シナリオ詳細
ダンジョン・キャンパーズ
オープニング
●精霊たちの箱庭
エメラルドグリーンの星空があった。
草と土のにおいがするそこには、不思議と風があって、あちこちにぼんやりと光る花があって、淡い光をはなつ労働精霊が飛び交っている。
ここはグランガラド遺跡。
古代の精霊術士によって作られたとされる遺跡である。
ここに今日、テントを建てて宿泊しようと言うのだ。
ある晴れた日のこと。木から桜色の花弁が散り、石で舗装された王都の大通りを彩る頃。
遺跡研究家ディブレーク氏がギルド・ローレットの扉を叩いたのが本件のはじまりである。
丁度居合わせていた『新米情報屋』ユリーカ・ユリカ(p3n000003)は(パフェごちそうしてくれるらしいからと)近くのカフェへと入っていった。
席につきユリーカがいちごいちごーと言いながらメニューを開く一方、ディブレーク氏はメニューに目もくれずにノートをテーブルへと置いた。
「以前の探索依頼では世話になった。おかげでこいつを手に入れることができたからな」
陽光のさす木製机。広げたページには解読の難しい何かの文字が書かれている。
以前にディブレーク氏の依頼を引き受けたイレギュラーズたちなら、これがグランガラド遺跡の奥に存在した石版であることが分かるだろう。
隣のページには、ドーム状の部屋の中央に見上げるほど大きな石版が設置された図が描かれている。
「解読によると、どうやらこの遺跡は人の居住を目的とした場所であったらしい。
古代の精霊術によって作られた地下シェルターといったところか。
詳しい部分は専門用語が多くて読み取れなかったが、数十人が暮らすことが可能であった……ようだ」
『らしい』や『ようだ』で区切っているのは、自説に自信がもてないからだろう。
ディブレーク氏は頭をがりがりとやって苦笑した。
「研究者とは因果なものだ。今すぐ何かを得られるわけでも、役に立つわけでもないが、知りたいことは試してみたくなる。
……言いたいことは分かるだろうか?」
顔を上げたディブレーク氏。
ユリーカは手元のベルをりんと鳴らし、真剣な面持ちを上げた。
「イチゴパフェスペッチョナム盛り、なのです」
かくしてローレットへ舞い込んだのは世にも珍しい『キャンプの依頼』。
「条件はシンプルなのです。
グランガラド遺跡の箱庭空間で24時間過ごして欲しいのです。
とっても広い場所ですから、テントや料理道具を持ち込んだり何かをして遊んだりもできる筈なのです。
けど一応、中には戦闘精霊やゴーレムも巡回しているのでこれを排除する人員も欲しいみたいなのです。
安全確保か、キャンプか。
どっちかを選んで参加してください。なのです!」
ギルドに戻ったユリーカは、口元のホイップクリームをぬぐってそう言った。
- ダンジョン・キャンパーズ完了
- GM名黒筆墨汁
- 種別イベント
- 難易度VERYEASY
- 冒険終了日時2018年04月19日 21時20分
- 参加人数50/50人
- 相談7日
- 参加費50RC
参加者 : 50 人
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参加者一覧(50人)
リプレイ
●グランガラド遺跡のおそうじ
「はー、デイブレーク氏も相変わらずだねー」
精霊や植物のともした光がぽわぽわと光るグランガラド遺跡の通路を、リンネはどこかのんびりと進んでいく。
フリーでふらふらしながら状況が芳しくないチームやダメージがかさんだ人や、はしゃぎすぎてうっかり怪我した人を辻ヒールしていた。
「あの学者先生は前にお仕事一緒したし、せっかくだから後腐れなく万全な調査してもらいたいし……」
おや、と立ち止まるとMorguxが素手でゴーレムと取っ組み合いをしていた。
ゴーレムパンチを気合いで受け、相手を打ち倒す。
何をしているのかと聞いてみると『折角のダンジョンだ、少しは遊び心が欲しいよな』ということで『武器禁止。戦闘方法は素手のみ』の縛りを加えていたらしい。
転倒させたゴーレムに追撃を加えるリオネル。
