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シナリオ詳細

<悪性ゲノム>自警団と連携を!

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●変異ガエルに挑む青年自警団
 このところ、幻想で共通する事件がちらほらと起こっている。
 それは、魔法生物、小動物が原因不明の突然変異を引き起こし、大量増殖が局地的に起こっているというものだ。
 だからといって、市民はこの事態に怯えているばかりではない。
 幻想蜂起を完全鎮圧したローレットの影響は大きく、場所によってはイレギュラーズの真似事をした自警団、少年団なども結成されているのだという。
 ここにも、突然変異生物の討伐に当たる初々しい自警団メンバーの姿が……。

 川のせせらぎが聞こえる集落外れ。
 田畑の広がるのどか光景の中に、雰囲気をぶち壊しにする変異生物が屯していた。
 ゲコゲコォォ……。
 水車小屋の近くで蹲っているのは、人の大きさほどにまで巨大化した5体のイボガエル。
 元々、イボガエル……ヒキガエルという生物は有毒の粘液を分泌することができる。
 通常種であれば、その毒は手がかぶれる程度ですむレベルだが、変異したそのカエルは人の身体を蝕むほどに強力なものとなっているので油断はできない。
「相手は5体か……」
 青年自警団のリーダー、ルイザが水車小屋の影から敵の姿を見て呟く。後には彼女の部下であり、友である団員達がいる。
 交戦は、今回2度目。先日挑んだ1度目は群がるカエル達に襲われて陣形を崩され、止む無く撤退していた。
「個別に引き寄せられればいいのだが……」
 個々の力は確実に相手の方が格上だと実感しているが、戦法によっては撃破できない敵ではないとルイザも考えている。
 手はずどおり、仲間の術士と弓使いが同時に1体へと牽制攻撃。それによって近づく1体を撃破……と考えていたのだが。
 ゲゴゲゴオオオォォ!!
 大きく暴れる手前の1体に、カエル全てが驚いて辺りを見回す。
 カエル達はすぐに自警団メンバーの姿を捉え、舌伸ばし、あるいは毒液を飛ばして襲い掛かってくる。
「やっぱり、思ったようにうまくは行かないものね……!」
 それでも、今回は成果を上げたいと、ルイザは剣を抜く。
 痛みに苦しむ1体がこちらに向かってきたこともあり、彼女は仲間と共に応戦していくのである。

●変異カエルの討伐を!
 幻想のローレットでも、原因不明の突然変異を起こす動物らの事件は話題となっている。
「げ、幻想では今、そんな事件が起きているのですね……」
 まだまだ、情報屋として活動を始めた『穏やかな心』アクアベル・カルローネ(p3n000045)にとって、幻想という国自体が目新しいことだらけの様子。
 そんな中でも、アクアベルは彼女なりにイレギュラーズ達へと事件を紹介、依頼を斡旋していこうと躍起になっているようだ。
 さて、改めて変異した動物の事件。
 とある集落の外れに巨大なイボガエルが屯しており、集落民が迷惑しているという。
「風車小屋の近くでただ座っているだけみたいなのですが、毒液を撒き散らすので農業への悪影響が懸念されているようなのです」
 そこで、近場で結成された青年自警団が討伐に当たっているのだが、なかなかに手強い相手で攻めあぐねているのだとか。
 このこともあって集落民はローレットにも助力を頼み、共同戦線をとって撃破してもらえないかと依頼してきている
 青年自警団メンバー達はすでに、討伐に当たっているかもしれない。その場合はうまく、彼らを手助けしつつ討伐してほしいとアクアベルは話す。
「共同戦線をとることも大事……と、ギルドマスターのレオンさんもおっしゃっていました」
 ――皆で勝利の喜びが共にできるなら、それはそれでよいことなのではないでしょうか。
 アクアベルは最後にそう告げ、説明を終えたのだった。

