PandoraPartyProject

シナリオ詳細

迷宮を蝕む巨毒の花

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング


「エルリアちゃん……ううん、ウェンディちゃんが見つかったの?」
 ギルド・ローレット――その深緑『アルティオ・エルム』にある支部に呼び出された炎堂 焔(p3p004727)の問いかけに、呼び出したアナイス(p3n000154)は僅かに否定の意を示す。
「じゃあ、どうして?」
「エルリアさん、ウェンディさんの行方については依然として調査中です。
 今回お呼びしたのは、焔さんがおっしゃっておられたもう一つの件についてです」
「それって、私も一緒に呼んだことに理由があるのかな?」
 スティア・エイル・ヴァークライト(p3p001034)は少し不思議そうに言う。
 2人とも、エルリア・ウィルバーソンを捜索し、そこでウェンディ・ウィルバーソンとの邂逅している。
「はい、スティアさんからは深緑でウェンディさんが遭遇したであろうガイアキャンサーに他の木々が侵されていないか、
 焔さんにはエルリアさんが日記に書いていた異臭を放つ花に関する調査を、それぞれご提案頂いておりました」
 そこまでいうと、アナイスは2人に向けて資料を手渡していく。
「エルリアさんの日記には詳細の場所までは記されていませんでした。
 報告書ではないので当然といえば当然ではありますが、それゆえ少しばかり時間がかかってしまったのです。
 エルリアさんのそれまでの動向を精査し、お弟子さん達とのヒアリングを重ねて、ようやくおおよその場所が掴めたのです」
 そこまで言うと、アナイスはこほん、と一息ついて2人に視線を向ける。
「地図はご用意いたしました。
 迷うことなく目的地へと行くことができるでしょう」


 『それ』は迷宮森林の中でも北のあたりにあった。
 踏み入れた瞬間、そこが正常に非ざる場所であることは目に見えて理解できた。
「ここが……」
 ぽつりと、焔は声を漏らす。
 一面に広がる花畑は、綺麗にくり抜いたような円状を描く。
 ぽつぽつと足元に咲く花の色は全てが寸分の狂いもなく同一で――寸分の狂いもなく大きさが等しかった。
「この臭い……」
 そう言うスティアは思わず口元を抑え込む。
 空気に乗って微かに漂う匂いは強烈な刺激臭だった。
 死肉の臭いとも、便所の臭いとも言えるような吐き気を及ぼす臭いである。
 ――にもかかわらず、その臭いは異様に甘ったるく感じ、誘われているかのようであった。
「この臭いは確かに異様だね……」
「うん。きっとここが日記に書かれていた場所だよ」
「臭いの源は中心にあるあの花かな?」
「そうだと思うよ」
 スティアと焔は頷きあうと、6人の仲間達と共にそこへ足を踏み入れた。
 広大なサークルは半径100mはあろうか。
 50mほど近づいたその時、焔はなんとなしに下を見た。
 ほんの僅か、隆起した地面。それに気づいたその刹那――ビュンと影が飛び、焔は後ろに一気に跳躍する。
 ほぼ同時に地面から生えた根っこを、スティアは魔術で何とかはじき返した。
「……これは拙そうだね」
 スティアが言うのと殆ど同時、地面から複数のナニカが生えた。
 うねうねとうごくそれは――
「……根っこ?」
 ぽつりと焔が呟けば、応えるように地面から生えた根っこが蠢いた。

GMコメント


 お久しぶりです。春野紅葉です。
 さて、そんなわけでお二人からのアフターアクションより。
 先にエルリアさんを感染させた元凶を退治しにまいりましょう。

●オーダー
 該当植物の討伐、切除

●フィールド
 大きな円状に広がった毒々しい花畑。
 中央部まで半径100m
 視界は抜群、奇襲するには向きません。
 花畑に入らずに対象を切除するにも遠すぎると思われます。

●エネミー
・ガイアキャンサー〔ペイン〕
フィールドの中心に花開く大きめの花。
強烈な臭いとフィールド全土に張り巡らせた根っこを武器として攻撃してきます。
根っこを攻撃してもダメージは与えられますが、本体を攻撃した方がダメージの通りは遥かに良いです。

本体は豊富なHP、防技を持ちますが回避能力はかなり低め、
根っこはHPは大したことが無く、回避力とEXAがかなり高めです。
それ以外のステータスは平均的からやや低め。

