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シナリオ詳細

<虹の架け橋>おてんばメープルと緋色の迷宮

完了

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●「わー! なんて運がいいんだろう!」
「……あの」
 それはとある月が美しい夜、イレギュラーズ達が深緑のある辺境の村の広場で旅支度をしている時であった。
 突如現れた茶色の長い髪を風にたなびかせる小さな妖精を前に、あなたは少しため息をつく。
「イレギュラーズさんだよね? 私のこと覚えてるよね!?」
「……まあ」
 妖精の名はメープル。ちょうど数週間ほど前、この村でイレギュラーズと出会い、妖精たちの王国『アルヴィオン』に繋がる『妖精の門』の一つを破壊から救うようにお願いした少女である。
「ごめんなさい! またお願いがあるの!」
「……空色の泉の事?」
 メープルに角を掴まれ怪訝そうな『いねむりどらごん』カルア・キルシュテン(p3n000040)があなたの代わりにその妖精の門の名前を答えると、メープルは仰天して宙に浮いたままこてんと転倒してしまう。
「そうなの! 泉の水が干上がっちゃって……でもなんでわかったの?」
「ええと、ね?」
 カルアはメープルに事情を説明した。深緑国内の各地にある妖精の門のどこかで魔物がアルヴィオンへと侵入してしまった事。その余波で深緑中の妖精の門が機能不全へと陥ってしまい、再びアルヴィオンに向かい魔物を追い払うためには妖精の門の中に存在する大迷宮『ヘイムダリオン』の深部にある秘宝『虹の宝珠』が必要である事。
 説明を聞いていたメープルは深くうなだれる。
「そんなことが……」
「……それでメープル、あなたの助けを借りたいの、空色の泉まで私達を……」
「うん、わかった! ここは妖精さんに任せておきなさい!」
 カルアの話を最後まで聞かずメープルは頭を上げると、どんと自分の胸を叩き、勝手に一人先導を始めてしまうのであった。

「……こうなると思って先に準備しといて正解だったね、みんな、いこっか」


●『空色の泉の大迷宮』
 メープルの奏でる不思議な術詩が、枯れてしまった空色の泉の底に一つの迷宮を浮かび上がらせる。
 それは狭い通路と幾つかの小部屋が複雑につながりあった、石畳と石壁が織りなす真紅の洞窟であった。
 苔やひび割れなどの年季を感じさせるものが一切ないその不思議な岩はほのかに赤く輝き、その場にいるものに新鮮な空気と明かりを与え続ける。
「ここが、大迷宮ヘイムダリオン……」
「この奥にみんなが探してる『虹の宝珠』っていうのがあるんだよね?」
 メープルの質問にカルアは頷く。イレギュラーズ達が奥へ進むたび真紅の輝きは強さを増し、まるで侵入者に対する警告の明かりのようであった。
「よし、それじゃあガンガン行っちゃおう!」
「あ、メープル、先行っちゃあ!」
 気合を入れて奥へと直進するメープルを静止しようとするイレギュラーズ。しかしその配慮もむなしく、メープルは突然上から降ってきた瓦礫に気付くことなく巻き込まれてしまう――

「ひゃあ!?」
 大きな音を立てて崩れ落ちる天井の瓦礫に驚き何とか身を躱すメープル。彼女に大きな傷が無い事を確認しイレギュラーズ達は安堵するとともに、一つの情報を得る。

「罠もあるんだ……気をつけて進まないと、だね」
 お灸を据えられた気分でしゅんとしてしまったメープルの言葉に、イレギュラーズは思わず苦笑をしてしまうのであった。

GMコメント

 こんばんは、塩魔法使いです。
 妖精卿のシナリオ第二段というわけで、今回は大迷宮に挑んでみましょうなシナリオです。

●依頼目標
 ・大迷宮『ヘイムダリオン』内に眠る『虹の宝珠』を入手する。
 ・迷宮内の罠や敵への対処。

●第一章の情報
 石造りの通路といくつもの小部屋が不規則に迷路を形成するダンジョン。
 ほのかに赤く輝く石畳や石壁の不思議な力で迷宮内では酸素や光源に困る事はありませんが、侵入者を拒む迷宮の罠が侵入者へと牙を剥きます。
 岩壁が突然迫ってきたり、大岩が転がってきたり、何故かねばねばのスライムが上から降ってきたり……。
 思いつく限りの罠への対策をしたり、いっそ得意な能力を生かして押し切るなどそれぞれの対処で乗り切りましょう。

