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シナリオ詳細

<虹の架け橋>ROOM of NIGREDO SLIME

完了

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●First stage:NIGREDO――研究終了
 黒い腐った泥のような物体が、もごもごと動いている。
 物体は強い粘度をもって高く盛り上がり、あなたと同じ背丈まで至ったところでどるんと音を立てて形を作った。
 スライム系モンスターをおぼしきそれは、あなたの現し身であり、真っ黒に染まった人間そのものであった。
「■■■■■■■■■!」
 理解不能な声でキュリキュリと鳴くと、スライムはあなたへと襲いかかった。

●あるはずのない部屋
 まずは前提と背景を語らねばなるまい。
 妖精郷アルヴィオンより深緑へとやってきていた妖精達は、その際に用いていた門アーカンシェルを未知の魔物たちに狙われていた。
 依頼を受け数々の防衛に成功したローレット・イレギュラーズだったが、それまでノーマークだった門が魔物の襲撃で突破されたことによりついに妖精郷への侵入を許してしまう。
 一方で全てのアーカンシェルは妖精郷直通機能が停止。深緑側に残された妖精達は再びローレットへの依頼を行ったのだった。
 依頼内容は『大迷宮ヘイムダリオン』の突破。
 突破のために必要な『虹の宝珠』を迷宮各領域から見つけ出し、集めること。
 いま、へいくつものチームがヘイムダリオンへのトライを行っているのだ。
 これはそんな依頼のなかの一つ………………であるはず、だった。

「おかしいの。こんな領域、わたし知らないの……」
 案内のためについてきた妖精は、そんな風に言って真っ暗な部屋を見回した。
 それだけではない。
 大勢で突入したはずにもかかわらずあなたは殆どの仲間と離ればなれになり、案内役として沢山ついてきた妖精ひとりと共に部屋に閉じ込められた形になっていた。
 部屋の形状を例えるなら黒いスノードームの中身、である。
 真っ黒でつるつるとした外壁がドーム状に周りを囲み、天井は飛行種が事由に飛び回れるほど高い。
 空間内には黒い光の粒ががふわふわと浮いたり沈んだりを繰り返しており、ふしぎと隙間無くてらされている。
 そんな部屋の中にはイレギュラーズと妖精だけ。
 いや。
 だけ、ではない。
「■■■■■■■■■!」
 キュリキュリと鳴いたスライムが現れ、あなたへと襲いかかってくる。
 そうして、理解した。
 この領域は、あなたをおびき寄せるための場所なのだ……と。

GMコメント

■オーダー
 成功条件:スライムの撃破

 あなたはドーム状の空間に閉じ込められ、スライムとの戦いを強要されています。
 スライムは人間と同じ姿形をとり、服装やしぐさや表情までも正確に真似ています。
 中にはもしかしたら、『あなたにそっくりのスライム』がいるかもしれません。

■戦闘について
 スライムの強さはあなたとほぼ同等だと仮定してプレイングをかけてください。
 互角の敵と渡り合うために、あなたの強みを出して戦いましょう。
 (スライムの性能やスキル構成はあなたと全く同じではないので、メタ撃ちはちょっと難しいかと思います。あくまで同レベルとの戦いと考えてください)

 戦闘に一定数勝利することで領域を突破し、虹の宝珠を獲得することができます。
 割と余談になりますが、本来この領域は真っ白なスノードーム風空間の中でゴーレムと戦って一定数勝利すれば宝珠が手に入るという場所でした。この未知のスライムモンスターにゴーレムが倒され、実質的に乗っ取られてしまったようです。

■ラリー構成
・章構成:1章限りで終了予定
・採用人数:20~25予定。
・受付期間:OP公開時~23日予定

  • <虹の架け橋>ROOM of NIGREDO SLIME完了
  • GM名黒筆墨汁
  • 種別ラリー
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2020年04月26日 16時09分
  • 章数1章
  • 総採用数20人
  • 参加費50RC

