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ギルドスレッド

『それは終わりの地』

1:1RPスレッド『影よ、影よ』

飾り気のない質素な部屋にテーブルが一つ。椅子は二脚。
いれたての薄荷茶に砂糖の入った陶器の壺。
そしていくつかの焼き菓子が銀の皿の上に並んでいる。

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歓待痛み入るよ。親愛なる影編み、愛しき夜の仔。
はい、これはちょっとした手土産。
保存の魔法をかけてるから後で食べてもいいし、焼き菓子のついでに食べてもいい。

(彼女が使っていた椅子の対面にある椅子をするりと撫でてから、影の中からごぼりと浮かび上がった行李から小さな箱を取り出して差し出す。中身を開ければ小ぶりなアップルパイが入っているのが見えるだろう)
(親愛な、と呼ばれて感謝するように目を伏せた。現れたアップルパイには目を細め)
有難い。其方の菓子は、どれも絶品であるが故に。……よければ切り分けてくるが、如何か。
(しばし考えて、焼き菓子をどうぞ、と小さな皿によそい、改めて薄荷茶をガラスの器についで出す。ラサ風の文様が描かれている)
遠路はるばる……御身には距離など関係ないやもしれぬが。少々、術のことで考えていることがあるというのと……私の体についての相談も……あって。呼び出してしまった。
ささやかなもてなししかできないが、しばし、付き合って頂ければ幸い。
ヒヒ……市販の品ではなくアタシの手で作ったもので良ければ、ね。
ああ、相談についてはもちろん。
ささやかであろうと、丁寧で心の籠ったもてなしはただそれだけで価値がある。

(ありがとう、ともてなしを受け取るとラサ風の紋様を楽しむ様に茶器を見つめ、それからスッと清涼感のある薄荷茶で喉を潤す。焼き菓子を細く白い指で摘み取ると上品に食べ始め)
手作りの品なら、さらに有難いものだ。では、話がひと段落したら後で食べよう。

さて……。
(言う前に意を決するように、薄荷茶を飲み干す。苦みが広がるが、気にせず)
此度は、霊と死者の技に長けている御身に頼みがあって、呼んだ次第。
私はかつて死霊術を操っていた。その結果起こしたことについては……また話を別とするが。
とにかく一度捨てた術、ではある。しかし……此度の烙印騒ぎと反転で、少々死の気配から離れにくくなってしまったのだ。
(ため息を一つ。つまりは死霊術との親和性が、霊への親和性が上がってしまったと言いたいらしい)
故に――御身の知恵を借りたい。戦いのこともある。死霊術という剣を再びとるべきだと私は思っている。捨てた過去の私を受け入れる時だと。
まあ、考えがあるので蘇生と強制的な使役は行わない予定ではあるが、ね。
(そこまで言ってポットから再び薄荷茶を注ぐ)
確かに、アタシの中では死霊術が得意なジャンルだからね。
最近は『生活魔術』の方がよほど得意かもしれないが。(くすくす)

かつて死霊術を扱っていたにもかかわらず、アタシの知識を借りようということは文字通り捨てた──その研究成果を破棄し、なおかつそれまでとは全く違うアプローチで死霊術を扱いたいと?

なるほど、ふむ……

(前髪の奥の、深い色合いの菫紫の瞳が彼女を見遣る)

──『強欲だこと』。

(にんまりと嗤ったその言葉は『何』に放った言葉だったか)
……。
(目を伏せた。強欲、確かに違わぬ、と。己の求めるものが多すぎることを目の前の美しい存在に言われたのだ、と女は解釈した)
いかにも。人くさい強欲さではある……。
しかし……うむ。せねばならぬ、という思いが私を走らせている。

まだ、上手くは言えぬが。
すっかり、私は世間に情を抱くようになってしまった……。
ただ、見守り見送るだけ、それだけのつもりであったはずなのに。
(自嘲するように息を吐く。あまりにも個人的な話をしてしまった、と言わんばかりに)
なに、そう己を卑下することはない、夜の仔よ。
強欲それ自体は決して悪いモノではない。
上手に飼い慣らせばキミの望みを叶えるための強烈な原動力になるとも。

アタシも混沌に喚ばれてから、すっかりと強欲の獣が飢える様になってしまってね。
ニンゲンへの情がすっかり強まってしまったけど……、キミは後悔してる?
私も含めて。
(その意味を探るように赤い瞳を相手に向ける。きっと読めないだろうと思いながらも)
後悔か。
(しばらく考えた。躊躇うように首を横に振った)
分らない、とごまかしたら嘘になるだろう。人に近寄りすぎた。
しかし、薄い意識のみもつ精霊から『精霊種』になってしまった時点で。
必然であったのかもしれない。気付くのが、百と数十年程遅かっただけで。