≪スキル≫
毒根:神経毒の籠った根っこを地中から飛ばして対象を貫きます。
物特レ単 威力小 【フィールド内の一人対象】【猛毒】【致死毒】【麻痺】【致命】

貫根:地中の根っこ一直線上を貫きます。
物特レ貫 威力中 【フィールド内の一人を起点とする一直線上】【致命】

絡みつき:地中の根っこを隆起させて絡みつき、対象の動きを封じます。
物特レ単 威力小 【フィールド内の一人対象】【崩れ】【泥沼】【停滞】

毒花香:対象を魅了する特殊な香りを発します。
神自域 威力無 【ショック】【苦鳴】【足止】【魅了】【呪い】

鈍化粉塵:対象の動きを鈍らせる毒性を帯びた花粉を放ちます。
神自域 威力小 【猛毒】【ショック】【泥沼】【不吉】【麻痺】【呪殺】

●情報精度
 このシナリオの情報精度はBです。
 依頼人の言葉や情報に嘘はありませんが、不明点もあります。

  • 迷宮を蝕む巨毒の花完了
  • GM名春野紅葉
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2021年01月17日 22時00分
  • 参加人数8/8人
  • 相談7日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

ツリー・ロド(p3p000319)
ロストプライド
スティア・エイル・ヴァークライト(p3p001034)
天義の聖女
咲花・百合子(p3p001385)
白百合清楚殺戮拳
ムスティスラーフ・バイルシュタイン(p3p001619)
黒武護
炎堂 焔(p3p004727)
炎の御子
天之空・ミーナ(p3p005003)
貴女達の為に
ソア(p3p007025)
愛しき雷陣
グリーフ・ロス(p3p008615)
紅矢の守護者

