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ギルドスレッド

未来超仰天実験室

未来人作業室の日常ピックアップ

堆い木製の荷箱が迷宮の壁の如く聳える倉庫内。
その一画には、砂利で舗装された足元に敷かれたブルーシート。
最低限の家具とよくわからないガラクタが我が物顔で領有権を主張している。
女っ気はない。かけらもない。
だってしょうがないじゃない未来人だもの。

【概要】
・未来人の作業スペースです
・来客は好きにせえや畜生がっ!!

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そうでは……ええ、もう、そうじゃなあ。
(目を閉じ、考える。
どういえば伝わるのか。
合理性を以て情のありどころを伝えるには……)

…………
お主は。
食事はするか?
はい。
どのようなコンディションにおいても最低2食、最悪でも1食。
余裕があるときは食べたことのないものを食べようと心がけています。
そのようにしています。
そういうことじゃ。

……体は食事を摂らねばやせ細って死んでしまう。
翻って心は?
それも同じじゃ。

鮮やかで楽しく、全てを賭けるに値すると思う思い出は、その実現在の集合体じゃ。似たような思い出から、類似の感情を取り出して思い出のそれに置き換えるのじゃ。
故に心が栄養を摂取せねば……今を鮮やかに生きねば、思い出もまた老いてしまう。

じゃから、もうやるな、ではない。
過去に浸るならば、浸れば良い。
思い出を懐かしめ。
過ぎ去りし日々を惜しめ。
しかし、それは全て……現在あればこそなのじゃ。

身もふたもなく、また現実的で無味乾燥な、救いの無い話じゃ。
思い出に浸りたくば、いまを生きよ。
でなくば、己の中の我(カタラァナ)は、どんどんそれではなくなっていく。

……それで良いのか?
それで、気が済むか?
(すぅ、と瞳を細める……
 ピース同士の噛み合わせの悪いパズルを精査するような、不快感の正体を捉えるような様子で。
 呼吸から少しずつ畏れの陰が消え、水面も凪ぐような沈黙を置く。)

(瞳孔をなぞるよう静かに震える瞼と、思案するように瞬く口唇が。
   ぱちん  ぱちん  と波紋を落とすような………そんな間。)


…………………納得、を、しました。
…ええ、はい、まさしく。
昨今のヨハナが精彩を欠くのは一つのテーマに囚われすぎてあるからです。
そして精彩を欠いてゆくからこそ、過去に対してより鮮やかで真に迫る想起を求めようとする……そういった動きも、はい。理解できます。
これはまるで温かな泥沼のようですね。
そして逆説。
ヨハナがそうまでして、それに気づけないまま想起を続けたということは。
その行動がヨハナにとってひどく重要であったという証明になりえます。
ええ、ですので。認めます。

ヨハナがそこまで深い集中と瞑想を喚起するものがチェロであると認めます。
それがチェロである経緯にカタラァナさんが深くかかわっていることも認めます。
そうであればカタラァナさんがヨハナにとってなにか意味を持っていたことも認めます。
じつに納得のいく、合理的な話です。

そしてこの一連の工程こそ、ヨハナが認めていなかった「悲しむ」という感情の工程でしょう。
そうでなければ、ええ、確かに。なんて救いようのない行為でしょう。
ですがヨハナは確かにそうしていました。率先してそうでありましたので。
ヨハナは自分が悲しんでいて、そういう感情が生まれ、生まれていて。
そそうであることを認めます。認めざるを得ません、ですから、はいーー
(言い切らず、言葉にならないまま、それをそのまま行動に移した。)

(無造作に立ち上がり、テーブルを蹴り……いや、テーブルの脚を踏み折った。)

(卓上のコンロが、淡く沸騰する湯が、積み上げた羊皮紙が滑り落ちて不愉快な雑音と苦い香りをばらまいた。湯の飛沫が衣服へと跳び、刺し傷に似た痛みを訴えても。彼女はそんなことなど構いもせず、折れたテーブルを蹴り飛ばして残骸にした。)