彼らはこの場で作った即席グループだ。リオネルも『今回はツレもいないし、向いてそうな方で軽く仕事といくか』とライトな気持ちでやってきた次第である。
ウィルフレドが見事にとどめをさすと、リオネルが発光して通路の奥を照らし始める。通路の奥へと進み、探索を続けるウィルフレド。
「地下シェルターということは、何かから避難し身を守る場所であったのだろうか。現在も精霊が維持しているとは、よほど腕の立つ精霊術士だったのだろうな」
ウィルフレドは過去に居住していた者が遺した形跡などが無いかを探していた。
「術者がいなくても維持されているということは、リーダー格のような精霊がいるのだろうか……」
グランガラド遺跡でのキャンプをすることになったイレギュラーズたちは、それに先んじて遺跡内部を巡回している戦闘精霊やゴーレムを倒して回ることで安全確保を試みていた。
ミスティックロアと魔力放出で戦闘精霊と戦うアレフ。
それをフォローするようにアリシスが槍と魔術で追撃していく。
「グランガラド遺跡か。精霊で維持される遺跡……興味深い場所だな」
「まさにこの世界の文明ならではのものですね」
「精霊は私にとってはあまり馴染みの無い部類だな、アリシス。君はどうだ?」
「私は、精霊という概念自体には馴染みがなくも無いですが、見た事は無いですね。恐らく実在していなかった世界でしたので」
「ふむ……」
「けれどこの遺跡における精霊の扱いは、私の知る精霊の概念とは大分異なりますね。精霊を衛兵として使役するなんて」
即席パーティーを組む者も居れば、アレフたちのようにあらかじめ決めたメンバーで探索を行なう者もいる。
レナとパティもそうだ。
「古代遺跡ってのは、摩訶不思議なものですわね」
「ちゅー、こういう場所って、意図的な居住空間でちね」
「今の常識では作れないからこそ、こういう遺跡も……」
「まー、もちもの事があれば、あちしの耳が反応ちゅでちから」
「さてと、今回はお菓子や軽めの食事のために、いろいろ持ってきたわね」
「とりあえじゅー、今回のために、お菓子、いっぱい用意ちたでち」
二人は持ち寄ったお菓子を周りとわけながら進んでいく。
それを受け取りつつ、戦闘精霊やゴーレムへと挑みかかる汰磨羈とクロバ。
「折角だ。ここは、撃破数勝負と行こうか?」
「良いだろう、乗ろうじゃないか」
「負けた方は、勝った方に美味い酒を奢る。なんなら、極上のつまみを付けてもいいぞ?」
「オレが勝ったらそうだな、香りの良い酒を要求させてもらおう。だが生憎と加減が効く状態じゃないのでな、思う存分暴れさせてもらうぞ」
二人は敵へと攻撃を始めた。汰磨羈は鴻翼楔と威踏みを駆使したスタイル。
クロバはスーサイドアタック、紫電一閃、肆式・緋崩狂桜で攻めるスタイルだ。
「チッ、流石の早さか……!」
「ははっ、ちんたらやっているのが悪い! ……あーっ! 御主、それは私の獲物だぞッ!」
「一撃で仕留められない己を嘆くんだな、死神の眼はいつだって光ってるぜ」
そんな風に探索をしていけば、知った顔とばったり出会うこともあるようで。
「ウィリアムさんこんにちは。貴方も此方にいらしていたのですね」
クラリーチェは見知った顔(ウィリアム)に出会って同行するようになった。
「お互い前衛型ではありませんが、近寄られなければ問題ないですね」
ミスティックロアと魔力放出で突き進むクラリーチェ。
たまに足を止めて景色を眺めては。
「この世界には、不思議なものが沢山ありますね」
なんて、微笑んでみたりもして。
「いやー戦闘は楽しいなあ!」
リゲルがゴーレムにブロッキングバッシュを仕掛け、リッターブリッツで戦闘妖精ごと貫いていく。
ついさっきまでは『から揚げも卵焼きも美味い! 特におにぎりは、愛情が篭っていて米がホロリと崩れて美味い! 流石俺のフィアンセ! 最高だな!』とお弁当を食べていただけあってひたすら元気だ。
そこへハイデマリーが狙撃によって着実にとどめをさしていく。
軍人としての矜持を持っている上に真面目であるようで、リゲルのようには楽しむ気持ちにはならないようだ。食事もレーションである。
一方でルアはライトニングで援護しつつ、ちょっぴりのんびりとしていた。
