シナリオ詳細
<大願成就>祝勝浜焼き! 海の幸を大いにいただく
オープニング
●ふたりの船長、戦いを振り返る
「めでたいことじゃねえか!!」
「いやあ、まったくだ!!」
ふたりの船長は上機嫌だった。
ロイ・シャダイ船長とジュニオ・テップ船長である。
ふたりとも、海洋大号令によって航路を拓き、さまざなな苦難を乗り越えてきた船長である。
頭がいくつもある鮫やら、巨大なタコやら、空飛ぶ殺人魚やら……。
「いろいろ大変だったぜえ……」
ロイ船長は瞳を閉じた。
瞼の裏に思い出される、死闘の数々……。
しかし、今まで仕留めてきた獲物の多くは自分たちと同じで、必死に生きてきただけなのかもしれない。
彼らもまた、生きるために闘い、そして食らっただけなのだ。
そう思うと、胸に迫るものがある。
「やっぱりよぉ。俺たちも生き物の命を食らって生きることにゃあ変わりはねえよな」
「そうだな。あいつらも俺たちも生きるために戦って、たまたま俺たちが勝ったってだけだな」
テップ船長もまた、同じ思いであった。
だからこそ、仕留めた獲物の肉はきちんと保存してある。
鮫の尾ビレ胸ビレなどは、干して高級な食材とし、痛みやすい肉は魔法によって低温保存されている。鮮度は保たれたままだ。
「ようやくこいつをいただける日が来たんだな」
「そういうこった、兄弟。酒はあるだろうな?」
「もちろんだ。盛大にやろうじゃねえか。たくさん人を集めてよ」
●浜焼きに来ないか?
「パーティのお誘いなのです」
『新米情報屋』ユーリカ・ユリカ(p3n000003)は、集まった冒険者たちに言った。
海洋大号令で活躍したロイ・シャダイ船長とジュニオ・テップ船長が浜焼きで祝杯を上げるのだという。
酒はもちろん船長たちが用意してある。
肴は、海洋で採れた獲物で、タコや鮫、鰹だそうだ。持参するなら、それもOKだという。
「いっぱいあるから、料理人と食べる人も募集なのです。海の幸を美味しくいただくことで供養にもなるのです」
いろいろあって戦って仕留めた相手だが、粗末にするよりは美味しくいただいたほうがいい――
そういう心意気だそうである。
「持ち込みも歓迎だそうなのです。せっかくだからお呼ばれされるといいのです」
- <大願成就>祝勝浜焼き! 海の幸を大いにいただく完了
- GM名解谷アキラ
- 種別イベント
- 難易度VERYEASY
- 冒険終了日時2020年06月28日 22時05分
- 参加人数25/∞人
- 相談6日
- 参加費50RC
参加者 : 25 人
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参加者一覧(25人)
リプレイ
●さあ、召し上がれ! 海辺の浜焼き!!
波の音が聞こえる、美しい砂浜――。
昼は泳ぎ、初夏の陽射しに肌を焼き、寄せては返す波と戯れた。
そして、夕日が白い砂を染め上げる頃、いよいよ祝勝の浜焼きが始まる。
「よお、よく来てくれた! 材料も器具も、みんな揃ってるぜ」
「もちろん、酒もな!」
ロイ・シャダイ船長とジュニオ・テップ船長のふたりは、今回の海洋大号令でさまざまな“海の幸”と戦ってきた。
それらを供養する海でも、命に変えようと言うのである。
数々の海の幸を焼き上げるための網、串、石炭などなど、そしてラム酒も樽で持ってきている。
「それじゃあ、始めるか!」
石炭に火が入り、浜焼きの開始が告げられた。
「タコ、喰う! イカ、喰う! サメ、殴る!」
コンバルグ・コングは祝勝ムードに大はしゃぎする。
「がっはっはっ! サメの野郎はもう動かねえから食っちまおうぜ」
「ウホウホウホウホウホウホウホウホウホウホウホウホウホ!!」
胸板を掌でバシパシ叩き、喜びのドラミングで感情を表現した。
網の上で、タコがじゅわああああと音を立てていい感じ丸まっていく。
テップ船長がコングと肩を組み、それを見守った。
「じゃじゃーん! ストレリチアなの! 今日は海鮮とラム酒優勝していくの!」
『花の妖精』ストレリチアはラム酒ベースのカクテルを作っていく。
まずは、モヒート。ミントの葉をつぶし、香りが立ったところを炭酸水とラムで作る。
ミントの爽やかさが、夏の夕日を飾る。
氷をザックザクに入れてライムと砂糖でカイピリーニャ、ウォッカで作ればカイピロスカだ。
「烏賊雲丹焼いっちょう! なの!」