(のどがわななき震える)
ですから、はいそうですかって、こんな、こ”んな!
こ”ん”な”は”な”し”が”ぁ、あ?あ”る”か”っっっ”!!!?
(そう、のどを潰さんばかりに吠える、唸って、情動を露にする。
 わざわざ数日かけて収集した羊皮紙を踏みつぶした。)

死”ん”だんだっ!死”んだん”だぞ”っ!カタ”ラァナ”さ”んはっ!あの、”あ”のひとはっ!
こん”な、あ”って、”こんな”こと、なら”、こんな気”持”ちがっ!なんあ”っ!”あぁっ”っ!!?
(嗚咽と言葉を混ぜながら手当たり次第に殴りつけた。
 壁代わりに積み上げた木箱を崩す、衝立代わりに垂らしていた布をぶちぶちと引きちぎる、整理されていた棚を殴りつけて戸をたたき割った。
 衝動的暴力の限りを尽くそうとした。)
ーーーーーーーーーーーーっっ!!っ!
っっ!!!っ!
そうじゃよ。
(砕けた木片がぴっと顔の横を通っていく。
首を傾げもせず、少し片目を瞑っただけ。
頬に赤い筋がぴぃ、とはいってからぷつぷつと血が滲む。
それでも、腰を椅子から浮かせることはしなかった)
死んだのじゃ。
死んで、もはや新しいことなど何もなく、思い出と記憶になって、そしていつか記録となっていく。
それが死じゃ。その喪失すらいつか喪失し、無となっていくのが死じゃ。
何もなくなるならまだ良い。
思い出は己のものと独占し、残されたものは自己満足に浸れる。
じゃが、あれの死は大きすぎた。
誰もが悼み、悲しみ、己の気持ちを仮託し……きっともう我にも、あれが本当にどう思っていたかなんてわからぬ。
己の気持ちを預けてしまうからのう。
悲しいじゃろう。
否、口惜しいじゃろう。
己の知っている彼女はそんな簡単なものではないと言いたいじゃろう。
でも、己ですら本当に彼女が“そうであったか”と信じ切れぬじゃろう。
それが死じゃ。
――親しいものの死じゃ。
愛するものの死じゃ。

“記録”にはこういうものは残せない。
“記憶”にしか、これは覚えておれない。

だから――我は泣いて欲しかったのじゃ。
お主に。
良い。
お主の今の醜態を、我は赦す。
なぜならそのさまは……ああ、なるほど、我(カタラァナ)の気持ちも少し、やっとわかった。

それは、とっても、“綺麗”じゃな。
ぅ”っ”っっだ”あ”あぇぁ”あっ”!ば”、あば”あ、あ”ーぁ!ぁ”!?ぁ”!
し”て”、どぉ”して”、くそ”、くゾ”、な”んだ”んで”、ぇ”、ぇ”!
ぅえ”、ヴぇ”!?ん、ん”ん”ぅ、ん”っん”ん”

(怒りとも哀悼ともとれるような声も呻きも止まらず、自分を全く制御できないようで)
(目につくものを打ち崩して腕を傷だらけにして、呼吸も整のわず、それでも何かすることだけは止まらなくて、自分自身を責めるように床を殴りつけては額を擦り付ける)

んぅ”、ぅ”!?ぇぁ”、あ”、うぇ” ぉ”  え”
(その悔恨する姿勢のまま動作が止まる、遅れて粘つく汁が床をたたく音がする)
(吐いている、間違いなく)
()
(背中をさすったりはしない。
同情はしない。
哀れでみっともなく、のたうちまわるその心は己自身だから。

果たして己がそうであったら、どうだろう?
時間が全てを解決するとか、皆を守ったのだとか、言われたらどうだろう?

