シナリオ詳細
幻想アイドルすぴかちゃん『さまふぇす!』盛り上げ隊募集!
オープニング
●すぴか、さまふぇすでも歌います!
どきどきが胸を突いて、どこか苦しく思います。
でもでも、これはすぴかが望んだことなのです。
溢れんばかりの歓声と熱気に足がぶるぶると竦みそうになってしまうけれど、
でもでも、全身に力を込めてこの一歩を踏み出すの。
この一歩が、すぴかの信じる未来に繋がる、その為に……!
「すぴかさん、お願いします!」
スタッフさんの声にすぴかは瞳を開きます。
舞台袖からちらりと見える人の影。いつもより高まる不安を押し込めて。
「……お願いします!」
すぴかは一気に走り出します。
勢いだけじゃない、全身全霊を歌に乗せるために!
舞台へ飛び出せば、すぴかに集まる視線を受けて――。
「――みんな、お待たせぇ~!
さまふぇすでもすぴすぴかっ☆ みんなのために歌いますっ!
さあ、いっくよ~~~!!」
この青空の果てまで届くように。
すぴか、さまふぇすでも歌います!
●
「サマーフェスティバル? 海洋の話じゃなくて?」
イレギュラーズが首を捻ると、『黒耀の夢』リリィ=クロハネ(p3n000023)がノンノンと指を振る。
『星翡翠』ラーシア・フェリル(p3n000012)がクスりと笑って説明してくれた。
「サマーフェスティバルではなくて、『さまふぇす』と言うらしいですよ。歌手やアイドルの方々がイベントの主体で、音楽を楽しみながら過ごすお祭りみたいなものらしいです」
「試験的に幻想で行われるみたいでね、幻想だけじゃなくて他の国からも歌い手の人達を招待しているみたいよ」
実にわくわくしてそうな顔で説明するリリィ。まーこういう話を振ってきたからには行きたいのだろうね。思ったことをそのまま言ってやる。
「で、それに行くという訳か。まあ参加できるなら行くのも吝かではないけれど」
「ふふ、よかった。楽しそうなことには首を突っ込んでいかないとね。
イベントではメインステージで歌う歌い手さんの音楽を楽しむ他に、出店でお祭り気分にのんびりするも良しよ。イベントステージではのど自慢の飛び入り参加も受け付けてるみたいね。意外な才能が発掘されそうだわ。……それと――」
リリィは胸元からネックストラップの何かを取り出す。
「これがなにかわかるかしら?」
「なんだ? なんか細かく書いてあるが――」
「バックステージパスです」
ラーシアも同じようなものを持っていて説明してくれる。用は関係者である証明書であるわけだが。
「なんでそんなものを持っているんだ?」
「ふふふ、私達はすぴかちゃん盛り上げ隊だからよ!」
ばばーんとドヤ顔で言い出すリリィは些か間抜けだ。
「えっと、以前、事件に巻き込まれた幻想アイドルのすぴかちゃんをローレットが救出したわけなのですが、そのすぴかちゃんもさまふぇすに出場するそうなんです。
そこで所属事務所さんがローレットの皆さんにと、バックステージパスを送ってくれたんですよ」
「まあ特等席で観覧させてあげる変わりに、すぴかちゃんを盛り上げてくれってことよね。営業も大変そうだわ」
「つまりイレギュラーズにサクラをしろと?」
「ノンノン、そこまでは言わないわ。すぴかちゃんもサクラに盛り上げて貰ったなんて知ったらがっかりするでしょうしね。
希望者にはバックステージパスは配られるから自由に観覧してくれて構わないわ。
まあでも、ちょっとでも興味を持ってくれたら……って話ね」
「もちろん私は盛り上げるわ」とどこから取り出したのか練達式サイリウム王者ブレードを振るリリィはやはり些か間抜けだ。
「というわけで、暇があったらさまふぇすで楽しみましょう!」
「楽しみですねー。私もサイリウム振ってみたいです」
ハーモニア女子二人がきゃいきゃいと楽しそうに話すのを横目に、イレギュラーズは思案する。
夏も終わりを迎え始めている。
いろいろなイベントごとがあったけれど、締めくくりにもう一イベント行ってみるのもよいかもしれない。
すぴかちゃんを知るものであれば、バックステージで会えるかもしれない。知らないならばこの機会に知ることもできるかもしれない。
すぴかちゃん以外の有名人にも会える可能性も――あるかもしれないな。
「さて、どうするか――」
