PandoraPartyProject

ギルドスレッド

潮騒の従者斡旋所

レモネード・スタンド

屋敷の前、道沿いにテーブルひとつ。

【lemonade】

テーブルには、置かれたカップと積まれた黄色の果実たち。
テーブルの向こうでは、椅子に寝そべる海種が一人。

「如何ですか、一杯?」

眠そうな目を擦りながら、彼女は伸びをして起き上がった。


※春先のとある一日を舞台にしたRP気味の雑談スレッドです。
※Remoraがレモネードを売って小遣い稼ぎをしています。
※何方でも、何人でもご自由に。

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人には得手不得手がありますから、それは恥ずべき事ではありません。
むしろ、恐怖を覚えなければならない場面でそれを感じ取れるというのは、
この世界に限らず、生きていく上で必要な事だと私は思いますわ。

(そのお話の意図を汲んでか汲まずか、背もたれに寄りかかれば大きく息を吐いて)

ええ、ええ。おそらくこの世界には様々な思惑があるのでしょう。
他の世界の事など顧みない、そして元々の住人にも知る由がない、果てのない何かが。

されど、その思惑に必ずしも乗る必要はないのです。
折角ですし、観光とでも思って素敵な日々を過ごしていただければ。
思惑に乗るのは、あくまで「ついで」であっても良いのです。

この世界の古参たる私が言うのですもの。間違いはありませんわ。
そして、その願いは叶いましょう。

少なくとも、私は此処にいますもの。

……まあ、留守にすることも往々にしてございますが。

(こともなげに、伸びをしながら、海種の彼女はそんなことを口にするのでした)
いのちの取り合いをするような戦いじゃあ、なかったんだ。
それでも。この剣は、誰かを殺し得るものなんだ、って。
……おかしいね、きれいなものがたりだけが英雄じゃないんだって。そのときにわかったの。

(けれど、其れが生き物として極自然な事であると柔く諭されれば、ありがとう、と幾分肩の力を抜いて)

ふふふ!
そう。そうだね、ずうっと、いつも『勇者さま』でいる必要はないんだ。
僕は旅人。よその世界からやって来た『お客さま』でもあるのだから。

(悲しいさだめだと、何故自分がと。旅人諸君の中には嘆く者も勿論居るだろう)
(嗚呼、然れど――自分は、涙を流すよりも、)

まいにち、たくさん。笑っていたいな。
このせかいのすてきなものをたくさん知りたい。
うつくしいせかいを、果てのないそらを、見た事もないようなたからものを夢見たっていい。
そう思っているとね。ふしぎと、あしたが楽しみになってくるんだ。
(ぱちり、ぱちり)
(齎されることのはの意味を理解するに至るまで。ゆっくりとした瞬きが、ひとつ、ふたつ)

……おねえさん、僕のおともだちになってくれるの?

(屋敷を仰ぐ。彼女が其の主人であるならば。彼女こそが『おひめさま』なのではないかしら、なんて)
(好奇と期待、ふたつをひとみに宿して。胸を高鳴らせ乍ら、そわそわ、娘を仰ぎ見て)
(胸に手を置いて、歌劇の台詞のごとく言葉を紡ぎ出せば)

ええ、ご友人をご所望なのでしたら。

ちょうど私も、様々な世界の話を伺いたかったところで。
時代の潮流に飲み込まれぬよう、海種も世を泳の練習をかかせません。
私も、是非この出会いを大切にしたく。

私はRemoraと申します。発音が面倒なので、レモラ、で結構です。
此処に住む、いわゆる従者でございますわ。
(春風に帽子を抑えながら、簡単な自己紹介を舞う花びらと共に)
(肯定に、快諾に。見る間に頬をばら色に染めて、わあ、と歓喜の声を上げ)

レモラ!ああ、それってとってもすてきだ!

