あら…ムエンさん
片づけててくれたんですか？

っあ…

戻ってたか。これ、寝起きでお腹空いてたら食べてくれ（戻っていたマリエッタに差しいれを渡してそそくさと立ち去ろうとして…）

…あら、思った以上に部屋は綺麗なままですね…？

（風で捲れたり、崩れた本を閉じ、埃の被った本を磨きながら一つの場所に集めている）

血に迷いし少女が安寧（ドリームキャッチャー）に絡め取られたか
微睡みに堕ちるか昼光の鋭さを求めるか
全ては汝が手に委ねられん
願わくば抗いし者たちと起こさんと挑む者たちに幸いが齎されん事を我等が父祖に祈ろう

うむ、また見（まみ）えることを我等が父祖に祈ろう
……ふむ、しかしてここは些か乱雑と言わざる負えぬな（本のカテゴライズをして整理し始める）

あっと、ちょっとおでかけしなければならないんでした。戻るかもしれませんけど、あまりお気になさらずで大丈夫ですので
それでは、一度失礼しますね

はい、ちゃんと彼女に会った名前を付けてあげたいですからね
近日中には提出する予定ですよ

得心した、慣ればこそ汝の思いを込めた名を目に通す時が楽しみであるな

ええ、とても暖かい子だったんですよ。そんな子に名前を…となったのでつい気合が入ってしまって

ほう、げに面白き特性の精霊であるな

あ、ええと…アーカーシュで出会った中級精霊ですね。熱気の精霊です

して、話を変えるが命名するものは如何なるものぞ？

そうですね。今はまだ何もできていませんし、事態が近づいてきたら…ですね。
実際にもう一つ何かが起きたときに考えることにします

それで良い、明日の黎明を考える者は居まい
如何に転ぶかはその時の汝に求めればよかろう

か、観測ですか…実際、探求の果てに魅入られてしまう…というのはお話でもよく聞きますからね
そうならないようにしたいですが……何とも言えないですね

強欲を以て血に魅入られるか、慈愛を以て血を制するか
ノスフェラトゥとして観測するに値するといえよう

そ、そんなにですか…？
光栄です…けど…いえ、そういってくれるならなおさら…ですね。もっと頑張ってみますね

励むがよい、汝の探究と変容は興味足り得る

そうですね…今は一つ、目の前のことをやります
それが落ち着いたらまた…ですね。頑張らないといけません

然り、道理に差はあれど強欲たり得る探究心は人の本質に他ならぬ
よい、悩むことは人の探究の礎なればその先に自身のあり方を朧げでも摑める故

その通り…ですかね。実際何かできなかった、ということはないのですけれど、もう少し、もう少し…と求めてしまうのは人のサガでしょうか。
行動は…ううん、まだだせていないですね

ふむ、つまり汝は今の状況と己自身を鑑みこれを無力と感じたのであるな
ならば問う、汝は何を欲し如何に行動せんと欲すか？

いえ、実際にどこまで読めているとかはないのですけれどね。大掛かりで、それでいて重要なお仕事に直面呈している場面も多くて
今のままで大丈夫なのかなぁ、と思うとついつい不安を感じてしまうんですよね（攻撃用の魔術について記された本へ手を伸ばす

ならば良い

如何なることを危惧する？

ええ、アーカーシュの。名前を付けてほしいといわれたので、参考用の資料が欲しかったのですよね
ああ、ありました。これで何とかなりそうです…でも、それ以上に大変なことになりそうで、なかなか気も休まらないのですよねぇ

名付け……嗚呼かの浮島のであるな
ふむ、名付けるならばその特徴から見出したといつかの風来坊が語っていたな

あっ、オジヴァンさん。いえ、今回はそれではなくて…命名参考書といいますか…あ、そんなに思い詰めているものではないのですけどもね

また見（まみ）えたな、少女よ
探すは血の魔術の書か？

むむむ……まさかこんな事態になってしまうなんて…ええと、どこにしまったでしょうか…あの本（積み上げられた本を漁っているようだ

　

うむ、また見えんことを我等が父祖に祈ろう（夜に紛れ霧が晴れるように消え失せる）

あ、っと。すみません、ちょうど夕食を作りに行く約束がありまして
私は一度ここで失礼させてもらいますね。書斎は明けておきますので、自由にお使いいただければっ

ええ、ありがとうございます。色々と参考になりますし、何より今はこれを使える…というのがありがたいですからね
戦いが近いのもありますから

構わぬ、我にとって答え難い事柄であったとしても我を通して己が解を探索するが良い
その応答がどうであれ汝の思考の助けになると幸いであるが

血の霧……そういうものなのですね

あ、すみません。答えを問うようになってしまって
これに対して解をだせるのはわたしだけですものね…今はそう思っておくことにしておきますね

血霧という我が居た世界の我が権能の一つである、形を持つものであるが本質は契約にこそある（黒布のローブを脱ぎ黒霧の中へと仕舞う）

判らぬ、我はその夢もその者も認識しておらぬ故
されど汝がそう認識するのであれば物事は観測者に即したものへと変質するであろう

わ…凄い。
そんな細かくて、丁寧に使えてしまうんですね…

吸血鬼…さすがに血を飲んだりとかはしませんから…！…多分
血を飲んだり浴びたりする人の夢は見たりしますので…あんまり否定できないのですけども
そういう人の知り合いだったから使えた…ということでしょうか

ふむ、本質は違えど斯様なものか（掌を傷つけ血を垂らすが直ぐに傷が塞がり落ちる前に霧と化す）
汝が吸血鬼と類する何某かでないのなら、その魔術の作成者に近しい縁者であるやもしれぬ
（霧となった血が集まり紅い指揮棒となる）

えーっと…血の変質が近いものでしょうか。ここにあるのは血を媒介に魔術を発動させて、自らの影を変化、刃に変えて切りつけるもの…みたいです
ただ、これが気になってしまうのは…この短い資料だけですっと頭に入ってきて、実際に使えてしまったことでしょうか

血の魔術
ふむ、当に吸血鬼とは血を媒介として行使する種族である
その妙技は血の変質、肉体の変化、血脈への契約と多岐にわたる
さすればそれは何れに該当、並びに該当しないものであるか？

明確なジャンルとして分けられているものではなくて…そのぐらい昔にいた魔女が扱う魔法だったようで
いわゆるオリジナルのもの…らしいのですよ。血を用いて何かをする。そんな魔術の一つらしくて…吸血鬼みたいだなぁ、という印象がありました

是非も答えず、日陰に身を隠せば燃えぬ故

ほう、如何なる魔術群ぞ？

あ、なるほど。でしたらカーテンかけちゃいましょうか

読んでいたのは古い魔術の一つについて、ですね。
何十年も前のものらしいです

否、我が危ぶむは時ではなく陽である

如何なる物を閲覧していたのだ？

大丈夫ですよ。確かに集中していましたけど、あまり多くのことはわかっていませんから
あら、時間が気になります？

構わぬ、寧ろ妨げをした事を詫びる（日が沈み始めるのを横目に見ながら）

あら…いつの間に、すみません、本に集中していて気づけず
お久しぶりです、オジヴァンさん

久しく見えたな（日陰を縫うように入ってくる）