PandoraPartyProject

ギルドスレッド

路地裏の影

夢の扉

とある街のとある路地裏の暗がりにそれはあった。
不自然な扉。
不思議な装飾が施された大きな扉だ。

あなたはその扉を不意に開いてしまうかも知れない。

※扉の先は夢の世界です。
※情景描写を入れて夢の内容を書き換える事ができます。
※特にルールは設けませんが、目に余る場合はW・H・パラサイトが一時的に場面を強制力を働かせます。

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「ようこそ。私の世界へ。君を歓迎しよう。」
(仮面の奥からくぐもった声が聞こえる)
(そしてパタン、と本の閉じる音)
(心地良い日差しが指す大自然の中、涼しげな木陰に備え付けられた座椅子。そこに座って本を片手に扉の方を見る、スカイウェザーの男が居た)
(扉の方を見るも変わった様子は何も無い。いつも通り、閉じたままの装飾過多な大扉だ)

………なんだ、気のせいか

(興味を失ったように、再び本を開こうと目線を落とす)
(別に、折角カッコ付けて喋ってみたのに空振った照れ隠しをしている訳では無い。断じて違うのだ。これは軽い余興なのだ。予行練習だ。ああ、その通りだ)
(コホン。咳払いを一つ。予想外の事態に対応するためには冷静であるべきだ)
……むむむ。よもや本当に客人が現れようとはな。しまった、まだ心の準備が……。
(小さくぼやくように呟いた後)
……しかたあるまい。
(すう……)

「ようこそ私の世界へ!君を歓迎しよう!」
「君はピカクスくんと言ったかな?私の名前はW・H・パラサイトだ。よろしく」
「まあ、ゆっくりして行ってくれたまえ。快適さは保障するよ」

(うむ。うむうむ。完璧ではなかったかな!!?ああ。きっと上手く言ったさ!流石私だ!ふふふ、予め本で予習しておいてよかった!我ながらとても格好良かったではないかな!?)
(仮面の奥で若干目元が緩んだかもしれないが当の本人に気付ける訳も無く)
(座椅子に座った体勢で、盛大にドヤ顔のまま足を組んで見せた)
それは道に迷っていた。かつては効いていた夜目が効かなくなり数多の路地が同じように見えていたからだ。
地下迷宮――『ダンジョン』と訳されるものは右を見ても左を見ても似たような石壁ばかり並ぶ。なぜか? 目印となるものがなければ惑いやすいからだ。
即ち、路地の裏も表も判らない深い夜闇に誘われ妖精小鬼が迷い込んだ。

「――宿というのは、ここか?」

寒さを凌ぐため分厚い縫製品に身を包んだ妖精子鬼は『そこ』を宿だと思っていた。
派手なピンクに染まりきった目に縦割れの瞳孔を滑らせて内部を眺め見る。

――驚くべきことに眼前には岩窟が広がっていた。故郷の岩窟だ。
光る花が自然とランプの役目を果たし働き者の鉱夫たちが立派に仕上げた宿場。
あまりにも見慣れた、二度と見ないと思っていた光景に『妖精小鬼』スチール・ピカクスは目を見張る。
見慣れないものが1つだけあった。

「……誰だ。何者だ?」

いやに気さくな鳥人が座椅子に控えているではないか。さては幻影使いか。
そうでなければこの状況を説明できない。
混沌には様々な特性・ギフトの持ち主がいることは周知の事実だ。

「いや。俺が侵入者か。ううむ。すまない。宿だと思っていたんだが」

開けっ放しの扉と路地の隙間、夢現に立ち真っ暗な外と見慣れた内側を見比べる。
寒い。できればこのまま外に放り出されたくはない。
幸いにも歓迎されているが踏み入るにはバツが悪い状況に陥ってしまった。
(場面が変わった。ここは洞窟の中だろうか?花が光っている。不思議な光景だ)
(時としてこういう事は起きる。来訪者に夢が感応し、場面転換が発生するのだ。つまり、これは……)