GMコメント

 イレギュラーズの皆様、こんにちは。
 GMのなちゅいと申します。
 変異カエルの討伐を願います。

●目的
 青年自警団の生存
 全ての変異カエルの討伐

●敵……カエル×5体
 体長150cm程度あるイボガエルです。
・舌(物中単)
・跳びかかり(物中単)
・毒液弾(神遠単)
・毒液噴射(神中扇)

●NPC
 青年自警団×5人
 女剣士ルイザを筆頭に、男槍使い、女術士、男弓使い、男僧侶のパーティ。
 戦闘経験はまだまだ浅い様子ですが、カエル1体程度なら5人がかりでなんとか倒せる程度の力量はあります。

●状況
 現場は、集落の近くを流れる川に隣接する水車小屋の周辺です。
 変異カエルの討伐に青年自警団が当たっており、そこにイレギュラーズ達が駆けつけて共同戦線を取ります。
 事前の打ち合わせが出来ない為、戦いながらコンタクトを取る必要があります。
 如何にして共同戦線をとることができるか、イレギュラーズとしての力量が問われるでしょう。

●情報精度
 このシナリオの情報精度はAです。
 想定外の事態は絶対に起こりません。

 それでは、よろしくお願いいたします。

  • <悪性ゲノム>自警団と連携を!完了
  • GM名なちゅい
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2018年10月30日 21時45分
  • 参加人数8/8人
  • 相談5日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

キドー・ルンペルシュティルツ(p3p000244)
社長!
ヨハンナ=ベルンシュタイン(p3p000394)
祝呪反魂
マルベート・トゥールーズ(p3p000736)
饗宴の悪魔
ランドウェラ=ロード=ロウス(p3p000788)
黄昏夢廸
イーリン・ジョーンズ(p3p000854)
流星の少女
アンナ・シャルロット・ミルフィール(p3p001701)
無限円舞
ゴリョウ・クートン(p3p002081)
ディバイン・シールド
天之空・ミーナ(p3p005003)
貴女達の為に

リプレイ

●自警団との共同戦線
 幻想某所の集落。
 突然変異した動物を駆除する為、イレギュラーズ達はこの地を訪れていた。
「今度はイボガエルか。多いな、最近」
 仲間達が集落民から情報収集する間、銀髪に白い肌を持つ『蒼の楔』レイチェル=ヨハンナ=ベルンシュタイン(p3p000394)は物陰で煙管を吹かして考える。
「人間サイズの蛙だって? なんて素晴らしい!」
 そんな頻出する依頼の中、頭と背中から悪魔の翼を生やす『饗宴の悪魔』マルベート・トゥールーズ(p3p000736)は今回の相手に目を輝かせて。
「狩りの得物は大きいに越した事はないし、何より食い出がある!」
 このような楽しみが増えるなら、突然変異も悪くないとマルベートは上機嫌だ。
 さて、現場となる水車小屋の場所を集落民から聞き出したメンバー達は、集落外れへと移動を始める。
 メンバー達はすでに自警団が巨大毒ガエルの対処を始めていることを耳にして。
「毒ガエル退治してる自警団ねぇ」
 翼を朱に染めた小柄な堕天使の少女、『闇市芸人(他称)』天之空・ミーナ(p3p005003)はそれとなく呟くと、それに『黄昏夢廸』ランドウェラ=ロード=ロウス(p3p000788)が応じて。
「青年自警団かー。かっこいいねー頑張ってるねー」
 中性的な外見に紅と灰白色のオッドアイが目に付くランドウェラは、生き残れたならもっとかっこいいんだけどなと笑みを浮かべる。
 彼も自警団よりは変異動物の方に強い興味を抱いていたようだったが、依頼だからとやる気は見せていた様子。
「ふん、共同戦線、ねえ」
 ダークファンタジー世界からやってきた、『盗賊ゴブリン』キドー(p3p000244)が唸る。
 他メンバーの半分程度しかない背丈がない彼は今回のチームは面子に恵まれており、自分達だけでも倒せそうな相手だと分析していた。
「誘い出し、それは正解。でも、失敗時は一旦逃げるべき」
 頭上を見上げ、『天才になれなかった女』イーリン・ジョーンズ(p3p000854)が言葉を紡ぐ。
 ――しかし、私達が来た。結果的な正解よ。何故来たか?
「神がそれを望まれる」
「よしんば、それで今回は良くてもな」
 それを聞いたキドーは一方で、イレギュラーズが出向いて片付けるだけではその場しのぎでしかなく、後に続かないとも考えて。
「よしよし、そういう事なら俺等の背中を見て大いに学んで貰おうじゃあねえか」
「俺は……共同戦線って柄じゃねぇが、其がオーダーなら沿うまでだ」
 にやつくキドーに、後を歩くレイチェルが一定の理解を示す。
「勇気は認めるが、無謀にならねーようにしねーとな」
 異形に立ち向かう自警団の身を案じたのか、ミーナも多少気を引き締めていたようだ。

