PandoraPartyProject

シナリオ詳細

再現性東京202X:不笑不酔否即百叩刑

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●今年は収録しないと聞いたんですが?
「練達が大変ン? どォ~~~~こがでありますか? この通り無事に『年末年始(メリクリ)』してるでありましょう?」
「あー、わかりみ……ン゛ンッ、私分かっちゃったわぁ。『あの番組』を流さないことで酒のアテをなくして休肝日を設けさせようっていうんでしょぉ? そんなことさせないわぁ」
「そんな小癪な企み知ったこっちゃありませんわー! 平和になった練達には今こそ笑いの力が必要なんですわーー!!」
 今年は『笑ってはいけない』を練達でやりません。
 そんなうわさ話を聞きつけたエッダ・フロールリジ (p3p006270)、アーリア・スピリッツ (p3p004400)、ヴァレーリヤ=ダニーロヴナ=マヤコフスカヤ (p3p001837)の3人、誰が呼んだか『アルハラトリオ』は練達のテレビ局に突撃(カチコミ)に行った。つい先日までインフラ全滅状態だった国に対してあんまりの仕打ちじゃない? え、終わった話だからオーケーだって? もうちょっと情緒というものを考えて。
「わかったであります。そういうことなら自分達が番組に出てやるでありますよ」
 そもそも企画が走ってないんだって。落ち着いて。
「パパスが報告書でビンタかましてるのは知っていますわ! 呼べば話がつきますかしら?」
「ヴァレーリアちゃん名案~」
 いや名案ではなく。
 テレビスタッフ達は彼女らの滅茶苦茶すぎる行いにもう言葉もない。けどこいつら、曲がりなりにも練達を救った英雄だし……。そんな悩みで頭痛がしそうな状況を打開する策などはたしてあるのだろうか?

●笑えよ。でなきゃ笑わせてやる
 数日後。
 アルハラトリオ含む8名のイレギュラーズは練達の再現性採石場(どこだそれ)に呼び出され、チープ極まりないゲートの前に立たされていた。多分ゲートあたりに誰か出てくるんだろうな。
「よく来たゆおまえたち。これからおまえたちを地獄に突き落とすわたちがパパスと」
『パパスだゆ』
 そこに現れたのはスーツ姿の『ポテサラハーモニア』パパス・デ・エンサルーダ(p3n000172)と、パパスそっくりの人形だった。まあ彼女に抱えられてきたしなんかパパスがつまみをひねったような動きで声を出したのでそういう仕掛けなのだろう。なのだろうが、絶妙なだきまくらアトモスフィアが逆に笑いを醸し出す。
「ンだゆこいつわたちの偽物かゆ!? ふざっけ」
『ンダッコラー! ザッケンナコラー!』
「おゥッフッ!?」
 お約束のように、パパスが人形に突っかかってみせる。するとパパス(人形)がパパス(本物)の脚を払ってテイクダウンしてその身を締め上げた……かに見える演技をなめらかに行う。
 ああ、見たことあるぞこういうトレーニング人形使って取っ組み合いしてる演技。あんまりにヌルヌル動くもんだから数名が吹き出してしまった。
『OUT』
 誰だいまの声。
 笑ったイレギュラーズの前に隠れていたスタッフがコップを持ってくrうっっっっわ酒臭っ!
「わかったかゆ。おまえたちは笑う度酒を飲まされゆ。あ、未成年はなんか酔った気分になる飲み物で実際ノンアルゆな。まーそういうモンを飲みながら今回のシチュエーションを完遂してもらうんだがゆ、潰れたりロクな動作できなくなったらケツが猿のように赤くなゆからそのつもり……」
『猿のようにとか動物差別かゆ』
 パパスが笑ったメンツが飲む様子とともに説明を差し挟む。なるほど今回は二段構えか。念の入ったことで確実にケツを叩こうというわけか。
「うるっせえゆこの偽物っぶゥー?!」
 話を遮った偽物ボイスに激高してみせたパパスが逆水平をかまそうとする! だが人形はパパスを裏投げ(したように見せた)!
 上になり下になり取っ組み合いを演出する一人芝居が終わらない! ……終わらない! イレギュラーズ視線が冬の夜空のごとくに冷たいぞ! どうするパパス!
 というかこんなモンに巻き込まれて24時間耐久なの? え、マジで。舞台はどこに?
「しゃあっ笑ってはいけない名物バス移動ゆ!」
 といって車の音が響いて……おっとこれは移動式の大型浴槽付き車両だ! 『バス移動』違いじゃねえか!
「あ、行き先は希望ヶ浜ゆ。笑ってはいけない教育実習生ゆ。アーリアおまえ教師なのに実習生とか大変ゆな。あ、夜間の当直もよろしくゆ」

GMコメント

 確かに笑ってはいけないはやりましたよ去年。
 でも今年引き継ぐの私じゃなくても全くよくない……?!

