PandoraPartyProject
愛無き世界で
![](https://img.rev1.reversion.jp/illust/scenario/scenario_bustup/90323/513006c3cad910dbda9b1762f72aaeec.png)
「God bless you...…なのだわよ。でも……」
仲間達を癒すその方法だけでは終われない。
華蓮とココロの双眸が重ねてナルキスの姿を捉えていた。
「lumière stellaire――Pandora Party Project!」
美しい少女の声がユニゾンし、乱戦に構わず敵影だけをその力の奔流の中心へと呑み込んだ。
おおおおおおおおおお……!
ナルキスの絶叫が歓喜と怨嗟を帯び、人型を取っていた彼のフォルムがより『魔種らしいもの』へと変わる。
「『平和な世の中』ってのは、家族への最後のプレゼントになればいい。
結局。どうしようもなく。僕は徹頭徹尾。化物だった。それじゃ人間ごっこはお終いだ――」
さぁ、始めよう。喰い残しのないように。悔い残しのないように。
爛々と目を輝かせた『神喰い』は超至近距離まで肉薄したナルキスに全身全霊の暴力を叩きつけた。
「いいじゃねえか、いいじゃあねえか!」
「退屈してたんだろ? 色男。はっ! 僕もだ。僕の名前は恋屍愛無。恋は屍。愛も無く。全て喰い殺す!」
一打撃ごとに体が崩れていくのは敵も、愛無の方も同じ。
過ぎた力で殴る。自らの手が傷むのも構わずにお互いの存在自体を塗り潰しあうかのように応酬する。
愛無の触腕がナルキスの肉を削り取る。ナルキスの爪が愛無の腕をもぎ取った。
「なあ、楽しいかい? 色男!」
おあああああああああああ……!!!
(――僕は楽しいよ。『これ』がもうすぐ終わるのが惜しい位に!)
死んでも殺すのが愛無式。
誰のものとも知れない獣の絶叫は凄絶なものになったが、これが『面白くない』女が一人だけ残っていた。
「ようやく本気みたいだけど、でもこれってあんまりじゃない?」
膨れ顔のソアが言葉とは裏腹に晴れやかに――愛無と『踊る』ナルキスを見た。
(夢のような時間だね。
けれどもどんな愉しみにも果てはある。
影の城の方も雰囲気が変わってきた気がするしね――)
未来(さき)を見る事が出来ても、出来なくても。
愛無の『壮絶』はこの時、ナルキスの意識を完全に奪っていた。
彼の防御の全てを否定し、粘り強いその戦いの全てを簒奪していた。
だから、ソアが望むのは最後のピースだけだ。
『この時を、この好機を逃せばそれでも倒し得ない怪物を抱きしめるその瞬間だけを狙っていた』。
「――今日は太陽が落ちても終わりだなんて言わないで」
飛び込んだソアがナルキスの体を抱く。
同時に迸った最大最強の雷撃は彼女の持ち得た最大限の『愛情表現』に違いない!
――おいおい。マジかよ。
――マジに決まってるじゃん。
――ボクに痺れてもらえたかな?
過ぎったそんなやり取りはソアの錯覚だったかも知れない。
だが――
「……忘れられない顔にされたぜ」
――恐らくは愛無とソアに向けられたナルキスの言葉は少なくとも現実に残された彼の最後の音だった。
※<終焉のクロニクル>Pandora Party Projectが進行しています!
※最終決戦が進行中です!
※各国首脳が集結し、一時的に因縁と思惑を捨て、ローレットと共に決戦に臨む事で一致しました!
※幻想各地にダンジョンが発見されたようです。
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