●第二章以降のヒント
 迷宮の奥には妖精卿の青空を模した最深部が広がっているとの事ですが……【何か嫌な予感がします】。
(2章以降の参加は『なんらかの形で同行していた』という形です)

●NPC
・メープル
 おしゃべりで活発な性格な茶髪の妖精(精霊種)、空色の泉の大迷宮の入口を開いて維持してくれています。特に何かない限り、危険な時には安全な場所へ退避します。

・カルア
 ローレットへの報告も兼ねて同行するウォーカーの情報屋。飛行と壁役に必要な最低限の体力は持っています。
(プレイングで呼ばれない限りは描写される事はありません)

●備考
 このシナリオではイレギュラーズの『血』『毛髪』『細胞』等が、敵に採取される可能性があります。
 またこのシナリオは『おてんばメープルと空色の泉』に関連するシナリオです。
 一切読まなくても依頼遂行に問題はありません。
 https://rev1.reversion.jp/scenario/detail/2861

●情報精度
 このシナリオの情報精度はCです。
 情報精度は低めで、不測の事態が起きる可能性があります。

  • <虹の架け橋>おてんばメープルと緋色の迷宮完了
  • GM名塩魔法使い
  • 種別ラリー
  • 難易度HARD
  • 冒険終了日時2020年05月31日 20時02分
  • 章数3章
  • 総採用数41人
  • 参加費50RC

第1章

第1章 第1節

セリア=ファンベル(p3p004040)
初日吊り候補

「罠か……苦手なんだよね」
 石壁に恐る恐る手を当て足を出し、『初日吊り候補』セリア=ファンベル(p3p004040)はその感触から慎重に罠らしき仕掛けが無い事を確かめながら進んでいく。
 声を震わせるセリアの肩にメープルがゆっくりと止まると、彼女の緊張を解すように優しく声をかける。
「セリアさん、ゆっくりでいいからね?」
「ええ……泣き言とか言ワナいでがんばりましょうか」
「心配して損した!」
 肩から離れるメープル。セリアはそれを気にする素振りも見せずうす暗い真紅の迷宮の奥をじっと見つめながら、周囲の空気や音、部屋の構造、そして漂う魔力の流れから少しでも罠の可能性の少ない道を慎重に選んでいく。静かな迷宮に、息を殺したセリア達の足音だけがコツコツと響く――
「でも眠いのよ……パトラップ」
「うん静かだもんねわかるよ」
 そんな塩対応のメープルへ、セリアは眠気覚ましにと一つ質問を投げかけた。

「どんな罠があると思う?」
「落とし穴とか? 岩だけにストーンと」
「え?」
 メープルの返答に思わず力んでしまったセリアは、その言葉通り一気に崩落した床に飲み込まれる!
「セリアさん!?」
 セリアは雪崩落ちる床の端になんとかしがみつき、魔力を爆発させその反動で自らの体を跳ね飛ばした。
 そして迷宮の石畳へと着地すると胸を撫で下ろし、安堵の表情を浮かべるのであった。

「油断できないわね……ところで」
「ううん何も言ってないよ」

成否

成功


第1章 第2節

グドルフ・ボイデル(p3p000694)

 人が小さく見えるほどの巨大な岩の球が、ただ己の腕力だけを増強するためだけに作られたかのような鈍重な大斧に粉砕される。
「はっ、しゃらくせえんだよ!」
『山賊』グドルフ・ボイデル(p3p000694)は傾斜の付いた通路を転がっていく大岩の破片を尻目に、悪態をつき迷宮に唾を吐く。
「けっ……チマチマと迷路を攻略なんざ、性に合わねえんだがね」
 迷宮の罠など鍛え抜かれた山賊(おれさま)の肉体の前ではただの無機質な敵と変わりなく、そして敵であるならば獅子奮迅の勢いで無双する事などたやすいものだ。
「次から次へとキリがねえな……」
 グドルフは突然現れた殺気を感じ取り、壁へと寄るとじっと通路の下を睨みつける――そこにいたものは、先程の大岩が磁力か何かで形を成したのだろうか、巨大なゴーレムが2体ほど。
「まあいいや、何とかやってやるぜ」
 大腕を振り上げるゴーレムを前に山賊は不敵な笑みを浮かべると、無骨な斧を振り上げ、仲間達の前へと割って出た!
「おめえら! とっとと坂を上れ!」
 彼は後方で震える仲間達に指示を飛ばすと乱暴なゴーレムの腕をはじき返し、こう呟くのであった。
「おれさまにはこっちの方が向いているからな」
 グドルフは高位の治癒術式を身に纏い万全の態勢を整えると、吠える迷宮の魔物達へとその荒々しい戦闘術式を披露するのであった。

