シナリオ詳細
〈虹の架け橋〉探索のグルメ! 大迷宮ヘイムダリオン飯
オープニング
●腹が減ってはダンジョン探索はできぬ!
大迷宮ヘイムダリオンの探索は続いていた。
ダンジョン探索は過酷である。仕掛られたトラップの数々に、異様なモンスター。いつ果てるともなく続く、入り組んだ迷宮。
戦い、歩き、探り……。今まで、ローレットの冒険者たちはさまざまなものに遭遇してきた。
ということはエネルギーも消耗する。つまりは腹が減る。
携帯食もあるし、ダンジョン内での食料調達もかのうではある。
しかし、それだけだとちょっと物足りない。
何より、食料や補給が尽きたら戻るというのは結構面倒なことである。第一、食料を持って歩くというのもかさばる。余計な疲労の原因ともなる。
――だったら、ダンジョン内で調達すればいいじゃない。
誰かが、そう言った。
例えば、迷宮で遭遇した食べられそうなモンスター。
スライムとか、きれいに洗って干して黒蜜や酢醤油なんかと合わせるといけるのかもしれない。
マタンゴとか、歩いてるだけでキノコだし。
ドラゴンのステーキとか美味いという噂もある。
人類の歴史は、食の歴史である。
飽くなき食欲と探究心で、毒を持っているものだって処理して食材にしてきた。
でんでん虫もカエルもナマコもタコも、不気味に見えるけど食料にしてきた。
見方を変えると、ダンジョンは食料の宝庫なのかもしれない。
というわけで、何事もチャレンジだ。
●食の大冒険!
「大変な企画が持ち上がったのです」
『新米情報屋』ユーリカ・ユリカ(p3n000003)は、あわあわしていた。その評定からも、困惑がうかがえよう。
今も探索が続く大迷宮ヘイムダリオンで、食料調達の企画が持ち上がった。
「探索が続いていますが、その効率化ってことでで採れたもののなかで、食料にできるものがあるか試してみようって思いつきなのです……」
ユーリカは言う。
大迷宮の中にも動植物はいる。中には、普通に食べたら美味しいものもあった。
だが、それにも限界はあった。しかし、食べられる範囲を拡大していけば、子の限界を突破し、味気ないダンジョン内での食生活も楽しくなるのではないか? 誰かが思いつき、いつの間にかそういう空気ができあがって企画になってしまった。
そういうことは、よくある。
「皆さん、今まで探索でいろんなものと遭遇してきたと思います。そんな中で、これは食べられそうだって思う食材を持ち寄ってください。その場で料理して、みんなで食べるのです」
なんという挑戦だろうか?
妖精郷に続くダンジョンといえば未知の世界である。
それは味や安全性についてもまだまだ未知ということだ。
その植生の中から食材を探し、美味しく調理し、食べる。
まさに食への挑戦、大冒険である。実際に、危険も伴う。
「条件は、持ってきた食材の調理は他人に任せてもいいですが、自分も食べること。お残ししないってことなのです」
- 〈虹の架け橋〉探索のグルメ! 大迷宮ヘイムダリオン飯完了
- GM名解谷アキラ
- 種別イベント
- 難易度VERYEASY
- 冒険終了日時2020年05月31日 22時35分
- 参加人数15/∞人
- 相談5日
- 参加費50RC
参加者 : 15 人
冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。
参加者一覧(15人)
リプレイ
●迷宮DEごはん!
