PandoraPartyProject

シナリオ詳細

<Sandman>砂の首輪から解放を

完了

参加者 : 10 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング


 ある日、ローレットに訪れたのは、1人の幻想種の女性だった。
「今回は折り入って、貴殿達にお願いがあってまいりました」
 褐色肌の幻想種の女性。
 彼女は傭兵集団『レナヴィスカ』の頭領、イルナスと名乗った。
 ラサ傭兵商会連合、ディルクの実質的な補佐役でもある。
「どうか、お話を聞いていただけますか?」
 イルナスがローレットに頼った理由はいくつかある。
 まず、幻想種の奴隷売買事件を幾度か解決した実績があること。
 これにより、多くの幻想種が解放に至っている。
 続いて、彼女の上司であるディルクから直々に勅命を受けていたからだ。
「まだ、多くの幻想種が奴隷商人に捕らわれたままとなっております」
 その救出に協力を願いたいと、イルナスは依頼に訪れたのだ。

 事情を知らぬ者の為にと、彼女は状況をかいつまんで説明する。
「この一連の事件を引き起こしているのは、『ザントマン』……ラサの古参商人であるオラクル・ベルベーグルスに違いありません」
 先日、ラサの有力者が集う全体合議にて、ディルクはザントマン……オラクル一派をあぶり出すべく、オラクルを糾弾した。
 ただ、彼はそこで自らの提案を口に出す。
 ――深緑との同盟を破棄。そして、深緑への侵攻。
 それがオラクルの主張であり、宣言だった。
「オラクル派は、これによって自身の傘下に入った商人や傭兵には莫大な利益をもたらすと約束したようです」
 当然、これをディルクが許すはずもない。
 オラクル派が一方的に退場したことで、敵を見定めたディルク。
 彼は夢の都ネフェレストで、魔種ザントマン一党を一網打尽に叩きのめす計画を立てている。


 一方で、今なお奴隷商人に捕まった幻想種がいることを、イルネスは突き止めていた。
「貴方方は以前、深緑のとある集落で、奴隷商人アレシュを討伐したと聞きました」
 その地では、現在、別の作戦が展開している最中だが、それはひとまず置いておく。
 このアレシュという男、先日の依頼で拘束された後、ディルクに突き出されるタイミングの直前にオラクル一派の手引きで脱走したらしい。
「よほど悔しかったのでしょう。アレシュはローレットに対する恨みと、オラクルの狂気に充てられ、魔種化してしまったようです」
 強大な力を得た彼は捕らえられたままの幻想種を預かり、ラサ国内のとある街の広場にパイプテントをいくつも立て、その内部で奴隷とした幻想種の売却を行っている。
「中には、『グリムルート』という首輪を利用し、強制的に命令されている者もいるという話です」
 最後まで抵抗したものにその首輪はつけられたようだが、何せ貴重品らしく、5人のみ装着されている状況だという。
 そのうちの1人が、アラーナ・アディ・アバークロンビーという名であることが分かった。
 調べによると、ローレットにその実の娘、アレクシア・アトリー・アバークロンビー(p3p004630)が所属している。
 あまり、ラサと関わりを持ちたくないと奴隷商人に立ち向かっていた彼女。
 ただ、皮肉にも『閃緑』とまで呼ばれたアラーナの力は奴隷商人達の目に留まることとなってしまい、ただの奴隷としてでなく、戦力として行使されてしまう。
「まして、私達同族、ローレットであれば攻撃できぬ相手と敵も確信しているのでしょう」
 ギリリと強く歯を噛み締めるイルネス。
 住む国は違えど、同族が不本意な戦いを強いられている状況を歯がゆく思っているのだろう。

 ともあれ、奴隷売買行われている広場へと襲撃を行い、幻想種達の解放に向かいたい。
 敵戦力は資料にある通り。イルネス自身も自らの率いる傭兵集団をもって幻想種達の解放に当たる。
 あとは、魔種討伐に関しては、ローレットに願いたいところだとイルネスは話す。
「どうか、この作戦に力をお貸し願います」
 彼女は大きく頭を下げ、イレギュラーズ達の参加を募るのだった。

GMコメント

 イレギュラーズの皆様こんにちは。なちゅいです。
 幻想種の奴隷売買事件によって拉致され、拘束されている幻想種の救出、合わせて魔種となった奴隷商人の討伐を願います。

●目的、状況
 ラサ某所の街にて、捕らえられた幻想種の人々の救出を願います。

 街の広場にテントが張られており、
 そこで、幻想種の人々が奴隷とされ、商人達が売買しています。

 アレシュはローレットのメンバー達を発見するとすぐ、奴隷とした幻想種達を嗾け、自らも一部の傭兵と共に応戦に向かってきます。
 また、テントには多数の販売用奴隷がおり、狂気に捕らわれた傭兵達が守っています。

●敵
◎アレシュ……魔種となった元人間種の奴隷商人。
 屈強な30代男性。前回の事件で討伐された後、脱走。
 ローレットに対する恨みもあって反転、今回はラサにて奴隷売買を行う最中、ローレットと交戦することになります。

 中国刀を所持。力と速さを兼ね備えた動きで攻めてきます。
 魔種となったことで、前回よりも強敵になっています。
 魔種の例にもれず原罪の呼び声を発しており、危険な相手です。

