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シナリオ詳細

<クリスタル・ヴァイス>凍り付く古代兵器たち

完了

参加者 : 10 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●鉄帝地下道にありしもの
 鉄帝地下道。あるいは鉄帝地下鉄。
 先日の鉄道施設攻略戦で発見された大規模な地下鉄のことである。
 しかしながら、この地は普段利用されていた訳ではない。
 恐らく鉄帝の遥か昔に存在した古代文明の名残と思われる場所だ。
 それゆえ、だろうか? おかしな横道などが無数に存在している、のだが。
 冷たい……あまりにも冷たい風の吹く場所に、それらは並んでいた。
 それらは……鎧、だろうか? いや、それにしてはあまりにもデザインセンスがない。
 まるで鉄板を人の形に整えたかのような、そんな無骨が過ぎる姿。
 しかしよく見れば蒸気機関と思われる装置もついている。
 なるほど、どうやらパワードスーツであるようだ。
 この場にあるということは、古代文明で使われていたものなのだろう……無骨に過ぎるデザインのそれが並ぶ姿は、まるで何かに備えるかのようだ。
 ……まあ、この場にあるということは使われないままだったのだろうが……それでもそういう背景が見えてくると、いざという時に備えて佇み続ける戦士たちにも見えてくる。
 しかし、そんな戦士たちの威容も気にならないほどのものが此処には存在する。
 凍り付いた壁や床、そしてあまりにも低い温度。
 そして……氷や雪を思わせる冬の精霊達や白い毛並みの幻狼たち。
 まるで何かの準備をしているようなその姿は、正直……あまり放置できそうなものでもない……!

●鉄帝地下道へ向かえ
「鉄帝地下鉄……か」
 『浮遊島の大使』マルク・シリング(p3p001309)はそう呟くと「とある地点」が記された地図を軽く叩く。
 あまりにも不完全なソレは、今回発見されたポイントへ向かうための最低限の情報が記されたものでしかない。
 鉄帝地下鉄。そう呼ばれる地下道内部には僅かに冷気が感じられ、地底奥深くへと繋がっている道には何処からか風が吹いているようだ。
 雪を孕み吹雪にも似たその異様な気配は何処からか漏れ出でているようにも感じられるが……各派閥は駅周辺からこの風や冷気を頼りに『フローズヴィトニル』についてのヒントを得るために探索を開始しました。
 エリス・マスカレイド曰く、各地に分かたれて『封印』された古の獣なのだが、今回の問題はその一点だけでは済まない。
「放置できる状況ではない、ね」
 『【星空の友達】/不完全な願望器』ヨゾラ・エアツェール・ヴァッペン(p3p000916)もそう頷く。
 『フローズヴィニトル』の存在を裏付けるかの如く地下道で跋扈する冬の化身が如き存在たち。
 それらは今にも外へ飛び出さんとするかのように動いており、しかしそれを許すわけにはいかない。
「確かこの地点にはパワードスーツも安置されているというお話でしたね」
「はい、その通りです」
 『紅矢の守護者』グリーフ・ロス(p3p008615)に『高速機動の戦乙女』ウルリカ(p3p007777)も頷く。
 何もかもを凍らせるような寒さの中で、そのパワードスーツは表面しか凍っていないように見えるのだという。
 つまり、寒冷地でも動けるようなパワードスーツであるようなのだが……今後のことを考えれば、是非回収しておきたいものではある。
 そして何より、冬の精霊たちを放置するわけにはいかない。
「決まりだね」
 マルクは全員を代表するように、そう声をあげる。
「まずは冬の精霊たちを倒し、パワードスーツも回収する。それを今回の作戦目標にしよう」