依頼書についたさまふぇすのチケットを眺めながら、イレギュラーズはしばらく思案の海に沈むのだった。
- 幻想アイドルすぴかちゃん『さまふぇす!』盛り上げ隊募集!完了
- GM名澤見夜行
- 種別イベント
- 難易度VERYEASY
- 冒険終了日時2018年09月16日 21時55分
- 参加人数34/∞人
- 相談7日
- 参加費50RC
参加者 : 34 人
冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。
参加者一覧(34人)
リプレイ
●本番前、ドキドキするね
鳴り響く音楽、熱唱する歌声。
『さまふぇす』が開始され、ステージ上には各国の歌手やアイドル達が次々登場し、盛り上げている。
バックステージで、各国の歌い手達に取材を申し込むのは華蓮だ。
「ふんふん、なるほど。結構スケジュールはギッシリ詰まってるのだわ。
……練習は辛いけど、やっぱりファンが喜ぶと嬉しい……と」
時計を確認しつつ、しっかりと聞いた内容を手帳にメモしながら色々な話を聞いていく。
普段接点のない人達の話は、華蓮の求める答えに繋がったかもしれない。
バックステージには、以前すぴかちゃんを救出したイレギュラーズの面々も足を運んでいた。
出番を待ち、控え室で準備をしているすぴかちゃんを尋ねると、すぴかちゃんの顔がパッと明るくなる。
「いれぎゅらーずの皆さん! 来てくれたんだぁ!」
「当然! 私なんかすぴかちゃんの大ファンだからね」
そういうフェスタがファンクラブ会員証(545番)を掲げて見せる。
「わっ、会員証! すぴか嬉しい!」
えへへ、と顔を蕩けさせるすぴかちゃんにフェスタはすぴかちゃんが輝けば、皆を笑顔に、幸せにできるのだと力説した。
胸の前で手を組んで、うんうんと頷くすぴかちゃん。そんなすぴかちゃんに主人=公が話しかける。
「こんにちは! 憶えてるかな? 以前依頼で会ったことあるんだけど。
あの時のボクもこれからの活動を応援するよって約束を果たしに来たんだ」
「もちろん覚えてるよぉ! わわ、凄い花束!」
公の用意した五つの花束を渡せば、すぴかちゃんが華に埋もれてしまう。そんな姿に苦笑しつつ、激励の言葉をかけた。
次に話しかけるのはジョゼだ。ダチコーである黒猫の獣種ロアンを引き連れてこの場にやってきていた。
「コイツはロアン、オイラのダチコーでちょっと前にすぴかちゃんのファンクラブに入ったばっかなんだとさ」
前の依頼の時にも元気づける為に来ていたことを知らせると、すぴかちゃんは驚いて「そうなんだぁ! ロアンさん、ありがとうだよぉ!」とキラキラのスマイルを見せる。
これにはロアンもノックアウトだ。「える、おー、ぶい、いー、すぴかちゃーん!」と突然コールを始める始末である。そんな様子にもすぴかちゃんは楽しそうに笑った。
三人が帰った後、すぴかちゃんは小さく息を吐くと、遠くを見つめぽそりと呟いた。
「あの方はいらしてるのでしょうか……」
言ってから、ぶんぶんと頭を振って、ぺちりと頬を叩く。本番はもうすぐ始まるところだった。
●さまふぇすはじまってるよぉ!
「み、みなさーん……『さまふぇす』会場はこちら、でーす……!」
ふわもこピンクヘアーの目立つニミッツが、なぜかさまふぇすの会場案内を行っていた。
立て看板まで持ってお手伝いとは、偉いの一言である。
ニミッツの頑張りのお蔭もあってか、会場は混乱も少なく入場できたようですよ。
【キルロード農園】は自宣に余念がない。
どんなコネを使ったのかイベントに出店を出店し、自家製ジュースの販売を行っていた。
「オーホッホッホ! ガーベラ・キルロードですわ! うちのキルロード農園産の野菜ジュースはいかが? 栄養満点で美味しい。さまふぇすを乗り切る必須アイテムですわよ!」
ガーベラの陣頭指揮の下、ガーベラに救われ農家として過ごす七人と、メイドたる蛍が客を捌いていく。
(……全くうちのお嬢様には困ったものです。突然このような行動を起こされてもフォローする我々の立場になってもらいたい)
「……いえ、それでもお嬢様の望みを叶えるのはメイドの務め。誠心誠意尽くしますとも」
自家製野菜の特製ジュースは、かなりの人気で、さまふぇす来場者に人気の品となったようです。【キルロード農園】の名声が1上がった!