・大演舞……(A)物中範・攻勢BS回復
・豪快激烈断……(A)物至単・失血・連
・火炎烈風破……(A)神中扇・炎獄
・遠隔時限断……(A)神遠単・苦鳴・反動
・眠りの砂……(A)神近単・スタン(1ターン休み)or気絶(3ターン休み)

 前回の交戦は、拙作『浸食される村に来訪する奴隷商人達』にて。

◎狂気に捕らわれた傭兵×15人
 アレシュの狂気にあてられた傭兵達です。
 いずれも人間種。手練れの傭兵達です。
 格闘、ナイフ、長剣、ハルバード、銃、各3名。

●関係者
◎アラーナ・アディ・アバークロンビー
 幻想種の女性。年齢不詳。外見は20代後半。
 アレクシア・アトリー・アバークロンビー(p3p004630)さんの母親です。
 アレシュによってグリムルート……奴隷の首輪を装着させられ、アレシュの命令通りに行動します。
 弓と以下のスキルを使用します。

・ツインショット……(A)物遠単・連
・ホーミングアロー……(A)物遠単・命中+
・ファニングアロー……(A)物中扇
・スピリットレイン……(A)神遠範・火炎・凍結・痺れ・足止
・貫きの矢……(A)神超貫・万能

 なお、アラーナさんはギフト「森人の眼」……「自身から一定範囲内の森の中の異物を感知する」を所持しますが、今回の戦場はラサ国内とあって働くことはありません。

◎幻想種×4名+α
 捕らわれの幻想種は若い男女を中心に30名ほどいるようです。
 グリムルートを装着させられているのは、アラーナさんを除けば、魔術師2名、弓使い2名。
 後方支援メイン。アラーナさんと同等程度の強さを持ちます。
 他の幻想種達は手枷足枷をつけられ、逃げられないようにされています。

●NPC
◎イルナス+α
 ラサ傭兵商会連合・ディルクの副官的ポジションにおり、幻想種の傭兵集団『レナヴィスカ』の頭領。
 今回も部下20名を率いて、この討伐、及び救出作戦に参加しています。
 イルナスも弓使いであり、彼女の部下もまた弓、精霊、魔術といった遠距離攻撃を主として攻撃を行います。
 基本、拘束された同胞である幻想種の救出を優先しますが、皆様ローレット勢との連携も重視しますので、要望があれば可能な限り応えます。

●情報精度
 このシナリオの情報精度はBです。
 依頼人の言葉や情報に嘘はありませんが、不明点もあります。

 それでは、よろしくお願いいたします。

  • <Sandman>砂の首輪から解放を完了
  • GM名なちゅい
  • 種別EX
  • 難易度HARD
  • 冒険終了日時2019年10月11日 22時00分
  • 参加人数10/10人
  • 相談6日
  • 参加費150RC

参加者 : 10 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(10人)

セララ(p3p000273)
魔法騎士
スティア・エイル・ヴァークライト(p3p001034)
新たな道へ
ユーリエ・シュトラール(p3p001160)
慈愛の英雄
ウィリアム・M・アステリズム(p3p001243)
星に願いを
ルルリア・ルルフェルルーク(p3p001317)
光の槍
ヴァレーリヤ=ダニーロヴナ=マヤコフスカヤ(p3p001837)
祈りの先
シラス(p3p004421)
アレクシア・アトリー・アバークロンビー(p3p004630)
希望の蒼穹
如月=紅牙=咲耶(p3p006128)
闇討人
シュラ・シルバー(p3p007302)
魔眼破り

