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シナリオ詳細

<竜想エリタージュ>マールちゃんとメーアちゃん「うわーん、ジャージを着せられちゃったよ~!」

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●ジャージを着せられた竜宮嬢
「うわ~ん! クロバさ~ん!」
 そんな声が響いたのは、竜宮はローレット出張所である。早速竜宮での仕事を探していたクロバ・フユツキ (p3p000145)、ヴェルグリーズ (p3p008566)、星穹 (p3p008330)、ネーヴェ (p3p007199)達。掲示板に張り出されていた依頼の内容を確認していたクロバたちに、見知った声が聞こえたのは、そんな時だった。
「おい、マール……だったか? その格好は――」
「うう、ジャージです……」
 そういうのは、ジャージで萌え袖するメーア・ディーネー。この竜宮の乙姫だ。先ほどの声の主、マール・ディーネーの妹であり、この二人は竜宮でもトップクラスの要人という事になる。なるが、竜宮では結構自由気ままに過ごしているようで、こうして気軽にローレットの出張所に現れたりする。
 それはさておき。ジャージである。この二人は非常に露出度の高い普段着を着ている。具体的に言うと、水着みたいな服とバニーみたいな服である。これは、竜宮では、より海の水との親和性を得るために、肌の露出の多い服装を好むためだといううんぬんかんぬん。そんな二人が、なぜかジャージを着ていた。
「こんな恥ずかしい格好、できないよ~!」
 ぴょんぴょんと飛び跳ねるマールに、首をかしげたのは星穹は小首をかしげた。
「えっと、その……ださい、みたいな意味合いですか?」
「じゃなくて! エッチでしょこのかっこ!」
「どこが?」
 クロバが口元に手をやりながら、唸った。
「むしろ普段の方が……」
「そんな、こ、こんな格好で人前に出るなんて……!」
 メーアが頬を赤らめながらそういう。口元に萌え袖のジャージをあてて。ジャージのくせに可愛い。
「――?」
 ヴェルグリーズが宇宙猫みたいな顔をした。
「それは、その……ダサい、みたいな意味合いかい?」
 思わず同じような言葉で尋ねるヴェルグリーズに、メーアは目を『><。』みたいな感じにして声をあげた。
「え、えっちじゃないですか……!」
 ヴェルグリーズが宇宙猫みたいな顔をした。
「話を、整理……しましょう?」
 ネーヴェが、うん、と頷いた。
「どうして、ジャージを、着ておられるのですか?」
「えっとね、ジャージネードが発生したの! 深怪魔、ジャージ大好き侍のせいで!」
「なんだその今考えたみたいな適当な名前の深怪魔は」
 クロバが頭を抱える。
「じゃ、ジャージ大好き侍は、豊穣の侍の怨念を邪神ダガンの泥が飲み込んだ恐ろしい深怪魔です……!
 舶来もののジャージが大好きだった侍は、死してなお他人にジャージを着せる恐ろしい野望を――」
「分かったよ」
 ヴェルグリーズが宇宙猫みたいな顔をした。
「これ与太依頼だね?」
「メタな話ですね……んっ? ちょっと待ってください、皆様……!」
 星穹が驚愕の声をあげた。
「気づけば私たちも、ジャージを着ています……!」
「ほ、本当、です……!」
 ネーヴェが目を丸くした! イレギュラーズ達は様々な衣装を着ていたはずだが、どれもみんなジャージを着ているではないか! いつの間に! そして同時に、徐々に息苦しくなっていることに気づく。まるで、今まさに、此処が深海であることに身体が気づいたかのように――。
「た、大変なんです! このジャージとジャージネードは、わたしの加護を弱めてしまうんです……!」
「なんだと!?」
 クロバが叫んだ。マールが「><。」みたいな顔をしてぴょんぴょん跳びはねる。
「メーアの加護を受けるのは、肌を露出してる方がいいって言うのは、前にきいたでしょ?
 今は、玉匣が修復されつつあるから、皆の陸上の格好でも加護を受けられるんだけど……。
 このジャージ、その加護を妨げる位に生地の厚いジャージなの! あと、えっちだし!」
「エッチなのはわからんが」
 クロバが喉元を抑えた。
「確かに……まるで酸素が薄くなっているように感じる……!」
「このままだと、竜宮がえっちなジャージシティになっちゃうよ!」
 マールが言うのへ、ヴェルグリーズが顔をしかめた。
「加護がなくなってしまう方が問題では?」
「そ、そうです! 加護がなくなってしまえば、竜宮も大変なことに……!」
 そう、メーアが声をあげた瞬間である!
『ジャーーージッジッジッジッ!!』
 奇妙な笑い声が響く! そう、これは笑い声である!
「きました! ジャージ大好き侍です!」
 メーアが声をあげる。慌てて出張所の外に飛び出てみれば、そこにはジャージを着た侍が! そして、竜宮自体が、恐ろしいジャージの竜巻に包まれているではないか!
「我こそは深怪魔・ジャージ大好き侍! 豊穣の地に生まれ、無念の最後を遂げた侍の怨念が」
「そういうのはきいたからいいんだが」
 クロバが言う。
「ええと……つまり、この騒ぎはお前の仕業で」
「ジャージ!(返事)」
「お前を倒さないと、竜宮の加護が弱まってしまい大変で」
「ジャージ!(返事)」
「つまりなんやかんやあって竜宮の危機だと……」
「ジャージ!(返事) よく気づいたな! だが、こんな面白みのない肌を晒した服を着ている都なぞ滅べばいい!
 世界の人間はすべからくジャージを着るべきなのだ!!」
「うわーん、なんかえっちすぎること言ってる!」
「な、なんて欲望にまみれた……! 恐ろしい深怪魔です……!」
 マールとメーアがそういうのへ、ヴェルグリーズが宇宙猫みたいな顔をした。
「リアクションに困るね……」
「ですけど……加護が、弱まってしまうのは……!」
 ネーヴェの言葉通りだ。すでにあちこちで、竜宮の民や来客たちがジャージを着せられ、苦しそうな顔をしている! このままでは竜宮がジャージ・インモラルシティに……ではなくて、加護を失い竜宮が崩壊してしまう!
「こんな与太みたいな依頼で、竜宮の危機を演出していいんですか……?」
 星穹が困ったように言う。確かにその通りだが、滑り出した筆はもう止まらないので……。
「と、とにかく、依頼としてお願いします! 竜宮を救ってください!」
 メーアがそういうのへ、イレギュラーズ達は武器をとった!
「仕方ない、訳が分からんが、やるしかない!」
 クロバの言葉に、仲間達は頷いた。
 かくして! 竜宮の危機を回避するための戦いが、始まったのである――!

