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シナリオ詳細

<果ての迷宮>トラックトラップトラッパー

完了

参加者 : 10 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●古典も陳腐となりぬれば
 『果ての迷宮』。
 レガドイルシオン国王フォンデルマンが代々使命として託された不思議な迷宮(ダンジョン)。
 長らく攻略の滞っていた階層をローレットが攻略し始めたことで、王を中心とする大貴族各派閥が目の色を変えて動き始めた。
 スポンサードという形でローレットへ資金が投入され、次なる階層の攻略が待たれている。
 未知なるダンジョンを攻略し最大の栄光を手にする派閥はどこになるのか。
 そしてローレット・イレギュラーズは見事ダンジョンを攻略することができるのか?
 未知の扉が、また開く。

 宇宙めいた階層を抜けた先。『探索者の鍵』によって訪れた新階層に待ち受けていたのは石作りの広間であった。
 どこかエジプトめいた石の部屋を絶えぬ炎の明かりが照らし、壁中をぐるりと囲むように描かれた形象文字がこの先にあるトラップを説明していた。
「これは古代の文字だわいね」
 『総隊長』ペリカ・ロジィーアンはランタンを翳し、文字を墨から順に解読していく。
「ふむふむ……? どうやら、この先にあるトラップや階層守護者(フロアボス)の内容について書いたものみたいだねい」
 ペリカは解読内容をノートに書き込んでいくと、ひとまとめにしてイレギュラーズたちへと見せた。

●罠だらけの通路
「『トラックトラップトラッパー』、と書かれてるわさ」
 ここからお見せするのはペリカの説明をもとに状況を脳内再現した風景。つまりイメージである。
 階層入り口のフロアには五つの大きな台座があり、それぞれ二人一組で台座に乗ることでエントリーすることができる。
 このとき使役した小動物やロバや式神といったものをエントリーさせることはできない。厳密にはできるが、デメリットの方が大きいためやるべきではない、という話だ。
 エントリーが完了すると二人組は石造りの通路へと転送されるだろう。
 魔術的な炎によって淡く照らし出された通路は明るく、大人が両手を広げて歩ける程度の横幅がある。
 通路はぐねぐねと曲がりくねっており、先を見通すことが難しい。透視や物質透過はできないと思った方がいいだろう。
 天井はさほど高くなく、見積もっても3メートル程度といった所だ。

 『通路』と表現したのは、背後は壁しかなく、先に進むほかないという状態だからだ。
 進むしか無い理由は一目瞭然。背後の壁がいかなる仕組みでか徐々に迫ってくるようになっているのだ。
 速さとしては大人が普通に歩行する程度の速度。しかしうかうかしていたら壁に押し出され大変なことになるだろう。
 なぜなら、通路には大量の罠が仕掛けられているからだ。
「これが『トラックトラップ』と呼ばれるゆえんだねい。
 ここに書かれてる罠は……飛びつくベアトラップ、吸引する落とし穴、電撃のはしる鉄格子、爆炎魔法のついた飛び出し槍、落ちてくる巨大鉄球、方向感覚をおかしくするガス。
 それはもうごってごての物理トラップ満載わさ。
 しかもこの通路内では常に【致命】効果がかかり続けるため体力が回復できないんだねい。
 コツは受けるダメージをどれだけ減らすか、だけど……場合によってはダメージ覚悟で突っ込んじゃうのもアリだねい!」
 目をキラッとさせて言い放つペリカ。
 しかしダメージを受けすぎて戦闘不能になってしまうと、通路からはじき出されて最初のフロアへ戻されてしまうようだ。しかも今回中にリトライができないという。
 HPを非人間的なレベルでもりもりに盛って駆け抜ければ案外いけちゃうかもしれないが、その状態のまま階層守護者と戦わなければならない、ということは踏まえておきたい。
「階層守護者(フロアボス)っていうのはここでいう『トラッパー』の部分わさ。
 罠を次々に召喚して戦う大きなゴーレムわさ」
 岩でできた巨人。頭の代わりに巨大なシルクハットが乗っかっているというかわった見た目をしているらしい。
「けど相当な強さがあるはずだからねい。皆の力を合わせて、戦うわいね!」

GMコメント

■■■成功条件■■■
 次の階層に進み、次なるセーブポイントを開拓することが依頼の成功条件となります。
 このとき『誰を名代に指定したか』が重要になります。
 名代については下記の説明をごらんください。

※セーブについて
 幻想王家(現在はフォルデルマン)は『探索者の鍵』という果ての迷宮の攻略情報を『セーブ』し、現在階層までの転移を可能にするアイテムを持っています。これは初代の勇者王が『スターテクノクラート』と呼ばれる天才アーティファクトクリエイターに依頼して作成して貰った王家の秘宝であり、その技術は遺失級です。(但し前述の魔術師は今も存命なのですが)
 セーブという要素は果ての迷宮に挑戦出来る人間が王侯貴族が認めたきちんとした人間でなければならない一つの理由にもなっています。