「えへへ。この焼鳥も、ケバブも、ポップコーンも……みんな美味しいよっ」
小さな身体に両手一杯に出店の料理を抱えてリインがだらしない顔を浮かべる。
リインを見知るイレギュラーズの幾人は、皆そんな幸せそうなリインを遠くから見て楽しむのだった。
メインステージの前では、ヨハンと情報屋のショウが、次々変わる各国の歌い手達の音楽を楽しんでいた。
「あ、僕はあれ好きです! ちぇけらっちょーちぇけらっちょーへいよーよーめーんってやつ!」
「えー」みたいな顔でヨハンを見るショウ。ヨハンの言いたいのはヒップホップかなにかだろうか。コホンと一つ咳払いして。
「俺はやっぱりロックかな。ゼシュテルの『ヘヴンズギア』とか好きさ。今日は来てないようだけどね」
ショウは音楽は好きそうだ。ゆるく身体を揺らしながら全身で音を楽しんでいた。真似るようにヨハンも身体を揺らし、ショウと共にさまふぇすを楽しむのだった。
そんなメインステージ上では、とんでもない事態が進行していた。
こっそり飛び入ったQ.U.U.A.が素知らぬ顔でバックダンサーとして縦横無尽に踊りを魅せる。
「ヾ(≧▽≦)ノ」
どんどんエスカレートするも何故か受け入れられて、無駄に盛り上がる一因となっていた。
●隣もすごい盛り上がりだよぉ!
メインステージの隣、イベントステージも盛り上がっていた。
「助けを求める 人の声♪
聞きつけ参上 正義の味方♪」
将来の夢がアイドルというセララの持ちうる全てのスキルを駆使した熱唱に、見知ったメンバーから応援の声があがる。その声に応えながら、全力で楽しんで歌うセララ。
将来有望な魔法騎士の歌声に観客も満面の笑顔である。
そんな幼いアイドル候補の次に続くは、元の世界ではトップアイドル(自称)だったという四矢らむねだ。
キメキメのポーズはどこか無理があるが、黙っておきましょう。
若干のグダり具合を見せるダンスと歌声。しかし本人は全力でやりきっている。
「最後に、私が経営するスパークリングアイドルカフェをよろしくお願いします!」
結局宣伝かい! と言いたいが、それもイベントステージの正しい使い方なのです。
そんなイベントステージに【星の王子様】の面々が登場すれば黄色い歓声があがった。
「太陽の勇者、アラン・アークライト。助けを求める声を見過ごすわけにはいかねぇ。
救いを求める人々の為、世界の為、俺の歌声を響かせるぜ――!」
「星屑の魔術師、ウィリアム・アステリズム。
お前達もまた、輝く綺羅星のひとつ。
聴け、そして響け。今宵、此処は広大な星空となる――!」
「銀閃の貴公子、リゲル=アークライト。
地上の星である貴方達をより煌めかせるべく、
俺達はこの舞台で。心を込めて、歌います!
タイトルは――『星色☆ドロップ』!」」
俺様キャラのアラン。クールミステリアスなウィリアム。そして真面目系なリゲルの三人が舞台を自由に使いながら、その痺れるようなボイスを響かせる。
男性らしい荒々しさを見せつつも、キレのよい繊細なダンスに観客の女性陣のハートは鷲掴みだ。
「今のは……ずるい」
不意に見せたリゲルのウインクに妻として見惚れてたポテトが一瞬で真っ赤になる。
三人の舞台に観客のサイリウムが星空のように一体となって、一つの舞台が完成するような錯覚を覚える。
歌い終えた三人は満足げに笑い合うのだった。
【星の王子様】に続くは【スカーレットシベリア】の二人だ。
すぴかちゃんのライバルを宣言する二人が、アイドルとしての魅力を振りまく。
歌うはオリジナル曲『幻想の星 ーSpicaー』
「手を伸ばしてみても届かない
それは 分かっていても」
「まばゆい光を
追うことを止められない」
『私たちも輝きたいから』
二人で在る事を活かしたツインダンスが観客を虜にする。
練習からアイドルとなったクレメンティーナはノリノリで、片や顔を真っ赤にしながら必死に踊るレッド。
対象的な二人の歌が、見る者、聞く者を魅了し、イベントステージはさらに加熱していく。
【ふわふわ】の二人も舞台で可愛く、そして元気に楽しく歌って踊る。
曲はノースポールが相方ノーラの魅力を伝えようと徹夜して考えた一曲『ふわふわ♪マシュマロ』だ。
二人の舞台を見ようと、出番を終えたノーラの父親リゲルや、母ポテト、そして【黒金】の二人、ルチアーノとシラスも頭に白い鉢巻きを巻いて応援に気合いを入れる。
「二人とも―!頑張ってー!」
「ふわふわー! ラーヴッ!」
この日一番の応援に、ノーラとノースポールは照れつつ、マイクを持って歌い出す。
「しろくてふわふわ とっても可愛い!