 集落の水車小屋付近。
 すでに、小屋に隠れるようにして、青年自警団が5体の巨大ガエルを捉えていた。
 リーダー、女剣士ルイザが個別の引き寄せをと考え、仲間の弓矢や術で1体を引き寄せようとする。
 ゲゴゲゴオオオォォ!!
 傷つき大きく暴れる巨大ガエルに驚いた他4体が辺りを見回し、自警団メンバーの姿を発見する。
 そいつらが一斉に自警団メンバーへと近づいていくところへ、騎乗生物に騎乗したイーリン、『カースドデストラクション』アンナ・シャルロット・ミルフィール(p3p001701)の2人が一直線に駆けていく。
「私の役割は、自警団側で敵の足止めね」
 パカダクラから降りた少女アンナは、跳びかかって来るカエルの正面へと回りこむ。
「ルイザと自警団ね! 悪いけどこっちも手が足りないの。共同戦線、いけるわね?」
 同じく、漆黒の牝馬ラムレイに乗るイーリンが依り代の剣を掲げ、自警団メンバーに対してウインクして微笑む。
 こちらは騎乗したままで統率力を活かし、自警団をアシストする様子だ。
 ほぼ同時に、カエル達の側面から他メンバー6人が現れる。
 『超視力』を駆使したレイチェルが敵の居場所を指し示し、一斉に仕掛けていく。
「行くぞ、カエルを引き剥がすぜ!」
 人間視点だと大柄な豚人間といった姿をした『黒豚系オーク』ゴリョウ・クートン(p3p002081)が叫ぶ。
 そのゴリョウ立案の作戦によると。
 自警団と合流し援護する『増援』と、自警団からカエルを引き剥がして負担を軽減させる『本隊』の2チームに分ける。
「俺達『本隊』が多数のカエルを抑えながら、出血を強いるという流れだ」
「つまりは、カエル共を挟撃する作戦だな」
 キドーは自警団寄りに位置取り、壁となるゴリョウの後ろにレイチェルと控える。
 後には、ランドウェラ、ミーナの姿もある。
 そして、その手前にいるマルベートもカエルどもを見つめ、注意を引くべく迫っていくのだった。