「儂、サボっていい? ダメ? じゃよねー。けどトドメは他の者達に任せれば良い。んむ、それなら楽できるじゃろ。では――」
と振り返るといきなりゴーレム。
「近いわぁああああ!?」
魔力放出をしながら離れるルア。
「おのれ、儂をビビらせおってからに! お仕置きしてやるっ。纏めてゴートゥヘルじゃぁー!」
任せろとばかりに割り込んだ行人が砕けたゴーレムに肉薄戦を仕掛けていく。
なりゆきで組んだ同行メンバーだが、うまく立ち回れているようだ。
戦いながら彼はこう語る。
「ここへ来た理由は、この世界の精霊を感じたいと思ったからだ。精霊……少しだけでも、なにかを伝えてくれると有り難い。俺はその為にここへ来たのだから」
行人は戦いを通して、精霊がこの遺跡を綺麗に保とうとしている気持ちを感じることができていた。
「スペッチョナムって何だろうと思って調べてみたら、用語辞典があるんですね。流石、都会はなんでも揃っていますね。……スペッチョナムって何だろう」
ニゲラはそんな風に呟きながらディフェンドオーダーをかけ、ゴーレムにシールドバッシュを仕掛けていく。
軽くよろめいた所に鶫が狙撃を加えていく。
「大変そうですね。後方から援護いたしますよ。それと、回復しておきましょう。傷を負った方はこちらへ」
ザックには軽食と飲み物を用意しているようで、『腹が減っては何とやら、と申しますしね』と道中で仲間にわけていた。
破壊されたゴーレムの上を飛んでくる戦闘精霊。
炎のような槍が飛来するが、ドラマがマギシュートで反撃。打ち抜かれて墜落する戦闘精霊。
「古代の精霊術士の遺跡、ですか。まだ見ぬ知識の記録が残されていそうで……とてもわくわく、しますね」
墜落した戦闘精霊に、勇司のダイナマイトキックが炸裂。起き上がる前に一刀両断で破壊していく。
「俺は他の連中みたいに英雄だとか、何かを成し遂げたような人間じゃないからさ。戦闘経験が積めるなら少しでもこういうトコで頑張らないとってな。そうじゃなけりゃ本当に必要な時に力を発揮出来ないかもしれねーし」
汗をぬぐい、勇司は次の敵へと構えた。
突き進むはさらなる地下。
ドーム状の部屋が広がっている。
そこかしこから戦闘精霊がわきだし、壁際に座っていたゴーレムが起き上がっては身構える。
対抗するのは竜胆だ。
「流石は古代の遺跡って言ったところかしら? 戦闘精霊にゴーレム、侵入者対策もバッチリね。これでお宝でも有れば満点なんだけれど、流石にソレは欲張りかしら」
襲いかかってくるゴーレムたちに紫電一閃。
「寄らば斬るわ。まっ、寄らなくてもこっちから寄って斬るのだけれど」
更に一刀両断を加えていくと、横からキリカが飛び出していく。
素早く組技を仕掛け、一刀両断でトドメをさす。
「精神を一極集中させた抜刀術……それがこれほど精神をすり減らすなんて、すっかり忘れていました」
羽織をなびかせ、振り返るキリカ。戦闘精霊の槍が飛来するが、刀で切り払う。
おきた爆発のもくもくを振り払って現われたのはミディーセラとエスラだ。
「まあ、むかしむかしのしぇるたー。それも遺跡のなかの……確かに、珍しい依頼ですのね。でも、知りたい、思いついた事は無視できない気持ち。とてもわかりますわ」
ミディーセラのフロストチェインとソーンバインドが戦闘精霊へ炸裂し、エスラのマギシュートが貫いていく。連続の爆発がおき、散っていく戦闘精霊。
「人が中で暮らせるように作られた地下シェルター遺跡ね。過去にもそんなものが必要になる危機が世界に迫ってたってことなのかもしれないわね」
そんな風に二人は、今や忘れられた歴史に想いをはせる。
天井の穴から落下してきたゴーレムが二人の背後に着地する――が、襲いかかる寸前でリノの奇襲攻撃が転倒させた。
「やぁん、硬いわねぇ。隙間に捻じ込むのも一苦労だわ。あら、暴れちゃダメよ。大人しく砕かれなさいな」
ナイフを握りこみ、ゴーレムの間接部に突き立てて粉砕していく。
やがて動きをとめた敵をうちすて、リノはぐっと背伸びをした。
あちこちで撃破完了の声が上がる。安全確保が済んだようだ。
「一休みしたいわ。ゆっくり星空でも眺めながら寝るなんて中々ステキじゃない」
