PandoraPartyProject

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クープランの墓

クープランの墓

 ラサで大きな祝勝会が開かれている。
 ファルベライズ遺跡における騒動がついに収束したからだ。大鴉盗賊団の首領コルボは討たれ、大精霊ファルベリヒトの身を操っていた博士はどこぞへと消失。ホルスの子供達は制御を失ったからか次第に瓦解していき……これにて全ての脅威は取り除かれた。
 パレスト家ラサの商人達が率先して勝利を祝っている。
 ……その陰で蠢く闇もある、が。
 未だ表舞台には出て来ぬ恐るべき深淵らは――ともかくとして。

「あ~~あちーあちーよ、だけど夜はさみーよクソがぁ~~~」
「文句を言わない! そもそもここに来るって大体全部エドガーのバッカ君が言い出したんだからさー」
「テメーは一々バカバカバカバカうるせーんだよバ――カ!!!」

 別の所。ラサの一角を潜むように移動する集団があった。
 馬車、というかパカダクラ車に乗っているのは色宝の争奪戦の影で暗躍をしていたレアンカルナシオンという組織の面々である。青髪のエドガーバッハ、槍を持つアルハンドラ、そしてラサに詳しいカーバック・ファルベ・ルメスの三人……
 いずれもが過去に存在した人物らの名前を持つ者達である。
 本人か――偽物か――? 生きているにしては若すぎる。
 いずれにせよ彼らはホルスの子供達という『他者の姿を精密に真似る』能力を持つゴーレムを欲してこの戦いに介入していた。が……先述の通り制御が失われたホルスの子供達は瓦解を始めた為、その骸というべきものしか手に入っていない。これが役に立つのかは不明だ。
 そうでなくても戦いの中でアッシュ・ウィンター・チャイルド(p3p007834)シャスラ(p3p003217)は彼らに渡さぬ様念入り壊したのも影響しており数も少数。
 ――つまる所彼らの狙いは阻まれたかのように見える。いや実際そうだろう。
 だが、目的破れた悲壮感は彼らにほとんどない。
「まぁ……駄目で元々だったのだ。或いは『博士』を確保できれば、とも思っていたが……ふっ。イレギュラーズ共め、全くそんな隙もなかったようだ。大鴉盗賊団も壊滅したしな」
「テメーは伝承の魔物に一撃入れて満足そうだなアホ!」
 そう。カーバックの言う通り――彼らにとってゴーレムの奪取は本命の出来事ではない。
 彼らレアンカルナシオンには『別の目的』が存在する。
 ゴーレムの確保というのはあくまでその道の一つに過ぎず……と、その時。
「おろ? 誰かいるみたいだよ――なんだろ、あれ」
 アルハンドラが気付く。己らが往く道の先に何者かの影がある、と。
 ラサ商会の追手か――? いやバレぬように移動している故、その可能性は低い……筈だが、と。目を凝らして目前の存在を見据えてみれば。

「――やぁ」

 そこに居たのは一人の男。
 にこやかな表情で語り掛けてくる、その人物は――
「…………げっ!! 『ボス』!!」
「ははは。ラサの方に行ったとロスフェルドの御老体から聞いた――私はそんな事を一切知らなかったんだが、誰の発案なのかな?」
「こいつです」
「このバカだ」
 即座にエドガーバッハを指差して切り捨てるアルハンドラとカーバック。さすれば指差された青髪はまた喧しく騒ぐが……ともあれ。
 彼らを出迎えたはレアンカルナシオンの頭領。
 かの組織を率い、エドガーバッハらの上に立つ人物である――そして同時に。
「そうか、やはりな。やれやれ困ったものだ……君達の様な優秀な人材を失うような事があれば、重大な損失に繋がる。自由意思は尊重するつもりだが――ある程度自重はしてほしいものだが」
「それならそもそもイレギュラーズ、ていうか旅人に喧嘩売るのやめろよ」
「それはそれ、これはこれというヤツさ。私も魔種だからね……
 ルストは私なんて気にもかけないだろうが、しかし『他』がどうかは知らない。
 特に、事の成り行きをまるで演劇であるのかの様に見つめる色ボケはね」
 彼は世界の怨敵である魔種でもあった。
 『他』というのが一体誰の事を差すのか。『色ボケ』とは一体誰の事なのか。
 それは幻想を己が直轄とし暗躍する、とある『冠位』の事だ。通常の魔種と比して天地程の開きがある上位存在に対する態度とは思えない言葉を吐き出しながら――組織の頭領たる彼の瞳は、どこか遠くを見据えているかの様で……
 しかし。
「へーへー。で、わざわざお出迎え頂けた理由は?」
「ああ。どうやら求めていた存在が見つかった様でね……幻想の方で。私の友人がそんな事を零していた。だから、これから少し忙しくなりそうだ。上手くいけば『計画』を一気に進めることが出来る」
「マジで?」
「だから招集だ。これより幻想に帰還する」
 強い決意もまたその瞳の中にあった。
 彼は一つの夢を抱いている。『傲慢』と称されても仕方なき夢を。
 だが彼は信じている。
 己が夢へ到達する事を。必ず『全て』は一つになれると。

「例え一千万の血が流れようと、私は願いへ到達する。
 ラスト・ラストは必ず壊滅させる。
 その為の。未来に繋がる為の一手を――幻想から始めようじゃないか」

 闇の中で蠢くは一つに非ず。
 まるで蟲毒の様に数多の思惑が食い合い、存在している。
 奈落の底にて生ずるは如何な未来か……

 砂漠の大地における神秘劇は幕を閉じ。
 幻想の王国にて新たな舞台が――始まろうとしていた。



 ネフェルストで祝勝会が行われているようです!

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