※名代について
 フォルデルマン、レイガルテ、リーゼロッテ、ガブリエル、他果ての迷宮探索が可能な有力貴族等、そういったスポンサーの誰に助力するかをプレイング内一行目に【名前】という形式で記載して下さい。
 誰の名代として参加したイレギュラーズが多かったかを果ての迷宮特設ページでカウントし続け、迷宮攻略に対しての各勢力の貢献度という形で反映予定です。展開等が変わる可能性があります。

■■■攻略情報■■■

【トラップパート】
 メンバーは二人一組になり、それぞれ別々の通路に分断されます。
 相談してペア相手を決めておいてください。決まっていなかった場合はペリカがなんとなくで決定します。
 また万一メンバーに欠員が出てペアが組めなかった場合にもペリカがピンチヒッターとして加わります。その場合そこそこ普通の助けをします。

 トラップゾーンはエジプト古代遺跡めいた通路になっており、以下のトラップが大量に仕掛けられています。
 またこのゾーンでは回復ができなくなっているため、『どれだけダメージを減らすか』が重要になります。
 トラップ対応するためのプレイングを書くことでダメージを軽減し、通路を突破しましょう。
 全てのトラップにまんべんなく完璧に対応するのはプレイングリソース的に無理があるため、あえていくつかを無視したり仲間内で得意分野ごとに手分けしたり、総合的に対応する策をたててみたりと工夫してみましょう。
 仮にトラップゾーンでダメージを受けすぎて倒れてしまった場合、最初のフロアにぺいって放り出されてしまいフロアボス戦に参加できなくなってしまいます。

●予想されるトラップ
 飛びつくベアトラップ:ガブッと噛みつく鉄のアレが直接飛んできます。
 吸引する落とし穴:落とし穴が開きすごい勢いで吸引します。
 電撃のはしる鉄格子:鉄格子が突如出現します。閉じ込められると定期的に電撃が発生しますので、がんばって破壊ないしは解錠してください。
 爆炎魔法のついた飛び出し槍:槍が突如飛び出します。当たると爆発がおきるのでとても痛い!
 落ちてくる巨大鉄球:鉄球が落ち、ひとりでに転がってきます。壁より早く転がってくるので、破壊するか押さえつけるかしないと更に進行をせかされます。
 気持ちがフニャフニャするガス:ふにゃーっとなるガスが噴射されます。最悪仲間にガッと殴って貰って気合いを正気を取り戻しましょう。ダメージ覚悟で。

 ※スキル『罠対処』をもつ場合トラップ効果をトータルで軽減することができます。他にも役に立つ技能が案外沢山あったりするので、使えるかどうか仲間内で話し合ってみましょう。

【フロアボスパート】
 トラップゾーンを突破できたメンバーでフロアボスに挑みます。
 そのため、通常なら依頼参加メンバー8人が挑むことになるでしょう。

 HPは『トラップゾーンを突破した時点』のHPの状態でスタートします。
 通路の端で壁がギリギリまで迫るまで待っていれば同時にボスフロアへ行けるので、ログイン順はないと考えて頂いてOKです。
 登場するフロアボスは『トリプルT』。手下である『トラップモンスター』の群れが毎ターン部屋の端から数匹ずつ追加されていきます。

●トラップモンスター
 『噛みつくベアトラップ』:攻撃方法は物至単【出血】
 『転がる巨大鉄球』:攻撃方法は物至単【乱れ】
 『空飛ぶ爆裂槍』:攻撃方法は物至単【飛】
 の三種のモンスターが初期状態で5~8体配置されており、毎ターン追加され続けます。
 強さはたいしたことありませんがBSがめんどいので出来るだけ効率的に蹴散らしましょう。

●トリプルT
 沢山のダメージトラップを召喚して戦うタキシード姿のゴーレムです。
 赤いタキシードに白い手袋、首の代わりに大きなシルクハットが乗っています。
 使用スキルやスペックはこちら。
・EXA、EXF、HP、特殊抵抗が高い
・わちゃわちゃトラップ(物遠域【万能】):槍やベアトラップや鉄球を召喚して攻撃します
・直接攻撃(物至単【必殺】):いっそ直接殴ります。攻撃力は低いですが確実性があります。
・混乱ガス(物遠範【万能】【混乱】)
・電撃鉄格子(物超ラ【万能】【呪縛】【感電】)
・慌てない(怒り無効、封印無効、精神無効。パッシブ)

●情報精度
 このシナリオの情報精度はBです。
 依頼人の言葉や情報に嘘はありませんが、不明点もあります(主に罠の位置)。

  • <果ての迷宮>トラックトラップトラッパー完了
  • GM名黒筆墨汁
  • 種別EX
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2019年05月14日 22時00分
  • 参加人数10/10人
  • 相談7日
  • 参加費150RC

参加者 : 10 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(10人)

ラノール・メルカノワ(p3p000045)
夜のとなり
デイジー・リトルリトル・クラーク(p3p000370)
共にあれ
主人=公(p3p000578)
ハム子
イーリン・ジョーンズ(p3p000854)
流星の少女
アト・サイン(p3p001394)
観光客
黎明院・ゼフィラ(p3p002101)
夜明け前の風
天之空・ミーナ(p3p005003)
貴女達の為に
エリシア(p3p006057)
鳳凰
ユー・アレクシオ(p3p006118)
不倒の盾
アイリス・アベリア・ソードゥサロモン(p3p006749)
<不正義>を知る者

