PandoraPartyProject

ギルドスレッド

海色の箱庭

【RP】箱庭の夢ー01ー

―毎日、毎日、夢を見る

   陽の光に包まれ地を駈ける自分の姿を

 夢よ覚めるな

   叶わぬ我儘を置き去りに、今日も瞳は開かれた…―



雲一つない快晴。
高低様々な岩が切り立つその場所は今日も変わらずに、海底が見えるほどの透明な波を優しく岩肌に打ち付けていた。
そんな中を悠然と泳ぐ影。岩の間をするするりと抜け、高く跳ねた。
陽に照らされ捉えた姿は半身半漁の少年の姿。
じゃぷんっ、と音をたて再び海を泳ぐ少年の姿はとても楽しげに見えるだろうか。

ここは少年の遊び場。
そして、夢を見れる場所。

≫≫≫

●1:1RP
●約束人在り。他の方の立ち入りはご遠慮ください。

→詳細検索
キーワード
キャラクターID
飛沫の音をあげながら比較的小さな岩に置かれた手、次いで波間から見えたのは紺青の髪を持った少年の姿。
滴る海水と肌にあたる陽射しを心地よさそうに受けながら、少年は魚の半身を岩に落ち着けて空を見上げた。

「今日も太陽が心地いいな」

浮かぶ笑顔は満たされた幸福感の表れ。鰭の先で波を軽く叩きながらご機嫌に鼻歌を零していた。陸地からの来訪者に気付かぬままに。
偶には、故郷の海へ顔を出してみようか。
そう思い至ったのはつい先刻。大海のように青く澄み渡った空を見て、柄にもなく郷愁を覚えた朝のこと。
赴くままに足を向け、気付けば広大な海の原を前に佇んでいた。

波打つ岩の上へ、無造作に腰を下ろす。
目前の海原は、厳密に故郷の其れとは違うけれど。揺蕩う浦波からは、やはり何処か通じるものを感じ取れる。
勉学に家業の荒事、陸地での生活。青年が常日頃の溜め混んでいた疲れを少しでも癒そうと、波音に耳を澄まし目を閉じた、矢先。

ふと、声が聞こえて。
見下ろした先の岩陰。
揺れる波間から、人の頭らしき姿がひょこりと覗いていた。

「…………、あ」

水滴を纏った紺青が、陽の光を受けて煌めいて。”嗚呼、眩いな”、と。
己の自覚すらもないままに小さく零していた声は、感嘆の顕れだった。
身体に染み付いた唄が機嫌の良さからつい口をついて零れる。
リズムを合わせて波間を叩く尾ひれ。
しまいには肩も揺れ始めるのではないかと思った所でふと音の響きに微妙な違和感が混じったのを感じ取り、なんの気なしに後ろを振り返ってみる。

だれかが、いる。

「ッ!?」

びっくりして思わず激しい波音を立てて海の中へと潜った。
透明度の高い水中を泳ぎながら不意の出来事にドク、ドク、と煩い心臓を押さえながら混乱する思考を落ち着けようと深く深呼吸をする。

(…人?いや、でも耳の辺りにヒレが見えた様な気が…)

慌てて潜ったためにしっかりと見れていなかった。
この磯の中で一番に大きな岩の周囲をぐるりと一回りすると、先程いた場所へと戻り岩陰に身を寄せながらゆっくり、ゆっくりと鼻の頭から上だけを海面から覗かせる。
まさか、先客が居たとは知らなった。
唄まで口遊びながら、随分と寛いでいるように見える少年の姿。
もしや、此の磯は彼の領分なのだろうか?

随分と上機嫌なように伺えるし、このまま居続けては邪魔になるかもしれない。
少年に見つからぬうちに離れたほうが良いだろうと。
徐に腰を上げかけた、ところで。

――ばちり。

「あっ、おい……っ!」

目が合った、と思った次の瞬間に。その姿は波間に消えていた。
ざぶんと盛大に上がった水飛沫を前にして、行き場を失った手が力無く空を掻く。
……驚かせて、しまった。
 
「…………」

やらかした、と苦虫を噛み潰したような顔で俯く。
一連の流れは、タイミングが悪かったと言えるかもしれないが。
……元々、人付き合いに不慣れな身。もう少しやりようがあったのではないかと、後悔ばかりが頭を過る。

己の不甲斐なさに、ほとほと嫌気がさして。
はぁ、と深くため息を吐いた。
――俯いたままの視線は、再び顔を出した少年の姿を捉えてはいない。
咄嗟の出来事につい海の中へ潜り込んでしまった。
驚いただろうか、あまり訪問者の望めないこの場所。
話し相手になり得るかもしれない人を驚かせ、引き返させてしまうのは本意ではない。
まだいてくれるといいのだが…

そう思いながら海面に顔を出し先程人がいた方へ視線を向ける。
――いた。
驚きから動けずにいたのかその人はまだそこに佇んでいて、何かを悩んでいるのかむずかしい顔をして俯いてる。その為、自分にはまだ気付いてない様だ。

ゆらり、ゆらりと少しずつ近づいていく。
音は立てない様、静かに。
そして声が届くであろう位置まで辿り着くと、少し息を吸って…

「なあ」

ちょっとした悪戯心も込めて、少し大きめの声で。
 
「――っ!」

びくり。
考え事……もとい、一人反省会に耽っていたからか。
突如として掛けられた声に、少しばかり大仰に肩を揺らして。
ばっ、と勢いよく音の方へ顔を向ける。

視線の先。つい今し方見えなくなっていた紺青が、先よりも近い位置に浮かんでいた。

――あれ、は。先の少年か? しかし、逃げたはずでは。

驚きに引き摺られた混乱で、とりとめもない疑問が脳裏に浮かんでは過ぎていく。
ばくばくと高鳴る心臓を抑えようと、左手が無意識に胸の上へ当てられ。
もう片方の手は、常に備えてあった得物の杖を握りしめる。
傭兵家業として叩き込まれた故の反射的行動。敵意はなく、只の精神安定のようなもの。

……とは言っても。
驚きで目を見開き強張った表情は、傍から見れば攻撃的とも見て取れて。
本人の意思からかけ離れたそれは、どうにも物騒極まりないものだった。
どうやら思っていた以上に驚かせてしまったらしい。
声を掛けた途端に大袈裟だと思えるほどに肩を揺らし武器に手を掛ける目の前の男に、こちらも慌てて両手を上げた。

「わああ!待って待って!攻撃しないで!」

動きに合わせて海面が飛沫をあげながら光る。
何も持っていない、敵意も危害を加える意志も無いという事を速やかにアピールしなければ、誤って攻撃されてしまいそうな程青年の表情は真剣なもので。
きっと攻撃をされてしまえばこちらがやられてしまうのは目に見えて明らか。
海に潜って逃げようにも同じ種族ともなればそれも無意味だろう。故に、今は攻撃の意志がない事を必死に伝えるしか術がなかった。

「さ、さっき目が合った時ビックリしたから、ちょっとだけ、俺も驚かそうと思っただけなんだ…!」

ちょっとした悪戯のつもりだったんだと、尚も両手を左右に振りながら訴えかける。
目の前の青年、冗談抜きで顔が怖いらしい。

キャラクターを選択してください。


PAGETOPPAGEBOTTOM