●成功条件
 誰か一人でも倒れずに24時間後を迎える

●番組
『笑ってはいけない希望ヶ浜教育実習生24時』。去年はローレットだったのにな。
 今回はカチコミかけた面子のせいでだいぶ色々変わっております。
 流れとして
 笑う→アルコール(未成年はなんか酔ったような感覚を体験できる)がごく微量入った飲料を飲む→(繰り返し)→露骨に酔っ払った態度を取る→尻にパパスの『ポテサラホームラン』(防無・飛の物理攻撃)が飛んでくる流れとなっております。
 パパスは積極的に授業中(という体)の皆さんの教室に潜り込んでネタをかましに来ますし君達も他の実習生(参加者)の授業でキラーパス投げて笑わせにいってもいい。
 なお体育は全員参加で『絶対に捕まってはいけない』になります。おっと罰ゲームを張り付けたフルフェイスヘルメットの一団のご到着だ!

●つまりどうすればいいんですか?
 プレイングとして「授業やってるげのロールプレイ」「笑いへの対応」「酔った時の対応」「仲間へのキラーパス」「あと全体的にいい感じのリアクション」などを600文字みちみちに詰めてブン投げりゃいいとおもうんですよね。
 笑ってはいけないを受け継いでいく生贄を探すよりはマシだろ。

●パパス
 レスリングでの登場から全体的にやりたい放題やってきます。耐えろ。

  • 再現性東京202X:不笑不酔否即百叩刑完了
  • GM名ふみの
  • 種別リクエスト
  • 難易度-
  • 冒険終了日時2022年01月15日 22時25分
  • 参加人数8/8人
  • 相談8日
  • 参加費150RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

ヴァレーリヤ=ダニーロヴナ=マヤコフスカヤ(p3p001837)
願いの星
※参加確定済み※
仙狸厄狩 汰磨羈(p3p002831)
陰陽式
アーリア・スピリッツ(p3p004400)
キールで乾杯
※参加確定済み※
エッダ・フロールリジ(p3p006270)
フロイライン・ファウスト
※参加確定済み※
リサ・ディーラング(p3p008016)
蒸気迫撃
ブレンダ・スカーレット・アレクサンデル(p3p008017)
薄明を見る者
シューヴェルト・シェヴァリエ(p3p008387)
天下無双の貴族騎士
ジョーイ・ガ・ジョイ(p3p008783)
無銘クズ

リプレイ

●所謂『ほならね理論』である
 才あるものが多数の批判や論評を押し付けられた際に口にしがちな発言に、「なら自分でやってみせろ」というものがある。
 それだけ立派なことを言ってのけるのだから、自分達が作ればさぞ素晴らしいものになるのだろう……そういう皮肉である。無論、この寓話には「論評の精度と製作物の質はイコールではない」という事実がすっぽ抜けていることを含めて一種ギャグのような扱いを受けている、という皮肉が込められているのだがそれはさておき。
「『あの番組』見る分にはだぁいすきで、今年なくなっちゃうかもって聞いて絶望してたの。でも、でもね? やる方に回るのはもっと絶望よぉ!」
「まさかあの有名な番組に吾輩が出演?! これは明日には吾輩も有名になってもてもてに……なるかーい!」
 『キールで乾杯』アーリア・スピリッツ(p3p004400)は完全に今回の事例に於いて被害者みたいな位置にある。放送局襲撃も仲間が全部算段つけたんです本当だよ。『どんまいレガシー』ジョーイ・ガ・ジョイ(p3p008783)は彼女ら経由で出演オファーが来てホイホイ乗ってしまったが、導入ジェットコースターのせいでもう状況の危険性を理解してしまっている。残念だが逃げられると思うな。
「僕はこの笑ってはいけない初参加なんだが……まあ、うまいことやっていくとしようか」
「ん? 実習生? なに、笑わなければいいんだろう? そんなものは簡単だ」
 『チャンスを活かして』シューヴェルト・シェヴァリエ(p3p008387)はこの企画に初参加である。そして元より教師である『導きの戦乙女』ブレンダ・スカーレット・アレクサンデル(p3p008017)もまた、初参加だ。寧ろ全員初参加である。何度と無くこんな企画に参加している面子が居ようものならちょっと常識というものを疑われてもおかしかない。何度となくコスプレをしたり酒に溺れたりえらいことになっているブレンダが簡単だ、とか大丈夫だ、っていうのは信頼性に凄く問題があるが。情報精度C-くらい。
「なーるほど、この番組、要は笑ったり酔っ払って潰れたらダメなんすね。しかし残念ながら私もお酒は好きっす、つまり笑ってお酒飲めるのなら上等ってもんっすよ!」
 『スチームメカニック』リサ・ディーラング(p3p008016)の発想には大きすぎる誤謬が存在する。端的に言うと、『好き』と『強い』は天地ほどの差があるということ。
 