「さあかかってきな、山賊様が相手だぜ!」

成否

成功


第1章 第3節

ラクリマ・イース(p3p004247)
白き歌

「ふむふむ今度はこの迷宮ですか」
『協調の白薔薇』ラクリマ・イース(p3p004247)は深く続く緋色の迷宮を奥まで見透かしながらびったりと定位置(かるあのうしろ)に接着していた。
「効率よく進むために手分けして進みましょう」
「うん?」
「罠への対応は俺がするのでカルアさんはさっきみたいな敵が出てきたらお願いします!」
 ラクリマは自信満々に話すが、要はまた弾除けになれという事である。

「いやー俺も罠が無かったら前に出て戦いたいんですよねー」
「……いくよ」
 何も語る事はない、そうカルアが歩みを進めようとした時であった。

「どうしたの?」
「いえ、先程の罠と共通点を見つけまして」
 怪訝そうなカルアに対しラクリマは慣れた手つきでささっとカルアの前に這って出る。
「そこの石畳、カルアさんの前だけ向きが逆です。今印をつけるので動かないでくださいね」
 そしてどこからか持ち出した青いチョークで手早く四角い印を付けていくラクリマ。
「……ちゃんと見てるんだ」 
「ふっ、もちろんですよ」
 迂回路を矢印で雑に示し、一仕事を終えたラクリマは立ち上がり汗を拭うと定位置へと戻る。
「俺が罠からしっかりと護りますよ! 流石に女性に怪我をさせておくのは……おっと、ツッコミは不要なので――」
「ありがと」
「!」
 目を見開きこれ以上ないどや顔でうるうると目を輝かせるラクリマの姿がそこにあった。

「今俺を誉めましたか?!」
「……」

 ごつん。

成否

成功


第1章 第4節

クロバ・フユツキ(p3p000145)
背負う者
マルベート・トゥールーズ(p3p000736)
饗宴の悪魔

『饗宴の悪魔』マルベート・トゥールーズ(p3p000736)は、緋色に輝く石壁を優しく撫でるように触れながら奥深く、三次元的に入り乱れる迷路を進んでいく。
「随分と綺麗な景色じゃないか。安穏と観光しながら進みたいものだけど、そうもいかないみたいだね」
 自らの好奇心を刺激させるが、どうにも簡単には砕けそうにもない珍しい石の壁を前にマルベートは残念そうにつぶやく。
「そうだな、早く虹の宝珠を目指してこのダンジョンを突破しないとな」
『真実穿つ銀弾』クロバ=ザ=ホロウメア(p3p000145)はまるで自らの耳が尖りそうなほどに全神経を集中させて、マルベート達を先導して進んでいた。
 それは迷宮も残り僅かと言った所、ほんの気のゆるみが引き起こした小さなトラブルであった。