たとえそれが真実であっても赦さないだろう。
だから何も言わない。
ただ、その吐瀉物が爪先にかかるのもいとわず、目の前に傲然と仁王立ちした。
這いつくばる少女の目の前にしゃがみ込み、顎を掌で掴み、おのれの方に向かせた)

理解したな。
――ああ、理解したな。
それが哀しみじゃ。
あるいは非力な己への怒りじゃ。
そのなかでもいっとう強烈で取り返しのつかぬものじゃ。
“特別な誰か”に対する浅ましい執着じゃ。
どうじゃ?
辛くて苦しいか?
 う"ぇ  ぷ ……  う"うぅ" ぅ"っ!

 あ、あだ、あだま" ぐら"、する" で です"……っ
  ガ ガ 、 か だカ" ダ ぉ ぉな"か"ぁ ひつ ひつ、くぅり っ

だい だ、い、だい、だいっ、 ぃだくないのに、ぃだいっ
 か" んな"い、ん"かんない"ぃ、ぃぃ、ぃっっっ!

(混乱とか、悲哀とか、憤怒とか、そういったもので形成された情緒の本流のなかで必死に藻掻くような。おそらく本人自身一度も見せたことのない様相が容易に見て取れる。
 …だのに、涙は流していなかった。嘔吐に対する生理現象としての涙腺が体液を押し出すことはあったろう。でもそれだけだった。
 涙を流せてはいなかった。ただ感情に翻弄されるまま末端に押し出される血流が、眼を赤く染めている。)
わかんなくてよい。
頭はくらくらする。酸素は足りなくなる。
お腹ものども痛くなる。

当たり前なんてものは、感情に対する効率的な解決方法じゃ。
……そこにゆっくりと行き当たれるといいのう。

ほら。
おいで。

(そう言って、両手を広げた)
(ここにきて躊躇を思わせる、隠しきれない間があった。)






(飛び込むでも、委ねるでもなく、拒絶するでもなく。あなたの手を取った。
 手を取って、その腕に額を押し付けて嗚咽を漏らした。
 祈るような姿だ。赦しを求めるような姿だ。畏怖するような姿だ。
 縋るというにはあまりに遠く。自分を保つにはあまりに弱い。
 ただ、ただ、流れ出ない涙をじつとその手で拭うようだった。)
哀れな仔。
(手に温かみを――しかしそれはひどく冷えてもいる――感じ、それを受け止めながら云った。
 絡む指にはその実存を示すように力を籠めて、しかしここで無理に抱き締め温もりを与えることは、逆に追い詰める結果になりそうな気がしてしまって、結局そのまま、告解を受けるような姿勢で落ち着いた。
 それは、とても慣れ親しんだ姿だった。
 コン=モスカの祭司長であった)

 哀れな仔よ。
 今こうして我の手を幽かにでも取った、その勇気を認めよう。
 そして、こうしてお主の心を真に汲み取れず、己の出来る限りの妥協でもってしか解せぬ我の不明を詫びよう。
 偉大なる海に汝の心を……あ、いや、違う、違う。そうでないな。
 こほん。

 ……こうしておると、少し、楽か?
(言葉はでなかった。首さえ振らなかった。)

(あなたの指先に実感という形で力が籠る。それだけ。)
…………うん。
(そう言うと、これくらいは許されるだろうと、クレマァダは己の手と彼女の手、触れあっているところに頭を下げてそっと額を触れた。
頭の場所は、彼女よりもちょっと上。
彼女よりも頭を下げてしまっては、今頑張って伏せている顔を覗き見ることになってしまう。
それはきっと、よくないことなので、目を閉じてただ、彼女のつむじが見えるくらいのところですっと目を閉じて体温を感じていた。
あるいは体温を分け与えていた。
ほんのりとした人の温かさが、そのまま誰かに何かを与えることもあると信じている顔だった)
(…… …… ……不規則な呼吸が、少しずつ一定の間隔に戻ろうとする。
 理性が帰り、慟哭の名残を散らそうとしていた。)

(機械の排熱のように吸って…吐いて… 最適化する。
 指先をねだる手から、震えが収まるとともに握力も弱まっていく。)


ご、めいゎく、を……
(伏せたまま、すんと鼻をすする。えへんと咳をもらす。)