リプレイ


「くさぁいっ……!!
 ボクたちがあれを除いてみせるから、安心していて」
 毒花が放つ強烈な臭いにブルルと震える『虎風迅雷』ソア(p3p007025)は、花畑の外にある木々へそう語り聞かせていた。
 世界より齎されしギフトも、花畑の方には作用しない。
 花畑自体がかの毒花の一部であった。
 虎の眼が狙いをすましたように瞳孔を細め、バヂリと爆ぜた。
 花畑の中腹、そこに向かって己を落雷が如くその身を振り下ろし――スパークが広域へと迸る。
 誰よりも疾き雷霆の如き強襲に根っこがしびれを起こしていった。
「いっくよー!」
 再度の放電――再度振り下ろされた雷霆が、さらに奥でにょきりと生える根っこに叩きつけられた。
(ガイアキャンサー…カムイグラで発見されるまで深緑にはいなかったのに
 出てきたということは……魔種が輸入してきたんだな……間違いない)
 ふわりと舞う『カースド妖精鎌』サイズ(p3p000319)は、ソアの攻撃で痺れる根っこを見ながら、その性質を鑑みる。
(根が邪魔してくるということは……上空から攻めれば根に邪魔されずに本体に攻撃出来る感じかな?)
 他に懸念点はある。だが、そのくらいはかまわない。
 もしもこの花が繁殖――あるいは根を広げ続ければ、深緑に遊びに来た妖精郷の妖精たちにだって被害が及ぶ可能性もある。
「全力で行かせてもらう!」
 それだけは、許されなかった。
 一気に、空へ。根っこのことなどすべて無視だ。狙うべきは――その中央。
「ほぉん、ガイアキャンサーであるか。
 悪しき花がはびこるとあれば……同じ花として正すが務めであろうな」
 瞬間、時が跳んだ――いや、延びたというべきか。
 限りなく限定的な法則により伸びた世界線を、独特の歩法で疾走した『白百合清楚殺戮拳』咲花・百合子(p3p001385)は、瞬く間に大花の正面へとたどり着く。
 花畑を歩く様は今の百合子であればまさに歩く姿は百合の花のごとし。恐ろしいほどの映えさえ感じさせる。
 根元ということもあり、尋常じゃない刺激臭を放つ大輪の花めがけ、放たれるは無限の拳打。
 まるで花畑の各所に咲く極小の花をそのまま大きくしたかのような形状をしたそれが、百合子の殴打に揺れる。
「ここが日記に書かれていた場所……
 やっぱりここに来たのがあんな風になっちゃった原因だったのかな」
「あれがエルリアさんを感染させた元凶……やっぱりガイアキャンサーだったんだね」
 カグツチ天火を握った『炎の御子』炎堂 焔(p3p004727)の隣、『リインカーネーション』スティア・エイル・ヴァークライト(p3p001034)が呟いた。
「エルリアちゃんがどうしてるかも気になるけど、まずはこれ以上被害が広がる前にここを何とかしよう!」
「うん、放置しておくと他の人が巻き込まれるかもしれないし、ここでなんとかしないとね!」
 走り出した焔の眼前を、塞ぐように幾つもの根っこが土の下から生えだしてくる。
「邪魔!」
 天花の火が燃え盛り、連続の刺突と紅蓮の焔が根っこを焼き払う。
 炎で出来た槍より放たれた刺突に、根っこが焼け落ちていく。
 かと思えば、にょきにょきと新しいの地中から顔を出す。
 更に焔の足元から生え出た根っこが足を、手を、胴を絡めとらんと迫り、それをぴょんと跳んで躱す。
「うぅ、根っこはどんどん生えて来てキリがないや。
 やっぱり真ん中にあるお花がこんな風になってる原因……あそこを叩かなきゃ」
 視線の先には、大輪の毒花。
 そして、数度にわたって放たれた毒の根っこの最後の一刺しがソアに傷を付ける姿。
 それとほとんど同時、いくつもの根っこが焔の身体に襲い掛かり、巻き付いて、最後の一つが拘束する。
「焔ちゃん!」
 走り寄ったスティアがセラフィムを片手に言の葉を紡ぎ、祝詞を形成する。
 祝詞を帯びた神聖な天使の羽の如き魔力の残滓が根っこに触れれば、それを嫌ったかのように根が拘束を解いた。
(こっちでもこういう奴が出てるとはね……そういや神隠しも最初にあったのは深緑だったか?)
 青き聖剣を握り、花畑を低空飛行で疾走する『蒼穹の戦神』天之空・ミーナ(p3p005003)は、思考を纏めながら紅翼を羽ばたかせた。
 偶然目の前に生えてきた根っこ目掛けて剣を振るう。
 聖の輝きを放つ剣は、見とれるほどの美しき青の軌跡を描いて、根っこを乱切りに裂いて降ろす。
 入れ替わるように新たに根っこがにょこりと顔を見せた。
「きりが無いな……隙を見ながら押し上げた方がいいか……」
(この花がオリジンかベインか、回復の可能性があるのかは分かりませんが、植物疎通等でそれを確かめることも難しいでしょう。
 いずれにせよすでに被害者も出ています)
 思考を整理していた『白き不撓』グリーフ・ロス(p3p008615)は自らに魔力障壁を作り出すと、花畑の中心に視線を向けた。
「残念ですが、摘み取るしかありませんか」
 結論を立てると同時、走り出す。目指すは最前衛。
 今は唯一人、百合子だけが到達した大花が目前。
「近くて遠い距離だね……だけど、僕なら届くよ」
 花畑の上を低空飛行で飛んだ『黒武護』ムスティスラーフ・バイルシュタイン(p3p001619)は、ある程度の距離まで来ると、大きく息を吸い込んだ。
 その身体が大きく膨らむかのように限界まで息を吸い込み、形成するは緑色の閃光。
 眩き輝く緑色の砲撃が、直線状をうねる根っこを薙ぎ払い、毒花へと炸裂する。

