PandoraPartyProject

シナリオ詳細

涼を求めて

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング


「あ"つ"い"よ"ぉ"〜〜〜〜!!!!!!」
 深緑、アンテローゼ大聖堂。大樹ファルカウの麓で1人の精霊種が今にも死にそうな声をあげていた。
 彼女はこの混沌世界の住人ではなく、アーカンシェル(門)を通った向こう側『妖精郷アルヴィオン』の住人だ。つまるところ、妖精である。
 妖精郷は常春であり、御伽噺の世界よろしくメルヘンでファンシーな場所だ。一時は冬に閉ざされようとしたものの、イレギュラーズたちの尽力により守られた経緯もある。
 故に、その復興作業などをちまちま進めているらしいが――その傍ら、以前と同様に門を通って遊びにくるらしい。彼女、リウムもまたそうして遊びに来た者だったのである。
 しかし、時期はすっかり夏。常春の世界から来た彼女は暑さに参ってこの体たらく……というわけだ。
「やだぁ"〜〜〜〜死んじゃうよ"ぉ"」
「……と言われても、どうしたものか」
 行き倒れていた(?)妖精を保護した『迷宮森林警備隊長』ルドラ・ヘス(p3n000085)は小さくため息をつく。冷たい薬草茶を出された妖精が回復したのは良いが、これはこれで――騒がしいというか。
 リウムは珍しいものを探しに来たと言っていたが、はるか昔から交流のある深緑では見覚えのあるものばかりだろう。となれば他国への外出となるが、それ以前に暑さをどうにかしてやらねばならない。
「うーん……」
「と"け"ち"ゃ"う"〜〜〜〜」
 悩むルドラ、ぐったりしながらも喚くリウム。
 この解決にイレギュラーズに白羽の矢が立つのは、ある意味当然のことだった。



「……まあ、そういうわけなんです」
 ブラウ(p3n000090)が苦笑しながら依頼書を差し出す。向かう先はどうやら鉄帝らしい。
 この混沌世界において、鉄帝は北に位置する。夏でも比較的涼しい場所が多い。
「その北部にいるモンスターが、倒すと冷たいスイーツになるみたいで! きっと妖精さんも喜んでくれると思んですが、どうでしょう?」
 カキーゴリと呼ばれるモンスターなのだが、その体は職人技で氷を薄く削ったが如くらしい。そのままでも美味しく頂けるが、甘いシロップをかけても良いのだとか。
 しかし、それをどのように回収するのか。地面に落ちたものを食べろとは言われないはずだ。
「はい! そこはちゃんと考えましたよ!」
 どうぞとブラウに示されたのは『焔の因子』フレイムタン(p3n000068)……と、彼の持つストローのようなものだった。
「我がやるのか……?」
「あ、いえ、それは誰でも構わないんですが。フレイムタンさんが持つあれが、カキーゴリの体を保護してくれるんです」
 あれをシャボン玉の要領で吹くと、薄い膜がカキーゴリを捕まえてくれるのだという。行動を阻害する力はないが、攻撃を加えても破れないので初手で使ってしまうべきだろう。
「新鮮なカキーゴリは特に美味しいそうなので、お気に入りのシロップを持っていって味見も良いと思いますよ! それじゃあ、いってらっしゃい!」

GMコメント

●成功条件
 捕獲膜に閉じ込めたカキーゴリ×20の捕獲

●情報精度
 このシナリオの情報精度はBです。不明な点もあります。

●カキーゴリ×??
 小さな氷山に手足がついたようなモンスターです。倒すとふわふわかき氷になります。
 大きさは人間の子供にも満たないですが、めちゃくちゃ素早いです。あと攻撃が痛いです。殺られる前にやっちまえスタイル。
 彼らの攻撃には【氷結】【足止】のBSがあります。また、HPが0になった直後、自爆(自分中心範囲攻撃)してふわふわかき氷になります。

●捕獲シャボン
 練達謹製の捕獲機です。ストローを吹くとシャボン玉が飛び出て、カキーゴリを捕らえてくれます。
 対象を捕獲することではなく、対象の衛生を守ることに制作観点が置かれています。そのため、捕獲膜内のカキーゴリはとても衛生的です。カキーゴリを倒した後も地面につくことなく、低空飛行でその場に止まります。
 ストローを捕獲膜にくっつけると膜が破れます。逆にそうしなければ破れませんので、遠慮なく攻撃しましょう。その場で食べたい分だけ膜を割ってください。
※ 食べる際には器が必要です! プレイングで皿持参と書けばOKです。