GMコメント

 あたし、マール! なんだか突然、変な深怪魔にジャージを着せられちゃって……。
 うわーん、こんなえっちなかっこ耐えられないよ~! たすけて、皆~!!

●せいこうじょうけん!
 深怪魔・ジャージ大好き侍をやっつける!

●じょうほうせいど!
 B! あたし達は嘘は言ってないけど、ジャージ大好き侍がどんな攻撃してくるかは詳しく分かんないかも!

●しょうさい!
 みんなは竜宮でお仕事を探していたんだよね。そんなときに、あたしたちが助けを求めてきたんだよ。
 「ジャージを無理矢理着せられちゃったの! たすけて!」って。
 あたし達にとって、こんなに肌を隠した格好は恥ずかしいんだけど、それよりもなによりも、このジャージ、深怪魔が魔力で無理やり着せたジャージだから、メーア……乙姫の加護を弱めちゃうの。
 みんなも、息苦しくなったり、身体が重くなったりしてきたでしょ? それは、加護が弱まって、本来の深海の環境が戻ってきてるから。
 それに、竜宮をジャージの竜巻ジャージネードが包んでいて、このままじゃジャージで竜宮が染められちゃう!
 このままじゃ、竜宮が滅茶苦茶になっちゃう! というわけで、深怪魔・ジャージ大好き侍をやっつけて欲しいの!
 皆が戦うのは、午後の明るい時間だよ! 周りはローレットの出張所に近くで、広いから戦闘の邪魔になることはないと思うよ。
 ただ、加護が薄まっているから、少し動きづらかったり、息苦しかったりするかも……。
 水中で動けるようなスキルや準備を持っていると、楽になるかもだよ! がんばって!