第1章

第1章 第1節

クロバ・フユツキ(p3p000145)
深緑の守護者

「ここは……」
 黒いドーム状の空間にひとり取り残された『真実穿つ銀弾』クロバ=ザ=ホロウメア(p3p000145)。
 そんな彼の前に現れたのは人の形をしたどす黒いスライムだった。
 いや、よく見ればスライムはロングコートにガンエッジを装備した男性……クロバにどことなく似た形状をしている。
「俺を模してどうするつもりだ。自慢じゃないが、俺の剣は邪剣使いですら邪道といわしめるほどのあらくれだぞ」
 そう言いながらスライムへ急接近。
 ガンブレードに装填された弾丸に多量の魔力を米、爆炎の連射をたたき込んでい――くと同時にスライムがガンエッジ型の器官から爆炎を発射。
「ぐ――! 誰に形状を真似てはいかないか。だが……」
 クロバは片目を見開き、死神としての権能を発動。
 相手の魂を奪うこの力は混沌のものではない。世界にノーマライズされたとはいえクロバ自身の力だ。
 で、有るにもか関わらず。
「――!」
 クロバの魂が強制的に抜き取られる。
 術後の反動もあいまって、クロバはがくりと膝を突いた。
 だがそこまでだ。
 スライムは技の反動に耐えられなかったらしくずるずると崩壊していく。
「なんなんだ……これは、確かに……俺の力……」

成否

成功


第1章 第2節

ロジャーズ=L=ナイア(p3p000569)
不遜の魔王

「姿形が『似た者』と言うが、全く『似たような色彩』だ。私と貴様は質感こそ別で、存在も混沌だが愉快極まりない妖精(取り換え子)よ」
 Nyhahaha!!! と笑いながらどるどると黒く冒涜的ななにかを放出し続ける『にんげん』オラボナ=ヒールド=テゴス(p3p000569)。
 相手のスライムもオラボナの形状をなんとかマネし、ホイップクリームめいたなにかを放出しようとするが……。
「…………愚か」
 オラボナの期待に反して、スライムは彼女(?)を正しくマネすることはできていないようだった。
 うわべだけの複写。表層だけの模倣。ただ『おどろおどろしい形』であるだけの物体に、オラボナが敗北する理由などまるでなかった。
 それを理解したのだろうか。スライムは自棄になったように殴りかかるが……。
「貴様が望むならば『絶える』まで耐えるのみ。我が身は肉の壁と知るが好い。喰らい。啜るのだ」
 全ての攻撃はオラボナに吸い込まれ、少しずつ少しずつ削り取られ、やがてスライムは跡形も残らなかった。
「――Nyhahaha!!!」

成否

成功


第1章 第3節

ヴァイス・ブルメホフナ・ストランド(p3p000921)
白き寓話

 ダンジョンへとエントリー……したかと思ったら、何もない真っ黒なドーム内へと出た『儚花姫』ヴァイス・ブルメホフナ・ストランド(p3p000921)。
 空中に飛び出したことには驚かず、くるんと宙返りをかけてから着地。
 周囲でもぞもぞとうごくスライム状のモンスターたちから明確な敵意を感知すると、すぐさま大地に短剣を突き立てた。
「先手を譲るつもりはないのよ」
 地面を伝って伸びた寄生植物がスライムへと侵入。ボディの水分をたちまち吸い上げ、サイケデリックカラーの花を大量に開かせた。
 根を通じてヴァイスへと流れ込む活力。
「あなたは誰? ここは?」
 問いかける……と、残ったスライムはぶよぶよと集合して人の形をとった。
 人の形というよりは、ヴァイスの形と言うべきだろう。
 先ほど破壊した分が足りないのか、右腕だけがかけている。
「■■■■■!」
 スライムは奇妙な鳴き声をあげ、そして――ヴァイスの足下から突如寄生植物が出現ヴァイスの肉体からエネルギーを吸い上げると、サイケデリックカラーの花を開かせていく。
 ヴァイス特有の疎通能力の延長にあるという、特別な技である。いくら姿形を真似たからと言って、ここまでの力が使えるものだろうか?
「気にはなるけど……ごめんなさいね。でも、私にも目的があるの」
 手を突き出すヴァイス。
 すると突如スライムの身体から茨が飛び出し、肉体を粉砕させた。