お菓子のようで お菓子じゃない」
「綺麗な毛並み しなやかボディ
私はマシュマロ 白猫よ(にゃーん)」
にゃーん、と猫のポーズをバッチリ決めるノースポールに、ノーラの抱えるマシュマロが本当ににゃーんと鳴いた。
これには観客もバッチリ拍手を返して、二人を盛り上げる。
視界の端には【黒金】の二人が映っていて、ノースポールは顔が真っ赤だ。
曲に合わせてサイリウムが揺れる。
サイリウムを振るポテトは娘の成長にちょっとほろりとしてしまうものです。
ルチアーノとシラスもサイリウムを振りつつ、振り付けの真似をしてみたり、舞台と一緒になって楽しんでいるのが伝わった。
そうして歌い終われば、割れんばかりの歓声が響く。まあそのほとんどは【黒金】の二人のもののようにも聞こえるが。
ノーラが応援に応えるように手を振って、ノースポールとともに舞台からはける。
観客が一体となった応援は、どんな舞台であっても可愛さは正義ということですね。
【ふわふわ】に続くはアイドルを目指す少年アルフォンスの舞台だ。
【星の王子様】同様、小柄な王子様の登場に黄色い歓声があがった。
「──さぁ、星空よりも煌びやかなステージを始めよう!」
待ちに待った晴れの舞台に、全力を見せるアルフォンス。そこに出し惜しみなどあるわけなかった。
観客へのアピールを忘れないアルフォンスは、しっかり全てを出し切って、黄色い歓声に包まれながら舞台をあとにした。というか、このイベントステージ、将来有望そうな子が多いですね。
「月の舞姫、華拍子、天爛乙女の津久見弥恵。よろしくお願いします♪」
アイドルや王子様とは打って変わって、スタイリッシュなセクシーさを見せつけるのは弥恵だ。
スレンダーな体型ながらダイナミックな動きと、良く通る自慢の声が見る者を引きつける。
これには観客として見ていたリリィとラーシアも興奮した様子で、
「踊りはさすがに弥恵ちゃんが飛び抜けてるわね。せくしぃよせくしぃ」
「は~、ドキドキしてしまいますね」
と喜んで見るのだった。同じような感想を持つ観客も多かったかもしれない。ファン、いるかもしれませんよ?
メインステージに負けず劣らずのイベントステージは、イレギュラーズ達の飛び入りによってさらに活気づき、大いに盛り上がるのでした。
●いよいよすぴかの出番です!