●えねみーでーた!
 深怪魔・ジャージ大好き侍 ×8
  豊穣の、ジャージが大好きな侍さんたちの怨念を、邪神ダガンの泥が飲み込んで生まれた深怪魔なんだって。
  八人そろって念じると、ジャージネードを発生させられるんだ! だから、この深怪魔たちをやっつけないといけないの!
  つよさは、八人で大差はないけど、その分ジャージ愛で繋がった絆とコンビネーションは強力だよ! 囲まれないように気をつけてね!
  武器は刀と、火縄銃みたいな武器を持っているよ! 刀は当然、出血系列は警戒したいよね! 萌えるジャージの炎は、火炎系列も付与してくるんだって!
 銃の攻撃は、辺り所が悪ければ、痺れ系列を受けちゃうかも……。痺れを受けた後に出血や火炎を重ねられちゃうと辛いかもしれないね。
 あたしやメーアが回復を手伝うけど、ちょっと手が足りないかもだから、みんなも対策はばっちりにね!

●味方NPV
 あたし! ……じゃなくて、マール・ディーネー
  あたしだよ! 正直戦いは苦手だけど、簡単な回復の術は使えるよ!
  後ろの方で回復術で援護するね!

 メーア! じゃなくて、メーア・ディーネー
  妹のメーアだよ! 乙姫だから、すっごく強い……んだけど、今はジャージのせいで、加護を維持するので精一杯見たい。
  それでも、ちょっとした回復術とか、皆の防御力をあげる補助術とかを使って援護するよ!

●特殊ルール『竜宮の波紋・改』(弱)
 この海域では乙姫メーア・ディーネ―の力をうけ、PCは戦闘力を向上させることができ……るのですが、ジャージを着ているせいで著しく弱まっています。
 付与される水中行動は(弱)程度まで弱体化し、水中行動を持っていても、さらなる性能の向上は受けられなくなっています。

●特殊ドロップ『竜宮幣』
 当シナリオでは参加者全員にアイテム『竜宮幣』がドロップします。
 竜宮幣を使用すると当シリーズ内で使える携行品アイテムと交換できます。
 https://rev1.reversion.jp/page/dragtip_yasasigyaru

 いじょう!
 それじゃ、皆の参加と、プレイングを、待ってるね!

  • <竜想エリタージュ>マールちゃんとメーアちゃん「うわーん、ジャージを着せられちゃったよ~!」完了
  • GM名洗井落雲
  • 種別リクエスト
  • 難易度-
  • 冒険終了日時2022年09月16日 22時05分
  • 参加人数8/8人
  • 相談8日
  • 参加費150RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

クロバ・フユツキ(p3p000145)
深緑の守護者
※参加確定済み※
華蓮・ナーサリー・瑞稀(p3p004864)
ココロの大好きな人
ネーヴェ(p3p007199)
星に想いを
※参加確定済み※
星穹(p3p008330)
約束の瓊盾
※参加確定済み※
ヴェルグリーズ(p3p008566)
約束の瓊剣
※参加確定済み※
八重 慧(p3p008813)
歪角ノ夜叉
ルシア・アイリス・アップルトン(p3p009869)
開幕を告げる星
ムサシ・セルブライト(p3p010126)
宇宙の保安官

リプレイ

 『ジャージは着せるものでなく、着てもらうものである』
                   ‐クロバ・フユツキ(西暦???~混沌歴???年)‐

●ジャージ・バトル
「今の何……? 『●』より早く表示されたけど……?」
 虚空を見上げながら宇宙猫みたいな顔をする『桜舞の暉剣』ヴェルグリーズ(p3p008566)。当の『ジャージの伝道者』クロバ・フユツキ(p3p000145)は、ふ、とニヒルに笑いながら、
「いや、なに……つい、愛が迸ってな……」
 と言っていたので、『桜舞の暉盾』星穹(p3p008330)が疲れた顔をした。
「これ、ジャージの話ですよね? どうして世界の名言のように語れるんですか」
 その問いに答えるものはいない。
「ジャージ……色気のある衣装というイメージは薄いかもしれないけれど、私は知っているのだわ。
 私の大好きな親友がジャージで撮影したお写真が超最高に可愛かった事を」
 そういうのは『嫉妬の後遺症』華蓮・ナーサリー・瑞稀(p3p004864)である。華蓮はふふ、と笑うと、
「マジ可愛いから見て来て、探すうちに他のイラストが目につくのを期待して敢えて何ページかは教えない」
 そういうので、え、マジで? そんなに……? 気になる、ちょっと僕探してきますね!



