成否

成功


第1章 第4節

リゲル=アークライト(p3p000442)
白獅子剛剣

 ザン――と力強く着地する『死力の聖剣』リゲル=アークライト(p3p000442)。
 鎧を鳴らしながらも、素早く剣を抜く。
「俺だけか? 誘い込まれた……か」
 背後で聞こえるケリケリという声と、ぼこぼこという空気音。
 素早く振り返り……先手必勝。リゲルは『黒星』を発射した。
 輝く斬撃は遠く離れた相手をも切り裂く。更に素早く接近し『凍星-絶対零度』を発動。
 凍てつく斬撃がスライムを切り裂いていく……かに思われた、が。
 形を整えたスライムはリゲルと全く同じ……いや、リゲルを真っ黒に染めたような姿をし、同じ剣で攻撃を受け止めていた。
「――!」
 悪寒。
 本能的に飛び退いたのは正解だった。
 スライムの放つ剣はあらゆる防御を貫いていく絶対零度の斬撃であった。
 更に『飛ぶ斬撃』を放つスライム。
 リゲルはそれを剣で受けると、吹き飛ばされないように足でブレーキをかけた。
「剣の腕は互角……いや、違う。まるで俺自身を相手にしているような……」
 考えている暇はない。
 リゲルはさらなる攻撃を受けるよりも早くあいての懐に飛び込み、剣でスライムを貫いた。
 たちまち凍り付き、そして砕け散るスライム。
「前言は一部撤回しよう。腕は互角どころか、全然だったな」

成否

成功


第1章 第5節

リウィルディア=エスカ=ノルン(p3p006761)
叡智の娘

「まさか逸れるとはね……しかもなにかな、あれは。まるで僕だ。しかもどす黒いような。
 ……中々どうして、薄気味悪いものを見せてくれるじゃないか」
 リウィルディアのいうように、目の前に現れたスライム状のモンスターはリウィルディアの外見を中途半端にまねたような形をとっていた。
「■■■■……■■■……」
 こちらの形をまねしている、のだろうか。
 リウィルディアは慎重に構えつつも、距離をとって『スケフィントンの娘』の魔術をありったけたたき込んだ。
 何重にも展開したキューブがスライムを包み込み、内包する苦痛で満たしていく。
 箱が溶けて消えたあと、内側から現れた半分とけたようなスライムが腕を硬化させ剣のように尖らせると、急速に接近をかけてくる。
 これではっきりした。真似ているのはリウィルディアの外見特徴のみ。しかも形状だけで、材質や色や、まして能力までコピーできてなどいないようだ。
「びっくりさせてくれたね。けど……」
 突き出した手から『ソウルブレイク』の魔術を発射。
 相手の剣が自らに届くより早く、相手の上半身を吹き飛ばした。
「これで終わりだ」

成否

成功


第1章 第6節

天之空・ミーナ(p3p005003)
貴女達の為に

「所詮贋作は真作には勝てないって教えてやるぜモノマネ野郎!」
 見せかけの翼を広げ、見せかけの姿をとり、みせかけの剣を繰り出してくるスライム。
 ミーナは顔面めがけて突き出された剣を上半身の移動で回避すると、相手の懐へ潜り込んで首を掴んだ。
 普通ならコレで制圧できるところだが、スライムはどろんと首から上を溶かして離脱。
 身体を180度反転して再形成すると再び剣で斬りかかってきた。
「くそっ、きもちわりい動きすんな! マネるんならちゃんと真似ろ!」
 飛び込み前転の動きで斬撃を再び回避するミーナ。
 こちらを見るスライムの顔はぴくりとも動いていない。まるで、ミーナを模写してつくった彫刻のようだ。
 どころかこの形状をうまくあつかえてすらいないらしい。だったらいつまでも付き合う義理もない。
「さあ、この闇はお前にどう見える? モノマネ人形のお前にはよぉ!!」
 死神の領域を発動。
 スライムは困惑したように暴れると、ミーナの作り出した領域に引きずり込まれて消え去った。