大迷宮ヘイムダリオン。妖精郷アルヴィオンいたる道といわれ、現在もローレットの冒険者たちによる探索が続いている。
しかし、探索の他にも大きな問題に直面していた。
腹が減るのである。
古来より、腹が減っては戦ができぬという。
それもまた平和の道かもしれないが、かと言って食わねば効率は落ちるし、場合によっては餓死に至る。
食料を持ち込んでも探索も、やはり尽きたら引き返せなばならないし、食料はかさばる。これもまた非効率だ。
よって、現地調達の方法を模索していた。
食は、人間によって大自然から授かる恩恵である。
大迷宮もまた、閉じた環境で独自の生態系が形成され、食物連鎖が保たれている。
ならば、食料もあるはず。
地産地消、これがもっともコストがかからない。
ダンジョンで採れたものは、ダンジョンで消費する。
そのための試食会が、大迷宮の広い玄室で行われることになった。
キッチンの準備も、万全であった。
「はい、では本日は森の迷宮メシで優勝していきたいとおもいます」
第一声は、クロバ=ザ=ホロウメアである。
持ってきた材料を見てみよう。
・迷宮産ごぶりん
・迷宮のスイーツ
・迷宮のスイカ汁
・迷宮ミルク
分量、その他調味料は分量外である。
材料がゴブリンというのは、気になる者には気になるかもしれない。
クロバは、二品作るようだ。
「せっかく迷宮ミルクがあるのでミルクで臭みをとりつつホワイトソースにも利用していきたいとおもいます」
ゴブリン肉を迷宮ミルクで下処理する。
レバーの臭み抜きの技法だ。
「ゴブリンと言えど貴重な肉ですので大事に使いましょう。軽く塩と香草とともに焼いてから煮込むのがポイントです」
クロバは、パパっと手早く仕上げていく。
「ゴブリン肉のクリームシチューのできあがり~」
これに、妖精ホイホイスイーツも添える。
統一感のない食材を、見事な料理に変えた。
「深緑では火は好まれませんが、正しく使えば温かいご飯を食べられるのです」
一方、クラリーチェ・カヴァッツァも香草類となるべくきれいな水を持参して料理を仕上げた。
迷宮内でも、毒消しや薬草は自生しており、香草として使える。
干し肉と干し米、冒険者たちが生きる糧として持ってくる保存食も、調理の仕方によって美味しく生まれ変わる。
水を張った鍋で干し米を煮込み、火が通ったところで削った干し肉で味とコクを、香草で香りを整える。
「お粥、というものだそうです。旅人さんに教えて頂きました」
温かいし、お腹にも優しい。
「ダンジョンでのご飯か……」
サイズが作ったのは、サンドイッチだ。
香草の類は、クロバもクラリーチェも持参したように、意外に自生している。
これを使った香草のサンドイッチだ。
「まあ、このサンドイッチは最終手段。基本的に携帯食料はしっかり蓄えておこうということだな」
ダメージは回復し、腹は満たされるが味は二の次らしい。
「一人で、静かに。ダンジョンでメシを食う。そういう日があってもいいわ」
イーリン・ジョーンズが持ってきたのは、虫である。
一瞬、それを材料にするのかと周囲もざわめく。
「これは食べない? そう、じゃあコレを餌に……他の捕食者を釣りましょうか」
というわけで、まずは捕食者を釣るところから始める。
「なんだなんだ、モンスター食の研究会か! 俺も混ぜてほしいぞ!」
ルウ・ジャガーノートはイーリンと同じく虫を用意した。
ただ違うのは、これをそのまま食材としたことだ。
芋虫っぽい見た目の大きなダンジョンワームをさばいていく。
これをそのまま直火で焼いて食べる。
「見てくれは悪いがバターみたいな味がしていける……はず!」
試食ははじめてのようである。大丈夫だろうか。
「じゃあ、それフランスパンに挟んでみよう!」
上谷・零こんがり焼けたダンジョンワームをフランスパンに挟み、バケット風にする。
ぱっと見、ホットドッグ風に見えなくもない。
迷宮飯のレシピや材料を学びつつ、倒せそうな材料を探している。
「ごぶりん肉のクリームシチューにダンジョンワームのバケットか……」
迷宮飯については銀城 黒羽も聞いたことがあった。
だが、実際に食べようと思ったのは今が初めてだ。
偏見なく食べるのに挑戦する。
「ぶはははっ、迷宮飯たぁ面白い発想だ!」
ゴリョウ・クートンはマタンゴのバターソテーを用意しつつ、さまざまなリクエストに応える準備がある。
「……思い付かないから食べる係になります、どんとこい!
エル・ウッドランド(p3p006713)は出されたものは何でも食べるつもりでおり、なおかつ食材の調達についても仲間たちの意見に従って行おうとしている。
出されたものは何でも食う、しかしそこには気合が必要だ。
「食料は確かに大事だもんね」
アルメリア・イーグルトンはしみじみ思う。ダンジョンには、意外と食材が満ちている。
この前食べた羊羹でできたゴーレムなどは美味しかったなと回想する。
さて、彼女が持ってきたのは巨大なホウセンカの実だ。
どんな味がするのだろうか? ちょっと期待しながら調理担当に回す。
「肉なんかが手に入れば、一緒に焼いて食べれば美味しいんじゃないかしら?」
できあがりをあれこれ想像するのも、また楽しい。
さっそく、肉とホウセンカの実を活かすメニューをゴリョウが考えている。
「フラン! 美味い物探検隊出発だー! 深緑グルメを探しにレッツゴーだぜ!」
「わーい探検隊だねーワモンさん!」