「いや、帰ってきてよ洗井落雲! リプレイ書いてから探しに行ってよ!!!」
 ヴェルグリーズが虚空に叫んだ! はい、すみません!
「もうわけがわからないっすけど」
 胡乱気な表情をして、『歪角ノ夜叉』八重 慧(p3p008813)が言う。
「これでも……危機は真面目なんっすね……確かに、こう、息苦しさを感じるっす……」
 慧の言うとおりである。
「ジャーッジッジッジ!(笑い声) 我らの怨念は竜宮をも滅ぼすのだ!」
 深怪魔・ジャージ大好き侍たちが高笑いをあげる!
「あたまが、いたく……なってきました」
 はう、と『とべないうさぎ』ネーヴェ(p3p007199)が頭に手をやる。
「じゃーじだい……えっと。もう一回お願いできます?」
「深怪魔・ジャージ大好き侍!!」
「はい、聞き間違いでは、無かったのですね……」
 すごく嫌そうな顔を、ネーヴェがした。
「それで、その……袖が……ダボダボ、していて。わたくしに着せる、服のサイズ……お間違えではありませんか!?」
 ネーヴェが頬を赤らめてそういうので、ジャージ大好き侍たちと、ジャージ・クロバ・フユツキが「えっ?」っていう顔をした。
「萌え袖……いいよね?」
「いい……すごくいい……」
 侍とクロバが頷き合う。プロは多くを語らない。「いいよね」「いい」で完結するのだ。
「なんの、プロなのですか……!」
 ネーヴェがせいいっぱいの大きい声で突っ込んだ。
「ジャージのプロだが?」
 クロバが言うのへ、ジャージ侍も頷いた。
「これ、クロバ殿は敵なんでありますか????」
 困惑した表情を見せる『宇宙の保安官』ムサシ・セルブライト(p3p010126)。こほん、と咳払いを一つ、
「しかし、甘いでありますね、ジャージ侍!
 なるほど、服装をジャージに変えて戦闘能力やメーアさんから加護を奪う。効率的な戦法でありますね……。

 しかし!!! 貴方達は致命的なミスを犯している!!!!
 そう!!!! 自分には……「変身」が存在するっ!!!!

