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シナリオ詳細

<マジ卍体育祭2020>ワクワクお弁当タイム!

完了

参加者 : 11 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング


 台風も通り過ぎ、体育祭が延期から中止へ変わることもなく──延期日当日、快晴。
 はしゃぎ回る男子生徒が我先にと校庭へ飛び出し、委員長らしい女子生徒が「ちょっと男子!」とおきまりのセリフを口にする。幼稚舎から大学までエスカレーター式の一貫校である希望ヶ浜学園は人が出てくるだけで大賑わいだ。当然敷地内には建物が乱立し、校庭が1つであるわけもなく。さらには講堂や体育館、プール、テニスコート等々非常に多くの施設が存在しているのである。本日はあちらこちらで人の姿があるだろう。
 そんな各施設からは朝から競技による雄叫びや応援など様々な声が聞こえてくる。学園の生徒だけではなくその親御さんなど──外部の人間も学園へ立ち会っているのだから人と声の密度はおして図るべし。

 さりとてそれも昼が来れば和やかな声へと変わる。幼稚舎や小学校低学年ほどの子供達は素直にはしゃぎ、それより上の子供達は少し澄ました様子でお弁当を食べて。思春期真っ只中であればaPhoneでクラスの昼風景を撮ったりもするだろう。女子は可愛らしくポーズを決めて、男子はバカやって、それをクラスのグループチャットで拡散するのである。
「ここはイレギュラーズだけで使えるよう、校長が配慮してくれたぞ」
 『焔の因子』フレイムタン(p3n000068)がそこからそこまで、と区切られたスペースを指す。その付近も学園の生徒──部内者のみが過ごせるスペースとして指定されており、ここで『非日常』な話をしたとしても何ら問題ない。
「他の生徒へ話しかけに行っても問題ないだろうが、部外者には気をつけてくれ」
 分かっているだろうが、と言いつつも念押しするフレイムタン。部外者に街の外の話を聞かれたら不思議な顔をされるだろうし、もしかしたら変人扱いされるかもしれない。
 そもそも『再現性東京(アダプト・トーキョー)』という場所は練達のひと区画に存在する。召喚された旅人たちの中にはこの世界を許容できない者もおり、そんな者たちのための元世界っぽい町が作られたのである。
 安全をうたい、それを信じている住人たちであるが許容できないもの──非日常的な現象は存在している。それと対抗するための人材育成がこの希望ヶ浜学園の目的であり、イレギュラーズが呼ばれた理由にも繋がっているのだ。

 ──が、それはそれとして。学園に在籍するイレギュラーズたちにも当然この祭りへ参加する権利はあり、しからばこのワクワク楽しいお弁当タイムを満喫する時間もあるということである!

GMコメント

●ワクワクお弁当タイム!
 お昼です。持ち寄ったお弁当を仲良しさんと食べましょう。
 分けあっても交換こしても、取り合ってもヨシ!(ただし喧嘩はRPの範疇で収めましょう)
 午前中の競技を振り返って(捏造して)話に花を咲かせてもヨシ!
 おひとりさまでどうしよう、という方はNPCへお声がけくださいね。上記の何でもしてくれますよ。

●場所
 希望ヶ浜学園内の校庭です。快晴で風もなく、砂が舞うこともないでしょう。

●NPC
 フレイムタンがいます。教師です。
 シャルルも呼ばれれば来ます。生徒です。

●ご挨拶
 体育祭の日だけピンポイントに30度越えだった春の日を思い出す。愁です。
 お弁当といえば見せ合ったり交換こしたり取り合ったり皆で分けっこしたり! ね! どうぞよろしくお願い致します!

  • <マジ卍体育祭2020>ワクワクお弁当タイム!完了
  • GM名
  • 種別イベント
  • 難易度VERYEASY
  • 冒険終了日時2020年11月23日 22時10分
  • 参加人数11/30人
  • 相談7日
  • 参加費50RC

参加者 : 11 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(11人)

フェルディン・T・レオンハート(p3p000215)
海淵の騎士
炎堂 焔(p3p004727)
炎の御子
フラン・ヴィラネル(p3p006816)
ノームの愛娘
イーハトーヴ・アーケイディアン(p3p006934)
キラキラを守って
ワモン・C・デルモンテ(p3p007195)
生イカが好き
ドゥー・ウーヤー(p3p007913)
海を越えて
ブレンダ・スカーレット・アレクサンデル(p3p008017)
薄明を見る者
クレマァダ=コン=モスカ(p3p008547)
海淵の祭司
溝隠 瑠璃(p3p009137)
ラド・バウD級闘士
アイザック(p3p009200)
空に輝くは星
伽藍ノ 虚(p3p009208)
     

