに互いの顔を見て、黙って瓶をカチンと合わせる。
 DJテーブルのマイクをオンにしたヴェルスが、艦内の全員に届くように叫んだ。
「ノッてきたな鋼鉄の兄弟たち。まずはご苦労さんと言っておこう。
 さて、次のステージが待ってる。俺たちの人生(たたかい)はまだ続くわけだ。
 ……最高だろ?」
 同意を示す『イエー!』という声が艦内全体から響くかのようだった。
 そしてギアバジリカは歩き出す。
 次なる戦場、終焉獣ベヒーモスとの激戦が今まさに行われている、砂嵐へ――。

 ――鋼鉄帝国へ進撃するパラディーゾ及び終焉獣の軍勢を撃退しました!
 ――<ダブルフォルト・エンバーミング>Fullmetal Battleendが終了し、隣接戦域への援軍を送るべく動き出しました!

これまでの再現性東京 / R.O.O

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