リプレイ


 ラサのとある集落を目指すローレット所属のイレギュラーズ達。
 今回の状況に、皆、怒りと決意に満ちた表情をしていて。
「アレシュ……あの時、囚われたはずじゃ」
 別件で、今回の主犯である奴隷商人の男と交戦していた茶色の長い髪の少女、『愛の吸血鬼』ユーリエ・シュトラール(p3p001160)。
 その依頼で、彼女は確かにアレシュを捕らえたはずだった。
 しかし、身内の手引きを受けて逃げ出したこの男は、ローレットに恨みを持って魔種化したらしい。
 そして、あろうことかまたも幻想種を奴隷としているという。
「一度捕まった身でありながら、懲りずに悪事を働くその性根、二度と悲劇を繰り返さぬ様にしっかりと止めをさしておかねばならぬ」
 黒髪ポニーテールの忍びの少女、『必殺仕事忍』如月=紅牙=咲耶(p3p006128)もまた、その奴隷商人に敵意を見せる。
「人間を奴隷にするなんて許せない!」
 大きな赤いうさぎのヘアバンドが特徴的なボクっ娘美少女、『魔法騎士』セララ(p3p000273)は非人道的な行いをする敵に憤る。
「また幻想種の人を攫って奴隷にして……今度という今度は許さない!」
 ユーリエの髪の色が茶色から銀色へと変化していく。彼女の握る鎖が感情の高ぶりに合わせて赤く輝いていた。
「奴隷となって、不幸な日々を送る人を増やすわけにはいきません!」
 金髪ツインテールの狐獣人の少女、『暗躍する義賊さん』ルルリア・ルルフェルルーク(p3p001317)は、高らかに叫ぶ。
「ふふん。ルルは義賊ですからね。『盗み』は得意です」
 攫われた人達の奪還と保護をやり遂げてみせると、ルルリアは自信に満ちた表情をしている。
「幻想種の人達や首輪で操られる人達と助ける人が多いけど、頑張らなきゃね」
 青と紫のオッドアイに長い銀の髪の幻想種、『リインカーネーション』スティア・エイル・ヴァークライト(p3p001034)も、同胞が置かれている状況を自らに重ねて。
「自分の意志を無視して、操られるなんて私だったら嫌だもん。絶対に助けなきゃ」
 しかも、それだけではない。
 捕らえられた幻想種の中には、『希望の蒼穹』アレクシア・アトリー・アバークロンビー(p3p004630)の母親がいるのだという。
 赤茶色の髪を三つ編みにした『希望の聖星』ウィリアム・M・アステリズム(p3p001243)は、そんなアレクシアを見つめて。
「アレクシアの母親が捕まった上に、操られてるなんて。大丈夫って本人は言ってるけど……」
 あれはいつだったか、確か力を貸すと彼女が言っていた。
(覚えてるかな、アイツ)
 その時は兄についてだったが、母親でも同じことだろう。
「……そうだ。絶対に、家族は失わせない」
 アレクシアの母、アラーナ・アディ・アバークロンビーは、『閃緑』とまで呼ばれた弓の射手。
 おそらく、彼女は奴隷とされた同胞を殺すとでも脅されたのだろう。
「私のお母様も狩人をしていましたから……、なんとなくわかるんですよね」
 大剣を担いだ黒髪メイド『大剣メイド』シュラ・シルバー(p3p007302)もアラーナの気持ちに理解を示す。
 仲間を、森を盾にとられ、非道が目の前に行われるのに何もできないその無念を……。
「拙者も助けになれれば良いが……」
 咲耶の言葉を受け、それまで仲間達の話を聞いていた『祈る暴走特急』ヴァレーリヤ=ダニーロヴナ=マヤコフスカヤ(p3p001837)がそうと頷く。
「アレクシアのお母様が……、これは失敗するわけにいきませんわね」
 今回の1件は、深緑と傭兵との間のトラブルであり、鉄帝出身のヴァレーリヤには直接関係する事柄ではない。
 しかし、猪突猛進で自らトラブルを起こしていたようなヴァレーリヤのこと。この事件にも手を出さずにはいられなかったのだろう。
「絶対に全員助けるから!」
「ええ、絶対にアレクシアさんのお母さんも他の幻想種の皆さんも助け出します!」
 セララ、ユーリエが意気込むのに、ヴァレーリヤが力強く同意して。
「絶対に助け出しましょう! 大切な友達に、家族を失わせるわけにはいきませんもの」
 そして、当事者である大きな三角帽を被った幻想種の魔法使いの
アレクシア。
「お母さんも、幻想種のみんなも、必ず助けてみせる!」
 気合を入れているそんな彼女の姿が『夜闘ノ拳星』シラス(p3p004421)には何でもないような仕草に見えて。
(アレクシア、何でもないように話してるけれど、母親が心配じゃないはずがない)
 黒のボブカットヘアのシラスは、彼女が余計なことにまで気を回さずに済むよう、全力を尽くしたいと考えるのだった。


 さて、イレギュラーズ達はチームを2分して、作戦に当たることとなる。
「アレシュ班と救出班だね」
 スティアが言うように、イレギュラーズは7人がアレシュ討伐班に、奴隷とされた幻想種30人の保護・救出班に3人が回る。
 救出班に、イルナスも部隊を引き連れて向かう。
「あと、イルナスさんにもお願いが」
 そこで、アレシュ班に向かうアレクシアから、イルナスへと部隊の半数弱を助力に借りたいと話す。
「了解です。では、8名ほどでいかがでしょう」
 それに、アレクシアも同意する。
 救出班は咲耶の用意した馬車を使い、幻想種の人々を解放後運び出すこととなる。
 その馬車の移動にとシュラが自らのパカダクラ、【砂駆】を貸し出すことにし、馬車へと繋げていた。
「この子なら素直で勇敢なので……きっと、役目を果たしてくれます。お願いね、砂駆」
 主であるシュラの呼びかけに対し、砂駆は素直に鳴いて応えてくれていた。
 なお、救出・保護が終われば、イルナスの部隊もアレシュ戦に加勢する手はずとなっている。