「まあ自分、笑いはともかく酔っても顔に出ないタイプでありますしぃ?」
「ふむん、此処が噂に聞く、笑えば笑うだけお酒を飲める天国ですのね」
 イレギュラーズ各位がきれいなフラグ建築を済ませていく中、フラグ立てるどころか堂々と自分から突っ込んでいって自滅します宣言を繰り広げる『祈りの先』ヴァレーリヤ=ダニーロヴナ=マヤコフスカヤ(p3p001837)とか言う奴と自信満々に勝利宣言(大嘘)を開始前からぶちかます『フロイライン・ファウスト』エッダ・フロールリジ(p3p006270)とか言う奴が並んでいた。お前達がテレビ局率先して脅したんだぞ、責任取れよ。
「おまえたち、バラエティを甘く見てないかゆ? 今年も伝統を継ぎましょうなんて言った手前だらしねぇ真似したらこうなるゆ。いいかゆ?」
 パパスは先ほどまで一人芝居に用いていた人形をバスに放り込むと(ここが笑いどころだがノーカンだ)、転がされてきたサンドバッグをバットで軽く叩く。軽く足を上げてバットを振り上げると、全身を用いたスイングでサンドバッグを強打した。千切れる鎖、爆ぜるサンドバッグ。細工がされているとしても一同の和気藹々としたフラグを一撃粉砕する衝撃がある。
「ナメた真似こいたらこうゆ。おまえたちのケツを4つに割ってやゆ」
「やるじゃないか……それで、知っているか? 笑ってはいけない奴は3つに分けられる」
 パパスのあからさまな脅迫に一同ブルっちまいそうな中、『陰陽式』仙狸厄狩 汰磨羈(p3p002831)の朗々たる語りが聞こえてくる。この状況にあって心が折れないとは、中々……。
「笑いのツボが浅い奴。
 仲間をハメる奴。
 ビンタされる奴。
 ――この3つだ」
 ガラリと(いつのまにか用意されていた)衣装室を開いた姿は、狸の着包みを身にまとった汰磨羈の姿だった。ここだけでもう面白い。数名が膝をついた。
\ヴァレーリヤ、アーリア、リサ、ブレンダ、ジョイ、OUT/
 本来はバス移動まで笑いカウントはノーカンの筈なのだが、今回ばかりは話が異なるようで。
 アウト判定を食らった全員の前に運ばれてきたショットグラスは、ほぼほぼ水のようなものだった。よく嗅げばアルコール臭もするが……。
「ズルでございますわ! あんなのズルでございますわ! そしてこのお酒! 殆ど水でございませんの!」
「ダメよぉヴァレーリヤちゃん。薄くないとすぐ酔っちゃうわぁ……」
「汰磨羈さんズルいっすよぉ!」
「笑わないとっ、思ってるのか……っフフ」
「真面目になってはいけないからの笑ってはいけないとか吾輩何か悪い事したでありますかなぁ?」
 既に命を擲つ気なヴァレーリヤ達は兎も角残り3人はもらい事故もいいところである。このたぬき(ねこ)が早速しかけに来ている。
「じゃあ一斉にオープンゆ」
 なお、全員飲み干してから着替えをはじめましたが、その結果。
「……マンマァ~~」←スモック姿の赤いアルハラ
「ズルいであります。ヴィーシャの無表情はズルであります」←スーツ
「こういう番組では女装というものもつきものな気がするしな……なんなら僕だけじゃなくジョーイも女装し」←女装
「ちょっとぉ?! ミニスカスーツを予想してたらこれパンダの着ぐるみじゃないですかー?!」←時流
「もう笑っちゃうわぁ、先に飲んで酔って、何が起こったのか解らず笑わないって天才の策略よぉぐびー」←国語教師
「ばぁばぁ、みゃう、りさ、げんき!みんあぱいぱい、おっきい……畜生!」←スモック(2)のリサ
「いや笑うだろうこれは。私は笑い上戸だから酔っ払わなければなんとかなるが……」←フラグ全積みの体育教師
 この通り大惨事である。互いに互いを笑うもんだから全員OUTだ。君達とても仲がいいな。
 酒にゲロ弱い面子なら酒気を感じもするだろうが、飲兵衛各位にとってはこんなもん水である。なおこういうのでも3杯で顔が赤くなる奴がいるんだってよ。
「え、この涎掛けで酒を噴き出しても問題ないってふざけるなー!」
「お笑いには疎いのでな、私は却って手強いぞ?」
「全く。この手の番組はあくまで観るものであって、参加するモノではないと思うのだがな? 挙句、こんな着包みを……あっつぃーーーッ!?」
「ブフッ」
 涎掛けをひらひらさせて怒りを露わにするリサを横目に、ブレンダはこの状況に勝機を見出した。見出したが、汰磨羈がすかさず座ろうとしたバス席に激熱湯たんぽトラップで跳ね上がればその限りではない。
\ブレンダ、エッダ OUT/
「チッ、バレたでありますか」
「たりめーゆ。キリキリ飲めゆ」
 初っ端からこの調子で、イレギュラーズは果たして無事に尻を守りきれるのだろうか……?