(そうして娘が名乗りを上げるならば。ちいさな冒険者もまた己が胸に手を当て、宛ら舞台役者の如く。仰々しい所作で以って、自らの名を音に上らせた)

僕の名前はサンティール。サティって呼んでもらうのがすき。
ふふふ!よろしくね、レモラ。

(自己紹介の折、娘の口から零れ落ちた肩書き。はて、と首を傾ぎ乍ら)
(従者。其の肩書きを冠するものには、幾つか役割が有った筈)

そうなんだ!僕、レモラがこのおやしきのおひめさまなのかと思っちゃった。
メイドさん、執事さん、騎士さま……ね、レモラは、どんなおやくめなの?

(大凡ちいさな冒険者の人生の中では身分のいと高き人々とは縁が――否、ある)
(記憶の中の『従者』を辿る。然し娘の身形からは其の何れにも当て嵌まる役職の検討が付かない。彼女は割りかし自由な気風の主人を持つのだろうか?)
サンティール、ええではサティ様。

私がお姫様など、とてもとても。
今はこの屋敷で自由を愛する身でございます。
例を出された中で一番当てはまるのはメイド、でしょうか。

お仕事の内容はその人と日によって違いますが、
主人……依頼者たる方をお手伝いする仕事ですね。
お茶を淹れたり、お出かけのお供をしたり、厄介ごと……おつかいを済ませたり。

(自らの職務を指折り数えながら、おそらくは「従者」らしからぬ態度で)
中々に理想の主人というのは見つからないものですね。
城勤の者は、よくも退屈せず、一人の主人に仕えつづけることができるものです。
……レモネード、そう言えばのどが渇いたわね。
(物陰からぼろぼろのフードを被った女が人の集まるテーブルの方に近づいていく)
はいいらっしゃいませ、いらっしゃいませ。
涼しく美味しいレモネード、一杯につきコイン一枚ですよ。
おやまぁ、商売上手じゃないか。何色のコインだったらおまけがもらえるんだい?(コインを握った手を差し出す)
街の商人に比べれば下手の横好きと言った程度で。
そうですね、綺麗であればあるほどオマケとして笑顔をお贈りしましょう。

あとは……幸いこの辺には詳しい身ですので。
見たところ旅の方でしょうか?
知りたい情報があればお教えしますよ。
十分商売上手じゃないのさ、ここは私が負けておくかねぇ。ほら、ピカピカのコインだよ(銀色の艶のあるコインを渡す)

斡旋屋かと思ったら情報屋もやってるのかい。
そうさねぇ……顔を見れば一発なんだけど、探してるのは男だよ。
薄ら笑いの張り付いたような奴さ。
まいどありがとうございまーす。
こちらの笑顔はオマケとなっております。
それと、レモンスライスもオマケしておきましょう。
(コインを受け取れば、また琥珀色の液体に満ちたグラスを手渡して)

なかなか、斡旋屋だけだと実入りが足りないものでして。
良い小遣い稼ぎになるのですよ。

しかし、男の方ですか。沢山いらっしゃいますからねえ……。
特に薄ら笑いなど、つまらない貴族が最も得意とする表情で。
ふふ、おまけとどっちにコインを払ったのかねぇ私は?
(受け取ったグラスを軽く揺らしてから一口)
んー……酸っぱい。

おやおや、稼ぎが少ないのか浪費が過ぎるのか。
ご利用は計画的にだよ。

貴族、貴族かぁ―――似合いそうだが、その貴族を食い物にしてる方がもっと似合う気がするね。最近急に羽振りが悪くなった貴族とか近くに居ないかい?
(名を呼ぶ声に、ありがとう、と嬉しげに眼を緩めて)

メイドさん!

(けれど彼女の肩書きは、自由な服装に囚われない)
(続くことのはを受ければ彼女の在り方の鱗片が垣間見えたのか、レモネードを合間に飲み乍ら頷いて)

そうなんだ。僕、おやしきやおしろの専属の付き人しか知らなかった。
レモラみたいにいろんなひとのお手伝いをするひともいるんだね。

(記憶の中にある『従者』。其れは多くが盲目的なまでに主に忠誠を誓う、愛に満ちたものだったが)
(成る程彼女のような特定の主を持たぬ者も居るのかと、考え新たに、感心した体で)

レモラの理想的なあるじさまって、どんなひと?
(其処で気付く。席に着く大柄の女の姿に、ぱちぱちと目を瞬かせて)
(尖った耳。恐らくは自分と似たような。或いは、此の世界に息衝く幻想種の類だろうか?)