戦いを終えたイレギュラーズたちはそれぞれ持ち寄ったキャンプグッズやらなにやらを持って、居住区や『プラネットガーデン』へと移っていった。
●もう一つの星空
ノースポールとルチアーノがプラネットガーデンへとやってきた。
「光り輝く遺跡なんて、初めて見たよ」
「うわぁ! こんなに綺麗な場所もあるんだね!」
「この世界ではこちらが当たり前の日常なのかな? ポーはこんな世界、見たことある?」
「幻想の街はよく走り回ってるけど、こんな世界は初めて! ルークと一緒に来れて、よかったよ」
ノースポールが暗闇を怖がるかと考えて、ルチアーノは手をさしのべた。
「もし怖いと思う事があれば、傍にいるからね。怖い事は半分に割れば、軽減できるよ……それに楽しい事なんて、二倍以上になったりもするしね!」
「ふふっ、そうだね! ルークと一緒なら、楽しいことは何十倍にもなるよ!」
繋いだ手。暗闇も恐くない。
ノースポールは微笑んで、プラネットガーデンを歩いて行く。
一方で、ポテトとギギエッタが芝生でお弁当をつまみながらプラネットガーデンの景色を楽しんでいた。
「ステキな場所ね♪ 光る花がこんなにいっぱい! 初めて見たぁ!! 天井でキラキラしてるのは何だろう?」
「綺麗だねぇ。星空に浮かんでるみたいだよー。偶にはこんなのんびりした時間も良いねぇ」
寝転んでみるポテト。ギギエッタも同じように寝転んでみた。
「本当に星空の一部になったみたい。えへへ。アタシもキラキラしてるかなー?」
キャンプといえばたき火。
マルクとアンナはたき火を囲んでいた。
「アンナさんは、この遺跡の探索に来た事があるんだよね」
「そうね。前は罠もあったけれど、それはそれで楽しかったわ」
「そうだ、今日のお茶菓子、面白いものを持ってきたんだ。こうやって串に刺して焚火に当てて、蕩けさせて食べる。キャンプの定番なんだってさ」
二人はマシュマロを焼いて食べながら、ぼんやりと天井を見上げる。
「天井の星、凄く綺麗だな。一緒に見られて良かったよ。思い出を共有できるって、素敵な事だと思うから」
「ええ、私もそう思う。…こんな景色を誰かと一緒に見る日が来るなんて、半年前は思ってもいなかったわ」
あの時は不安だったけれど、今は……。
アンナはマルクの横顔を見て、どこか幸せそうな顔をした。
『プラネットガーデン』はとっても広い場所だった。
一人用のテントを点々とはったとしても充分なスペースを離せるくらいだ。
だからか皆思い思いの時間を過ごしたようだ。
例えばメートヒェンは『これだけ素晴らしい光景を見てしまっては絵に残さずにはいられないね』といってキャンパス類を持ち込んで風景を描いている。
「あまり星についてはくわしくないからよくわからないけど、もしかしたらこの遺跡が作られた当時の星空を模しているのかもしれないね」
一方で狐耶は『古来より伝わるキャンプスタイルを披露しましょう』なんていってキャンプテントを揃えていった。
一人用テント。釣竿。焚き火。ハーモニカ。これに緑の山高帽を合わせることにより伝統のキャンプスタイルですよとは狐耶の弁である。
そうして狐耶はハーモニカを吹きながら存在しない水場に釣糸を垂らし、自由を感じていた。
かと思えばキャンプといえばテントと寝袋とお弁当だとばかりに張り切るルアナもいる。
「よいしょ。テント設営おっけー! 寝袋も持ってきた! ごはんは……ごめんね、おじさま。いつもありがとう」
作って貰ったお弁当を広げ、のんびり過ごすルアナ。
(ルアナ、ここに着て結構経つけれど、中々記憶戻らない。戻らないままでも楽しいけれど、なんとなく不安はある。考えても仕方ないか。景色を眺めながらごはんごはん!)
こうしてお弁当を食べる子が居る一方で、威降とアリスはキャンプご飯を楽しんでいた。
「おぉ、本当に星空だ。綺麗だなぁ……どういう仕組みなんだろう。たしか、シェルターなんだっけ?……空を忘れないようにしたのかな」
「ただ傷つけるだけじゃないんだよね。全てはきっと、扱う私達次第なんだ」
威降のキャンプご飯は干し肉とハーブを鍋に入れて胡椒で味を調節……しただけ!