●巨大ガマガエルの注意を引いて
 人間達に挟撃された巨大ガエル達は戸惑いを見せる。
 一時は自警団へと襲いかかろうとした敵は、横からやってくるイレギュラーズの方を振り向いて。
「ぶはははっ、俺とも遊ぼうぜカエルさんよぉッ!」
 叫ぶゴリョウが名乗りを上げて戦意を高めると、カエル達が彼の方を着目する。
「獣とも言えない下等生物だろうと、本能くらいはあるだろう?」
 さらに、マルベートもまた、楽しげにカエルの注意を引くべく獣のごとく吠えた。
「粗暴に野蛮に凄惨に、殺し合おうじゃないか」
 ゲゴゲコオオッ!!
 明らかに殺気立ち、カエルどもはゴリョウやマルベートへと舌を伸ばし、あるいは毒液を噴射してくる。
 自身に注目が集まったマルベートとしては上等といった態度で、さらに今まで食らった血肉を自らの力に変え、無邪気な態度でディナーナイフとフォークを模した2本の片手槍を突きつけていく。
 やや、お株を奪われた感もあるゴリョウだが、敵が引きつけられたなら良し。自警団の負担が減る分には問題ないと考えていた。
 彼らが壁となってくれることで、他メンバーもカエルを攻めやすくなる。
 ただ、ガマガエルとして分泌する毒が厄介な相手。
 キドーは巨大カエル達が吹き付けてくる毒が仲間の体を侵すのに対処すべく、聖なる光を発していく。
「毒が無けりゃ、あんなのただの育ち過ぎのカエルだろ」
 さらに、キドーは自警団メンバーの解毒にも当たって。
「BS回復は俺が負担する。後はHP回復なり攻撃なり、手が空いた分出来る事をやってくれや」
 役割分担と主張するゴブリンにルイザは最初驚いてはいたが、キドーがイレギュラーズと認識した彼女は言葉に甘え、仲間の僧侶に回復専念するよう指示を出していたようだ。
 レイチェルは現状、回復は回っていると判断し、攻撃に出る。
 毒の対処をしていないレイチェルはできるだけそれを食らわぬよう目一杯距離をとり、見えない悪意を放ってカエルを攻め立てていく。
「殺るんだから、楽しまないともったいないぞ!」
 戦いに高鳴る鼓動と、赤き彩り。
 ランドウェラは仲間を鼓舞し、仲間の力を高める。
 右腕をだらりと垂らしたまま移動するのは、感覚がない影響らしい。彼はほとんどの所作を左腕で行い、前方メンバーの攻撃支援に当たる。
 手前には、タイミングをはかっていたミーナが飛び出し、死骸盾を展開した。
 彼女を含め、巨大ガエルは毒液を噴射してくるが、ミーナは平然としている。
「……ま、カエルには生憎だが。私は毒なんて効かねーけどな!」
 エスプリ『黒の矜持』。
 黒騎士として己の矜持を貫く彼女はダメージこそ受けるものの、毒にはまるで反応を見せずにカエルを纏めて射程に収めて。
「さぁって、お立ち会い! 黒の風大立ち回りってなぁ!」
 絶望、希望の銘を持つ剣を両手に旋回し、ミーナは暴風を発生させてカエルどもの身体を切り裂いていく。
 ゲゴゲゴオオオッ!
 汚らしい鳴き声を上げるカエルどもの姿に、自警団達はやや及び腰になっていたが。
「集中して! 臆すれば獣は察するわ!」
 イーリンの呼びかけもあり、自警団メンバーは気を強く持つ。
 さらに彼女は狙ったカエルをじっと見つめ、強くそいつの気を引く。
「1匹、来るわよーー!」
 そのイーリンに誘われる形で近づくカエル目掛け、自警団団員達は布陣を固め直し、徐々に他のカエルから引き離しながら攻撃を叩き込む。
 アンナも『憧憬の水晶剣』から飛ぶ斬撃を飛ばし、そいつの身体を切り裂く。
 近づいてきなら、相手を抑えようとアンナは身構える。
 イレギュラーズ達の作戦は功を奏したと言えた。後は全力で巨大ガエルども叩くのみだ。

