シナリオ詳細
悪食の花胎
オープニング
●神威神楽
絶望の青を越え、目にしたのは色鮮やかな黄金と赤。
ずっしりとした恵みを閉じ込めた穂が日に照らされれば黄金に輝き、赤い鳥居が立ち並ぶ向こう側には瓦屋根は今までとは違う別世界に来たかのようだった。
――豊穣郷カムイグラ。
黄泉津(よもつ)と呼ばれる陸地に存在する国家なのだという。
●肉食む花
始め見た時は、薄い雲がかかっているのかと思われた。
青々とした葉の緑に混じり、淡い薄紫が煙るように纏わり付いている。いや、違う。生い茂る松に絡むようにして、薄紫の花房が覆うようにして咲いている。
それは一目見て、幻想的で美しい光景だった。自分が絵師であれば、間違いなくこの場で筆を取り出したことだろう。
まるで始めから一本の木であったかのように、違和感なく融和した二つの木。
深緑の木々に混ざり合い、幹を這い回り巻き付くようにして空を目指し、枝の先まで巡らされた葉の合間から藤の花がおんなの細い腕のようにしなだれかかっている。
視線を動かせばそれは一本に留まらず、周囲の木々を巻き込んで複雑に絡み合い、得も言われぬ猛々しい美しさに溢れた情景であった。
人の手の行き届かない山林において生命力の強い藤が縦横無尽に蔦を伸ばし、我がものと主張するように侵蝕していった。
強いものが弱いものを食らって生きる。自然の中ではままあること、命の巡りと言えばそこまでだ。
「それだけなら良かったんだがな」
だが、この花は「異常」なのだと『砂礫の鴉』バシル・ハーフィズ(p3n000139)は告げた。
かつて『夫婦藤』と呼ばれたこの花は、今や『人喰い藤』として名を知らしめていると言うことを。
「偶々通りかかった生物を蔦で捕え生気を奪い尽くしたあと、残った骨を束ねた幹を胎に収めるようにして咲いているそうだ」
そして面倒なことに、山奥にあったはずの人喰い藤は成長を続け、徐々に山を下り始めたのだという。
「このまま行けば人里まで行き着いた花が食い荒らすかもしれねぇ。その前にこいつを片付けてほしいってのが、今回頼みたい面倒事だ」
藤の花は甘い香りを漂わせ人の心を攫った後、花吹雪により視界を奪い伸ばした蔦で絡め取っていくのだという。そして周囲には鬼火――火の玉やウィル・オ・ウィスプが集まり、炎を飛ばして攻撃してくる。
「精霊種――ここでは八百万(ヤオヨロズ)っていうらしいな、連中のなかは『その辺りの獄人(ごくと)など食わせておけばいい』なんて話もあったそうだが、俺たちにお鉢が回った以上そうはさせられねぇ。
まずはこのカムイグラを回ってここがどういう場所なのか、何が起こっているのか。実際に見聞きするのがいいだろう。
そのついでにご機嫌取りとは言わねぇが、いい顔をしないお偉いさん方に『悪くない』と思わせられれば……って所だな」
前人未踏の未知の世界、肌で感じて見ては如何だろうか。
「まずは一仕事、頼むぞ」
- 悪食の花胎完了
- GM名水平彼方
- 種別通常
- 難易度NORMAL
- 冒険終了日時2020年07月13日 22時01分
- 参加人数8/8人
- 相談7日
- 参加費100RC
参加者 : 8 人
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参加者一覧(8人)
リプレイ
●影に滲むもの
豊穣の名が示すとおり、カムイグラの地は実り豊かな土地であった。
新しい大地に来たのだから、のんびりと観光に勤しみたい気持ちもあるのだけれどと『虹の橋を歩む者』ロゼット=テイ(p3p004150)が辺りを見回せば、長閑な田園風景が広がるばかりである。
しかしどうやらこの大地にも、厄介ごとの種は尽きぬらしい。
その事に心を痛める反面、飯の種が尽きない事を喜ぶべきなのかもしれないな、などと考えながらてくてくと山道を歩いて行く。