成否

成功


第1章 第7節

グドルフ・ボイデル(p3p000694)

「フンッ!」
 地面に拳と膝を打ち付けるスーパー山賊着地をキメたグドルフは、酒焼けした喉をグガーとならしけむくじゃらの胸をかきながら立ち上がった。
「ンだここは。聞いてたところちげえじゃねえか面倒くせえ事に巻き込みやがって……こんなものでおれさまをどうにか出来たつもりかあ!?」
 ぼこぼこと音を立て、彼の前に現れるスライム。
 腰の後ろに下げた斧を掴むと、盛り上がったスライムが全く同じ形になって身構えた。
「……なんだ、てめえ。オイオイ、おれさまのファンにしちゃあ随分アピール激しいんじゃねえのかい」
「■■■■■!」
 斧を振りかざし、大声をあげながら突撃してくるスライム。
 対して、グドルフは斧をブーメランのように投げてスライムのクビを切断した。
「ファンにしちゃあ勉強不足だぜ。斧ってのはこうして――うお気持ち悪ぃ!」
 首の取れたグドルフ……の形をした黒いスライムはそのままボゴボゴと声をあげて突撃を続行。
「気色悪ィバケモンが、二度とおれさまの前に出てくるんじゃあねえ!」
 グドルフは剣をとって切り裂きまくり、動かなくなるまで踏みつけた。

成否

成功


第1章 第8節

ドラマ・ゲツク(p3p000172)
蒼剣の弟子

 妖精とウォンバット(?)を背後に庇い、ドラマは蒼い剣を相手に突きつけた。
 対するは、真っ黒い姿で真っ黒い剣を突きつける、ドラマの外見によく似たスライム。
「変なトコロに迷い込んだと思ったら……悪趣味な」
 剣の鋭さは成長の証。
 剣の蒼さは心の証。
 それを摸すことのできないスライムは、見て分かるほどに出来損ないだった。
「私だって日々の鍛錬を怠るコト無く、常に成長し続けているのです。
 容易に真似できると思わないで下さい!」
 握り混んだ剣に魔力を込めて、相手の剣を打ち払う。
 払うどころか、びしゃんと音をたててスライムの剣部分が吹き飛んでいった。本当に形だけ真似たらしく、硬度すら整っていないようだ。
 慌てたのか、スライムは半端な剣を固くして今更ドラマに叩きつけてくる。
 が……。
 素早く抜いた鞘が、相手の剣を止めた。
「目指す限界の蒼には程遠く、まだまだ未熟な身ではありますが、その背を追いかけて、全てにおいて成長してきたつもりです。
 中でも一番研ぎ澄まされたのは……この速さ!」
 連続で繰り出されるドラマの剣。
 スライムを八つ裂きにした末、背景にビッと二本指を立ててスマイルする悪い男の顔が浮かんだ。

成否

成功


第1章 第9節

日向 葵(p3p000366)
紅眼のエースストライカー
寒櫻院・史之(p3p002233)
冬結
ウィリアム・ハーヴェイ・ウォルターズ(p3p006562)
奈落の虹
かんな(p3p007880)
ホワイトリリィ