こんにちは!

(告げて、ちいさな冒険者は屈託なく笑った)
さあて、聞き耳はそばだてて居りますが、全て「ギルド」とやらの依頼で全て片付けられてしまっていて。
(帽子のずれを直すように、やや深く被り込むと)
優秀な組織ですね、いつのまにイレギュラーズという集団は。
と、まあ回りくどい言い方でしたけれど価値になりそうな情報は私の方ではなんとも。
ギルドに関連した依頼が届いているやもしれませんが、それも可能性に過ぎないお話で。

ただ、まあもしかしてということもありますし。
行くだけ行ってみるのもヒレ……ではなく手というものでしょうか。
(一方、手を振りながら冗談めかして)
ああ、私はこの世界でも変わってるとよく言われますよ。
どうやら変わっているらしいのです。
同じ方だけに仕え続けてこそ、と言われてますけれども……どうにもピンと来ないもので。
出来事は多い方が面白い、ならば出来事を多くするためには多くの方と出会う方が好ましいと。

そのおかげで固定収入は少なめですの。
だからこうして露店などを出している次第ですわ。
(声を掛けられてゆっくり振り向くと、フードの奥で瞳の光が瞬く)
はい、こんにちわ。元気に挨拶ができるいい子だね、お邪魔させてもらうよ。
(フードからのぞく口元がニィと笑みの形に変わる)
やっぱりそこになるよねぇ。
あんまり目立ちたくはないけれど、いつかはいかないとラチが開かないか……。
(「はぁ」と小さくため息をついて)
そう言うんアンタもそのギルドに出入りしてそうじゃないか、手が……ヒレが広いねぇ。
名指しで依頼出来る時には指名してみようか。
体躯の小ささは手数でカバーがモットーでして。
私にご依頼いただける場合は、誠意と対価さえいただけるのでしたら、なんなりと。
家事からお供、家庭教師から吟遊詩人の真似事まで勤めて見せましょう。
(自信たっぷりに微笑むとストローに口をつけて)
まあ、イレギュラーズというだけで目立ちますもの。有名税というものでしょうねえ。
へぇ、何でもいろいろ出来るんじゃないか……そうだねぇ。
(レモネードの面に映る自分の姿を見て)
とりあえずは服でも買いに行きたい所だね。着たきり雀の旅ガラスじも、街ん中じゃ目立ってしょうがない。いいお店に連れて行っておくれよ。
ごあいにくと。
本日はレモネードを売る日ですので日を改めていただければ。
だって、貴重なおやすみですもの。
むやみに歩き回りたく無いのです。
(椅子の背もたれに寄りかかって、大きく伸びをしながら)
お休みか、それじゃしょうがない。休みに動き回ると損をするからね。
私も久しぶりにのんびりしよう。
(ぐいーっと体を伸ばすと、とても大きい)
ふふふ、そうなの?
でも、『ふつう』の枠から飛び出ているひとは。
総じてみいんな、ひとより優れたものを持っているっていうよ。

(だからきっと。彼女の在り方は特殊であろうと、彼女は『よき従者』であるのだろうと)

僕もね、いろんなことを知りたくて。
いろんなひととお話しがしたくて、こうして街を探検しているんだ。
それが、だいせいかい!
こんなにすてきなおともだちが出来たんだもの。

(お店やさんも似合っているよと、笑って)
えへへ。ほめられちゃった。

(挨拶はきちんと。其れは両親の教えでもあったから、なんだか誇らしい)
(目深にかぶったフードのお陰で、女の表情全てを窺い知る事ができない)
(年の頃は、種族は?気になりはしたけれど、あまりジロジロ見るのも不躾だろうと、首を傾ぐだけに留め)