今は……私の情は。自然なことだと思っている。人を学び、生を学び、愛を学ぶ。それが私の求めてしまったことだから。
(長くしゃべりすぎたとばかりに、目を伏せる)
(甘く深い菫紫の瞳が彼女を視て微笑みかけると、意識を自身へ向けさせる様に緩く手を伸ばしてその頬を優しく撫でようと)

朱も交われば赤くなる……なんて言葉もあるものだが。
決して悪い意味でしか使われないとは限らない。
最初は模倣であれ、それがキミの人生を豊かにするなら喜ばしいことでもある。

キミが学ぶことを望むなら手助けしよう。
大丈夫。望み続けるならキミは静謐な夜だけでなく、全てを喰らう夜だけではなく、優しく包み込む夜にだってなれるさ。
(撫でられる指先の温度はどこか現実離れしている。時が止まったような沈黙の中、さらさらと雨が降り始めた。夜との言葉に、僅かに眉を顰め)
反転した私は……わがままな夜であったがな。生かし、殺める……私の中の「女」である部分がそうであるなら忌まわしい。しかし、今や私は己を女だと思っている……複雑だ。
(苦い顔。色々と思う所があるらしい。それでも決意の表情に変え)
御身の語る言葉は、絹よりもなめらかで恐ろしい。だが……感謝をする。
不束な生徒であるが、全力を尽くすつもりだ。
(満足したらしく手をゆっくりと引っ込めて)

なに、いい女もいい男も多少我儘なくらいが魅力的だろうさ。
そういう『魅力的に我儘を見せる』術さえ心得て自覚しておけば、さほど忌まわしく思わずともいいよ。

よかろ、死霊術だね。
蘇生と強制的な使役は行わない、と。
なら、どういう風に死霊術と付き合っていきたいかの見通しはあるかい?

(再度薄荷茶に口を付け、優雅に喉を潤す)
では、我を通すことも覚えねばならぬ、な。……魅力的に。
全く覚えることが多い。御身は魅力的な我儘の名手のような気がして来たが、いかに?
(かすかな笑み。それから真面目な無表情に戻る)

見通しは……強制的な使役はしない、とは、やや矛盾するが……。
霊使いとしての、鍛錬を。交霊、降霊。彼らの力を借りて戦いたいし、時には彼らの力になりたい。
(強欲だな、といい、咳払いをした)
おやそう見える?ふふ、上手だね。(くすくす)

ん、それならまずは交霊の技術を磨いて、それから降霊の術も磨こう。
戦闘で力を貸してもらうなら、その身体も存分に活かさねばね。
喰えないお方だ。
(片眉をあげて)
では、墓場に……と思ったが、雨が降っているな。
とはいえ、このような場所だ。彼らは自由気ままに漂っているだろうし。

身体を……(腕を見た。細い)(鍛えなければな、と思ったらしく、しかめ面になる)
まあ、まあ。そんなに逸ることもあるまい。
交霊はそう、結局は話術と作法の延長の様なものだしね。
鍛えるならそれに越したことは無いが。
キミはもっと適したモノがあるだろう、夜の仔よ。
(そう言ってその影を指差して)
(影を見る)
……影編みの術の延長線に、死霊術を置くということ、か?
(しばらく考え込む、真剣な魔術師の顔だ)
その通り。
は、キミの才覚次第になるだろうけどね。
相性から言っても悪くはない。
(ざくざく、と小気味のいい音を立てて焼き菓子を頬張る)
(ふわりと指を動かす。影の蝶が現れ、指に止まる)
なるほど……蝶か。現世での仮の肉体にも、ちょうどいいだろうな。
蝶は魂と近しいわけであるし……。
(手を一振り。蝶は周囲を飛んでいる)
『何故気付かなかった』のだろうな?
(灯台下暗し。カップのふちに止まった蝶をぼんやりと見ながら)
自身を見つめるというのは案外難しいものさ。
心あるモノは特にね。時には誰かの手を借りる必要もある。
(周囲を飛ぶ蝶の傍に、指を差し出して手元に招こうと)
(蝶はひらひらと招く方に向かい、ためらいがちに翅を揺らして指先にとまる)
手を貸してくれて、ありがたく思う。
自分自身を覗き込もうとすると、私が生まれる時に『真似』をした存在の声が聞こえるから。
恐ろしかった……今でも恐ろしい。気が付けばあの魔術師に取って食われそうで。
(至極個人的な話だと疲れたように、かすかな笑みを浮かべた)
(蝶へ慈しみの視線を向け、愛おしむ様にごく軽い口付けを贈ろうとしながら)

『真似』をした魔術師。すなわちキミの構成要素ルーツか。どんな声?