リプレイ

●トラックトラップ・スターティングフロア
 『探索者の鍵』によって転移してきたイレギュラーズ。
 ペリカは台座を指さすと、集まった10人へと呼びかけた。
「きっちり十人集まったみたいだし、ここでお留守番してるわさ。二人ずつ台座にのるわいね」
 言われるまま台座へ向かいつつ、『不倒の盾』ユー・アレクシオ(p3p006118)は古代文字の書かれた石壁や不思議な茜色に照らされた天井を見回していた。
「これが『果ての迷宮』か……噂には聞いていたが、ついに、といった感じだな……」
 感慨深い。ユーはそんな風に呟きながら、深く呼吸をした。
 なんとも例えようの難しい空気だが、あえて現代日本で例えるなら大きな墓地に近いにおいだった。石と線香の香りである。
 おそらくこの、炎もなく天井を照らす光コケの発するにおいなのだろう。
「実にダンジョン。ワクワクするな」
「分かるぞ、その気持ち」
 『鳳凰』エリシア(p3p006057)はこっくりと頷くと、改めて部屋を見回してみた。
「前の階層とはだいぶ……いやかなり様相が異なるな。果ての迷宮というのはこういう場所なのか」
「前の階層にもいたのか。迷宮になじみでもあるのか?」
「なじみ……どうなんだろうな。その昔迷宮の奥に住んでいたことはあるが」
「ドラゴンかなにかか……」
 その一方で、『黒鴉の花姫』アイリス・アベリア・ソードゥサロモン(p3p006749)は聖業人形・マグダラの罪十字の装備を点検しつつ、台座の前でスタートを待っていた。
「ここがどんな場所か、気になってたんだよね。足手まといにならないように、は、気を付けるけど。何か役にたてると、いいなぁ」
「大丈夫だよ。一緒にがんばろうね!」
 『ハム男』主人=公(p3p000578)がぽんと肩を叩いて笑った。
「それにしても、飛び出す槍に転がる鉄球かあ……昔テレビで見て憧れてたけど、画面の中に入りたいとは思わなかったなあ」
 からからと笑う公。
「うまく対応できなかったらごめんね。ここには意志を交わせそうな植物も、会話できそうな動物もいそうにないや」
「見るからにトラップダンジョンだし、そりゃあね。いざとなったら実力行使で頑張ればいいよ」
 ぶんぶんとパンチのジェスチャーをしてみせる公に、アイリスは小さく頷いて返した。
 そんなペアがあるかと思いきやその一方で……。
「妾に任せておけばトラップ対処なぞお茶の子さいさいじゃー!」
 『大いなる者』デイジー・リトルリトル・クラーク(p3p000370)が壺の上に立って胸を張っていた。
「よーしよし、えらいぞ。アメ食べるか」
 ポケットから個別包装されたキャンディを取り出す『濃紺に煌めく星』ラノール・メルカノワ(p3p000045)。
「たべるのじゃー!」
「よーしよし」
 キャンディを口に含んで幸せそうにころころしてるデイジー。
 彼女を横目に、ラノールは部屋をぐるりと見回しなおした。
 彼もまた、果ての迷宮前階層通称『月色天蓋』の攻略メンバーのひとりであった。
 彼を含めて今回継続参加しているのはラノール、エリシア、そしてイーリンの三人になる。むしろ継続参加出来ているのがラッキーなくらいで、挑戦ごとにメンバーが大幅に変わるのはよくある話であった。
「頑張って迷宮を攻略しような」
「あめちゃんあまいのじゃー」
「よーしよしよし」
 知性が普段の十倍くらい希釈されてるデイジーをよそに、『茜色の恐怖』天之空・ミーナ(p3p005003)は軽く柔軟体操をしていた。
「トラップってのはアタマ使うモンらしいが……要するに全部ぶっ壊していけばいいんだろ?」
 『べつにそういうわけじゃないけど、間違ってもいないからいいか』といった顔で振り返る『夜明け前の風』黎明院・ゼフィラ(p3p002101)。
 そして気を取り直し、行きがけにアトから譲り受けた(もしくは借り受けた)銃を軽く点検していた。
(未知なるものを暴く事こそが私の目的だからね、この機会は是非とも堪能したものだ。可能ならば罠の一部でも持ち帰るんだがな……)
 一方でその『観光客』アト・サイン(p3p001394)はといえば。
「うおおおおおおおおおおおお果ての迷宮うううううううううううううううううううううううううううううう!!!!」
 転移直後ダッシュからの膝立ちスライディングからの両腕ガッツポーズで神に祈るように吠えていた。
 ゴールをきめたサッカーワールドカップ選手みたいな有様だった。
 彼にとって果ての迷宮攻略はこの世界に召喚されてからずっとの悲願である。
 むりからぬ。
 ひとつ前はタイミングが合わずに攻略を逃したので、むりからぬ。
「今度の迷宮は狭い通路、罠、時間制限。まるでおもちゃ箱ね……」
 冷静に考えていそうな顔をした『天才になれなかった女』イーリン・ジョーンズ(p3p000854)も、どこかそわそわしているのかつま先がとんとんとリズムをとっていた。
「『神がそれを望まれる』……」
「やったあああああああああああああああああああああ!!!!」
 ダンジョンの感動に浸っているアトの後ろ襟をつまみ、台座へと歩いて行くイーリン。
「じゃ、後で会いましょう、ペリカ」
「後でね司書ちゃん」
 ペリカとウィンクをかわしあい、イーリンたちは台座の上へと立った。イーリンはローレットでも珍しいことに、今回を含めて通算三回目の果ての迷宮挑戦者である。
 はたして、今回のチャレンジにて、迷宮攻略なるか……。