「見えた!」
 ソアは、一気に走り抜けた。
(ますます臭くてもうお鼻が馬鹿になりそう!
 はやくやっつけなくっちゃ!)
 至近し、花の前へたどり着けば、強烈な悪臭に顔を歪め、両手に雷霆を迸らせる。
「肉腫……!」
 自然と、威嚇するように喉にかかるしわがれた唸り声を漏らす。
 その瞳には明確な敵愾心がありありと映る。
 やがて、両手がバリバリとスパークを爆ぜ、放つは雷霆を帯びた掌底。
 激しいスパークを放つ掌底は、時間と音を置き去りにするかの如き高速で2度の連撃となって叩き込まれた。
 ミシミシと花が音を立てる。
(――ここならいける)
 空高く飛翔するサイズはぴたりと滞空すると、眼下の花を見下ろして、くるくると鎌を回せば、描き出すは氷の結界。
 そのまま勢いをつけ、弾丸もかくやと花目掛けて降下する。
 微かに漂ってくる悪臭を振り払うように、身体をぐるんと回転させて遠心力を加えれば、そのまま刃を花弁の一枚へと叩きつけた。
 艶やかな血色の鎌に切り裂かれた花弁が、ぱきりと音を立ててひび割れた。
「ふふん、硬くとも何度も叩き込めば有効打を引くこともあろう!」
 踏み込み、身体を緩やかに捩じり、その勢いを加えて叩きだすは百裂拳。
 ひび割れて今にも砕けそうな花弁を上から無限にも思える殴打を叩き込めば、花びらが音を立てて割れて落ちた。
「たどり着いたよ――!」
 纏わりつかんとした根っこをぐるりと槍で刈り取り、焔は踏み込みと共にカグツチを振るう。
 烈火の剛撃が花と茎の境目辺りに傷を付ける。
 それに反撃するかのように、幾重もの根っこが怒り付与もあってソアに執拗に迫り続ける。
 グリーフは回避行動を取ったソアと入れ替わるようにして根っこの前にその身を躍らせた。
 二重に張り巡らされた障壁は根っこによるダメージを打ち消していく。
 ふるると、毒花が揺れる。
 直後、放たれた粉塵が降り注ぎ、無効化された以上の数だけ牙を剥く。
 粉塵の呪術性を振り払い、ミーナは防御に使っていた力を希望の剣へ収束させる。
 それまで揺らめく程度だった神聖なるオーラが静謐に落ち着いていく。
 見定めるは毒花が茎部分。度重なる連撃に疲弊する茎は、徐々にだが亀裂を見せつつあった。
 横薙ぎに添えるように振り抜いた剣閃が青い輝きを以って炸裂した瞬間――大きく花が揺れた。
 地上から伸びてくる無数の根っこめがけ、反撃の砲撃を浴びせかけたムスティスラーフは、再び射角を調整しつつあった。
 息を大きく吸い込む。穏やかな深緑の空気とは異質の、あまり吸いたくない吐き気を及ぼす空気を浄化するように、吸い込んで。
 思いっきり緑の閃光に変えて吹き飛ばすように毒花目掛けて放射する。
 術式を起こしたスティアは静かに目を閉じて誓詞を紡ぐ。
 不浄なる空気を浄化するように天使の羽が舞い散り、足元からは、毒花とは似ても似つかぬ美しき大花が花開く。
 大花がもたらす癒しの魔力が前衛を務める仲間たちの傷を癒していく。
 鮮やかな魔術士の行動を警戒するように放たれる毒花の根っこの傷さえも、高い抵抗力と技術力で相殺して、安定した支援に成功していた。


 既に花はぐらついていた。
「土に還ってしまえ、もう生まれないように!」
 スパークが爆ぜ、ソアの全身を雷霆の鎧のように形作っていく。
 強烈な爪が雷霆を帯びて時すら置き去りに毒花を切り刻んでいく。
「よし、これが最後の花びらだ――」
 全身全霊を籠めたサイズの振り下ろしは、最後まで残っていたたった一枚の花弁を、その刃でバッサリと切り落とす。
 グリーフは自らの核、秘宝種である証明ともいえるソレを活性化させる。
 遺失技術を由来とする温かい輝きがその身を覆いつくすと共に、活力が回復していく。
 深呼吸をした百合子は、ぐらつく花の根元へ視線を向けた。
 根元ごと刈り取るような攻撃に、メリメリと足元の根っこが浮かび上がり、ぶちぶちと裂ける。
 それをそのまま力いっぱい引っ張って、地表へと引きずり出す。
 のたうつような極太の根っこ目掛け、緑色の閃光が放たれた。
 ムスティスラーフによる大むっち砲がじゅうと音を立てながら、焼き払う。
 毒花が、最後のあがきとばかりに根っこをうねうねと揺れ動かせば、ミーナは希望の剣を片手に跳躍した。
 無数に広がる根っこの下へ見躍らせれば、青き輝きに再びの変質を注ぎこむ。
 そのまま引き起こすは青き暴風。
 ミーナを起点とし、竜巻を起こして放たれた陣に、蠢く根っこが次々と切り裂かれていく。
 反撃とばかりに放たれた複数の根っこが、微かに傷を刻む。
 スティアはそれを確認するや、セラフィム越しに魔力を変換していく。
 まるで月の明かりの如き温かく優しい光へ変じた魔力が、先程刻まれた傷を癒していく。
「見た目よりは頑丈だったけど、今度こそ、尾張だよ!」
 握りしめたカグツチ、その先端へと渾身の魔力を注ぎ続ける。
 跳躍、踏み込み、体重を利用して押し出すように刺突――。
 裂け目へと突き立った神炎の如き力が一瞬で爆発。
 くるくると、花びらを失った花が宙を舞って、地面に落ちた。