●フィールド
 鉄帝に存在する山の中腹。そこそこ涼しいです。
 道から外れなければ戦いに支障はないでしょう。対象を1体見つければ芋づる式に出てきますが、何体で行動しているか不明です。

●NPC
『焔の因子』フレイムタン(p3n000068)
 精霊種の青年。物理ファイターで、そこそこ戦えます。彼もカキーゴリが気になるようです。
 特に動きの指定がなければ、捕獲シャボンを会敵初手で使用し、以降は順番にカキーゴリを倒します。

●ご挨拶
 愁と申します。
 暑いですね。参加したらまず「皿持参」だけ書いてプレイング送信しておくと良いです。冷たいもの食べましょう!
 それでは、よろしくお願いいたします。

  • 涼を求めて完了
  • GM名
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2021年08月19日 22時05分
  • 参加人数8/8人
  • 相談7日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

クロバ・フユツキ(p3p000145)
背負う者
オデット・ソレーユ・クリスタリア(p3p000282)
鏡花の矛
サイズ(p3p000319)
妖精■■として
スティア・エイル・ヴァークライト(p3p001034)
天義の聖女
炎堂 焔(p3p004727)
炎の御子
クルル・クラッセン(p3p009235)
森ガール
イズマ・トーティス(p3p009471)
青き鋼の音色
アルトリウス・モルガン(p3p009981)
金眼黒獅子

