PandoraPartyProject

ギルドスレッド

美少女道場

RP『ポンペイ最後の日』鉄帝公演

 ――かくして、悪しき魔種アーベイシーズは神の怒り……ベスビオ火山の噴火により滅び去りました。
 狂乱に飲まれたポンペイの街も今は静かに死の灰が降り積もるばかりです。
 その様子を小舟の上で奴隷のニディアだけが感じていました。
 盲目ながらも彼女の素晴らしい感覚はチリチリと肌を焼く熱気と灰の匂い……或いは滅びの匂いを正確に感じ取っていたのです。
 恐ろしくなってニディアは主人のグローカスを探す様に手を彷徨わせましたが、すぐに諦めて船の縁を掴みました。
 きっとグローカスの横にはアイオンが居るに違いありません。
 この船が陸に着いたら、グローカスが国元に帰ったら、二人は結婚してしまうでしょう。心を狂わせる薬さえも二人の愛を引き離す事は出来なかったのですから。
 ニディアは残る力を振り絞って立ち上がり、磯の香りが濃い方に踏み出しました。

「さようなら、グローカス様」

 水音に船を漕いでいた船頭が振り返りましたが、ニディアの体はとても小さくやせ細っていたので魚の跳ねた音だろうとかたずけてしまいました。
 小舟は陸地を目指してゆらゆらと進んでいきます。
 やがて水平線から日が昇り、疲れ果てて眠るグローカスとアイオンを照らし出しました。

→詳細検索
キーワード
キャラクターID
原本には、奴隷の父親を買い戻すために、剣闘士として戦う男がいたらしい。
唯一の肉親を自由にするためなら命だって賭けてもいい……そういう愚かな男だ。
物語の中では大きな意味を持たない端役だから、写本でも存在を省かれていることが多いんだ。
そいつはメインイベントである獅子とグローカスの対決、その前座の試合に出て……結局死ぬんだと。
父親は最初から最後まで「他人の命を奪ってまで手にした金などいらない」「私は今、奴隷でも穏やかで幸せにいきているんだ」なんて、男の稼ぎを否定し続けるんだ。

……で、こっちは野心と力を重んじる国柄だろう。
ここでならその男を………報われる、とまではいわないが。
もう少しいい結末で演出してくれるんじゃあないか、と思ったんだがな。
実際は尺の問題もあって省かれていた。

努力の全てが報われろとか、頑張った分だけいい結果をとは言わないが………
生前も死後も、その実力と成果に対し、存在を認められなかったあの男の結末を思うと。
ただそこに照明が当てられなかっただけでいなかったことにされた男を思うと、僅かばかりの同情を抱かざるをえない。
(ぱち、と睫毛が蝶の翅のように上下した。
 今まで何度か観劇して感想を語らった中でこの様な事はあっただろうか。
 一人の登場人物に向けて心を移すような事、それも報われて欲しかっただなんて)

……だったら。
救ってみたらどうだ?
お前ならそいつにスポットライトを浴びせる事だってできるだろう。
(黄金色にゆれる瞳が、細く細くあなたに向けられる。
 言葉の意味を吟味し、しばしの思索に揺れた。)


そうだな。
あいつらにやらせてみればできないことはないんだろう。
だが…ボクにはその剣闘士の願いそのものは理解できても、共感はしかねる。
家族や身内に対する情は、利用するものであって共感するものじゃあない。
父に認められるような結末になった途端、ボクはそれを「こんなものか」と思うんだろう。
それに、考えなしに命を張る様なバカを救う術を、ボクは知らん。
捨てれば楽なくせに捨てる選択肢を端から捨てるようじゃどうしようもない。
……だがまぁ。やってみろと声をかけるだけならタダか。
検討はしよう。
そうするといい。

でも、なんというか、初めて聞いたな。
作品を読み解く方ではない、お前の個人的な感想みたいなの。
(……どこか嫌気を含んだ視線が、窓の外へ向いた。)