ふむ。恐らく、彼に由来する土地なのだろうな。

(だが反応が予想外すぎるぞ?どういう事だ。本来なら、「わぁ!すごい!おじさんカッコイイ!!!」ってなる筈だろう?どうして彼は狼狽えているんだ?いや、むむむ)

どうやら驚かせてしまったみたいだな。ようこそ、ここは夢の世界だ。
私はW・H・パラサイト。パリーと呼んでくれても良いのだよ?
(こほん)
さてさて、ここは私の夢だが、君が来た事でどうやら君の夢が流れ込んできたようだ。宿を探しているならゆっくりしていくと良い。ここは私の知らない場所だが、快適さは保障しよう。

(仮面の下でニッと笑ってみせる。残念ながら仮面のせいでよく見えないだろうが)
(左手に持った本をぱらりと開く。客が来るのは実に久しぶりだ。心持ち寂しくなっていた私としてもすこし心が浮き足立っているのを感じる……むう。醜態を晒す事だけは避けねばな)
流れるような自己紹介を聴くためファーの中で耳が小さく跳ねる。
提案された愛称を何気なく復唱する。

「パリィ」

回避力が高そうだな。などと考えてしまう程度には思考力が弱っている。寒い。
名乗った鳥人が咳払いをするうちにもう一度ばかり外と内に目配せをした。
そろそろ鼻の表面も冷たく、帽子のファーを貫通した冷気が耳に到達する頃だ。
誘いを断る理由はない。『妖精小鬼』に毛は一本も生えていないのだから。

「……ギフトを持っている者は大抵、実力者だ。
 そして実力者は大抵、ローレットの者だ。お前を信用しよう」

一歩踏み込み、後ろ手で扉を閉じた。故郷に帰ってきたような気分だが見慣れない者がいる。
故郷のようで故郷でない。奇妙な空間に緊張が走り思いがけず瞳孔以外が黒く染まった。
(ふむ。不思議な外見をしているが……やはり”旅人”なのだろうか。いま目の色が変わったか?よく見えなかったが……彼も何やら不思議な力を持っていそうだと直感する)

ああ、やっと扉を閉めてくれたね。助かるよ。どうも外の空気は寒くてダメだ。私もトリハダが立って仕方がない。
……ふむ。少し気温を上げるとしよう。

(そう言うと、心なしか巌窟の中が暖かくなる。暖房を焚いたような気温の変化だ)
(彼はどうも緊張しているのかな?ならば少しでもリラックスして貰うのが、主としての義務ではなかろうか。ああ、その通りだ)

私かな?確かに私はローレットに所属してはいるが、間違っても実力者なんかじゃあないさ。
信用してくれるのは大変ありがたいがね。
そういう君も、ローレットの所属なのだろう?ただの勘だが、君からはそんな空気を感じるよ。

(座椅子に座ったまま本をめくる。夢の場面転換は簡単だ。だが、彼がこの場を夢に見たという事は何か意味があるとも思える。ここは無粋をせず、見守るのも寛大な主のあるべき姿というものだろう。ふふふ、流石私、出来る主人はひと味違うのだ)

(座椅子の傍らにはいつの間にか、簡易で小さな石のテーブルとココアの淹れられたマグカップが2つ置かれていた)

まあなんだ、飲むといい。身体も温まるだろう。口に合えば良いのだが。
「すまない」
と口にしながらも(鳥に鳥肌が立つのか)と口が緩んだのを素早く正した。
寒さのせいか故郷の幻のせいか気が緩んでいるように思えた。

「『混沌』のごく一般の戦闘員に比べればの話だが――謙虚だな」

『運命特異座標』イレギュラーズは『ジョブ:救世主』の一定認知を受けている。
一般のLv100にも出来ないことをLv1がこなせうる『我ら』は少数の実力者だ。
そのように聞いている。と話しながらテーブルに歩み寄った。手頃な石に腰掛ける。