おねえさんは、お洋服を探しているの?
大通りに、安くて仕立てのいいおみせがあるよ。

(其れも、探検の成果なのだと、胸張って)
まあ、優れているだなんて。

色んな方は色んなところにおりますからね。
ええ、きっと大正解でしょう。
自ら思考し、行動に移せると言うのがどれほど難しいか……
それを考えれば、私が花丸を差し上げても良いぐらいです。

(上機嫌に、伸びの姿勢から戻すと微笑みと共に拍手を送りながら)

おや、お洋服についてお心当たりが。
ほうほう。詳しいじゃないかお嬢ちゃん。
(目線を合わせるようにしながら纏ったボロの外套の裾を持ち上げる)
私はこの通りデカいからねぇ。仕立ててくれる所じゃないと服もままならないのさ。
良かったらその店のこと教えてくれるかい?
ほんとう?ふふ、うれしい!
知らないせかいにひとりで踏み出すことは、心細いこともあるけれど。
それでも、毎日があたらしい出会いに満ち溢れているから、僕は怖くはないんだ。

(拍手を受けて、嬉しげにえへんと胸を張り)
(仕立屋を知っているかと問う声には、こくこくと何度か頷いて)

ここから大通りに出たところの、東側の通り。
柊通りの三軒目。ミモザの花が描かれた看板の、ちいさなおみせだよ。
髭がもじゃもじゃのまっしろいお爺ちゃんが、お婆ちゃんとふたりでやっているの。

(仕事は丁寧、仕立ても良い)
(採寸から誂えて貰うまでを、手頃な価格で提供してくれているのだと添えて)
(自分の衣装も其処で頼んだのだと。服の裾を摘んで見せ乍ら)
それは、僥倖。
誠に丁度良い巡り合いで。
サティ様にご案内いただければ、そちらの方も助かるのではありませんか?
早速の、冒険の成果でいらっしゃいますね。

(笑うと、懐から手帳とペンを取り出して)
ふうむ、私も機会があれば、何か仕立てていただこうかと。
そう言えば……これだけ話してるんだ。名乗っても良いかもしれないね。
あたしの名前はカーネリアン。ま、好きに呼んでおくれよ。

大通りの……東側の……の?(指を折るのを二つ目であきらめる)
近くに行けばだいたいわかるだろう、メモを取ってる子もいることだし……目印は髭のおじいちゃんで。
冒険して探してるのかい……色々詳しなりそうだね。
(うんうんと頷いて)
ああ、暑いなぁ。
ここで行き倒れても、ただの干物だよね。それはあんまり綺麗じゃないなあ。

(例年からすれば暑いと言って過言でない陽射しを受けて、とぼとぼ歩く海種ひとり。
足どりは明らかに辛そうなのに、笑顔なのはやせがまんなのか何なのか。)

……あ、のみもの。
れもねぇど? 何だろ。何でもいいや。飲めるお水なら。
すみません。くださいな。おいくら?
はいはいいらっしゃいませ。
ええ飲めますとも。飲める美味しいお水にございます。
お題はお安く、コイン一枚になりますよ。
(水の入った瓶を掲げると、その透明さをアピールするかのように)

海種にとってはなかなかに強い日差しですもの。
さあさあどうぞ遠慮なさらず。
へえ、そんなに安くていいんだ。真水はでも、そっか。近くにあるんだものね。価値がわからないから、素直にお勉強させてもらうよ。
(くすくす笑ってコインを一つ渡す。
言葉の端々から伝わってくるのは、海種の中でもとりわけ水辺、それも海の暮らしに慣れきっているらしい人間の価値観。
体温調節に失敗しているところなど見てすぐわかる地上シロウトぶり)

うん、陽射、つよいよね。こんなにだとは思って無かったよ。息はできるはずなのに、息が詰まっちゃいそう。
ところで、踏み込むようだけどおねえさんも海種だよね。それか、魚みたいな旅人のどっちかだけど。
ええ、海種にございます。
ああそうか、旅人という可能性もあるのですね。
今ではすっかり増えましたもの、私も間違えてなかったようで何よりです。
(慣れた手つきで、琥珀のシロップに透ききった水を注ぎながら)

