シナリオ詳細
<チェチェロの夢へ>加工工場、稼働せず
オープニング
●動かない加工工場
もはや名前の失われた加工工場があった。
食糧として適している植物を育て、缶詰の形で加工する工場だ。
かつて動いていた頃は日々忙しく動き、加工した干し果物の缶詰を製造していた。
しかし、今はもう動かない。
機械の何処かに不具合が発生し、製造工程全体に波及してしまったのだ。
当然だ。こうした機械は非常に繊細なのだ。
適切なメンテをしなければ、壊れてしまうに決まっている。
しかし、そのメンテ要員は何処に行ったのか?
かつて此処にいたかもしれない人々は、もう此処には居ない。
では誰が?
施設のあちこちで稼働停止しているゴーレムだろうか?
ゴーレムの損傷具合は様々だが……動かないことは共通している。
もしこのゴーレムたちが施設の整備を担当していたのであれば……なるほど、工場が動かなくなった理由も想像できる。
しかし、精霊を様々な動力源として使っていたアーカーシュの文明の産物であれば、当然精霊もいるはずだが……一体、何処に行ってしまったのか。
少し探せば、精霊たちが工場の外にいるのが見えるだろう。
「エラー、エラー、エラー。エララララララ……」
やはりエラーを引き起こしているようだが……どうやら、水のハイエレメンタルであるようだ。
その周囲にはウォーターエレメンタル、そしてサンダーエレメンタルの姿がある。
実体化した精霊たちは明らかな暴走をしているが、これを鎮めるには……やはり、1度倒すしかない。
そして幸いにも、この場所を「知った」者たちがいた。
●加工場の話
『木漏れ日の優しさ』オデット・ソレーユ・クリスタリア(p3p000282)は、暴走を鎮めた光のハイエレメンタルから「他の施設」の情報を聞きだしていた。
場合によっては暴走する前に間に合うかも……と思ったのだが、残念なことに「その場所」にも暴走する精霊たちの姿が確認できた。
そう、アーカーシュには古代文明による施設がたくさん残されている。
その古代文明がどのようなものであったか、その全容は未だに解明されていない。
しかし浮遊島アーカーシュにはその残滓たる器具が幾つか残されており、同時にそれ等は壊れたものが多かった。
それによる精霊の暴走は倒せば鎮まることが分かっていて、今のところそれが一番良い方法である。
つまるところ、暴走する精霊の多い場所には「何かがあるかもしれない」わけだが……今回オデットが情報を得た島でも、ハイエレメンタルを含む精霊の大暴走が起こっている外周浮遊小島が発見されていた。
そこに至るまでには幾つかの小さな小島を超えていかなければならないのだが……飛行するか岩ほどの小島をジャンプすることで辿り着くしかないだろう。
では、超えた先に何があるのか?
ハイエレメンタルの話によれば「食糧加工工場」であったらしい。
勿論、古代のものだ。植物が残っていてもどの程度「使える」かは不明だが……どうやら果物の生る低木樹の類であったらしい。
運が良ければ生き残っているものもあるかもしれない。
しかしそれも、まずは精霊の暴走を鎮めなければ確かめる事も出来ない。
「大丈夫、私たちならやれるわ!」
オデットの元気な声に応え、仲間たちは動き出すのだった。
- <チェチェロの夢へ>加工工場、稼働せず完了
- GM名天野ハザマ
- 種別通常
- 難易度NORMAL
- 冒険終了日時2022年06月24日 22時05分
- 参加人数8/8人
- 相談7日
- 参加費100RC
参加者 : 8 人
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参加者一覧(8人)
リプレイ
●飛び立て、空へ
「無駄に戦わずに精霊たちを苦しめずに済むと思ってたんだけどなぁ。でも苦しむ時間が短いと思えば! 頑張って助けるわよ!」
気合の入った『木漏れ日の優しさ』オデット・ソレーユ・クリスタリア(p3p000282)の声がアーカーシュに響く。
アーカーシュで何度か精霊の救出を行っているオデットは残念そうではあるが、何しろアーカーシュはそれ自体が古代都市だから仕方のないことではあるのかもしれない。いつどうなってもおかしくのない状況だったのだ。
しかしオデットの言う通りに、彼女たちが来たことで精霊たちも正気に戻るだろう。それは幸運であることに間違いはない。
「空島……色々とあるもんだな……壊れた物が多くて鍛冶屋として働き甲斐があるというものだな。このままガンガン色々と修理しまくって、修理の経験値を高めていきたいところだな」
『カースド妖精鎌』サイズ(p3p000319)も何度か頷くが、サイズ自身アーカーシュのこの手の事件に関わっているのである程度「勝手知ったる」といったところであるだろうか?