●全力でぶっ潰すのみ!
 5体いる巨大ガエルを本隊が4体、増援と自警団が1体を引き付けて戦いを進める。
 本隊側の負担がやや大きいが、自警団メンバーの実力を考えれば致し方ないと言えた。
 ランドウェラは距離を取りつつ左腕で魔力を撃ちまくり、仲間を援護する。とにかく気力が続く限り、彼は毒ガエルの殲滅をと考えていた。
(僕自身、そんなに抵抗を持っているわけじゃないからな)
 毒が嫌なら、手早く終わらせるのが吉、である。
 しかし、今回のイレギュラーズ達はレイチェル、アンナと体調が万全でない者がちらほらといた。
 マルベートもまた、その1人。
 巨大ガエルの攻撃には毒が含まれるものの、彼女は毒の対策は行っており、さらに再生する不滅の肉体を持ってこの場に立ち、巨大ガエルの攻撃を引き付けていた。
 しかしながら、さすがにそれでも限界はある。
 2体の攻撃を代わる代わる受けていた彼女は跳びかかられ、一度失いかけた意識を運命の力で繋ぎ止めていた。
 だが、マルベートはそれでも前のめりに攻め立て、チームの……本隊の矛として相手を攻め立てる。
 振るう双槍が敵の首を切り裂く。そのカエルはしばらく手足をバタつかせていたが、それもすぐに止まってしまった。
 その間、ゴリョウはジッと身構えてカエルをしっかりとマークする。
 彼も知人の錬金術師から鍛えてもらったエスプリ『戦闘薬師』の力で毒を無効化し、カエルどもの攻撃に耐え続けていた。
「おっと、行かせねぇぜ!」
 さすがに、事故を全て防ぐとはいかなかったが、ゴリョウはできる限り名乗り口上をあげてカエル達の動きを制していく。
 さて、増援、自警団メンバーの相手する巨大ガエルも限界が近い。
 流れるような動きでアンナは、煌く水晶の細剣身体を切り裂く。
 全身から血を流し、激しい息遣いで飛び上がるカエルを彼女はしっかりとマークし、後方へ通さない。
 後方からも自警団が攻撃を続けている。これだけ痛んだ状態なら、アンナも大丈夫と判断して。
「私は向こうの援護をする。この敵は貴方達に任せたわ」
 相手のマークを止めたアンナは、本隊の合流へと向かっていった。
 残された自警団メンバーは全力で、痛んだカエルを叩く。
 そんな彼らが止めを刺せるようにと、イーリンが天に祈りを捧げて傷の回復に当たる。時折、離れた場所からキドーが聖なる光を発してくれるのもありがたいところ。
「たああっ!!」
 飛び上がったルイザが巨大ガエルの顔面を切り裂いた。
 ゲゴォォ……
 うつ伏せになって崩れ落ちる敵を見て、イーリンは彼らを連れて本隊と合流していく。
「気合を入れなさい、一気に行くわよ!」
 挟撃で一気に相手を潰そうとイーリンが叫べば、自警団メンバーも大きく叫び声を上げていたようだ。
 本隊側もその後は順調に、巨大ガエルを攻め立てる。
 跳び回る敵へとランドウェラが魔力を撃ち込むと、そいつは注意を反らして横からやってくるイーリンの姿を認めた。
 そのカエルが毒液を飛ばそうとしたのを、ミーナは見逃さない。
「っと、あぶねぇ! ……私の目の黒いうちは、好き勝手させねぇよ!」
 やってくる増援部隊、特にイーリンに毒が及ばぬようにと、ミーナはその身で受け止めて毒を無効化する。
 そして、彼女は両手の刃に暗黒を纏わせ、相手の体を切り裂いていく。
 その1体は、暗闇で視界を遮られただけでなく、命の灯火まで暗闇に覆われて完全にかき消されてしまった。
 遠くから、攻撃を繰り返していたレイチェル。
 彼女はキドーと共にゴリョウの回復などを行いつつ、魔力の温存にも気にかけて立ち回る。
 徐々に減りゆく魔力を感じて、レイチェルは純白の大弓『月下葬送』に神秘の力を込めて矢を射放っていた。
「なかなかしぶてぇが……、俺も吸血鬼。しぶといのが売りでなァ」
 レイチェルが相手の頭を目掛け、放った一矢。
 それが見事に相手の眉間から後頭部へと貫通し、完全に動きを止めたのである。
「うまくやったようだな」
 キドーは自警団がこちらにやってきたことを認め、まだ深手を負ったままのマルベートの癒しに当たる。
 同じく、自警団メンバーも癒しや支援攻撃にと動いてくれるが、そこをカエルが狙おうと舌を伸ばす。
「命を賭けた遊び相手から、目を逸らすのは失礼だよ?」
 マルベートは残る1体に言い放つ。とはいえ、叫び声を上げて相手の牽制をするまでもないと判断し、そのまま根絶と拒絶の魔法を体現する双槍で相手を楽しげに切り刻む。
「さて、大詰めね」
 アンナも本隊の仲間に続く形で、自警団メンバーと共に攻撃を行う。
 敵はもうふらふら。
 毒液を噴射する勢いすらも、衰えているのが一目瞭然だ。
 そいつへと迫ったアンナは『憧憬の水晶剣』を握り、優雅な脚捌きで相手を翻弄しながらも流れるように、舞うように、相手の全身を斬りつけていく。
 気付けば、全身から血を流していたそのカエル。
 ゲ、ゴォォ……。
 多量の出血もあってかそいつはゆっくりと瞳を閉じ、地面へ倒れていったのだった。