意味がないからだ。
個人の感想や感傷なんざ、口にしたところで何の益にもならない。
事実そのものと違い、口にした時点で内心とは別のものになるから、不要なすれ違いを生む。
だから口にする必要もない。必要がないなら言うこともない。
……今まで吾が感想を言うのを聞く事が無意味で嫌だった?
そう。
(一呼吸置く。
 惜しむ様に軽くワインを口に含んで、酒気交じりの呼気を吐いた。)

我々の距離はすれ違えるほど近くはないよ。
事実は絶対だが、そこから組み立てられる推測は妄想だ。精神に依るものは特に。
お前はきっと勘違いしているし、吾は何もわからない。
吾は何もわからないんだ。

何を好むか好まざるかも、どういう考え方や感情で動くのかも知らない。
だから例えその場限りのものであったとしても手がかりが欲しい。
だって、お前、吾を支配するんだろ。
仮に自主的にそうなったとして捧げられるものがまるで見当違いなものだったらきっと困るぞ。
絶対困る。
(ふつ、とその発言を鼻で笑う。)

………それらしい理屈を並べるじゃないか。生意気。
じゃあ、逆に聞いてやるがな。
お前はボクの何になる心算でそういう提案をしてるんだ。

(ぬるりと揺れた瞳が、横目であなたを睨んだ。)
吾もお前を支配してみたいなって。そう思うようになった。
蝶よ花よと愛であげて甘い汁を啜らせてやる、と大言壮語を吐くには自信が足らぬが……それでも吾が解決できることは多いだろう。

喜べよ。
支配「すべき」ものは全て献上されてきた吾がお前の価値を認めて支配「したい」と申しておるのだから。
ふーん……

(退屈さ。不愉快さ。そういう色味をまとった声音を被った、言葉にもならない返事。)
 
なるほどなぁ。
どうにも最近のお前は距離感がおかしいと思ったら、そんな心算だったか。

いくら何でもひどい話だな。
いままではこっちを見下げて物を見てた、みたいじゃあないか。ん?
言葉の知らない奴だとは思っていたが、物の価値を見る目がないとまでは思ってなかった。

(怒りと苛立ちの色を段階的に強めて、言葉にして吐く。)
(垣間見えた)

安くぁねえぞ、ボクは。
お前が思っているよりもずっと、ずっと、ボクの価値は高ぇんだよ。

(微笑っている)

(挑発的で、獰猛で、ギラリとした歓喜を帯びた微笑)

欲しけりゃ本気で来い。死に物狂いで来い。
その気がないとか、安く買い叩こうとか、そういう考えで挑んでくるなら、とっとと降りろ。

(漸くここまできたと、かかってこいと、同胞に突き立てる牙のように微笑んだ)
ボクと同じ勝負をするってことは、そういうことだ。

(そう言い捨てながらボトルを手にする頃には……
 先ほどの微笑は、影が落ちるように引っ込んだ。)

(いつものような苛立つ様子が、黒い背景に紺を纏うように、その微笑をむっつりと覆っている。舌打ち混じりに取られた怒りの格好が、尾を引く余韻のようにとぐろを巻いて、赤い雫ごと影を飲み干している。)
(視界が急に鮮やかな色合いを帯びたように感じた。

 今まで明確に見えていたと思っていた世界のなんと曖昧だったことか。鈍い色彩は今や目を刺す様に艶やかで、はっきりとしたコントラストをもってそこにある。
 鮮烈な輪郭が指先や小さな肩、そしてとりわけ顔の周りを縁取って、そこから発せられる信号をより明確に感じ取る事さえ出来た)

(微笑った)

(理解った)

(怒っていても困惑していても、経験則でしか推測の叶わない精度の低い磨り硝子越しの世界が割れて、色鮮やかで暴力的な虚妄の世界が雪崩れ込んで来たのだ。)

(そんな事、理解してしまうなんて間違いだ。と異形としての証が一欠片、末期の叫びを残して消えた)
お前の人生を滅茶苦茶にしてやる。

(この女は本気になればなる程に顔色が変わらない。
 酷く短い宣言を、しかし、それでも言外に染みだす執着を隠すことなく言い切った)

(青く澄んでいた瞳が、暗い渇望の色を乗せている)
あ?