「さぁて、このまま転がる大岩とか床が抜けたりとか針山が飛んできたりとか変なトラップとかに当たらないように気を付けるか!!」
「待つんだ、そういう事を言うと」
 言葉虚しく、クロバの足元から響くカチリという微かな音。直後、遺跡の壁という壁から歯車が動くような音が二人の耳に入り込んでいく。
「どうやらお約束を踏んでしまったらしいな、クロバは」
 マルベートは小さなため息と共に微笑を浮かべるとクロバの前に飛び出し、彼へと放たれた無数の石の矢をその身に受け止める!
「マルベート!」
「何、気にする事はない。仲間が害を被るよりは良いのでね」
 それよりだ、とマルベートが槍を取り出し自らの背後を指し示すと、そこには迷宮の狭間から湧き出たスライムのような粘性の生物がどろどろと溢れだしていた。
 スライムは溶けた動物のような姿を形成すると、自らの体液を振りまきながらにじり寄る。
「どうやら先客がいたようだ、クロバ、私が喰らいやすいようにしておいて欲しい」
 マルベートがそう言うが早いかクロバは既に銃剣を抜き、スライムを細かく切り刻んでいた!
「ああ……任せておけ!」
 本当はこっちの方が性に合っているのかあるいは自らのミスを補おうと努力しているのか、すさまじい火力でスライムを薙ぎ払うクロバの姿に微笑み、マルベートは自らの足元を眺める。
 出血は少ない、それよりも罠がまさか1つだけとは限らないだろう、急がなければ。
「流石はクロバだ。さて、私も」
 マルベートの両手に握りしめられていた物は身の丈の半分はありそうなほどの巨大なナイフとフォーク。
「食事と行こうじゃないか」
 マルベートは舌なめずりをすると飛び上がり、弱ったスライムを啜るべくその食器を振り下ろすのであった!


「さて、難なく片付いたのはいいが……」
 数十秒の後、暴れまわったクロバ達の眼前にあったものはとても飛び越えられそうにないほどの深い穴が開いた迷宮の小部屋。
 少し肩を落とすクロバに対し、マルベートは笑って風の吹いてくる別のルートを指し示すのであった。
「急がば回れだ。別の道を探そうじゃないか」

成否

成功


第1章 第5節

カイト・シャルラハ(p3p000684)
風読禽
ティスル ティル(p3p006151)
銀すずめ

「緋色の洞窟か。世界は面白いので溢れてるな!」
『鳥種勇者』カイト・シャルラハ(p3p000684)は自らの翼と同じ緋色の石をすっかり気に入り、いくつか転がっていた石の破片をこっそりと懐に忍ばせながらハイテンションで進んでいく。
『雷雀』ティスル ティル(p3p006151)もまたメープルとの談話を楽しみながら通路の穴を飛び越え、3人は和気あいあいといった様子になっていた。
「さーて大迷宮攻略行くよー!」
「さあ、虹の宝珠を求めて探索だ!」
 えいえいおーと腕を突き上げ威勢よく進む二人にメープルも合わせて小さな腕を突き上げる。
「罠もあるけど二人なら大丈夫だよ! さあ行こう!」
「罠だって?」
「えっ罠」

「えっ、えっ?」
 罠あるのと言いたげな顔で無言で振り向く二人にメープルは凍り付く。
 無言の表情で対処法を問いただすティスルに対し、カイトは大した事無いと笑い飛ばす。
「それならいつでも飛べるようにしておくぞ……落とし穴は嫌いだからな」
 カイトは少し翼を広げ浮かび上がると、ティスルに解説を続けながら槍を取り出す。
「罠には気を付けないと駄目だぞティスル、こういう怪しいロープとかさ、岩が落ちて転がってとか物語だと……」
 カイトの槍でぶつりと切断されてだらりと垂れたロープを前に更に目が点になるメープル。
「あ、カイト君切った」
「ん? あっ――」
 我に返るカイト。ロープはその前を通り滑るように壁の裂け目に吸い込まれ――直後、岩の迷宮全体が震えるほどの唸りをあげ――大岩がその壁を突き破り突っ込んできた!
「どどど、どうしよう!?」
 
「大丈夫だよメープルさん!」
 急いでメープルの体を掴み浮かび上がるティスル、「方法があるの?」と振りむいたメープルにティスルは頷くと――急上昇し一気に大岩より早く宙を駆け出した!
「飛ぶんだよ!」
「飛ぶってどっちー!?」
「どっちって、風が吹く方だよ!」
「ああ、風は俺達の味方だからな!」
 この迷宮を作った存在は念入りに仕掛けたのであろう。大岩に連鎖する様に石壁や石畳から無数の石槍の罠が飛び出し、袋小路に追い込もうとしていく。しかしカイトは飛び上がり身を翻し、ティスルは槍が飛び出すよりも遥かに早く駆け抜け迷宮を一気に進んでいく。
「……あれ? 意外と力技でも何とかなる?」
「こっちの方が俺達向きみたいだな!」
「きゅう」
 一度心に火が付けば、戦い慣れた二人にとってこの程度の罠は冒険心を擽る興奮剤にしかならない。完全に酔ったメープルを離さないように気を付けながら、二人の飛行種は崩壊する迷宮を風の吹く道へと一気に駆け抜ける!