リプレイ

 大陸の北に位置する鉄帝は――北だからと言って涼しい、寒いという絶対的法則はないが――比較的、他の地より涼しい。日差しさえもどこか柔らかく感じる。
 しかしそれはそれ。イレギュラーズの全てが鉄帝にいるわけではなく、当然ながらこの暑さには参っていたのだ。
「冷たくて美味しいし、暑い夏にはぴったりな食べ物だよね」
 『リインカーネーション』スティア・エイル・ヴァークライト(p3p001034)の足取りは軽やかに。夏と言えばかき氷、それをいっぱい食べられるチャンスとあらばやる気も当然上がる。
(でも、モンスターなんだよね。不思議だなぁ)
 混沌には数多の生物がいるけれど、ウォーカーでなくともその生態に驚きを感じる事は少なくない。もはやいちいち気にしないという者もいる。
「それじゃあちょっと余分に倒してかき氷パーティーしよう! ね、フレイムタンくん!」
「全員の頑張り次第だな」
 『焔の因子』フレイムタン(p3n000068)が視線をくれると『炎の御子』炎堂 焔(p3p004727)が勿論、と両のこぶしを握る。第一優先は依頼分のかき氷確保。あとはどれだけ自分たちの分を確保できるか。
「ここは他より涼しいから、あまり食べると寒くなっちゃいそうね?」
 くすりと笑った『スピリトへの言葉』オデット・ソレーユ・クリスタリア(p3p000282)は『カースド妖精鎌』サイズ(p3p000319)を見る。鞄の中を気にしているサイズは、いつだって妖精の事で頭がいっぱいだ。
「内容が内容だからのんびりできそうだし……大丈夫だと思うけど、あまり無茶はダメよ? サイズ」
「ええ、わかっていますよ」
 頷くサイズだが――やっぱり、心配である。誰よりも妖精を想うが故に。
(少しでも早く、涼しくなれるように頑張らねば!)
 サイズはかき氷確保後の段取りを既に考え始めていた。どのようなルートが一番早く要請へ辿り着けるだろうか。空中神殿を介すのが良いか、それとも確実に地を行くか。
「どちらにしてもすぐさま、とはいかないだろうな」
 相談を受けたフレイムタンも考え込む。空中神殿と各国が繋がっていると言っても、その場からすぐさまワープできるわけではない。ワープできる地点までは移動しなければならないし、深緑についてからもアンテローゼ大聖堂まで移動する必要がある。
 2人が意見交換をする後ろで『青き鋼の音色』イズマ・トーティス(p3p009471)は空を見上げた。日差しはどことなく和らいでいる気がするが、それでどうともならないのがイズマだ。
(俺はむしろ、暑いと調子が上がるもんだけど……普通はしんどいよな)
 しかも妖精たちの住まうアルヴィオンは常春だという。ぽかぽか陽気に慣れ切った者が灼熱の地へ突然やってきたら――そりゃあ、死んでしまうと思うだろう。
「深緑では珍しいトッピングも持って行ったら喜ぶかな?」
「いいね! 深緑はあまり外と交流しないから、すごく喜ばれると思う!」
 深緑生まれ深緑育ち、『森ガール』クルル・クラッセン(p3p009235)はぱぁっと目を輝かせた。ついでにそれ、自分もトッピングして食べてみたい。混沌グルメに目がない彼女としては是非とも味わってみたいものである。
「イイ感じのかき氷と珍しいトッピングをお届け! うんうん、選べるぐらい頑張って採取しないとっ!」
 それに沢山採取しておけば自分たちも沢山食べられる。かき氷食べ放題だ!
「ま、かき氷は確かに、この季節には食べたくなるものだしな」
「いっちょ張り切ってみっか!」
 『新たな可能性』アルトリウス・モルガン(p3p009981)の言葉に続こうとした『ただの死神』クロバ・フユツキ(p3p000145)は不意にぶるりと体を震わせた。おかしいな、まだかき氷は食べてないんだが。此の寒気はいったい。
 フレイムタンから捕獲シャボンを渡された一同は地から、或いは空からカキーゴリを探す。暫ししてサイズが「見つけた」と空から降りてきた。
「まずはカキーゴリちゃん達を閉じ込めないとね」
「ああ」
 クルルが、次いで焔やクロバたちが続いて捕獲シャボンのストローを構える。カキーゴリたちは一同の姿に気付くと、ぶんとその頭(?)を振った。
「わぁっ! なんかひんやりしたよ!」
 避けた焔は、その息吹にも似た突風に冷気を感じ取る。直撃したら無事では済まないが、それはそれとしてこの季節には涼しい風になりそうな。
「涼しいからって飛び込んだりするなよ!? フリじゃないからな!?」
「もちろん! 涼しくなるならかき氷いっぱい食べたいもん!」
 声を上げるクロバにクルルは素早くシャボンへカキーゴリを閉じ込めていく。彼らは閉じ込められた当初こそ戸惑いを見せていたが、それが何の害にもならないと気づくと再びイレギュラーズを攻撃し始めた。
「あとどれくらいだ?」
「もうそろそろ良さそう!」
 ストローを吹くフレイムタンにクルルは答える。ざっと見て30弱か。そろそろ反撃に入っても良いだろう。スティアがすかさず魔力を練り上げ、旋律に変えて福音を鳴らす。
「こっちにおいで!」
 ちょこまかとした動きでスティアの方へと群がっていくカキーゴリ。サイズは内の1体に黒顎魔王を放つ。アルトリウスも加勢にと飛び込んだ。
「めっちゃ暑いからなァ、お前らの攻撃で涼しくしてくれよ!」
 その声にカキーゴリの何体かが振り返り、やってやろうと言わんばかりに氷の息吹を吹きかける。エイロネイア魔式で受け止めたアルトリウスを援護するようにイズマの苛烈なビートがカキーゴリたちを襲った。
「まずは少しずつ、確実に、ね」
 オデットの周囲で魔法陣が輝き、多重展開されたそれらから立て続けに魔術が放たれる。しかしカキーゴリたちも生死がかかっているのだ、やられる訳にはいかない。オデットへ抗戦する姿にサイズが飛び込みながらリリカルスターを放つ。
「そうはさせない!」
 乱入者に敵の視線が集まっていく。その間に、とクルルはオデットが狙ったカキーゴリへ一矢を放った。甘く蕩けさせる媚毒の香り。射抜かれたカキーゴリはブルブルと震えだし――ボフン! と盛大な音を立てて爆発した。後に残るのは強靭なシャボン玉と、その中にできたかき氷である。
「この調子だ、文字通り粉みじんにシェイクしてやる!」
 クロバの腕が振るわれ、赤と黒が敵を薙ぐ。爆発の気配を察して素早く飛び退けば、次々と空気が大きく震えた。
「冷たい……けど、私だって負けないよ!」
 スティアの魔力が冷気を帯びる。形取り、舞い踊るのは散りゆく氷結の花。
 ――さあ、どちらがより命を凍らせるか。
 一方のオデットはサイズに庇われながら、その身に無限の紋章を宿す。まだまだ目標のかき氷には程遠い。もっと範囲攻撃で数を増やさねば!
「フレイムタンくん!」
「ああ!」
 仲間たちの範囲攻撃で体力を削られたカキーゴリに焔とフレイムタンがコンビネーション良く仕掛けていく。幸いにして、彼らの火でカキーゴリが溶けていくと言うことはないようだ。あくまで氷山のような姿をしているだけ……となると、どうして倒してかき氷になるのか甚だ疑問であるが、今は置いておこう。
「自爆させるぞ、気を付けろ!」
 イズマの声に2人ははっと振り向く。そして彼の狙う個体を目視すると離れた位置へと飛び退いた。次の瞬間、彼のビートにカキーゴリが震え、爆発する。
「いい調子だ! これさえ耐えりゃかき氷が待ってるぜ!」
 皆の士気を上げんと声を上げるアルトリウスは目の前のカキーゴリを殴りつけた。日差しの下、動いて汗をかいたところからカキーゴリの冷気で冷やされていく。風邪っぴき待ったなしだが不思議と今は暑さも寒さも感じない。
(オレも皆も、妖精だって楽しみにしてるしな! 負けらんねえ!)
 立ち続ける意志。心の奥で燃え上がるそれがアルトリウスの足をしかと地面に付けさせる。
「――そうそう、美味しいものを前に倒れてらんないもんね! みんなも、わたしもっ!」
 彼へ天使の歌を贈ったクルルは素早く次の一矢を番え、放つ。マンドレイクが絶叫する声の如く風の中を突き抜けて、カキーゴリたちの集まる一地点へと着弾した。
「畳み込むよ!」
 焔の火炎弾が飛び、次いでオデットの放った熱砂の嵐がカキーゴリに絡みつく。未だ押し寄せてくる敵にサイズの一手が放たれた。
「回復、頼んだぜ」
 クロバもまたそこへ躍り出て、鬼神の如く炎の剣戟を叩き込んでいく。自爆上等、こちらには回復にも精通した仲間がいるのだから。
 スティアの鳴らす幻想福音が痛みを消していく。見れば、体を張るアルトリウスも自らの身体を強烈に回復させて耐えていた。あちらはクルルがサポートしてくれるようだ。
「残ってるの、貰ってくな!」
 かと思えばサイズやクロバの前にいたカキーゴリを引き付けていく。残されたのは既にかき氷となったカキーゴリとそれを保護するシャボンの数々だ。
「しかしまぁ……このシャボンどうなってるんだ?」
「練達謹製の捕獲シャボン、凄くない……?」
 イズマもクロバと同じことを考えたらしく、思わずと言葉が零れ出る。
 錬金術でも絡んでいるのだろうか、と考えながらクロバはアルトリウスの方へと向かっていく。あとはあの1グループを殲滅すれば十分だろう。



