PandoraPartyProject

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希望ヶ浜で見た夢のことⅢ

 あなたは黒くて怖くて大きくて理不尽なものを知っている。あなたはそれを『せんせい』だと思った。
 その『せんせい』は、いまどこにもいない。
 あなた『せんせい』を探すため、ある街を訪れていた。
 街は遠く、そして酷く辺鄙なところにあった。
 くたくたになったあなたは適当な食べ物屋に入り、適当に注文をすることにした。
 店員は接客業特有の作り笑いのまま、手元のメモに注文を書き付けてからあなたを見てこう言った。
「こぢやらいすすぎは、ねいぶんじがらします」
 あなたは店員の言ったことにごく自然に納得して、それでいいと返すとやがて運ばれてきた中華丼を洋風にしたあとどんぶりごと地面に叩きつけたような食べ物を見る。
 それに手を付けたのかつけていないのか。あなたは店を出ようとした。

「本当なんだ! 今月こそ滅亡するんだ! 解釈がおかしかったんだ!」
 交差点の真ん中で叫ぶ人がいる。一言一句何をいっているのかわからない。きっとなにか可愛そうなひとなのだろう。
 せめてそっとしておくべきだとして、あなたはその前を通り過ぎる。
 寸分違わず同じ仏像が彫り込まれた街路樹の横を進めば、サラリーマンがもう一人の自分が入った棺桶を必死に埋める風景が見え、十人分が連なった自転車を漕ぐ集団とすれ違う。
 ふとデジタル時計を見れば、『L:Σ2』と表記されていた。もうすぐ約束の時間だ。一緒に来た仲間と合流しなくては。
「なんで僕の言ってることがわからないんだ! この世界は滅亡するんだ。もうすぐなんだ! なんでそれがわからない! なんでみんなおかしな言葉を喋っているんだ!? 狂っているのは僕の方なのか!? なあ応えてくれよ! 無視するな! 無視するな! 無視するなよ! 聞こえてるんだろう!?」
 先ほど交差点で叫んでいた人が追いかけてくる。相変わらず一言一句なにを言っているのかわからないが、きっとよくない話だろう。いずれにせよ見ず知らずの他人を血相変えて追いかけるなど異常なことだ。
 あなたが迷惑そうにしていると、セーラー服とツナギを着た警官がその男を取り押さえてくれた。
「ごぶりざえりさまです。あぶらねずみください」
 警官にそう言われ、あなたはあとを彼らに任せて歩き出す。
 そういえば、待ち合わせていた人物は……誰だったろうか……?

――再現性東京1Q99街、卯没瀬地区


 ※各勢力でアイアン・ドクトリンが使用されています!

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