暑い日はぬるま湯の中を泳がされるような気分ですものね。
陽射しを防ぐには帽子があると良いのですけれど……はい、お待たせしましたレモネードです。
ぬるま湯ねぇ……そうすると、風呂なんかはあんたらにとっちゃ鬼門なのかね
(グラスをゆすりながら2人を眺める)
お湯は辛いよ。寒いのが平気なのは暑いのが苦手ってことだもの。
例えば熱湯でべろっと皮が……
わ。綺麗。
(ひたひた、音がする。衣服はなめした皮を基材にした耐水性の高そうなもので、それが体毛の少ない身体と干渉し合ってどうにもぴちぴちと海産物の風情。
濡れそぼったような光沢が黄金色の液体を淡く照り返していた)

綺麗だね。
こんなに綺麗なものを、食べてしまうのは許されることなのかな。
これがコインいっこ?
……飲んでいい?
あら、私はお風呂は好きですよ? 一方炎天下は嫌いです。
日に焼かれるのも、例えとして服を着たままぬるま湯を歩くのも遠慮申し上げたい次第で。
(陽を見上げ目を細めれば、大きな帽子をやや深くかぶり直して)
(視線を戻せば半眼のまま、異なる色の双眸が、異なる同胞を楽しげに見つめながら)
海種でも個体差があるのでしょうね。

ええ、綺麗でありましょう?
綺麗な花は綺麗なうちに摘んでしまうのも、一つの鑑賞の在り方です。
永遠に残せぬものならば、自らの記憶にしてしまうことも許される保管方法でしょう。
ええ、どうぞ。
そうだろうね。
僕らは種と呼ぶにはあまりにもおおざっぱだから。
そういうところもまた、海種らしいといえばそうなのかもしれないけれども。

永遠に残らないものが永遠を求めるのはとても綺麗だね。
そうだよ、記憶は誰かにとっての永遠なんだ。
だから僕も飲んでしまわないと。

(歌うように/ひとり勝手に喋り/高じて次第に身体が揺れて。
 手に持った杯を高々と掲げると、蒼い少女はそれを日光に透かした。
 かわいい小鳥を愛でるように。幸福の一瞬を切り取るように。目を細めてから、口にやさしく運び込む。
 猫が鼠を弄ぶように。蛸が貝を搦め獲るように。なにかとても大事なものを飲むように。冷たい喉越しと酸味にびっくりしたように目を丸くしてから、くすくすと笑い、美味しい! と悦びの歓声を上げ、グラスを胸に抱くようにして両手で持って)

れもねぇどを どうぞ
すっぱくて あまい
つめたくて こわい
れもねぇどは いかが
すぅとこころに しのびよる
ひゅうとからだに とけてゆく♪

(まったく脈絡のない歌い出し。大した歌詞は歌っていないのに、何故だかその味が想起されたかも知れない)
色々なんだね。ま、みんな一緒より飽きなくていいさ。
長生きすると色々飽きっぽくなっていけない。

おお上手い歌じゃないか。
(上機嫌にグラスを飲み干し)
ええ、種としての括りは大雑把で大変結構。大雑把だからいいのです。
変に堅苦しく仕分けをして、その結果はみ出たものを弾く必要がございませんもの。

(目を瞑って指を組んで歌に聴き入りながら)
おや、もしかして本職の方でいらっしゃいましたか。
歌い出しが堂々としてらっしゃる。
聞いていて感情というより、感触が共有されるような……不思議な感じです。
れもねーど、れもねーど。
うぅん。もっと何か欲しいな。
この甘さを僕の歌では伝えきれないや。

うん、だから本職なんて。とても。まだまだだよ。
僕は歌。歌は僕。嘘の歌が歌えないから、お仕事にはならない。
カタラァナ=コン=モスカの歌には、いつも足りないものがあるの。