●トラップゾーン ラノール&デイジー
「落とし穴に落ちるなどそんな古典的なミスはまずしないよ。絶対しない」
 と言いながら、ラノールは落とし穴に引っかかっていた。
 通路を満たすほどの四角い穴の両端に、指とつま先をギリギリひっかけてたままぷるぷるしている状態である。
 重力に逆らうだけならこれでいいが、なんか奥の方からやたら強い吸引力で吸われているので凄まじくつらい。
「どういうことだ……発動スイッチはなかったはず……!」
「光学センサと重力センサの複合型だったんじゃろうなあ」
 あめちゃんのせいか知性の戻ったデイジーが、粛々と罠に対処していく。
 具体的には高身長ラノールを橋にしてうにょうにょと向こう岸に渡るという対処である。
 たこ足美少女に上を歩かれるという希少な経験をしたラノールである。
 嬉しいのかどうかはしらない。
「死ぬ訳にはいかないのだ。託された願いも、私の背を見て育つ者も、帰りを待つ者もいるのだから……!」
「決め台詞の使いどころさんじゃのー」
 ぐおーと言いながら背筋を中心に全身の筋肉をフル活用して耐えるラノール。
 そうしてラノール橋を渡りきると、デイジーは彼の後ろ襟を掴んでどっこいしょと引っ張り上げた。
「す、すまない。助かった」
「お互い様じゃ。だって今から……」
 立ち上がったラノールの顎を掴み、前を向かせる。
 天井がぱかんと開き、と同時に地面が斜めに(後ろ向きに)傾き、巨大鉄球が猛烈に転がってきた。
「もう一度助けてもらうからのー」
「うおおおおおおおおおおお!!!!」
 地面に吸盤でぴったり張り付いて動かなくなるデイジーに代わり、ラノールは二つの罠を同時に相手取った。
 つまりは後ろの吸引落とし穴と前の転がり鉄球である。
 罠が複合して襲ってくるパターンは考えてなかった。思ったよりきつい。
 マトックをロッククライミングピックの要領で食い込ませ、転がってくる鉄球を素手で殴りつける。鉄球は案外力業でどうにかなってくれたようで砕け散ったが、その直後にラノールの左右の壁から鉄格子が出現。その間にも迫る壁。
「くっ、間に合わない!」
「まとめて薙ぎ払うのじゃ!」
 デイジーが壺を傾け、中から謎の水めいた魔力をびゅばーっと噴出させた。
「うおおおおおおおおおおおお!!!!」
 気合いで回避するラノール。
 ぐじゅーって目の前で溶解していく鉄格子。
「無事か?」
「なんの、これしき」
「次、多分ガスが来るのじゃ」
「ぬおおおおおおおおおおおお!!!!」
 噴出されるガス。飛び出す槍。
 ラノールは軽く死を覚悟しながら走り出した。(デイジーはそんな彼を盾にして走った)

●トラップゾーン 公&アイリス
「ここには、どんなトラップがあるんだったかな」
 通路に転送されたアイリスは、一緒に転送されてきた公と一緒に周囲を一度見回した。
 一般的なレンガサイズのブロックが組み合わさった壁や床。少し後ろの壁は徐々に迫り、これが抵抗不能なオブジェクトであることを思わせた。
 道はやや曲がりくねった一本道であるらしく、あちこちに気になるとっかかりのようなものがある。
 迫る壁はともかく、ダンジョンという単語で真っ先に連想される光景である。
「ベアトラップ、落とし穴、鉄格子、飛び出し槍、巨大鉄球、ガス……ってところかな。
 ボクらは罠に対応するクリティカルな技能や才能(ギフト)を持ってはいないから、手持ちのカードでどれだけ勝負できるかが試されてる感じだよ」
「うん……」
 アイリスは宙に手を翳し、空気の流れのようなものを感じ取った。
「不思議だな。霊の気配もしない」
 雑草レベルの草や虫といったものも見当たらず、ここが新しく生成された部屋であるように感じられた。
「こういうときは走るに限るよ。急ごう!」
 公はアイリスの手を引いて通路を走り始めた。
「火薬の臭いだ、ふせて!」
 アイリスを伏せさせ、盾を翳す公。飛び出した槍の半分を防御できたが、猛半分が彼の肉体に突き刺さった。
 槍は出っぱなしになっているようで、身体が固定されたまま背後の壁は迫っている。
「アイリス、槍を折って」
「わかった」
 アイリスは『聖業人形・マグダラの罪十字』を展開させると、手刀によって槍を破壊した。
 刺さった槍の先端部を抜きながら再び走り出す公。
 時間制限のあるトラップゾーンを抜けるスタイルは大きく分けて二つある。
 慎重かつ素早く罠を見つけ空振りさせて進む。これは壁が迫るよりも早く罠を解く手際の良さと察知能力が求められる。
 もうひとつはとにかく早く走り、罠をアドリブで折り続けるというものだ。
 罠にかかって動きが遅くなっても、走った分の貯金を使うことで壁に押されることはなくなる。
 求められるのは勇気と純粋な素早さ。そして罠にかかっても暫くはやっていける耐久力だ。
「上から重い音――鉄球だ。攻撃の準備をして!」
 公は儀礼剣に魔力を込めると、前方めがけて放射。
 その間に飛び込んできたベアトラップも同時に払うが、破壊しきれなかった鉄球をアイリスの聖業人形が突きを繰り出すことで破壊した。
 その後も次々とトラップが襲ったが、公は途中までアイリスを庇うことで乗り切り、また途中からはアイリス自身も身体をはって乗り切った。
 いわゆる万能対処法のひとつ『ライフで受ける』というやつであった。