 その町の広場に立てられたテント。
 そこで、奴隷商人達が連れ去ってきた幻想種達を売買しようとしていた。
 多くはその手足に枷をつけられて動けなくされていたが、一部は『グリムルート』なる首輪をつけられていた。
 その中に、『閃緑』という二つ名を持つアラーナなる幻想種の女性がいて。
「隙を見て、必ず助けるわ。それまでは……」
 最後まで抵抗していたこともあって、奴隷商人達から目をつけられた彼女。彼女を始め、戦闘力の高い5人が首を装着させられている。
 そんな彼女達へと、魔種となり果てた奴隷商人アレシュが目を光らせている。
 まだ、魔種となって日が経たぬ彼は見た目を人から大きく変貌させてはいないが、人間種にはない恐るべき力でこの場の全てをねじ伏せられる程の力を手にしている。
 そのアレシュの討伐を目指し、イレギュラーズ達は動き出す。
 広場へと正面から駆け出すアレシュ班。
 編成はスティア、ユーリエ、ウィリアム、ヴァレーリヤ、シラス、アレクシア、シュラ。それに8名のイルナス部隊員だ。
「救出班やイルナスさん達がスムーズに動けるように、敵の注意を引き付けなきゃ」
 スティアと考えを同じくするメンバー達が一斉に駆け込んでいく。
「来やがったな、ローレット……!」
 赤く目を輝かせるアレシュ。もはや、その様子は人間らしさすら感じさせない。
「おい、出番だ。本気でやれよ……!」
 彼は5人の傭兵だけでなく、首輪をつけた幻想種達へと呼び掛ける。
 アラーナ達は首輪による強制力で逆らうことは許されず、小さく頷いて弓や杖を手にしていた。
「やっぱり……」
 アレクシアはその中に、母の姿がいることを確認する。
 交戦は避けられないと、彼女は気を引き締め直す。まずは、向かい来る相手を抑え、時間稼ぎだ。
「極力、とどめには注意しませんとね」
 魔種は論外として、犠牲者は少ない方が良いと考えるヴァレーリヤ。
 とはいえ、相手も本気で攻めてくるからこそ、ヴァレーリヤはまず魔術戦用メイス『天の王に捧ぐ凱歌』を手にして、聖句を唱える。
「主よ、天の王よ。この炎をもて彼らの罪を許し、その魂に安息を。どうか我らを憐れみ給え」
 すると、メイスから炎が吹き上がり、ヴァレーリヤが振り下ろすと炎は濁流の様に敵陣へと襲い掛かっていく。
 前に出る傭兵が怯む間にウィリアム、ユーリエが攻め込む。
 術式を展開したウィリアムが傭兵達へと激しく瞬く神聖の光を浴びせかけると、ユーリエはVBC……血のような赤黒い鎖を発して傭兵1体の体へと絡みつかせていく。
 後方から、幻想種達が矢や魔法を飛ばしてくる中、シラスが一直線にアレシュ目がけて駆けていった。
「アンタの相手は俺だ」
 自身の役目は、魔種アレシュの気を強く引き、抑え込むこと。
 自由にはさせぬと、全身に魔力を通わせたシラスはさらに魔種へと近づいて行くのである。

 同時に展開される奴隷とされた幻想種達の救出作戦。
 こちらには、セララ、ルルリア、咲耶とイルナスを含む彼女の部隊の半数余りが当たる。
 アレシュ班が交戦を始めたのを確認し、彼女達は後方から警備が手薄なテントを見定めて、近づいていく。
 まずは目立たぬようにと捕らわれた人々と接触し、声と物音を立てぬよう馬車へと移動するよう促すのだが……。
「ああっ……!」
 しばらく足枷をつけられたままだったこともあり、1人が足をもつれさせて転んでしまう。
「ちっ、こっちにもいるぞ!」
 傭兵の1人が叫ぶが、こちらにも護り手として傭兵達が配備されているのはイレギュラーズ達も想定の上。
 救出作業をイルナス達へと任せ、イレギュラーズ達が傭兵達の前に立つ。
「救出の邪魔はさせないよ。ボクが相手だ!」
 前に出たセララがイルナス達へと救出を続けるよう指示を出せば、イルナスも頷いて幻想種達の保護を進めていく。
「ローレットは殺しても構わんとの仰せだ!」
「やってやる、やってやる……」
 しっかりと言葉のやり取りをしているように見えるが、よくよく見れば狂気に侵されて正気を失っている者もいる。
「正気を失っているならば、致し方なしでござるな」
「邪魔はさせません!」
 前に出る咲耶が傭兵達のおびき寄せに当たる中、ルルリアは距離をとって魔法銃を構える。
 敵が刃を振るうよりも早く、ルルリアはその引き金を引くのだった。