「終わったーーーー!!!!!!!」
 万歳するクルル。辺りにはふよふよと低空飛行するシャボンと、かき氷と、かき氷と、エトセトラ。サイズはそこから必要な分だけのシャボンを鞄へ納め――ようとしたが、どうにもこうにも入りきらないので用意していた氷などを出して収納スペースを開ける。
「それじゃあ」
 仲間と言葉を交わす時間すら惜しい。少しでも早く、妖精にこれを届けなくては。
 残されたかき氷はイレギュラーズたちで味見だ。皆いそいそと皿やらシロップやらを出す。
「ボクは猫さん柄のお気に入りだよ!」
 可愛らしい皿を出した焔は、次いでトッピング用にカットされた果物を出す。折角なら皆で色々食べてみたい。
「俺は青いシロップを持ってきたよ。爽やかで果物っぽい味がするらしい」
 イズマも果物は勿論、炭酸飲料なども持ってきている。クルルは深緑産の果汁と、濃く淹れた深緑茶だ。
「色々試せそうだね! トッピングの交換とかもしてみたい!」
「ああ、いいな」
「かき氷試食会だー!」
 わーぱちぱちー! と盛り上がりながら一同は皿の上でシャボンをそうっと割っていく。ストローに付けないとシャボンが割れないなんて、練達も器用な事をするものだ。
「温かいお茶も用意してあるよ! 欲しかったら言ってね」
「では頂いても?」
 そう告げたのはフレイムタン。彼も皿をしっかり準備してきたようだ。食べる気満々である。
「勿論だよ! あ、折角だからかき氷もボクが盛りつけしてあげる! 頑張って可愛いのにするから待っててね!」
 フレイムタンが食べるとなれば俄然やる気も湧いてくる。すごいやつを作ろう!
 深緑尽くしで1つ目のかき氷を作ったクルルは早速試食。深緑茶の染みたかき氷につい手が止まらなくなってしまいそうだ。
「あ、ゆっくり食べないと――」
「んんっ……!!」
 はっとイズマが指摘するも時遅し。ぴしりと固まったクルルが涙目になり、頭を押さえる。でも仕方ない、美味しいんだもん。
「スティアスペシャル、食べたい人がいたら盛り付けるよ!」
「えっ、スティアちゃんが盛り付けてくれるの?」
 大きな皿を出してきたスティアに焔が振り返る。目を輝かせる焔だが待って欲しい、スティアスペシャルとはなんぞやって聞かなくて良いのだろうか。
「なんだか楽しそうね、私ももらっていいかしら!」
 オデットも希望する。いいのか、本当にいいのか。
「「お願いしまーす!」」
「任せて!」
 スティアの手で見る間に盛られていくかき氷。わくわくしていた焔はだんだん「あれ!?」「まだ行くの!?」「まだ盛るの!?!?」と冷や汗が垂れる。
「待て待て待て。なにその量。スティアスペシャルってなぁに?」
「スティアスペシャルだよ!」
「答えになってないが!?」
 放心気味のクロバにスティアが元気よく答える。その間にも焔は考えていた。
 どうしよう。食べ切れるかな。食べ切れないと思う。炎の御子だから大丈夫とかじゃなくて普通にお腹一杯になってしまう。
(フレイムタンくんに食べさせるのは忍びないし)
 そもそも自分が盛り付けたかき氷をまだ食べている。ならばと視線が留まったのは未だ呆けるクロバ。
「クロバくん!」
「え?」
「男の子ならいっぱい食べられるよね!」
「は?」
「大丈夫! ボクは信じてるよ!」
「いやちょっと、信じればどうとかなるものじゃなくてね? ちょっと??」
 ずずいと近づけられる皿。僅かに揺れるかき氷。口端を引きつらせたクロバは、しかし男である。ここは覚悟を決めるべきところだろうかと思わなくもないが、覚悟を『決めざるを得ない』。
「チクショウ! やってやろうじゃねぇかこの野郎!!