なかなか乙なものを頼む妖精であった。
「この塩を振りかけて網の上にのせて焼くハマグリとイカが最高なんだよな」
バルバロッサが焼くのはハマグリとイカだ。
特に、ハマグリにはこだわりがある。
網に乗せて炙れば、カタカタと震えて貝の口がばかっと開く。
貝から出たエキスが、こぽこぽと泡立ってくるのがたまらない。
イカも、焼き目がついてくるっと丸まる。そこにたらーっと醤油をかけると香ばしい香りが鼻孔をくすぐる。
「くう! たまんねえな! 何本でも食えるじゃねえか! おい! ビールおかわり! じゃんじゃん持って来い!」
「こっち持ってこい! 心配いらん、酒代は経費で落ちる」
エイヴァン=フルブス=グラキオールのもとに、次々に冷えたビールが運ばれてくる。
「おお、わりぃな。しかし、経費で落ちるのか?」
「今日ぐらい大目に見てくれるだろう。そうでなかったとしても、始末書一枚で済むなら安いもんだ」
エイヴァンの粋なふるまいであった。
「さあ、お前たちもこっちに来て食え!」
そして、これまで苦楽をともにしてきた兵たちも呼んで、盛大に食らう。
「適当に焼いていくから、好きに取っていってくれや。……っと、酒は俺の分も残しておいてくれると嬉しいねぇ。後でゆっくり飲みたいんでな」
焼き目がついた串を、十夜 縁がひっくり返す。
海産物は口にはしないが、出てくる酒は味わいたい。
「美味しいものを美味しく食べましょー。皆で食べれば、もっと美味しいわよー♪」
嶺渡・蘇芳はカツオのたたきを作る。
ここは浜辺、豪快に藁火で炙っていけるのだ。
高温でさっと皮目を焼くには、藁がもってこいだ。
カツオの皮が焼けたところで、氷水に落とし、茗荷に大葉、玉ねぎの薬味を刻む。
カツオの切り身は厚く切って薬味をたっぷりのせるのがコツだ。
塩たたきとポン酢、好みでどちらから言ってもいい。この時期の初ガツオなのでさっぱりとした味わいに仕上がった。
「はらもはしっかり目の塩胡椒で焼くと、お酒がとても進むのよー♪」
ストリチアを始め、見守る仲間たちが美味しそうな料理を目にして辛抱たまらんという顔になっていく。
「浜焼きだ! 食べる専門だ!!」
カイト・シャルラハはまだ未成年であり、酒は飲めない。
横目で飲兵衛たちを羨ましがりながら、漁師飯を揃えていく。
アジは酢で締め、淡白なカワハギは唐揚げ、ブリは照り焼き、サメは……刺し身になる。
ある地方では、鰐料理と言って饗される。
アワビは酒蒸し、鯛とアサリでアクアパッツァ、アサリの味噌汁も美味いのだ。
「今日は付き合ってくれてありがとう! 先日の祝杯らしくて海の幸をご馳走してくれるんだって! 君にお土産もあるんだ!」
「美味しいお魚! 香り高いお酒! ふへへ、幸せ……」
マリア・レイシスはヴァレーリヤ=ダニーロヴナ=マヤコフスカヤでの参戦である。
見繕った良い酒を持ち込み、焼き上がってくる海の幸を頂いてく。
「ヴァレーリヤ君は本当に楽しそうにお酒を呑むよね♪」
「あーりーがーとー、私とっても嬉しいですわー! 今日は一緒に飲み明かしましょう!」
しかし、連戦の疲れたらかいい感じに酔いが回るととろんと瞼も重くなってくる。
「疲れてるよね……。皆頑張ったもの……。ゆっくり休んでね」
値落ちしたヴァレリーヤの頬をつんつんしながら悦に入るマリアであった、
「のんべえな方々が沢山……いますので、シジミの味噌汁を作ろうと思います」
次々と杯が空いていく会場で、エル・ウッドランドが用意するのは肝臓にも嬉しいシジミ汁である。
昆布のだしは沸騰直前に引き上げ、少量の酒で味を整え、十分砂を吐かせたシジミを入れる。
コハク酸が十分に出きったところで、味噌仕立てにすると香り豊かなシジミ汁のできあがりである。
「浜焼き! これって海洋のイケてる人たちが浜辺で水着にサングラスでうぇーい! ってしてるやつだよね?」
そのように理解したフラン・ヴィラネルは水着にサングラスだ。
とりあえず、コングの横に並んで網の上でいろんな魚介を焼いていく。
デザート用の焼きバナナのあるので、コングのテンションも上がりっぱなしである。
「……そう言えば、この地方では蛸などは食べるのでしょうか」
刺し身をとんとんと捌きながら、彼岸会 無量はふと思った。
地域によってはタコを食べないこともある。
食のタブーというのは、いろいある。