 基本顕現武装ナンバーレスが、ニグレドスライムを貫いて爆砕する。
 『実験台ならまかせて』かんな(p3p007880)は手を払いながら、ドームの奥に開いた通路を進んでいく。
「ずいぶんと悪趣味な敵もあったものね。
 心置きなく倒せてむしろよかったけれど……」
 ため息のようにつぶやいて、通路の先へと出る。
 と、より巨大なドーム状の空間があった。
 別々の通路からやってきたらしい仲間達の姿もある。
「あ、どもっス。オレ自分のマネするスライム倒してきただけど、まだ終わらないみたいっスね」
 『紅眼のエースストライカー』日向 葵(p3p000366)はサッカーボールを指の上で回転させながら声をかけてきた。
「ほんと、なんであんな中途半端なモノマネしてきたんだろうね」
 『女王忠節』秋宮・史之(p3p002233)は腕組みをして、ドームの壁に背をつけている。
「形こそ俺に似てたけど、細部は微妙に似てないし、色は黒一色だし、発生装置は形だけでフィールドのひとつも出せなかったよ」
「あー、わかるっス。オレのもボールだけあったけどずっとそのへんほっぽったままで、普通に殴りかかってきたんだよなあ。意味ねえだろ。……かんなさんは?」
 話をふられて、かんなは先ほどのスライムを思い返してみた。
 速攻戦をしかけたのでただ槍を打ち合っただけだったが、言われてみれば武装顕現がまるでできていなかった。それこそ粘度で作るだけつくったけれど能力を全く参照していない……といったような、みせかけだけの偽物であった。
「かといって『むかし』のわたしを忠実に再現されても困ったところだけど……そうね。ああいう、姿だけマネするモンスターがいると聞いたことはあったけど、わざわざ用意した意味がわからないわ」
「………………」
 そんな仲間達の話を、『魔風の主』ウィリアム・ハーヴェイ・ウォルターズ(p3p006562)は黙って、それでいてどこか深刻そうに聞いていた。
 首をかしげる史之。
「どうしたの、ウィリアムさん」
「君たちを相手したスライムは『見せかけだけ』だったんだよね……?」
 意味深な問いかけに眉を動かしながらも、かんなたちはとりあえず頷いた。
 ウィリアムは腰に手を当て、額をなでた。
「だとしたら、変だな。僕に襲いかかってきたスライムは多重積層魔法陣を起動できたし、吸魂魔刃や攻城兵器魔法も行使してた。あれは僕の血や魂に紐付いたオリジナル魔術の筈なのに……」
 そんなまさか。
 そうかんなが口を開きかけたところで、黒く大きな球体がずむんとドームの天井から落ちてきた。
 すばやく身構える仲間達。
 対してスライムはうごうごと姿を変えると、ウィリアムと全く同じ姿をとった。
 真っ黒……に見えるが、ところどころうっすらと色づいているようにも見える。モノクロカラーのウィリアム、といった具合だ。
「ヤア、よく来タネ」
 手をかざし、ぱたぱたと振るスライムウィリアム。
 今までと明らかに異なる動作に、かんなは素早く槍を顕現。
 史之は理力障壁を起動して前に出る。
「ソウ身構えないデヨ。チョット……殺すだけダカラ」
 手をかざすスライムウィリアム。小さな魔方陣が展開し、それをランチャーにして無数の魔方陣が一斉展開。
 その全てがかんなたちに照準をあわせ、恐ろしい魔術砲撃を発射してきた。
「うおっと!!」
 魔術で形成された巨大な杭。着弾と同時におこる爆発。
 障壁を最大展開すると同時に代理権能を用いて仲間達に対抗治癒をはかる史之。
 そんな彼をもってしても大きなダメージを免れない、そんな魔術砲撃だった。
「マジなやつかよ!」
 葵は素早くサッカーボールをセットすると、かんなに合図を送ってからシュート。
 激しい回転をかけて飛んだボールがスライムウィリアムに直撃。体勢を大きく崩したところで、かんなが漆黒の刀を変換顕現。豪快に斬り付ける。
 切断されて飛んでいく腕。ぶれる魔方陣。
「僕なんか模してもいい事無いと思うけど……遊びたいなら付き合ってあげよう」
 ウィリアムは全く同じ魔方陣をくみ上げると、全力の魔術をたたき込んだ。
 はじけとぶスライム。
 溶けて消え、もう攻撃はこないことを確認すると、ウィリアムは各魔方陣を閉じた。
「これと同じモノが、さっき出てきたよ」
 やれやれと首を振る葵。
「俺たちのと違いすぎる。俺やかんなさんたちになくてウィリアムさんにあったもの……なんなんだ? 何が、違いだ?」