 大輪の毒花が茎からぼきりと折れて倒れていく。
「これで悪性外来種の切除は完了……か?」
 悪臭を放つ香りと花粉を噴出する中央部の真上、最も毒に近い場所で戦っていたサイズの疲労感はさすがに重い物がある。
「そうだね……でも、こんなのが自然発生は考えにくいし……」
 そんなサイズへとセラフィムを通じての祝福を齎していたスティアの視線は捩じり落とされた花と茎を見る。
 百合子とグリーフは花ではなくその周囲を見渡していた。
 グリーフの懸念だったウェンディの介入はなかったが、百合子は今来なくとも今までに再び来たことがないかという方向で気にかけていた。
「吾達以外の足跡等の痕跡は残っておらぬかと思ったが」
「人為的な要素があれば痕があるだろうし……何か自然的なものなら……」
 百合子と同じように、ミーナも周囲の様子を見ていた。
 ふと、百合子は、不意に首を傾げた。
 生えていた花をむしり取ったその下――そこに在ったのは足跡だ。
 それも、自分達8人でも、ウェンディの物でもない。
 足跡のサイズ感を見るに『成人男性と同程度』には大きい。
「第三者の足跡……ですか?」
「結構大きいな。普通の人間種の男ぐらいあるんじゃないか?」
「うむ。それもかなり前の物であろう。
 恐らくは、1年以上前の物だ」
「1年前……?」
「分からぬが、もしかすると、これがこの複製肉腫を感染させた純正肉腫の物の可能性もあるのではないか?」
「エルリアちゃんが複製肉腫になっちゃった元凶ってこと?」
「もし本当にこれがそうであれば、ですが」
 百合子と共に様子見するグリーフも頷いて見せる。
 複製肉腫は純正肉腫からの伝播により性質を帯びる。
 複製肉腫(毒花)から複製肉腫(エルリア)への感染よりも前に、毒花が純正肉腫(なにものか)の接触を受けてなければおかしな話だ。
「そいつがこの辺にいるかもってこと?」
「いえ、それはないと思います。この足跡はこれぐらいです。
 恐らくは今はいないでと思います」
 ソアの問いかけにグリーフはふるふると首を振る。
「何よりこのままじゃ、たぶん拙いよね……」
 ふわふわと低空飛行するムスティスラーフに、面々がこくりと頷いた。
「じゃあ、浄化しないとだね」
「それもそうだけど、このまま火を使うと周りの迷宮森林にも飛び火しそうよね。
 使うなら、燃え広がらないようにやらないと……」
「ちょっと待って」
 スティアが立ち上がって準備を始め、ムスティスラーフが言ったところに割るように、焔が立ち上がる。
「保護結界があるから、この花畑全体を包んで、全部焼いちゃおう」
「じゃあボク、ちょっと森の精霊に話を伝えてくるよ」
 そういうと、円周状の外へとソアが走り抜けていく。
「……まぁ、流石に豊穣に繋がるゲートとかはないな」
 突拍子もないことだと自分でもわかっているだけあり、ミーナも一息ついた。

「じゃあ、行くね」
 保護結界を張り巡らせた焔は、カグツチの出力を今出せる限界まで振り絞る。
 ぱっくりと開く花の茎。
 そのまま、全霊を籠めて真っすぐに突き降ろす。
 芯を捉えた槍の穂先から、炎が保護結界の内部全土へと迸り、地上のそこらじゅうで焦げ臭さが立ち込めていった。
(もう少し早く見つけられていればエルリアちゃんも……)
 心なしか物悲し気な炎を見下ろしながら、焔はただ、燃やし尽くす。

成否

成功

MVP

炎堂 焔(p3p004727)
炎の御子

状態異常

グリーフ・ロス(p3p008615)[重傷]
紅矢の守護者

あとがき

お疲れさまでした、イレギュラーズ。
MVPはただ燃やすのではなく、
保護結界を用いて迷宮森林への延焼にも注意を向けたことから焔さんへ。

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