 そうすればこの今の時期にあっていなくてどこか少しイマドキの流行から外れている感じのこのジャージも!
 なんと今なら鋭角たっぷりでシャープでクールなコンバットスーツに早変わりであります!!!」
「ええっ、コンバットスーツ!?」
 マールが目を丸くした。
「あ、あの、キラキラして光って、全身を隠す……えっちな……!?」
「そおおおおおい!!」
 ムサシが叫んだ!
「コンバットスーツはえっちではないでありますよ!?」
「でも……きらきらしてて」
「きらきらしてるでありますね!」
「全身を隠して……」
「全身を隠しているでありますね!」
「メーア、どう思う……?」
 マールが尋ねるのへ、メーアは顔を赤らめた。
「えっち……だと思います……」
 ムサシは頭を抱えた。
「どうなってるでありますか!? 竜宮!? 異世界転生した先が常識が逆になってる世界とかそういう奴でありますかねぇ!? それともそういう癖!?」
「真面目に考察するのもつかれるわけですよ! 何せ与太シナリオなのでして!」
 肩を落としつつ、『ょぅι゛ょ』ルシア・アイリス・アップルトン(p3p009869)が言う。
「所で……今コンバットスーツに変身したら、コンバットスーツの上にジャージを着ているえっちな図になってしまうわけではないのですか?」
 ルシアが小首をかしげつつ言う。侍たちが笑った。
「如何にも……ジャージの呪いはこのシナリオに限り最強……」
「ええっ、コンバットスーツの上からジャージを着るの!?」
 マールが顔を赤らめた。
「え、えっちすぎます……!」
 メーアがきゃー、って言いながら目を抑えた。
「この隠れ里の常識どうなってるの????」
 ムサシが地団駄を踏む!
「いや、いや、確かにコンバットスーツの上からジャージはおかしい……うん? でも最近の特撮ギャグ回や、スピンオフとかアニメ・漫画の流れから行くと、こう言うコンバットスーツの人がジャージを着てだらだらしてるのも、それはそれでコメディとしてありなのでは……?」
 ムサシが思考の迷路に迷い込んでいる中、ルシアはむむ、と頷いた。
「ところで、なんだかジャージ侍に関しての説明が流暢じゃなかったのです?
 もしかしてこれって定期的に起こってることでして……???」
 そういうルシアに、メーアは頷いた。
「定期的……というほどではありませんが、伝承によると、何度か」
「あるんですね、何度か……」
 星穹が嫌そうな顔でクロバを見た。
「なんで俺を見るの?」
 クロバが不思議そうな顔をした。
「まぁ、クロバ君は関係ないにしても。そうなると、抜本的対策が必要なのだわ」
 華蓮が言うのへ、慧が頷く。
「そうっすね。定期的でないにしても、またこれが起こるのは面倒……あ、侍さん方。ちょっと作戦会議するので、待ってほしいんっすけど」
『ジャーッジッジッジ……しょうがないにゃぁ、いいよ』
 侍たちが頷くので、イレギュラーズ達は車座になって話し合いを始めた!!
「ジャージの危機……う、ううん、どうすればいいのかまったく思いつかない……」
 ヴェルグリーズがすごく困ったような顔をした。
「とりあえず、ジャージ侍は倒すのは決定して……その後の、アフターケア、かい?」
「そうね。とにかく、二度とこんな茶番が起きないようにしないといけないのだわ!」
 華蓮がそういうのへ、ひとまず仲間達が頷く。
「ここはクロバ様をやっつけておくのはどうでしょうか。何となく、こう言うシナリオをリクエストしそうですし」
 星穹がそういうのへ、クロバは渋い顔をした。
「ハイ・ルールって知ってる?」
「もう反転したようなものでは???」
「旅人(ウォーカー)なんだよな……」
 クロバが唸る。「冗談はさておき」と、星穹。
「こう……逆に寄り添う……形で。例えばジャージを……文化として定着させる……?」
「それなら、こう言うのを考えています!」
 と、ルシアが言う。
「例えば「バニージャージ」という竜宮城のみでのジャージの新概念を生み出せば!
 もしジャージネードでまた着せられても加護が大丈夫になるのですよ!」
「バニージャージ……!?」
 メーアが顔を赤らめた。
「エッチなバニーさん!?」
 マールが目を丸くした。
「いえ、そもそもバニーはえっちでありますよ?」
 ムサシが困惑した表情を浮かべる。
「デザインはー、

 ・ジャージとの親和性やバニーっぽさを出すために肩紐を無くしたスク水、みたいな格好
 ・上はスーパークロップな、下はニーソ位の長さのあるレッグウォーマーなジャージにして加護の受けやすさ(肌面積)確保
 ・うさ耳も勿論ジャージ生地、その為ふんわり垂れうさみみ

 って感じでどうでして?」
 さらさらさら、とメモに特徴と簡単なイメージ図を描いていくルシア。皆がそれを覗き込んだ。
「ほう、つまりこれを、竜宮のスタンダードなジャージとする……」
 クロバが唸った。
「ジャージ……? これ……?」
 ネーヴェが困惑した表情を見せる。果たしてこれはジャージなのだろうか。でも、竜宮っぽさを残しつつ、ジャージっぽさもある。
「……う、うーん、バニーな格好より、マシ……?」
 ネーヴェの基準がブレそうな気がした。何ともここにいると、基準値がブレてしまいそうだ。
「そうだねー、これくらいなら可愛いと思う」
 マールがそういうのへ、隣でメーアがこくこくと頷いた。
「じゃあ、今後これを売り出していく形としまして!」
 ルシアの言葉に、皆は頷いた。
「えーと、とりあえずこれで、後顧の憂いはたてた……のかな?」
 ヴェルグリーズが言う。宇宙猫をし過ぎて、もう顔が戻らないような気がした。
「では、残りはさくっとジャージ侍を退治する流れで」
 慧がそう言った。はい、と一同、頷く。
「ふふふ、お待たせしたのだわ! ジャージの人達!」
 華蓮がばん、とジャージ侍たちの前に立ちはだかった!
「ここからはジャージバトル! ジャージの着こなし、学ばせてもらうのだわ!」
 ばーん、と華蓮が声をあげる! ジャージ侍たちは笑った!
「良かろう! このジャージ侍をうならせるジャージの着こなし、見せてもらうぞ!」
 バチバチと火花を散らす視線! 交差するそれが、激しい戦いを予感させた!!
「……そういう、話でしたっけ……?」
 ネーヴェが困惑するのへ、ヴェルグリーズが宇宙猫になった。