●有望なる青年達と倒した生物が残したモノ
 巨大ガエルを殲滅したイレギュラーズ達と青年自警団。
「おう、おつかれさんだな」
 一息つく自警団達へミーナが声をかけ、労う。
「今回みたいな事が何回も起こると思うなよ」
 続き、ランドウェラがリーダーのルイザらへと、近づく。
「……なんてね。お疲れ様。甘い物はいかがかな?」
 彼が左腕で配る金平糖を、やや渋い顔をした自警団メンバー達が礼を告げつつ受け取る。
 口に入れた金平糖の甘さよりも、ランドウェラの辛口の方が上回った様子だ。
 とはいえ、彼らの働きを賞賛するメンバーも多い。
 ラムレイから降りたイーリンは青年達へと拍手して。
「助かったわ、理屈ではなく事実を受け入れる辺り、貴方達は才能あるわね」
「ぶはははっ、あれ相手に耐えるとはなかなか良い根性してるじゃねぇか! 将来有望だな!」
 ゴリョウはからからと笑い、自警団メンバーの健闘を称える。
「後3年、真面目に続ければ一人前になれるな。頑張れよ」
 ミーナがそう言うと、アンナも同意して。
「経験を積めば良いチームになれると思うわ。私達だって1年前に倒せた敵かと言われると怪しいし」
 アンナは傷が深い団員に手を貸し、村へと戻っていった。

 さて、ランドウェラやイーリンはその場に残り、巨大ガエルの死骸へと近づく。
「……巨大カエルは『未知』だよな?」
 ランドウェラはそれらに対して、アナザーアナライズを使う。
 すると、この生物が元々通常のガマガエルであったのは間違いないことだけが分かる。後は多少の凶暴性、能力強化が認められたことくらいか。
 また、イーリンはカエルの死骸を解体し、自らのギフトで巨大化の原因を調べてみる。
 それは、何か頭の人為的な要因のようだが、具体的なことはこのカエルだけでは分からない。
 別のサンプルがあればもう少し踏み込んだ結果が得られたかもしれないと彼女は考えていた。
 ところで、マルベートはカエルの肉を切り分けていて。
「ほら、心なしか蛙も食べて欲しそうに死んだ目でこちらを見てるしさ。一匹くらいはね?」
 やはり狩りの喜びは獲物を食べる事にあると、彼女はそのままお持ち帰りしていたようだ。
 余談だが、それを食べたマルベートはやや昂ぶりを覚え、新たな肉をと狩りに行きたがっていたのだとか。

成否

成功

MVP

マルベート・トゥールーズ(p3p000736)
饗宴の悪魔

状態異常

なし

あとがき

巨大ガエルの討伐、お疲れ様でした。
傷を押して敵を引きつけ、率先して狩りを楽しんだ貴方にMVPをお送りします。
今回は参加していただき、本当にありがとうございました!

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