あなたは、僕の歌を感じてくれたんだね。
そんなあなたなら、もっと何かを教えてくれる気がするよ。
この飲み物は。なあに?
あなたはなんで、これを売っているの?
まあ、問いかけというよりも尋問にも似た。
ともすれば飲まれてしまいそうで、ヒレが震えてしまいますわ。

(言葉とは裏腹に、机の上に組んだ手を置いて微笑みながら)
ではこうお返ししましょう。

この飲み物はレモネード、渇きを癒すのみならず、心を潤すお水です。
休みにこれを売ることで、小遣い稼ぎも兼ねながら、素敵な出会いを求めておりますの。
あはは。そんな不穏当なものじゃないよ。
せいぜい啄くくらいかな。
すっぱい飲み物も楽しいし、ヒレを突いて潮の流れに引っ張り込むのも楽しいからね。

(笑いながらレモネードに口を付けてまた笑う。
水が貰えて嬉しいのか、酸味が心地よくて嬉しいのか、それともどことなく、当意即妙な目の前のちっちゃいお姉さんが小気味良いからなのか)

お休みだけなんだ。それならもうすぐ畳んじゃうのかな、このお店も。
せっかくお話するの、楽しいのに。
ねえ、僕の名前を聞いてくれる? 覚えてくれたら、きっとお話をすることもあるかも知れないから。
まあ、乙女の柔肌をつつかれるなど、とんでもない所業ですこと。
水底に呑まれるのは悲劇のヒロインにお譲りいたしますわ。
(けらけらと、歯を見せるようにして笑みを返して)

ええ、余暇の過ごし方のひとつですので……そろそろおしまいにございますわ。
楽しいと仰っていただけるのでしたら恐悦至極といったところで。
なればこそ、望まれれば問いましょう。
問う前に礼儀として名乗りましょう。

私の名前はRemoraです。貴方のお名前は?
さて、美味しい物も飲んだし。私もそろそろ行こうかねぇ。
またどこかでね
(グラスを置いて、フードを被り直すとまたふらふらと歩きだす)
ふふふ。レモラも機会があったら行ってみるといいよ!
おじいちゃんもおばあちゃんもね、とってもお裁縫が上手なんだよ。

(メモを取る姿に、うんうんと頷いて。手でマルを作れば、口頭での『みちしるべ』は完璧だ)
(ゆらゆら、波間を揺蕩うような青い娘が奏でる歌に目を丸くし乍らに)
(空になったグラスを置けば、慌ててぱちぱちと小さな拍手を送り)

わあ、わあ。おねえさん、歌がとっても上手だ!

(たまたま同席しただけだったけれど。素敵な音色を、漣のように耳を擽る音階を。聞かせてくれてありがとう、と小さく頭を下げて)

もっと聞いていたかったけれど。僕もそろそろいかなくちゃ。
レモラ、おいしいレモネードをありがとう!
……ね、また遊びにきてもいいかな?

(其の時は。お客ではなく、友人として、だなんて)
(添えれば、ちいさな冒険者は照れ臭そうに微笑んだ)
あぁ。……あぁ。
礼儀として問われてしまうと、真面目に答えないとだめだね。
僕はカタラァナ。……コン=モスカ。
でもカタラァナでいいよ。
(ちょっともじもじと指を動かした後、黄金色の飲み物をぐいと飲み干した)

レモラちゃん? ……さん?
また会えるよね。
お話、してね?
ええ、ええ。どうぞ皆さまどうぞまたのお越しを。
その時、お店を出しているかはわかりませんけれど、挨拶ぐらいはいたしますわ。
(冗談めかして、胸に手を当てて一礼をして)
カーネリアン様、サティ様、そしてカタラァナ様も。
ご来店、誠にありがとうございました。

さんでも呼び捨てでも構いませんよ。……ただ、ちゃん付けだけはご遠慮ください。
貴方がお話をご所望なら、ええ。

対価をご用意いただけるなら、いつでもお待ちしておりましょう。
(かくして、少女は笑い)

(賑やかなる春の店の終わりを、風が告げていた)

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