成否

成功


第1章 第10節

シフォリィ・シリア・アルテロンド(p3p000174)
白銀の戦乙女
キドー・ルンペルシュティルツ(p3p000244)
社長!
ラダ・ジグリ(p3p000271)
灼けつく太陽
ポテト=アークライト(p3p000294)
優心の恩寵
ラクリマ・イース(p3p004247)
白き歌
ニア・ルヴァリエ(p3p004394)
太陽の隣
茶屋ヶ坂 戦神 秋奈(p3p006862)
音呂木の蛇巫女
スー・リソライト(p3p006924)
猫のワルツ

「自分と踊るっていうのも、悪くないよね。
 さあ――踊りましょっ? 私を証明する方法なんて、それで充分なんだから!」
 嵐のように情熱的なダンスによって、まるで動きについて行けないスライムを翻弄。たちまちに粉砕していく『猫のワルツ』スー・リソライト(p3p006924)。
「先に踊れなくなった方の負け!」

「お前は、そして私は。その1発目を当てられる腕と目をもっているかい?」
 素早くライフルを発射したスライムの弾が『剣砕きの』ラダ・ジグリ(p3p000271)の横90センチほどを抜けていく。
 がっかりだな。と心の中でつぶやいて、ラダはスライムの脳天を的確にショット。
 破裂しバラバラに散っていくスライム。

「今は目の前の相手を倒し、ここを脱出しましょう。
 私の姿であっても敵ならば倒すだけです。シフォリィ・シリア・アルテロンド、参ります!」
 祈るように垂直に立てた剣に力を込めて、『朝を呼ぶ剱』シフォリィ・シリア・アルテロンド(p3p000174)は白銀の刃による三段斬りを繰り出した。
 振り抜いた剣が白い光の線を描き、まるで対応できなかったスライムがスライスされていく。

「ま、あっちと違ってこっちはだいぶお粗末みたいだけど、さ。
 要は叩きのめして先に進めば良いんだろ?そのぐらいなら付き合ってやるさ」
 短剣を手に超高速で距離を詰めた『風断ち』ニア・ルヴァリエ(p3p004394)。まるで素人のような動きで剣を振り上げたばっかりのスライムの腕を切り取ると、背後に回って更に斬撃。
 振り返ろうとした動きに対応して更に回り込んで首をすっぱんと切り取っていった。
「自分の紛い物に負けてるようなヒマは無いんだ」

「答えは簡単なのよ。模倣できないくらいクレイジーな戦いをすればいいんだけだったんだもの」
 二本の刀でしっかりと防御したスライムに対して、まさかの正面からまっすぐ突っ込む『戦神』茶屋ヶ坂 戦神 秋奈(p3p006862)。
 反射的に繰り出された刀に『わざと』斬られ、相手の首を交差した刀ではさむ。
 更に両足で抱きつくかのように胴体をホールドすると自らの胴体から肩までの力をフルに使って相手の首を切り取った。
 まるで栓抜きで引っこ抜くかのような攻撃に、スライムは一切対応できていなかった。
「肉を斬らせて穿つは心の臓! ってね!」

「俺は!もっと!男前だろうが!!
 駄目だ駄目だ、全っ然駄目。
 なってねえよ全くな。見た目だけ似せても魂がこもってねえよ魂が!」
 鞄から何本も取り出したアイスの棒みたいなスローイングナイフを投擲すると、ククリナイフで堅実に防御しようとするスライムへ一気に距離を詰めた。
 眼前まで迫ったところで反射撃な斜め斬り――をあらかじめ予測してスウェー&ロール。
 振り抜いた腕側の斜め後ろへ回り込むと、回転の勢いで足と肘をナイフで切りつけた。
「造形からやり直せオラ」