「行ける、行けるよ!」
「ああ、楽しいな!」
 通路の吊り天井の手前で垂直に曲がり、手前のひび割れから一気に上層に駆け上りながら二人は大はしゃぎ。そんな彼らの手の中でメープルは思うのであった。

 きっとこの迷宮を作った人たちは、こういう抜け方を想定していない……と。

成否

成功


第1章 第6節

恋屍・愛無(p3p007296)
愛を知らぬ者

 迷宮の至る所で罠が作動する音が不協和音の様に鳴り響く中、『飢獣』恋屍・愛無(p3p007296)は静かに手袋をはめなおす。
「罠があるとわかっているのであれば、慎重に進むのが、まぁ、よいだろう」
 どの様な奇特な罠であろうと時間をかけて探り、正体を暴いてしまえば眠った門番と変わりはない。
 愛無は自らの唇に指をあてると高い指笛を鳴らし、ノイズの多い通路の奥へと探りを入れる。周波数の高い音は音の雑踏を貫通し、愛無の耳元へ反響という形で伝令を伝えていく。
 くぐもった、何か。次いで何か他より硬い物が蠢く音。スライムに加えてゴーレムでもいるのか。
 だがそれ以外に罠らしき反響は無い、何よりこの無駄に広い迷宮の構成を考えると、出口はどう考えてもこちらだ。
 ならば是非もなし。突撃あるのみ。先程まで罠を悠長に乗り越えて来た事と比べればなんと簡単な事か。
「……またか、面倒くさいな」
『普通の人ならそういうであろう』言葉を愛無は平坦な口調で呟き、そっと履いていた手袋を再び外す。その手袋の下は黒い粘膜の様な何かが蠢き、白銀色の粘性の最後の『食いカス』がゆっくりと愛無の中へと吸い込まれて行くかの様であった。
「敵は3体。柔らかいのが2つと、硬いのが1つ」
 愛無は静かに通路の曲がり角へと息を殺しながら歩みを進めると袖へと手をあてがい、一気に曲がった先への小部屋の魔物たちへと異形へと変性した右腕をぶつけるのであった!

成否

成功


第1章 第7節

サイズ(p3p000319)
妖精■■として

「次から次と……!」
『カースド妖精鎌』サイズ(p3p000319)は巨大なスライムの前を飛び交いながら魔力を込めた一撃でその体力を削り取っていく。
 妖精卿へ行くためにこの様な迷宮を長々と探検はしていられない、やつれたメープルのためにもサイズは一刻も早くこの場を抜ける必要があった。
「クルナ、クルナ――」
 一切動かず猛毒を放ち続ける一際大きなスライム。しかし攻撃を物ともしないサイズの全力の一振りを浴び、一瞬の間にその体温を全て奪われる結末を迎えてしまう。
「さっすがサイズさん!」
 凍り付いたスライムへとメープルが駆け寄りサイズを賞賛する。サイズは恥ずかしそうに額の汗を拭い呼吸を整えると飛び上がり――そこでスライムの底に何かが取り込まれているのに気が付いた。
「……ふう、ん? なんだこれ?」
 サイズが己の身体を振るいスライムを砕くと、そこにあったものは石畳から顔を覗かせた緑色の半透明の、それも迷宮にあるにはあまりにも不釣り合いな電化製品の様なスイッチであった。
「これ、罠だよな?」
「罠なら護ったりしないんじゃ?」
 しばらくそのスイッチを眺める二人、数秒後、意を決したサイズが恐る恐るそのスイッチを押すと――

『ぱんぱかぱーん!』
「……は?」
 情けない効果音、そして虹色に光るランプ。流石にこれはサイズも呆れ顔。

 だがその直後、メープルとサイズ、二人の足元が眩く輝き――!
「わ、わわ、え、ええーっ!?」

成否

成功

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