●トラップゾーン イーリン&アト
 手持ちのカードで勝負するのが冒険であるとして、出すべきカードを出せる人間ははやり強い。
 勿論向き不向きがあって全ての状況に勝てるワイルドカードを持っている者はそういないが……ことダンジョン探索というフィールドにおいては、『観光客』アトは無類の手札持ちであった。
「棒が3メートルある。ということはこれが至近距離戦闘における射程であり、人が一人必ず収まる長さになる。対人の罠を仕掛けるならこの尺度が必ず影響するから、的確な定規になるんだ」
 人生がハードモードの縛りプレイ。であるが故に適切な時に使用するべきカードを確保している。それが一見くずカードに見えても、使うべき時をわかっている。
 アトは落とし穴と飛び出し槍の複合トラップを見抜き、穴が開く前に棒を橋がわりに置いた。工具にイーリンのワイヤーを巻き付けるようにして槍を先に飛び出させると、その下をワイヤーと棒を用いてジャングルジムめいたくぐり抜け方で突破していく。
 アトの罠への感知と計測、そして確認は完璧であり、あらゆる罠がアトの前では児童向け知育玩具のごとしであった。
 その様子をイーリンが逐一メモに記入する余裕も、当然生まれようものである。
「私の出番がまるでないわね」
「そんなことないんじゃない? ほら見て」
 前と後ろを同時に指さすアト。
 すると、天井が同時に開き、同時に巨大鉄球が落ち、そして重力を無視したように同時にイーリンたちへと転がってきた。
「こういうのはパワーがないとどうしようもない」
 イーリンは髪色を紫苑色に変化させると、『紅い依代の剣・真秀』を魔導書から召喚。
「アト、先行! 後退位置確保! ここは、私が、撃つ!」
 転がってくる鉄球めがけて『グラディウス』の突きを繰り出した。
「よろしく」
 アトは砲撃を完全にイーリン任せにして罠の探索と確認を続行。
 もう一方から転がってくる鉄球を攻撃させるべく立ち位置を入れ替え、再びの砲撃で鉄球を破壊している間にも工具と酒で硬く丸めた布をガス吹き出し口に押し込んで罠を封じたりしていた。
 探索と破壊。
 ある種、完璧な攻守のコンビネーションであった。
 結果としてこのコンビはトラップゾーンを全くのノーダメージで突破した。完封勝利である。

●トラップゾーン ゼフィラ&ミーナ
 適切なカードを用意するという意味において、ゼフィラとミーナも高い活躍を果たしていた。
「種類が分かってて、目的も分かってるなら、対処するのはそう難しいことでもないだろ」
 ミーナは3メートルの棒で前方をつつきつつ、いつでも魔力放出ができるように構えていた。
 ミーナには多少罠を踏み抜いても耐えられる表面防御の堅さと、反面ちゃんと棒を持ってきてつんつんするという慎重さを両立させ、優秀な探索前衛をこなしていた。
 その一方でゼフィラはミーナが棒でつついた音や見た目(そしてギフト能力で計測できる重量)で罠を見つけだし、銃撃を加えることで空振りさせたり場合によってはシステム自体の破壊を試みた。
 ベアトラップは近づけば飛びついてくるが事前に見つけられれば空振りさせることが可能で、槍に関しては一度空振りさせてしまえば破壊することは可能だった。
 鉄球が転がってきた際には対処も回避もあったものではないが……。
「下がってな。ちっとばっかり本気でぶっ壊すぜ!!」
 まってましたとばかりに構えたミーナが拳を突き出す動作で魔力を放出。鉄球を破壊する。
 こうした、慎重さと大胆さ、そして堅さを駆使して二人は安全にトラップゾーンを突き進んでいく。
 二人の能力と行動は単体ずつとってみれば完璧ではないかもしれないが、二人を組み合わせたことでほぼ十全にトラップを対処し、そして迫る壁に追いつかれることなくトラップゾーンを突破しきることが可能であった。
 かくして二人はトラップゾーンをノーダメージで突破することに思考したのである。