 イレギュラーズはそれぞれ『見せかけだけの』スライムを撃破し、ドームを通過。
 そしてより広い……しかし白いスノードームのような空間へと出た。
「おや? ここはまともなんだな」
 『優心の恩寵』ポテト=アークライト(p3p000294)は汚れた服をはらいながら足を止めた。
「また戦うことになるんですかね。あれを何度もは嫌なんですが……」
 傷だらけの身体でやってきて、自己治癒をはかる『協調の白薔薇』ラクリマ・イース(p3p004247)。
 ああ? と同じフロアにやってきたキドーが首をかしげた。
「何言ってんだ。雑魚かっただろ。見かけ倒しで武器の使い方も雑でよ」
「あれが見かけ倒しですか。ははは」
 キドーが強がりを言っているのだと思ったラクリマは、愛想笑いを浮かべた。
 が、どうやらマジなトーンだと分かったらしく少しずつ真顔に戻っていく。
 他の仲間達の顔を見てもそうだ。
「……ええ、と?」
 ラクリマは首をかしげた。
 彼に襲いかかったのは、確かに造形こそイマイチだったものの茨の鞭や魔力の剣を巧みにあやつり、堅実でしたたかな戦い方をするラクリマそのものだったように思えた。
 本来ならラクリマにしか(より正確にいうなら『エルムの梟』に伝わる)術を使いこなすあの敵が、手強くないわけがない。
「どうやら、私とラクリマだけが強敵とあたったみたいだね」
 ゆるく腕を組み、深刻そうな顔をするポテト。
 そんな彼女たちの前に、新たなスライム……いや、スライムらしさのない偽物のポテトとラクリマが現れた。
 黒一色ではないモノクロカラー。肉体はそっくりで、彼女たちの用いる強力な治癒魔法や茨の魔術を行使していた。
「くるよ……!」
「らしいね。アンコールといこうか!」
 スーとニアは同時に地をけると、偽ポテトめがけて同時に左右から回り込んだ。
 と同時にライフルを構えたラダが脳天めがけて銃撃。
 偽ポテトは直立不動のまま魔力障壁を展開。更にカウンターヒールによってダメージを帳消しにすると、真っ黒な偽妖精を作り出してラダへと反撃してきた。
 弾丸の速度走り、肩を射貫く偽妖精。
「――!」
 が、怪我を負った程度で狙いがブレるラダではない。表情をより硬くして再度銃撃。
 魔力障壁を打ち抜き、着弾させる。
 偽ポテトの体勢が大きく崩れたところで、スーとニアは同時に剣を繰り出し、偽ポテトを分解。
 キドーが妖精から盗んだといわれる虹色のナイフを素早く投擲し、偽ポテトへと着弾させた。
 障壁を突破し、貫いていくナイフ。
 その間に、偽ラクリマは魔法で青い剣を作り出してキドーへ急接近していた。
「――!」
 間に割り込み、カウンターヒールと魔力障壁で防衛するポテト。
 と同時にラクリマが茨をはなち、魔力の剣で斬り付けた。
 正面からぶつかる刃と刃。
 飛び散る青い火花をはさみ、ラクリマは偽ラクリマをにらんだ。
「俺は俺自身が一番嫌いなんです、似てれば似てるほど消し去りたくなるのですよ!」
 引くとみせかけて相手を蹴りつけ、体勢をむりやり崩す。
 隙の生まれた偽ラクリマに、シフォリィと秋奈は同時に突撃をかけた。
「アルテロンドの名の下に――」
「戦神的あきなちゃんスラッシュ!」
 左右から同時に斬り付け、駆け抜ける二人。
 振り抜いた姿勢で止まる二人の後ろで、偽ラクリマは崩れ去った。
 剣を収め、シフォリィは息をつく。
「はじめは、自分と向き合わせる罠なのかと思いました。けれど、だとしたらおかしくありませんか」
「美少女感が足りない?」
「そうではなくて」
 顔をしかめ、ラクリマが忌々しそうにつぶやいた。
「誰かが俺を……『俺と同じモノ』を作ろうとしている」

成否

成功


第1章 第11節

 かくしてイレギュラーズは迷宮を抜け、虹の宝珠を手に入れた。
 イレギュラーズを真似る怪物にまつわる事件は終わったのだろうか?
 いや、そうは思えない。
 むしろこれが、始まりであるように彼らには思えた。

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