「美味しいかどうかはちょっと分からない……こういうドキドキもキャンプの醍醐味だよね」
「いいのいいの。ご飯を食べて、遊んで今日はリフレッシュするぞ、おーっ!」
楽しそうにご飯を一緒に作り、食べ始めるアリス。
「今が大変だから、きっとこうした事が大切なんだよね。きっと」
……といったように一般的(?)なキャンプをプラネットガーデンで楽しむ人々もいれば、居住区にある細々した部屋で過ごしてみる珠緒もいた。
(生活に必要なあれこれが用意されていたとしても、気持ち的なあれこれは残るのではないかな、と……)
部屋には人がひとり暮らすには不自由しない程度のスペースがあり机とベッドがつながった家具があった。
ベッドは土台のみで硬かったので、厚めの敷物を用意して横になってみた。
(特に新しい領域にいたったり、開眼したりすることはないでしょうけれど……たまには、こういう日があってもよいのです)
一方こちらは思い思いのキャンプを楽しむ葵や灰たち。
「遺跡には初めて来ましたねー。狭いとか薄暗いイメージだったんですけど、この遺跡は精霊さんの整備もあって快適ですね」
「日々の疲れが癒えていく。穏やかな気分だ……。いつか故郷の鉄帝も、こんな豊かな土地にしたい」
寝っ転がる葵の横で、キリッとしていた灰がすぐに気分を変えていく。
「このために大人買いしてきたつまみを食べる時が来たのだ! ヒャッホー! 食うぞ食うぞ食うぞ!」
一方でメイメイが精霊たちの仕事ぶりを観察している。
(この子たちは、ずっと、ずっとこうして、働いているんです、ね……)
遺跡の中をせわしなく動き回る精霊たちのおかげか、空気は澄んでいて妙にぽかぽかする。
(この輝く花、も、精霊の力によるものでしょう、か……)
プラネットガーデンでゆれる花も綺麗で、持って帰れないだろうなとスケッチをしていた。
さて、こちらはグルキャンを楽しむ人々。
アンシアとシビュレがたき火を囲んで向かい合い、酒を飲み交わしている。
「キャンプ……つまり酒だ。分かるな? 持てるだけ持ち込んできた。せっかくだし」
「終わったら、報酬でパフェ食いにいこう。スペッチョナム盛りまでは、流石にいらんけども」
こうしてだらーんと過ごしているのもコリーヌが正宗くんを持ち込んでいるからだ。
「マスターハ コウイウリョウリヲ ツクレナインデスヨネー」
「大丈夫、メカなら作れる」
「ソウイウ モンダイデハ……」
家電機能を活かしてごはんをうまいこと作っていくコリーヌ。
「ほんと、こういう時の正宗くんって頼りになるよねー」
一方でその恩恵にあずかるゲオルグ。
「遺跡の中でキャンプとは中々出来ない体験だな。色々と国内はきな臭いことになってきてはいるが、こうやって羽を伸ばせる時はしっかり伸ばしておかねばな」
ジークのすきなプリンを作り、美味しそうに食べるジークを幸せそうに眺めるゲオルグ。なんと円満な幸福だろうか。
そこへラァトが加わっておいしい紅茶を振る舞えば、ほっこり空間のできあがりである。
「うわー久しぶりだなあベッド以外で夜を越すのは! 寝具というものは柔らかいし清潔だし気持ちがいいけれど、たまには夜天の下でゴロゴロするのも恋しくなっちゃうんだよなあ」
どんな場所でもギフトで幸せになれる。そんな彼らである。
いい具合にできあがったキャンプ会場、もといプラネットガーデン。
ヨハンはたき火を仲間たちと囲んでいる。カイトやニーニアたちだ。
「はーあったけえ。でも羽毛が燃えないように気をつけねーとな」
「一度焚き火で焼いて食べるってやってみたかったんだよ~」
翼を広げてぬくぬくする二人。
「焚き火って見てると楽しいよな。音とか気持ちいいし、揺れる炎が綺麗だし。飯も美味く作れるしな!」
「そうだ、お魚とお菓子もいっぱいあるからじゃんじゃん食べていいよ!」
どうもたき火はテンションが上がるようで、ニーニアたちは持ち寄ったお菓子や干し肉を楽しそうにぱくついている。
「まさかここでキャンプする事になるとはイレギュラーズの活動も先が読めません……」
一方でヨハンは持ち込んだサンドイッチとお茶をぱくついて、戦いの日々とラージシールドの重みから開放されていた。
どうやら今回の探索で居住区や娯楽室、畜産や植物栽培をしていたらしい施設が見つかったそうだ。その辺りの機能は死んでしまっていて、労働精霊も管理していないらしい。
まあ、さておきだ。
安全になった綺麗な遺跡の中で、今日はゆっくりと眠ることにしよう。
イレギュラーズたちは美しい景色の中、リフレッシュできたようだ。
成否
成功
MVP
なし
状態異常
なし
あとがき
おかえりなさいませ、イレギュラーズの皆様。
ダンジョンキャンプはいかがでしたか?