「缶詰の工場か。そんなものまで存在しているとは。また正常稼働するように出来れば、結構便利な代物となるのだが……まぁ、まずは出来る事を確りとやろうか」
『陰陽式』仙狸厄狩 汰磨羈(p3p002831)の言葉通り、この工場が正常稼働すれば古代技術による缶詰が再び流通することになるし、それは遺跡の村レリッカの食糧事情にも大きく貢献してくれるだろう。
「はじめてのこうじょー! たまにちいさい子(植物)たちがいるねー!! 金属は齧ったら変な味がするー」
『駆け回る初心者』ライトゥイ・フェイン・フロウス(p3p010614)も楽しそうにそんなことを言うが、ちなみに金属はかじるものではない。念のため。
「缶詰……古代の人達は精霊の力をそんな風に使っていたのですねぇ。本来、精霊は自然現象のようなものなのにね……洗濯だったり、お風呂だったり、缶詰だったり。しかも下位の精霊ならまだしも、そこそこ高位のハイエレメンタルを……ちょっと頭が痛くなってきました……。古代人、精霊はもうちょっと威厳とかあるでしょうに。今と違って身近過ぎたのかしら?」
『夢語る李花』フルール プリュニエ(p3p002501)はかつてアーカーシュに住んでいた人々のことに想いを馳せる。
まあ、精霊の力をコンロや冷蔵庫、電灯などに使っていた事例もある為、かなり身近なものであったことは間違いないだろう。
実体化している精霊が多いのも関係しているのかまでは分からないが……。
「それはそうと、まずはハイエレメンタル達を落ち着けなければいけませんね。今回は水と雷……特にハイエレメンタルが水ということで、そっちがメインの属性ということになるのかしら。私とは真逆の性質だけれど、火と水は親和性というなら抜群なのよね。お風呂とかもそうだし」
「ひとまず、味方からの回復もあるので、恐れずに突っ込みましょう。後はなるようになります」
フルールに『鋼鉄の冒険者』オリーブ・ローレル(p3p004352)がそう答えるが、事実それが一番の手ではあるだろう。
「缶詰工場とは、なるほどなるほど。一体何を詰めていたのじゃろうな? ツナ? サバ? ……え、植物? うどんこ草とかその辺でもパッケージングしてたんけ? あ、でも蓋を開いて5秒で七草粥とか便利そうでいいのぅ」
「あるいはドライフルーツ加工工場、ですよ? 保存用のものであるならば、届ける予定のまま置きっぱなしで当時のままの缶詰とかもありそうでして」
「流石に古すぎてどうにかなってそうじゃのう」
「ドーンでして!」
『善なる饂飩屋台』御子神・天狐(p3p009798)と『にじいろ一番星』ルシア・アイリス・アップルトン(p3p009869)はひとしきり笑いあうと、ルシアと天狐はキリッとした表情を作り直す。
「もしもあれば試食! ……は中身の状態によるので、実物を見てみるまで保留ですよ……それにしても……こうも色んな場所で精霊さん達がおかしくなってるって話を聞くと、何とかしてあげられないのかなーって思うのでして……うーん……」
「まぁ細かい事は置いておいて、今は従業員を落ち着かせるのが先じゃな! さぁ行くぞ!未来の饂飩缶詰工場を夢見て!」
「とりあえずは! 悩み事は目の前のことが解決してからにするのですよ!」
そう、まずはこの先で暴走している精霊を鎮めなければならない。
天狐とルシアの言葉を合図に全員が飛び立って……それに合わせるかのように精霊たちも飛んでくる。
「全地形対応の欲張りセットで皆の支援じゃ、どうせなら全員有利に立ち回る方が良いじゃろうからな! 地の利を得る者は勝利を掴む! 迅速に行くぞい!」
天狐のデリバリーソウルが溢れ出し、味方を鼓舞していく。
「本気で殴っても良さそうだが。まぁ、気分的にはこの技が妥当か」
「今回も精霊が多いし、時間が経てば乱戦になりそうだから、味方同士の誤射は気を付けないと。私は大丈夫ですけど」
汰磨羈の験禳・雷靂熕が放たれ、フルールの神気閃光が輝く。
「――不殺付きとはいえ、威力は十二分にあるけどな。叩かねば直らぬ連中だ。このくらいの痛みは我慢して貰おう」
「ええ、敵の数は多いですが……動き続けて狙いを定めさせず、攻撃を味方と織り交ぜれば的も絞れないでしょう。集団の中へ入り込んでかき乱すと同時に範囲攻撃の使用を躊躇わせ、こちらの有利に持って行きましょう!」
オリーブも上質な長剣を構えて突っ込み、サンダーエレメンタルへと覇竜穿撃を放つ。
「エラーエラーエラーエラーエラーエラララララララララ……」
「こうして真正面から見ると、なんとも……!」