すみません、お見苦しい姿を、みせました。
構わぬ。
(彼女の顔に映るのは、いかめしい表情の少女。
だが、添えられた手は、握られていなくても離していない)

我は……
お主の問いに。
少しでも答えられたか?
(また、呼吸をひとつふたつ重ねる。
 今度は歯車をゆっくりと噛み合わせるように。)

ええ、はい。十分です。
過分すぎるくらいです。いろいろと。
(当初みせたような空元気とも迷走とも苛立ちともいえない、あるいはその全てであったような騒がしさは見る影もない。どこか機械的で無機的だった様相も落ち着きを見せている。)


ありがとうございます。


(またひとつ深く浅く呼吸を重ねる。違和感の所在を確かめるように。)

…………や。
水とタオル持ってきます。
切れてるし、かかっちゃってますので。
……嫌じゃな。
別に我は気にせぬから、もうしばしここにおれ。
良いな?
では良いではないか。
恥ずかしいじゃろうが、存分に恥じよ。
(部屋をぐるりと見渡す)

お主があれをどう思っていたのかなど、もう問うまでもないこの部屋をもう少し見ていたい
やや…… そうですか。
(調度品と、調度品の代替品が破壊されて殺風景になった部屋を見る。)

よくもここまでこっぴどく壊しましたね。ヨハナね。
……そうじゃな。
(祈る姿勢は何でもないように解いて、
でも片手は離さないですぐ隣で座って、少しだけ体重を彼女に預けた。
脚を組んで周りを見渡す)

……泣けないのなら。
泣くことに体力を注ぐことができないのなら、こうもなろうよ。
この部屋はお主の在り方そのものじゃな。

(嫌味っぽい言い方だが、悪意は籠っていなかった)
(重みに意識が向いた。
 この距離の意味を受け取りかねるようだった。)

(優しい人なのだろうと、そう思うことにした。)

(わざわざ自分に対し、ここまで世話を焼いてくれるのだから。
 きっとそうなのだろう。そう思った。)


ですね。掃き溜めのようでもあります。
ここしばらくずっと、ひとつのことしかしてませんでしたから。
堂々巡りでしたから。ええ。
きっと新しいことが必要です。
ああ、それは良い。とても良い。
楽器は殊勝にも続けておるようじゃが、他にも何か……
そう、身体を動かすとかのう。
や…… であれば、運動ついでに遠出とかですか。
ああ、でも、先に片付けもしなければですよね。
あとそう、それから、ついでに机とか棚とか。
新しいものを作るか買うとかしなければならなくて、それから…
(ぽつぽつと言葉を続け予定表を埋めていく)
ふ。
ふ、ふふ、くふふ……

お主ときたら……
急に生き返りおって。
明日とか、明後日の話ばかり……ふふ、んふふふ……
やらなきゃいけないことを探すのはおかしいことですか?
ふ、ふふ……
違うよ。
今、お主(きみ)の心が生き返った(あるきだした)のを感じて。

それが嬉しくて我(ぼく)は、とても嬉しかった。
だから、なら、笑うこともある。
……そう、とても笑いたく(うたいたく)なるくらいに。
やや………

(不思議なものを見るような眼で見返す)

(回答を探して思考を動かすとき、癖のように瞬きを二度挟んで視線が視界の端を探る)

(たっぷり5秒)


……ありがとうございます?
(導き出したのは、もう一度感謝を伝えたほうがよいのではないか。あるいはこうして喜んで貰ったことに対する感謝の言葉。)
うむ。
お主、あれぞ。
我はコン=モスカの祭司長なるぞ。
その我がこうして自ら足を運んだことの重みをよ~~く感じるのじゃぞ?
(そう言って、ほけっとした顔の頭をぺんぺんっ、と撫でるでも叩くでもない、あるいはその両方がないまぜになるような感じで触れた)
ええ、はい。
全然わかりませんがわかりました。
(別段抵抗もしない。しないが極めて素直な返答をする。)
……いやっ。
わかっておらんのにわかったという返事をするのはじゃなあ……
(まだ若干気を遣っているのか突っ込みがひかえめ)
やー…… いや、だってですね。
実際どれくらい偉いのかよくわかってませんですし。
どう偉いのか全然わかってませんですし。
歴史は不勉強なので、クレマァダさんがフォルデルマン何人分偉いのか皆目見当つきません。