GMコメント

冬の精霊たちを倒し、パワードスーツを回収してください。
現場は鉄帝地下鉄を進んだ先にある横道に入ると広がっている広い空間です。

●特殊ルール
この空間は冬の精霊たちの力により、極度に気温が下がっている状態にあります。
部屋全体が凍り付き、僅かではありますが動きが阻害されるでしょう。

●敵一覧
・冬の精霊×5
氷や雪を思わせる冬の精霊です。
非常に強い力を有しており、侵入者を追い払わんとしている他、外へと飛び出そうとしているようです。
この精霊は『フローズヴィトニル』と呼ばれる悪しき獣の作り出した幻ですので説得は聞かず、倒すと消えてしまいます。
広範囲への識別型攻撃である吹雪攻撃「冬の息吹」、相手に触れ冷気を送り込む単体近距離技「冬の祝福」を使用します。全ての攻撃に凍結系列のBS効果があります。

・冬狼×30
氷や雪を思わせる白い毛並みの幻狼です。幻狼は実態では無く、精霊にも近しい存在であるようです。
非常に強い力を有しており、侵入者を追い払わんとしている他、外へと飛び出そうとしているようです。
『フローズヴィトニル』と呼ばれる悪しき獣の作り出した幻ですので説得は聞かず、倒すと消えてしまいます。
近距離の噛みつき「アイスバイト」と爪攻撃の「アイスクロ―」、怒りを付与する咆哮「アイスファング」を使用します。また、噛みつきと爪には凍結系列のBS効果があります。

●使用可能な古代兵器
・(シナリオ中に回収着用した場合)極地活動用パワードスーツ「タイタン」×人数分
極限の状況でも着用者を守るために作られた無骨なパワードスーツ。
分厚く頑丈で、蒸気機関の作動により快適な環境を整えます。
着ると防御技術と特殊抵抗が10上昇しますが、反応が10下がります。
また、今回の特殊ルールによる効果を無効化出来ます。

・スチームゴーレムType1 ×1
強くて硬い戦闘用ゴーレム。
近接戦闘のスチームナックルとスチームキック、中距離用の電撃を使用します。

・パワードゴーレム
戦闘用のアーカーシュゴーレム。かなりタフです。
肩にキャノン砲を装備しており、砲撃を行います。
また、中距離範囲に機銃による範囲掃射攻撃も可能です。

●特殊ドロップ『闘争信望』
 当シナリオでは参加者全員にアイテム『闘争信望』がドロップします。
 闘争信望は特定の勢力ギルドに所属していると使用でき、該当勢力の『勢力傾向』に影響を与える事が出来ます。
 https://rev1.reversion.jp/page/tetteidouran

●情報精度
 このシナリオの情報精度はBです。
 依頼人の言葉や情報に嘘はありませんが、不明点もあります。

  • <クリスタル・ヴァイス>凍り付く古代兵器たち完了
  • GM名天野ハザマ
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2023年01月31日 22時01分
  • 参加人数10/10人
  • 相談6日
  • 参加費100RC

参加者 : 10 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(10人)

ヨゾラ・エアツェール・ヴァッペン(p3p000916)
【星空の友達】/不完全な願望器
マルク・シリング(p3p001309)
軍師
華蓮・ナーサリー・瑞稀(p3p004864)
ココロの大好きな人
ウルリカ(p3p007777)
高速機動の戦乙女
カイン・レジスト(p3p008357)
数多異世界の冒険者
天目 錬(p3p008364)
陰陽鍛冶師
グリーフ・ロス(p3p008615)
紅矢の守護者
結月 沙耶(p3p009126)
怪盗乱麻
ニャンタル・ポルタ(p3p010190)
ナチュラルボーン食いしん坊!
弥多々良 つづら(p3p010846)
鳴動する幼大山