●互いを貶め合う地獄
「よーし希望ヶ浜ゆ。おまえたちも分かってるだろうけどこれから授業だからキリキリ準備すゆ」
 パパスに職員室(とは名ばかりの空き教室)に放り込まれた一同は、それぞれに割り当てられた席に就く。なお、アーリアとブレンダ、汰磨羈の机には自身の指導要領やら資料やらが入っている念の入れよう。何させたいんだこの番組。
「教員室のそれぞれの引き出しにみんなの恥ずかしい写真とか入ってるでありますよきっと。おや、これは……」
 で、そんな机をおもむろに物色しだしたエッダ。これが定番と言わんばかりの引き出し劇場を期待していたようだが尺が足りない。代わりに……。

「…………」
 イレギュラーズ一同、そしてエキストラの生徒達は必死に笑いを堪えていた。
 無言でずかずかと教室に入ってきたエッダが、一人ひとり至近距離で睨みつけていくのだ。無表情で。まあそれはいい。その圧で笑いかける者もいるが。
 問題は、彼女がビジネススーツからなぜかスモックに着替えていたこと。ぱんつとかみえそう。嬉しくねえ。
「…………」
「…………」
「………………」
「……ふふっ」
\アーリア、OUT/
 だめだった。全然だめだった。笑うまで粘られては笑うしかない。ギリギリ、リサとジョーイが耐えきったがそれ以外全員アウトである。
 アーリアのアウト宣言でホッとしかけたヴァレーリヤは奇襲で死んだ。
「エッダ先生の授業は『バブから学ぶ交渉術!!』きちんとバブれない奴は一杯追加でありますよねパパス嬢!!」
「ぁう~~~? ぶぅー!」
 エッダは上手いこと笑いと罰を引き込もうとした。流れ弾で腰を折って倒れ込んだ。アウトだ。
「ほらほらバブってオギャらせるゆ。なぁエッダァ!」
「そのとおりでありま、だぅ~~~~」
「好(よし)」
 エッダの授業のはずなのにパパスにボールを渡すから悪い。
 ここでバブりが弱かったシューヴェルトと汰磨羈がやられた。
「きゃっきゃっ、あーぁい!」
「真顔っ」
 ブレンダの奇襲にジョーイが膝を折った。リサも一連の流れで瀕死だ。