(優しく、ゆっくりと彼女へ問いかけて)
(蝶は口付けに触れ、身を震わせてまた飛んでいく)
傲慢な、全てを手に入れたいものの声だ。
「私は私を食い尽くす、今に私は望みを果たす」

……死霊術師のリース。人の側を被った残忍で狡猾な魔術師。
野心を持った天才であったが、ただそれだけであった存在。
私の内部の声かもしれぬし、私に憑いた死霊やもしれぬ。
どっちにしろ厄介だ。
(指を軽く一振りすると蝶は今度は女の指先に止まる。けだるげに翅を動かしている)
ふむ。魔術師としては良くも悪くもスタンダードなタイプだね。
……キミはその声に従いたいという意識があるのかい、夜の仔よ。
「全然」
(強調していった。眉も顰める)
恐ろしくはあるが、私の一部だ、それは認める。
しかし、私が私であることを手放してなるものか。あまりにも「それ」は平凡であるし、な。
また意味もなく人を殺めるような生き方になるのは、御免だ。
(また、とふと口をついて出た過去に、己は気付いていない)
そこまで理解しているなら心配はいらないだろうさ。

(彼女の口にする過去に疑問の声も責める声もあげずに、ゆっくりと薄荷茶を口にする)

今ここにいるキミがその声に従う必要はなく、共感する必要もない。
ただ、存在を認めるといい。
そうするだけでも恐れは引くだろうし、なによりも「それ」への対抗策となる。
キミ自身の現在の意識と意思を強固にする行為だからね。
……だといいのだが。
(蝶を見つめる。主の視線から逃げるように物陰に飛び、溶けて消えた)
恐ろしさが消えるだろうか……いや、強くならねばな。
術に呑まれぬためにも。

……御身にとっては、私のあれこれは幼い悩みに見えるやもだが。退屈していなければ幸いだ。
(ふと表情をゆるめて、側の果物ナイフでアップルパイを切り分ける。一切れ如何、という風に皿を差し出した)
とんでもない。キミのモノガタリは視ていて飽きないよ。
それに、そういった悩みは多くのものが普遍的に抱えるモノさ。
(おや、いいの?ありがとう。と小さなフォークを手に取る)

(アップルパイからはとろりと優しい黄色のカスタードが顔を覗かせる。口にすればバターを贅沢に使ったサクサクのパイ生地、シャキシャキと食感を残した黄金色のリンゴ、バニラがほんのりと香るコクの深いカスタードクリームを味わえるだろう)
なら、よかった。
精霊の時はあまり悩みなどなかった……召喚を受ける前も。少しばかり、様々な者らと関わって、悩みが増えて来た。そういったことは……あるか?
(己よりもはるかに強く年経ているであろう存在を見つめ、そのままアップルパイを楽しもう)
美味しい。アイスクリームが欲しくなるな。
(これも最近知った欲深さだ、とどこか冗談のように口にする)
大いに。人間性が、愛するモノが増える時は、常にその類の悩みは付き纏う。
それを弱くなったととるか、強みができたととるか……それは観測するモノ次第だがね。
実際、どちらも正しい。

口にあったならよかった。バニラアイスでいいかぃ?
(パチンと指を鳴らすと、ほんの瞬きの間とともに皿の端にころりと白にほんのり黒い粒の散ったアイスが現れる)
(ああ、目の前の存在にも、愛する者がいるのかと思い、安堵と驚きが同時に訪れる)
受け入れて、慣れていこうと思う。後は婚姻届けを懲りずに送って来る男にどうするか。
(さらに個人的な話をぼそりと呟く、その表情はうんざりというにはあまりにも優しい)

……。
……!?
(目を開いた。バニラビーンズの入ったアイスクリームを疑問だらけの顔でつんつんとフォークでつついた。存在する。食べた)
お、おいしい。
(気取りが全部吹っ飛んだ、年頃の女のような気配を一瞬、見せる)
おや、求婚されているの?……ふむ。なるほど。
(美味しいならよかった、と少女の様に甘く微笑んで頷く)
求婚というより、あやつが持つ使い魔を長命な私に受け継がせたい、その上で看取って欲しいというものだ。
(幾つかのエピソードから、実際好意もあるのだが、二人とも恋愛慣れしていないため天丼芸になりつつある……ということに気付くかもしれない)
あれは死体にしか興味を持たない類だろうし。
……ふぅん?
(いくつか話を聞いて、ちょっと考える素振りを見せて)