「うひょー! 浜焼きだぜー! 海鮮祭りだー! タコもいいけどイカがくいてーなイカ!」
ワモン・C・デルモンテ的には、今はイカの気分であった。
ちょうど、バルバロッサが焼いているイカに、うまそうな焼色がついている。
「こっちの炙ったイカと七味マヨ、ワタ焼きも出きたところよぉ」
モヒートをくぴくぴ飲みながら、アーリア・スピリッツが誘う。親の仇……いや、散っていった友の仇のようにミントを潰して香りが立せ、クラッシュアイスと炭酸を注ぐ。この清涼感、やはり夏に味わうに限る。
ホイルにイカのワタを乗せ、バターを乗っけて焼くととてもお酒が進むアテができる。
ハマグリもぱかっと口が開いたらひっくり返し、最初の海水を吐かせる。
次に出てくる貝のお出汁こそ、本命なのだ。
「せっかくの大願成就、祝わなければ損ですわねー」
ユゥリアリアはこの戦いで散っていった者たちへの席に料理を並べてやった。
彼女の大婆から習った作法の陰膳というやつである。
ツインネックのギターかき鳴らし、大いに歌った。
結構酔っているのか、歌詞も荒い言葉が多くなっている。
「っしゃーッ! 次の酒持ってきてー!!」
イグナート・エゴロヴィチ・レスキンもどんどん呑んだ。彼には、過酷耐性があるので杯は干されていく。
ラム酒はカクテルのベースとしてもいろいろあるが、こういう底なしの者がいるときには、キューバリバーというコーラとライムを混ぜるだけの簡単なカクテルもある。
魚も骨までバリバリ食らう。
「この俺の料理の腕前、存分に振るわせてもらわぁ!」
どんっ! とゴリョウ・クートンが大皿に海鮮炒飯を置いた。
大迫力である、炭水化物の暴力と言ってもいい量だった。
魚介の出汁をまとって熱々、ぱらぱらの様子を見せられるともう辛抱たまらない。
酒が進み、浜焼きのネタが出揃ってくると、そろそろ飯っ気のあるものがほしいなと思っていた見事なタイミングであった。
「美味しいものがいっぱい食べれると聞いてきたよ! 牡蠣っていうのが気になるよ!」
浜焼きに興味津々でやってきた実験体37号である。
じゅうじゅうと焼ける海産物の匂いは、そこにいるだけで味への好奇心を引き立てた。
「あるぜ、牡蠣。この時期は岩牡蠣だな」
バケツいっぱいの牡蠣をテップ船長が持ってきている。 真牡蠣の旬は冬だが、大振りの岩牡蠣は夏が旬なのだ。
これを殻つきで焼いてもいい。
あたるのが怖くないなら、船長のようにレモンとペッパーソースを効かせてつるっと生牡蠣でいただくのも最高である。
「生きるという事は喰うという事で。喰うという事は殺すという事だ。あまさず喰う事が手向けにもなるだろう」
手を合わせ、恋屍・愛無は鮫を捌いていく。
一般家庭に並ぶ機会が少ない鮫であるが、ムニエルなどにすると淡白な味にバターの香りが乗ってなかなかの味になる。
「何にせよ、食べよう。喰う事が明日の活力になる。喰って飲んで明日からも生きていこう。いただきます――」
いただきますとごちそうさまの精神、これを忘れてはいけない。
「おおーー!!」
「すごいですねぇ」
ハルア・フィーンとヘルツ・ハイマートは、数々の海の幸を前にして驚嘆し、乾杯する。
「ほふほふ……ほふふ」
乾杯といっても、瓶ラムネである。あのビー玉が入っているやつだ。
これを片手に食べるたこ焼きの美味いことと言ったら。
「もぐもぐ。ほら、ほいへんちょうもどう?」
「……何を言ってるのか分かりませんよ」
牡蠣にカツオのたたきと次々に頬張っていくハルアの幸せそうな様子に、呆れながらもヘルツは満たされていた。
「わーい! 浜焼きやー!」
月待 真那もやってくる。
海産物の焦げる匂いと音というのは、それだけでもう食欲が刺激される。
「手ぶらで参加するのもあれやから私もいろいろ獲ってきたでー!」
ホタテ、ハマグリ、イカにサザエ。そして極めつけは大きなカニである。
カニがでてくると、どよめきが上がる。
特にお酒好きからすると垂涎のアイテムである。
甲羅にカニ味噌をつめて、日本酒を振って焼き上げたら……。
当の真那は未成年ゆえにジュースで乾杯だ。
「すっげー、たくさんの魚介類! すっげー、めっちゃ喋って暴れるゴリラ!」
三國・誠司は並ぶ魚介類とこれを食そうという個性豊かなメンバーたちに圧倒されていた。
ゴリラもいれば、酒好きの妖精もいる。
ここはそういう世界なのである。