「しかし、人食いの藤の花、かあ」
「どうして藤がそんなことになってしまったのか……何かの影響でも受けたりしたのかな?」
「なんで花が人食いになってるのか結構謎だよね? この土地にしかないメカニズムが何かしらあるのかな?」
好奇心に目を輝かせるロゼットの隣で『希望の蒼穹』アレクシア・アトリー・アバークロンビー(p3p004630)が考え込むも、まだこの土地には来て日が浅く謎が多い。
「自然の巡りの中だけならまだしも、周りに大きな被害をもたらすようになってしまったなら、放っておくわけにもいかないね」
やれることから一つずつこなせばいいと気持ちを切り替えて前を向いたアレクシアの隣で、人へと還った三つ目の鬼が目を眇めて辺りを見ていた。
目新しい筈の土地に来たというのに、彼岸会 無量(p3p007169)の目には遠き日の懐かしい風景が重なって見えた。
見渡せど連なる山々、波打つ黄金色の実り。八百万という世界と非常に近しい価値観。
「使い古されたものに命は宿る。それは即ちこの藤もまた、想いが集いて八百万と言わずとも妖と化したのであれば」
「成る程、それが人食い藤という存在という事か」
「人の想いか、草木の想いか……一体どのような想いを孕んで生まれたのでしょうね」
花ならざる存在へと化けたものを語りそっとため息をついた無量の声を聞いて、『讐焔宿す死神』クロバ=ザ=ホロウメア(p3p000145)は成る程と相槌を打った。
「人を惑わし喰らうとは中々に悪辣ともいえるし、ある種合理的でもある。……まぁ、人の魂を喰らうのは悪いが俺の知っている死神の専売特許だ。――悪いが、鬼の如く斬り落とす」
「どんなに美しく咲き誇る花々でも人の脅威となれば滅ぼすしかないわね。その花、私が奪わせてもらうわ!」
甘く漂う香りと共に姿が見え始めた花を見て、穂と同じ黄金色の色彩を纏った『狐です』長月・イナリ(p3p008096)が自信たっぷりに言い放つと、景色に見入っていた『闇討人』如月=紅牙=咲耶(p3p006128)が快哉の声を上げた。
「いやぁ絶景哉、絶景哉! これ程の見事な藤を斬るのは惜しいでござるが、被害が出るなら致し方ない。これも世の為人の為、これ以上の大事になる前に確実に刈り取る事に致そうか」
「君も生きる為に食らっているだけなのかもしれないけれど、生憎黙って見過ごすことはできないんだ……。だからお互い恨みっこなしで、自然界の掟に従い弱肉強食といこうじゃないか!」
敵を真っ直ぐに見る『雷光・紫電一閃』マリア・レイシス(p3p006685)の勇ましい姿を見て、『私の航海誌』ウィズィ ニャ ラァム(p3p007371)は改めて今回同行する面々を見る。
「しかし。錚々たるメンバーが集まりましたね、今回……ちょっとした魔種でも倒せそうな気がしますよ」
その中の一人であるウィズィとて、彼らと肩を並べる実力者の一人である。そして単なる力だけが彼らの「本当の恐ろしさ」ではない事も、身を以て知っている。
「ま、こういう歴戦の強者達の何が恐ろしいって、どんな相手でも油断しないとこなんですよね!」
さらりと口にした言葉の裏には、彼らに寄せる信頼がありありと滲んでいるのだった。
●人喰い
それから程なくして、空が霞むほど鮮やかな紫色が悠然と両腕を広げるようにしてイレギュラーズ達を出迎えた。
辺り一帯の命は吸い尽くされ、風に揺れる枯れた枝葉がからからと虚しく鳴っている。
緑すら失われた中で、寄りかかる松の葉だけがかろうじて残っているだけだった。
イレギュラーズ達を出迎えるように蔦を震わせ、薄紫の房を揺らした途端、花の香りがむっと広がった。
その空気を切り裂くように、地獄の炎を模したような黒紅と雷のような鋭い刃紋が対を為して藤へと迫る。
人であれば神経を麻痺させる程強烈なクロアの一撃が入ると、一旦刃を引き相手の出方を窺った。
「ご武運を」
「ええ、無量さんこそ!」