リプレイ

●鉄帝地下鉄の先へ
 暗く寒い地下鉄に、足音が響く。
 古代文明の名残であるこの場所には今は列車は走ってはいないが、地上同様の冷気だけは伝わってくる。
「鉄帝地下鉄……の横道に、寒冷地でも動けるパワードスーツ……! わくわく……してる場合じゃないか!」
 『【星空の友達】/不完全な願望器』ヨゾラ・エアツェール・ヴァッペン(p3p000916)がそう呟く程度には寒いが、『フローズヴィトニル』の存在を充分に感じさせるものであるのも確かだ。
「パワードスーツ、か。誰かが冬を生き抜くために、使っていたのかな……願わくば、彼らを使っていた人達の遺志に沿うよう、使いたいね」
「ああ。鉄帝よりも前の古代文明が何を思ってこれを遺したかは分からないが、今こそこの地の危機と言っても良い状況だ。大事に使わせてもらわないとな」
 『浮遊島の大使』マルク・シリング(p3p001309)と『陰陽鍛冶師』天目 錬(p3p008364)の言葉通り、今回の目的はパワードスーツだ。
 ヨゾラの言ったように寒冷地でも動ける……極限状況を想定したタイプのようだが、まさにこういう時にはピッタリだろう。
「寒さは、人はもちろん、私たち(機械)にとっても、好ましいものではありません。炉心が熱を失い、歯車が凍りつき、その役割を果たせずに、醒めない眠りについてしまう。そうなる前に、この寒さに終わりを。彼ら(機械)に、目覚めのときを」
 『紅矢の守護者』グリーフ・ロス(p3p008615)の祈りのような願いが響く。
 それは、グリーフたち次第ではあるだろう。だが、必ずそうするという決意表明でもあるのだ。
「精霊の力がこの地下にまであるとなると厄介だな……寒さが空だけでなく地下からも来るとしたら大変なことになってしまう……パワードスーツも気になるしできればテイクアウトしたいのだが、冬の精霊たちを放置するわけにもいかないからな。しっかりと倒し切った後、怪盗としてパワードスーツというお宝を盗ませてもらおうか」
「うう゛……さぶい……。ええい、こんな寒い状況を打破出来るごぉれむが居るのなら急いで回収するぞ! 吾がもっと青くなってしまう!」
『奪うは人心までも』結月 沙耶(p3p009126)に『鳴動する幼大山』弥多々良 つづら(p3p010846)もそう急かすように叫ぶが、目的となる場所まではあと少しといったところだ。
「しかしまあ、寒冷地仕様のパワードスーツが見つかったとはのう! 其れは是非とも回収したいところじゃな!」
 『ナチュラルボーン食いしん坊!』ニャンタル・ポルタ(p3p010190)も何度も頷く。
「鉄帝の冬は、今季でなくとも寒いじゃろ? 仕組みを理解し改良を加えれば、動乱後にも冬のファッション&防寒具になるやも知れぬしの! 冬にも楽しみが無くては! 心が折れてしまうからのう……」
 そして今回、2体のゴーレムが同行している。
 スチームゴーレムType1とパワードゴーレム。戦闘用ゴーレムである2体が同行しているのは心強いが、グリーフは多少の心配もしていた。
「ゴーレムのお二人も、いわゆる寒冷地仕様かはわかりません。相手の数が多い以上、彼らにサポートをお願いせざるを得ないのでしょう。私の回復が。彼らにも届けばいいのですが」
 そう、寒さは今回の最大の敵でもある。『数多異世界の冒険者』カイン・レジスト(p3p008357)は可能な限り耐寒の備えをしていた。
 可能な限り肌の露出を抑えて保温、風除けを施した上でカイン自身は更にフリーワールドで環境適性を付与するといった方法だ。
「完璧とは言わないまでも、冒険者たる者対策は怠れないね!」
 段々強くなってくる寒さは、その場所が近づいていることを示していたが……『高速機動の戦乙女』ウルリカ(p3p007777)が目的となる横穴を見つける。
「どうやら、此処のようですね」
「気を付けて行くのだわ!」
 『蒼剣の秘書』華蓮・ナーサリー・瑞稀(p3p004864)も声をあげ、入っていくと……そこにはしっかりと整備された空間と、凍り付いた諸々……そして敵の姿がある。
「多い多い! ちょっと多いのだわよ! これが外に出ようとしているなんて本当に大変な事なのだわ。元より、彼らの縄張りに入ってきたのは私達の方なのかもしれないけれど……」
「おや、これは多いですね。精霊寄りということは彼らが発生しうるほどのエネルギーと、土地に根ざした群れる動物……狼の形を取ったということでしょう。パワードスーツも有効に使って蹴散らしていきましょう」
 華蓮とウルリカがそう言い合うが……目的のパワードスーツは確かにそこにある。
 そして敵もすぐそこに。全員が事前に話し合った通りに動き始める……!
「それにしても寒い……凍っちゃいそうだよ本当に! 猫のぬくもりが恋しい……!」
 全員の気持ちを代弁するような、そんなヨゾラの呟きを響かせながら。