 シロップを持て! 茶を沸かせ! 宇治抹茶シロップとクリームで平らげてやるァ!!!!」

 焔から茶が出されたり、アルトリウスからシロップの差し入れがされたり、クルルが「宇治抹茶じゃなくて深緑茶だよー」と言いながら濃いめ深緑茶を差し出したり。あらゆる準備を万端にしてクロバ VS スティアスペシャルの戦いが始まった。
 オデットはと言えば、頭をキーンとさせながら負けじと対峙する。こっちはこっちで静かな戦いが始まっていた。
「食べ切れないの負けた気になるわね……やってやるんだから!」
 ちなみに製作者のスティアはといえば、やはり焔の茶を手に自分の食べられる量を楽しんでいた。霙シロップ美味しい。
「皆いろいろ持ってきてんだなァ」
 アルトリウスはかき氷パフェにして自分の分を楽しむ。砂糖シロップとフルーツをミキシングした事でできたフルーツソースが美味しい。
「美味そうだな」
「お、欲しいなら作るぜ!」
 焔のかき氷を食べ終えたフレイムタンが是非、と頷く。暫しして、2人が並んでかき氷パフェを食べる目の前でクロバが空の皿を前に突っ伏した。

成否

成功

MVP

クルル・クラッセン(p3p009235)
森ガール

状態異常

クロバ・フユツキ(p3p000145)[重傷]
背負う者
アルトリウス・モルガン(p3p009981)[重傷]
金眼黒獅子

あとがき

 お疲れさまでした、イレギュラーズ。
 妖精も涼しく過ごせることでしょう。

 それでは、またのご縁をお待ちしております。

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