居住区であることが分かった古代の遺跡。そんな中から皆さんの持ち帰った思い出やちょっとした調査結果が、研究家のディブレーク氏に渡りました。
この先、もっと研究が進んだり、奥深くへの探索ができたりしたら、素敵ですね。
GMコメント
こちらは古代遺跡の中でキャンプをするというちょっと変わったイベントシナリオです。
用法用量を守って正しくお楽しみくださいませ。
【オーダー】
・成功条件:グランガラド遺跡の中で24時間過ごす
参加の際にはプレイングの頭に【キャンプ】か【安全確保】のどちらかをカッコつきでコピペしてください。(していなくてもそれなりに察しますが、迷子になる危険があります)
実質的には参加者全員がキャンプと安全確保の両方をやっているのですが、選択によってリプレイで描写されるパートが変わります。
●キャンプ
遺跡内の小部屋やプラネットガーデンを利用して一日のキャンプを行ないます。
たき火を囲んでご飯を食べて寝て、たまに遊んだりします。
●安全確保
遺跡を巡回している戦闘精霊やゴーレムを倒して回ります。
隅々までこなすとキャンプ時の安全が確保できます。
お好きなグループでダンジョンキャンプを楽しんだり、お好きなグループでパーティーを組んで戦闘をこなしたりもOKです。(グループ参加に関しては下の【グループ参加】をご参照ください)
【グランガラド遺跡】
古代の精霊術士によって作られたとされる遺跡。
炎と大地の精霊によって建設・維持されており、今でもセキュリティが機能している。
基本的に硬い石でできた壁や天井に覆われ、大小様々な部屋や廊下が続いているが、特筆すべきは『プラネットガーデン』と呼称されている巨大地下空間です。
●プラネットガーデン(仮)
まるで星空に覆われたようなきらめく大天井。
あちこちには輝く花がさいている。
地面は豊かな土で覆われ草も茂っており、人工的な水路が流れている。
水は清らかな真水で、そのまま飲んでも健康被害をもたらさない。
空調や浄水の技術が労働精霊によって維持されているので空気もほんのり暖かい。
●労働精霊
与えられた単純作業のみをひたすらこなす精霊。
知能は低く、言葉もよくわかってないものが大半。
【罠と戦闘】
遺跡内では部外者を排除する戦闘精霊やゴーレムが巡回しています。
これを見つけ、倒していきましょう。50人くらいでワッと押しかけるので探索の必要もなくカタがつくでしょう。ベリーにイージーな戦闘案件となっております。
かつては罠も仕掛けられていたようですが、先の探索隊が既に解除に成功している模様です。
●石ゴーレム
魔力の籠もった石の人形です。身長2m。顔の代わりに変な模様が描いてある。
・スキル
格闘(物近単):石の身体による格闘。主にパンチ。
大暴れ(物近列):巨体を活かして近くのものを薙ぎ払います。
●戦闘精霊
遺跡内を巡回しているセキュリティ目的の精霊。
侵入者を見つけると問答無用で襲ってくる。
・スキル
遠術(神遠単):精霊の力で魔力的な攻撃をしてきます。
精霊の槍(神遠範):爆発する槍を投げます。
【グループ参加】
お友達グループと一緒に行動する際は『プルー・ビビットカラー(p3n000004)』といったように同行者のフルネームIDを記載してください。
3人を超えるグループの場合のみ【ダンジョン愛好会】のようにグループ名でまとめてもOKです。
これらの記載が無くてもできるだけ察して組むようにいたしますが、気づかずに迷子になる危険もあるので記載方法にはご注意ください。
【アドリブ度】
イベントシナリオ内では基本的に『アドリブ控えめ』でお送りします。
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