●冬の精霊たち
 驚くほどの寒さ……冷凍庫に入ってもこんなに寒くはないと思わせる、そんな圧倒的な寒さ。
 壁も天井も凍り付き、吐息さえ凍り付きそうなこの場所は、明らかに生命が長居する場所ではない。
 しかし、どうやらそんな場所だからこそ本領を発揮する者たち。
 氷や雪を思わせる冬の精霊や冬狼たちは、こちらを見る明らかな敵意を向けてくる。
 しかし、そこでまずは一手。マルクと錬の指示がゴーレムたちへ飛ぶ。
「僕らは順番にパワードスーツを着用する。その間無防備になる人を守ってほしいんだ」
「まずはスチーム、精霊に電撃を! パワードは機銃で牽制だ!」
「指示受諾」
「攻撃、防衛開始」
 スチームゴーレムType1とパワードゴーレムがマルクと錬の指示に従い、前に出て攻撃を開始する。
 この極低温の寒さの中では動きづらく、凍り付いた地面は足元を覚束なくさせる。
 思わぬミスをしてしまう危険性を思えば、此処にあるパワードスーツの着用は大きな助けになるが、その隙をゴーレムたちに作ってもらうつもりなのだ。
 しかし、ウルリカは自分は一番最後でいいと考えていた。
「タイタン、着用するのでしたら援護します。ゴーレム、連携を」
「連携了承」
「連携開始」
「その調子だ! スチームはパワードスーツ着用中の仲間の防衛を重視でよろしくね!」
「詳細受諾」
 説明すればゴーレムたちはその通りに動いてくれる。頼りになる仲間だが……ゴーレムだけに任せているわけでもない。
「私のタイタン着用は一番最後でいいのです。着れたら着ますが、戦闘を優先したいので」
 言いながら、ウルリカはジャミル・タクティールからのラフィング・ピリオドを発動させる。
「寒く、動きは鈍く……されどその程度では私の攻撃に支障はありません」
 そんなことを言うウルリカだが……実のところグリーフもパワードスーツには向かっていなかった。
「どれだけ長く稼働できるか、一度使用して再使用が可能かもわかりません。未使用のものもあった方が、いいでしょう。私には、彼(領地のマナの木)のぬくもりがありますから。呼吸も不要の身ですから。大丈夫です」
 アルティメットレアの身体とトレジャー・チャームの魅惑の輝きを纏ったグリーフはルーンシールドとマギ・ペンタグラムをも発動させ、壁になる構えであった。
「物理神秘無効なので、私ごと狙っていただいて構いません。痛みは感じないのかもしれませんが、伝達率の低下や、損傷はわかりますか? 早めに私のもとにきてください。 あなたを癒し、あなたの盾に、私がなりますから。共に戦い、一緒に帰りましょう」
 そうゴーレムたちに呼びかけるグリーフだが、ゴーレムたちにとってみればグリーフもまた護衛対象であった。
「お楽しみの装着タイmちべたぁーい!! うう、我慢我慢……着てしまえばこちらのモノよ……! ……む?お? おおー寒くない! このタイタンすごいぞ!」
 パワードスーツを着込んだつづらが、そう叫ぶ。神子饗宴を発動させていくが、その最中にも寒さもなければ足元も全く滑らない。
 音もクリアに聞こえるこの状況は、非常に快適というほかない。
 極地活動用パワードスーツ「タイタン」。その性能は確かということだろう。
「吾からすればだいぶ格上な相手な気がひしひしとしているが……、先達の皆々が気張るのなら、日和っておる場合では有るまい! 戦闘となるなら吾は立つぞ! 弥多々良の長女の名は伊達では無いというところ、見せてやろう!」
「僕もパワードスーツ装着は後でも良いよ」
 ヨゾラもそんなことを言いながらケイオスタイドを発動させるが……その間にも仲間たちのパワードスーツ装着は進んでいく。
「防御面も優秀だけど……何より暖かいのだわ……救われるのだわ……」
 華蓮もそう呟きながら祝詞を詠んで稀久理媛神の加護を得る。