水のハイエレメンタルのエラーを起こす姿にオリーブは思わずそんなことを呟いてしまうが……どうにかするには倒すしかない。
「回復はまかせてー!」
ライトゥイもそう叫びながらも位置取りを常に意識していた。
「諸事情で無理は出来ないため後衛だが、妖精を守る事を止めたら妖精武器としてここにある工場のように腐るのみだからね」
サイズもそう呟きながら用途不明ユニット『魔砲』を起動させるが……戦いの準備はしっかりと出来ていて、援護の体制も整っている。
負ける理由などあるはずもなく、程なく精霊たちは正気を取り戻したのだった。
●加工工場へ
「終わったから収穫しに行くのです! 未知の果物、やっぱり気になるのですよー」
「せっかくですから工場を調べておきましょう。と言っても技術的な事は分からないので、非戦闘員を招いても大丈夫かどうかの安全確認が主になるでしょうか」
「うんうん、工場見学とでも洒落込むかのー。なんかこう、ワクワクするじゃろ!? こういう場所!」
うおー、と工場へルシアは駆けていき、その後をオリーブと天狐が追うが……辿り着いた工場はあちこちが壊れ、かなり無残な姿を晒していた。
「さて、前回サウナを修理したが……今回は食糧加工工場か……工業技術が使えそうだな」
サイズもそう言いながら、工場内を確認していく。
やはり古代文明の代物だからか、かなり劣化はしているが……逆に言うと、思ったより劣化はしていない。
ある程度の時期までは整備されていたような、そんな痕跡すらあった。
「だが運用までいくのは無理だな、仮にシステムを完全に修理出来たとしても、肝心な食糧が見つかるか怪しいし、長期保存に適した缶詰にするにも、長期の食べ物の保存に適した金属があるかどうか……一応鑑定眼で探すが、こればかりは運だし、期待はするなよ?」
実体化したままの精霊たちがサイズを興味深げに見ているのに気付き言いながらも、サイズは「まあ、商業知識以外の鍛冶屋の前提スキル全部と、アナザーアナライズで工場の修理だな」などと言いながら修理を始めていく。
「後は教導で分かりやすくメンテナンスや工場の運用法を纏めた書類……マニュアルを作っておくか……使えるかどうかわからんが……まあ、素人でも分かりやすくしておくのは工場として必須機構だからな。また、食糧を缶詰にするのは無理でも料理でなにか作れるかもしれないな…それをオデットさんや皆に振る舞うのもありだな。さて、職人の本気を出すよ!」
そんなサイズの周辺で精霊たちが拍手をしていたが……どの程度まで修理できるかはサイズ次第、といったところだろうか?
「精霊さん、精霊さん。水のハイエレメンタルさん。気分はどう? 自分が何をしていたのか、わかる? 暴走していたのよ。心当たりはないかしら? 周りの小さな精霊達はあなたの暴走につられた感じかしら? ふふ。ここのこと、良かったらたくさん教えてくださらない? それから、意識もあるようだし、あなたも名前が欲しくない。実は他のハイエレメンタル達も名前を貰っているの。あなただけないよは不公平じゃない?」
「名前ですか。まあ、好きに呼ぶとよろしいでしょう。心当たりについては……この施設の機能停止でしょうね。私達は此処を動かすように契約していますので」
フルールに水のハイエレメンタルはそう答える。ハイエレメンタルを含み、この施設の稼働が契約条件に入っている。
だからこそ、それが稼働しなくなるとエラーを引き起こしてしまうわけだが……水のハイエレメンタルもまた、その前提から外れることはできなかった……ということだろう。そんな水のハイエレメンタルに、オデットも話しかける。
「ここは別の施設の光のハイエレメンタルから聞いたのよ。エラーを起こす前に修理しに来られなくてごめんなさい」
もう少し早くわかってたら戦うこともなかったのが悔しいのよ、と言うオデットを水のハイエレメンタルはじっと見る。
「別に貴方方の責任ではありません。私達はいつ暴走してもおかしくない状況でした」
事実、アーカーシュのあちこちには暴走した精霊たちがいる。この状況自体をどうにかしなければいけないのだろうが……。
そんな水野ハイエレメンタルの言葉にオデットは気分を切り替え、それはそれとしてどんな植物が育ってるのかしら、などと考え始める。
「ねぇ精霊さんたち、修理しがてら新しい植物を育てる、とかどうって聞いたらあり?」
自分の領地の林檎を布教してみるオデットから妖精印の林檎を受け取り、水のハイエレメンタルは近くに飛んできたウォーターエレメンタルに渡す。