でも、単にキミに継がせたいならそれこそ養子縁組がいいだろうにね?
形式だけなら、尚のこと。
それで、キミはどうしたいんだい?
(どうしたい、と言われて固まった。躱すことばかりを考えていて、具体的なことを考えていなかったという風に)
そ、それは……わからぬが邪険にしては悪いというか。
いやかと言えばそうでないが今まで人の世のかかわりを主体的に持たぬ風にしてきたというか。
……(そのまま突っ伏した。尖り耳が赤い)
……好き?
(甘く優しい、ホットミルクの様な声で短く聞いてみて)
……。
(この声には逆らえない。温かさと少しばかりの熱い刺激が耳からじんわりと通る)
わからない……嫌いじゃない……あれからもらった聖印を手放したくない……。
それが好きだということならば、たぶんそうなのだろう。
あれに危害を与えるものがいたら髪の毛一本たりとも許しはしないだろう。
(突っ伏したまま答え、うめき声が最後響いた。ううっ)
だいぶお熱だこと。
(微笑ましそうにゆったりと頬杖をついて)

……あれでしょ。なんなら、自分以外にその使い魔を受け継がせる……もとい、って想像したら絶対嫌でしょ。自分は「どう躱すか」なんて言ってたのに。
(もう何も言えない、自覚してなかったところを覗き込んだ結果顔面に激突してきた)
そ、その場合は……私にその価値がなかったというこ、と、で、
(烙印騒ぎの時無理矢理飲まされた血の味を思い出す)
あれだけされて……なんでもなくなったら……それも……。
(途切れ途切れ。クールを気取っていた女はもうズタボロだ)

いやですね。
(なぜか敬語になった。動揺激しい)
はい、素直でいいコ。
(よしよし、と突っ伏して見えてる後頭部に細い指先で軽く撫でようとしつつ)

じゃあ話は簡単さ。
なんせ、そのコの方から自分のモノにするための手段を差し出してくれているのだからね。
サクッと話に乗ってしまおう。
(触られる。白髪が抵抗もなくもつれていく)
……結婚。
(りんごんりんごんと頭の中で鳴り響くのは葬送の九告鐘ではなくウェディングベル)
(否定しようとしたが。ちょっと待てと言おうとしたが。材料は一つも見つからなかった。この女、押されると極めて弱いたちであった)
花嫁衣裳を着ながら玄関で待っていればいいのだろうか。
(結果、素っ頓狂な発想にも至ってしまう)
ふ、ふ。固まってひっくり返るほど喜ぶんじゃないかしら。
さらりとサインだけしてしまって、もう少し焦らすのも悪くないけどそこはお好みで。
白薔薇の花冠を用意しないとねぇ。
(白髪を梳いて解いて、優しく、甘く。無邪気な少女の様にくすくすと笑っている)
……検討してみる。
(哀れ墓守。どっちにしろ彼の思考はしばらくは使い物にならないだろう)
御身の花冠であれば、魔法の力もありそうだ。オレンジの花束も必要だとどこかで読んだ。
(しばし考え)
初婚でないのは、まあいいか。人の世に紛れるために結婚の真似は重ねたが。
……こんなふうにおかしなことになるとは思わなんだ。
ふ、ふ。花嫁が悪魔の手にかからない様に、魔除けの加護をかけるからね。
ま、長く生きていれば『結婚』の1つや2つはあるだろう。
そこは人間の方に理解を求めるしかあるまい。
最も、キミはアタシなどよりも余程人らしい感性をしているから、その辺は上手くやっていけるだろうけど。
喜びが御身にありますよう。

まだまだ勉強中だ。あるいは、人らしくなった私をあれが飽きるかも……しれない……曲げたくはない……(難しい顔。強情な所を見せた)
喜びは常に傍に、愛し子よ。
なに、問題あるまい。大いに学んで吸収するといい。
その程度で飽きる様な愛なら、アタシが隠してしまおう。(くすくす)
ん……(頷く。長い生でこそ、学ぶことが多い)

それは恐ろしい。隠されたら最後、出れなくなりそうだ。
(ことり、と薄荷茶の器を置く。雨は止んでいて)
長く引き留めすぎたか?
いいや、瞬きの間さ。交霊と降霊の授業はまた次の機会かな。
(薄荷茶を飲み干して、席を立つ)
……私事ばかりで申し訳ない。
(思い出してまた顔が赤くなる。髪の毛を指で直し)
良き日を。
(そう言って玄関先まで見送ろう)
ヒヒ、問題無いよ。また後で。
(玄関先でゆるりと笑みを向けた後、棲家を出る)
(見送る。後日また師事したいとのむねが書かれた手紙が届くだろう)
(〆)

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