(どういう意味だ、と口を開きかけて噤む。)

(秘密という、暗い、暗い、金色の覆いの奥から、あなたをつぶさに観察する。精査する。)
………喧嘩なら買ってやる。
いつでもかかってこい。やれるもんならな。
今日はしない。

(瞳を覆っていた渇望が瞬き一つで溶け消える。
 澄んだ星空色の瞳が戻ってくる。その奥に目覚めたばかりの欲望を隠しながら)

今日はお前を祝いたくて呼んだのだから、しない。
で、今日はボクのとてもめでたい日という事らしいが。
この後はどうもてなしてくれるんだ。
まさか一番盛り上がる時期から1日外した日の劇を観ておしまい、ってわけじゃないよな?
(無論、冗談である。比較的満足している。悔しいことに。)
これ以上やったらまた動揺して宝石投げつけちゃうだろ。
誕生日らしくケーキでも食べに行くか?蝋燭が用意できるかは分からないが。

(既に三つ目のケーキを切り崩しながらのたまった)
冗談だ。
それにケーキは重いから入らねえんだよ。3つも入んねえよ。
ていうか頼んだのも食ってるのもほぼお前じゃねーか。
譲ってもらう形か?????
まあ、いいけどさ。一口くらいは貰うけどさ。
(そういいながら指先はフォークを探してテーブルを辿る)
はい。

(貴方の指先がフォークにたどり着く前にクリームとジャムの乗ったスポンジが差し出される)
お前……………

開き直った結果、いよいよ遠慮がなくなってきたな。
扱いやすくなっていいのでは?
ほら、早くしないと零れる。
それは違いない。

(すいと姿勢を前へ傾け、ケーキの欠片へ……

 不意に伸びた手が、あなたのフォークを握る手へと添えられる。

 それから…)
(……それからもう片方の手が、そのフォークを取り上げようとする。)
……………?

(フォークを持つ手は動かない。接着剤でくっついているのかと言うくらいにぴくりとも)
あっ

(それなのにややあって取り上げられたりするのだ)
………。

(貴方が咀嚼する様子をじっと見ている。
 子供が蝶々を観察でもしているような、そんな気配で見つめている)

美味しい?
この前の土産物の時も甘味だったな。甘党か。
(フォークを返す)
うん。
でも、言うと贈り物が甘いものばかりになるから秘密。

(受け取ったフォークでまたケーキを切り崩し)
そう。覚えといてやる。
(またボトルを傾け……もう空になってしまうそれを、惜しむようにグラスに満たした)
……うん。

お前はいつも赤ワインを飲んでいるのな。好きなの?
別に。酒なら何でもいいが、だが安心はする。
いわゆる偽薬というか…気休めみたいなもんだ。
そっか。

(こちらのグラスは既に乾き、皿の上のケーキも残り一切れと言ったところで)

この後はどうする?河岸を変えてもいいが……。
構わないぞ。
どうせ明日も執務はないから、終日までもてなされてやってもいい。
よし。では、遅くまでやってる所に行こう。
ワインは少ないが、鉄帝の酒は色々置いているんだ。

(文字通り終日連れまわすつもりで立ち上がった。
 そこまで酒に強いという事もないが、適当な所でセーブしながら……夜中くらいまでは引っ張るかもしれない)
なんだっけな。ウィスキーとかだっけなぁこっちは。
得意ってわけじゃないが覗いてみるか。

(その日、セーブなどせずに飲み続けた。理性的に酔い散らかしながら。)

キャラクターを選択してください。


PAGETOPPAGEBOTTOM