 正面から仕掛けるアレシュ班はまず、向かい来る傭兵達を相手取る。
「さあ、みんなを返してもらうよ!」
 そう叫ぶアレクシアの言葉は本心には違いない。
 ただ、ここは助けに来たことをちらつかせ、自分達が本命であると思わせるのが狙いだ。
 彼女は敵陣へと突っ込み、術式を展開する。
 『集魔の妖花』(カトレヤ・ラビアータ)。別名、ヒノデランとも呼ばれる薄紫色の花だ。
 その花を魔法陣に刻むアレクシアは、術に干渉した者の魔力と合わせ、敵意すらも向ける。
 残念ながら、テントの向こう側も騒がしくなっており、アレクシアも気づかれたと察してはいるが、しばらくは自分が相手を引きつけようと立ちはだかる。
 とにかく、敵の気を引こうと、ウィリアムも仲間と足並みを揃えながらも、刹那願う。
 力を、強さを、覚悟を――。
 星の魔力を自らの強化に充てて、ウィリアムはさらに神聖の光で近寄ってきた傭兵達の体を灼いていく。
 しかし、狂気に捕らわれた傭兵達も一筋縄でいく相手ではない。
 ナイフ、長剣、ハルバードと、それぞれの武器を振りかざす敵は、アレクシアやウィリアムの体を傷つけてしまう。
 仲間達が傷つくのを、スティアも黙って見てはいない。
 防御態勢をとるスティアは飛んでくる銃弾から仲間を庇いつつ、現状は攻撃の集まるアレクシアへと自身の魔力を優しい光に変換し、癒やしへと当たる。
 交戦の最中、ユーリエは首輪付きの幻想種の居場所を確認するが、彼女達は奥から攻撃してくることもあり、接触がやや難しい状況だ。
 再び、ユーリエは鎖を伸ばして傭兵へと攻撃を仕掛けるが、今度は意識して敵に恐怖感を与えるべく、鎖の輝きをどす黒く変色させる。
「ひっ……」
 刹那恐怖を抱く敵に彼女はきつく鎖を縛り付け、相手に自分以外へと気を払わぬようにしていた。
 とはいえ、傭兵は手早く対処し終えたい相手。できれば、後方の幻想種達へと早く接触したいところだ。
 ウィリアムがテレパスを使うと主張していたが、果たして成功するかどうか……。
「おい、テントにも何かいるぞ!」
 傭兵達が叫ぶ中、ヴァレーリヤは再びメイスから発する炎を浴びせかけると、1人が全身を炎に包み、倒れていく。
 極力、不殺を考えていたヴァレーリヤ。一応、その傭兵にまだ息があることを考えてホッとしていたようだ。
 ただ、残る敵がテントに向かおうとしていたこともあり、ヴァレーリヤはなおもメイスを手に聖句を唱えていた。
 そう簡単には命までも奪う相手ではないと、シュラは考えて。
「手加減なんて……いらないですよね、あなた達になら!」
 シュラは仲間達の中で、最後に動くことを意識して立ち回る。
 彼女が携えるは、身の丈ほどある赤く巨大な『紅蓮の大剣【飛炎】』。
 それを楽々振るうシュラは乱撃を浴びせかけ、近距離で刃を振るって来ていた傭兵を地面へと沈めてしまっていた。
 そして、アレシュを相手にしていたシラス。
「このクソ野郎の人でなしが、いよいよ人間をやめやがったな」
 彼としては初対面である相手だが、話を聞く限り人を人とは思わぬ畜生以下の考えしか持たぬ魔種。
 徒手空拳で戦いを挑むシラスは痺れるような立ち回りで、敵の気を引きつけようとする。
「ローレット……お前達は全員ぶっ殺してやるよ……!」
 アレシュもまた人間をやめたことで、中国刀を操る身のこなしが人知を超えたレベルになっていた。
 刃に炎を纏わせ、回転させるとそれだけで竜巻のごとき爆風が前方へと燃え広がっていく。
 体に燃え移る炎にじりじりと体力を削られながらも、シラスはしばらくこの強敵を全力で抑えにかかる。

 救出班側も、こちらへと控えていた傭兵達と交戦し始めていた。
 傭兵の1人がまだ近場にいた幻想種の娘をつかみ、ハルバードの刃を突き付けて。
「武器を捨てろ。さもなくば……」
「ひっ……」
 それを見たセララはハンドサインをイルナス部隊へと送ると、イルナス自身が動き出す。
 その間に、他メンバー達も注意を引きつけに当たって。
「金の欲に目の眩み隣人を裏切った悪党共! 貴様らの様な愚かな輩はこの紅牙・斬九郎が成敗いたす!」
 咲耶が名乗り口上をあげると、彼女へと敵が集まり、手にする武器で切りかかってくる。
 防御に専念する咲耶は飛んでくる銃弾にもしっかりと対応し、ダメージを防ごうとする。
 イレナスの部隊員に統率を働かせるルルリアはセララやイルナスの援護を託しつつも、敵の頭上目がけて『漆黒魔銃テンペスタ』を発砲する。
 だが、ルルリアは決して明後日の方向を狙ったわけではない。
「悪しきを滅ぼせ、聖浄の槍!!」
 弾丸が飛んだテントの屋根の真下と、ルルリアは巨大な魔法陣を展開させていく。
 ルルリアはそこから地上に向かって光属性の槍が降り注がせ、傭兵達を撃ち抜いていった。
 人質を取っているのに、全く攻撃を止める気のないイレギュラーズ達に対し、傭兵も業を煮やして。
「ちっ、こうなったら、1人くらいは……」
 すると、そこでイルナスが素早く矢を射放つと、矢は一直線に敵の腕を射抜く。
「ぐわあっ!」
 そこで、『フェニックス』のカードをインストールしたセララがすぐさま近寄る。
 背に炎翼を展開させ、周囲に火の粉を散らすセララ。
 両手に聖剣を握る彼女はそれらの刃に超高熱の炎を纏わせ、連続して切りかかっていく。
 セララにも多少の負担はあるが、不死鳥の力でその傷すらも癒やす彼女は、人質を取った傭兵の体を切り刻む。
「ぐあっ……」
 呻いて倒れるその傭兵の手から逃れた幻想種の娘はすぐ、イルナスの部隊員に保護され、咲耶の馬車へと連れていかれたのだった。