●トラップゾーン エリシア&ユー
「曲がり角のようだな。この先は分かるか」
 エリシアはユーと横並びになるように歩き、3メートルの棒で前方を探るように叩いていった。
 叩くことによって生まれる音で、ユーは電子妖精ルーメに音波探知を依頼。
 送られてくる通路の情報をまとめると、ジェスチャーを交えてエリシアへと伝えた。
「ジグザグに曲がりくねっているらしい。これが意図したものなら、ガスの噴射や鉄球の出現も考えたほうがいいな」
「わかった。破壊に関しては任せろ」
 エリシアとユーによるトラップゾーンの突破方法は、『急いで走る』のパターンだった。
 壁が背後から迫ってくる都合からゆっくりじわじわ探索するには対応が遅れがちになるので、とにかく勢いよく走り、トラップが発動したらおのおのの対処能力と事前に定めたマニュアルで処理していくというものである。
「突っ込むぞ!」
 ユーは飛びかかってくるベアトラップを盾で防ぐと、義手から光の刃を伸ばして切り払った。
「息を止めて走れ。ガスと鉄球だ!」
 ユーは口元を多いながら走り、前方から転がってくる巨大鉄球にはエリシアが身を乗り出していく。
「鉄であろうと燃えれば焼ける。我が炎をなめるなよ」
 エリシアは鳳凰の権能をこの世界で許されたレベル内で限定解放すると、突きだした手から炎の鳥を出現させた。
 転がり来る鉄球を炎の拳で溶かすように食い破ると、走る速度を維持したまま駆け抜ける。
 突如足下の床が抜け吸引が始まるが……。
「つかまれ」
 素早く出したエリシアの手にユーがつかまり、エリシアの広げた炎の翼で強引に飛行。
 吸引力に機動力で対抗すると、なんとか向こう岸へと転がり込んだ。
 地面を転がり、なおも走り続けるユー。
 走る足音からの反響で少し先の壁の薄さを検知。
「飛び出し槍だ。どうする」
「構っているより駆け抜けた方が早い。任せるぞ」
 そしてここからがコンビプレイの真骨頂。
 ユーは棺桶型の盾を構え魔力障壁を自身を中心に球形に展開。槍の罠をあえて踏み抜くと、シールドで槍のいくつかを反発、破壊した。破壊しきれない槍が彼の肉体に突き刺さるが、エリシアの放った炎がユーを包み込み、傷口をすぐさま焼き、生命の火力を注ぎ込むことで強制的に肉体を修復してしまった。
 ダメージを受けようとも毎ターン500の規模で継続治癒が可能なエリシアと、回避と防御の極端なまでの堅さでダメージをごくごく小さいものへと軽減するユー。
 このコンビプレイによって、ダメージ系の罠はもはやないも同然と化していた。
 ノーダメージとはやや違うが、ほぼ安全に二人はトラップゾーンを(おそらくは最速で)突破することに成功したのであった。

