PandoraPartyProject

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神異 参・ひいずる、ちぎり

「……只今何とか帰還致しました。其方は如何ですか?」
 嘆息する澄原 晴陽のかんばせには疲労が滲んでいる。
 ハンス・キングスレー(p3p008418)を始め、希望ヶ浜に出現していた異世界――『R.O.Oの影響』による侵食された世界――へと侵入していたイレギュラーズ達の帰還が完了したのだ。
広い学校がまるで迷宮みたいにー、って話を聞いたことがあるのですよ。
 中がすごいことになってるってぱっと見ただけで分かったのです。
 あんな場所にずぅっと居たら目が回ってしまうのでして……ホントに迷宮にするのはダメでしてー!」
 頬を膨らませた ルシア・アイリス・アップルトン(p3p009869)はクロエ・クローズの救出のために希望ヶ浜学園を迷宮化した『異世界』へと挑んできた帰りである。
「……心配を掛けて済まなかった。中々骨が折れる相手ではあったが……どうやら『建国』さんの侵食は切除出来たんだな?」
「うん。ギリギリではあったけれど何とか」
 ハンスは晴陽と共に『建国さん』と呼ばれた希望ヶ浜の神――『日出建子命』へとヒイズルの『禍ツ神』豊底比売が行っていた侵食を切除する任務に赴いていた。
 異世界内部に再現された高天大社はイレギュラーズ達がヒイズルで豊底比売と戦っている現場そのものであった。
「あれだけ精巧に再現されているとなると、恐ろしいものだね」
「ええ。真性怪異(かみさま)なんてものは人智を遥かに超えてゆくものですから……。
 現実側では侵食を一先ずは食い止められた、と云えるでしょう。残るは、R.O.Oでしょうか」
 晴陽が心配そうにモニターに視線を遣ったのには理由がある。モニターに映し出されたSiki(p3x000229)とて神妙な面立ちだ。

『ヒイズルを、この国に住むみんなを守ると決めて青龍と相対した。
 そちらはなんとかなったけれど、まだまだ問題は山積みだね。玄武と朱雀、白虎、それから――』

 SikiはR.O.Oで再現された自身がこの一件に関わっていることを知っている。『滝倉』と言う一家に生まれ落ちた巫女である『織』と呼ばれた少女は神々との深い縁を持っていたそうだ。
 故に、豊底比売の依り代としてその身に神を降ろしていた。
 自身を解放するために戦場を駆ける仲間達が居る。同様に、彼の地に住まう者達を救うためにその身を投じる者達は無数に居た。
 豊底比売を打倒する為。そうしてこの国を護る為。
『クエスト情報』は未だにアップデートされていない。それはR.O.O内で彼女も把握しているはずだ。

「そちらの……『遮那』さんと言う方がどうなるのかも心配です。それに――」

 解放されていないイレギュラーズのこととて不安が募る。幾人かがクエストクリアの報酬として『解放』権利を得ているとも聞くが、現状ではまだまだ閉じ込められたイレギュラーズが多いのが実情だ。
 晴陽は「暫し待ちましょう」と言った。
「……焦ってばかりでは事をし損じます。落ち着いて、今成せることを」
「晴陽、手許が狂って書類が落ち――……」
 拾い上げたクロエが無言の儘、立ち竦む。その手元を覗き込んでルシアは「弟さんのお写真なのでしてー?」と首を傾いだ。
「そんなに心配だったのか」
 写真を差し出すクロエに晴陽は『慣れていない』笑顔を作った。所謂、ごまかしの笑顔だ。
「……こほん、ハンスさん。アフタヌーンティーでもして待ちましょう」
「それは、構わないけれど。あ、引っ張らないで、ちょっ――」

 ※神異の戦況報告が届いています――!!

これまでの再現性東京 / R.O.O

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