 交戦は続き、敵戦力が少ない救出班の状況が大きく好転する。
 救出班の3人が傭兵達を1人、また1人と倒す間に、イルナス達が捕らわれの幻想種達をほぼほぼ救い出すことに成功していたのだ。
 手枷足枷は直接破壊するか、商人の持つ鍵を待つ形だ。
 救出班はアレシュ班側へと加わっていき、イルナス部隊もまた本隊と合流して布陣を整え直す。
 ここからが本当の勝負。まだ、首輪を装着させられた幻想種達の救出が残っているし、何より魔種アレシュが健在だ。
 そのアレシュを、抑え続けるシラス。
 幻想種を解放されている状況を察した奴隷商人は、幻想種を……いや、彼にとっては商品という認識だろうが、取り逃している状況に苛立ちを見せる。
 その上で、シラスは彼を逃すことなく立ち塞がる。
「行かさねえぜ? どうした、手下共の前で格好つけてみせろよ」
 シラスは周囲や背後に仲間がいないよう立ち回り、挑発を交えつつ自らの技を魅せつける。
「またも、商売の邪魔をするか、ローレット……!」
 前回の幻想種の拉致事件も妨害されており、その首謀者として捕らえられた過去のある彼の恨みは強い。
 そんな敵の気を引き、少しずつ痺れを与えながらも、シラスは目の前の相手に集中する。
 とりわけ、ただでさえ中国刀の威力は脅威だというのに、単体狙いのスキルとなれば、一気にやられる危険は高いと、シラスは敵の挙動、攻撃には細心の注意を払っていた。
 そのシラスをユーリエが援護し、敵に沈黙の鎖を絡めとる。
 それでも、持ち前の抵抗力の高いアレシュだ。そう簡単に自らの力を封じられたりはしない。
 振るう刃は近づくイレギュラーズ達を纏めて切り払い、メンバー達に傷を与えた上で、奮起することで自らを苛む異常も振り払ってしまうのが厄介だ。
 ともあれ、アレシュの攻撃で傷ついた仲間を癒すべく、スティアが歌声を響かせる。
 スティアの神聖なる救いの音色は、魔種と戦う仲間達の傷を塞ぐ。しばらくは、戦線を持たせることができるはずだ。
 同タイミング、残る傭兵を相手取るシュラは、近場の敵へと纏めて大剣を叩きつけ、2人を卒倒させてしまう。
 状況が好転してきたことで、イルナスの部隊も戦線に加わり、アレシュに雇われた傭兵達へと矢や魔法が飛ぶ。
 戦力としては非常に頼もしいが、今回は相手が魔種だ。
 混沌における原種であるイルナス達は、アレシュが及ぼす原罪の呼び声に当たられてしまうこととなる。
「呼び声に耳を貸してはダメです! 信じてください、私達を。そして、あなたの大切な仲間を、友を!」
 呼び声による狂気の影響を受けない旅人のシュラは、共に戦ってくれる幻想種達へと励ますように声をかけ、そのまま大剣で殴りつけた1人を血に染めて倒していた。
「こんな奴隷商人に影響されちゃいけない! 守りたいものを守れなきゃ。救える人を救わなくては! それが私たちだから……!」
 傍では、鎖を操るユーリエもイルナス部隊の面々を鼓舞している。
「気をしっかり持って! 誘拐された人々を助けて皆で帰ろう!」
 同じく、戦いながらもセララが部隊員達へと呼び掛けていた。
 なお、その言葉は首輪『グリムルート』を装着され、操られた幻想種5名にも同じことが言える。魔種の発する狂気に堕ちてしまわぬことを願うばかりだ。
 咲耶は傭兵達の引きつけに当たっていたが、傭兵の数が減ってくると、幻想種達の攻撃にさらされることとなる。
「傷つけさせずに助け出したいでござるが……」
 とはいえ、距離をとって攻撃を仕掛けてくる幻想種達へと近づくのは難しいと咲耶は躊躇してしまう。
 そこで、頃合いをみたウィリアムがテレパスを使って呼びかける。
『受けた命令や、次に狙わされる場所が解るなら頭に浮かべてくれ』
 ウィリアムはリーディングを持っているので、幻想種達の思考は読めるが、問題は伝える方法。
 テレパスはいくら呼びかけても、相手が同じくテレパスを持っていなければ、無駄になってしまうのだが……。
『……わかった』
 優しい声が返ってきたことで、ウィリアムが相手を見ると、それはアレクシアの母、アラーナだった。
『娘に迷惑はかけられないからね。一気にお願い』
 ウィリアムは頷き、すぐさま仲間達へと伝達することにしていた。
 イレギュラーズ側がテレパスを持たぬ為、ユーリエが仲介に動く。イルナス側は部隊員1人がその役目に奔走していたようだ。