見当つきませんが、こうして気を利かせていただいているのはわかりますので。
ですので、わかりません。はい。
フォルデルマン……は幻想の王であろう。
さすがにそこまでとは申さぬがそうじゃなあ……
いや。まあ姉がやらかしてくれたのもあるし、我が今死んだらモスカは後継者に悩むことになるからけっこう……いや、じゃから何の話じゃって。

………そう、そうじゃよ。
お主、チェロを弾くと言ったではないか。
掃除は今良いからお主、今弾いてみせよ。
いいんですか。
やりすぎはよくないとおっしゃってましたけれども。
ヨハナは別に構いませんが。
(ごとごとと、椅子…代わりの木箱と楽器ケースを持ってくる)
やり過ぎは良くないが、やり過ぎぐらいでなければ楽器は上手くならん。
まあ、芸事とは往々にしてそういうものじゃ。常人では歩めぬ道よ。
(そのへんのボロきれを広げて床を覆いながら言った。
自分は汚れてもいいと言うのに楽器が汚れるのを許さないあたりは、さすが誰かさんの妹といったところ)
……なるほど?
(なにかに対して納得をしたような様子)

(木箱に浅く腰掛け、ひざはきっかり90度に曲げる。
 エンドピンはストッパーを置かずとも正確にへその延長線を捉える。
 裏板とみぞおちはしっかりと触れる。
 手際がいい。
 そこからまずは調弦から入るところまで、機械的と言っていいぐらいに。)
(そこは大前提で当たり前なので取り立てて称賛はしない。
しかし少なくともちゃんと聞く気にはなったようだ。
背筋を伸ばして座り、手は軽く脚の上に置いた)
(そこから始まる演奏には……取り立てて印象に残るような特徴がない。
 ごくごく平凡な演奏で、何かに秀でているわけではない。
 盛り場に向かえば聞くことができるような、その程度。
 模範的といえば聞こえはいいが悪く言えば無個性的。
 じつと自分の指先を睨む目が、ワルツを数えて規則的に瞬きをする。)

(転調。それまでより早く、そしてだんだんと早く。
 4小節刻みで自由落下する音は、淡々と一定の足音で床を踏む。
 早く、早く、駆けているはずなのに。
 楽器そのものの音圧に対し、聞き流すにはちょうどいいくらいの存在感。)

(楽譜が『曲頭の早さで』と指示する通り、駆け足は躓くことなく歩きに戻る。
 続けて『Largo』と示されたところで…妙な違和感がでてくる。
 強弱も長短も遅早も、教本通りであるはずなのに。
 常に正しいのに、弦楽器ではなく手回しオルガンを聞いているような。
 あったとしても、気にしないものはさほど気にしないぐらいの違和感。)

(ここまで、機械的なまでにミスはない。
 きっと終わるまでない。)
(凡庸だ。
光るところはない。
あるべきところにおさまるべき、古典的(クラシック)な演奏だ。

名演とは、古典性を逸脱せず個性を生み出すそのせめぎ合いの中にある。
きっと彼女はそう言う何か……いや、もしくは、古典的ではなくても革新的な何かを演奏したはずだ。ただし、革新的ではあれど、人の心に残らない何かを。

それをこうもパッケージして見せたのは誰か?
決まっている。
基礎の練習も、つまらないメソッドも、すべてすべて教えたのだと手紙に書いてあった。

それは、もう遠い昔己が彼女に教えたものだ。
彼女はそれを忠実に覚えていて、過つことなく目の前の娘に伝えていたのだ。

ならば——それこそが受け継がれていくものであり。
それが我はとても嬉しくて)

——♪

(よせばいいのに、鼻歌で旋律を追いかけてしまった)
…なにか変ですか?
(視線を指先から離さないまま問う)

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