●さよならジャージ侍
「ジャージ侍と相対するにあたって……!」
 華蓮が声をあげる。
「ちょっとだけオーバーサイズ気味のジャージが良いと思うのだわよ。
 ジャージの方を大きくできれば話が早いのだけど……ちょっとジャージ侍さん達に聞いてみましょうか」
「いけます」
「ならよしだわ!」
 と、華蓮がうん、と頷くと、ジャージが一回り大きくなった。ダボっとした感じのそれは……!
「オーバーサイズ、萌え袖……そう、彼ジャージだわ! 体育の時間、すこし冷えちゃった身体に、レオ……彼がかけてくれたジャージ。少し恥ずかしそうに、ありがとうって……」
「いいねぇ! シチュエーション込みでとってもいいよ!」
 と、のこのことジャージ侍の一人が歩いてやってきたので、
「死ねーっ!!」
 ムサシが後ろから思いっきりレーザーブレードした。ぎゃー、と悲鳴を上げてジャージ侍が爆散!
「はい、次!」
 ムサシがぶんぶんとレーザーブレードを振るった。隣では、ぎゅおおお、と音をたてながら、ルシアが魔砲をチャージしている。
「所で、侍さんたちは、ジャージの襟を、立てる派、ですか? 折りたたむ派、ですか?」
 ネーヴェがにっこりと笑いながら、そういう。
「ちなみに、ジャージの襟は、立てる派、です。兎の無防備なうなじが、噛まれてしまったら、大変ですもの!」
「確かに……!」
 侍が言った。
「立ってる方が……可愛いよね?」
「いやまて、アレは折れてるから意味があるんだ!」
「あぁ!? なんだテメェ、やんのか!?」
「すっぞおら、まっじテメどこ中だオラ!?」
『死ねーーーッ!!』
 のこのことすきを晒した二人の侍を、ムサシのレーザーブレードとルシアの魔砲がぶち抜いた!
「次ッ!」
「でして!」
 だんっ、と二人がそういう。慧がこほん、と咳払い。
「あー、そうっすね……。
 ジャージ好きとか言いつつほぼ一種類の着こなししかしてないとか、ホントにジャージ愛あるんすか?」
 慧の言葉に、じろり、と侍たちが視線を送る。
「……聞こうか」
 やたら渋い声で侍が言うのへ、慧が頷く。
「例えば……ジャージを完全に閉じているわけっすが……前を開いた状態で、中のシャツが見えるのもいいっすよね。
 それに、例えば上着だけを着て、丈の長いジャージならまるでワンピースのようにもつかえるっす。
 これならば、竜宮の人達にも無理なく……無理なく! 皆着てくれるんじゃないかな、と思う訳っすが……」
 ちらりちらり、とマールとメーアを見やる慧。二人はうーん、と声をあげた。
「そうだねー、上着だけなら可愛いかも!」
「それなら、加護も妨げられませんね……!」
 二人が結構乗り気だったので、内心ガッツポーズする慧。
「どうっすか。所詮はその程度の愛……出直してくるっすよ」
「そ、そんな……馬鹿な」
 侍が一人、項垂れた様子を見せた。
「お、俺たちの愛が……まだま」
『死ねーーーーーッ!!!』
 ムサシのレーザーブレードが! ルシアの魔砲が! 慧の呪血が! 侍を襲う! ぎゃー、と悲鳴を上げて侍が爆散!
『次ッッ!!』
「そうですね……逆のアプローチをしてみましょうか。手伝ってください、ヴェルグリーズ」
 星穹がそう言って、宇宙猫(ヴェルグリーズ)にこそこそと耳打ちをする。ぽん、と音を立てて、宇宙猫がヴェルグリーズに戻ると、
「え、ええ……? 自信はないけれど……?」
「併せてくれるだけでいいですよ。此方も合わせますから」
 と、いたずらっぽく星穹が笑うので、ヴェルグリーズはこくりと頷いた。それから、こほん、と咳払い。
「あージャージってほんとダサい。つらい。こんなの着ないといけない私の身にもなって欲しいです。
 仮にも成人している身ですが?(過ごしたことはないけど)ようやく学生生活とおさらばしてあのクソダサジャージから離れられると思ったのに。ねえ?」
 そういじわるそうに言う星穹に、侍たちがびっくりした顔をした。
「な!? ジャージはそんなにわるくない!」
「最悪ですよ。ね、ヴェルグリーズ?」
「そ、そうだね! ジャージなんて……すごく芋っぽいじゃないか!!」
 わたわたとなんとか悪口をひねり出すヴェルグリーズ。星穹が悪そうな笑顔を浮かべた。
「ね? こんなイケメンな人がそう言ってるんですよ?」
「ゴッフッ」
 侍が吐血した。
「おっぶえ」
 クロバも吐血した。
「え、クロバ殿、大丈夫か……?」
「放っておいていいですよ、これも織り込み済みなので」
 星穹がにこやかに笑いつつ、
「本当に暑い。ジャージって汗臭くもなりやすいですし衛生環境も終わってそうですよね。
 土やら砂やらもくっつきますし洗濯するこちらの身にもなっていただけないことかしら!」
 ぽん、と星穹がヴェルグリーズの背中を叩いた。ヴェルグリーズが頷き、
「生地も厚いし……夏場とかものすごくこもるし! 汗とかものすごく吸うし!」
 ジャージへの解像度が低いうえに、ののしり慣れてないので何処か棒読みである。可愛い。が、侍たち(後クロバくん)には強烈なダメージをもたらしたようであった!
「そ、そんなぁ」
 侍が涙ながらに言った。
「そんなに罵倒しなくても」
『死ねーーーーッ!!』
 一同の一斉攻撃が、好きを晒した侍に突き刺さる! 侍たちが爆発四散! 残りは一体だ!
「ふ、ようやく俺の出番という訳か」
 クロバが言う。
「途中酷いDisもあったが……おかげでパンドラも削られたが……ねぇ、知ってる? 俺のパンドラ、あと26くらいしかないんだけど」
 さておき、こほん、と咳払い。クロバはゆっくりと、侍を見据えた。
「いいかよく聞け! ジャージは日常の象徴。それを強制することは何人たりとも許されぬ暴挙ッ!!」
 びしっ、と指さすクロバ!
「けれどマールやメーアたち竜宮城の人々はえっちと呼ぶ!
 なれば、俺がすることはただ一つ! 革命だ!!
 錬金術(サイエンス)が導く未来!! それを見せてやる!!」
「か、革命……!?」
 侍が怯えたような表情を浮かべた!
「みろ、これを! これが、俺の答え! 俺の革命だ!!!」