 しばし、アレシュに気取られぬよう戦い続けるのだが、長期戦にも限界がある。
 アレシュを抑えていたシラスに限界が近づいていたのだ。
「行かさねえって言ったろ」
 何度も何度も、彼は相手に自らの技を魅せつけ続けていた。
 しつこく繰り返すシラスの態度に、アレシュも業を煮やしたらしい。
「そこまでだ……!」
 敵が振りまく眠りの砂に、シラスは意識を奪われかけてしまう。
 直後、躍りかかって振り下ろす幅広の刃は豪快さを感じさせ、勢いも兼ね備えていて避けづらい。
 衝撃の直後、シラスは何かが砕けたような感覚を味わった。
 落ちていく意識を、シラスは地面に手をついて再び身を起こす。
「ぐ……」
 パンドラを使って起き上がる様を見せつけられ、アレシュは歯噛みするのである。
 それ以外のメンバー達は全力で、首輪を装着された幻想種達の救出に当たる。
 直接救い出す方法がわからぬ以上、彼女達を無力化させる為、一度倒すことにしていた。
「本気でいくからね! きっとお母さんだって、そうすると思うから!」
 アラーナの思考を読んだウィリアムも頷く。
 今の状況が続くくらいならば、いっそ……。そうアラーナも考えたのだろう。
 アレクシアは仲間と共に前線に出て、負担の軽減の為にと壁になり、美しくも妖しい薄紫の花が刻まれた魔法陣を描いて、首輪をつけられた幻想種達の攻撃を引きつける。
「ボクらが必ず助けてみせる! 自由はすぐそこだよ。もう少しだけ頑張って!」
 スキルの効果も合わせ、雄弁に語るセララは対する幻想種達を励ます。
「ふん、だがお前達にあいつらは倒せまい」
 『グリムルート』に絶対の信頼を持つアレシュの勝ち誇った声が聞こえるが、皆関係なしに幻想種を攻め立てる。
「「…………」」
 遠距離から矢や魔法を飛ばす首輪の幻想種達は、口から血が出る程に強く口元を噛み締める。
 下手なことを言えば、自害を強要させられる危険すらある。
 とにかく、今は操られるまま、反抗の態度を見せぬことが肝要と考え、彼女達は向かい来るイレギュラーズやイルナス達へと攻撃を続けている状態だ。
「あなたたちには帰りを待つ家族がいるでしょう。無事帰って、顔をみせてあげてください」
 ルルリアも近場の魔種から呼び声に惑わされぬようにと、呼びかけ続ける。
 また、攻撃の手を止めることのないルルリアは傭兵達の時と同じように、光の魔弾を空に描いた魔法陣から降り注がせていく。
 手練れの者達ではあるのだが、さすがにこれだけのイレギュラーズ達が相手では一方的な展開も感じさせ、弓を持つ2人がその場に倒れてしまう。
 それを確認した咲耶がイルナス部隊の女性達と共に、安全圏へと運び出していく。
 念の為と、【温度視覚】で視覚を強化して周囲を警戒していたユーリエも集中してから拳銃を発砲し、クラッカーとなった銃弾を飛ばして幻想種を追い詰める。
 そこで、ウィリアムは、改めてリーディングで相手の考えを読み取った。
『後は、頼みます……』
 腹をくくったその考えを汲み取り、ウィリアムもまた激しく瞬く光を幻想種達の周りで煌めかせ、1人を気絶させていた。
「主よ、慈悲深き天の王よ。彼の者を破滅の毒より救い給え」
 そして、ヴァレーリヤが続き、消耗したもう一人の魔術師へと聖句をそらんじる。
「……毒の名は激情。毒の名は狂乱。どうか彼の者に一時の安息を。永き眠りのその前に」
 ヴァレーリヤが突き出すメイスの先。
 そこから巻き起こる衝撃派が魔術師を吹き飛ばし、その意識を奪い去る。
「救出に参りますわっ」
 そのままヴァレーリヤは自らが倒した幻想種を介抱し、イルナスの部隊員と一時戦線を離脱していく。
 残るはアラーナ。さすが、ここまでのイレギュラーズ達の攻撃を耐え凌いでいる。
 母親から放たれる矢を、アレクシアが受け止める。
 彼女は母を助けるという強い信念を抱き、『調和の壮花』(ビデンス・ラエヴィス)で自らを癒す。
 ウインターコスモスとも言われる白黄の花は、困難にも倒れることなき力を与えてくれる。
 アレクシアはちらりと仲間達に視線を向け、後は任せたと母の状況を託す。
 そんなアレクシアの頑張りを無駄にせぬようにと、セララは慈悲の聖剣技をアラーナへと叩き込む。
 すると、それまで弓を番えていたアラーナの身を大きく揺らぐ。
 何かを近くにいたアレクシアへと小さく告げ、彼女はその身を地面へと横たえた。
「お母さん……」
 すかさず、近場にいたスティアがアラーナを保護し、イルナスの部隊員へ馬車への搬送を託そうとするのだが……。
「はん、上手くやりやがる……」
 抑えのシラスから気を反らしたアレシュがそのスティアを狙う。
 そこで、危険を察したウィリアムが飛び込む。
 決死の盾でスティアのカバーに当たった彼は空間を伝ってきた斬撃にその身を咲かれてしまうが、パンドラの力に助けられて身構える態勢を維持する。
「……倒れぬ、だと……?」
 魔種となったにもかかわらず、アレシュはローレット勢の力に底知れぬものを感じていたのだった。