リプレイ


 ――キーンコーンカーンコーン。キーンコーンカーンコーン……

 昼時の鐘が鳴る。それは競技終了の合図でもある。
 『ドキドキ!? 異性仮装競争』や『要注意! 50m障害物ブリッジ走』、『アグレッシブ組体操』など数々の競技を乗り越えた生徒たちに与えられし一時の休息は、ワクワクのお弁当タイムでもあった。
 肯定で、或いは教室で。食堂を使っても良いし、屋台だって出店している。どこでも生徒がわいわいと楽しく過ごしていることだろう。
 これはそんな中の一幕である。



「午前中の競技はマジ卍だったぜー」
「あたしも……50m障害物ブリッジ走大変だったよ」
 午後もまだ競技は続くのだから、ここでへばってなどいられない。ワモンとフランは体力を付けねばと揃って弁当箱を開ける。
「フランのおにぎりでっけーな!」
「ふふん、これはワモンさん型巨大おにぎりだよ!」
 海苔で顔を表現したそれを齧ればシャケの塩気が口内を満たす。……ワモンを食べているような気持ちになるのは気のせい。きっと気のせい――。
「フ、フランーッッ!」
「ハッ!」
 手元のおにぎりが悲鳴を上げる。はっと我に返ったフランは、いつの間にか抱えあげていたワモンをぱっと離した。
(あ、あぶない……!)
 危うくワモンを救護班へ連れて行かなければならないところだった。胸をなでおろしたフランの前で、重症の危機を脱したワモンは「フラン見てくれ!」とお弁当箱を出す。
「わ、コロッケがいっぱい!」
「だろー? この前のコロッケが美味しかったからな!」
 去る数週間前、この希望ヶ浜には台風が襲来した。それもただの台風ではない、夜妖のそれである。そこ台風――コロッケ台風を倒した時にワモンたちは沢山コロッケを食べたのだそうだ。
「いいなあ、コロッケパンも好きなん――」
「今日のコロッケはイワシコロッケだぜー!」
 びきり、とフランの身体が硬直する。しかしワモンはそれに気付いた風もなくモリモリ食べる。
「イ、イワ……ッ」
「ん? フランも食べるか? 遠慮しねーで食ってくれな!」
 ズイ、ズズイと出されるイワシ(コロッケ)。わなわなと震えるフラン。
「いいいいいいいわしはだめだよイワ死兆がいわ、い、ぐわーー!!」
 その後、フランは救護送りになったと言う。
(……ん。仕事か……)
 虚は人助けセンサーの感知に合わせてaPhoneを取り出す。彼がいるのは救護班だが、彼自身が治療を行うわけではない。そんなことをしてしまえば、虚への新たな悪評と共にそれが事実となりかねない。時として大怪我を負わせてしまうこともあるだろう。
 ここ(救護班)に1人でいるのはそんな被害を他者へ撒かないためでもあり、これまでの贖罪でもあり。虚は救護班の面々へ連絡しながら小さくため息をついた。
(本当、ろくな目に遭わないな……)
 どうしようもないと分かっていても、自分だけという思いは拭えない。この干渉を受けにくい者がおり、そこが居場所となるのはせめてもの救いか。
 食事を取り終わったらしき救護のメンバーが戻ってくるのを遠目に見て、虚はそっと立ち上がった。
 シャルルとイーハトーヴは互いの格好におお、と小さく声を漏らした。ちょくちょく一緒に出掛けている彼らだが、ここでは体操服という新鮮な出で立ちだ。
「シャルル嬢も参加してたんだね。ここの学生さん?」
「そう。……とはいっても、今日が初めてだけど」
 ふわり、と香る甘さは普段より抑えられている。どうやらジャージの下に蔓薔薇は隠れているらしいが……若干居心地は悪そうだ。
 かくいうイーハトーヴとて、肌色を気にしてあまり訪れてはいなかった。ファントムナイトの時が初めてだっただろう。けれど今日はあまり気にせず居られると言うし、シャルルも初めての学校とあれば何だか胸がほっこりする。
「あ、それ屋台の?」
「うん。けばぶ、だって」
 下宿先で弁当を作ってもらったイーハトーヴに対して、シャルルは屋台で買ったらしい。あとで行ってみよう。でも競技も見てみたい。その前に好きなものがめいっぱい詰まったお弁当か。
「えへへ、嬉しいなぁ。ねえシャルル嬢、良かったら交換っこしようよ!」
「勿論。じゃあひと口どうぞ」
 シャルルのケバブを一口と、イーハトーヴの卵焼きを一切れ。幸せの交換こだ。
「ふう……」
 さて、こちらではブレンダがあわや盗られそうになった弁当を奪還したところである。折角早起きしたと言うのに全てが無駄になるところだった。