「吾輩の担当科目は…ダンス?! 今の授業ってダンスまでやってるのですなー」
「ダンスって体育の選択科目じゃないのか?」
「細かいことを囀ったら死が待っていますわ! ここは受け入れねば!」
 続いてジョーイの科目はダンス。鬼ごっこはギリ回避したこの場で、唐突にジョーイはダンスを始めた。
「さあ! みなさんも踊るですぞー!」
 何故かキレッキレで集団が映えそうなダンスを始めるその姿に、イレギュラーズは負けじと乱入する。授業だしね。
「そんなにキレッキレなダンスが出来……るっすね」
「こんなの簡単よぉ、1993? とかいう再現性東京でやったわぁ」
「アーリア、その踊りはバブリーで教育に悪いと思うぞ……?」
 リサはジョーイより体ができているのでうまい具合にダンスが出来、アーリアは何故かバブリーな感じで扇子を振る。汰磨羈は突っ込んじゃいるがきぐるみ姿で想像できないレベルの動きを繰り返す。
「足にきますわね、あのお酒……」
 ヴァレーリヤ、酒量はそんなでもないのに既にちょっと足が覚束ない……何故か? 正解は『ダンス』にあった。そう、動きが激しい分酒は回るのだ!
「ヴィーシャはだらしないでありますね。まだ序の口でありますよヘイヘイヘイ」
 エッダは挑発的に創作ダンスに興じつつ、ヴァレーリヤを煽る煽る。その背後で其々の目論見があちこちに展開していることを思えばまあ……そういう感じなのだが。
(ただ飲んで踊ってでは容易に酔い潰れてしまうことは目に見えている……つまりここは動きが小さく周囲を笑わせ)
 シューヴェルトはその辺で賢い男だった。自分の弱みを把握した上で、笑わせるためにロボットダンスをやろうとしたのだから。だが、彼は賢いが抜けていた。
 ――パパスとかいう機雷がその辺で踊っているという当たり前の事実に。
「ヘェイメェーン↓」
「ブッッッフッ」
 崩れ落ちるシューヴェルト! 突如響き渡る「ダンス中に笑ったら蹴り」の警告! ジョーイは担当として負けられない!
「ふん! ポテサラなんぞに吾輩のダンスが負けるはずが……なんか無駄にキレッキレだこれ!?」
「去年の放送を見なかったおまえの負けゆ」
「カポエイラっ!!」
 このやり取りだけで既に数名だめだった。寧ろ全員ダメだよ。ケツが割れたよ。

「今から例文を読み上げる。御主等は後に続け」
 次の授業は汰磨羈の英語だ。英会話、つまり崩れないバベルの状況下では無意mいえなんでもありません。一同は身構えた。
「My name is Tamaki. I'm not Tanuki.」
「ふっ――」
「…………ふふっ」
 汰磨羈、たぬきの着包みのまま繰り返す。You're not TANUKI.
 ゴリ押し系と単純トラップに弱いブレンダとヴァレーリヤは即座に、アーリアはややおくれて笑いが炸裂する。
 リサはもう酒を飲んでも笑いの余波でびっちゃびっちゃ吹き出している。涎掛けが役に立ったねってきったねえわ。女の子にこんなことさせるとか番組スタッフに人の心はないんか?
「次は僕の社会だな。……大丈夫か?」
「シューヴェルト殿なんでベーシックな女装からいきなりメイド服になっているでありますか!?」
「人を統べるということは心をつかむということだ。分かるか。一個人の強力な牽引力が統治の巧拙を分けるんだ」
「御主この状況でツッコミ全部無視して授業始めるのはズルくはないか!?」
 シューヴェルトは下戸であるが冷静だった。だからこそ、真顔でボケることをする。ジョーイと汰磨羈はこういうのに弱い。
「要するに相手が誰でもウケを取れればコミュニケーションとしては正解だ。……以上」
「早くなぁい?」
「つまり文句言う奴はケツスイングでいいゆね」
「すいませんナマ言いましたぁパパスちゃんちょっとやめ」
「パパス・ファウスツ」
 スッパァン!
 アーリアは思わず口に出してしまいキラーパスを受け止める形になりました。QPK(急にパパスがきたので)。
「いいわぁ、この放送がゴールデン帯なことを公開させてあげるわぁ」
 アーリアはそういうと教壇に立ち、国語の教科書を開き淡々と文章を読み上げる。声のトーンが魅力を全振りにしたそれで、流れてるだけで色々とコンプラギリギリだ。
「――とヴァレーリヤケツバットされし」
「寝てゆな」
 ヴァレーリヤはそろそろおねむの時間なのでケツが4つに割れるように丹念にケツバットをくらいました。
「うっうっ……酔った自分を制御できない大人は、人間のクズでございますわ!」
「じゃあおまえは落第ゆ。道徳の授業を自分でウケなきゃなんねえゆ」
「鬼ですの?」