メインステージの進行も中盤、いよいよその時が来た。すぴかちゃんの出番である。
鳴り響く楽曲はすぴかちゃんのテーマソングである『スピすぴカラーズ』だ。メインカラーの青を基調に様々な色を散りばめたすぴかちゃんらしい一曲だ。
歌い踊りながら、すぴちゃんの瞳にその忘れられない色が映った。その人は小さく手を振る。キュンとなる胸の高鳴りを抱きしめて、すぴかちゃんは更なるパフォーマンスを魅せていく。
【サイリウム隊】の面々は、さらにキレを増すすぴかちゃんのパフォーマンスを前に、自らの胸の高まりを感じていた。
「おぉ……すぴかちゃん今日はいつにも増して力入っているぢゃないか! 皆、私と共にさらに盛り上げようではないか!」
すぴかちゃんTシャツを身につけ、サイリウムで統一された動きを取る二次・元を中心に、【サイリウム隊】の動きがより躍動していく。
「す・ぴ・か・ちゃーん! Fuwa! Fuwa!」
史之が配ったコール本はかなり効果があったように思う。すぴかちゃんを知らないまでも、アイドルに対し真摯に向き合う者達なれば、コール本を熟読し、綺麗にコールへとつなげるのも礼儀というものか。
見知らぬ者達が、一つの曲で一体となるのを感じる。
「派手にやればそれはそれで目立つし存在感を出せるだろうが――観客と演者が居て、だからね」
そう言う行人は二本のサイリウムを手にキレのある動きを見せる。
このハコを一つにするのだと。その先鋒を務めるのだという心意気が、見て伝わってくるのだ。
【サイリウム隊】の動きは本当に盛り上げ隊としての役目を果たしていて、観客は【サイリウム隊】を中心に連携の取れた、一体感在る動きを見せる。
そんな盛り上がりを見せる観客席には腕組みをして立っているだけの男もいた。カインだ。
しかし、その腕組みですぴかちゃんを見守る様は、何処かの敏腕プロデューサーのようにも見える。
後ろから冥利が近づいて来て、隣に並ぶと、すぴかちゃんから視線を逸らさずにいう。
「やっぱりアイドルって良いよねー。最高だよね」
「そうかもな」
カインが小さく応えると、冥利はニコニコと舞台を眺め、小さく手を振る。すぴかちゃんが気づいたようにウインクした。思わず覚えていてくれたことが嬉しくて、冥利は顔を綻ばせる。その様は子供を見守る父親のようである。
「まだまだステージは中盤……これからもっと盛り上げて見せるよっ!!」
磨いてきた技術はどこへやら。とりあえずサイリウムをブンブン振るう焔は、しかしさまふぇす盛り上げ隊として確かな活動を行っていた。
すぴかちゃんのみならず、ステージに立つ全ての歌い手を盛り上げて、まさにさまふぇすを楽しんでいたのだ。
この分ならば、鉄帝のアイドルパルスちゃんのライブで応援するときも、きっと中心になれるだろうね。
「ふふ、エスコートありがとう。ルフトちゃんも一緒に楽しみましょう」
「そうですよ。せっかくのさまふぇすなんですからね!」
リリィとラーシアをエスコートし役目を果たしたと、ほんの少し力を抜いていたルフトに二人から声がかかる。
「俺は二人の笑顔が見れれば十分だ」
その言葉に「一緒にいるのだから楽しみましょう」と笑顔の二人に言われれば、楽しまないわけにはいかなかった。
ステージのすぴかちゃんへと視線を向ける二人を真似て、ルフトは鳴り響く音楽に身を委ねた。
「すぴかぁ~! ぴっかぴかに輝いてるぞぉ~!!」
すぴかちゃんの曲に合わせてヨルムンガンドがサイリウムを振るう。想いのままに力を込めて、応援はさながら舞台装置のように演出を施す。
飛び上がったヨルムンガンドがサイリウムの軌跡でハートマークを描き出せば、それに合わせて、一緒に応援していたレストがシャボン玉を生み出した。
「んふふ~、なかなか大きなのが出来たわね~」
空へと昇っていくシャボン玉。幻想的な演出にすぴかちゃんもキラキラの笑顔で力を込めた。
「みんなぁぁぁ~~! ありがとおぉぉぉ~~!」
素敵な歌声は、きっと空の果てまで届くさ、とヨルムンガンドが微笑んだ。
レストの肩の上で、リスが不思議そうに首を傾げるのだった。
そうしてすぴかちゃんの出番は終わるのだった――。
●すぴかは誰のもの?
ステージを終えたすぴかちゃんの下へ、『すぴかちゃんの王子様』であるアマリリスが馳せ参じた。
「あぁ! アマリリス様ぁ! やっぱりいらしてたんですね!」
「お疲れ様でした。すぴかさま、お元気そうで何よりです。
いやはや、ああいう催しは心が弾みますね、すぴかさま輝いていらっしゃいました」
アマリリスが微笑めば、すぴかちゃんは受け取った薔薇のように真っ赤になって俯いた。
「また何か困ったことがございましたら、是非ローレットをお使いください。
あなたさまの依頼でしたら、このアマリリス、必ずや、馳せ参じます」
そう言って片膝を付いたアマリリスがすぴかちゃんの手を取り甲に口づけしようと近づけて――。
「ひゃ、ひゃー! だ、だめですぅ! 私は皆のものでありますからぁぁ!」
なんだかおかしな口調に変わりつつ手を引っ込めたすぴかちゃんに、クスりと笑ったアマリリスは、「では、またご縁があるその時まで」と一礼して控え室から退出するのだった。
誰も居なくなった控え室で、すぴかちゃんは手の甲を眺め――ブンブンと頭を振って、頬をぺしり叩く。
(び、びっくりしたけど、ちょっと勿体なかったかな?)