凜とした声を残して地を蹴った無量の背中を、ウィズィは明るく見送った。無量は振り向くことはなかったが、変わらぬ後ろ姿がこの上ない程頼もしいことを知っている。
その三つ目に映る木々や花が悉く枯れ、最早人喰い藤のものしか残っていない。張り巡らされた生きた蔦は全て敵と見なし、油断なく警戒しながら距離を縮めていく。
甘い香りを振りまこうとした花の房を見た無量の刃が、それよりも速く斬り落とす。著名な剣豪の技で在りながら、それを繰り出す彼女の技量の高さがうかがえる。
「実際にこの技で花を斬るのは初めてですね、参ります……」
甘い香りで惑わされると言うのであれば、血の匂いで消せば良い。無量は己の腕を斬り、鉄錆びた血の匂いを身に纏う。
ゆらゆらと漂う鬼火が花に紛れて点るのが、仲間の戦いぶりを見ていたウィズィの視界に入った。
出番が来たとばかりに海賊帽を被り直し、にっと唇の端を釣り上げる。
「さあ、Step on it!! お前らの相手は私だッ!」
高らかな口上と共に藤の花から引き離すようにウィズィは駆ける。
――かかった。
つられるように追従する鬼火を見て、ウィズィは成功を知らせるように歓声を上げた。
イナリが細い指先をついと横に滑らせれば、二重に張り巡らされた結界が彼女を守る衣となる。相手の動きを観察していたそのとき、一陣の風が枯れ果てた梢を揺らし雨音のようにざあざあと騒ぐ。
甘ったるい花の香りが辺りに立ちこめ、イナリはさっと袖口で鼻を覆った。
「おっと」
「大丈夫ですか!」
その僅か後ろで咲耶がよろめいたのを見て、ロゼットは咄嗟に傷の具合を見る。大丈夫だと片手で制した咲耶を見て、今は攻めるべきだと溜飲を下げる。
この様にして何人も食べられてしまったのだろうか。
聞きしに勝る獄人達への風当たりを思い出し、ひん曲がった根性だとギリと奥歯を噛みしめる。
しかしその悪習がどのような出来事が原因で生まれたのか、ロゼットにはとんとわからない。
「人々に太陽の公平がありますように」
瞳を閉じただ祈りだけ捧げて、疑問を奥底へと追いやった。
甘い香りの残滓を払うように、熱砂の砂嵐が巻き起こる。
その嵐に紛れ、ひらりと小さな花弁が紛れ込む。人喰い藤目がけて真っ直ぐに飛ぶ赤色は太い蔓を深々と穿ち、身に宿した毒の魔術を注いだ。
アレクシアの目が戦慄く枝を見て細くなる、抵抗をそぎ落としたが未だこちらに意識が向いていない。
「しかしこの目の前に広がる美しさときたら! 舞い散る花吹雪に見惚れて思わずここが戦場である事すら忘れてしまうところでござる。斯様な事がなければ皆とこれを肴に藤見酒としゃれ込んでいたものを!」
からりと笑い飛ばしながら咲耶が一足踏み込んだ。隠密刀を抜き、魔性の切っ先が剣筋を隠し惑わせる。
「夢のようであろう、お主も見てみると良い」
心地好いぞと誘う声と共に振るわれた刃は、一閃で太い根を断ち切った。
痛みか衝撃か、大きく震える花がその傷の深さを物語っている。
「畳みかけます!」
紅雷を纏う拳が鋭く突き出されると、弾と化した雷が撃ち込まれた。
「まだ終わらない!」
加速したマリアの追撃が寸分違わず同じ場所にもう一度、吸い込まれるように放たれた。
●散華
「いやあ、やっぱり皆さん流石ですね!」
触れるものを傷つける不可視の鎧を纏い、巨大なナイフを振るいながら傷だらけのウィズィは笑った。
アレクシアやロゼットが傷を癒やしていくが、数を相手取っている為か思いのほか手間取っている様子だった。
「助太刀します」
数多繰り出す斬撃の内から見極めた『最適な太刀筋』が、鬼火の体を両断する。
「わ、無量さん! さすが! 大好き! さて私も行きますよ、必殺技──すなわち! 通常攻撃!」
ウィズィが頬を染めて歓声を上げ、あり得るはずだったもう一人の自分の可能性を奪う。そして今のウィズィにはあり得なかった力で以て、手にした得物で目の前の敵を斬りつけた。