●トラップトラッパー
 真っ暗な部屋だった。
「みんな!」
「無事かの?」
 ラノールとデイジーの呼びかけに、エリシアとユーが小さく応えた。
「ダメージを負った者も多いだろう。我の下に集え勇士達よ。我が力を授けよう」
 エリシアが早速範囲回復術を展開。炎のサークルが描かれ、暖かいフィールドが広がっていく。
 一方でミーナとゼフィラは周囲を警戒。武器を構え、暗闇の中に気配を探っていた。
 あちこちに何かがいることだけはわかるが、まだ襲ってはこない……といった様子だ。
「ミーナ、無事ね!」
「まあな。そっちはどうだ」
 転送されてきたイーリンたちに、ミーナが振り返る。
 暗闇の中でも正確に銃をリロードするアト。
「多少痛い目にはあったけど、それだけかな」
「よかった。全員いるみたいだ」
「随分とやられちゃったけど……皆は?」
 公とアイリスも加わり、彼らは改めて周囲へと身構えた。
「ようこそ、我がトラップダンジョンへ。お楽しみ頂けましたかな」
 慇懃な、それでいてどこか無礼な口調で、闇の中から何者かが語りかけてくる。
 スポットライト灯火。
「わたしはトリプルT。この階層を守護する者。
 トラップゾーンを突破した探索力、褒めて差し上げましょう。
 しかし私を倒せぬ限り、この先へは進ませません」
 照らし出されたのは赤いタキシードスーツによるゴーレム人形だった。
 大きさにして2メートルほどだろうか。ヒトガタであれば頭があるはずの場所に頭は無く、かわりに大きなシルクハットを乗せていた。
「階層の守護者、か。恨みらしい恨みはないが……橋や盾になった鬱憤は晴らせて貰う!」
 ラノールは独特な歩法で重さを消したかのように走ると、重々しいマトックを担いだとは思えない程の身軽さで飛びかかった。
「先手必勝――」
「――後手必殺」
 繰り出したマトックの先端を、どこからともなく取り出したステッキの突きによってガードした。
 トリプルTがぱちんと指を鳴らした途端、部屋中がいっぺんに照らし出される。
 始まりの部屋と同様の、石造りの部屋。
 だが照らし出されたのは部屋の壁や天井ばかりではない。
 部屋外周にびっしりと現われたトラップたち。
 鉄球にベアトラップに槍。それらがまるで固有の意志をもつかのように襲いかかってきた。
「トリプルTは私がブロックする。そちらは任せた」
「了解、任せろ! ――ルーメ、エリアジャックだ!」
 ユーは球形のマシンを大量に召喚するとトラップモンスターたちへと投げつけた。
 電子妖精と同種のホログラムを纏ったマシンはトラップモンスターたちのうち一部に張り付き、意識をユーへと向けさせた。
「俺に集中しているうちにやってくれ」
「いいだろう」
 エリシアは炎の翼を広げると、突きだした手のひらより炎の鳥へと変換して発射。弧を描いて飛んだ炎はトラップモンスターたちへとぶつかり、広域にわたって炎を広げた。
「近づかれればこうはいかん。近づかれる前に出来るだけ蹴散らせ」
「簡単に言ってくれるな」
 ミーナは短刀を両手それぞれ逆手に握ると、壁際から駆け寄ってこようとするトラップモンスターたちの側面に張り付くようにして回り込んだ。
「今日の私は機嫌が悪いぜ! お前ら全員遠慮なくぶっ壊す!」
 刀を振り込む動きから繰り出す魔力砲撃が、トラップモンスターたちを飲み込んで一直線に走った。半数ほどが回避されたが、威力は充分だ。直撃さえすれば消し飛ばすことができるほどの勢いがあった。
「多少残った。少し手伝え」
 ミーナに言われ、イーリンは素早く彼女の砲撃ラインの反対側へと回り込んだ。
 再び髪色を深い紫苑色に変えると、『グラディウス』の発動体勢に入る。
 召喚された『紅い依代の剣・真秀』が魔力の輝きによってあたりを照らし、靡く旗から繰り出された衝撃がトラップモンスターたちを吹き飛ばしていく。
「アト――」
「分かってる」
 アトは自己増幅魔術弾を装填。発射。
 射撃の直後にすぐさま弾幕とかした銃弾がトラップモンスターたちを次々に破壊していった。
「掃討完了、っと」
 と言いながらも、アトは周囲から次々に発生するトラップモンスターに警戒した。
 壁に空いた穴が、床や天井に開いた穴が、次々と鉄球や槍を発生させる。
 それも、部屋のあちこちからバラバラにである。
「皆まとめて出てきてくれればいいのに」
「流石にそこまで愚かじゃなかろー」
 デイジーはアイリスにメガ・ヒールを開始。エリシアの回復量とあわせて充分なHPを確保すると、アイリスは聖業人形・マグダラの罪十字を展開させた。
「見える敵から倒していこう……」
 どの敵からも離れるように位置どると、聖業人形からマジックロープを発射。ベアトラップ型のモンスターをからめとっていく。
 その間に公はウェポンシールドを構え、トリプルTへの突撃をはかった。
 『ラッキーストライク』の突撃を繰り出す公。
「こいつ……」
 トリプルTはその攻撃をまたもステッキの先端で受けると、シルクハットのつばをつまんだ。
「ふむ……」
「今だ、畳みかけて!」
 公の声に応じて突撃をかけるゼフィラ。Model27の連射による多段牽制を仕掛けていく。
 ラノールを中心に隣を公、後ろをゼフィラが固める密集陣形となった。
「少々厄介ですね」
 トリプルTはその場から大きく飛び退くと、ステッキの先から混乱ガスを噴射してきた。
 ガスを振り払うラノール。
 だがその一方でゼフィラがガスに覆われ、敵味方の区別がつかなくなってしまった。
 銃や魔法の乱射される空間の中からいち早く逃れるため、自らも飛び退いてトリプルTへと詰め寄るラノール。
「この戦いでブロックに徹するのはよくないな……」
 初撃の感触から、ラノールはトリプルTをブロックし続けても敵の攻撃を無力化ないしは自分に引きつけることが出来ないことを察した。実際の所トリプルTの至近距離攻撃手段は『直接攻撃』のみで、むしろ滅多に使われないスキルだ。遠距離での攻撃がメインである以上、ラノールは無視されてしまう。ブロックに徹した場合、常に行動が空振りし続けることになるのだ。どころか、公とゼフィラが近接攻撃によって密集するためそもそもブロックの意味がなくなるという弱点もあった。
 よって、第二手からは直接的な攻撃へと切り替える。
 マトックによる直接的な打撃。そこへ連携するように繰り出される公の攻撃。
「公、無事か」
「精神耐性を積んでてよかった」
「ゼフィラへのBS回復はエリシアに任せるしかない。俺たちはとにかく攻撃を続けるぞ」
 ゼフィラから背中に銃撃をうけながらもエリシアに回復を要請。
 エリシアはシェルピアのフィールドを形成してゼフィラを回復すると、トリプルTへと向き直った。
「全員、少し落ち着け。敵の特徴に対して作戦と個人行動がずれ過ぎている。特殊抵抗のた高く高レベルの敵にBSを狙うのは分が悪い。かつEXFが高い敵には【必殺】属性の攻撃でとどめをささねばならんが、それを持っているのは私だけだ。司書、陣形を組み直せるか」
「すぐには……アドリブでいくしかないわね」
 イーリンは素早くメモに簡易プランを書き込むとデイジーへと投げた。
「指示よろしく」
「まかせるのじゃ!」
 回復したゼフィラと共にトラップモンスターの駆除に努めながらも、メモを広げて読み上げるデイジー。
「まずトラップモンスターを出るたびに倒すのは一旦ヤメじゃ。
 暫くトリプルTに攻撃を集中。奴は範囲攻撃持ちじゃから可能な限り散れ。
 特殊抵抗や防御に不安のある者、精神耐性がないものはあえてエリシアの周囲にあつまって回復を受け続けろ。エリシアの充填速度なら暫くは大丈夫じゃ。
 そしてトラップモンスターが20体を超える程度になったらユーが引きつけるんじゃ。ただし命中値に不安があるから一部を怒らせて他の便乗攻撃を誘う形で引きつけろ。
 で、引きつけた直後に走って集団から離脱。離脱した直後のエリアに範囲攻撃いを複数叩き込め。待機行動を活用するんじゃ。
 それと貫通攻撃は巻き込めるうまみが少ない上に動き回った結果範囲攻撃の的にされかねないからトリプルTへの攻撃の『ついで』にとどめろ。
 最後に、このドタバタの中でエリシアが死んだら積みかねん。ラノール、彼女を死ぬ気で庇え!
 ――以上。用意したスキルと武装は今更どうにもならん。今あるカードで勝負じゃ。足りない所は気合いとパンドラで補え!」
「了解!」