「みずみずしくておいしいから食べられるんだったらきっと精霊たちも気に入ってくれると思うのよね」
「植えてはみましょう。育つかは分かりませんが」
「話が人段落ついたところで、工場のシステムと修理の目途の話をしよう」
そうして汰磨羈は水のハイエレメンタルにサイズから聞いた情報を含めた現状を話していく。
完全に直す事は無理だろうが、やれる事はやっておきたいし、仕組みに関する情報や回収してもよい部品を持ち帰るだけでも、役に立つかもしれん……などとも思ってもいた。
「ああ、そうそう。缶詰の中身も気になるな。どんな果物なのだろうか。食うのは……流石に拙いか?」
「お腹を壊しますよ? 人は長い時の果てに劣化し尽くした食べ物を消化できるようには出来ていないでしょう」
「……まあな」
色々と加工してはいたらしいが、材料は外部持ち込み……であったらしい。
そして工場の内部では天狐たちが興味深げに周囲を見回っていた。
「興味深いのう。どんな缶詰を作ってたのかとか、どんな機械やテクノロジーが使われていたのかとか。まぁワシ機械よくわからんがな! でもなんか浪漫あるじゃろ?」
どうやら見学コースらしきものは存在しないが、なんか凄い機械である事だけは天狐にも分かる。
「あとはそうじゃなぁ、ハイエレメンタルに聞いたら収穫場所とかわかるのかの? 未だ見ぬ何かが実っておったら、それで饂飩でも作るかのう!」
「此処は基本的に外部持ち込みですが……庭に行けばそういうものもあります」
「おお!」
現れたハイエレメンタルの言葉に天狐はダッシュで向かっていって。
出荷前の缶詰を保管してある倉庫では、ルシアが缶詰を発見していた。
開けると……なんかヤバげなものが出てくる。
「わっダメそうでして……! でもここまで来たのです、最悪パンドラがあるしひと口だけ……!!」
「やめなさい」
ルシアにハイエレメンタルがチョップをして止めるが……そのチャレンジャー精神だけは評価すべきだろうか。
「おはなさん、トゥイとお友達になるー?」
庭で花に話しかけているライトゥイと比べると落差が酷いが……これもまたイレギュラーズならでは、だろうか?
ともかく、こうして……最低限稼働するようになった缶詰工場は、また「いつか」の製造開始の時を待ちながら、試験稼働を始めるのだった。
成否
成功
MVP
状態異常
なし
あとがき
最近の缶詰って凄いですよね。
昔と比べてもどんどん進化してる気がします。
というわけで皆様、おつかれさまでした!
GMコメント
今回の目的地は「缶詰工場」です。
とはいえ、工場の稼働自体は現時点では直しても「収穫」までしか不可能でしょう。
●出てくる敵
・ハイエレメンタル(水)
なんらかの原因で荒れ狂う高位精霊です。自然現象のようなものですが、倒すことで鎮めることが出来ます。意思を持ち、言葉を話すことが出来る存在も居ます。
神秘単体攻撃や範囲攻撃を行います。神秘単体攻撃や範囲攻撃を行います。窒息系統のBSを保有しています。
・ウォーターエレメンタル×10
なんらかの原因で荒れ狂う精霊です。自然現象のようなものですが、倒すことで鎮めることが出来ます。
神秘単体攻撃や範囲攻撃を行います。窒息系統のBSを保有しています。
・サンダーエレメンタル×10
なんらかの原因で荒れ狂う精霊です。自然現象のようなものですが、倒すことで鎮めることが出来ます。
神秘単体攻撃や範囲攻撃を行います。雷系統のBSを保有しています。
●特殊ルール『新発見命名権』
浮遊島アーカーシュシナリオでは、新たな動植物、森や湖に遺跡、魔物等を発見出来ることがあります。
発見者には『命名権』があたえられます。
※命名は公序良俗等の観点からマスタリングされる場合があります。
特に名前を決めない場合は、発見者にちなんだ名が冠されます。
※ユリーカ草、リーヌシュカの実など。
命名権は放棄してもかまいません。
※放棄した場合には、何も起りません。
このシナリオでは飛行スキルや、飛行可能アイテム効果を持っていると戦闘判定が有利になります。
飛行を持たない場合は騎乗戦闘可能なリトルワイヴァーンを持っているものと見なします。この場合飛行戦闘は可能ですが、判定は有利にはなりませんのでご注意下さい。
また簡易飛行や媒体飛行は、飛行には含みませんので、ご注意下さい。
●情報精度
このシナリオの情報精度はBです。
依頼人の言葉や情報に嘘はありませんが、不明点もあります。
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