「思ったよりもしぶといですね」
アレクシアが撓る蔦を受け止めると、厳しい表情で蔦を引きずる様を睨んだ。
指先で指し示した方向へ毒の魔術を込めた魔砲の矢を放ち、鏃が鋭く爪を立て、美しくも危険な薄紅の花を咲かせて爆ぜる。
しかし人喰い藤の花弁も所々萎れ始め、動きに精彩を欠いていた。
「奪う側が奪われないと誰が決めた。死神としての権能、その身に刻んでから逝け」
クロバがガンブレードに装填させた弾丸に魔力を込め、爆炎と共に加速した刃で雪崩れるように攻め立てた。
死神とは如何なる存在かを刻みつけるように、抉り込むようにして傷をつけていく。
「ここからが私の本領発揮さ! 紅雷の輝きを見せてあげよう!」
赤いポニーテールを翻し前進するマリア。動けないとは言え相手は怪物、稲妻のように蛇行し速度を操り、変幻自在に駆け抜ける。
「はあっ!」
紅雷を纏い更に加速した蹴りで隙を作ると、軸足を捻り続けざまにもう一撃。速く、そして荒々しく花弁の中を眩しい程の光が瞬いた。
「さて、こちらも大分削ったようだけど」
剣の神をその身の降ろし、己の限界を超えたイナリの周りで雷が花弁のように爆ぜる。
「人の脅威になった存在は退治されなければならい、でも私からのせめてもの手向けよ。生まれ、寄り添った夫婦の松と、この場で共に果てなさい!」
骨を砕くような反動を食いしばって堪えながら、最後まで剣を振り抜くイナリ。絡みつく松の幹ごと一刀両断せんと、渾身の力を込めた一撃を放つ。
「イナリ殿天晴! これではますます刈るのが惜しくなるというもの。人心を惑わすとは誠に恐ろしい妖物でござるな!」
咲耶は敵ながら見事と喝采を送り、自らもまた花に負けず劣らず鮮やかな人たちを浴びせかけた。
「さらば魔性の夫婦藤よ! せめて最後の散り際も美しくあれ!」
手向けの一撃を最後に、寄り添う松と共に倒れ崩れゆく藤の花。
「って、早っ! あの藤もう倒したんですか!?」
その音を聞きつけたウィズィが驚き――しかしその表情は彼らならばやってくれると信じていた彼女は満面の笑顔を浮かべた。
「お待たせ、いま回復するよ」
「ありがとう! これは負けていられないですね!」
調和の花を咲かせ、傷を癒やすアレクシアに感謝の言葉を述べるウィズィ。
癒えた体の具合を確かめ気合を入れ直すと、ならばと愛する恋人を想い、力を沸き立たせる。
人並みだったウィズィが走り続ける中で胸に宿った願いと誓い、そして恋の炎が身を熱くする。
「私は君の生きる理由。ならば私は私を守る。君との次の一瞬のため、私は今、この一瞬を生きる。……それが! 私!」
「ウィズィニャラァムさんらしいですね」
それを見ていた無量がぽつりと零す。不思議そうな彼女の表情には答えることなく、無意識に見極めた一閃を以て容赦なく斬り捨てる。
全は一となり、一は全を持つ。無量の剣はその言葉を体験するかのように鋭く容赦ない。人から鬼へ、そして鬼から人へ堕ちたその手は業に塗れている。その手で何を斬るか分った上で斬るのだ。
「鬼火よりも更に荒々しい、鬼の気による焔を以て斬り祓う――!」
そこへ雪崩れ込むように激しく、踊るように滑らかなクロバの連撃で鬼火が一つ吹き飛んだ。全てを飲み込む苛烈さこそが必要なのだと己に言い聞かせ続けた死神は、その思いを体現するかのように不安ごと爆炎を散らしていく。
残る鬼火を数えながらいまのロゼットに出来る事は何かと思案する。それはこの依頼を完遂し信頼の対価として金を得ることだとロゼットは考えていた。
獄人への不当な扱いに対して歯痒い思いはすれど、事情も知らぬ外様の自分に出来る事は無い。
「……さて、楽しい金勘定の時間だ」
信頼の対価としての金を得るために出来る事をする。
ロゼットは光り輝く羽根めいた疑似器官を生やし、鬼火を包み込む。触れた相手から理力を奪うそれは、血統に刻印された魔術であり、混血の証明だった。