「じゃあ私は物理学っすね。わかってると思うっすけど自由落下は――」
 リサが言葉を切ったところで、ブレンダに蜜柑の箱の中身が、シューヴェルトにはタライが、ジョーイにはオイル缶が其々落ちてくる。
「重さじゃ決まらないっす。大丈夫っすか?」
「それ実験した歴史をちゃんと伝えればいいだけじゃないですかー! 大丈夫でありますよもう!」
 リサがしれっと言うもんだからジョーイも突っ込まざるを得ない。
「あ、体育は全員スモックで参加ゆ」

●醜い大人の(自分への)甘さ
 そんなわけで最終授業として始まった体育だが……まあ、これがひどい。
「なんの! まだまだ酔ってないぞ! この程度の鬼ごっこ、余裕でクリアして……」
「たまちゃんの前にこれをそぉーい☆」
「あ、マタタビッ☆ ペロッ、これは高級マタタビにゃぁーんッ」
 汰磨羈、脱落。多数の罰ゲームに巻き込まれる! 薄い本なら合同誌一冊はかたい。
「ヴァレーリヤちゃんエッダちゃぁん、協力してくれるなら後でお酒奢るわよぉー!」
「本当でありますねアーリア。嘘はいけませんよところでブレンダ殿はなんで分身してる上に自分の顎紐を引っ張イダダダダダダダダ」
「あれがお酒ですのねー! クッ、木の上なんて小癪な! なんでっ、なんで棒で届きませんの! 落ちませんの!?」
 アーリアの取引に即座に応じようとしたエッダはしかし、ブレンダに捕まって顎パッチンの刑を受けていた。他方、もうひとり買収されたヴァレーリヤはブレンダの仕掛けた高木の空き瓶を木の棒で必死に落とそうとして無様を晒す。こんな情けない姿見たら教団の信用地の底だよ。


「……なんであの人たち、ああも脚引き摺り合っているんす???」
「あれが習性のようなものだからだと、思ヴッ?!」
 リサが呆れたように呟く傍ら、陸鮫を駆使して逃げようとするシューヴェルトがいた。
 いたが、陸鮫ごとパパスに引きずり降ろされ罰ゲーム隊に投げつけられた。
「絵面的に面白くない奴はメチャ許せんゆよなぁ~~?」
「理不尽」
 こればっかりはリサが全部正しい。

(逆に考えるんだジョーイ……酔っぱらってもいいさと)
 ジョーイはそんな状況の中必死に逃げつつ流れに身を任せようとした。普段からふざけていればセーフだと。
「あっそんなことはないでありますね? 畜生ォ!」

「ブレンダちゃん、あんまりひどいことするとスモック姿見せびらかすからね!」
「ばら撒かれたらこっちも全員分ばら撒くからな!!!」
「……記録映像で全員晒し者っすよね?」
「「あ」」
 言い争いで動きを止めたが運の尽き。ブレンダ、アーリア、リサはまとめてホームランされた。
 されたけど、ブレンダがなんか体育教師の意地で耐えきった。
 なお練達全国ネットで全部流れた。

成否

成功

MVP

ブレンダ・スカーレット・アレクサンデル(p3p008017)
薄明を見る者

状態異常

ヴァレーリヤ=ダニーロヴナ=マヤコフスカヤ(p3p001837)[重傷]
願いの星
アーリア・スピリッツ(p3p004400)[重傷]
キールで乾杯
エッダ・フロールリジ(p3p006270)[重傷]
フロイライン・ファウスト
シューヴェルト・シェヴァリエ(p3p008387)[重傷]
天下無双の貴族騎士
ジョーイ・ガ・ジョイ(p3p008783)[重傷]
無銘クズ

あとがき

 醜い足の引っ張り合いでしか摂取できない栄養ってありますね!
 パンドラ減少量はともかくとして半数くらい重傷だよ! やったね!

PAGETOPPAGEBOTTOM