 そこからの勝負は実際気合いと根性とパンドラによる戦いになった。
 限られたリソースをギリギリまで使って味方の回復につとめるエリシアと、彼女の回復量を邪魔に思ったトリプルTの直接攻撃。
 それを庇うラノールと、その周囲で範囲回復を受けながら攻撃を行なうデイジー、ゼフィラ、アイリス、アトの四人。
 イーリン、ミーナ、公は貫通属性の攻撃を用いてトリプルTを攻撃しつつ、他のメンバーに近づきすぎないようにしながらついででトラップモンスターを攻撃していった。
 ユーは遊撃として攻撃を繰り返しつつも時折たまったトラップモンスターの駆除に専念した。勿論もっといい作戦もあったはずだが、今すぐ考えてとれる対処法(プランB)はこれが精一杯だった。
「もうそろそろ死んでもいい頃じゃないかな!」
 アトの剣がトリプルTを切り裂き、更にゼフィラとアイリスの射撃が突き刺さる。
「こっちも、限界かも……」
 彼らの間を走り抜け、トラップを大量に召喚してぶつけてくるトリプルT。
 一方でミーナとデイジーが己の魔力を限界まで膨らませて直接叩き付ける。
 二人のパンチを水平にしたステッキで受け止めるトリプルT。
 しかしステッキが砕け、トリプルTは大きくよろめいた。
「もうじきとどめだ。頼むよっ」
 公は残り少ないエネルギーを振り絞ってウェポンシールドを叩き付ける。
 その上を駆け上がるようにして、ラノールが跳び蹴りを叩き込む。
「ぬっ……!」
 突き飛ばされたトリプルT。
「司書殿、エリシア殿、今だ」
「――っ」
 イーリンは突き飛ばされたトリプルTの背に直接『紫苑の魔眼・不条』の魔術を打ち込んだ。
 大きくけいれんするトリプルT。
 タキシードスーツが消し飛んだが、かろうじて残ったシルクハットだけがふわりと浮かび上がる。
 新たに召喚したわちゃわちゃのトラップがあちこちで暴れはじめ、その中をエリシアの炎が猛烈に駆け抜けた。
 包み込む炎がトリプルTを、大きなシルクハットを焼き尽くす。
 がらがらと崩れて落ちるトラップの残骸。
 ユーたちはがくりと膝を突き、荒い呼吸を整えた。
「なんとか……勝った、か」

●そして次なる階層へ
 扉が重い音をたてて開く。
 『果ての迷宮』に広がる次なる階層への道が開いたのだ。
 仲間の攻略によって通過が許されたのか、ペリカが同じフロアへと転送されてきた。
「みんなボロボロだねぃ。けど、ちょっと楽しそうだわさ」
「ええ……」
 旗を杖のようについて、イーリンは口の端で笑った。
「楽しかったわ」
「大変でもあったけどな」
 その場に座り込み休憩するユーや、ゼフィラ。
 ミーナも武器をしまい、次なる階層へ向けて歩き始めた。
「やれやれ。やっぱり私は頭使うのは苦手だわ」
「次がどうなるやら、だな」
 同じく歩き出すエリシア。
 公やラノールは疲れ果てたのか、傷ついたアイリスを手当しながらもその場に座っていた。肩をトントンと叩いてマッサージしてやるデイジー。
「なにはともあれ、攻略おめでとうなのじゃ」
「ああ、結果良ければ全てよしだ」
「だね。次はどんなダンジョンかな」
「なんだっていいさ」
 アトは鞄を背負い直し、清々しく笑った。
「何が待っていても、ただ挑むのみってね」

成否

成功

MVP

アト・サイン(p3p001394)
観光客

状態異常

なし

あとがき

 お帰りなさいませ。
 皆様の活躍によって『果ての迷宮』はさらなる攻略を果たせました。
 次なる階層には一体なにが待ち受けているのでしょうか?
 次回の『果ての迷宮』を、お楽しみに。

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