眠るように小さくなる炎が、最後に揺らめいてかき消える。それは風前の灯火だった命のようで、ロゼットは僅かに目を伏せた。
「もしやすると藤に喰われたものの怨念かもしれぬがもはや現世に留まる理由は藤と共に絶たれた筈。このまま彷徨い続けるのは実に哀れ故、せめて苦しまぬ様に手早く成仏させてくれよう」
そんなロゼットへ向けたのかただの独り言だったのか、咲耶は言葉通り元より弱っていた鬼火を斬り炎を消した。
「さあ、後もう少しだ!」
マリアが撃ち出した紅雷の拳が飛び出すと、被弾した部分の炎ををごっそりと消し飛ばした。イナリが合わせて二振りのレプリカを振るった。するとたちまち宿った権能を現して、魔を払い爆炎で掻き消していく。
最後の灯火が消える。
枯れた蔦に寄り添うようにぽたりと鬼火が落ちると、輪郭がほろほろと崩れ何も残らなかった。
●火葬
さて、と辺りを見回したイナリは近くの茂みに歩み寄り、検分を始めた。
「植物は生命力が強いから、ちゃんち根から処分しないと、復活しちゃうかもしれないしね」
枯れた花が落ちている辺りを念入りに調べながら、茶色くなったそれを一所に集めていく。
「私も手伝うよ。また新しい自然が芽生えられるように、そして藤が静かに眠れるようにね」
花に意志はない、それ故に自ら怪異となった訳ではないのだろう。この事件がなければ花を咲かせ、人を楽しませていたであろう姿を思い描きながら集めていく。
その傍らで無量は幹に束ねられるようにして残っていた骨に目をやった。
「せめて彼らが迷わずに彼岸へと至れるように」
暫し黙祷を捧げたあと、蔓を解いて選り分けていく。動物の骨であればその場に埋葬し、人の物は包みに纏めて持ち帰り無量の手で確りと供養するつもりだ。
痛む傷を押えながら、ウィズィは事件の仔細を忙しなくメモに書き留めていた。
「海洋国が情報を欲しがってますからね……少しでも報告しなきゃ」
何がいつ必要になるか分らない、だからこそどんな事でも記録し未来につなげるために。
それぞれの作業が終わり、藤と松の亡骸を組みあげていく。
「せめて夫婦藤と呼ばれたその頃のように、また美しい花を咲かせて欲しい」
クロバは添う願いを込めて、最後に火を点す。煌々と燃え上がり、埋み火が消え、全てが白い灰に変わるまで。
やがて熱を失った灰が風に乗り飛ばされる、夫婦藤の最期の姿を見届けた。
成否
成功
MVP
状態異常
あとがき
お疲れ様でした。
カムイグラの冒険は如何でしたでしょうか。まだまだ始まったばかりのこの国で、その一歩を踏み出しました。
夫婦藤は人々の心に咲く美しい花で在り、また人を喰らう異形として語り継がれることでしょう。
MVPは如月=紅牙=咲耶さん。
あるがままを受け入れ、粋を楽しむ姿が爽快でした!
GMコメント
カムイグラへようこそ!
●目的
『人喰い藤』の討伐。
●場所
山中にある一本道を進んだ先に藤の木があります。周囲の木々を枯らした為、やや開けた場所となっています。
また人喰い藤の噂が流れてから人々は近寄らなくなっており、周囲に人はいません。
●敵
『人喰い藤』
妖と化した藤。かつては一本の松と友に『夫婦藤』と称された花でした。移動はできませんが範囲に影響を及ぼす事が可能です。
・甘い香りで敵を惑わせます。神自域、ダメージ+【恍惚】
・花弁の嵐で生気を掠め取ります。神中範、ダメージ
・蔦を伸ばして単体を打ち据えます。物中単、ダメージ+【ブレイク】
鬼火×8体
ふわふわと漂う火の玉(ウィル・オ・ウィスプ)です。
・火の玉を飛ばして攻撃します。神中単、ダメージ
・僅かばかり他者を回復します。
●情報精度
このシナリオの情報精度はAです。
想定外の事態は絶対に起こりません。
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