 戦いは進み、倒すべきは魔種となった奴隷商人アレシュのみとなっていた。
 イルナスの部隊員に助け出した幻想種達を託し、イレギュラーズ達は魔種を追い込んでいく。
 シラスは序盤から抑えに当たり続けており、苦しい状況だ。
 この為、戦線を支える為、多くのメンバーが回復へと当たる。
 長引く戦いで皆の体力が厳しい状況となってきていることもあり、ルルリアはハイ・ヒールで仲間達の体力回復に専念していた。
 アレクシアは相手の動きを見ながらも、相手の退路を塞ぎつつ、パンドラ使用済みのシラス、ウィリアムを中心として調和の壮花を振りまいて癒やしに当たる。
「絶対に逃がすものか!」
 この場から二度とこの男を逃がさぬと、身を張るアレクシア。
『たのんだよ』
 母は倒れる間際、確かにそう言った。
 アレシュを放置すれば、再び多くの幻想種達が、大切な身内が攫われる危険すらあるのだ。
 それだけは、二度と避けなければならない。
「お前達を全て倒すまでは……!」
 だが、単騎となっても、アレシュはまるで退く様子は見せない。
 自らに攻撃が集中するこの状況で、アレシュは自らの中国刀を大きく振り回す。
 それによって、メンバー達の体を深く傷つけてくる。
「倒れるもんか! ボク達は人々の自由を! そして、この国の未来を背負ってるんだ!」
 その一撃に耐え、セララが叫ぶ。
 月虹によって優しい光で仲間を包みながらも、壁役も兼ねて立ち回るスティアもかろうじて堪えたが……。
 前のめりに漆黒の篭手と小太刀でガンガン攻め立てていた咲耶。
 アレシュの斬撃をもろに食らってしまった彼女は、パンドラの力に頼ることとなる。
 聖句を紡いでメイスを突き出すヴァレーリヤも同じく、それをまともに食らって深手を負ってしまっていた。
「……まだ、これからですわよ!」
 仲間達の状態が危険と判断したヴァレーリヤも、回復に回り始めることとなる。
 息つくアレシュから、繰り出される凶刃。
 耐えながらも、ウィリアムは内から生み出した蒼く輝く剣を射出し、アレシュの体へと深く突き刺した。
「こんなところで負けられないんです……。絶対に勝ちますから!」
 シュラもギリギリのところで斬撃に耐え、自身の傷を回復してから仕掛ける。
 高めた闘気を武器に纏わせ、シュラは力の限りアレシュへと叩きつけていく。
 元居た世界だったなら、シュラは一撃のもとに叩き伏せていた自信があるが、自らの跳ね返るダメージがこの世界の混沌肯定を思い出させるのがなんとも歯痒い。
 だが、アレシュは全身に傷を負い、息も絶え絶えになっていて。
「くそ、二度も、二度もお前達などに負けてはいられぬのだ……!」
 そのアレシュと二度目の交戦であるユーリエが告げる。
「この鎖で『今度』は仕留める! 鎖の痛みは今までお前が迷惑をかけてきた人たちの痛みだ!」
 相手に巻き付けた銀色の鎖が青白く輝く。それは、敵対する者の能力を封じた証だ。
「お、おのれ!!」
 好機と見て、セララは全力で仕掛ける。
 気力はまだ残っていると判断し、不死鳥を纏った彼女は両手の聖剣で目の前の魔種を十字に切り裂いた。
「ぐおおおおおおおおおおっ!!」
 苦しみ悶える魔種は炎に包まれ、前のめりに倒れてしまう。
 炎は全身を包み、やがて、人のかたちを崩していく。
 それが魔種に堕ちた奴隷商人の哀れなる最期だった。


 全てが終わって……。
 奴隷商人の撃破は間接的ではあるが、ユーリエにとって因縁のある事件が解決したことでもあった。
 それもあって、彼女も今回の事件が無事終わったことを安堵していたようだ。
 そして、何よりも喜んでいたのは、アレクシアではないだろうか。

 シュラの砂駆を含んだ馬車が捕まっていた幻想種達を深緑へと送り届けに向かう。
 ただ、救出対象が多いこともあって、半数余りが戦場となったテントに再び戻されていた。
 駆けつけたラサの傭兵達が人身売買の取り締まりを始める中、そこにく残っていたアレクシアは母親、アラーナの首輪『グリムルート』に幾度か衝撃を与えて破壊していた。
 本当に意味で解放を成しえた彼女は、寂しがりやの一面を見せて。
「良かった、無事で」
「当たり前よ。まだ危なっかしいあなたを放っては置けないからね」
 さすがに、大人になったアレクシアにはかなりむず痒い一言ではあったし、他メンバー達の視線も気にはなったが。
 今は、今だけはと、彼女は母のぬくもりを直に確かめ、身を寄せるのだった。

成否

成功

MVP

ウィリアム・M・アステリズム(p3p001243)
星に願いを

状態異常

ヴァレーリヤ=ダニーロヴナ=マヤコフスカヤ(p3p001837) [重傷]
祈りの先
シラス(p3p004421) [重傷]
如月=紅牙=咲耶(p3p006128) [重傷]
闇討人

あとがき

 リプレイ、公開です。
 MVPはテレパスによって、操られた幻想種の人達とコンタクトをとったあなたへとお送りします。
 今回はお疲れ様でした。ご参加、ありがとうございました!

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