 商品名:竜宮式バニージャージ
 説明:クラゲをモチーフとした柔らかみと透明感のある生地によって肌の露出と着衣という行為を融合した新たなスタイルを演出。パーカーの要素を輸入したうさ耳フードによって竜宮城らしさも完備!

「どうか!」
「うーん、確かにこれなら、可愛いかも」
「はい。既存のジャージの枠にとらわれないジャージ……ジャージレボリューションですね!」
 マールとメーアもよくわからないことを言う。多分、場の雰囲気にのまれていたのだろう。それは、侍も一緒だった! そもそも数を減らし、なんだかよくわからないが追い詰められた侍! その力が弱体化し――。
「あ、脱げるのでして! ジャージが脱げそうでして!」
 ルシアがそう言って、メーアのジャージを引っ張る。
「マールちゃん、そっち持って! そう! それで、いっせーの、せーで引っ張るわけでして!
 いっせーの、せーっ!」
 ばりぃ! と呪いのジャージが破けた! 同時に、復活する、竜宮の加護!
「しまった! ジャージの呪いが!」
 侍が吠える。クロバは笑った。
「見たか。真のジャージとは、人を幸せにするもの……驕ったな、ジャージ侍!」
 クロバが刃を抜き放つ!
「これが! 真のジャージ愛の力だ! 喰らえ、ジャー」
『死ねーーーーッ!!!』
 クロバ以外の全員が、一斉に侍をぼこぼこにした! 呆然とするクロバを尻目に、仲間達が頷き合う。
『それじゃあ、この話、これで終わりという事で』
 異口同音に告げるその言葉に、クロバはこくり、と頷くことしかできなかった。

 完。

成否

成功

MVP

なし

状態異常

なし

あとがき

 それじゃあ皆さんの渾身のジャージイラストお待ちしてます。マールちゃんとメーアちゃんにもジャージ着せましょうね。

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