「よおし、タコせんべいだ」
誠司は厚めの二枚の鉄板を用意する。
これを十分に加熱して、タコをぎゅっと挟む。
きゅううううううう! と独特な音がして薄く焼けたタコせんべいのできあがりだ。
かじれば、濃厚なタコの味わいが口いっぱいに広がる絶品である。
「いやー、美味しい海鮮が向こうからやってくる状態ですからね。ホームラン競争の会場はここですか、ってなもんです」
新田 寛治は、日本酒の差し入れである。
白い紙に包み、「御祝」の熨斗をつけた二本縛りだ。
酸の切れがよい、夏の酒を見繕ってきた。
「お、無量さんのはからすとんびですか」
「ええ、これは上物ですね。さすがです」
からすとんびとは、イカの口のことである。コリコリした食感で、知る人ぞ知る部分だ。
これをいしるに浸して串刺しにしたとんび串である。
頬張れば、魚醤独特の濃厚な魚の旨味が口いっぱいに広がって鼻に抜けていく。
塩っ辛さもまたたまらない。
「熱燗ほしいの! 二合お願いしますなの!」
ストリチアから、熱燗二号のオーダーである。
シジミ汁をばっちり啜り、すでに戦闘準備はできている。
事前に塩分とコハク酸を摂取しておけば、アルコール度数も実質ゼロとなっていくらでも入る。
カツオのたたきやイカの肝焼きがあるなら、キレの良い辛口の日本酒できゅっといきたい。
「おいしそう! ねえねえ、これ食べてもいい?」
アルテナ・フォルテは、お刺身やお造りなど順々に巡っていただいている。
そして、いよいよイカやタコにも挑戦する。
アルテナは、まだ食べたことがなくどうしてもそのうねうねした姿には抵抗があった。
しかし、皆が美味しそうに食べる様子に心惹かれた。
なにより、みんなで楽しそうにしている。
まずはタコせんべいからいってみる。
「タコって食べたことがないんだけど……美味しい!」
水分が十分に飛んで、圧縮されたことでタコが持つ旨味が凝縮されている。
焼き目がついた食感もまた楽しかった。
「……でしょう?」
感想を聞こうとする見守っている仲間たちが、一斉ににやにやしている。
たこ焼き、タコぶつ、唐揚げなどががどんどん並ぶ。
「いいなあ……」
タコ料理を食べながら、アルテナは酒を呷って至福の表情を浮かべるバルバロッサ、ストリチア、アーリアら飲酒オッケーな仲間たちを羨ましげに見ていた。
未成年は、まだお酒は飲めない。
「ウホオオオオオオオッ!!」
あまりの嬉しさに、コングが全身で感情の猛りを表現した。
勢いが付きすぎて椅子や机がぶっ壊れる。
「ウホホホホホホホ! ほら、コングさん焼きバナナ!」
フランがアツアツでとろっとした焼きバナナを差し出すと、おとなしくそれを貪った。
破損したものについては、後日弁償されるだろう。
「それじゃあ、一段落ついたんで俺もいただくか」
ひととおり魚介を焼き上げた縁も、自分の酒をいただく。
「それにしても……妖精ってのは、皆ああも親近感が湧くようなやつなのかねぇ」
楽しく飲んでいるストリチアを横目で眺めつつ、そんなことを思う。
「飲んでいればみんな仲間よぉ。最後にもう一度かんぱぁーい!」
XYZのカクテルグラスを傾けながら、アーリアはいつ終わるとも知れぬ宴を見守るのだった。
成否
成功
MVP
なし
状態異常
なし
あとがき
浜焼き、ごちそうさまです!
描いているこちらもお腹が減り、お酒を飲みたくなりました。
実際、ラム酒とミント買ってモヒートは作って飲みました!
いろいろありましたが、勝利を祝うことができてこちらも嬉しいです。
ぜひ、またこのような飲んで食って楽しむ祝いのイベントシナリオを出せればと思っています。
それではまた、別の機会でお会いしましょう!
GMコメント
■このシナリオについて
皆さんこんちは、解谷アキラです。
そういうわけで浜焼きをしたくなりました。これまで採れたものを豪快にいただく。
海の幸に感謝しましょう。
こちらには、タコ、鮫、カツオなどが大量にあります。
もちろん、お酒もいっぱいあります。海の男たちなのでラム酒だったります。
浜焼きですが、料理はなんでもいいです。材料、お酒の持参も構いません。
料理専門でも、消費専門でも構いません。
それでは、どーんといらしてください。
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