 それにしても。ブレンダは自分の弁当を開けながらちらりと周囲を見る。明らかに買いました、という人物の方が少なさそうだ。これはあれだろうか、自分も料理のひとつくらいできた方が良いということだろうか?
 母に教えられた貴族としての心得。その一方での環境変化。ブレンダはそこから一旦意識を逸らし、無人のグラウンドを眺めた。
(こういった催しもまた良いものだな)
 楽しむためだけに競い合うという行為は初めてで、存外大変ではあるものの掻く汗は嫌なものではない。これならば午後もまた張り切っていけそうだ。
 1人きりだからとフェルディンに誘われたクレマァダだったが、彼女はたったいま衝撃を受けていた。
(美味いじゃと……!?)
 クレマァダはこれまでさして料理をしたことが無い。けれどそれは元貴族というフェルディンも同じだと思っていたのに、とんだ裏切り行為である。何故こうも違うのか。
 ちなみに、まだ見た目の話である。
「ふ、ふーん……なら我のはいらんな」
「何故です!?」
 そっと弁当を隠した彼女に今度はフェルディンが衝撃を受ける。ちらっと見えたのはいかにもお手製の弁当。『彼女の』お手製弁当である!
 その後おかず交換というルールなのだと彼女を説き伏せ、どうにか彼女のおかずをゲットしたフェルディン。唐揚げはしっかり揚げました感が強いが、口にした彼は嬉しそうに「美味しい」と顔を綻ばせた。彼のとは比べ物にならないくらいの見た目だったはずなのに。
「こういうのは技術も大事ですが、……その。誰が作ってくれたか、の方が大事ですから」
「ふん、どうだか」
 ツンとして見せながら彼のおかずを口に含むクレマァダ。その耳が次第に赤く染まっていく。だって、彼の言った意味が分かってしまう気がしたから。
「……美味じゃ」
「そうでしょう?」
 彼の声が弾んでいるような気がするが、そちらを見れない。ああ、でも、兎に角――もう少し、上手くならなければ。
「あ、フレイムタンさん」
 ドゥーは赤ジャージの彼へ向かって小さく手を振る。向こうも気づいたようで、軽く手を振り返した。
「良かったらサンドイッチ食べないかな? あと、おかず交換とか……」
「ああ、勿論だ。恐らくもう1人は増えると思うが、構わないだろうか」
 頷くドゥーの耳に聞こえてきたのは「あ、いたいた!」と嬉しそうにフレイムタンの名を叫ぶ少女の声。フレイムタンは少女――焔を手で招き、大きめのシートへ2人を案内した。
「おや。これはかなり豪勢だな」
「本当だ……」
「皆多めに作って来てたんだね」
 3人が3人とも多めに弁当を用意してきたものだから、そこには4、5人で食べるのかというくらい量がある。傍を通りがかったアイザックも驚いた様子で――日中の今はヒトらしく見えている――立ち止まった。
「これは凄いね。僕も一緒させてもらっていいかな?」
「ああ。その方が助かる」
 そんなわけで4人となった彼らは作ってきたもの、買ってきたものを交換し合う。焔はもう料理を始めて3年目という事もあって間違いないし、ドゥーの持ってきたサンドイッチはシンプルな一品ながら味付けがよく考えられている。アイザックのそれは売り物だったのだから言わずともというやつだ。
「はい、あーん! 結構うまく出来たんだよ、おいしい?」
「ん。味が染みてるな」
 焔のお勧めを食べさせてもらうフレイムタン。その傍らでアイザックは並んだ弁当を興味深げに眺める。食事という行為自体がこちらへ来てからなのだが、おかず交換といい自分たちで作るのといい娯楽の一種なのだろうか?
(味の良し悪しもよくわかってないしな)
 フルーツサンドと呼ばれるそれを放り込んで――少なくとも一般にはそう見えた――アイザックはけれど、と思う。きっと多分、これは”良い”ことなのだろうと。
「こうしていると、慌ただしいのが嘘みたいだ……」
「午前は大分賑やかだっただろう」
 ドゥーが呟くとフレイムタンからの苦笑が返ってくる。彼とて午前中は競技の手伝い諸々で忙しかっただろう。様々な競技があり、そこへ参加する多くの生徒がおり。楽しいけれど少し疲れたと言うのが本音でもある。

 けれど、ここでこうしてのんびりしたならば午後も楽しめることだろう。いいや楽しまなければ勿体ない。マジ卍体育祭はまだまだ続くのだから!

成否

成功

MVP

なし

状態異常

なし

あとがき

 お疲れさまでした、イレギュラーズ。
 私は唐揚げが好きでした。

 それでは、またのご縁をお待ちしております。

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