「な、なんてね。フィナーレもあるから準備しなくちゃ!」
そうして慌ただしく着替えを始めるのだった――。
フィナーレに出演した歌い手達が並べば壮観な眺めだ。
そこに立つアイドルとしてのすぴかちゃんはまだまだこれからだと思う。けれど混沌を舞台にしたこのさまふぇすをきっかけに、大きな一歩を踏み出せたのかもしれない。
幻想アイドルすぴかちゃんの挑戦は、ここからまた続いていくのだ――!
成否
成功
MVP
なし
状態異常
なし
あとがき
さまふぇすお疲れ様でした!
すぴかちゃんの戦いはこれからだ――!(完)
とはならず、ちゃんと続きます。期待せずにお待ち頂ければと!
MVPはありませんが、盛り上げ隊として盛り上げてくれたサイリウム隊の皆様には、そのままな感じの称号をお贈ります。
イベントステージの優勝は星の王子様だったようですよ。イレギュラーズのど自慢No.1は君達だ!(周りはお子様ばかりでしたが)
そのうちすぴかちゃんのイラストが付きます。楽しみですね。
と、言うわけでまた次回をお楽しみに!
GMコメント
こんにちは。澤見夜行(さわみ・やこう)です。
夏と言えば音楽イベントのさまふぇす! です!
好きな音楽、未知の音楽、様々な音楽に出会いに行きましょう。
さまふぇす! で、すぴかちゃんと握手!
●出来る事
さまふぇすは朝から晩まで楽しめる音楽系お祭りイベントです。
音楽を楽しむ他、出店での飲食が可能です。出店はだいたいなんでもあります。
全般的に妨害行為にならなければ大丈夫です。
練達式サイリウム王者ブレードは皆に配られます。
一人で参加される方も、二人以上で参加される方も以下のシチュエーションを選択してください。
ピンポイントにシチュエーションを絞った方が描写量が上がるはずです。
【1】メインステージ
各国から集められた歌い手によるメインステージです。
いろいろな音楽を聴きながら楽しみましょう。
すぴかちゃん以外の観賞はこちら。
【2】バックステージ
ステージの裏に入って有名人と握手!
関係者として舞台の裏側を覗けます。楽屋もお邪魔できます。
すぴかちゃんと直接話したい方はこちら。
【3】盛り上げ隊!
すぴかちゃんの登場に合わせてメインステージを盛り上げる方はこちら。
全力で応援だ!
一番の盛り上げ上手は表彰されるかもしれません。
【4】イベントステージ
飛び入り歓迎のど自慢大会開催中!
メインステージを喰っちまっても良いんだぜ?
イレギュラーズNo.1の歌い手はあなただ!
【4】その他
その他、迷惑にならない範囲で自由に楽しめます。
●書式
今回から書式運用をしていこうと思うので出来るだけ沿うようにプレイングを記載ください。
一行目:上記出来ることから【番号】または内容
二行目:同行PCやグループタグを記載ください。NPCにご用命ならばこちらに。完全単独もこちらに記載ください。
三行目以降:自由記載
●NPC
リリィ=クロハネ、ラーシア・フェリルの他、ステータスシートのあるNPCは『ざんげ』以外、呼べば出てくる可能性があります。
リリィとラーシアはすぴかちゃん盛り上げ隊として張り切っています。
●その他
・可能な限り描写はがんばりますが描写量が少ない場合もあります。その点ご了承ください。
・同行者がいる場合、書式に従ってグループ名の記載をして頂く事で迷子防止に繋がります。
・単独参加の場合、他の方との掛け合いが発生する場合があります。
・白紙やオープニングに沿わないプレイング、他の参加者に迷惑をかけたり不快にさせる行動等、問題がある場合は描写致しません。
・アドリブNGという方はその旨プレイングに記載して頂けると助かります。
皆様の素晴らしいプレイングをお待ちしています。
宜しくお願いいたします。
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