「俺は『旅人』ウォーカーのS・ピカクスだ。よろしくな」
(暖気のお陰か少し空気が緩んだ気がした。彼も緊張を解いてくれたのだろうか?)
(ならばふむ。彼も今夜の話相手としては申し分無いだろう。なに、緊張されていては私も少少影響されるというものだ)

謙虚か。いや、そうでもない。私は長く生きているが、世のため人のためなどという事に興味が無くてね。日がな一日、ずっと夢の中で快楽を貪るだけの愚かなジジイに過ぎんよ。
そうこうしている内に気付いたら100年も経っていたなど、笑えん話だろう?

(笑えない話と言いながらも笑い話として語るその語調は茶化すようで、その実タチの悪い自虐でもある。聞かされた方は反応に困るかも知れないというのに、この自己愛精神の塊は気付く事も無い)

ピカクスくん。いい名だ。堅い壁をも賢明に掘り進む力強さを感じる。
改めて、よろしく。パリ―とは言ったが、私の事はまあ、好きに呼んでくれたら良いぞ、実のところ、私自身提案しておいてしっくり来ないのだ。まだドクターと呼ばれた方が心地良い。

(ドクター。それは医者。W・H・パラサイトが目指し、そして未だに到達出来ないでいるクラスのことだ)
「なるほど。ローレットに所属こそすれ仕事に興味がない、と」
ココアに落としていた視線を上げ、事実確認をするように淡々と述べた。
「俺様も決して大義のために動いているとは言い難いが周りが動いているならば
鼓舞したくなり――自然と足の方向が似通ってしまう」
ふうっと息をついた。さてここで1つ問題だ。ココアは調理品に含まれるか否か。
答えは否。加工物を用いて作られた飲料は決して調理されたとは言えない代物だ。
ココアは生命力が宿っていても抽出できる状態を保っていない。
「そうだな――……『パリス』のほうが響きが良いんじゃないか」
顎に手を当て、Parasite。Paras。Paris。口の中で名を転がして決めてみた。
「お前さえよければ。Dr.パリスと」
(そう、仕事に興味は無い。誰かの力になりたいとも特に思わない。単に、私が相当言うだけの話なのだ。気が変わるまではな)

ふむ……パリス、か。
(復唱して嘴に手を添える。どうやら本当に新しく呼び名を考えてくれたようだ。何と律儀な奴なのか。しかし、やはり馴染みの無さは相変わらず……だが、しかし)

うむ、いい呼び名だ。パリス。パリス。パリス。くくく、面白い。

(そう、馴染む馴染まないは関係ないのだ。相手が折角考えてくれた呼び名、軽く受け入れてこそ、主としての品格が保たれるというモノだろう!)
(冷める前にと自らもココアに口を付ける。ここは夢の中。現実の世界に干渉は出来ない。つまり、ココアの栄養も水分も実際の身体に摂取される事は無い。だが、飲んだという認知と感覚は確かなものとなる。すなわち、飲めば心は満たされるのだ)

うむ。良い味だ。
(私のチョイスなのだから当然だろう!)
近場の花に手を伸ばし『ライフスチール』ギフトの未発動を悟った。
確かパリスは「ここは夢の世界だ」と言った。そうか。そうだな。
居心地がとてもよく感じられていたが――全て。夢。

「悪い」

予め謝った。というのも「夢だ」と思った途端、場面がどうなるか悟ったからだ。
パリスの出したココアはパリスの力で残るだろうが夢と認識された岩窟は消え失せる。
寒空の路地裏でぴゅうと風の吹く空間になってしまうおそれがあった。
何の事かね?……ああ、気にする事はない。客人をもてなすのは主の勤めだ。

(ピカクスの言葉が意味する事が何なのか。このカラスは、ピカクスが自分に気を遣わせてしまっている事に対して「悪い」と言ったのだと。そう解釈した)

(この空間は確かに「夢」である。だが、夢の中に居る限り夢は思い描く者の思うがままだ。夢だと認識した程度でこの空間が消え失せる程、脆くはない。少なくとも自分はそう信じている。ずいぶんとこの夢の中で過ごしてきた身ゆえに、そうであると当然のように考えているのだ)

ところで、ふむ。気になっていた事なのだが。ここは、君の故郷だったりするのかな?

