PandoraPartyProject
リミット・バーストII
敵は絶えず、更に何処までも強く悪辣に変わっていく。
或いは戦力なら、実力だけならば不足していたかも知れない。
混沌とR.O.O双方で展開する『緊急事態』は大混乱の中状況を進めている。
セフィロトの何処にも万全は無く、ローレットにしても同じ事。
幾重にも張り巡らされたクリストと『イノリ』の罠は、破滅の遊戯は執拗であり、練達は後手を踏んでいた。
(冗談じゃないぜ――)
機神の胎はあの『竜剣』シラス(p3p004421)をして恐れを覚える場所だった。
だから――『中枢』をこれ程の速さ、強さで駆け抜けられたのは『奇跡』と呼ぶべきだったのだろう。
「……はぁ、はぁ、はぁ……」
荒い呼吸を正す余裕も無い。
極限の緊張感は『Can'dy✗ho'use』ハンス・キングスレー(p3p008418)の背負ってきた者の大きさを告げている。
「もう少し、もう少し……!」
「まだまだ、いけますよ!」
滴る汗を拭う気力も無い。傷付きながらも『人為遂行』笹木 花丸(p3p008689)は、『可愛いもの好き』しにゃこ(p3p008456)は足を止めない。
「友達の為って――強くなれるじゃん?」
「取り戻してみせるよ……絶対に……!」
「ああ。質も悪かないし量は特上。お代わりつき。
戦り甲斐のあるってぇのはこの事だなぁ――
それにしても絶対ってのはいい言葉だ。口にすりゃあ――空元気も出て来るぜ」
嘯く『Go To HeLL!』伊達 千尋(p3p007569)、『全てを断つ剣』ヴェルグリーズ(p3p008566)が、『厳冬の獣』リズリー・クレイグ(p3p008130)が戦い続けられるのはその先に『答え』があると信じているからだ。
「時間を稼げと仰るなら、それは頑張りましょうか。
Dr.マッドハッター、貴方がどんなにイかれていても、母たるマザーを越えられると信じてます 」
「はは、アリス! 期待されてしまったら――応える以外にはないじゃあないか!」
『『幻狼』夢幻の奇術師』夜乃 幻(p3p000824)の声にマッドハッターが軽快に笑った。
ダミーマザー出現以降の迎撃の苛烈さはそれまでとは全く別次元のものになった。
『中枢』を進むイレギュラーズに余力のある者は少ない。いや、より正しく言うならば。
「……だから、かいちょぉが、いる限りは……!」
「マザーが必死に抗ってるんだもの。これくらい何でもない。待っててね、向こうのみんな……!」
「……やってくれるな、君達は」
『羽衣教会会長』楊枝 茄子子(p3p008356)や『優光紡ぐ』タイム(p3p007854)、操等を含めた多くの支援役達の尽力が無かったならば『余力がない』では済まない所だっただろう。
『だが、恐るべき博打を繰り返し、その全てで勝ちを選び取って来たのがローレットである』。
特異運命座標は生きている特異点。運命をねじ伏せ従えて、歪と七罪を呑み喰らい――未来を変える為にそこに居る。
だから――それは必然だったのだろう。
「――『そこ』だ! お誂え向き、最高の反応も先にある!」
進撃する彼等が幾つもの危機を乗り越えたのは、マッドハッターが歓喜の声を上げたのは当然の結果だったに違いない。
最後の防壁を操とカスパールが素早く解除し、隔壁が重く持ち上がった。
「――――」
その瞬間、言葉を失ったのは誰も同じ。
「――マザー……」
『青き鋼の音色』イズマ・トーティス(p3p009471)の呟きが重く響いた。
練達の本当の『中枢』。セフィロトの揺り籠たるコントロール・ルームには――赤く染まった『母』が居た。
これまでの再現性東京 / R.O.O
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