「精霊でも狼でもそう簡単にやられるつもりはないのだわよ! 私の神様の加護で抵抗できないBSなんてあんまり無いのだわ」
 タイタンは人型パワードスーツであるせいか、神弓『桜衣』の使用にも何の不都合もない。
「寒い所に居るのはきっと辛いだわよね……外に行きたいだわよね。ごめんね、私達は人々を優先しないといけないのだわ……外へ出してあげられなくて、ごめんなさい」
 冬の精霊たちの目的がなんであるにせよ、此処から出て行けば一般人への被害は避けようもない。
 だからこそ、此処で殲滅しなければならないのだ。
「鉄帝の地下鉄にこんな物があるとはな! ちゃんと整備するから今は有難く使わせてもらうぜ!」
 錬もタイタンを着込むとアーカーシュ・ブランチと遺物調律師の知識を活かして解析していく。
「環境適応能力と防御力だけでも十分だが……! 反応ペナルティの低減や武装があればなおよし!」
 そうして軽く調べたところ、武装を搭載する余地はあるようだが個人の武装などを違和感なく使えるようにすることに重きを置いていることが分かった。
 タイタンの設計思想はとにかく生き残ること。寒冷地でもマグマの中でも、何処でも問題なく動けるような……そんな機能が満載のパワードスーツであり、この状況で凍り付いていなかったのもその性質に拠るものなのだろうと錬には理解できた。
「生き残るためのもの、か。まあ悪くはないな」
 絡繰儀杖を錬が構えれば、生身とさほど変わらぬ動きが出来そうに感じた。
 多少の感覚のズレは、充分修正可能な範囲だ。
「グリーフが前に出て敵を引き付けるなら、我は其の援護も兼ねた敵の殲滅を目標とするぞい!」
 タイタンを着込んだニャンタルは、戦いの中で冬狼の咆哮が危険であることに気付いていた。
 あれを受ければ隊列を乱されてしまうのは必至だ……なんとか見極めたいところではある。
「グガアアアア!」
「おっと! これでも喰らうがええ!」
 H・ブランディッシュを放つニャンタルに合わせ、沙耶が雪月花からのブルーフェイクIIを放つ。
「数が多いから着実に倒していかないといけないしな。このまま連携していこう」
「うむ!」
 そうしてタイタンを着込んだマルクも仲間たちのの中心に立ち、戦略眼で戦況を把握していく。
 敵が総てこの場に釘付け出来ているかを確認。万一出口へ抜けようとする冬狼がおりノーマークなら、パワードゴーレムに妨害と攻撃の指示を出すつもりだったが……今のところ問題はない。
 発動するのはケイオスタイドからのクェーサーアナライズでの回復。
 戦況を見据えながら出していく指示は、まさにアーカーシュの頭脳としての面目躍如といったところだろうか。
「着用すると外の寒さが嘘みたいだな……堅牢で頼もしいパワードスーツだね」
 それだけではなくタイタンを着ての戦闘はマルクにとって、試運転や能力確認を兼ねてもいた。性能を知れば今後の活用方法も見えてくる……という理由だが、1つの行動に複数の意味を混ぜ込もうとするそれは、貪欲でありながらマルクらしい知性をみせるものだった。
「これが、ここのパワードスーツ……」
 そしてマルクの評価同様、ヨゾラもタイタンに高評価をつけていた。
 極地活動用パワードスーツ「タイタン」。その名に相応しい性能を感じながら、ヨゾラは星の破撃で冬の精霊にトドメを刺す。
「やっぱり程よく暖かい方が良いよ、可愛い猫みたいにね……寒いのはごめんだよ!」
「その通りだね」
 同じくタイタンを着込んだカインも同意しながら殲光砲魔神を放つ。
「だから、彼等は此処で倒さなきゃ……!」
「ああ、ここで確実に墜とす!」
 カインに錬も頷き、冬の精霊へ式符・相克斧を叩き込みトドメを刺す。
「あなた方とも共にあれるなら、よかったのですが。進む道が違うなら、申し訳ありません」
 グリーフが本当にすまなさそうに呟くが……冬の精霊たちはとても話し合いが出来る相手ではない。