(気分を変えてみようと、夢が映すこの空間について聞いてみる事にした。座椅子に頬杖をついて見回してみる。夢のせいかは分からないが、どうにも不思議な空間のようにも見える)
「うん。そうだ」

言葉少なに認めるとココアを数回吹き、冷ましながら口に運んだ。
特に問題なく岩窟が残っていることに畏怖や驚愕の入り混じった感情と動揺がある。
言い換えればずいぶんと遅れて能力に驚きだした。混混濁濁と様々な夢が駆ける。
トロッコの走る鉱山、眩い陽光と蔦の森、異種族のバザー、魔石の輝く鍾乳洞。
部屋自体に影響を与えるかはともかく『思い描けば見れる』という事実は
ピカクスの想像力、あるいは好奇心めいた欲望を『自然と』刺激していた。
ふむ……。それは興味深い。
(思った以上に反応が薄い。さて、ならばどうする私。ああ、知っているとも。私は、こういう時にどうするべきかを知っている)

君は一体、どういう種族なのかな?肌は青いが、地下に住む種族なのかな?
服装を見るに、この世界の人々と比べてとても寒がりなのか。それとも、かなり寒い地域に住んでいたのかな?ふふふ、旅人というのは興味が尽きない。この世界ではない別の何処か。つまり、私のような混沌の元来の住人には知り得ない神秘がそこにあるのだからね。
(そう、決まっている!相手の反応が薄いならば、とにかく好奇のままに根掘り葉掘り聞いてみるだけなのだ。……まあ、鬱陶しそうな反応が返ってくれば、少し様子を見るべきかも知れないがね)

(座椅子に肘をついて頬を突く。あつあつのココアをスプーンでコンコン、と叩いてみる。すると、ココアの中から先程までは入っていなかった筈の生クリーム。その塊が浮かび上がってきた)
ココアに手と体を温めてもらうと大きく息を吸い込み深呼吸をした。
「『妖精小鬼』ドウェルプという。お前の言う通り地下暮らしで寒がりだ。
毛が生えていないんでな。特殊な服で覆っていないと身が固まってしまう」
スチール・ピカクスは見た目こそ幼く見えるがはしゃぐ性格をしていない。
何より驚きと緊張に覚めた眠気が徐々に出戻りをしはじめている。
「……」
夢と分かっていても故郷に似た場所。温まった空間と安心の飲み物。
ここに来るまでに消費した体力も考えれば眠るのは時間の問題だった。
ふむ。
(様子を見るに相当疲れが溜まっているようだ。あまり話し掛け過ぎてはいくら快適な夢の中とはいえ、むしろ彼をくたびれさせてしまうだろう。)

そろそろ本格的な休息が必要かな?……何。気にする必要は無いぞ?ここは夢の中だ。わざわざベッドに入らずとも、その場で眠れば夢の深部に運ばれる。つまり、君は何時『寝落ち』ても構わない。という訳だ。
(流石のカラスにも人に気を遣うだけの度量はある。なに、時間はいくらでもある。ここでは望めば羽毛布団にくるまり、その身を幸せで満たすのも一瞬だ。この世界は万能なのだ。難点があるとすれば、この世界はあくまで夢であるということだ。本の内容は読んだ事のある物語、もしくは知っている知識。読んだという経験を持つものばかりである。つまり、知識は外部から持ち込まれねばならないのだ)

改めて歓迎しよう。私の、夢の世界へ。
(夢の世界が、2人の居る洞窟が。心なしか薄暗くなった気がした)

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