ワモン・C・デルモンテとフラン・ヴィラネルは、一緒に迷宮を探索し、食べられそうなものを選んでいる。
「お? なんかこのキノコ、イカっぽい形してる気がするな! イカっぽいならきっとうめーはずだぜ! ゲットだ!」
「……はっ、これはなんかすごいうねうねしてる草! なんか動いてるねー、きっとこれが活きがいいってことだよね! うんうん」
そんな調子で、イカっぽいキノコと活きがよく動く草を集めて持ち帰る。
さっそく適当にぶつ切りにして、フライパンでギャー! と炒め、塩コショウをビャー! と振る。
油を引いて、塩コショウで炒めれば何でも美味いというシンプルな発想だ。
「メイはお山の遊牧民出身なのですよ! 自給自足が当たり前だったので、ピクニックのようなものですよ!」
自給自足と言っても、メイ=ルゥは食べるのの専門だった。
持ってきたのは、スパイスに浸けたスライム。
マタンゴにどばーっスパイスをかけたもの。
ダンジョンボアの肉にスパイスを刷り込んだもの。
さらに、壺につけたダンジョンキムチだ。漬物石はストーンゴーレムの破片を活用する。
「迷宮飯、食べに来ました!」
エリスも食べる専門で参加した。
迷宮飯を味わい尽くす気でいる。
「どうせなら、ダンジョン攻略以外の時でも末永く食べたことのない珍味にしたほうがいいわよね?」
そんなわけで長月・イナリが目をつけたのは、スライムであった。
最近、スライムはとみに人気だ。わりとどこにでもいる。これぞ地産地消の極致と言えるだろう。
いろいろ考えた結果、スライム焼きそばを思いつく。
焼きそばのそばは持ち込まないとならないが、動く草や巨大ホウセンカの実といった野菜に当たる植物は大迷宮内でも調達可能だ。
スライムはどう使うのかというと、あんかけのとろみに使う。
「あ、説明し忘れたわ。このスライム、衣服だけ溶かす特殊な個体でね。ちょうど可愛い少女が落ちて酷い目に遭わされたのよね」
スライムが相手をどんな目に遭わせるかというのは、いろいろ報告が上がっている。
想像が捗るが、それを食そうという一部の趣向の持ち主はいるかもしれない。
衣服の類は、完全に溶かされているから大丈夫とのことだ。
●迷宮飯、実食!
「じゃあ、俺のごぶりん肉のクリームシチューからどうぞ!」
「ごぶりん肉か……」
クロバが笑顔で出した皿を、黒羽がいただこうとする。
ちなみに、この試食会のルールでは調理したものも食べる。
「どんな味かなー?」
「いっただっきまー…………んぐ!」
フランとワモンは、イカっぽいキノコと動く草の炒めもの。
これを頬張る。確かに、キノコの感触はイカっぽい。だが、ヘンなエグみと刺激がある。うねうね動く草はまだ活きがいい。妙に苦味が走り、舌に絡まってくる。
ふたりとも、まずくでも泣かない。そう誓っての参加である。
抵抗感があるが、ダンジョンワームのバケットは結構好評だった。フランスパンの食感とクリーミィなワームの味わいは合う。
「けっこういけるじゃん!」
ルウも次々と手を伸ばし、他の料理も試してみる。
スライムあんかけ焼きそばは、たしかにとろみがついているが、色合いが緑なので絶妙に食欲が減退する。ちょっとこう、生臭みもある食材だったが、イーリンが徹底的に、それはもう親の仇かと思うほど臭み抜きを行なったのでたぶん食える。
お腹の具合を心配する者は、サイズの薬草サンドイッチに手を伸ばした。
そしてクラリーチェのお粥のほっとする味と暖かさに癒やされる。こういうのでいいのだ。
料理人モードのゴリョウの本領が発揮され、出来上がったものは普通に美味しそうに見える。
アルメリアは、巨大ホウセンカの実を使った肉料理を頬張ってみる。
「苦っ……!?」
ホウセンカは、一応食用にはできる。
漢方では古来から、風邪薬の生薬としても使用された。これがまた苦いのである。
だが、お残しはしないのがこの試食会のルールだ。慣れてくるとこの苦味もアクセントになる。
ようやく落ち着いたイーリンも、静かに迷宮飯を味わう。
今回の試食、なかなかだったのではないだろうか?
成否
成功
MVP
なし
状態異常
なし
あとがき
迷宮飯、ごちそうさまでした。
勢いで思いつきましたがいろんな料理があって書いていても楽しかったです。
食べ物系の依頼は結構好きですので、また別の機会になにかやるかもしれません。
それではまた、お会いしましょう。
GMコメント
■このシナリオについて
皆さんこんちわ、解谷アキラです。
迷宮を探索しているとき、食料ってどうするの? とか思ううちにシナリオを思いつきました。
大迷宮飯です。
これまで遭遇したものとかヘイムダリオン内にありそうなものなどの食材を考えて、プレイングで送ってもらい、その料理方法も添えていただけると採用します。
食べる専門で参加しても構いません。
持ってきた調理は、人に振る舞ってもいいですが基本的に自分で食べることを推奨します。自分で食べられないものを他人に食わせるのは、なんかちょっと抵抗があります。
ここで食生活を改善できれば、これからの探索も捗ることでしょう。
それでは、よろしくお願いします。
●情報精度
このシナリオの情報精度はBです。
依頼人の言葉や情報に嘘はありませんが、不明点もあります。
どういう食材を持ってこられるのかわからないので。
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