 此処で倒すしか、道はないのだ。だからこそ誰も躊躇いはしない。
「うむ! その上で可能な限り、全ての損害を抑えるぞ!」
 ニャンタルが叫びヴァルキリーオファーを発動すれば、つづらも魔砲を放つ。
 そうして……残された最後の冬の精霊にマルクはブラウベルクの剣を発動し、冷気もろとも魔力の刃で切り裂き倒す。
「この異常な寒さは、きっと僕らが解決する。だから、冬の精霊よ。もう暫くの間だけ、眠っていてほしい」
 それで、終わり。残ったのは、ただ寒さのみだ。
「幻狼……精霊寄りなのが残念ですね。実体が残ればモフモフ出来たでしょうに」
 ウルリカがそんなことを呟くが……まあ、仕方のないことだ。彼等とは相容れることはできなかったのだから。
「交渉できる気配もなかったし、悪いけど討伐させて貰うしかなかったよね」
 カインもそう言うが……まさにその通りなのだ。狼にせよ精霊にせよ、たとえ精霊疎通をしたとしてもこちらの要求には応じなかったのは間違いない。
 そして、ほんの僅かではあるが冷気が収まったのを感じながら、華蓮はタイタンの中でほうと息を吐く。
「防御面も優秀だけど……何より暖かいのだわ……救われるのだわ……」
「パワードスーツ「タイタン」、ぬくぬくだね。アーカーシュに置いたら、アーカーシュの猫達が乗ったりして……想像するだけで心温まる! 動力源は蒸気機関か、蒸気の力ってすごいなぁ。魔術で再現できるかな……」
 ヨゾラはなんか違う温まり方をしているが……つくづく、この場所は人のいて良い寒さではない。それだけにこのタイタンの有難さが身に染みるというものだった。
「さて、と。帰る前に……タイタンを持ち帰るのに戦闘やこれまでの冷気で支障が出てないか確認だ。あとゴーレムたちも修理しなくてはな。職人魂が騒ぐぜ!」
「うむ! 無事なパワードスーツと、そうでなかったパワードスーツ、両方持ち帰るぞ! 弱い部分を知って改良せねばな!」
 錬とニャンタルが早速動き始めるが、タイタンを着ていても何の不都合もないのは流石といったところだろうか?
「これ意外と暖かいな。流石は古代の文明か。アーカーシュで調べればもっといろんな技術に応用できるかもしれないな……」
 そして沙耶もアーカーシュの一員としてタイタンの活用方法を考え始めていたし、つづらもタイタンに興味津々だった。
「ふむ……ふむ! このぱわーどですちーむなすーつ、かなり気に入ったぞ! 持ち帰って上手く扱うことさえ出来れば、過酷な降雪環境下でも救助や狩猟やらに使えるやもしれぬ……! しかし慢心は禁物、ここは勝って兜の緒を締めよ、というやつだな!」
 まさにその通りではあるだろう。ヨゾラも、今日のことを思い返していた。
「冬の精霊に、冬狼……フローズヴィトニルの作り出したものならフローズヴィトニル自体も荒ぶる存在なのかな……何で、そうなったんだろう」
 それは分からない。しかしつづらの言うように勝って兜の緒を締めるべきではあるのだろう。
「帰りも気を付けて帰ろう。寒さが弱まると良いな……アーカーシュと炬燵と猫のぬくぬくに癒されたい」
 まだまだ寒さは収まりそうにはない。しかし、確かに僅かではあるが弱まったような……そんな気も、していたのだった。

成否

成功

MVP

マルク・シリング(p3p001309)
軍師

状態異常

なし

あとがき

極地活動用パワードスーツ「タイタン」を10台手に入れました!
火の中水の中もなんのその、人では耐えられない空間での作業もタイタンにお任せあれ!

●運営による追記
 本シナリオの結果により、<六天覇道>独立島アーカーシュの技術力が+10されました!

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